JP3784963B2 - 橋脚洗掘監視装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は橋脚周囲における河床洗掘現象を監視する橋脚洗掘監視装置に関し、水の濁りや水中の浮遊物等に影響を受けずに橋脚周囲における河床土の洗掘状態を正確に監視できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から鉄橋等の安全性確認の必要性から橋脚周囲における河床土の洗掘を、光学、超音波等を利用して検知するセンシング方式が試みられているが、センシング機器が土中及び濁水流中で使用されるものであり、このような厳しい使用条件により安全性の確認を確実に監視できる装置は未だ開発、実用化されていないのが実情である。
【0003】
従来、橋脚1まわりの河床土4の洗掘状態を、発信器から光又は超音波を発信し、発信器でその反射波を受信し、河床土までの距離を算出して河床土の洗掘状態を監視しようとの試みもなされたがこのような方式は、次の理由で実用化されなかった。
【0004】
1)河床土の洗掘は主に河川の増水時、流速が速くなったことで発生する。この場合、河水は濁流となり、又、上流からの浮遊物も多量であり、光や超音波はこれらの異物から反射して河床土まで到達しなく検知不能である。
【0005】
2)光や超音波が仮に河床土まで到達したとしても、洗掘される河床土の表層はスラリ状であって境界が明確でなく、従って、光や超音波の反射率も低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、橋脚洗掘監視装置は、河川増水時の河床土の状態を早期に検知して、橋脚の安全性を確認することにある。従って増水、増速流、濁水流時にも確実に監視できることが望まれる。
【0007】
また、誤検知による不正確な判断で橋梁の使用停止(交通遮断)となった場合には、社会的、経済的に大きな被害が発生するため、その判定は迅速、確実でなければならない。
【0008】
そこで本発明は、河川の濁流や浮遊物があっても、それらに影響されずに、橋脚周囲の河床土の洗掘状態を正確に、かつ定量的に検知でき、構造が簡単で保守が容易な高信頼性を有する橋脚洗掘監視装置を提供することを課題としている。
【0009】
また、本発明は、橋脚周囲の振動や水分による影響を受けないように設置したセンサによって、橋脚周囲の河床土の洗掘を正確に、かつ、確実に検知可能な橋脚洗掘監視装置を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、橋脚に近接し同橋脚周囲の河床土に下端部を埋設した検知本体と、同検知本体の長さ方向に互いに間隔を保って、かつ、前記河床土中に埋設される位置に配設されたセンサホルダと、周囲に水密音響絶縁体を介して前記センサホルダに支持された感応板と、同感応板の内側にそれぞれ取付けたAEセンサを有する橋脚洗掘監視装置を提供する。
【0011】
本発明のこの橋脚洗掘監視装置では、橋脚周囲の河床土へ下端部を埋設した検知本体に、長さ方向に互いに間隔を保ってAEセンサを配置し、そのAEセンサが露出されると水流中の土砂や石等の固形物との摩擦で発生する超音波を検知することによって橋脚周囲の河床土の洗掘状態を検知するのである。
【0012】
本発明による橋脚洗掘監視装置では、検知本体にセンサホルダを取付け、そのセンサホルダに対し、周囲に水密音響絶縁体を介して感応板を支持させ、その感応板の内側にAEセンサを取付けてある。
【0013】
このように、AEセンサは、水密状態で、かつ、音響を絶縁して支持された感応板に取付けられているので、河水中にあって周囲の振動に影響を受けず、感応板が受ける超音波を確実にAEセンサに伝えることができる。本発明の橋脚洗掘監視装置によれば、前記した構成により、構造簡単でありながら、橋脚周囲の河床土の洗掘状態を正確に検知することができる。
【0014】
本発明の橋脚洗掘監視装置において検知本体に取付けられるセンサホルダの前面を、検知ホルダの外面より後退された状態にしてセンサホルダを検知本体に取付けた構成にすると、検知本体を河床土中に埋設するときなどにセンサホルダが衝撃を受けたりしてセンサ部に悪影響を及ぼすのを防ぐことができるので好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る橋脚洗掘監視装置の橋脚への設置状態を示す図面である。図において、橋桁1は橋脚2に支持されており、橋脚2は岩盤5上に設置され、周囲は河床土4で支持されている。河床土4の上面には河水3が流れている。
【0016】
10は検知本体であり、例えば金属製のパイプからなり、橋脚2に近接して上下方向に設置され、その下端は河床土4内に埋設し、固定されている。この検知本体10の内部には後述するように超音波を受信するAE(Acoustic Emission )センサが長手方向に間隔を保って複数個取付けられており、その上端は河水3上に位置している。11は信号処理部であり、橋桁1の下面に取付けられている。12は信号ケーブルであり、この信号ケーブル12は検知本体10内部のAEセンサと信号処理部11間を接続し、信号を伝達するものである。
【0017】
図2は上記検知本体10の構造を示す拡大断面図である。なお検知本体10の形状はパイプ状でなく角状であっても良いものである。13は感応部であり、例えば円形状をしており、その周囲には水密音響絶縁体14で検知本体10から音響的に絶縁されて、かつ、水密に取付けられている。この水密音響絶縁体14は、例えばゴム系のOリング等が用いられる。
【0018】
15はAEセンサであり、感応部13に取付けられ、感応部13での河水の流れによる摩擦音や振動による超音波を検出するものである。感応部13とAEセンサ15は、所定の間隔dを保って水密音響絶縁体14を介して検知本体10の長手方向に複数個取付けられており、それぞれ信号ケーブル12で信号処理部11へ接続されている。
【0019】
感応部13は図2に略式で表示してあるが、検知本体10に取付けられた感応部13の具体的構造は、図3の断面図で示すとおりである。図3において、検知本体10には、管外壁を貫いて所定の大きさの穴が形成され、その穴内に中空のセンサホルダ16がねじ込まれて取付けられている。センサホルダ16と検知本体10の穴の間にはシール材25が充填され検知本体10の内部の水密を維持するようにしている。
【0020】
センサホルダ16の中空内には感応板17が嵌め込まれており、センサホルダ16と感応板17の間には3個のOリング18,19,20が嵌入されていて、これらのOリング18,19,20は、本発明にいう水密音響絶縁体を構成していて、感応板17にセンサホルダ16側から音響が伝わらないようにするとともにセンサホルダ16と感応板17の間の水密を保っている。
【0021】
センサホルダ16の内面と感応板17の外面には図に示すように段部が形成され、各Oリングはそれらの段部に保持されている。感応板17の内側は、押えスリーブ21を介してセンサホルダ16にねじ込まれたスリーブ押え22によって押されている。感応板17の内側にAEセンサ15が取付けられ感応板17に伝わる超音波を感知する。なお、図3において23はセンサホルダ16の取付穴であり、24はスリーブ押え22を取付けるときに使う治具穴である。
【0022】
感応板17の前面は、検知本体10及びセンサホルダ16の前面より僅か後退された状態で保持されていて、検知本体10を河床土中に埋めるときに感応板17に無理な力が働かないようにしてある。本実施形態による橋脚洗掘監視装置は以上の構成を有しており、これによる河床土の洗掘状態の検知機能を図2によって説明する。
【0023】
図2において検知本体10は岩盤5に固設されると共に河床土4に下部が埋設しており、AEセンサ15は上部に<A>、下部に<B>がそれぞれ取付けられている。河床土4は洗掘の状態によりその表面が変化するが、図ではその変化の状態を(4)−A,(4)−B,(4)−Cで3段階で表しており、(4)−Aが洗掘が発生してない時の正常な河床土のレベル、(4)−Bは洗掘が始まったレベル、(4)−Cが洗掘が進行して危険レベルの状態をそれぞれ示している。
【0024】
上記の状態をAEセンサ15との関係で説明すると、河床土が(4)−Aの状態では、AEセンサ15は2個共河床土内に完全に埋設しており、(4)−Bの状態では上部のAEセンサ<A>15が河床土から露出して河水に接する状態であり、下部のAEセンサ<B>15は依然として完全に埋設されている。(4)−Cの状態になると、上部のAEセンサ<A>15は完全に河床土から露出して河水に完全に接し、下部のAEセンサ<B>15も露出の状態にある。
【0025】
図5は上記に説明した図2に示す河床土の(4)−A,(4)−B,(4)−Cの各レベルでのAEセンサ15の検知信号図であり、(a)では河床土が(4)−Aの状態の時のAEセンサ15の信号で、AEセンサ15は<A>,<B>共に河床土中に埋設しているのでAEセンサ15は<A>,<B>共超音波信号を検知していない。
【0026】
(b)では河床土が(4)−Bの状態であり、上部のAEセンサ<A>15は感応部13を介して河水の流れによる摩擦で発生する超音波を検知し始めるが、下部のAEセンサ<B>15は依然として河床土中にあるので超音波信号は検出していない。
【0027】
(c)では河床土が(4)−Cの状態であり、上部AEセンサ<A>15は、下部AEセンサ<B>15共に感応部13を介して河水の流れによる摩擦によって生ずる超音波を検出している。これらの(a),(b),(c)図に示した各AEセンサ15の超音波信号の検出状態により河床土の洗掘によるレベルが検出できるので、信号処理部11において洗掘状態の判定を行うことができる。
【0028】
次に、上記構成の橋脚洗掘監視装置の作用を更に詳しく説明する。まず、検知本体10にはAEセンサ15が長さ方向に所定の距離dで配置されており、AEセンサ15が取付けられた感応板17は検知本体10の管壁とは水密音響絶縁体14で音響的に絶縁されており、このような検知本体10を図1に示すように河床に打ち込む。
【0029】
AEセンサ15は河床土の洗掘の状況に応じて図2、図5で説明したように感応板17と水流中の固形物(土砂、石等)との摩擦で発生する超音波を検知する。土中内のAEセンサ15は、図5に示す(4)−Aや(4)−Bのセンサ<B>のように摩擦作用が無い状態のため超音波の発生がなく、出力信号は「0」であり、洗掘が始まれば土中のAEセンサ15は徐々に水流にさらされ、このためAEセンサ15は、図5の(4)−Bや(4)−Cに示すように水流中の土砂(いわゆる濁水)による摩擦作用により超音波を発生するようになる。
【0030】
発生信号のレベルは濁水濃度(土砂量が多量)が高く、流速が速い程高出力となる。この発生音響信号は当初土中にあったAEセンサ15が水流にさらされたことを意味し、洗掘開始と判断される。従って、検知本体10を設置する場合、AEセンサ15の位置と土中深さをあらかじめ規定しておくことにより、AEセンサ15の感応信号の発生状態とそのセンサ位置から洗掘の有無と洗掘の深さが判定できる。
【0031】
上記のようにAEセンサ<A>15とAEセンサ<B>15からの検出信号は、電気信号に変換され、信号ケーブル12により信号処理部11に導かれ、信号処理部11では洗掘状態を判定する。判定は図5に示すようにAEセンサ15からの検出信号が図5(a)の状態であれば「安全」、図5(b)の状態であれば「警報」、図5(c)の状態であれば「危険警報」と判定し、適宜表示する。
【0032】
次に、図4は、他の実施形態における感応部の構成を示す図3と同様の断面図である。本実施形態は、センサホルダ16と感応板17との間に2個のOリング19,20を配設してある点を除き、他は図1のものと実質同一である。これは構造をより簡単にしてあるが、橋脚の洗掘状態監視作用は前記したと同様に行うことができる。
【0033】
以上説明した実施形態によれば、河水が濁流であったり、浮遊物が多量に存在する状態においても、これらの悪条件にかかわりなく、AEセンサ15を複数個組み込んだ検知本体10を用いることにより、河床土4の洗掘状態が高感度で正確に監視でき、洗掘発生時には警報を出すことができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による橋脚洗掘監視装置は、橋脚に近接し同橋脚周囲の河床土に下端部を埋設した検知本体と、同検知本体の長さ方向に互いに間隔を保って、かつ、前記河床土中に埋設される位置に配設されたセンサホルダと、周囲に水密音響絶縁体を介して前記センサホルダに支持された感応板と、同感応板の内側にそれぞれ取付けたAEセンサを有している。
【0035】
本発明のこの装置によれば、AEセンサを取付けた感応板は水密音響絶縁体を介してセンサホルダに支持されていて、橋脚周囲の河床土中に下端部を埋設しても周囲の音響に影響されずに、内部の水密を保持した状態で橋脚洗掘を確実に検知できる。しかも、本発明による装置は、基本的には検知本体、センサホルダ、感応板、及びAEセンサ等から構成された簡単な構成で保守性も良く、かつ安価である。
【0036】
また、本発明による橋脚洗掘監視装置においてセンサホルダの前面が前記検知本体の外面より後退された状態にして検知本体に取付けた構成としたものでは、検知本体を河床土に埋設するときに感応部を損傷しない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による橋脚洗掘監視装置の構成を示す断面図。
【図2】図1の装置で用いられている検知本体の構造を示す断面図。
【図3】図2における感応部の構造を拡大して示す断面図。
【図4】感応部の他の実施形態を示す図3と同様の断面図。
【図5】図1の橋脚洗掘監視装置による洗掘の検知態様を説明するための検知信号図。
【符号の説明】
1 橋桁
2 橋脚
3 河水
4 河床土
5 岩盤
10 検知本体
11 信号処理部
12 信号ケーブル
13 感応部
14 水密音響絶縁体
15 AEセンサ
16 センサホルダ
17 感応板
18 Oリング
19 〃
20 〃
21 押えスリーブ
22 スリーブ押え
23 取付穴
24 治具穴
25 シール材
【発明の属する技術分野】
本発明は橋脚周囲における河床洗掘現象を監視する橋脚洗掘監視装置に関し、水の濁りや水中の浮遊物等に影響を受けずに橋脚周囲における河床土の洗掘状態を正確に監視できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から鉄橋等の安全性確認の必要性から橋脚周囲における河床土の洗掘を、光学、超音波等を利用して検知するセンシング方式が試みられているが、センシング機器が土中及び濁水流中で使用されるものであり、このような厳しい使用条件により安全性の確認を確実に監視できる装置は未だ開発、実用化されていないのが実情である。
【0003】
従来、橋脚1まわりの河床土4の洗掘状態を、発信器から光又は超音波を発信し、発信器でその反射波を受信し、河床土までの距離を算出して河床土の洗掘状態を監視しようとの試みもなされたがこのような方式は、次の理由で実用化されなかった。
【0004】
1)河床土の洗掘は主に河川の増水時、流速が速くなったことで発生する。この場合、河水は濁流となり、又、上流からの浮遊物も多量であり、光や超音波はこれらの異物から反射して河床土まで到達しなく検知不能である。
【0005】
2)光や超音波が仮に河床土まで到達したとしても、洗掘される河床土の表層はスラリ状であって境界が明確でなく、従って、光や超音波の反射率も低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、橋脚洗掘監視装置は、河川増水時の河床土の状態を早期に検知して、橋脚の安全性を確認することにある。従って増水、増速流、濁水流時にも確実に監視できることが望まれる。
【0007】
また、誤検知による不正確な判断で橋梁の使用停止(交通遮断)となった場合には、社会的、経済的に大きな被害が発生するため、その判定は迅速、確実でなければならない。
【0008】
そこで本発明は、河川の濁流や浮遊物があっても、それらに影響されずに、橋脚周囲の河床土の洗掘状態を正確に、かつ定量的に検知でき、構造が簡単で保守が容易な高信頼性を有する橋脚洗掘監視装置を提供することを課題としている。
【0009】
また、本発明は、橋脚周囲の振動や水分による影響を受けないように設置したセンサによって、橋脚周囲の河床土の洗掘を正確に、かつ、確実に検知可能な橋脚洗掘監視装置を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、橋脚に近接し同橋脚周囲の河床土に下端部を埋設した検知本体と、同検知本体の長さ方向に互いに間隔を保って、かつ、前記河床土中に埋設される位置に配設されたセンサホルダと、周囲に水密音響絶縁体を介して前記センサホルダに支持された感応板と、同感応板の内側にそれぞれ取付けたAEセンサを有する橋脚洗掘監視装置を提供する。
【0011】
本発明のこの橋脚洗掘監視装置では、橋脚周囲の河床土へ下端部を埋設した検知本体に、長さ方向に互いに間隔を保ってAEセンサを配置し、そのAEセンサが露出されると水流中の土砂や石等の固形物との摩擦で発生する超音波を検知することによって橋脚周囲の河床土の洗掘状態を検知するのである。
【0012】
本発明による橋脚洗掘監視装置では、検知本体にセンサホルダを取付け、そのセンサホルダに対し、周囲に水密音響絶縁体を介して感応板を支持させ、その感応板の内側にAEセンサを取付けてある。
【0013】
このように、AEセンサは、水密状態で、かつ、音響を絶縁して支持された感応板に取付けられているので、河水中にあって周囲の振動に影響を受けず、感応板が受ける超音波を確実にAEセンサに伝えることができる。本発明の橋脚洗掘監視装置によれば、前記した構成により、構造簡単でありながら、橋脚周囲の河床土の洗掘状態を正確に検知することができる。
【0014】
本発明の橋脚洗掘監視装置において検知本体に取付けられるセンサホルダの前面を、検知ホルダの外面より後退された状態にしてセンサホルダを検知本体に取付けた構成にすると、検知本体を河床土中に埋設するときなどにセンサホルダが衝撃を受けたりしてセンサ部に悪影響を及ぼすのを防ぐことができるので好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る橋脚洗掘監視装置の橋脚への設置状態を示す図面である。図において、橋桁1は橋脚2に支持されており、橋脚2は岩盤5上に設置され、周囲は河床土4で支持されている。河床土4の上面には河水3が流れている。
【0016】
10は検知本体であり、例えば金属製のパイプからなり、橋脚2に近接して上下方向に設置され、その下端は河床土4内に埋設し、固定されている。この検知本体10の内部には後述するように超音波を受信するAE(Acoustic Emission )センサが長手方向に間隔を保って複数個取付けられており、その上端は河水3上に位置している。11は信号処理部であり、橋桁1の下面に取付けられている。12は信号ケーブルであり、この信号ケーブル12は検知本体10内部のAEセンサと信号処理部11間を接続し、信号を伝達するものである。
【0017】
図2は上記検知本体10の構造を示す拡大断面図である。なお検知本体10の形状はパイプ状でなく角状であっても良いものである。13は感応部であり、例えば円形状をしており、その周囲には水密音響絶縁体14で検知本体10から音響的に絶縁されて、かつ、水密に取付けられている。この水密音響絶縁体14は、例えばゴム系のOリング等が用いられる。
【0018】
15はAEセンサであり、感応部13に取付けられ、感応部13での河水の流れによる摩擦音や振動による超音波を検出するものである。感応部13とAEセンサ15は、所定の間隔dを保って水密音響絶縁体14を介して検知本体10の長手方向に複数個取付けられており、それぞれ信号ケーブル12で信号処理部11へ接続されている。
【0019】
感応部13は図2に略式で表示してあるが、検知本体10に取付けられた感応部13の具体的構造は、図3の断面図で示すとおりである。図3において、検知本体10には、管外壁を貫いて所定の大きさの穴が形成され、その穴内に中空のセンサホルダ16がねじ込まれて取付けられている。センサホルダ16と検知本体10の穴の間にはシール材25が充填され検知本体10の内部の水密を維持するようにしている。
【0020】
センサホルダ16の中空内には感応板17が嵌め込まれており、センサホルダ16と感応板17の間には3個のOリング18,19,20が嵌入されていて、これらのOリング18,19,20は、本発明にいう水密音響絶縁体を構成していて、感応板17にセンサホルダ16側から音響が伝わらないようにするとともにセンサホルダ16と感応板17の間の水密を保っている。
【0021】
センサホルダ16の内面と感応板17の外面には図に示すように段部が形成され、各Oリングはそれらの段部に保持されている。感応板17の内側は、押えスリーブ21を介してセンサホルダ16にねじ込まれたスリーブ押え22によって押されている。感応板17の内側にAEセンサ15が取付けられ感応板17に伝わる超音波を感知する。なお、図3において23はセンサホルダ16の取付穴であり、24はスリーブ押え22を取付けるときに使う治具穴である。
【0022】
感応板17の前面は、検知本体10及びセンサホルダ16の前面より僅か後退された状態で保持されていて、検知本体10を河床土中に埋めるときに感応板17に無理な力が働かないようにしてある。本実施形態による橋脚洗掘監視装置は以上の構成を有しており、これによる河床土の洗掘状態の検知機能を図2によって説明する。
【0023】
図2において検知本体10は岩盤5に固設されると共に河床土4に下部が埋設しており、AEセンサ15は上部に<A>、下部に<B>がそれぞれ取付けられている。河床土4は洗掘の状態によりその表面が変化するが、図ではその変化の状態を(4)−A,(4)−B,(4)−Cで3段階で表しており、(4)−Aが洗掘が発生してない時の正常な河床土のレベル、(4)−Bは洗掘が始まったレベル、(4)−Cが洗掘が進行して危険レベルの状態をそれぞれ示している。
【0024】
上記の状態をAEセンサ15との関係で説明すると、河床土が(4)−Aの状態では、AEセンサ15は2個共河床土内に完全に埋設しており、(4)−Bの状態では上部のAEセンサ<A>15が河床土から露出して河水に接する状態であり、下部のAEセンサ<B>15は依然として完全に埋設されている。(4)−Cの状態になると、上部のAEセンサ<A>15は完全に河床土から露出して河水に完全に接し、下部のAEセンサ<B>15も露出の状態にある。
【0025】
図5は上記に説明した図2に示す河床土の(4)−A,(4)−B,(4)−Cの各レベルでのAEセンサ15の検知信号図であり、(a)では河床土が(4)−Aの状態の時のAEセンサ15の信号で、AEセンサ15は<A>,<B>共に河床土中に埋設しているのでAEセンサ15は<A>,<B>共超音波信号を検知していない。
【0026】
(b)では河床土が(4)−Bの状態であり、上部のAEセンサ<A>15は感応部13を介して河水の流れによる摩擦で発生する超音波を検知し始めるが、下部のAEセンサ<B>15は依然として河床土中にあるので超音波信号は検出していない。
【0027】
(c)では河床土が(4)−Cの状態であり、上部AEセンサ<A>15は、下部AEセンサ<B>15共に感応部13を介して河水の流れによる摩擦によって生ずる超音波を検出している。これらの(a),(b),(c)図に示した各AEセンサ15の超音波信号の検出状態により河床土の洗掘によるレベルが検出できるので、信号処理部11において洗掘状態の判定を行うことができる。
【0028】
次に、上記構成の橋脚洗掘監視装置の作用を更に詳しく説明する。まず、検知本体10にはAEセンサ15が長さ方向に所定の距離dで配置されており、AEセンサ15が取付けられた感応板17は検知本体10の管壁とは水密音響絶縁体14で音響的に絶縁されており、このような検知本体10を図1に示すように河床に打ち込む。
【0029】
AEセンサ15は河床土の洗掘の状況に応じて図2、図5で説明したように感応板17と水流中の固形物(土砂、石等)との摩擦で発生する超音波を検知する。土中内のAEセンサ15は、図5に示す(4)−Aや(4)−Bのセンサ<B>のように摩擦作用が無い状態のため超音波の発生がなく、出力信号は「0」であり、洗掘が始まれば土中のAEセンサ15は徐々に水流にさらされ、このためAEセンサ15は、図5の(4)−Bや(4)−Cに示すように水流中の土砂(いわゆる濁水)による摩擦作用により超音波を発生するようになる。
【0030】
発生信号のレベルは濁水濃度(土砂量が多量)が高く、流速が速い程高出力となる。この発生音響信号は当初土中にあったAEセンサ15が水流にさらされたことを意味し、洗掘開始と判断される。従って、検知本体10を設置する場合、AEセンサ15の位置と土中深さをあらかじめ規定しておくことにより、AEセンサ15の感応信号の発生状態とそのセンサ位置から洗掘の有無と洗掘の深さが判定できる。
【0031】
上記のようにAEセンサ<A>15とAEセンサ<B>15からの検出信号は、電気信号に変換され、信号ケーブル12により信号処理部11に導かれ、信号処理部11では洗掘状態を判定する。判定は図5に示すようにAEセンサ15からの検出信号が図5(a)の状態であれば「安全」、図5(b)の状態であれば「警報」、図5(c)の状態であれば「危険警報」と判定し、適宜表示する。
【0032】
次に、図4は、他の実施形態における感応部の構成を示す図3と同様の断面図である。本実施形態は、センサホルダ16と感応板17との間に2個のOリング19,20を配設してある点を除き、他は図1のものと実質同一である。これは構造をより簡単にしてあるが、橋脚の洗掘状態監視作用は前記したと同様に行うことができる。
【0033】
以上説明した実施形態によれば、河水が濁流であったり、浮遊物が多量に存在する状態においても、これらの悪条件にかかわりなく、AEセンサ15を複数個組み込んだ検知本体10を用いることにより、河床土4の洗掘状態が高感度で正確に監視でき、洗掘発生時には警報を出すことができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による橋脚洗掘監視装置は、橋脚に近接し同橋脚周囲の河床土に下端部を埋設した検知本体と、同検知本体の長さ方向に互いに間隔を保って、かつ、前記河床土中に埋設される位置に配設されたセンサホルダと、周囲に水密音響絶縁体を介して前記センサホルダに支持された感応板と、同感応板の内側にそれぞれ取付けたAEセンサを有している。
【0035】
本発明のこの装置によれば、AEセンサを取付けた感応板は水密音響絶縁体を介してセンサホルダに支持されていて、橋脚周囲の河床土中に下端部を埋設しても周囲の音響に影響されずに、内部の水密を保持した状態で橋脚洗掘を確実に検知できる。しかも、本発明による装置は、基本的には検知本体、センサホルダ、感応板、及びAEセンサ等から構成された簡単な構成で保守性も良く、かつ安価である。
【0036】
また、本発明による橋脚洗掘監視装置においてセンサホルダの前面が前記検知本体の外面より後退された状態にして検知本体に取付けた構成としたものでは、検知本体を河床土に埋設するときに感応部を損傷しない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による橋脚洗掘監視装置の構成を示す断面図。
【図2】図1の装置で用いられている検知本体の構造を示す断面図。
【図3】図2における感応部の構造を拡大して示す断面図。
【図4】感応部の他の実施形態を示す図3と同様の断面図。
【図5】図1の橋脚洗掘監視装置による洗掘の検知態様を説明するための検知信号図。
【符号の説明】
1 橋桁
2 橋脚
3 河水
4 河床土
5 岩盤
10 検知本体
11 信号処理部
12 信号ケーブル
13 感応部
14 水密音響絶縁体
15 AEセンサ
16 センサホルダ
17 感応板
18 Oリング
19 〃
20 〃
21 押えスリーブ
22 スリーブ押え
23 取付穴
24 治具穴
25 シール材
Claims (2)
- 橋脚に近接し同橋脚周囲の河床土に下端部を埋設した検知本体と、同検知本体の長さ方向に互いに間隔を保って、かつ、前記河床土中に埋設される位置に配設されたセンサホルダと、周囲に水密音響絶縁体を介して前記センサホルダに支持された感応板と、同感応板の内側にそれぞれ取付けたAEセンサを有することを特徴とする橋脚洗掘監視装置。
- 前記センサホルダをその前面が前記検知本体の外面より後退された状態にして同検知本体に取付けてなることを特徴とする請求項1に記載の橋脚洗掘監視装置。
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