JP3786062B2 - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コモンレール内に蓄圧された高圧燃料をインジェクタを介してエンジンに噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置に関するもので、特に蓄圧式燃料噴射装置の燃料圧力センサの出力特性の学習補正に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多気筒ディーゼルエンジン等の多気筒エンジンにより回転駆動される高圧供給ポンプによってコモンレールに高圧燃料を加圧圧送して蓄圧すると共に、そのコモンレール内に蓄圧した高圧燃料を多気筒エンジンの各気筒毎に搭載された各気筒のインジェクタに分配し、各気筒のインジェクタから多気筒エンジンの各気筒の燃焼室内へ高圧燃料を噴射供給するコモンレール式燃料噴射装置(蓄圧式燃料噴射装置)が公知である。
【0003】
このコモンレール式燃料噴射装置においては、燃料圧力センサによってコモンレール内の燃料圧力(実コモンレール圧)を検出し、この実コモンレール圧が多気筒エンジンの運転条件に基づいて設定された目標コモンレール圧と略一致するように高圧供給ポンプの吐出量をフィードバック制御している。そして、燃料圧力センサは、センサ単品独自にそれぞれ特性ズレが有るため、センサ単品でセンサ製造時に公差範囲を設定することにより、センサ単品それぞれ作り込みで、燃料圧力センサ単品独自の精度保証を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のコモンレール式燃料噴射装置においては、燃料圧力センサの製造時の単品精度がシステムでの制御精度となってしまい、それ以上に制御精度を上げるためには燃料圧力センサ単品独自の精度保証を更に向上させる必要が有り、燃料圧力センサの製造コストが大幅にアップするという問題が生じる。
【0005】
【発明の目的】
本発明の目的は、燃料圧力センサの特性ズレを学習補正することにより、燃料圧力センサの製造コストの大幅なダウンを図りながらも、システムでの制御精度を大幅に向上することのできる蓄圧式燃料噴射装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、エンジン停止後の燃料圧力が大気圧まで低下して以降、あるいはエンジン停止後に所定時間が経過して以降、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上となって以降のエンジン始動時に、燃料圧力センサの検出値を計測して、その計測した検出値を大気圧相当時の学習値として取り込み、出力特性記憶手段に記憶された燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、エンジン始動時に取り込んだ大気圧相当時の学習値を使用した出力特性を有する学習後パターンに変更することにより、燃料圧力センサの製造時に精度保証を行う必要がないので、燃料圧力センサの製造コストの大幅なダウンを図ることができる。また、燃料圧力センサの単品独自の出力特性の基本パターンからの特性ズレを学習補正することができるので、システムでの制御精度を大幅に向上することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、エンジン停止後に所定時間が経過して以降のエンジン始動時に、燃料圧力センサの検出値(学習補正前コモンレール圧)が大気圧相当時のレベル範囲内にあるか否かを判定する。そして、燃料圧力センサの検出値(学習補正前コモンレール圧)が大気圧相当時のレベル範囲内に無い場合には、燃料圧力センサが異常、つまり学習補正前コモンレール圧が異常値であると判断する。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、エンジン停止後の燃料圧力が大気圧まで低下して以降、あるいはエンジン停止後に所定時間が経過して以降、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上となって以降のエンジン始動時とは、イグニッションスイッチがオンで、且つスタータへの通電が停止しており、且つ学習許可フラグがオンの時であることを特徴としている。
【0009】
請求項4および請求項9に記載の発明によれば、エンジン運転中に、燃料圧力センサの検出値を学習後パターンに対応した学習値に変換して取り込むことにより、燃料圧力センサの単品独自の出力特性の基本パターンからの特性ズレを学習補正して、その学習変更後の検出値を以降の制御(例えばコモンレール圧制御)に反映させるようにしているので、燃料圧力センサの製造コストの大幅なダウンを図りながらも、システムでの制御精度を大幅に向上することができる。
【0010】
請求項5および請求項9に記載の発明によれば、以降の制御とは、燃料圧力センサによって検出される実コモンレール圧が、エンジンの運転条件または運転状態に応じて決定される目標コモンレール圧と略一致するように、燃料供給ポンプの吐出量をフィードバック制御する吐出量制御(例えばコモンレール圧制御)である。これにより、燃料供給ポンプの吐出量、つまり燃料供給ポンプよりコモンレールに吐出される燃料圧力をエンジンの運転条件または運転状態に応じて決定される目標コモンレール圧に精度良く近づけることができる。
【0011】
請求項6および請求項11に記載の発明によれば、燃料圧力センサの出力特性の基本パターンは、エンジン停止時の大気圧相当時の初期値と燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値との2点を通る学習補正前の右上がりの出力特性であることを特徴としている。なお、燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値としては、燃料圧力センサの出力特性上で通常使用する範囲の最大値を用いることが基本パターンの作成上有利である。
【0012】
請求項7および請求項12に記載の発明によれば、燃料圧力センサの出力特性の学習後パターンは、燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値と燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値との2点を通るように傾きを変更した学習補正後の出力特性であることを特徴としている。なお、燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値としては、燃料圧力センサの出力特性上で通常使用する範囲の最大値を用いることが学習後パターンの作成上非常に有利である。また、請求項8および請求項13に記載の発明によれば、燃料圧力センサの出力特性の学習後パターンは、エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値と燃料圧力センサの通常使用する範囲内で高圧側狙い値上側の値との2点を通るように傾きを変更した学習補正後の出力特性であることを特徴としている。
請求項9および請求項11に記載の発明によれば、エンジン停止後に燃料圧力が大気圧まで低下した時、あるいはエンジン停止後に所定時間が経過した時、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上の時に、燃料圧力センサの検出値を計測して、その計測した検出値を大気圧相当時の学習値として取り込み、出力特性記憶手段に記憶された燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値を使用した出力特性を有する学習後パターンに変更することにより、燃料圧力センサの製造時に精度保証を行う必要がないので、燃料圧力センサの製造コストの大幅なダウンを図ることができる。また、燃料圧力センサの単品独自の出力特性の基本パターンからの特性ズレを学習補正することができるので、システムでの制御精度を大幅に向上することができる。
請求項10および請求項14に記載の発明によれば、エンジン停止後に所定時間が経過した場合、燃料圧力センサの検出値(学習補正前コモンレール圧)が大気圧相当時のレベル範囲内にあるか否かを判定する。そして、燃料圧力センサの検出値(学習補正前コモンレール圧)が大気圧相当時のレベル範囲内に無い場合には、燃料圧力センサが異常、つまり学習補正前コモンレール圧が異常値であると判断する。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態の構成]
図1ないし図4は本発明の第1実施形態を示したもので、図1はコモンレール式燃料噴射装置の全体構造を示した図である。
【0014】
本実施形態のコモンレール式燃料噴射装置は、多気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジンと呼ぶ)1の各気筒の燃焼室内に噴射供給する燃料噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器としてのコモンレール2と、各気筒毎に搭載された複数個(本例では4個)のインジェクタ3と、後記する吸入調量弁5を経て加圧室内に吸入される燃料を加圧してコモンレール2に圧送するサプライポンプ4と、複数個のインジェクタ3のアクチュエータおよびサプライポンプ4のアクチュエータを電子制御するエンジン制御ユニット(本発明の出力特性変更手段に相当する:以下ECUと呼ぶ)10とを備えている。
【0015】
コモンレール2には、連続的に燃料噴射圧力に相当する高圧燃料が蓄圧される必要があり、そのために燃料配管(高圧通路)11を介して高圧燃料を吐出するサプライポンプ4の吐出口と接続されている。なお、インジェクタ3およびサプライポンプ4からのリーク燃料は、リーク配管(燃料還流路)12、13、14を経て燃料タンク6にリターンされる。また、コモンレール2から燃料タンク6へのリターン配管(燃料還流路)15には、プレッシャリミッタ16が取り付けられている。そのプレッシャリミッタ16は、コモンレール2内の燃料圧力が限界設定圧を超えた際に開弁して燃料圧力を限界設定圧以下に抑えるための圧力安全弁である。
【0016】
各気筒のインジェクタ3は、コモンレール2より分岐する複数の分岐管17の下流端に接続されて、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料をエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給する燃料噴射ノズル、この燃料噴射ノズル内に収容されたノズルニードルを開弁方向に駆動する電磁式アクチュエータ(図示せず)、およびノズルニードルを閉弁方向に付勢するニードル付勢手段(図示せず)等よりなる電磁式燃料噴射弁である。そして、各気筒のインジェクタ3からエンジン1の各気筒の燃焼室内への燃料の噴射は、各分岐管17の下流端に接続された電磁式アクチュエータとしての噴射制御用電磁弁への通電および通電停止(ON/OFF)により電子制御される。つまり、各気筒のインジェクタ3の噴射制御用電磁弁が開弁している間、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料がエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給される。
【0017】
サプライポンプ4は、エンジン1のクランク軸(クランクシャフト)21の回転に伴ってポンプ駆動軸22が回転することで燃料タンク6内の燃料を汲み上げる周知のフィードポンプ(低圧供給ポンプ:図示せず)と、ポンプ駆動軸22により駆動されるプランジャ(図示せず)と、このプランジャの往復運動により燃料を加圧する加圧室(プランジャ室:図示せず)とを有している。そして、サプライポンプ4は、燃料配管19を経てフィードポンプにより吸い出された燃料を加圧して吐出口からコモンレール2へ高圧燃料を吐出する高圧供給ポンプ(燃料供給ポンプ)である。このサプライポンプ4のフィードポンプから加圧室への燃料流路には、その燃料流路を開閉する電磁式アクチュエータとしてのコモンレール圧制御用吸入調量弁(SCV)5が取り付けられている。
【0018】
吸入調量弁5は、図示しないポンプ駆動回路を介してECU10からのポンプ駆動信号によって電子制御されることにより、サプライポンプ4のフィードポンプから加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整するポンプ流量制御弁(吸入量調整用電磁弁)で、各インジェクタ3からエンジン1へ噴射供給する燃料噴射圧力(燃料圧力)、つまりコモンレール圧を変更する。ここで、本実施例の吸入調量弁5は、サプライポンプ4内の燃料流路の開度を変更するバルブ(弁体)と、ポンプ駆動信号に応じてバルブの弁開度を調整するためのソレノイドコイルとを有し、このソレノイドコイルへの通電が停止されると弁開度が全開状態となるノーマリオープンタイプの電磁弁(ポンプ制御弁)である。
【0019】
ECU10には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存するメモリ(ROM、バックアップRAM)、入力回路、出力回路、電源回路、インジェクタ駆動回路(EDU)およびポンプ駆動回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。ここで、バックアップRAMは、本発明の出力特性記憶手段を構成する。
【0020】
また、本実施形態のECU10は、図示しないイグニッションスイッチのオン(IG・ON)信号またはオフ(IG・OFF)信号を検出するIG・ON信号検出機能、およびこのIG・ON信号検出機能によってIG・ON信号を検出した際に、図示しないバッテリからECU10へECU電源を供給するためのECU電源供給ラインを断続するメインリレー(図示せず)を閉成(ON)するメインリレー駆動機能を有している。なお、これらのIG・ON信号検出機能およびメインリレー駆動機能は、マイクロコンピュータにECU電源の供給が成されない時でも作動可能である。
【0021】
また、メインリレー駆動機能は、車両を運転している時に運転者(ドライバー)によって不意にイグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)された場合に、メインリレーの開成(OFF)を所定条件を満足するまで遅延させることもできる。その所定条件を満足するまでとは、イグニッションスイッチがOFFされてからエンジン1が停止するまで、あるいはイグニッションスイッチがOFFされてから所定時間が経過するまでである。
【0022】
また、ECU10は、エンジンキーを車室内のキーシリンダに差し込んでエンジンキーをOFF位置からST位置まで回して、図示しないスタータスイッチがオン(ST・ON)すると、スタータを通電する。そして、ECU10は、エンジン1をクランキングさせた後に、エンジンキーをIG位置に戻して、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)すると、ECU電源の供給が成され、メモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、例えばインジェクタ3やサプライポンプ4等の各制御部品のアクチュエータを電子制御するように構成されている。また、ECU10は、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されてECU電源の供給が断たれると、メモリ内に格納された制御プログラムに基づく上記の制御が強制的に終了されるように構成されている。
【0023】
ここで、各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器でA/D変換された後に、ECU10に内蔵されたマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。そして、マイクロコンピュータには、エンジン1の運転状態または運転条件を検出する運転条件検出手段としての、エンジン回転速度(以下エンジン回転数と言う:NE)を検出するための回転速度センサ31、アクセル開度(ACCP)を検出するためのアクセル開度センサ32、エンジン冷却水温(THW)を検出するための冷却水温センサ33、サプライポンプ4内に吸入されるポンプ吸入側の燃料温度(THF)を検出するための燃料温度センサ34、および燃料噴射圧力に相当するコモンレール2内の燃料圧力、つまりコモンレール圧を検出するコモンレール圧センサ(本発明の燃料圧力センサに相当する)35等が接続されている。
【0024】
そして、ECU10は、エンジン回転数(NE)とアクセル開度(ACCP)と予め実験等により測定して作成した特性マップとによって最適な基本噴射量(Q)を演算する基本噴射量決定手段と、エンジン冷却水温(THW)やポンプ吸入側の燃料温度(THF)等の運転条件により基本噴射量(Q)に噴射量補正量を加味して指令噴射量(QFIN)を演算する指令噴射量決定手段と、エンジン回転数(NE)と指令噴射量(QFIN)とによって指令噴射時期(T)を演算する噴射時期決定手段と、実コモンレール圧(Pc)と指令噴射量(QFIN)と予め実験等により測定して作成した特性マップとによってインジェクタ3の噴射制御用電磁弁の通電時間(INJ制御量、INJ制御指令値、噴射パルス長さ、噴射パルス幅、噴射パルス時間、指令噴射期間)を演算する噴射期間決定手段と、インジェクタ駆動回路(EDU)を介して各気筒のインジェクタ3の噴射制御用電磁弁にパルス状のインジェクタ駆動電流(INJ駆動電流値、インジェクタ噴射パルス)を印加するインジェクタ駆動手段とを有している。
【0025】
すなわち、ECU10は、回転速度センサ31によって検出されたエンジン回転数(NE)およびアクセル開度センサ32によって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報に基づいて指令噴射量(QFIN)を算出し、エンジン1の運転条件または燃料噴射圧力(つまりコモンレール圧)および指令噴射量(QFIN)から算出された噴射パルス幅に応じて各気筒のインジェクタ3の噴射制御用電磁弁にインジェクタ噴射パルスを印加するように構成されている。これにより、エンジン1が運転される。
【0026】
また、ECU10は、エンジン1の運転条件に応じた最適なコモンレール圧を演算し、ポンプ駆動回路を介してサプライポンプ4の吸入調量弁(SCV)5を駆動する吐出量制御手段を有している。すなわち、ECU10は、回転速度センサ31によって検出されたエンジン回転数(NE)およびアクセル開度センサ32によって検出されたアクセル開度(ACCP)等のエンジン運転情報、更には冷却水温センサ33によって検出されたエンジン冷却水温(THW)や燃料温度センサ34によって検出さたポンプ吸入側の燃料温度(THF)の補正量を加味して目標コモンレール圧(Pt)を演算し、この目標コモンレール圧(Pt)を達成するために、サプライポンプ4の吸入調量弁5へのポンプ駆動信号(SCV制御量、SCV制御指令値、駆動電流値)を調整して、サプライポンプ4より吐出される燃料の圧送量(ポンプ吐出量)を制御するように構成されている。
【0027】
ここで、本実施形態では、エンジン1の運転条件を検出する運転条件検出手段として回転速度センサ31、アクセル開度センサ32、冷却水温センサ33および燃料温度センサ34を用いて指令噴射量(QFIN)、指令噴射時期(T)、目標コモンレール圧(Pt)を演算するようにしているが、運転条件検出手段としてのその他のセンサ類(例えば吸気温センサ、吸気圧センサ、気筒判別センサ、噴射時期センサ等)からの検出信号(エンジン運転情報)を加味して指令噴射量(QFIN)、指令噴射時期(T)、目標コモンレール圧(Pt)を補正するようにしても良い。
【0028】
さらに、より好ましくは、コモンレール圧センサ35をコモンレール2に取り付けて、そのコモンレール圧センサ(本例では歪みゲージ式圧力センサ)35によって検出される実コモンレール圧(Pc)がエンジン1の運転条件または運転状態によって決定される目標コモンレール圧(Pt)と略一致するように、サプライポンプ4の吸入調量弁5のソレノイドコイルへのポンプ駆動信号(SCV制御量、SCV制御指令値、駆動電流値)をフィードバック制御することが望ましい。
【0029】
なお、吸入調量弁5のソレノイドコイルへの駆動電流値の制御は、デューティ(DUTY)制御により行うことが望ましい。例えば実コモンレール圧(Pc)と目標コモンレール圧(Pt)との圧力偏差(ΔP)に応じて単位時間当たりのポンプ駆動信号のオン/オフの割合(通電時間割合・デューティ比)を調整して、吸入調量弁5のバルブの弁開度を変化させるデューティ制御を用いることで、高精度なデジタル制御が可能となる。
【0030】
そして、コモンレール圧センサ35は、図2の特性図に示したように、実コモンレール圧(Pc)に応じた電気信号、つまりコモンレール圧出力値(Vc)を出力する。このため、ECU10は、コモンレール圧センサ35からのコモンレール圧出力値(Vc)から実コモンレール圧(Pc)を算出するコモンレール圧検出手段を有している。
【0031】
また、ECU10は、図2の特性図に示したように、コモンレール圧センサ35の出力特性を、予め定められた基本のコモンレール圧に対する出力電圧特性(基本パターン)からセンサ単品毎のコモンレール圧に対する出力電圧特性(学習後パターン)に学習変更して以降の吐出量制御(SCV制御)に反映させるようにする出力特性変更手段を有している。
【0032】
ここで、予めバックアップRAMに記憶されている、コモンレール圧センサ35の出力特性の基本パターン(オリジナルパターン)は、図2の特性図に実線で示したように、エンジン停止時の大気圧相当時の初期値(Vmini)とコモンレール圧センサ35の通常使用する範囲内の最大値(Vmax)との2点を通る右上がりの学習補正前の出力特性である。
【0033】
また、学習変更後にバックアップRAMに記憶される、コモンレール圧センサ35の出力特性の学習後パターンは、図2の特性図に一点鎖線で示したように、コモンレール圧センサ35の出力特性の基本パターンを、エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値(Vming)と上記の最大値(Vmax)との2点を通るように傾きを変更した右上がりの学習補正後の出力特性である。
【0034】
なお、ECU10は、コモンレール圧センサ35の出力信号である、学習補正前コモンレール圧(Pc)が所定値(例えば5Vに相当するコモンレール圧)以上の場合には、コモンレール圧センサ35の異常(故障)と判断してエンジン1の運転を停止する。また、コモンレール圧センサ35の出力信号の通常の使用範囲は例えば0.5V〜4.5Vである。
【0035】
[第1実施形態の制御方法]
次に、本実施形態のコモンレール式燃料噴射装置の制御方法を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。ここで、図3および図4はコモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したフローチャートである。
【0036】
なお、本実施形態のフローチャートは、メモリに格納された制御プログラムに相当するもので、イグニッションスイッチがOFF→ONへと切り換わってメインリレーがONされてバッテリからECU10へECU電源の供給が成された時点で起動されて所定時間毎に随時実行される。また、イグニッションスイッチがON→OFFへと切り換わってメインリレーがOFFされてECU10へのECU電源の供給が断たれた時には、強制的に終了されるものである。
【0037】
先ず、図3および図4のフローチャートが起動すると、エンジンパラメータ(エンジン1の運転条件または運転状態)であるエンジン回転数(NE)、アクセル開度(ACCP)、エンジン冷却水温(THW)、ポンプ吸入側の燃料温度(THF)等を取り込むと同時に、実コモンレール圧(Pc)を検出するコモンレール圧センサ35の出力信号である、学習補正前コモンレール圧(Pc)に相当するコモンレール圧出力値(Vc)を取り込む(ステップS1)。
【0038】
次に、大気圧学習値(大気圧相当時の学習データ:Vming)が設定され、バックアップRAMに記憶されているか否かを判定する(ステップS2)。この判定結果がYESの場合、つまり大気圧学習値(Vming)が設定、記憶されている場合には、即ステップS4へ進む。また、ステップS2の判定結果がNOの場合、つまり大気圧学習値(Vming)が設定、記憶されていない場合には、予めバックアップRAMに記憶されている大気圧相当時のセンサ出力値の初期値(大気圧相当時の基本データ:Vmini)を学習値(大気圧学習値:Vming)として初期設定する(ステップS3)。
【0039】
次に、ステップS1で取り込んだコモンレール圧出力値(Vc)を大気圧学習値(大気圧相当時の学習データ:Vming)とコモンレール圧センサ35の検出値として通常使用する検出範囲内の高圧側狙い値である最大値(Vmax)、コモンレール圧センサ35の検出値として通常使用する検出範囲内の最大圧力値(Pmax)、コモンレール圧センサ35の検出値として通常使用する検出範囲内の最小圧力値(Pmin)から補正計算(学習変更、学習補正)し、学習補正後圧力値(学習値、学習補正後コモンレール圧:Pcg)を下記の数1の式に基づいて演算し、その学習補正後コモンレール圧(Pcg)をバックアップRAMに記憶する(出力特性変更手段:ステップS4)。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、Pminは大気圧相当時にセンサ学習値(Vming)を学習変更するために約1kg/cm2 である。なお、下記の数2の式は、学習補正前圧力値(高圧側狙い値、学習補正前コモンレール圧:Pc)を求める式である。
【0042】
【数2】
【0043】
次に、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されたか否かを判定する(ステップS5)。この判定結果がNOの場合、つまりIG・ON中であると判定した場合には、異常判定フラグ(fab)が立っている(fab=1に設定されている)か否かを判定する(ステップS6)。この判定結果がYESの場合、つまり異常判定が有りfab=1の場合には、異常時処理を実施する(ステップS7)。次に、ステップS11に進む。
ここで、異常時処理とは、実コモンレール圧(補正後圧力値)Pcgが、目標コモンレール圧(Pt)に略一致するように、サプライポンプ4の吐出量を制御するフィードバック制御から、エンジン回転数(NE)等のエンジンパラメータおよび基本噴射量(Q)に基づいてサプライポンプ4の吐出量を制御するオープン制御に切り替えることである。
【0044】
また、ステップS6の判定結果がNOの場合、つまり異常判定が無い場合には、エンジンパラメータをベースに基本噴射量(Q)、指令噴射量(QFIN)、インジェクタ噴射パルス時間(インジェクタ噴射パルスの噴射パルス幅:Tq)および指令噴射時期(T)を演算する。具体的には、前述のエンジン回転数(NE)および前述のアクセル開度(ACCP)から基本噴射量(Q)を求め、この基本噴射量(Q)に噴射量補正量を加味して指令噴射量(QFIN)を求める。
【0045】
そして、上記のステップS4で算出し、バックアップRAMに記憶した学習補正後コモンレール圧(Pcg)を実コモンレール圧として読み込み、その実コモンレール圧(Pcg)および前述の指令噴射量(QFIN)からインジェクタ3の通電時間(噴射期間)であるインジェクタ(INJ)噴射パルス時間(INJ制御指令値:Tq)を求める。さらに、前述のエンジン回転数(NE)および前述の指令噴射量(QFIN)から指令噴射時期(T)を求める(ステップS8)。次に、エンジンパラメータをベースに目標コモンレール圧(Pt)を演算する。具体的には、前述のエンジン回転数(NE)および前述の指令噴射量(QFIN)から目標コモンレール圧(Pt)を求める(ステップS9)。
【0046】
次に、上記のステップS4で算出し、バックアップRAMに記憶した学習補正後コモンレール圧(Pcg)を実コモンレール圧として読み込み、その実コモンレール圧(Pcg)と前述の目標コモンレール圧(Pt)との圧力偏差(Pcg−Pt)に応じてSCV補正量(Di)を求める。次に、前回のSCV制御量(ΣDscv)にSCV補正量(Di)を積算して今回のSCV制御量(SCV制御指令値:ΣDscv)を求める(ステップS10)。
【0047】
次に、INJ制御量(INJ制御指令値:Tq)および指令噴射時期(T)をECU10の出力段にセットする。また、SCV制御量(SCV制御指令値:ΣDscv)をECU10の出力段にセットする(ステップS11)。以降、ステップS1に戻り、前述の制御を繰り返す。
【0048】
また、ステップS5の判定結果がYESの場合、つまりIG・OFFと判定した場合には、エンジン停止時制御量を演算する。具体的には、インジェクタ3の制御量(INJ制御量)であるインジェクタ(INJ)噴射パルス時間(Tq)をゼロ(Tq=0)とする。また、吸入調量弁(SCV)5の制御量(SCV制御量:ΣDscv)をDt(ΣDscv=Dt)とする(ステップS12)。
【0049】
次に、IG・OFF後の経過時間を、CIGoff=CIGoff+1とカウントアップする(ステップS13)。次に、異常判定可能な状態であるか否かを判定する。すなわち、エンジン1が停止してから所定時間(Tg)が経過している(CIGoff>Tg)か否かを判定する(ステップS14)。この判定結果がNOの場合、つまりエンジン停止後に所定時間が経過していないと判断した場合には、直接ステップS11へ進み、ステップS11で、ステップS12にて設定したエンジン停止時制御量をECU10の出力段にセットする。以降、ステップS1に戻り、前述の制御を繰り返す。
【0050】
ここで、上記の所定時間(Tg)は、エンジン停止後に、コモンレール圧が大気圧相当時の圧力まで低下するのに必要な時間であるが、エンジン停止後にエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上の時としても良い。これは、エンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上となっていれば、コモンレール圧は大気圧相当時の圧力まで確実に低下していると思われるからである。
【0051】
また、ステップS14の判定結果がYESの場合、つまりエンジン停止後に所定時間が経過していると判断した場合には、コモンレール圧センサ35の異常状態(故障診断)の判定が可能であると判断して、学習補正前コモンレール圧(Pc)が大気圧相当時のレベル範囲(A<Pc<B)内にあるか否かを判定する(ステップS15)。なお、大気圧相当時のレベル範囲の判定には、学習補正前コモンレール圧(Pc)の他に、学習補正後コモンレール圧(Pcg)またはコモンレール圧センサ35の出力信号であるコモンレール圧出力値(Vc)を用いても良い。
このステップS15の判定結果がNOの場合、つまり大気圧相当時のレベル範囲内に無い場合には、コモンレール圧センサ35が異常、つまり学習補正前コモンレール圧(Pc)が異常値であると判断して異常判定フラグ(fab)を立てfab=1とし、バックアップRAMに記憶する(ステップS16)。その後に、ステップS11で、ステップS12にて設定したエンジン停止時制御量をECU10の出力段にセットする。以降、ステップS1に戻り、前述の制御を繰り返す。
【0052】
また、ステップS15の判定結果がYESの場合、つまり所定範囲内に有る場合には、コモンレール圧センサ35が正常、つまり学習補正前コモンレール圧(Pc)が正常値であると判断して異常判定フラグ(fab)を倒しfab=0とし、バックアップRAMに記憶する(ステップS17)。次に、今回取り込んだ大気圧相当時のコモンレール圧出力値Vatm(大気圧状態の値約1kg/cm2 )を、大気圧学習値(Vming)として設定し、バックアップRAMに記憶する(ステップS18)。その後に、ステップS11で、ステップS12にて設定したエンジン停止時制御量をECU10の出力段にセットする。以降、ステップS1に戻り、前述の制御を繰り返す。
【0053】
[第1実施形態の効果]
以上のように、本実施形態のコモンレール式燃料噴射装置は、エンジン停止後に所定時間が経過した時に、コモンレール圧センサ35より出力される、大気圧相当時のコモンレール圧出力値Vatm(大気圧状態の値約1kg/cm2 )を、大気圧学習値(Vming)として設定し、基本パターンから学習後パターンにコモンレール圧センサ35の出力特性を変更している。具体的には、図2の特性図に一点鎖線で示したように、コモンレール圧センサ35の出力特性の基本パターンを、エンジン停止時の大気圧相当時の学習値(Vming)と上記の最大値(Vmax)との2点を通るように傾きを大きく(または小さく)変更したコモンレール圧センサ35の出力特性の学習後パターンに学習補正している。
【0054】
すなわち、コモンレール圧センサ35の単品独自の出力特性の基本パターンからの特性ズレを学習補正して、コモンレール圧センサ35の検出値であるコモンレール圧出力値(Vc)に対応した学習補正後コモンレール圧(Pcg)を以降のコモンレール圧制御に反映させるようにしている。具体的には、学習補正後コモンレール圧(Pcg)を実コモンレール圧として取り込み、その実コモンレール圧(Pcg)と目標コモンレール圧(Pt)との圧力偏差(Pcg−Pt)に応じてサプライポンプ4の吐出量を制御するコモンレール圧制御(フィードバック制御)を行うようにしている。
【0055】
これにより、コモンレール圧センサ35の製造時に精度保証を行うことなく、ECU10の学習制御によりコモンレール圧センサ35の単品独自の基本パターンからの特性ズレを学習補正できるので、コモンレール圧センサ35の製造コストの大幅なダウンを図ることができる。と同時に、このようにコモンレール圧センサ35の製造コストの大幅なダウンを図りながらも、コモンレール式燃料噴射装置(システム)での噴射量制御およびコモンレール圧制御の制御精度を大幅に向上することができる。
【0056】
ここで、本実施形態では、コモンレール圧センサ35の出力特性の学習後パターンを、図2の特性図に一点鎖線で示したように、エンジン停止時の大気圧相当時の学習値(Vming)とコモンレール圧センサ35の出力特性上の通常使用する範囲の最大値(Vmax)との2点を通る右上がりの学習補正後の出力特性としている。これは、図2の特性図に実線で示した、コモンレール圧センサ35の出力特性の基本パターンの傾きを大きく傾けた出力特性となっている。
【0057】
なお、エンジン停止時の大気圧相当時の初期値(Vmini)よりもエンジン停止時の大気圧相当時の学習値(Vming)の方が大きい右上がりの出力特性のものを示しているが、コモンレール圧センサ35の出力特性のズレによって、エンジン停止時の大気圧相当時の初期値(Vmini)よりもエンジン停止時の大気圧相当時の学習値(Vming)の方が小さい右上がりの出力特性のものであっても良いことは言うまでもない。
【0058】
ここで、コモンレール圧センサ35の出力特性の学習後パターンを、図2の特性図に実線で示した、コモンレール圧センサ35の出力特性の基本パターンと平行で、且つ上記の初期値(Vmini)よりも大きい、あるいは小さい上記の学習値(Vming)を通る右上がりの出力特性とした場合には、コモンレール圧センサ35の検出値であるコモンレール圧出力値(Vc)に対応した学習補正後コモンレール圧(Pcg)が、基本パターンの学習補正前コモンレール圧(Pc)に対して大きく異なってしまう。
【0059】
特に、本実施形態では、エンジン運転中に、コモンレール圧センサ35の検出値であるコモンレール圧出力値(Vc)が異常値(例えば5V)以上の場合に、コモンレール圧センサ35の異常(故障)と判断してエンジン1の運転を停止するようにしているので、上記のような基本パターンと平行で、且つ上記の初期値(Vmini)よりも大きい出力特性を有する学習後パターンとしたとき、コモンレール圧センサ35の検出値であるコモンレール圧出力値(Vc)が異常値以上であっても、学習補正後コモンレール圧(Pcg)は異常値に相当する圧力よりも低い値となり、コモンレール式燃料噴射装置(システム)の制御上不具合が生じる。
【0060】
また、エンジン運転中に、コモンレール圧センサ35の検出値であるコモンレール圧出力値(Vc)が異常値(例えば0V)以下の場合に、コモンレール圧センサ35の異常(故障)と判断してエンジン1の運転を停止するシステムが考えられる。この場合には、上記のような基本パターンと平行で、且つ上記の初期値(Vmini)よりも小さい出力特性を有する学習後パターンとしたとき、コモンレール圧センサ35の検出値であるコモンレール圧出力値(Vc)が異常値以下であっても、学習補正後コモンレール圧(Pcg)は異常値に相当する圧力よりも高い値となり、システムの制御上不具合が生じる。
【0061】
本発明の学習後パターンは、見かけ上の出力特性であるため、コモンレール圧センサ35の出力特性が、実際には上述したように、基本パターンと平行な出力特性を持つものであっても、システムの制御上の不具合を回避するために、図2の特性図に一点鎖線で示したように、エンジン停止時の大気圧相当時の学習値(Vming)とコモンレール圧センサ35の出力特性上の通常使用する範囲の最大値(Vmax)との2点を通る右上がりの出力特性としている。
【0062】
[第2実施形態]
図5ないし図7は本発明の第2実施形態を示したもので、図5および図6はコモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したフローチャートで、図7はコモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したタイミングチャートである。
【0063】
先ず、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されているか否かを判定する。すなわち、ECU10のIG・ON信号検出機能によってIG・ON信号を検出しているか否かを判定する(ステップS21)。この判定結果がYESの場合、つまりIG・ON中である場合には、第1実施形態と同様に、エンジンパラメータ(エンジン1の運転条件または運転状態)を取り込む(ステップS22)。次に、メインリレーがONされているか否かを判定する。すなわち、メインリレー制御フラグ(fM)が立っている(1にセットされている)か否かを判定する(ステップS23)。この判定結果がNOの場合には、イグニッションスイッチのオン(IG・ON)に同期してメインリレーをONするように、メインリレー制御フラグ(fM)をON値(fM=1)に設定する(ステップS24)。その後に、即ステップS28へ進む。
【0064】
また、ステップS23の判定結果がYESの場合、つまりメインリレーがONされている場合には、第1実施形態と同様に、大気圧学習値(Vming)が設定、記憶されているか否かを判定する(ステップS25)。この判定結果がYESの場合には、即ステップS27へ進む。
【0065】
また、ステップS23の判定結果がNOの場合には、予めバックアップRAMに記憶されている大気圧相当時のセンサ出力値の初期値(Vmini)を学習値(大気圧学習値:Vming)として初期設定する(ステップS26)。次に、第1実施形態と同様に、学習補正後圧力値(学習値、学習補正後コモンレール圧:Pcg)を上記の数1の式に基づいて演算し、その学習補正後コモンレール圧(Pcg)をバックアップRAMに記憶する(出力特性変更手段:ステップS27)。
【0066】
次に、エンジン停止時であるか否かを判定する。つまり回転速度センサ31によって検出されるエンジン回転数(NE)が所定値(例えば0rpm)以下であるか否かを判定する(ステップS28)。この判定結果がNOの場合には、異常判定フラグ(fab)が立っている(fab=1に設定されている)か否かを判定する(ステップS29)。この判定結果がYESの場合、つまり異常判定が有りfab=1の場合には、第1実施形態と同様に、異常時処理を実施する(ステップS30)。次に、ステップS34に進む。
【0067】
また、ステップS29の判定結果がNOの場合、つまり異常判定が無い場合には、第1実施形態と同様に、エンジンパラメータをベースに基本噴射量(Q)、指令噴射量(QFIN)、インジェクタ噴射パルス時間(Tq)および指令噴射時期(T)を演算する(ステップS31)。次に、第1実施形態と同様に、エンジンパラメータをベースに目標コモンレール圧(Pt)を演算する(ステップS32)。
【0068】
次に、第1実施形態と同様に、上記のステップS26で算出し、バックアップRAMに記憶した学習補正後コモンレール圧(Pcg)を実コモンレール圧として読み込み、その実コモンレール圧(Pcg)と前述の目標コモンレール圧(Pt)との圧力偏差(Pcg−Pt)に応じてSCV補正量(Di)を求める。次に、前回のSCV制御量(ΣDscv)にSCV補正量(Di)を積算して今回のSCV制御量(SCV制御指令値:ΣDscv)を求める(ステップS33)。次に、第1実施形態と同様に、INJ制御量(Tq)および指令噴射時期(T)をECU10の出力段にセットし、SCV制御量(ΣDscv)をECU10の出力段にセットする。さらに、メインリレー出力値(fM=1またはfM=0)をセットする(ステップS34)。以降、ステップS21に戻り、前述の制御を繰り返す。
【0069】
また、ステップS28の判定結果がYESの場合、つまりエンジン停止時である場合には、エンジンを始動するスタータがOFFされているか否かを判定する。すなわち、スタータへの通電制御を行うスタータ通電回路のスタータリレーがオフ(STA・OFF)されているか否かを判定する(ステップS35)。この判定結果がNOの場合、つまりスタータリレーがオン(STA・ON)されている場合には、ステップS29に進む。
【0070】
また、ステップS35の判定結果がYESの場合、つまりスタータリレーがオフ(STA・OFF)されている場合には、学習許可フラグ(fok)が立っている(fok=1に設定されている)か否かを判定する(ステップS36)。この判定結果がYESの場合、つまりfok=1に設定されている場合には、第1実施形態と同様に、学習補正前コモンレール圧(Pc)が大気圧相当時のレベル範囲(A<Pc<B)内にあるか否かを判定する(ステップS37)。このステップS37の判定結果がNOの場合、つまり大気圧相当時のレベル範囲内に無い場合には、第1実施形態と同様に、コモンレール圧センサ35が異常、つまり学習補正前コモンレール圧(Pc)が異常値であると判断して異常判定フラグ(fab)を立てfab=1とし、バックアップRAMに記憶する(ステップS38)。その後に、ステップS30へ進む。
【0071】
また、ステップS37の判定結果がYESの場合、つまり所定範囲内に有る場合には、異常判定フラグ(fab)をキャンセル(fab=0)する(ステップS39)。次に、今回取り込んだ大気圧相当時のコモンレール圧出力値Vatm(大気圧状態の値約1kg/cm2 )を、大気圧学習値(Vming)として設定し、バックアップRAMに記憶する(ステップS40)。次に、学習許可フラグ(fok)をリセット(fok=0)する(ステップS41)。その後に、ステップS31へ進む。
【0072】
また、ステップS21またはステップS36の判定結果がNOの場合、つまりイグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されている場合、あるいは学習許可フラグ(fok)がリセット(fok=0)されている場合には、第1実施形態と同様に、エンジン停止時制御量を演算する(ステップS42)。次に、第1実施形態と同様に、IG・OFF後の経過時間をカウントアップする(ステップS43)。
【0073】
次に、異常判定可能な状態であるか否かを判定する。すなわち、イグニッションスイッチをオフ(IG・OFF)してから所定時間(Tg)が経過している(CIGoff>Tg)か否かを判定する(ステップS44)。この判定結果がNOの場合、つまりエンジン停止後に所定時間が経過していないと判断した場合には、メインリレーのON状態を継続するように、メインリレー制御フラグ(fM)をON値(fM=1)に設定する(ステップS45)。その後に、ステップS34で、ステップS42にて設定したエンジン停止時制御量をECU10の出力段にセットする。以降、ステップS21に戻り、前述の制御を繰り返す。
【0074】
また、ステップS44の判定結果がYESの場合、つまりエンジン停止後に所定時間が経過していると判断した場合には、異常判定可能な状態であると判断して、学習許可フラグ(fok)を立てfok=1に設定する(ステップS46)。次に、イグニッションスイッチのオフ(IG・OFF)に伴ってメインリレーをOFFするように、メインリレー制御フラグ(fM)をOFF値(fM=0)に設定する(ステップS47)。その後に、ステップS34で、ステップS42にて設定したエンジン停止時制御量をECU10の出力段にセットする。以降、ステップS21に戻り、前述の制御を繰り返す。
【0075】
以上のように、本実施形態のコモンレール式燃料噴射装置は、エンジン停止後に所定時間が経過して以降のエンジン始動時、すなわち、図7に示したように、エンジンキーをIG位置からOFF位置に戻してイグニッションスイッチをOFFしてから所定時間(Tg)が経過した(CIGoff>Tg)際に、エンジンキーOFF後カウンタによるカウントが終了して学習許可フラグ(fok)がON(fok=1)する。その後にメインリレーがON状態からOFF状態に切り替えられてECU電源の供給が断たれた後に、乗員がエンジンキーをOFF位置からIG位置まで回してイグニッションスイッチをオン(IG・ON)すると、これに同期してメインリレーがON状態となり、ECU電源がECU10に供給される。
【0076】
このとき、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)、学習許可フラグ(fok)がON(fok=1)、およびスタータリレーがオフ(STA・OFF)の間のエンジン始動時に、コモンレール圧センサ35より出力される、大気圧相当時のコモンレール圧出力値Vatm(大気圧状態の値約1kg/cm2 )を、大気圧学習値(Vming)として設定し、基本パターンから学習後パターンにコモンレール圧センサ35の出力特性を変更する。
【0077】
これにより、第1実施形態と同様に、コモンレール圧センサ35の製造時に精度保証を行うことなく、ECU10の学習制御によりコモンレール圧センサ35の単品独自の基本パターンからの特性ズレを学習補正できるので、コモンレール圧センサ35の製造コストの大幅なダウンを図ることができる。と同時に、コモンレール式燃料噴射装置(システム)での噴射量制御およびコモンレール圧制御の制御精度を大幅に向上することができる。
【0078】
ここで、学習許可フラグ(fok)を車室内前面に設置したウォーニングランプと連動させれば次のように操作がし易くなる。それは、エンジンキーをOFF位置からIG位置まで回した際にウォーニングランプが点灯していれば、学習許可フラグ(fok)がON(fok=1)の場合で、その後にウォーニングランプが消灯したら、学習補正が完了したとしてエンジンキーをIG位置からST位置へ回して、スタータを作動させ、エンジン1をクランキングさせる。これにより、コモンレール圧センサ35の出力特性を変更する学習補正実行後に確実にエンジン1を始動させることができる。
【0079】
ここで、本実施形態では、エンジン停止後に所定時間が経過して以降のエンジン始動時、エンジン停止後の燃料圧力が大気圧まで低下して以降、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上となって以降のエンジン始動時を含むものとしても良い。なお、上記のエンジン始動時とは、エンジンキーを車室内のキーシリンダに差し込んでOFF位置からIG位置まで回した時から、その後にST位置までエンジンキーを回してエンジン1をクランキングさせる時までを含むものとする。
【0080】
[他の実施形態]
本実施形態では、コモンレール圧センサ35をコモンレール2に直接取り付けて、コモンレール2内に蓄圧される燃料圧力(実コモンレール圧)を検出するようにしているが、燃料圧力センサをサプライポンプ4のプランジャ室(加圧室)からインジェクタ3内の燃料通路までの間の燃料配管等に取り付けて、サプライポンプ4の加圧室より吐出された燃料圧力、あるいはエンジン1の各気筒の燃焼室内に噴射供給される燃料噴射圧力を検出するようにしても良い。
【0081】
本実施形態では、サプライポンプ4のプランジャ室(加圧室)内に吸入される燃料の吸入量を変更(調整)する吸入調量弁(吸入量調整用電磁弁)5を設けた例を説明したが、サプライポンプ4のプランジャ室(加圧室)からコモンレール2への燃料の吐出量を変更(調整)する吐出量調整用電磁弁を設けても良い。
【0082】
本実施形態では、弁開度がその電磁弁への通電を停止した時に全開となるノーマリオープンタイプ(常開型)の吸入調量弁(吸入量調整用電磁弁)5を用いたが、弁開度がその電磁弁への通電を停止した時に全開となるノーマリオープンタイプ(常開型)の吐出量調整用電磁弁を用いても良い。また、吐出量調整用電磁弁または吸入量調整用電磁弁の弁開度がその電磁弁を通電した時に全開となるノーマリクローズタイプ(常閉型)の電磁弁を用いても良い。
【0083】
本実施形態では、出力特性記憶手段として、学習した内容をイグニッションスイッチのオフ(IG・OFF)時にも記憶するためのスタンバイRAMを用いたが、スタンバイRAMを用いずに、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ等の不揮発性メモリ、DVD−ROM、CD−ROM、あるいはフレキシブル・ディスクのような他の記憶媒体を用いても良い。この場合にも、IG・OFF時にバッテリからのECU電源の供給が停止しても学習した内容は保存される。
【0084】
本実施形態では、コモンレール圧センサ35の出力特性の学習後パターンを、エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値(Vming)とコモンレール圧センサ35の出力特性上の通常使用する範囲の最大値(Vmax)との2点を通る右上がりの出力特性としているが、エンジン停止時の大気圧相当時の学習値(Vming)とコモンレール圧センサ35の出力特性上の通常使用する範囲内の高圧側狙い値(Vmax<Vx<Vmax+α,αは公差)との2点を通る右上がりの出力特性とし、高圧側で実コモンレール圧が目標値を上回ることがないようにしても良い。また、コモンレール圧センサ35の出力特性の学習後パターンを、エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値(Vming)とコモンレール圧センサ35の出力特性上の通常使用する範囲内で高圧側狙い値上側の値との2点を通るように傾きを変更した学習補正後の出力特性としても良い。
【0085】
なお、エンジン始動性の向上のために、吸入調量弁5のソレノイドコイルには、エンジンキーを車室内のキーシリンダに差し込んでエンジンキーをOFF位置からIG位置まで回すと同時に、すなわち、イグニッションスイッチをオン(IG・ON)すると同時に通電が開始されるように構成しても良い。この場合には、エンジン1を始動させるスタータへの通電時には、即エンジン1の始動に必要な燃料量や燃料噴射圧力が得られるような弁開度に吸入調量弁5のバルブを設定することができる。また、リモコン・エンジン・スタータシステムを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール式燃料噴射装置の全体構造を示した概略図である(第1実施形態)。
【図2】コモンレール圧センサの出力特性の基本パターンと学習後パターンの一例を示した特性図である(第1実施形態)。
【図3】コモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図4】コモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図5】コモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図6】コモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したフローチャートである(第2実施形態)。
【図7】コモンレール式燃料噴射装置の制御方法を示したタイミングチャートである(第2実施形態)。
【符号の説明】
1 エンジン
2 コモンレール
3 インジェクタ
4 サプライポンプ(燃料供給ポンプ)
5 吸入調量弁(ポンプ制御弁)
10 ECU(出力特性変更手段、出力特性記憶手段)
35 コモンレール圧センサ(燃料圧力センサ)
Claims (14)
- エンジンにより回転駆動される燃料供給ポンプによってコモンレールに高圧燃料を加圧圧送して蓄圧すると共に、前記コモンレール内に蓄圧した高圧燃料をエンジンの各気筒毎に搭載された各気筒のインジェクタに分配供給し、前記各気筒のインジェクタからエンジンの各気筒へ高圧燃料を噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置において、
(a)前記コモンレールに蓄圧された燃料圧力に対応した出力特性を有する燃料圧力センサと、
(b)この燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを記憶する出力特性記憶手段と、
(c)エンジン停止後の燃料圧力が大気圧まで低下して以降、あるいはエンジン停止後に所定時間が経過して以降、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上となって以降のエンジン始動時に、前記燃料圧力センサの検出値を計測して、その計測した検出値を大気圧相当時の学習値として取り込み、
前記出力特性記憶手段に記憶された前記燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、前記エンジン始動時に取り込んだ前記大気圧相当時の学習値を使用した出力特性を有する学習後パターンに変更する出力特性変更手段と
を備えたことを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記エンジン停止後に所定時間が経過して以降のエンジン始動時に、前記燃料圧力センサの検出値が前記大気圧相当時のレベル範囲内にあるか否かを判定するエンジン制御ユニットを備え、
前記エンジン制御ユニットは、前記燃料圧力センサの検出値が前記大気圧相当時のレベル範囲内に無い場合に、前記燃料圧力センサが異常であると判断することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記インジェクタの噴射量または噴射期間および噴射時期を制御すると共に、前記燃料供給ポンプの吐出量または圧送量を制御するためのエンジン制御ユニットを備え、
前記エンジン制御ユニットは、イグニッションスイッチがオンしているか否かを判定するイグニッション判定手段、
スタータへの通電が停止しているか否かを判定するスタータ判定手段、
およびエンジン停止後の燃料圧力が大気圧まで低下して以降、あるいはエンジン停止後に所定時間が経過して以降、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上となって以降となったら学習許可フラグを設定する学習許可フラグ設定手段を有し、
前記エンジン始動時とは、前記イグニッションスイッチがオンで、且つ前記スタータへの通電が停止しており、且つ前記学習許可フラグがオンの時であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項3に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記出力特性変更手段は、エンジン運転中に、前記燃料圧力センサの検出値を前記学習後パターンに対応した学習値に変換して取り込み、その学習変更後の検出値を以降の制御に反映させることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項4に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記以降の制御とは、前記燃料圧力センサによって検出される実コモンレール圧が、エンジンの運転条件または運転状態に応じて決定される目標コモンレール圧と略一致するように、前記燃料供給ポンプの吐出量をフィードバック制御する制御であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1、請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記燃料圧力センサの出力特性の基本パターンは、エンジン停止時の大気圧相当時の初期値と前記燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値との2点を通る学習補正前の出力特性であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項6に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記燃料圧力センサの出力特性の学習後パターンは、前記燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、前記エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値と前記燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値との2点を通るように傾きを変更した学習補正後の出力特性であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項6に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記燃料圧力センサの出力特性の学習後パターンは、前記エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値と前記燃料圧力センサの通常使用する範囲内で高圧側狙い値上側の値との2点を通るように傾きを変更した学習補正後の出力特性であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - エンジンにより回転駆動される燃料供給ポンプによってコモンレールに高圧燃料を加圧圧送して蓄圧すると共に、前記コモンレール内に蓄圧した高圧燃料をエンジンの各気筒毎に搭載された各気筒のインジェクタに分配供給し、前記各気筒のインジェクタからエンジンの各気筒へ高圧燃料を噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置において、
(a)前記コモンレールに蓄圧された燃料圧力に対応した出力特性を有する燃料圧力センサと、
(b)この燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを記憶する出力特性記憶手段と、 (c)エンジン停止後に燃料圧力が大気圧まで低下した時、あるいはエンジン停止後に所定時間が経過した時、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上の時に、前記燃料圧力センサの検出値を計測して、その計測した検出値を大気圧相当時の学習値として取り込み、
前記出力特性記憶手段に記憶された前記燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、エンジン停止時に取り込んだ前記大気圧相当時の学習値を使用した出力特性を有する学習後パターンに変更する出力特性変更手段と
を備え、
前記出力特性変更手段は、エンジン運転中に、前記燃料圧力センサの検出値を前記学習後パターンに対応した学習値に変換して取り込み、その学習変更後の検出値を以降の制御に反映させ、
前記以降の制御とは、前記燃料圧力センサによって検出される実コモンレール圧が、エンジンの運転条件または運転状態に応じて決定される目標コモンレール圧と略一致するように、前記燃料供給ポンプの吐出量をフィードバック制御する制御であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項9に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記エンジン停止後に所定時間が経過した場合、前記燃料圧力センサの検出値が前記大気圧相当時のレベル範囲内にあるか否かを判定するエンジン制御ユニットを備え、
前記エンジン制御ユニットは、前記燃料圧力センサの検出値が前記大気圧相当時のレベル範囲内に無い場合に、前記燃料圧力センサが異常であると判断することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - エンジンにより回転駆動される燃料供給ポンプによってコモンレールに高圧燃料を加圧圧送して蓄圧すると共に、前記コモンレール内に蓄圧した高圧燃料をエンジンの各気筒毎に搭載された各気筒のインジェクタに分配供給し、前記各気筒のインジェクタからエンジンの各気筒へ高圧燃料を噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置において、
(a)前記コモンレールに蓄圧された燃料圧力に対応した出力特性を有する燃料圧力センサと、
(b)この燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを記憶する出力特性記憶手段と、
(c)エンジン停止後に燃料圧力が大気圧まで低下した時、あるいはエンジン停止後に所定時間が経過した時、あるいはエンジン停止後のエンジン冷却水温または吸気温または燃料温度またはエンジン油温の低下量が所定値以上の時に、前記燃料圧力センサの検出値を計測して、その計測した検出値を大気圧相当時の学習値として取り込み、
前記出力特性記憶手段に記憶された前記燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、エンジン停止時に取り込んだ前記大気圧相当時の学習値を使用した出力特性を有する学習後パターンに変更する出力特性変更手段と
を備え、
前記燃料圧力センサの出力特性の基本パターンは、エンジン停止時の大気圧相当時の初期値と前記燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値との2点を通る学習補正前の出力特性であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項11に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記燃料圧力センサの出力特性の学習後パターンは、前記燃料圧力センサの出力特性の基本パターンを、前記エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値と前記燃料圧力センサの通常使用する範囲内の高圧側狙い値との2点を通るように傾きを変更した学習補正後の出力特性であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項11に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記燃料圧力センサの出力特性の学習後パターンは、前記エンジン停止時に取り込んだ大気圧相当時の学習値と前記燃料圧力センサの通常使用する範囲内で高圧側狙い値上側の値との2点を通るように傾きを変更した学習補正後の出力特性であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項11ないし請求項13のうちのいずれか1つに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記エンジン停止後に所定時間が経過した場合、前記燃料圧力センサの検出値が前記大気圧相当時のレベル範囲内にあるか否かを判定するエンジン制御ユニットを備え、
前記エンジン制御ユニットは、前記燃料圧力センサの検出値が前記大気圧相当時のレベル範囲内に無い場合に、前記燃料圧力センサが異常であると判断することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。
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