JP3439113B2 - 橋脚洗掘監視装置 - Google Patents

橋脚洗掘監視装置

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JP3439113B2 JP07752198A JP7752198A JP3439113B2 JP 3439113 B2 JP3439113 B2 JP 3439113B2 JP 07752198 A JP07752198 A JP 07752198A JP 7752198 A JP7752198 A JP 7752198A JP 3439113 B2 JP3439113 B2 JP 3439113B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は橋梁等の構造物の河
床洗掘現象を監視する橋脚洗掘監視装置に関し、水の濁
りや水中の浮遊物等に影響せず、橋脚下の河床土の洗掘
状態を正確に監視できるようにしたものである。 【0002】 【従来の技術】従来から鉄橋等の安全性確認の必要性か
ら鉄橋を管理する鉄道会社、自治体、政府機関、公共公
団等では光学、超音波等を引用したセンシング方式が試
みられているが、センシングの対象物が土及び濁水流中
で使用するものであり、このような厳しい使用条件によ
り安全性の確認を確実に監視できる装置は未だ開発、実
用化されていないのが実情である。従来試みられた監視
方法について図6により説明する。 【0003】図6は従来の橋梁等の監視装置の一例を示
し、図6(a)は橋脚下の河水の河床土が正常な状態、
図6(b)は河床土が異常な状態をそれぞれ示す側面図
である。これら図において、1は橋桁、2はその橋脚で
あり、3は河水、4は河床土、5は岩盤である。このよ
うに橋脚2は岩盤5に下端を固定し、橋桁1を所定の間
隔を支持している。 【0004】6は発信器、7は受信器であり、橋桁1の
下面に取付けられ、下方の河水3の下の河床土4に向け
て発信器6から送信波8、即ち光学式の場合には光波
を、超音波式の場合は超音波を発信し、受信器7により
その反射波9を受信する。 【0005】上記の構成で、橋桁1に設置した発信器6
から河床土4に向けて光又は超音波の送信波8を発信す
る。発信された送信波8は河水3を透過して河床土4の
表面で反射し、その反射波9は受信器7で受信される。
これらの発信波8と受信波9の発信から図示省略の制御
部において受信までの時間差で河床土4までの距離を算
出し、河床土のレベルが正常か否かを調べ、洗掘状態を
監視している。 【0006】今、図6(a)に示すように河床土4が洗
掘されてなく正常な状態である時には、算出した距離も
正常な範囲にあり、図6(b)に示すように河床土4が
洗掘された状態にあると、その算出した距離も長くな
り、ある基準値を越えて長くなると橋脚2周囲の河床土
4が洗掘されて危険な状態であると判断する。このよう
にして河床土4の洗掘状態を検知し、監視することが試
みられていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】前述のように従来の橋
脚1まわりの河床土4の洗掘状態を、発信器6から光又
は超音波を発信し、受信器7でその反射波9を受信し、
河床土4までの距離を算出して河床土4の洗掘状態を監
視しているが、このような方法は、次の理由で実用化さ
れてなかった。 【0008】1)河床土4の洗掘は主に河川の増水時
で、流速が速くなったことで発生する。この場合、河水
は濁流となり、又、上流からの浮遊物も多量であり、光
や超音波はこれらの異物から反射して河床土4まで到達
しなく検知不能である。 【0009】2)又、仮に河床土4まで到達したとして
も洗掘される河床土4の表層はスラリ状であって境界が
明確でなく、従って反射率も低い。 【0010】3)上記1),2)の要因により、この従
来の監視方式は河床土の洗掘監視装置としては不適当で
あると判断され、仲々実用化されなかった。 【0011】一方、橋脚等の監視装置は、1)河川増水
時の河床土の状態を早期に検知して、橋脚の安全性を確
認することにある。従って増水、増速流、濁水流時にも
確実に監視できることが望まれる。 【0012】又、誤検知による不正確な判断で橋梁の使
用停止(交通遮断)となった場合には、社会的、経済的
に大きな被害が発生するため、その判定は迅速、確実で
なければならない。 【0013】そこで本発明は、河川の濁流や浮遊物があ
っても、従来のようにこれらに影響されて洗掘の状態を
検知できないようなことがなく、橋脚等の河床土の洗掘
状態を正確に、かつ定量的に検知でき、構造が簡単で保
守が容易な高信頼性を有する橋脚洗掘監視装置を提供す
ることを課題としてなされたものである。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決するために次の手段を提供する。 【0015】橋脚に近接し同橋脚下周囲の河床土に下端
部を埋設した検知本体と、同検知本体の長さ方向表面で
互いに所定の間隔を有し、かつ河床土に埋設する位置に
配設され、周囲を音響絶縁体により前記検知本体から絶
縁された少くとも2個の感応部と、同感応部にそれぞれ
直結したAEセンサと、同AEセンサが前記感応部から
受信する音の信号を入力し、同各AEセンサの受信する
信号を監視し、同信号の状態から前記河床土の洗掘の程
度を判定する信号処理部とを備えてなることを特徴とす
る橋脚洗掘監視装置。 【0016】本発明の橋脚洗掘監視装置は、検知本体に
少くとも2個のAEセンサを備え、洗掘の発生してない
正常時には、これらAEセンサは土中に埋設されてお
り、この状態ではAEセンサが直結している感応部は水
流による水中の固形物との摩擦がないのでAEセンサの
信号は無く、洗掘が発生し、進行してAEセンサが水中
にさらされるとその感応部は水流中の固形物による摩擦
作用により超音波を発生し、AEセンサがこれを検知
し、この場合にはセンサ部が水流にさらされた状態とな
る。このようなAEセンサからの検知信号の状態によ
り、信号処理部において、洗掘のない安全な状態、洗掘
が始まった状態、洗掘が進行し、危険な状態がそれぞれ
正確に判定することができる。従って従来のように濁水
や浮遊物で検知できないようなことがなく、高感度で正
確な監視ができる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実
施の一形態に係る橋脚洗掘監視装置の橋脚への設置状態
を示す側面図である。図において、従来例と同様に橋桁
1は橋脚2に支持されており、橋脚2は岩盤5上に設置
され、周囲は河床土4で支持されている。河床土4の上
面には河水3が流れている。 【0018】10は検知ユニットであり、橋脚2に近接
して上下方向に設置され、その下端は河床土4内に埋設
し、固定されている。この検知ユニット10の内部には
後述するように超音波を受信するAE(Acoustic Emiss
ion)センサが長手方向に2個取付けられており、その上
端は河水3上に位置している。11は信号処理部であ
り、橋桁1の下面に取付けられている。15は信号ケー
ブルであり、この信号ケーブル15は検知ユニット10
内部のAEセンサと信号処理部11間を接続し、信号を
伝達するものである。 【0019】図2は上記に説明の検知ユニット10の構
造を示す拡大断面図であり、20は検知部本体であり、
金属製のパイプからなっている。なお検知部本体20の
形状はパイプ状でなく角状であっても良いものである。
12は感応部であり、金属製で、例えば円形状をしてお
り、その周囲には音響絶縁体13で検知部本体20から
音響的に絶縁されている。この音響絶縁体は、例えばゴ
ム系のOリング等が用いられる。 【0020】14はAEセンサであり、感応部12に取
付けられ、感応部12での河水の流れによる摩擦音や振
音による超音波を検出するものである。この感応部12
とAEセンサ14は、所定の間隔dを保って音響絶縁体
13を介して検知部本体20の長手方向に2個取付けら
れており、それぞれ信号ケーブル15で信号処理部15
へ接続されている。なお、このAEセンサは2個でなく
てこれよりも多く配置しても良いものである。 【0021】図3は信号の系統図である。図においてA
Eセンサ14と信号処理部11との間は信号ケーブル1
5でそれぞれ接続されており、AEセンサ14にはプリ
アンプ24が一緒に組み込まれている。信号処理部11
ではAEセンサ14からの信号を主増幅器21に入力
し、処理判定部22においてAEセンサ14の検出信号
の状態を後述するように、河床土の洗掘状態が安全であ
るか、危険状態にあるかを判定し、その結果を信号処理
部11が取付けている橋桁1から見やすい場所に設置し
た表示部23に表示する。 【0022】図4は河床土の洗掘の検知状態の説明図で
あり、図において検知ユニット10は岩盤5に固設され
ると共に河床土4に下部が埋設しており、AEセンサ1
4は上部に〈A〉、下部に〈B〉がそれぞれ取付けられ
ている。河床土4は洗掘の状態によりその表面が変化す
るが、図ではその変化の状態を(4)−A,(4)−
B,(4)−Cで3段階で表しており、(4)−Aが洗
掘が発生してない時の正常な河床土のレベル、(4)−
Bは洗掘が始まったレベル、(4)−Cが洗掘が進行し
て危険レベルの状態をそれぞれ示している。 【0023】上記の状態をAEセンサ14との関係で説
明すると、河床土が(4)−Aの状態では、AEセンサ
14は2個共河床土内に完全に埋設しており、(4)−
Bの状態では上部のAEセンサ〈A〉14が河床土から
露出して河水に接する状態であり、下部のAEセンサ
〈B〉14は依然として完全に埋設されている。(4)
−Cの状態になると、上部のAEセンサ〈A〉14は完
全に河床土から露出して河水に完全に接し、下部のAE
センサ〈B〉14も露出の状態にある。 【0024】図5は上記に説明した図4に示す河床土の
(4)−A,(4)−B,(4)−Cの各レベルでのA
Eセンサの検知信号図であり、(a)では河床土が
(4)−Aの状態の時のAEセンサの信号で、AEセン
サ14は〈A〉,〈B〉共に河床土中に埋没しているの
でAEセンサ14は〈A〉,〈B〉共超音波信号を検知
していない。 【0025】(b)では河床土が(4)−Bの状態であ
り、上部のAEセンサ〈A〉14は感応部12を介して
河水の流れによる摩擦で発生する超音波を検知し始める
が、下部のAEセンサ〈B〉14は依然として河床土中
にあるので超音波信号は検出していない。 【0026】(c)では河床土が(4)−Cの状態にあ
り、上部AEセンサ〈A〉14、下部AEセンサ〈B〉
14共感応部12を介して河水の流れによる摩擦によっ
て生ずる超音波を検出している。これらの(a),
(b),(c)図に示した各AEセンサ14の超音波信
号の検出状態により河床土の洗掘によるレベルが検出で
きるので、信号処理部11において洗掘状態の判定を行
うことができる。 【0027】次に、上記構成の橋脚洗掘監視装置の作用
を更に詳しく説明する。まず、検知ユニット10の検知
部本体20にはAEセンサ14が長さ方向に所定の距離
dで配置されており、AEセンサ14が取付けられた感
応部12は検知部本体20の管壁とは音響絶縁体13で
音響的に絶縁されており、このような検知ユニット10
を図1に示すように河床に打ち込む。 【0028】AEセンサは14河床土の洗掘の状況に応
じて図4,図5で説明したように感応部12と水流中に
固形物(土砂,石等)との摩擦で発生する超音波も検知
する。土中内のAEセンサ14は、図5に示す(4)−
Aや(4)−Bのセンサ〈B〉のように摩擦作用が無い
状態のため超音波の発生がなく、出力信号は「0」であ
り、洗掘が始まれば土中のAEセンサ14は徐々に水流
にさらされ、このためAEセンサ14は、図5の(4)
−Bや(4)−Cに示すように水流中の土砂(いわゆる
濁水)による摩擦作用により超音波を発生するようにな
る。 【0029】発生信号のレベルは濁水濃度(土砂量が多
量)が高く、流速が速い程高出力となる。この発生音
信号は当初土中にあったAEセンサが水流にさらされた
ことを意味し、洗掘開始と判断される。従って、検知ユ
ニット10を設置する場合、AEセンサ14の位置と土
中深さをあらかじめ規定しておくことにより、AEセン
サ14の感応信号の発生状態とそのセンサ位置から洗掘
の有無と洗掘の深さが判定できる。 【0030】上記のように2個のAEセンサ〈A〉14
とAEセンサ〈B〉14からの検出信号は、電気信号に
変換され、図3に示す系統図において、信号ケーブル1
5により信号処理部11に導かれ、信号処理部11では
主増幅器21で増幅され、処理判定部22で上記に説明
したように洗掘状態を判定する。判定は図5に示すよう
に2個のAEセンサ14からの検出信号が図5(a)の
状態であれば「安全」、図5(b)の状態であれば「警
報」、図5(c)の状態であれば「危険警報」と判定
し、表示部23に表示する。 【0031】以上説明の実施の形態によれば、河水が濁
流であったり、浮遊物が多量に存在する状態において
も、これらの悪条件にかかわりなく、AEセンサ14を
2個組み込んだ検知ユニット10、信号ケーブル15、
信号処理部11からなる小型で簡単な構成の装置を用い
ることにより、河床土4の洗掘状態が高感度で正確に監
視でき、洗掘発生時には警報を出すことができるもので
ある。 【0032】 【発明の効果】本発明の橋脚洗掘監視装置は、橋脚に近
接し同橋脚下周囲の河床土に下端部を埋設した検知本体
と、同検知本体の長さ方向表面で互いに所定の間隔を有
し、かつ河床土に埋設する位置に配設され、周囲を音響
絶縁体により前記検知本体から絶縁された少くとも2個
の感応部と、同感応部にそれぞれ直結したAEセンサ
と、同AEセンサが前記感応部から受信する音の信号を
入力し、同各AEセンサの受信する信号を監視し、同信
号の状態から前記河床土の洗掘の程度を判定する信号処
理部とを備えてなることを特徴としている。このような
構成により、信号処理部において河床土の洗掘状態をA
Eセンサを用いて洗掘のない安全な状態、洗掘の開始、
洗掘が進行した状態、等を小型の装置で高感度で正確に
監視でき、従来のように濁水や浮遊物の影響で検知がで
きないようなことがなく、洗掘監視の信頼性が向上する
ものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の一形態に係る橋脚洗掘監視装置
の設置状態を示す側面図である。 【図2】本発明の実施の一形態に係る橋脚洗掘監視装置
の検知ユニットの部分拡大断面図である。 【図3】本発明の実施の一形態に係る橋脚洗掘監視装置
の信号系統図である。 【図4】本発明の実施の一形態に係る橋脚洗掘監視装置
の検知の説明図である。 【図5】図4における河床土レベルに対応するAEセン
サの検知信号図であり、(a)は安全な状態、(b)は
洗掘が開始された状態、(c)は洗掘が進み危険な状態
をそれぞれ示す。 【図6】従来の橋脚洗掘監視装置を示し、(a)は洗掘
のない状態、(b)は洗掘が発生した状態を示す。 【符号の説明】 1 橋桁 2 橋脚 3 河水 4 河床土 5 岩盤 10 検知ユニット 11 信号処理部 12 感応部 13 音響絶縁体 14 AEセンサ 15 信号ケーブル 20 検知部本体 21 主増幅器 22 処理判定部 23 表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根岸 裕 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4 号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 野中 光之 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 吉田 博久 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 馬場 智義 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 盛脇 保昌 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重 工業株式会社長崎造船所内 (72)発明者 佐藤 勝彦 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重 工業株式会社長崎造船所内 (56)参考文献 特開 昭48−43762(JP,A) 特開 昭57−163817(JP,A) 実開 昭63−128426(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 13/00 G01F 23/28 G01B 17/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 橋脚に近接し同橋脚下周囲の河床土に下
    端部を埋設した検知本体と、同検知本体の長さ方向表面
    で互いに所定の間隔を有し、かつ前記河床土に埋設する
    位置に配設され、周囲を音響絶縁体により前記検知本体
    から絶縁された少くとも2個の感応部と、同感応部にそ
    れぞれ直結したAEセンサと、同AEセンサが前記感応
    部から受信する音の信号を入力し、同各AEセンサの受
    信する信号を監視し、同信号の状態から前記河床土の洗
    掘の程度を判定する信号処理部とを備えてなることを特
    徴とする橋脚洗掘監視装置。
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