JP3784694B2 - クランク軸半体の加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軸心から偏心した位置にピン孔が有るクランク軸半体の加工方法にする。
【0002】
【従来の技術】
図14は従来の圧入組立型クランクシャフトの分解図である。
クランクシャフトには一体型と圧入組立型の2種類が実用に供されており、そのうちの圧入組立型クランクシャフト100は、軸部101L,101R(Lは左、Rは右を示す。以下同じ。)、ウエイト部102L,102R、フランジ部103L,103R及びこのフランジ部103L,103Rに開けたピン孔104L,104Rからなる一対のクランク軸半体105L,105Rと、前記ピン孔104L,104Rに圧入するクランクピン106とからなる。そして、ピン孔104L,コンロッド107の大端部孔108,ピン孔104Rの順でクランクピン106を圧入する。
【0003】
図15は従来の圧入組立型クランクシャフトの組立図であり、圧入により、一対のクランク軸半体105L,105Rとコンロッド107とを一体的に組立てることができたことを示す。
図示しないが一体型クランクシャフトに適用するコンロッドは後からクランクピンに取付け可能なように分割構造になっており、そのためにコンロッドの大端部を分割可能にし、ボルトで締結する構造を採用する。その結果、コンロッドの大端部の構造が複雑に且つ大型になる。
この点、図15の圧入組立型クランクシャフト100はコンロッド107の大端部の構造が単純であり且つコンパクトになり、自動二輪車用などの小型のエンジンに好んで採用される。
【0004】
しかし、図14において、クランク軸半体105L,105Rはピン孔104L,104Rが軸心109からδだけ偏心した位置にあるため、加工は面倒である。ピン孔104L,104Rを高精度で仕上げは、一般に、特開平11−156682号公報「内径研削盤」などの内面研削盤若しくは中ぐり盤で行われる。上記公報の図1に示される通り、加工物(10)の孔を基準に内径研削盤をセットしてから研削を実施する。この様に加工物の孔を基準に内面研削盤をセットしてから研削を行う従来加工法に基づいてクランク軸半体105Rを加工する具体例を次図で説明する。
【0005】
図16(a)〜(c)は従来のクランク軸半体の加工法の説明図である。
(a)はピン孔104Rの加工図であり、クランク軸半体105Rをワーク受け盤111に当て、クランプ手段112,113で固定する。次に、刃具114を備えたスピンドル115を回しながら白抜き矢印の通りに送ることで、ピン孔104Rを仕上げることができる。
【0006】
(b)は軸部101Rの加工図であり、クランク軸半体105Rを中ぐり盤のワーク受けに移し、研削盤の回転主軸116と心押しピン117との間にクランク軸半体105Rをセットし、クランク軸半体105Rを回す。回転中のクランク軸半体105Rにアンギュラ砥石118を押しつけることにより、軸部101Rを仕上げることができる。
【0007】
(c)は座ぐり加工図であり、クランク軸半体105Rは一般に鍛造品であるために寸法精度はあまりよくない。そこで、コンロッドの大端部(図15参照)の側面に臨む面の寸法精度を上げるために、ピン孔104R回りに座ぐり119を形成する。そのためには、クランク軸半体105Rをフライス盤に移し、それのワーク受け盤121に当て、クランプ手段122,123で固定する。次に、フライス刃具124で座ぐりを行う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した通りに、従来はクランク軸半体を工作物とした場合に、中ぐり盤でピン孔を仕上げ、研削盤(外面研削盤)で軸部を仕上げ、フライス盤で座ぐりを実施する。
当然のことながら、工作機械が変る度に、ピン孔の心又はクランク軸半体の心を工作機械の心に合せなければならず、段取り工数が嵩む。
そこで、本発明の目的は1度セットしたらピン孔加工と座ぐり加工とを連続して行うことのできる加工方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、圧入組立型クランクシャフトの主要部品であるクランク軸半体にピン孔加工と座ぐり加工を施すクランク軸半体の加工方法において、
クランク軸半体を、回転体に設けた回転主軸に心合せするとともに回転体にクランプするワークセット工程と、
回転体に組込んであるスピンドル軸回転手段を、回転体内で相対的に旋回動作させることで、前記回転体とともに回るクランク軸半体のピン孔を、スピンドル軸回転手段に取付けた工具の外周面で加工するピン孔加工工程と、
スピンドル軸回転手段及び工具を後退させ、スピンドル軸回転手段の相対的旋回動作における旋回半径を増大側に設定し直した上で、前記回転体とともに回るクランク軸半体のピン孔周りを、工具の前面で加工する座ぐり加工工程と、からなり、
ピン孔加工工程、座ぐり加工工程の順又は座ぐり加工工程、ピン孔加工工程の順で、一度セットしたクランク軸半体を取外すこと無く、クランク軸半体にピン孔加工と座ぐり加工とを施すことを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1によれば、軸心から偏心した位置に設けたピン孔の加工及び座ぐり加工とを、加工装置から外すこと無く、1度のセットのみで実施することができるため、段取り工数を大幅に低減することができる。しかも、1基の加工装置で複数の工程が実施できるため、仕上り精度は良好となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るクランク軸半体加工装置の断面図であり、クランク軸半体加工装置10は、工作機ベース11と、軸心12から偏心した位置にピン孔13を有するクランク軸半体14をクランプした状態で軸心回りに回転可能に工作機ベース11に取付けた回転体16と、この回転体16を回すために工作機ベース11に取付けた回転手段17と、軸心12に直交する直交軸に沿って移動可能に回転体16に取付けたスライド部材18と、このスライド部材18を所定位置までスライドさせる移動手段19と、外径円に対して内径円(図3で説明する。)を偏心させた偏心断面で構成するとともに、スライド部材18に相対回転可能に収納した第1偏心筒21と、この第1偏心筒21を空転させないために、第1偏心筒21を工作機ベース11に繋ぎ止めるアンカー手段22と、外径円に対して内径円(図3で説明する。)を偏心させた偏心断面で構成するとともに第1偏心筒21に相対回転可能に且つ軸方向移動可能に収納した第2偏心筒23と、この第2偏心筒23に収納したスピンドル軸回転手段24と、このスピンドル軸回転手段24のスピンドル軸25に取付けた工具26と、からなる。
【0012】
次に、上記主要構成の補足説明をする。
工作機ベース11は工作機械のベッドに相当する固定若しくは非可動部材である。
クランク軸半体14は、圧入組立型クランクシャフトに用いるクランク軸半体である。
【0013】
回転体16は軸受27・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)にて工作機ベースに取付けた回転筒であり、前面に回転主軸29及びクランプ手段31,32を備える。クランプ手段31,32は油圧シリンダ、メカニカルシリンダ、ボルトの何れでもよく、要は回転主軸29に心合せしたクランク軸半体14が横ずれしないように固定する手段であれば形式、構造は問わない。
【0014】
回転手段17は、回転体16を回す手段であり、例えばモータ33、ギヤ34及びギヤ35からなる。
移動手段19は、例えば回転体16に設けたナット36と、このナット36に捩じ込んだボルト37とから構成する。ボルト37の操作のために回転体16に凹部38を設け、ボルト37の先端を逃すために工作機ベース11に凹溝39を設けた。ボルト37は、工作機ベース11に開けた穴(図示せず)を通じて回転操作することができる。
【0015】
アンカー手段22は、自身が伸縮可能で且つ角度変更可能な自在軸継手(ユニバーサルジョイントなど)である。
スピンドル軸回転手段24は、いわゆるビルトインモータが好適である。
【0016】
また、41は第2偏心筒位置決め手段(ステッピングモータ、シンクロモータ、サーボモータが好適)である。この第2偏心筒位置決め手段41は、工具26の切込み量の設定などの際に作動させる。
【0017】
なお、第2偏心筒位置決め手段41の中心は、軸心12よりeだけ上へ変位させる。このeの大きさは図4(c)で説明する。
仮に、第2偏心筒位置決め手段41の中心を軸心12に合せると、孔加工の際に第1偏心筒21の偏心の影響を受けて、工具26が僅かに前後する。
前記eだけ変位させることで、工具26の前後移動を解消することができる。
【0018】
42はスライドブロック、43はアーム、44は送りねじ、45は送りモータであり、送りモータ45で送りねじ44を正回転させることで、スライドブロック42を前進させ、スピンドル軸回転手段24及び自在軸継手46を介して第2偏心筒23を前進させ、工具26をピン孔13に挿入することができる。すなわち、図は工具26が待機位置にある。
さらに、47,48はベアリングであり、相対回転や相対軸移動を円滑にする。
【0019】
図2は図1の2矢視図であり、回転体16に長円断面の孔49を開けて、この孔49にスライド部材18を、図上下移動可能に取付け、このスライド部材18にベアリング47を介して第1偏心筒21を収納し、この第1偏心筒21にベアリング48を介して第2偏心筒23を収納し、この第2偏心筒23にスピンドル軸回転手段24を収納し、このスピンドル軸回転手段24に設けた工具26をクランク軸半体14のピン孔13に臨ませた状態を示す。
【0020】
図3は図2からクランク軸半体を除いた図であり、第1偏心筒21は外径円21aに対して内径円21bを偏心させた偏心断面、すなわち、下部が幅広で上部が幅狭な偏心断面の筒である。この第1偏心筒21は非回転部材であるから、幅広の部位が常に下位に、幅狭の部位が常に上位にある。
ボルト37を回すことによって、第1偏心筒21などを、孔49の長円に沿って上下に移動させることができる。
【0021】
この様な第1偏心筒21に収納する第2偏心筒23も、外径円23aに対して内径円23bを偏心させた偏心断面の第2偏心筒23である。第2偏心筒23は回転させるため、常に図の様に上部が幅広で下部が幅狭であるとは限らない。
【0022】
図4(a)〜(c)は本発明に係る第2偏心筒の作用図である。
(a)において、工具26を囲う2つの円のうち、実線の円は仕上げ加工直前の孔であり、これを下孔51と呼ぶ。想像線の円は仕上げ加工後の孔であり、これを仕上り孔52と呼ぶことにする。今、下孔51の中央に工具26があるため、この状態で工具26を回しても加工は始まらない。
【0023】
図3で第2偏心筒23のみを反時計回りに回すと、工具26は左上へ移動する。
この移動により、図4(b)に示す通りに、工具26を下孔51に接触させることができる。工具26を高速で回転させつつ、図3の第2偏心筒23をさらに反時計回りに回すと、工具26は更に左上へ移動し、図4(c)に示す通りに仕上り孔52に達する。図中、eは図1に示したeと同じである。
すなわち、第2偏心筒23を適当角度回すことにより、切込み量を決定することができる。
【0024】
以上の構成からなるクランク軸半体加工装置の作用を次に説明する。
図5(a),(b)は本発明のクランク軸半体加工装置の作用説明図(その1)である。
(a)は図2と図4(b)とを合成した図面であり、便宜上、回転体16に目印として白丸53を付し、工具26の接触点に目印としての黒点54を付した。この状態で、工具26を高速回転させつつ、回転体16を図時計回りに回し始める。すると、回転体16とともに、クランク軸半体14及びスライド部材18は同期して時計回りに回り始める。一方、第1偏心筒21及びスピンドル軸回転手段24は回転せずに図面の上下、左右、斜めにのみ移動し得る。
【0025】
(b)は白丸53の位置で明らかなように、回転体16などが90゜回転し、クランク軸半体14も90゜回転したことを示す。一方、工具26の黒点54は方位が変化しない。
このことは、高速回転する工具26の回りをクランク軸半体14が90゜だけ旋回し、結果、ピン孔13の1/4周(90゜分)が加工できたことになる。
【0026】
図6(a),(b)は本発明のクランク軸半体加工装置の作用説明図(その2)である。
(a)は白丸53の位置で明らかなように、回転体16などが180゜回転し、クランク軸半体14も180゜回転したことを示す。一方、工具26の黒点54は方位が変化しない。
このことは、高速回転する工具26の回りをクランク軸半体14が180゜だけ旋回し、結果、ピン孔13の1/2周(180゜分)が加工できたことになる。
【0027】
(b)は白丸53の位置で明らかなように、回転体16などが270゜回転し、クランク軸半体14も270゜回転したことを示す。一方、工具26の黒点54は方位が変化しない。
このことは、高速回転する工具26の回りをクランク軸半体14が270゜だけ旋回し、結果、ピン孔13の3/4周(270゜分)が加工できたことになる。
【0028】
図5(a),(b)と図6(a),(b)とを繰り返す間に、図4(b),(c)の要領で、工具の切込み量を制御すれば、下孔51を仕上り孔52に仕上げることができる。
【0029】
図7(a),(b)は本発明のクランク軸半体加工装置の作用説明図(その3)である。
(a)は孔加工図であり、クランク軸半体14を回転主軸29に心合せし、クランプ手段31,32でクランプした上で、クランク軸半体14を回しつつ工具26でピン孔13を加工する(図5,図6参照)。このときには、砥石56は待機させておく。
(b)は軸部加工図であり、クランク軸半体14はそのままで工具26を待機させる。次に、クランク軸半体14を高速で回転させつつ砥石56を当てることにより、軸部57の加工を実施する。
【0030】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、クランク軸半体加工装置にクランク軸半体を1度セットするだけで、孔加工と軸部加工とを順に実施することができる。従来は、異なる工作機械でピン孔加工や軸部加工を個別に加工していたので、段取り工数が嵩む。この点、本発明によれば段取り工数を大幅に低減することができる。
【0031】
クランク軸半体加工装置10を用いて座ぐり加工を実施することができるので、その説明を次に行う。
図8(a),(b)は本発明に係る座ぐり加工説明図(その1)である。
(a)はピン孔13の中央に工具26がある中立状態を示す。図3において、第2偏心筒23を最大180゜回すと、中央の工具26は大幅に移動する。
(b)は移動後の工具26を示し、工具26一部がピン孔13からはみ出していることが分かる。
【0032】
図9(a),(b)は本発明に係る座ぐり加工説明図(その2)である。作動原理は図5(a),(b)と同様であるから、異なる部分のみ説明する。
(a)において、工具26を高速回転させることで、クランク軸半体14の奥の面(斜線を施した部分)を研削することができる。
(b)はクランク軸半体14が90゜時計回りに回転した状態を示し、工具26を高速回転させることで、クランク軸半体14の奥の面(斜線を施した部分)を研削することができる。
【0033】
図10(a),(b)は本発明に係る座ぐり加工説明図(その3)である。
(a)はクランク軸半体14が180゜時計回りに回転した状態を示し、工具26を高速回転させることで、クランク軸半体14の奥の面(斜線を施した部分)を研削することができる。
(b)はクランク軸半体14が270゜時計回りに回転した状態を示し、工具26を高速回転させることで、クランク軸半体14の奥の面(斜線を施した部分)を研削することができる。
【0034】
図11(a),(b)は本発明に係る座ぐり加工説明図(その4)である。
(a)はピン孔加工図であり、クランク軸半体14を回転主軸29に心合せし、クランプ手段31,32でクランプした上で、クランク軸半体14を回しながら工具26の外周面26aでピン孔13を加工する(図5,図6参照)。
(b)は座ぐり加工図であり、クランク軸半体14はそのままで、工具26を後退させ、後退させた工具26の前面26bで、ピン孔13回りの座ぐり58を形成する(図9,図10参照)。
【0035】
本発明を図11を参照しつつ整理をすれば、圧入組立型クランクシャフトの主要部品であるクランク軸半体14にピン孔加工と座ぐり加工を施すクランク軸半体の加工方法において、
クランク軸半体14を、回転体に設けた回転主軸29に心合せするとともに回転体にクランプ手段31,32でクランプするワークセット工程と、
回転体に組込んであるスピンドル軸回転手段24を、回転体内で相対的に旋回動作させることで、回転体とともに回るクランク軸半体14のピン孔13を、スピンドル軸回転手段24に取付けた工具26の外周面26aで加工するピン孔加工工程と、
スピンドル軸回転手段24及び工具26を後退させ、スピンドル軸回転手段24の相対的旋回動作における旋回半径を増大側に設定し直した上で、回転体とともに回るクランク軸半体14のピン孔13周りを、工具26の前面26bで加工する座ぐり加工工程と、からなり、
ピン孔加工工程、座ぐり加工工程の順又は座ぐり加工工程、ピン孔加工工程の順で、一度セットしたクランク軸半体14を取外すこと無く、クランク軸半体14にピン孔加工と座ぐり加工とを施すことを特徴とする。
【0036】
図12(a),(b)は本発明に係る工具の一例の断面図である。
(a)は工具26の断面図であり、スピンドル軸25の先端に設けた工具26は例えばCBN(cubic boron nitlide)砥石であり、先端面61は幅Wで円環形状にし、内周面62が角度θをなすようにスピンドル軸25に向って縮径させる。角度θは45゜が好適である。
【0037】
(b)はドレッシング工程で、想像線で示す工具26を実線で示す位置まで削った後の工具26を示す。想像線で示す工具26を、半径でtだけ削り、先端面61をtだけ削れば残った先端面61の幅はWとなる。従って、先端の幅Wを容易に一定に保つことができる。角度θを40゜や50゜にした場合は三角関数を利用して半径方向の削り量と、先端の削り量の関係を定めればよい。
【0038】
図13は本発明の孔加工装置を装備した汎用工作機の斜視図であり、汎用工作機70は、基台71に本発明の孔加工装置10を備えると共に、その回転体16に対向させてテールストック72を備え、且つ基台71に対して矢印のごとく旋回可能に旋回テーブル73を備え、この旋回テーブル73にXスライダ74を移動可能に取付け、このXスライダ74にZスライダ75を移動可能に取付け、このZスライダ75に工具回転モータ76を取付け、この工具回転モータ76でベルト77を介して回転工具78を高速回転させるようにした。79はX方向送りモータ、80はZ方向送りモータである。
【0039】
回転体16とテールストック72とで工作物14を把持しつつ回転させる。そこにX方向送りモータ79及びZ方向送りモータ80の送り作用で回転工具79を送りつつ工作物14の研削を実行する。同時に、回転体16内では図1に示す工具26で孔13などを加工する。
旋回テーブル73を旋回させることで、工作物14の円弧部分を容易に研削することができる。
【0040】
以上に述べた汎用工作機70は、工作物14が小部品であれば卓上旋盤程度の大きさにすることができ、孔加工装置10を除くとごく単純な構造物であるから、安価な汎用工作機にまとめることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1によれば、軸心から偏心した位置に設けたピン孔の加工及び座ぐり加工を、加工装置から外すこと無く、1度のセットのみで実施することができるため、段取り工数を大幅に低減することができる。しかも、1基の加工装置で複数の工程が実施できるため、仕上り精度は良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクランク軸半体加工装置の断面図
【図2】図1の2矢視図
【図3】図2からクランク軸半体を除いた図
【図4】本発明に係る第2偏心筒の作用図
【図5】本発明のクランク軸半体加工装置の作用説明図(その1)
【図6】本発明のクランク軸半体加工装置の作用説明図(その2)
【図7】本発明のクランク軸半体加工装置の作用説明図(その3)
【図8】本発明に係る座ぐり加工説明図(その1)
【図9】本発明に係る座ぐり加工説明図(その2)
【図10】本発明に係る座ぐり加工説明図(その3)
【図11】本発明に係る座ぐり加工説明図(その4)
【図12】本発明に係る工具の一例の断面図
【図13】本発明の孔加工装置を装備した汎用工作機の斜視図
【図14】従来の圧入組立型クランクシャフトの分解図
【図15】従来の圧入組立型クランクシャフトの組立図
【図16】従来のクランク軸半体の加工法の説明図
【符号の説明】
10…クランク軸半体加工装置、11…工作機ベース、12…軸心、13…孔、14…クランク軸半体、16…回転体、17…回転手段、18…スライド部材、19…移動手段、21…第1偏心筒、22…アンカー手段、23…第2偏心筒、24…スピンドル軸回転手段、25…スピンドル軸、26…工具、26a…工具の外周面、26b…工具の前面、29…回転主軸、31,32…クランプ手段、41…第2偏心筒位置決め手段、46…自在軸継手、58…座ぐり。
Claims (1)
- 圧入組立型クランクシャフトの主要部品であるクランク軸半体にピン孔加工と座ぐり加工を施すクランク軸半体の加工方法において、
クランク軸半体を、回転体に設けた回転主軸に心合せするとともに回転体にクランプするワークセット工程と、
前記回転体に組込んであるスピンドル軸回転手段を、回転体内で相対的に旋回動作させることで、前記回転体とともに回るクランク軸半体のピン孔を、スピンドル軸回転手段に取付けた工具の外周面で加工するピン孔加工工程と、
前記スピンドル軸回転手段及び工具を後退させ、前記スピンドル軸回転手段の相対的旋回動作における旋回半径を増大側に設定し直した上で、前記回転体とともに回るクランク軸半体のピン孔周りを、前記工具の前面で加工する座ぐり加工工程と、からなり、
前記ピン孔加工工程、座ぐり加工工程の順又は前記座ぐり加工工程、ピン孔加工工程の順で、一度セットしたクランク軸半体を取外すこと無く、クランク軸半体にピン孔加工と座ぐり加工とを施すことを特徴とするクランク軸半体の加工方法。
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