JP3784680B2 - 履き物用底部・中敷き - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人の足底の凹凸に合った履き物の底部又は中敷き(いわゆるヘルシーインナー)と、この履き物用底部又は中敷きを製造するための足型評価方法及び、それを情報化する組織に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の既製の履き物は、外観重視で使用上の合理性(履き易さ、歩き易さ)に欠けていた。とりわけ、内表面がほぼ平面であることから、足の裏との密着性が悪くなり、足が履き物の中や内表面で爪先方向に滑りやすく、特に踵の高い靴ほどこの現象が著しかった。このため多種多様な足の痛みが発生している。そこで足裏の形状に合わせて凹凸を付けた中敷きが考案されているが、これらは、中敷きのクッションを利用して歩行時の足にかかる衝撃を吸収、緩和することを目的としており、歩行中の足と身体の機構や機能が必ずしも合っているわけではない。
【0003】
また従来の外反母趾対策用の履き物の製造には、顧客一人ずつに対し、メジャー又は専用の器具で足型を測定しなければならず、注文、製造に時間とコストがかかるため、広く一般に普及しているとは言い難く、とくに外反母趾をはじめとする足型の変形疾患の矯正、防止の妨げとなっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
履き物の中敷きとして、例えば、特開平9−140405には外反母趾対策用の中敷きが示されている。8に示すようにこの中敷きは親指安定用凹部1、土踏まず支持用凸部2、踵安定用凹部3、中足骨支持用凸部4を有する。ところで足は、土踏まずを中心に前後方向の彎曲(縦アーチ)と幅方向の彎曲(横アーチ)を形成しており、これら彎曲形状は歩行時の足にかかる衝撃を吸収、緩和する緩衝装置として機能することが知られている。外反母趾ではこれらのアーチを正常に保持することができなくなり、歩行時、親指付け根部分に激しい痛みを伴う。従来例によれば、土踏まず支持用凸部2及び中足骨支持用凸部4でこれらのアーチを強制的に形成させ、土踏まず支持用凸部2及び中足骨支持用凸部4の2つの凸部クッションで歩行時の衝撃を吸収し、痛みを緩和するものである。ただし、このようなアーチの強制的な形成は、本来のアーチの形成発達に貢献するものではなかった。
【0005】
一方、特開平9−28409には踵部と足の指を除いた上内側部と外内側部の3カ所の部分を、他の部分より高くしたり固くした靴底が開示されている。ここでは土踏まず部分が他より低くなっているので自然なアーチの形成が望めるが、3カ所の高くしたり固くした部分の形状が平面であるので、足裏とぴったり密着するわけではなく、履き物の中で足が安定せず、また変形疾患を持つ複雑な形状の足型に十分対応するものではない。
【0006】
さらに、中敷きに凹凸のある履き物は、使用者の足型にフィットさせる必要があるため、個々の足型を詳細に計測し特注する方法が採られているが、注文、製造に多大な時間とコストを必要とする。そこで、靴の内底や中敷きに凹凸のある履き物を、足の形に標準化することにより、(例えば従来の履き物のサイズ、3E型、4E型等のような標準的な規格を作り、)一般に入手しやすくするシステムの確立が待ち望まれている。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、使用者本来の足型を正常に形成することにより、自然体の足型に育成し、不具合を防止しうる履き物用底部と中敷き及び、この底部又は中敷きを製造するに際し、標準的な規格を確立するための足型評価方法及び情報化組織を提供することにある。
【0008】
また、履き物は、必ず自分が店等に出向いて自分の足と合わせ、履き心地を確かめてから買うものである。即ち、現在のシステムでは、履き物は必ず使用者の選別に従って、最終的には現物合わせを行う必要がある。本発明はこれらの欠陥を除き、(1)サイズ評価の標準化及び(2)全ての情報の伝達を可能とすることにより、遠くの者でも、また、現物合わせをしなくても、容易に履き物を注文することができるようにする、ということを命題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係る履き物用底部又は中敷きは、第2中足骨上部から第5中足骨上部にわたって足裏と接触し、高さが第2遠位中足骨部で最高となる、適当な硬度を有する材質で作られたなだらかな隆起部である中足骨接触隆起部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る別の履き物用底部又は中敷きは、上記の中足骨接触隆起部を有する底部又は中敷きにおいて、楔状骨の内側1/2と舟状骨の内側1/2と距骨の下部に接触する内側隆起部と、第5中足骨後部と立方骨の外側部と踵骨前部に接触する外側隆起部と、踵骨後部及び踵骨部外縁に接触する踵骨後部接触隆起部の、いずれも適当な硬度を有する材質で作られたなだらかな隆起部の、いずれか1つ又は複数の組み合わせをさらに付け加え、中足骨接触隆起部を含めたこれらの隆起部で囲まれた面が全体として凹状をなしていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る別の履き物用底部又は中敷きは、中足骨接触隆起部のみを有する底部又は中敷き、又は中足骨接触隆起部の他に、内側隆起部と外側隆起部と踵骨接触隆起部を有する底部又は中敷きにおいて、第1趾の第2趾側の側面と第2趾の第1趾側の側面に接触し、第1趾と第2趾で挟み込むような場所に位置し、第1趾と第2趾の側面方向に伸びる棒状の、第1中足骨開度を上げる第1中足骨開放隆起部の、適当な硬度を有する材質で作られたなだらかな隆起部をさらに付け加え、これらの隆起部で囲まれた面が全体として凹状をなしていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る足型評価方法は、重心点、脛側中足点と腓側中足点を通る外周長及び足の舟状骨粗面と第5中足骨粗面を通る外周長、それと全長、全幅、重心点から踵点までの距離を計測することで、上記底部又は中敷きの、基底部の寸法及び中足骨接触隆起部の形状を決め、中足骨接触隆起部を含めた上記底部又は中敷きの隆起部の形状と高さについて、足が正常の場合、外反足や外反股の場合、内反足や内反股の場合の3つの観点から、また第1趾と第2趾の重なりの有無からさらに詳細に分類する、上記履き物用底部又は中敷きを製造するための足型評価方法を特徴とする。
【0013】
なお、ここでいう中敷きとは、基部と隆起部からなり、完成している履き物の中底に装着して使用するものを指し、基部とは中敷きの隆起部を除いた足裏全体にわたる平面部分を指す。また底部とは、中敷きと履き物が一体化した履き物の底の部分を指す。以後、底部又は中敷きを、単に中敷きとして説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る中敷きを履き物に装着したときの様子と、中敷きと足骨格との関係及び中敷きを装着した履き物の透視図を、それぞれ図1、図2、図3に示した。
【0015】
中足骨接触隆起部1は、第2中足骨上部から第5中足骨上部にわたって足裏と接触するなだらかな隆起であり、その高さは第2遠位中足骨部で最高となるように作られている。このなだらかな隆起は、第1中足骨には接触しないため、第1趾は他の4趾に比べて低い位置に安定し、第1趾の底屈や蹴る動作を容易にする。
【0016】
内側隆起部2は、楔状骨の内側1/2と舟状骨の内側1/2、及び距骨の下部に接触している。
【0017】
外側隆起部3は、第5中足骨後部と立方骨の外側部と踵骨前部に接触している。
【0018】
踵骨後部接触隆起部4は、踵骨後部及び踵骨部外縁に接触している。
【0019】
第1中足骨開放隆起部5は、第1趾の第2趾側の側面と、第2趾の第1趾側の側面に接触し、第1趾と第2趾で挟み込むような場所に位置し、第1趾と第2趾の側面方向に伸びる棒状の隆起部である。
【0020】
▲1▼中足骨接触隆起部1、▲2▼内側隆起部2、▲3▼外側隆起部3、▲4▼踵骨後部接触隆起部4、▲5▼第1中足骨開放隆起部5の5つの隆起部に囲まれた広い面は、5つの隆起部より相対的に低くなっているため、全体としては凹状をなしている。
【0021】
中足骨接触隆起部1は第2趾から第5趾の中足骨と接触し、全趾のどの部分とも接触していないので、全趾は履き物の中で自由に動くことができる。歩行中、第1趾は底屈した状態になっているので(以下、底屈とは下腿と足とが直角の時を0度とし、ここから足先が床の方向に動くことをいう)、縦アーチが自然と形成される。また第1趾が低い位置に安定しているため、第1趾の後部方向への蹴る動作が促され、結果として横アーチの自然な形成が促進される。さらに、第1趾が低い位置に安定することで、歩行時の爪先方向への滑りを防止している。
【0022】
第1中足骨開放隆起部5を除いた4つの隆起部と足裏が接触し、さらに土踏まずに曲線が形成されることで、足裏の5つの隆起部に囲まれた凹状部分の形態が安定に保持される。また、歩行することでこの凹部分の筋肉が強化され、変形した縦アーチの回復や形成強化に役立つ。
【0023】
外側隆起部3は、踵が着地した後、爪先が身体の重心移動に従って地面に着地しやすいように案内役として機能する。
【0024】
踵骨後部接触隆起部4は、踵が地面に垂直に着地できるようにすると同時に、踵と履き物の後部をよりよく密着させるためのものである。
【0025】
内側隆起部2、外側隆起部3及び踵骨後部接触隆起部4は、矯正を要するような外反足や外反股、内反足や内反股がない場合は、省略してもよい。また、足の形状に合わせて、これらの隆起部のいずれか1つ又は複数の組み合わせを適宜選択して取り付けてもよい。
【0026】
第1中足骨開放隆起部5は、以下の足型評価方法で説明しているように、第1趾と第2趾が重なり合った重度の外反母趾を有する場合に必要で、それ以外の足型にたいしては省略する。
【0027】
本発明に係る中敷きを装着した履き物を履いたとき、足中心は踵部と第3趾をつなぐ直線上にあり、体重心は第1趾及び第2趾の中間付近にあるので足、膝大腿骨頭、股関節が一直線になって、歩行時の地表面を蹴る力が出しやすくなると同時に、脚部の静力学的変形及び変成による疼痛を最小限にすることができる。
【0028】
隆起部の材質としては、比較的堅い材質であることが望ましい。これは本発明が、歩行時に足が受ける衝撃の吸収ではなく、足裏の筋を強化し、足本来の形態を取り戻すことを主たる目的としているためである。材質としては、例えばプラスチック、コルク、板ゴム、スポンジゴムなどが好適である。また履き物は、靴、スリッパ、サンダル、草履、足袋等、いかなる種類の物であってもよい。
【0029】
以上のような形態の中敷きを装着した履き物を消費者に提供する場合、これらにより、例えば、従来の履き物のサイズ、3E型、4E型等のような標準的な規格(以下、この標準的な規格のことを「標準」と呼ぶ)を作ることが可能である。そこで、標準作りのため、足型に客観的な評価を与える方法を考案した。この標準作りのための要素を示しているのが図4である。
【0030】
図4は、中敷きが性別、使用形態、人類型で大まかに区分されることを表している。なお、東洋型とは全趾のうち、とくに第1趾が長い特徴を有し、西洋型とは第2趾又は第3趾が他の趾より長い特徴を有する足型である。図4で明らかなように、3つの要素だけを考えても足型の形態は様々である。ましてや複雑な変形疾患を持つ足型を、客観的に分類するのは容易ではない。本発明では多様な形態を持つ足型を、とくに足の機能を重視して、足の形態を自然的形成を促進するよう、評価・分類する方法とした。
【0031】
足型評価のための基本動作
(動作1)椅子に静かに座る。この時、椅子の高さは、ほぼ立位時の膝の裏面と同じ高さとする。
(動作2)座ったとき少し胸を張り、背中は丸めず、左右の肩及び肩甲部の中央の力を軽く抜く。また頭部(顔)は、下を向かずに顎を引くように、頚筋は少し緊張させる。
(動作3)出来るだけ太股を水平にして膝を曲げる。この時、脛の中心が左右共に垂直になるようにし、床に置いた紙の上に足を静かに置く。
(動作4)置いた足及び膝をそのまま動かさないよう注意し、紙の上に立って、足の輪郭図を描く。
(動作5)さらに足型の形状を点検し、α、βを計測する。
(動作6)最後に足を床から離し、紙上に描いた足型を参照し、図5で示される位置及び長さA〜F(長さE)を計測する。
(動作7)縦軸蓋(内側隆起部図2(2))の計測は、平面形及び45°斜形、30°斜形等、平面に対し隆起部の奥行等を描くことにより、断面形状を得る。
【0032】
まず、上記動作6から計測された項目のうち、全長Cと全幅Dに基づいて基部の長さと幅、すなわち基部の寸法を決定する。
【0033】
また、上記動作6での計測点から中足骨接触隆起部1の形状を決定する。外周長Bから中足骨接触隆起部1の横方向の長さ及び形状を、さらに重心点A及び重心点から踵点までの距離Eによって、中敷き全体における中足骨接触隆起部1の正確な位置を決める。AとBを通る外周は、膝蓋骨の中央と足関節の中央を結ぶ直線の延長線である重心線と床面との交点として、求めることができる(図5)。本発明に係る中敷きにおいて、中足骨接触隆起部1の形状と位置は、中敷きを足にフィットさせるための最も重要な点であるので、この点に関しては使用者の満足する標準形状を取る必要がある。また、この点は標準化効果の最も顕著な点でもある。
【0034】
次に動作5の足型の形状の点検によって、さらに足型を正常、外反足や外反股、内反足や内反股の3つの観点から評価する。その結果、中足骨接触隆起部1、内側隆起部2、外側隆起部3、踵骨後部接触隆起部4の形状や高さは、以下に挙げる1、2、3、4で分類される。
【0035】
1.中足骨接触隆起部1の分類
(1)腹臥位(腹這い)で寝た状態で、足裏側の第1趾と第2趾の付け根の間に溝(横軸溝)がある場合。これは正常な状態なので、重心点A、外周B、重心点から踵点までの距離Eにより上記の方法で決定した中足骨接触隆起部1を、そのまま使用する。
(2)横軸溝がなく、第1趾から第5趾にかけて、足底に著しい凸状の隆起がある場合すなわち、本来凹状であるべき横アーチが凸状になっている場合。横アーチの形成を促すために、中足骨接触隆起部1の高さを高くする。
【0036】
以下2〜4の分類法は、足が(1)正常、(2)外反足や外反股、(3)内反足や内反股のいずれであるかによって、内側隆起部2、外側隆起部3、踵骨接触隆起部4の形状や高さを変える方法である。(1)〜(3)は、図6に示される踵部と床のなす内外の角度α、βの大きさから次のように区別される。
(1)正常の場合。踵部と床のなす内外の角度が等しい(α=β)。
(2)外反足や外反股の場合。踵部と床のなす角度が側の方が大きい(αβ)。
(3)内反足や内反股の場合。踵部と床のなす角度が側の方が大きい(αβ)。
ただし、矯正が必要な外反足や外反股又は、内反足や内反股が見られない場合は、内側隆起部2、外側隆起部3、踵骨接触隆起部4を特に取り付ける必要はなく、省略してもよい。あるいは、これらの隆起部のいずれか1つ又は複数の組み合わせを適宜選択して取り付けてもよい。
【0037】
2.内側隆起部2の分類
(1)正常の場合。内側隆起部2の高さを低く、奥行きを狭くする。
(2)外反足や外反股の場合。内側隆起部2の高さを高くし奥行きを深くしてよい。高さは足の前方を後方より高くする。
(3)内反足や内反股の場合。内側隆起部2の高さを低くし奥行きを深くする。高さは足の後方を前方より高くする。
【0038】
3.内側隆起部2と外側隆起部3の相対的な高さの分類
(1)正常の場合。内側隆起部2と外側隆起部3の高さを同一にする。
(2)外反足や外反股の場合。外側隆起部3の高さを内側隆起部2の高さより低くする
(3)内反足や内反股の場合。内側隆起部2の高さを外側隆起部3の高さより低くする。
【0039】
4.踵骨後部接触隆起部4の分類
(1)正常の場合。踵骨後部接触隆起部4の内側と外側の高さを同一にする。
(2)外反足や外反股の場合。踵骨後部接触隆起部4の内側の高さを外側の高さより高くする。
(3)内反足や内反股の場合。踵骨後部接触隆起部4の外側の高さを内側の高さより高くする。
【0040】
また、重度の外反母趾を有する場合は以上の4つの分類の他に、次の分類を追加する。すなわち、
5.第1趾と第2趾の重なりによる分類
(1)第1趾と第2趾が重なり合っていない場合。これは正常な状態なので、上記4分類から中敷きの形状を決める。
(2)第1趾と第2趾が重なり合っている重度の外反母趾の場合。中足骨接触隆起部1、内側隆起部2、外側隆起部3、踵骨後部接触隆起部4の他に、第1中足骨開放隆起部5を付け加える。
【0041】
第1中足骨開放隆起部5は、第1趾の第2趾側の側面と、第2趾の第1趾側の側面に接触し、第1趾と第2趾で挟み込むような場所に位置し、第1趾と第2趾の側面方向に伸びる棒状の隆起部で、他の4つの隆起部と同じ材質で作られてなだらかにつながっていてよい。第1中足骨開放隆起部5を取り付けることによって、第1中足骨開度が上がり、第1趾と第2趾が離れ、第1趾が正常な位置に安定する。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る中敷きを装着した履き物の試作品を作り、試着してもらった。その結果、従来の履き物に比べ、履き易さ、歩き易さが向上し、それに伴い疼痛も改善された。具体的な効果は以下のようであった。
(1)外反母趾、外反足、開帳足、縦アーチ、横アーチの低下・消失等の改善を促進した。
(2)踵の高い履き物を履いたときの、足の爪先方向への前滑り、足で地面を蹴るとき、急に走ったり、急に歩く、急に方向を変えるとき、履き物の中で足が爪先方向に滑ることを防止した。
個別実験の結果、特に中足骨接触隆起部に著しい効果があった。すなわち、第1趾が第2趾にやや上乗りしている外反母趾、又は全趾の変形しつつある外反母趾を伴う開帳足等が、3〜6ヶ月で改善した。また、中足骨接触隆起部、外側隆起部を併合した場合、膝関節の疼痛も外反母趾と共に解消した。
(3)下肢が安定することにより、腰部はもとより、全身的健康が望める。
(4)本発明に係る足型評価方法を標準化することで、本発明の疼痛対策履き物用中敷きを装着した履き物を、消費者に広く提供できるようになる。こうして履き物の外観の多様性と共に、中敷きの多様性が拡張普及すれば履き物の付加価値が増大し、消費者に一層満足して頂けるものである。
【0043】
【実施例】
図1に本発明に係る履き物用中敷きを、履き物に装着したときの三面図を示した。この中敷きは、中足骨接触隆起部1、内側隆起部2、外側隆起部3、踵骨後部接触隆起部4、第1中足骨開放隆起部5の計5つのなだらかな隆起部により形成されている。隆起部の材質は、例えばプラスチック、コルク、板ゴム、スポンジゴム等、足本来の形態を充分保持しうる程度の硬さを持つものが適している。中敷きの寸法や形態については、外周長A及びB、全長C、全幅D、重心点から踵点までの距離E、5項目から基部の寸法と中足骨接触隆起部1の形状及び高さを決定し、さらに5つの隆起部の形状と高さは、足が正常の場合、外反足や外反股の場合、内反足や内反股の場合の3つの観点から、また第1趾と第2趾の重なりの有無からさらに詳細に分類して製造できる。
【0044】
さらに上記の足型評価方法によって予め標準化した隆起部と基部を製造しておき、顧客の足のサイズ、形状に適した隆起部をいくつか組み合わせて、基部とともに受注、販売することができる。図7は、顧客と販売者、製造者3者間の双方向の情報の流れを示したものである。顧客が履き物を発注する際、履き物については、その外観は従来通りに広告等を利用して選択、決定できる。これと同様に中敷きの形態も、標準品の中から顧客ごとに選択することができるようになる。すなわち、中敷きの形状を標準化することで、迅速にしかも低コストで顧客に提供することが可能になる。
【0045】
次に、本発明に係る中敷きを装着した履き物の生産販売体系の提案をする。例えば、履き物の外皮と中敷き(隆起部と基部)は、販売店側で加工装着することで付加価値が高まり、また製造者ー販売者ー顧客間の情報をインターネット等を介してやりとりすることで、地域の遠近に関わらず、顧客の来店にかかる時間を短縮し、また経済的にも合理化を図ることができ、ひいては販売店側の商取引全般の拡張が促進される。さらに、足についての種々の情報を必要な部位で収集することができるため、製品の改善・向上を行いやすくする上、顧客の履き心地における満足度をはかるも可能となる。すなわち、製造者本意になりがちな製品を、消費者の立場に立った品質を有するものとして提供することが出来るようになる。これらは、ある種の履き物に対して実験的に行って、非常にスムーズで良い結果を得ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】履き物用中敷きを、履き物に装着したときの三面図であり、(A)は平面図、(B)は第5趾側から見た側面図、(C)は第1趾側から見た側面図をそれぞれ表す。
【図2】足骨格と中敷き4隆起部の関係を示した平面図
【図3】中敷きを履き物に装着したときの透視図
【図4】標準作りの要素をまとめた表
【図5】足型評価のための計測点を示す図
【図6】足の後面図、踵骨部及びアキレス腱部の傾斜を表す
【図7】顧客、販売者、製造者間の双方向情報の流れを示した模式図
【図8】従来例の外反母趾対策用中敷きの平面図
【符号の説明】
1 …中足骨接触隆起部
2 …内側隆起部
3 …外側隆起部
4 …踵骨後部接触隆起部
5 …第1中足骨開放隆起部
A …足先の重心点
A’…脛側中足点(第1趾中足基節間接裂隙)
A”…腓側中足点(第5趾中足基節間接裂隙)
B …足基の重心点
B’…脛側足根起点(足の舟状骨粗面)
B”…腓側足根起点(足の第5中足骨粗面)
C …全長;踵点から最も長い足趾の先端(足先点;第1趾の先端あるいは第2趾の先端)までの長さ
D …全幅;A’−A”間の長さ
E …重心点から踵点までの距離;A−F間の長さ
F …踵点(踵骨端)
α …踵部の内側と床のなす角度
β …踵部の外側と床のなす角度
μ …踵部及びアキレス腱部の傾斜

Claims (2)

  1. 第2中足骨上部から第5中足骨上部にわたって足裏と接触し、高さが第2遠位中足骨部で最高となる、なだらかな隆起部である中足骨接触隆起部に、
    楔状骨の内側1/2と舟状骨の内側1/2と距骨の下部に接触する内側隆起部と、第5中足骨後部と立方骨の外側部と踵骨前部に接触する外側隆起部と、踵骨後部及び踵骨部外縁に接触する踵骨後部接触隆起部のいずれもなだらかな隆起部の組み合わせを付け加え、
    これらの隆起部で囲まれた面が全体として凹状をなしている履き物用底部又は履き物用中敷き。
  2. 請求項1に記載の履き物用底部又は中敷きにおいて、第1趾の第2趾側の側面と第2趾の第1趾側の側面に接触し、第1趾と第2趾で挟み込むような場所に位置し、第1趾と第2趾の側面方向に伸びる棒状の、第1中足骨開度を上げる第1中足骨開放隆起部のなだらかな隆起部をさらに付け加えた履き物用底部又は履き物用中敷き。
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