JP3785158B2 - 爪磨きシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は手足の爪を磨くために使用する爪磨きシートに関し、特には基布の同一表面上に荒磨き層と艶出し層とが隣接して形成された爪磨きシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から爪の表面美粧法としてエナメル塗装が一般に用いられているが、その外にも化粧用品としての爪磨きシートとして、不織布等の支持体に研磨材,ワックス(蝋),油脂等を付着させた商品が市販されている。例えば紙,不織布あるいは発泡樹脂シートによるクッション支持体と、無機質微粉末と着色剤とバインダー成分をなす樹脂とを含有するコーティング剤の塗工層からなる爪磨き樹脂層とを有する積層構成による爪磨きシートにおいて、爪磨き樹脂層中の無機質微粉末の平均粒度と着色剤の色彩とが互いに相違する少なくとも2種類の爪磨きシートの組み合わせからなる爪磨き用シート例が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
更に基布に艶出し層が形成された爪磨き用シートであって、前記艶出し層が艶出し用研磨材と油脂とを含有する艶出し組成物を基布に塗布することにより形成された爪磨き用シート例も提案されている(特許文献2参照)。上記艶出し層は基布の片面に形成され、他面に前記艶出し用研磨材よりも粒径の大きい粗削り用研磨材とバインダー用樹脂とを含有する研磨組成物を塗布することにより研磨層が形成されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3130594号
【特許文献2】
特開2003−9939号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、爪の表面美粧法として一般に用いられているエナメル塗装は、爪の表面が樹脂層で完全に被覆されてしまうため、爪の呼吸障害となるばかりではなく、溶剤を使って塗着したエナメル層を定期的に剥離する作業を必要とし、この作業時に溶剤が爪を犯すことがあって健康的ではないという難点がある。また特許文献1に記載されているように、紙,不織布等を支持体とする爪磨き用シートにおいても、比較的粒度の大きい研磨材で構成された研磨層と、粒度の小さい研磨材やワックス,脂肪酸,油脂を付着した艶出し層とが表裏に形成されるか別々のシートに形成されているので、爪磨き作業が煩わしいという課題がある。更に上記粒度の大きい研磨材で構成された研磨層は必要以上に研磨力が強力であり、磨き過ぎによって爪が薄くなったり割れたりする問題がある。
【0006】
そこで本発明は上記の問題点を解決して、基布の同一表面に荒磨き層と艶出し層を隣接して形成することにより、爪磨き作業をスムーズに行えるとともに、基布の裏面に香料及びマイナスイオン放射無機質粉体を含浸させたことによって癒し効果をも持たせた爪磨きシートを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、紙,不織布,布等で構成した基布の同一表面上に、荒磨き層と艶出し層とを隣接して形成し、合成樹脂をバインダーとして、基布上に艶出し材の含有支持体として真珠パウダーを塗工・接着するとともに、艶出し材としてワックス,脂肪酸,油脂から選択された1種又は複数の光沢材を配して艶出し層を形成した爪磨きシートを基本構成としている。基布として、ポリプロピレン,アクリル,ポリエステル等の化学繊維又はパルプ,コットンなどの天然繊維を単独あるいは混合して抄造した素材を用いる。上記基布の目付量は30〜120g/m2,厚みは0.1〜1.0mmとする。
【0008】
合成樹脂をバインダーとして、基布上に比較的粒度が大きい無機質微粉末を研磨材として塗工・接着して前記荒磨き層を形成する。無機質微粉末として、粒径10μm〜30μmのアルミナ,珪藻土,珪石,酸化鉄を用いる。
【0009】
更に、艶出し材として、天然に由来するカルナバワックス,オリーブ油,サザンカ油,ひまわり油,スクワラン,スイートアルモンド油から選択された1種又は複数の光沢材を用いることもできる。また、無機質微粉末及び真珠パウダーの接着剤として、酢酸ビニル,アクリル,ウレタン,スチレン,エチレン等の柔軟な合成樹脂を使用する。
【0010】
更に本発明では、上記により構成した爪磨きシートの裏面に、マイクロカプセルに閉じこめた香料及びマイナスイオン放射無機質粉体を含浸させた構成を提供する。
【0011】
かかる爪磨きシートによれば、基布の同一表面に荒磨き層と艶出し層とが隣接して形成されているため、利用者の爪磨き作業がスムーズに行えるとともに、基布の裏面に含浸された香料及びマイナスイオン放射無機質粉体により癒し効果が高められるという作用が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明にかかる爪磨きシートの実施形態を説明する。本発明は紙,不織布,布等で構成した基布の同一表面上に、荒磨き層と艶出し層とを隣接して形成した爪磨きシートを基本構成とするものである。
【0013】
図1は本発明による爪磨きシート1の一実施例を示す平面図であり、該爪磨きシート1の基布として紙,不織布,布等が用いられている。そして基布の同一表面上に、荒磨き層1aと艶出し層1bとが隣接して形成されていることが本発明の大きな特徴となっている。
【0014】
爪磨きシート1の基布としては、柔軟性があって適度にポーラスで耐摩耗性を有する素材を用いる。例えばポリプロピレン,アクリル,ポリエステル等の化学繊維又はパルプ,コットンなどの天然繊維を単独あるいは混合して抄造した素材が最適である。基布の目付量としては30〜120g/m2,厚みは0.1〜1.0mm程度が好ましい結果が得られる。
【0015】
荒磨き層1aは、合成樹脂をバインダーとして基布上に研磨材、例えば比較的粒度が大きい無機質微粉末を塗工・接着して形成される。無機質微粉末としてはアルミナ,珪藻土,珪石,酸化鉄等が採用可能であり、粒径は10μm〜30μm程度が適当である。無機質微粉末の接着剤としては、酢酸ビニル,アクリル,ウレタン,スチレン,エチレン等の比較的柔軟な合成樹脂であれば何れのものでも使用することができる。
【0016】
荒磨き層1aに使用する無機質微粉末の粒径が10μm未満では、使用時に爪の筋などの研磨に時間がかかり、逆に粒径が30μmを超えると爪に傷が付いて艶出し効果が薄れる問題が発生するので、該無機質微粉末の粒径は10μm〜30μmとする。
【0017】
他方の艶出し層1bは、合成樹脂をバインダーとして、基布上に艶出し材の含有支持体として真珠パウダーを塗工・接着し、艶出し材としてワックス,脂肪酸,油脂から選択された1種又は複数の光沢材を配して形成される。真珠パウダーの接着剤としては荒磨き層1aの無機質微粉末の接着剤である酢酸ビニル,アクリル,ウレタン,スチレン,エチレン等の合成樹脂が使用可能である。
【0018】
更に本発明の他の特徴として、爪磨きシート1を構成する基布の裏面にマイクロカプセルに閉じこめた香料を含浸させるか、基布の裏面にトルマリン,炭等のマイナスイオン放射無機質粉体を含浸させてある。
【0019】
本発明の爪磨きシートは、艶出し層1bの艶出し材の含有支持体として各種有機、無機の微粉末について試作検討した結果、真珠パウダーが特に優れた機能を有するという知見を得た。真珠パウダーは成分内容が複雑であり、主要成分は炭酸カルシウム(CaCO3)であって80.82〜94.70%を占めている。その他、炭酸マグネシウム,酸化ケイ素,リン酸カルシウム,酸化アルミニウム,酸化鉄などの無機物であり、全部で22種類以上の無機質と、10数種類のアミノ酸等有機物が含まれた複雑な成分を持った天然素材であり、油脂類の優れた保持作用を有している。この保持作用によって徐々に油脂類が滲み出て、爪の艶出し効果に持続性を持たせることができる。
【0020】
艶出し層1bの艶出し材としては、公知のワックス,脂肪酸,植物油,動物油等から選択された1種又は複数のものを用いることができるが、爪にやさしいカルナバワックス,オリーブ油,サザンカ油,ひまわり油,スクワラン,スイートアルモンド油等の天然に由来するものを使用することが望ましい。バインダーとしては荒磨き層1aの無機質微粉末を接着した各種樹脂を使用することができる。
【0021】
以下に本発明の具体的な実施例1〜実施例7を説明する。
〔実施例1〕
基布としてポリエステル100%の不織布を使用し、バインダーとして酢酸ビニル樹脂100部、溶剤としてメタノール100部、研磨材としてアルミナ(粒径14μm)100部、着色剤として顔料3部を用いて塗液を作成した。この塗液を使用して200μmの製版深度のグラビア印刷手段により荒磨き層1aを構成し、100℃の熱風で乾燥してから基布をロール状に巻き取り、塗布量70g/m2の荒磨き層1aを形成した。
【0022】
〔実施例2〕
基布としてポリエステル100%の不織布を使用し、バインダーとしてウレタン樹脂15部、これの硬化剤3部、溶剤として酢酸エチル45部、研磨材としてアルミナ(粒径12μm)100部、着色剤として顔料2部を混合撹拌して塗液を作成した。この塗液をドクターバー方式で基布としての不織布に塗布し、120℃の熱風で乾燥してからロール状に巻き取り、塗布量180g/m2の荒磨き層1aを形成した。
【0023】
〔実施例3〕
基布としてポリエステル100%の不織布を使用し、バインダーとしてウレタン樹脂・塩ビ酢ビ共重合体50部、トルエン50部、研磨材としてアルミナ(粒径12μm)50部、アルミナ(粒径14μm)50部、着色剤として顔料3部を混合撹拌して塗液を作成した。この塗液を深度200μmのグラビア印刷手段により基布としての不織布に印刷し、乾燥してからロール状に巻き取り、塗布量80g/m2の荒磨き層1aを形成した。
【0024】
〔実施例4〕
基布としてポリエステル100%の不織布を使用し、バインダーとしてウレタン樹脂・塩ビ酢ビ共重合体250部、トルエン25部、艶出し材としてカルナバワックス15部、スイートアルモンド油50部、ステアリン酸13部、艶出し材の含有支持体として真珠パウダー120部、着色剤として顔料5部を混合撹拌し、このコーティング剤を予め基布に形成した荒磨き層1aと同一表面上に平行して、深度200μmのグラビア印刷手段により印刷し、艶出し層1bを形成してから基布をロール状に巻き取った。
【0025】
〔実施例5〕
基布としてポリエステル100%の不織布を使用し、バインダーとしてウレタン樹脂・塩ビ酢ビ共重合体50部、トルエン100部、艶出し材としてカルナバワックス20部、ステアリン酸10部、ひまわり油40部、スクアラン30部、艶出し材の含有支持体として真珠パウダー150部、着色剤として顔料3部を混合攪拌してコーティング材を得て、ロールコーターにて予め基布に形成した荒磨き層1aと同一表面上に平行して印刷して艶出し層1bを形成してから基布をロール状に巻き取った。
【0026】
〔実施例6〕
基布としてポリエステル100%の不織布を使用し、溶媒として水100部、ラベンダーカプセル香料1部を混合攪拌して塗液とした。そして予め同一表面上に荒磨き層1aと艶出し層1bが形成された基布の裏面に前記塗液をグラビア印刷方式を用いて製版深度30μm印刷し、100℃の熱風で乾燥してからロール状に巻き取った。かかる加工を施した爪磨きシート1は、使用時にマイクロカプセルが爪を磨く圧力で破壊され、爽やかな香りを放散する。
【0027】
〔実施例7〕
基布としてポリエステル100%の不織布を使用し、溶媒として水100部、バインダーとしてポリビニルアルコール5部、トルマリン30部を均一に混合攪拌してコーティング剤を調製し、予め荒磨き層1aと艶出し層1bが同一表面に形成された基布の裏面に、製版深度60μmのグラビア印刷によりマイナスイオン放射層を形成し、コーティング工程の中で所定の寸法にシートカットする。
【0028】
上記各実施例により得られた爪磨きシート1は、基布の同一表面上に荒磨き層1aと艶出し層1bとが隣接して形成されていて、基布の裏面には香料,マイナスイオン放射物質がコーティングされており、裁断機を用いて実用に便利なサイズである70mm×90mmのサイズに裁断された爪磨きシートとしての製品を得た。
【0029】
本発明では、前記により荒磨き層1aと艶出し層1bを形成した基布の裏面に香料を含浸したことが特徴の一つとなっている。香料は熱風乾燥時に放散してしまうので、予めマイクロカプセルに閉じこめたものを使用することによって研磨作業の圧力でカプセルが破損し、香りを徐々に放散して使用時の癒し効果を高めることができる。香りとしてはラベンダー,ローズ,レモン,ライム等の植物に由来するものでも良く、メントールのように刺激性のあるものでも良い。
【0030】
更に本発明では、荒磨き層1aと艶出し層1bを形成した基布の裏面にトルマリン,炭などのマイナスイオンを放射する無機質粉体を含浸したことが特徴の一つとなっている。トルマリンは別名電気石と呼ばれ、永久電極になり身体に良いマイナスイオンを発生させることができる。また、竹炭や備長炭等にもマイナスイオンが発生することが知られており、近時血行促進,痛み,こり,緊張緩和等の効果によって多方面で活用されている。本発明にかかる爪磨きシート1の裏面にマイナスイオン放射層を構成することで、利用者の爪磨き作業を通して癒し効果を期待することができる。
【0031】
基布の裏面に含浸させる香料とマイナスイオン放射の無機質粉体は、両者を混合してもそれぞれの効果を妨げるものではないので、混合によって両方の機能を同時に爪磨きシート1に付加することも可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の爪磨きシートは基布の同一表面上に荒磨き層と艶出し層が隣接して形成されているので、利用者の爪磨き作業をスムーズに且つ効果的に行うことができて、従来の煩わしい爪磨き作業を解消することができる。更に基布の裏面にマイクロカプセルに封入された香料と、マイナスイオン放射無機質粉体を塗布したことにより、爪磨き作業中にラベンダー等の香りが放散されたりマイナスイオンが放射されて、癒し効果をも期待することができる。また、爪磨きシートはノベルティ商品としても広く利用されているため、基布の裏面に宣伝文等が印刷できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図。
【符号の説明】
1…爪磨きシート
1a…荒磨き層
1b…艶出し層
整理番号 P3634
Claims (10)
- 紙,不織布,布等で構成した基布の同一表面上に、荒磨き層と艶出し層とを隣接して形成し、合成樹脂をバインダーとして、基布上に艶出し材の含有支持体として真珠パウダーを塗工・接着するとともに、艶出し材としてワックス,脂肪酸,油脂から選択された1種又は複数の光沢材を配して艶出し層を形成したことを特徴とする爪磨きシート。
- 基布として、ポリプロピレン,アクリル,ポリエステル等の化学繊維又はパルプ,コットンなどの天然繊維を単独あるいは混合して抄造した素材を用いた請求項1に記載の爪磨きシート。
- 基布の目付量は30〜120g/m2,厚みは0.1〜1.0mmとした請求項1又は2に記載の爪磨きシート。
- 合成樹脂をバインダーとして、基布上に比較的粒度が大きい無機質微粉末を研磨材として塗工・接着して荒磨き層を形成した請求項1,2又は3に記載の爪磨きシート。
- 無機質微粉末として、粒径10μm〜30μmのアルミナ,珪藻土,珪石,酸化鉄から選択された1種又は複数を用いた請求項4に記載の爪磨きシート。
- 無機質微粉末の接着剤として、酢酸ビニル,アクリル,ウレタン,スチレン,エチレン等の柔軟な合成樹脂を使用した請求項4又は5に記載の爪磨きシート。
- 艶出し材として、天然に由来するカルナバワックス,オリーブ油,サザンカ油,ひまわり油,スクワラン,スイートアルモンド油から選択された1種又は複数の光沢材を用いて艶出し層を形成した請求項1,2,3,4,5又は6に記載の爪磨きシート。
- 真珠パウダーの接着剤として、酢酸ビニル,アクリル,ウレタン,スチレン,エチレン等の柔軟な合成樹脂を使用した請求項1,2,3,4,5,6又は7に記載の爪磨きシート。
- 基布の裏面にマイクロカプセルに閉じこめた香料を含浸させた請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の爪磨きシート。
- 基布の裏面にトルマリン,炭等のマイナスイオン放射無機質粉体を含浸させた請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の爪磨きシート。
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