JP3786587B2 - 高温用配管継手のシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温用配管継手のシール構造に係り、より詳しくはボイラー、タービン、焼却炉等の高温環境条件下での配管継手のシールに好適に使用可能である高温用配管継手のシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配管継手のシール構造として、たとえば、自己潤滑特性、熱伝導性、耐薬品性等に優れる膨張黒鉛系シール材からなるグランドパッキンを使用したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、膨張黒鉛系シール材からなるグランドパッキンによる上記配管継手のシール構造では、これが高温環境下に置かれると、熱的影響で配管が傾斜した場合膨張黒鉛系シール材は前記配管の傾斜に対する追随性が悪く、応力緩和が大きいため、シール性が短期間で低下し、気体の漏洩を起こす。また、膨張黒鉛系シール材は600゜C付近を越える高温度条件下では酸化消耗による劣化が激しく、シール特性を持続することができなくなる。
したがって、例えば、発電所のガスタービン燃焼器に使用される火炎伝播管部などのように450〜600゜C付近を越える高温度環境下においては使用不可能であり、このような高温度環境下においても使用可能な高温用配管継手のシール構造が要望されている。
【0004】
本発明の目的は、上記要望に応えるべくなされたもので、高温での耐酸化性、弾力性に優れ、発電所のガスタービン燃焼器に使用される火炎伝播管部などの高温環境下でも好適に使用可能であるとともに、熱膨張による配管の軸方向傾斜に対する追随性に優れる高温用配管継手のシール構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高温流体側と大気側を仕切る壁部材に、接続される配管の外径より大きい内径の配管貫通部を有して、配管の外周部に円筒状のパッキン室を形成するとともに、このパッキン室の軸方向の少なくとも片側にパッキン押え部材を備えた高温用配管継手において、前記パッキン室に、マイカシートを巻き重ねてリング状に加圧成形した主シールパッキンと、この主シールパッキンの軸方向両端に配される、金属細線を製編するか製織したのちリング状に成形したメッシュスプリングとを装填してあることに特徴を有するものである。
この場合において、上記マイカシートとしては、金マイカを80%以上含有するマイカシートを使用することが耐熱性を高めるうえで好ましい。
【0006】
【作用】
マイカシートを巻き重ねてリング状に加圧成形してなる主シールパッキンのリング成形品は、高温における耐酸化性に優れ、また高温での弾力性を確保するため、高温条件下においてもシール特性を長い使用期間にわたって確保できる。
主シールパッキンの軸方向両端に配される、金属細線を製編織したのちリング状に成形されたメッシュスプリングは、耐熱性を有し、また弾力性に富むため、高温条件下においてもパッキン押え部材により加えられる締付圧の低下を補償できる。また、これら主シールパッキン及びメッシュスプリングはいずれも高温での弾力性を確保できるため、熱的影響により生じる配管の傾斜にも追随することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の高温用配管継手のシール構造の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1は高温用配管継手のシール構造の概略断面図を示しており、高温用配管継手は圧力容器、機器等における高温流体側Aと大気側Bを仕切る壁部材Wに配管1の外径より大きい内径の配管貫通部2を形成し、この配管貫通部2内の配管1の外周部に円筒状の空間、すなわちパッキン室3を形成している。パッキン室3には主シールパッキン4を1個もしくは2個以上(図示例では2個)を装填するとともに、この主シールパッキン4の軸方向両端にメッシュスプリング5,5を配備し装填している。パッキン室3の軸方向片側にはパッキン押え部材6が備えられ、このパッキン押え部材6でメッシュスプリング5及び主シールパッキン4を壁部材Wに向けて加圧している。
【0009】
主シールパッキン4は、マイカシート、より好ましくは金マイカ(phlogopite) を80%以上含有するマイカシートを巻き重ね、この巻重体をリング状に加圧成形してなる。
メッシュスプリング5は、SUS316等の金属細線を横編あるいは縦編等の組織に製編した金属細線編物体、または金属細線を平織等の組織に製織した金属細線織物体をリング状に成形してなる。
【0010】
上記構成の高温用配管継手のシール構造によれば、高温環境条件下の熱的影響で配管1が傾斜するようなことがあっても、マイカシートからなるリング状の主シールパッキン4、及び金属細線の編物体または織物体からなるリング状のメッシュスプリング5は、いずれも高温での弾力性を確保するので、配管1の傾斜に追随することができ、したがって常に主シールパッキン4の内周面と配管1の外周面間に隙間をつくることなく気密状にシール性を確保できて気体の漏洩を防止できる。また、マイカシートからなる主シールパッキン4は高温における耐酸化性にも優れるため、450〜600゜C付近を越える高温度環境下でも酸化消耗するようなことがなく、この点でもシール特性を長期間にわたって確保することができる。また、金属細線の編物体または織物体からなるリング状のメッシュスプリング5は耐熱性、弾力性に富むため、高温条件下においてもパッキン押え部材6による主シールパッキン4の締付圧を低下させることなく確保することができる。
【0011】
上記実施形態では主シールパッキン4及びメッシュスプリング5を片側からのみパッキン押え部材6で加圧する場合について説明したが、これに代えて、図2に示すように主シールパッキン4及びメッシュスプリング5を両側よりパッキン押え部材6,6で加圧する形態においても同様に適用できる。
【0012】
本発明のマイカシートからなる主シールパッキン4と金属細線からなるメッシュスプリング5との組合わせによる下記の実施例と、膨張黒鉛パッキンによる下記の比較例の圧縮復元試験を実施した。
【0013】
(実施例)
主シールパッキン4とメッシュスプリング5との組合わせによる実施品は、主シールパッキン4がマイカシートを巻き重ねてリング状に加圧成形されてなり(マイカリング)、メッシュスプリング5が、SUS316の細線を編むか織ったのちリング状に成形されてなり、これら2個の主シールパッキン4と2個のメッシュスプリング5とを組合わせたリングの内径寸法aは110mm、外径寸法bは124mm、軸方向長さ(高さ)Hは20mm(1個の主シールパッキン4の軸方向長さは7mm、1個のメッシュスプリング5の軸方向長さは3mm)とするものである。
【0014】
(比較例)
比較例の膨張黒鉛パッキンは膨張黒鉛をリング状に圧縮成形してなり、その内径寸法は110mm、外径寸法は124mm、軸方向長さ(高さ)は20mmとするものである。
【0015】
上記実施例及び比較例の圧縮復元試験に用いる装置には、図3にその概略断面図を示すように、アムスラー式圧縮引張試験機が用いられ、試験治具(パッキン押え)10(内径110.5mm、外径123.5mm) 、荷重変換器(締付圧記録)11、変位変換器(圧縮量記録)12、動歪計13、及びX−Yレコーダ14により構成される。
【0016】
上記装置を用いて下記の要領で圧縮復元試験を実施した。
試験方法は、室温下において、図3の試験装置の試験治具10に上記実施品(主シールパッキン(マイカリング)とメッシュスプリングの組合わせによるパッキン)T、または上記比較品(膨張黒鉛パッキン)Pを組込み、それぞれを締付圧49.0MPa(500Kgf/cm2 )まで圧縮スピード約9.8MPa(100Kgf/cm2 )/min で締付け、その時の圧縮量を変位変換器12で測定して、両者の締付圧と圧縮率の関係を対比した。
【0017】
パッキンの各締付圧時における圧縮率の試験結果を図4に示す。この結果から、例えば締付圧が49.0MPa時における圧縮率は、実施例のものでは約30%であり、これに対し比較例のものでは約20%であり、したがって実施例のものが比較例のものに比べて流体漏洩の発生が著しく減少することになり、優れたシール特性を確保することを確認できた。
【0018】
因みに、主シールパッキンであるマイカリングと膨張黒鉛パッキンの熱減量試験の結果は図5に示すとおりである。試験条件については、試験雰囲気は電気炉内曝露加熱、試験時間は各温度にて1時間とする。
【0019】
図5に示す熱減量試験の結果、膨張黒鉛パッキンでは600゜Cを越えると酸化消耗が激しく熱減量率が著しいが、マイカリングでは600゜C前後においてもバインダー以外の質量減量は発生せず熱減量率は著しく低く、450〜600゜を越える高温条件下でもシール性を確保できることが判る。
なお、本発明の高温用配管継手のシール構造は回転軸や往復動軸の軸封部などにも同様に適用できることはいうまでもない。
【0020】
【発明の効果】
本発明の高温用配管継手のシール構造によれば、高温での耐酸化性、弾力性に優れるマイカシートからなる主シールパッキンと、耐熱性、弾力性に富む金属細線からなるメッシュスプリングとを組合わせてパッキン室に装填してあるので、高温環境条件下でも好適に使用でき、また熱膨張による配管の傾斜に対する追随性にも優れてシール特性を確保することができ、しかも構造が簡単で安価に提供できて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施例の高温用配管継手のシール構造の概略断面図である。
【図2】 他の実施例の高温用配管継手のシール構造の概略断面図である。
【図3】 圧縮復元試験装置の概略断面図である。
【図4】 実施品と比較品の圧縮復元試験結果を示す図表である。
【図5】 マイカリングと膨張黒鉛パッキンの熱減量試験結果を示す図表である。
【符号の説明】
1 配管
2 配管貫通部
3 パッキン室
4 主シールパッキン
5 メッシュスプリング
6 パッキン押え部材
Claims (2)
- 高温流体側と大気側を仕切る壁部材に、接続される配管の外径より大きい内径の配管貫通部を有して、この配管貫通部内の配管の外周部に円筒状にパッキン室を形成するとともに、このパッキン室の軸方向の少なくとも片側にパッキン押え部材を備えた高温用配管継手において、前記パッキン室に、マイカシートを巻き重ねてリング状に加圧成形した主シールパッキンと、この主シールパッキンの軸方向両端に配される、金属細線を製編織したのちリング状に成形したメッシュスプリングとを装填してあることを特徴とする高温用配管継手のシール構造。
- 前記マイカシートが金マイカを80%以上含むことを特徴とする請求項1記載の高温用配管継手のシール構造。
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