JP3785863B2 - 無線通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中継器を備えた無線通信システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の無線通信システムにあっては、無線送信器と無線受信器との間の通信距離を拡大させるために、無線送信器と無線受信器との間に中継器を配置するものが用いられている。このものにあっては、中継器に通信ルート情報(階層情報)を中継器に設けられたディップスイッチ等により予め設定する。
【0003】
図20は無線送信器Tx1又は無線受信器Rx1とコントローラCNTとの間に階層1に設定された中継器Rep1と階層2に設定された中継器Rep2とが存する場合である。図20(a)に示すように、無線送信器Tx1からコントローラCNTに対して無線信号(上り信号)を送信する場合、中継器Rep1は中継器Rep2よりも上位層にあるため、中継器2は自己より上位層又は同階層の中継器Rep1により中継された無線信号は中継しないようになっている。また、図20(b)に示すように、コントローラCNTから無線受信器Rx1に対して無線信号(下り信号)を送信する場合、中継器Rep1及び中継器Rep2はともに無線信号を中継するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のような構成の無線通信システムにあっては、中継器Repの施工時に施工者により手動で通信ルート情報の設定がなされることになるが、この設定は非常に煩雑な作業であるため、設定誤りを生じる恐れがあるという問題点を有していた。また、通信ルート情報は必ずしも電波環境に基づいて設定されておらず、通信信頼性の点で最適化がなされていないという問題点を有していた。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、自動的に最適な通信ルート情報を設定することが可能になる無線通信システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、無線送信器から無線受信器に対して送信される無線データを中継する中継器を備えた無線通信システムにおいて、前記無線送信器は、通信経路を確立するための通信チェックコマンド信号を送信する機能を備え、前記中継器は、受信した無線データが通信チェックコマンド信号である場合、そのキャリアレベル値と前記中継器に固有の機器番号を付して他の中継器に送信する機能と、受信した他の中継器中継した通信チェックコマンド信号のキャリアレベル値と自らが中継した通信チェックコマンド信号のキャリアレベル値を比較し、自らが中継した通信チェックコマンド信号のキャリアレベル値が高い場合に限り中継するように設定する機能と、中継するように設定されていない場合、通信チェックコマンド信号以外の無線信号を受信しても中継しない機能とを備えるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムを図1乃至図9に基づき、第2の実施の形態に係る無線通信システムを図10乃至図19に基づき詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。図1において、Txは無線送信器を示し、Rxは無線受信器を示している。また、Repは無線送信器Txと無線受信器Rxとの間に配置される中継器を示している。
【0012】
中継器Repは、図2に示すように、無線データを送信する送信部Re1と、無線データを受信する受信部Re2と、通信ルート情報を記憶する通信テーブル記憶部Re3と、これらを制御する制御部MPUreとを備えてなる。また、無線送信器Txは、図3に示すように、無線データを送信する送信部T1と、通信チェックコマンド信号を送信部T1から出力させる登録ボタンT2と、これらを制御するMPUtとを備えてなる。さらに、無線受信器Rxは、図4に示すように、無線データを受信する受信部R1と、制御部MPUrとを備えてなる。
【0013】
なお、中継器Repにあっては、出荷時の通信ルート情報としてデフォルト値が設定されており、受信した無線データは全て中継するようになっている。また、中継器Repは自らが中継した無線データを記憶し、同じ無線信号は再度中継しないようになっている。
【0014】
上述した構成を有する無線通信システムにおいて、最適な通信ルート情報を設定する手続きについて説明する。まず、無線送信器Tx1の登録ボタンT2を操作すると、制御部MPUtは送信部T1から通信チェックコマンド信号を送信させる。無線送信器Tx1から送信された通信チェックコマンド信号を受信した中継器Rep1は(図9のS12参照)、無線送信器Tx1のキャリアレベル値R11を記憶するとともに、無線送信器Tx1のキャリアレベル値R11と自己の機器に固有の機器番号Rep1とを付加し、図5(a)に示すような通信チェックコマンド信号を転送する(図9のS14参照)。同様に、無線送信器Tx1から送信された通信チェックコマンド信号を受信した中継器Rep2も、キャリアレベル値R12を記憶するとともに、キャリアレベル値R12と機器番号Rep2とを付加し、図5(b)に示すような通信チェックコマンド信号を転送する(図9のS14参照)。
【0015】
中継器Rep1にあっては、中継された通信チェックコマンド信号を受信すると(図9のS12参照)、受信した通信チェックコマンド信号に付加されているキャリアレベル値R12と先に記憶した無線送信器Tx1のキャリアレベル値R11とを比較する(図9のS15参照)。同様に、中継器Rep2においてもキャリアレベル値の比較を行う(図9のS15参照)。
【0016】
今、図6に示すように、キャリアレベル値R11がキャリアレベル値R12よりも大きいとすると、中継器Rep1にあっては、無線送信器Tx1の無線データを中継するように通信ルート情報が設定され、通信テーブル記憶部Re3にその旨が記憶される。また、中継器Rep2にあっては、無線送信器Tx1の無線データを中継しないように通信テーブル記憶部Re3にその旨が記憶される(図9のS16参照)。図7は上述した手続きにより設定された通信ルート情報であり、「○」はその機器から送信された無線データは中継することを示し、「×」はその機器から送信された無線データは中継しないことを示している。
【0017】
上述した設定がなされた無線通信システムにあっては、図8に示すように、実際に無線送信器Tx1から無線データが送信されると(図9のS11参照)、中継器Rep1は通信テーブル記憶部Re3に記憶される通信ルート情報をチェックし(図9のS13参照)、そこに記憶されている通信ルート情報に従って無線データの中継を行う(図9のS17参照)。また、中継器Rep2は通信テーブル記憶部Re3に記憶される通信ルート情報により無線送信器Tx1からの無線データを受信したとしてもその中継を行わない(図9のS13参照)。
【0018】
本実施の形態に係る無線通信システムにあっては、実際に通信チェックコマンド信号の送受信を通じて得られたキャリアレベル値に基づいて通信ルート情報を決定することができるため、自動的に最適な通信ルート情報を設定することが可能になる。
【0019】
なお、本実施の形態にあっては、通信チェックコマンド信号の送信要求の検出を登録ボタンT2の操作により開始していたが、必ずしも手動により信号の送信を開始する必要はない。すなわち、それぞれの機器に振動検知手段を設け、振動検知から一定時間にわたって信号を受信しなかった場合、機器が設置されたと判断する設置検知手段を設け、設置されたことを検知したところで自動的に通信チェックコマンド信号の送信を開始するようにしてもよい。
【0020】
[第2の実施の形態]
図10は第2の実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。図10において、Tx1は無線送信器を示し、Regはルート設定器を示している。また、Repは無線送信器Tx1とルート設定器Regとの間に配置される中継器を示している。
【0021】
ルート設定器Regは、図11に示すように、無線データを送信する送信部Reg1と、無線データを受信する受信部Reg2と、通信ルート情報を記憶する通信テーブル記憶部Reg3と、これらを制御する制御部MPUregとを備えてなる。中継器Repは、図12に示すように、無線データを送信する送信部Re1と、無線データを受信する受信部Re2と、通信ルート情報を記憶する通信テーブル記憶部Re3と、これらを制御する制御部MPUreとを備えてなる。無線送信器Tx1は、図13に示すように、無線データを送信する送信部T1と、通信チェックコマンド信号を送信部T1から出力させる登録ボタンT2と、これらを制御するMPUtとを備えてなる。
【0022】
なお、中継器Repにあっては、出荷時の通信ルート情報としてデフォルト値が設定されており、受信した無線データは全て中継するようになっている。また、中継器Repは自らが中継した無線データを記憶し、同じ無線信号は再度中継しないようになっている。
【0023】
なお、無線送信器Tx1から直接ルート設定器Regに無線データを送信する経路をルート1、無線送信器Tx1から中継器Rep1を介してルート設定器Regに無線データを送信する経路をルート2、無線送信器Tx1から中継器Rep2及び中継器Rep1を介してルート設定器Regに無線データを送信する経路をルート3、無線送信器Tx1から中継器Rep2を介してルート設定器Regに無線データを送信する経路をルート4と呼ぶ。
【0024】
上述した構成を有する無線通信システムにおいて、最適な通信ルート情報を設定する手続きについて説明する。まず、無線送信器Tx1の登録ボタンT2を操作すると、制御部MPUtは送信部T1から通信チェックコマンド信号を送信させる。図15のルート2に示すように、無線送信器Tx1から送信された通信チェックコマンド信号を受信した中継器Rep1は(図19のS32参照)、無線送信器Tx1のキャリアレベル値R02を記憶するとともに、無線送信器Tx1のキャリアレベル値R02と自己の機器に固有の機器番号Rep1とを付加して通信チェックコマンド信号を中継する(図19のS33参照)。
【0025】
同様に、図15のルート3又はルート4に示すように、無線送信器Tx1から送信された通信チェックコマンド信号を受信した中継器Rep2も、キャリアレベル値R03を記憶するとともに、キャリアレベル値R03と機器番号Rep2とを付加して通信チェックコマンド信号を中継する(図19のS33参照)。
【0026】
中継器Rep1にあっては、図15のルート3に示すように、中継器Rep2において中継された通信チェックコマンド信号を受信すると(図19のS32参照)、受信した通信チェックコマンド信号のキャリアレベル値R13を記憶するとともに、キャリアレベル値R13と機器番号Rep1とを付加して通信チェックコマンド信号をさらに中継する(図19のS33参照)。
【0027】
ルート設定器Regは、図15のルート1に示すように、無線送信器Tx1から送信される通信チェックコマンド信号を受信すると(図18のS20参照)、通信チェックコマンドタイマー(図示せず)をリスタートさせ、通信チェックコマンド信号のデータ(キャリアレベル値)を記憶する(図18のS21参照)。なお、タイムアップ時間は、全ルート1〜4により送信される通信チェックコマンド信号を受信するのに必要十分な時間が設定されており、ルート設定器Regは他のルート2〜4により送信される通信チェックコマンド信号を受信すると、同様に通信チェックコマンド信号のデータ(キャリアレベル値や中継した中継器Repの機器番号)を記憶する(図18のS21参照)。なお、図14はルート設定器Regにおいてルート1〜4を介して受信される通信チェックコマンド信号である。
【0028】
次に、ルート設定器Regは、通信チェックコマンドタイマーがタイムアップすると(図18のS22参照)、通信ルート情報の更新を開始する。通信ルート情報の更新は、ルート設定器Regに近い上位層から順にキャリアレベル値が比較されることによりなされ(図18のS23及びS25参照)、キャリアレベル値の最も大きいルートが採用されることになる。
【0029】
今、図15に示すように、キャリアレベル値は、最上位層においてR12>R14>R01の関係を有しており、中間層においてR13>R02の関係を有しているとすると、この場合最上位層では中継器Rep1を通るルートが採用され、中間層では中継器Rep2を通るルートが採用されることになる(図18のS24参照)。すなわち、この場合にあっては、無線送信器Tx1から送信される無線データはルート3を介して送信されることとなり、中継器Rep1には無線送信器Tx1から直接受信した無線信号を中継しないように通信ルートテーブルReg3の通信ルート情報を更新する(図18のS24参照)。ルート設定器Regは、通信ルート情報の更新が終了すると、各中継器Repに対して通信ルート登録信号を送信する。
【0030】
各中継器Repはルート設定器Regからの通信ルート登録信号を受信すると(図19のS32参照)、自己の通信テーブル記憶部Re3にある通信ルート情報を更新する(図19のS36参照)。図16は上述した手続きにより設定された通信ルート情報であり、「○」はその機器から送信された無線データは中継することを示し、「×」はその機器から送信された無線データは中継しないことを示している。
【0031】
なお、上述した通信ルート情報の更新基準は、キャリアレベル値が大きいルートを選択するというものであるが、その更新基準はこれに限られるものではない。例えば、定められた通信信頼性を確保できるキャリアレベル値の基準値を設け、その基準値以上であれば、中継段数が短いルートを採用するように通信ルート情報の更新基準を設定するようにしてもよい。このような更新基準によれば、ルート設定器Regと無線送信器Tx1との間の通信レスポンスを向上した通信経路を設定することが可能になる。
【0032】
また、通信経路の確立を開始する条件として、通信チェックコマンドタイマーが所定時間経過するか否かを用いるようにしているが、その更新開始の条件はこれに限られるものではない。例えば、ルート設定器Regに施工モード/運用モードを切り替えるスイッチを設け、施工時に施工モードに設定されているスイッチが運用モードに切り替えられた際に最適な通信経路の確立を行うようにしてもよい。
【0033】
上述した設定がなされた無線通信システムにあっては、図17に示すように、実際に無線送信器Tx1から無線データが送信されると(図19のS32参照)、中継器Rep1は通信テーブル記憶部Re3の通信ルート情報をチェックし(図19のS34参照)、そこに記憶されている通信ルート情報に従って無線データの中継を行わない。また、中継器Rep2は通信テーブル記憶部Re3に記憶される通信ルート情報により無線送信器Tx1からの無線データを受信すると、無線データの中継を行う(図19のS35参照)。中継器Rep1は中継器Rep2から無線データを受信すると、通信テーブル記憶部Re3をチェックし(図19のS34参照)、無線データの中継を行う(図19のS35参照)。
【0034】
本実施の形態に係る無線通信システムにあっては、実際に通信チェックコマンド信号の送受信を通じて得られたキャリアレベル値に基づいて通信ルート情報を決定することができるため、自動的に最適な通信ルート情報を設定することが可能になる。
【0035】
なお、本実施の形態にあっては、通信チェックコマンド信号の送信要求の検出を登録ボタンT2の操作により開始していたが、必ずしも手動により信号の送信を開始する必要はない。すなわち、それぞれの機器に振動検知手段を設け、振動検知から一定時間にわたって信号を受信しなかった場合、機器が設置されたと判断する設置検知手段を設け、設置されたことを検知したところで自動的に通信チェックコマンド信号の送信を開始するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、通信チェックコマンド信号を送信し、そのキャリアレベル値に基づいて判断された経路を利用して無線データの送受信をさせることができるため、自動的に最適な通信ルート情報を設定することが可能になる無線通信システムを提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る中継器の概略構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る無線送信器の概略構成図である。
【図4】第1の実施の形態に係る無線受信器の概略構成図である。
【図5】第1の実施の形態に係る通信チェックコマンド信号の説明図であり、(a)は中継器Rep1から中継器Rep2に送信された通信チェックコマンド信号であり、(b)は中継器Rep2から中継器Rep1に送信された通信チェックコマンド信号である。
【図6】第1の実施の形態に係る通信経路の確立過程を示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態に係るルート設定後の通信ルート情報を説明する説明図であり、(a)は中継器Rep1の通信ルート情報であり、(b)は中継器Rep2の通信ルート情報である。
【図8】第1の実施の形態に係る運用時の通信経路を示す説明図である。
【図9】第1の実施の形態に係る中継器の動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図11】第2の実施の形態に係るルート設定器の概略構成図である。
【図12】第2の実施の形態に係る中継器の概略構成図である。
【図13】第2の実施の形態に係る無線送信器の概略構成図である。
【図14】第2の実施の形態に係るルート設定器で受信される通信チェックコマンド信号の説明図である。
【図15】第2の実施の形態に係る通信経路の確立過程を示す説明図である。
【図16】第2の実施の形態に係るルート設定後の通信ルート情報を説明する説明図であり、(a)はルート設定器の通信ルート情報であり、(b)は中継器Rep1の通信ルート情報であり、(c)は中継器Rep2の通信ルート情報である。
【図17】第2の実施の形態に係る運用時の通信経路を示す説明図である。
【図18】第2の実施の形態に係るルート設定器の動作を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施の形態に係る中継器の動作を示すフローチャートである。
【図20】従来の無線通信システムの概略構成図である。
【符号の説明】
Rep 中継器
Reg ルート設定器
Rx 無線受信器
Tx 無線送信器

Claims (1)

  1. 無線送信器から無線受信器に対して送信される無線データを中継する中継器を備えた無線通信システムにおいて、
    前記無線送信器は、通信経路を確立するための通信チェックコマンド信号を送信する機能を備え、
    前記中継器は、受信した無線データが通信チェックコマンド信号である場合、そのキャリアレベル値と前記中継器に固有の機器番号を付して他の中継器に送信する機能と、受信した他の中継器中継した通信チェックコマンド信号のキャリアレベル値と自らが中継した通信チェックコマンド信号のキャリアレベル値を比較し、自らが中継した通信チェックコマンド信号のキャリアレベル値が高い場合に限り中継するように設定する機能と、中継するように設定されていない場合、通信チェックコマンド信号以外の無線信号を受信しても中継しない機能とを備えるようにしたことを特徴とする無線通信システム。
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