JP3784640B2 - 波源検出装置及び波源検出方法 - Google Patents

波源検出装置及び波源検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は波源検出装置及び波源検出方法に関し、特に、波源から到来した広帯域の受信信号に対して相関や領域変換を用いて信号を圧縮し、波源を検出するための波源検出装置及び波源検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の波源検出装置の一つとして、例えば特開平11−237475号公報に示されたレーダ装置がある。図5は上記文献に示された従来のレーダ装置の一例を示す構成図である。なお、この場合の波源とは目標の散乱点を意味する。
【0003】
図5において、1は複数のパルスを送信する送信機、2は後述の制御回路42から入力される周波数制御信号に基づいて周波数を設定した信号を出力するステップ周波数発振器、3は送信機1に対してトリガ信号を発生するパルス変調器である。5は送受信を切り換える送受切換器、6は送受切換器5を介して送信機1から送信される複数のパルスを空間に放射し、また、目標から反射されたパルスを受けるアンテナ、7はアンテナ6からのパルスを受信して受信信号として出力する受信機、41は受信機7からの受信信号を記憶するメモリ、43はメモリ41から読み出されたデータに基づいて目標の散乱点を検出する超解像処理器である。制御回路42はステップ周波数発振器2に対して周波数制御信号を出力するとともに、メモリ41に対して送信周波数データを出力する。4は上述のメモリ41、制御回路42および超解像処理機43からなる超解像信号処理器である。
【0004】
次に、この従来のレーダ装置の動作について説明する。ステップ周波数発振器2は、制御回路42から入力される周波数制御信号に基づいて周波数を設定した信号を出力する。制御回路42は、各パルス毎に周波数が段階的に変化するように、周波数制御信号を制御して、ステップ周波数発振器2に出力する。この時、第m番目(m=1,2,…,M)に送信されるパルスの周波数Fは、周波数初期値をFo、周波数ステップ値をΔFとして、下記の式(1)に基づいて設定される。
【0005】
【数1】
Figure 0003784640
【0006】
送信機1は、ステップ周波数発振器2の出力を増幅し、パルス変調器3の送信トリガ信号に同期して、パルスを生成して出力する。送信機1から出力されたパルスは、送受切換器5を介してアンテナ6に給電され、アンテナ6より空間に放射される。次いでアンテナ6は、目標から反射されたパルスを受信し、送受切換器5を介して受信機7に出力する。この受信機7に入力されたパルスは、ビデオ信号に周波数変換された後、位相検波及びディジタル変換され、受信信号として超解像信号処理器4に出力される。
【0007】
超解像信号処理器4は、各パルス毎に受信信号を、制御回路42より入力された送信周波数データとともにメモリ41に記憶する。次いで超解像信号処理器4は、メモリ41に記憶された受信信号を各送信周波数毎に読み出し、これらのデータを超解像処理器43に出力する。
【0008】
ここで、超解像処理器43の動作について図6を用いて説明する。図6は、超解像処理器43の具体的回路構成の一例を示すブロック図である。図において、431は受信信号の相互相関値を要素とする相関行列の計算を行う相関行列算出手段、432は相関行列算出手段431で算出された相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列を算出する移動平均算出手段、433は移動平均算出手段432で算出された平均相関行列の固有値解析を行い最小固有値を求める固有値解析手段、434は固有値解析手段433で得られた最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出手段、435は評価関数算出手段434で算出された評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より目標の散乱点までの距離を推定する距離推定手段、436は相関行列算出手段431からの相関行列、固有値解析手段433からの最小固有値および距離推定手段435からの遅延時間に基づいて目標の散乱点の反射強度を推定する波源強度推定手段である。
【0009】
次に、動作について説明する。相関行列算出手段431は、メモリ41に記憶されている受信信号xmを各送信周波数毎に読み出し、下記の式(2)で定義される相関行列Rを算出する。ここで、受信信号xmの添え字mは、式(1)で与えられる送信周波数の第m番目を表わし、*は共役複素数を表わす。
【0010】
【数2】
Figure 0003784640
【0011】
次に移動平均算出手段432は、相関行列算出手段431から出力された相関行列の対角線に沿って次数M0(M0<M)のサブ行列をL個構成する。さらに相関行列から構成したL個のサブ行列R↓{1}(「↓{A}」はAを下付文字で表示することを示す)を平均化して下記の式(3)に定義される平均相関行列R↓{L}を算出する。
【0012】
【数3】
Figure 0003784640
【0013】
次いで、固有値解析手段433は平均相関行列R↓{L}の固有値解析を実行する。このとき、求められるM0個の固有値λm(m=1,2,…,M0)に対して、下記の式(4)に示す関係式が成り立つ。
【0014】
【数4】
Figure 0003784640
【0015】
ここで固有値解析手段433は、最小固有値λmin(=λk+1=λk+2=…=λM0)よりも大きい固有値の数を、目標の散乱点の数Kと推定する。次に、評価関数算出手段434は、固有値解析手段433により求めた最小固有値λm(m=k+1,…,M0)に対応する固有ベクトルen[ek+1,…,eM0]と下記の式(5)で与えられる伝搬遅延時間ベクトルa(tk)から、下記の式(6)で定義される評価関数P(t)を算出する。ここで、tkは遅延時間、F0は周波数初期値、ΔFは周波数ステップ値、Tはベクトルの転置、M0はサブ行列の次数、Hは複素共役転置をそれぞれ表わす。
【0016】
【数5】
Figure 0003784640
【0017】
次いで距離推定手段435は、評価関数算出手段434が出力した評価関数P(t)の振幅値のピークを、原点より検索し、ピークを与える遅延時間tkを求める。更に、距離推定手段435は、下記の式(7)により、レーダ装置から目標の各散乱点(波源)までの距離rk(k=1,2,…,K)を算出する。
【0018】
【数6】
Figure 0003784640
【0019】
次に、波源強度推定手段436は、下記の式(8)で定義される伝搬遅延時間ベクトルa(tk)、下記の式(9)で定義される行列Aを、それぞれ距離推定手段435より入力した遅延時間tkを代入して計算する。ここで、tkは遅延時間、F0は周波数初期値、ΔFは周波数ステップ値、Tはベクトルの転置、M0は相関行列の次数をそれぞれ表わす。
【0020】
【数7】
Figure 0003784640
【0021】
更に波源強度推定手段436は、行列A、相関行列R、最小固有値λmin、M×Mの単位行列Iから、下記の式(10)により行列Sを算出する。
【0022】
【数8】
Figure 0003784640
【0023】
また、波源強度推定手段436は、算出した行列Sの対角項から、目標の各散乱点の反射強度を推定する。このようにして超解像処理器43は、距離推定手段435により推定した目標の各散乱点までの距離(波源の距離)と、波源強度推定手段436により推定した目標の各散乱点の反射強度(波源の強度)をもとに目標散乱点を検出する。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のレーダ装置における超解像処理は、以上のように構成されているので、平均相関行列R↓{L}のM0個の固有値λm(m=1,2,…,M0)が式(4)の関係を満たさないような場合には、固有値解析手段433において、波源の数Kを正確に推定することができない。波源数の推定を誤ると最終的に波源の距離および波源の強度が正確に推定できないという問題点があった。
【0025】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、信号の帯域で規定される距離分解能以上の解像度での波源位置の検出を行う波源推定装置において、波源数を正確に推定し、ひいては、波源の距離(波源位置)および波源の強度を正確に推定することを可能とする波源検出装置および波源検出方法を得ることを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
この発明は、波源からの反射信号を受信信号として受信し、上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列を求め、上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均を示す平均相関行列を算出し、上記平均相関行列の最小固有値と上記受信信号の伝搬遅延時間とから定義される評価関数を用いて、上記平均相関行列の最小固有値に対する上記評価関数の振幅値のピークを与える遅延時間を推定し、上記遅延時間の推定値に基づいて上記波源の反射の強度と位相情報を複素数形式で表す信号である複素振幅を推定して、上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから上記波源を検出する超解像処理器と、上記超解像処理器によって検出された上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値との妥当性を判定する判定手段と、上記判定手段により上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とが妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理器を反復して動作させるための制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする波源検出装置である。
【0027】
また、超解像処理器が、受信信号の相互相関値を要素とする相関行列の計算を行う相関行列算出手段と、相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列を算出する移動平均算出手段と、平均相関行列の固有値解析を行う固有値解析手段と、制御手段によって与えられる波源数の仮定値に基づいて、固有値解析の結果得られた平均相関行列の固有ベクトルから、必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択手段と、固有ベクトル選択手段によって選択された固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出手段と、評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より波源までの距離を推定する距離推定手段と、遅延時間の推定値を用いて、波源の複素振幅を推定する複素振幅推定手段とを有し、判定手段が、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号とを比較して、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値との妥当性を判定し、制御手段が、判定手段により波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値が妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理器を動作させる。
【0028】
また、超解像処理器が、さらに固有値解析手段によって得られた固有値を用いて、波源数の推定を行うことによって、制御手段に対して、波源数の仮定値の初期値を与える波源仮定数初期値設定手段を有する。
【0029】
また、判定手段が、波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号との差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと受信機雑音電力の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値との妥当性を評価する。
【0030】
また、判定手段が、固有値解析手段において求められた全ての固有値のうちから、値の大きいほうから順に数えて、制御手段によって与えられる波源数の仮定値に、ある定数を加えた数だけ除いたものの平均値を求め、これを雑音電力の推定値とし、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと雑音電力の推定値の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を評価する。
【0031】
また、この発明は、波源からの反射信号を受信信号として受信し、上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列を求め、上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均を示す平均相関行列を算出し、上記平均相関行列の最小固有値と上記受信信号の伝搬遅延時間とから定義される評価関数を用いて、上記平均相関行列の最小固有値に対する上記評価関数の振幅値のピークを与える遅延時間を推定し、上記遅延時間の推定値に基づいて上記波源の複素振幅を推定して、上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから上記波源を検出する超解像処理ステップと、上記超解像処理ステップによって検出された上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値との妥当性を判定する判定ステップと、上記判定ステップにより上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とが妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理ステップと上記判定ステップとを反復して動作させるための制御を行う制御ステップとを備えた波源検出方法である。
【0032】
また、超解像処理ステップが、受信信号の相互相関値を要素とする相関行列の計算を行う相関行列算出ステップと、相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列を算出する移動平均算出ステップと、平均相関行列の固有値解析を行う固有値解析ステップと、固有値解析の結果得られた平均相関行列の固有ベクトルから、制御ステップによって与えられる波源数の仮定値に基づいて必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択ステップと、固有ベクトル選択ステップによって選択された固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出ステップと、評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より波源までの距離を推定する距離推定ステップと、遅延時間の推定値を用いて、波源の複素振幅を推定する複素振幅推定ステップとを含み、判定ステップが、波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号とを比較して、波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値の妥当性を判定し、制御ステップが、判定ステップによって波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値が妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて超解像処理ステップを動作させる。
【0033】
また、超解像処理ステップが、固有値解析ステップによって得られた固有値を用いて、波源数の推定を行うことによって、制御ステップが与える波源数の仮定値の初期値を与える波源仮定数初期値設定ステップを含む。
【0034】
また、判定ステップが、波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と上記受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと受信機雑音電力の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を評価する。
【0035】
また、判定ステップが、固有値解析ステップにおいて求められた全ての固有値のうちから、値の大きいほうから順に数えて、制御ステップによって与えられる波源数の仮定値に、ある定数を加えた数だけ除いたものの平均値を求め、これを雑音電力の推定値とし、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと雑音電力の推定値の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を評価する。
【0036】
また、制御ステップが、波源数の仮定値について、その初期値からはじまり、超解像処理ステップを反復する際に、1回目の反復では、波源数の仮定値を1増やし、2回目の反復では波源数の仮定値を2減らし、3回目では波源数の仮定値を3増やすというように、初期値から初めて増加、減少を繰り返すように制御する。
【0037】
また、制御ステップが、予め定められた回数だけ上記超解像処理ステップを反復するように制御し、判定ステップにおいては、全ての反復で得られた波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値を比較して、最適と判定したものを最終的な波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値と判定する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図を参照して説明する。
【0039】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における波源検出装置の構成を示す構成図である。図1において、43Aは、波源から到来した受信信号から算出した平均相関行列の最小固有値に対する評価関数の振幅値のピークを与える遅延時間と、当該遅延時間の推定値に基づく波源の複素振幅とから波源を検出する超解像処理器、437Aは後述する制御手段からの信号に基づいて平均相関行列の固有ベクトルから必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択手段、438Aは距離推定手段435により推定された遅延時間の推定値を用いて波源の複素振幅を推定する複素振幅推定手段、439Aは超解像処理器43Aによって検出された波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を判定する判定手段、440Aは判定手段により妥当であると判定されるまで超解像処理の条件を変化させて超解像処理器43Aを反復して動作させる制御手段である。なお、図において、41、431、432、433、434、435は、上述した図6と同様である。
【0040】
図2は本実施の形態の処理内容を説明するための図である。図3は本実施の形態の処理手順をまとめたフローチャートである。
【0041】
動作について説明する。受信信号はまず、メモリ41に蓄積される。この受信信号は、時間領域の信号を領域変換した信号であって、例えば、時間領域の信号をフーリエ変換して得られる周波数領域の信号がこれにあたる。本実施の形態においては、受信信号は、この周波数領域の信号であるとして説明する。従来の技術において述べたレーダ装置は、各周波数毎にデータを取得して、周波数領域の信号を得ていたが、この他にも、例えば、チャープパルスを送信し、反射波を受信してこの信号と、送信チャープ波形の相関をとったものをフーリエ変換すれば同様な周波数領域の信号を得ることができることは、例えば High Resolution Radar(D. R. Wehner著, 1987年)に示されており、周知である。
【0042】
メモリ41に蓄積された受信信号は、超解像処理器43Aに送られる。相関行列算出手段431と移動平均算出手段432及び固有値解析手段433の動作は、従来の技術の項で説明したものと同様である。ただし、従来の技術で紹介した文献においては固有値解析手段433において、最小固有値λmin(=λk+1=λk+2=…=λM0)よりも大きい固有値の数を、波原数Kと推定しているが、実際に観測値から得られる固有値は一般に次式の関係を満たしており、最小固有値λminは一意に定まらない。
【0043】
【数9】
Figure 0003784640
【0044】
固有値解析手段433において得られた固有値および固有ベクトルの値は、固有ベクトル選択手段437Aに送られる。固有ベクトル選択手段437Aは固有値λm (m=H+1,…,M0)に対応する固有ベクトル en=[eH+1,…,eM0]を選択する。ここで、Hは制御手段440Aによって与えられる波源数の仮定値であり、正の整数である。この制御手段440Aの動作は後述する。固有ベクトル選択手段437Aによって選択された固有ベクトルは評価関数算出手段434に送られる。評価関数算出手段434の動作は従来の技術の項で説明したものと同様であり、固有ベクトルen=[eH+1,…,eM0]と式(5)で与えられる伝搬遅延時間ベクトルa(tk)から、下記の式(12)で定義される評価関数PH(t)を算出する。
【0045】
【数10】
Figure 0003784640
【0046】
評価関数算出手段434によって得られた評価関数PH(t)は距離推定手段435に送られる。距離推定手段435の動作は従来の技術の項で説明したものと同様であり、評価関数PH(t)の振幅値のピークを、原点より検索し、ピークを与える遅延時間thを求める。更に、距離推定手段435は、式(7)と同様の計算で、レーダ装置から目標の各散乱点までの距離rh(h=1,2,…,H)を算出する。
【0047】
次に複素振幅推定手段438Aの動作について説明する。まず、距離推定手段435によって推定された伝搬遅延時間thに対応する伝播遅延ベクトルa(th)と、これらをまとめた行列である推定伝播遅延ベクトル行列AHを、それぞれ下記の式(13)、式(14)のように定義する。
【0048】
【数11】
Figure 0003784640
【0049】
複素振幅推定手段438Aは、推定伝播遅延ベクトル行列AHと、受信信号ベクトルX=[x1,x2,…,xM]を用いて、各伝播遅延時間thに対応する複素振幅SHを、以下の式(15)にしたがって算出する。
【0050】
【数12】
Figure 0003784640
【0051】
次に、判定手段439Aの動作を説明する。まず、距離推定手段435によって推定された伝搬遅延時間thに対応する伝播遅延ベクトルa(th)と、複素振幅推定手段438Aによって推定された複素振幅SHとから、下記の式(17)によって受信信号の推定値Xeを再構成する(図2参照)。
【0052】
【数13】
Figure 0003784640
【0053】
判定手段439Aは、この上記の式(17)によって再構成された受信信号の推定値Xeと受信信号Xとの差分信号EHを下記の式(18)によって算出する。
【0054】
【数14】
Figure 0003784640
【0055】
さらに、判定手段439Aは、この差分信号EHを用いて、距離推定手段435によって推定された伝搬遅延時間th、および、複素振幅推定手段438Aによって推定された複素振幅SHが、波源の推定値として適当であるかを判定し、その結果を制御手段440Aに送る。この判定の実現方法の一つとして、以下のようなものがある。まず、下記の式(19)によって、差分信号EHの平均パワーεHを算出する。
【0056】
【数15】
Figure 0003784640
【0057】
この平均パワーεHと受信機雑音電力σの差分 |εH―σ| を予め定めた定数αと比較することにより、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を評価する。|εH―σ|>α の場合は、制御手段440Aによって定められた波源数の仮定値Hに基づいて、距離推定手段435によって推定された伝搬遅延時間th、複素振幅推定手段438Aによって推定された複素振幅SHは、波源の推定値として適当でないと判定する。逆に、|εH―σ|<α、または、|εH―σ|=αの場合は、これらの推定値th、SHは、波源の推定値として適当であると判定する。なお、受信機雑音電力σは事前に計測しておくものとする。
【0058】
次に制御手段440Aの動作について説明する。判定手段439Aの判定結果が、『上記の推定値th、SHは波源の推定値として不適当』というものであった場合、制御手段440Aは波源数の仮定値Hの値を1増加させて、固有ベクトル選択手段437Aに入力する。固有ベクトル選択手段437Aと、評価関数算出手段434と距離推定手段435と複素振幅推定手段438Aは、この新たな波源数の仮定値Hに基づいて、再び上述した手順で波源推定を行う。逆に、判定手段439Aの判定結果が、『上記の推定値th、SHは波源の推定値として適当』というものであった場合、制御手段440Aはそこで処理を終了させる。超解像処理器43Aの出力は、このときの波源推定値th、SH (h=1,2,…,H)である。なお、制御手段440Aにおいて設定する波源数の仮定値Hの初期値は整数Nとし、この値は事前に決定しておくものとする。
【0059】
また、式(15)によって得られるεHは雑音電力に対して、(M−H)/M倍されているため、上述の差分|εH―σ|を用いるかわりに、下記の式(20)で表される値を用いてもよい。
【0060】
【数16】
Figure 0003784640
【0061】
以上のように、本実施の形態においては、超解像処理器43Aが、受信信号の相互相関値を要素とする相関行列Rの計算を行う相関行列算出手段431と、相関行列Rの一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列Rバーを算出する移動平均算出手段432と、平均相関行列Rバーの固有値解析を行う固有値解析手段433と、固有値解析の結果得られた平均相関行列Rバーの固有ベクトルから、制御手段440Aによって与えられる波源数の仮定値Hに基づいて必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択手段437Aと、固有ベクトル選択手段437Aによって選択された固有ベクトルを用いて評価関数PH(t)を計算する評価関数算出手段434と、評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より波源までの距離を推定する距離推定手段435と、遅延時間の推定値を用いて、波源の複素振幅を推定する複素振幅推定手段438Aとを有し、判定手段439Aが波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号とを比較して、波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値の妥当性を判定し、また、制御手段440Aが判定手段439Aによって波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値が妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて超解像処理器43Aを動作させるようにしたので、図6に示した従来の技術では、波源の数を正確に推定することができず、波源の距離および波源の強度が正確に推定できない場合にも、波源の数、波源の距離、波源の強度を正確に推定することが可能となるという効果が得られる。
【0062】
実施の形態2.
実施の形態1で示した判定手段439Aにおいて、距離推定手段435によって推定された伝搬遅延時間th、複素振幅推定手段438Aによって推定された複素振幅SHが、波源の推定値として適当であるかを判定する方法は、次のように構成しても良い。まず、固有値解析手段433で得られた固有値を用いて、下記の式(21)によって雑音電力推定値σeを求める。
【0063】
【数17】
Figure 0003784640
【0064】
波源数の仮定値をHとした場合、λ1,…,λHの値は、波源からの反射電力に対応する値であり、λH+1,・・・,λM0 は雑音電力に対応する値である。式(21)は、固有値解析手段433において求められた全ての固有値のうちから、値の大きいほうから順に数えて、制御手段440Aによって与えられる波源数の仮定値Hに、ある定数を加えた数だけ除いたものの平均値を求め、これを雑音電力の推定値とするものである。上記の式(21)によって得られたσeを実施の形態1で用いた受信機雑音電力σの代わりに用いて、実施の形態1と同様にしては波源の推定値th,SHが適当であるかを判定する。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加えて、受信機雑音電力が未知の場合にも、波源を正確に推定することを可能とする効果が得られる。
【0066】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3を示す構成図である。図において、43Bは本実施の形態における超解像処理器、441Bは、固有値解析手段433によって得られた固有値を用いて波源数の推定を行うことにより、制御手段440Aに対して波源数の仮定値の初期値を与える波源仮定数初期値決定手段である。なお、437A、438A、439A、440A、41、431、432、433、434、435は図1と同様である。
【0067】
実施の形態1で示した制御手段440Aにおいては、波源数の仮定値Hの初期値として、整数Nを事前の設定値として与えていた。これに対し、本実施の形態では、波源数の仮定値Hの初期値を波源仮定数初期値決定手段441Bにおいて決定する。それ以外の処理については実施の形態1と同様である。ここでは、波源仮定数初期値決定手段441Bの動作について説明する。固有値解析手段433において得られた固有値λ1,λ2,…,λM0に対し、波源仮定数初期値決定手段441Bは下記の式(22)で定義される固有値の差の変化率Dm(m=1,2,・・・,M0−1)を計算する。
【0068】
【数18】
Figure 0003784640
【0069】
固有値λ1,λ2,…,λM0が式(4)の関係を満たしている場合、mが波源数と一致する場合に、Dmは無限大となり、最大値をとる。したがって、Dmを最大とするmをここでは波源数の仮定値の初期値Nとする。一般に、固有値の関係については、式(4)は成立せず、式(11)の関係が成立することは既に述べたが、この場合でも、Dmを最大とするmは、波源数にちかく、また若干小さめの値となる傾向があるので、波源数の仮定値の初期値として適している。
【0070】
本実施の形態をとることによって、実施の形態1の効果に加えて、波源の仮定数の初期値を波源数に近づけることができるため、演算量を減少させることができる。
【0071】
実施の形態4.
実施の形態1で示した制御手段440Aにおいて、反復毎に波源数の仮定値Hを1ずつ増加させていく代わりに、初期値をNとして、i回目の反復における波源数の仮定値Hiを下記の式(23)によって決定する。
【0072】
【数19】
Figure 0003784640
【0073】
上記の式(23)は、波源数の仮定値Hについて、その初期値Nからはじまり、超解像ステップを反復する際に、1回目の反復では、波源数の仮定値を1増やし、2回目の反復では波源数の仮定値を2減らし、3回目では波源数の仮定値を3増やすというように、初期値Nから始めて増加、減少を繰り返すようにしたものである。
【0074】
本実施の形態をとることによって、実施の形態1の効果に加えて、波源数の仮定値の初期値を波源数に近づけることができるため、演算量を減少させることができる。
【0075】
実施の形態5.
実施の形態1で示した制御手段440Aにおいては、判定手段439Aが、波源の推定値th,SHは適当であると判定した場合に、処理を終了する構成になっている。これに対し、本実施の形態では、波源数の仮定値Hを変化させながら、予め決められた回数だけ反復を行うようにする。判定手段439Aにおいては、各反復毎に得られる|εH−σ|の値を蓄積しておき、|εH−σ|が予め定めた定数βに最も近くなる場合のHを波源数の仮定値Hの推定値として適当であると判定し、このときのth,SHをそれぞれ、波源位置、複素振幅の推定値とする。
【0076】
本実施の形態においては、制御手段440Aが、予め定められた回数だけ超解像ステップを反復するように制御し、判定手段439Aにおいては、全ての反復で得られた波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値を比較して、最適と判定したものを最終的な波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値と判定するようにしたので、従来の技術では波源の数を正確に推定することができず、波源位置および波源強度が正確に推定できなかった場合にも、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することが可能となるという効果が得られる。
【0077】
【発明の効果】
この発明は、波源からの反射信号を受信信号として受信し、上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列を求め、上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均を示す平均相関行列を算出し、上記平均相関行列の最小固有値と上記受信信号の伝搬遅延時間とから定義される評価関数を用いて、上記平均相関行列の最小固有値に対する上記評価関数の振幅値のピークを与える遅延時間を推定し、上記遅延時間の推定値に基づいて上記波源の反射の強度と位相情報を複素数形式で表す信号である複素振幅を推定して、上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから上記波源を検出する超解像処理器と、上記超解像処理器によって検出された上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値との妥当性を判定する判定手段と、上記判定手段により上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とが妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理器を反復して動作させるための制御を行う制御手段とを備えたことを特徴とする波源検出装置であるので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0078】
また、超解像処理器が、受信信号の相互相関値を要素とする相関行列の計算を行う相関行列算出手段と、相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列を算出する移動平均算出手段と、平均相関行列の固有値解析を行う固有値解析手段と、制御手段によって与えられる波源数の仮定値に基づいて、固有値解析の結果得られた平均相関行列の固有ベクトルから、必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択手段と、固有ベクトル選択手段によって選択された固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出手段と、評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より波源までの距離を推定する距離推定手段と、遅延時間の推定値を用いて、波源の複素振幅を推定する複素振幅推定手段とを有し、判定手段が、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号とを比較して、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値との妥当性を判定し、制御手段が、判定手段により波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値が妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理器を動作させるようにしたので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0079】
また、超解像処理器が、さらに固有値解析手段によって得られた固有値を用いて、波源数の推定を行うことによって、制御手段に対して、波源数の仮定値の初期値を与える波源仮定数初期値設定手段を有するようにしたので、波源の仮定数の初期値を波源数に近づけることができるため、演算量を減少させることができる。
【0080】
また、判定手段が、波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号との差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと受信機雑音電力の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値との妥当性を評価するようにしたので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0081】
また、判定手段が、固有値解析手段において求められた全ての固有値のうちから、値の大きいほうから順に数えて、制御手段によって与えられる波源数の仮定値に、ある定数を加えた数だけ除いたものの平均値を求め、これを雑音電力の推定値とし、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと雑音電力の推定値の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を評価するようにしたので、受信機雑音電力が未知の場合にも、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0082】
また、この発明は、波源からの反射信号を受信信号として受信し、上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列を求め、上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均を示す平均相関行列を算出し、上記平均相関行列の最小固有値と上記受信信号の伝搬遅延時間とから定義される評価関数を用いて、上記平均相関行列の最小固有値に対する上記評価関数の振幅値のピークを与える遅延時間を推定し、上記遅延時間の推定値に基づいて上記波源の反射の強度と位相情報を複素数形式で表す信号である複素振幅を推定して、上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから上記波源を検出する超解像処理ステップと、上記超解像処理ステップによって検出された上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値との妥当性を判定する判定ステップと、上記判定ステップにより上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とが妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理ステップと上記判定ステップとを反復して動作させるための制御を行う制御ステップとを備えた波源検出方法であるので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0083】
また、超解像処理ステップが、受信信号の相互相関値を要素とする相関行列の計算を行う相関行列算出ステップと、相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列を算出する移動平均算出ステップと、平均相関行列の固有値解析を行う固有値解析ステップと、固有値解析の結果得られた平均相関行列の固有ベクトルから、制御ステップによって与えられる波源数の仮定値に基づいて必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択ステップと、固有ベクトル選択ステップによって選択された固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出ステップと、評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より波源までの距離を推定する距離推定ステップと、遅延時間の推定値を用いて、波源の複素振幅を推定する複素振幅推定ステップとを含み、判定ステップが、波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号とを比較して、波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値の妥当性を判定し、制御ステップが、判定ステップによって波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値が妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて超解像処理ステップを動作させるようにしたので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0084】
また、超解像処理ステップが、固有値解析ステップによって得られた固有値を用いて、波源数の推定を行うことによって、制御ステップが与える波源数の仮定値の初期値を与える波源仮定数初期値設定ステップを含むので、波源の仮定数の初期値を波源数に近づけることができるため、演算量を減少させることができる。
【0085】
また、判定ステップが、波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と上記受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと受信機雑音電力の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を評価するようにしたので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0086】
また、判定ステップが、固有値解析ステップにおいて求められた全ての固有値のうちから、値の大きいほうから順に数えて、制御ステップによって与えられる波源数の仮定値に、ある定数を加えた数だけ除いたものの平均値を求め、これを雑音電力の推定値とし、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと雑音電力の推定値の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値の妥当性を評価するようにしたので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することができる。
【0087】
また、制御ステップが、波源数の仮定値について、その初期値からはじまり、超解像処理ステップを反復する際に、1回目の反復では、波源数の仮定値を1増やし、2回目の反復では波源数の仮定値を2減らし、3回目では波源数の仮定値を3増やすというように、初期値から初めて増加、減少を繰り返すように制御するようにしたので、波源の仮定数の初期値を波源数に近づけることができるため、演算量を減少させることができる。
【0088】
また、制御ステップが、予め定められた回数だけ上記超解像処理ステップを反復するように制御し、判定ステップにおいては、全ての反復で得られた波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値を比較して、最適と判定したものを最終的な波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値と判定するようにしたので、波源数、波源位置、波源強度を正確に推定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による波源検出装置の構成を示したブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態1による波源検出装置の処理内容を説明するための説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態1による波源検出装置の処理手順(すなわち、波源検出方法)を示した流れ図である。
【図4】 本発明の実施の形態3による波源検出装置の構成を示したブロック図である。
【図5】 従来のレーダ装置の構成を示したブロック図である。
【図6】 従来のレーダ装置に設けられた超解像処理器の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
1 送信機、2 ステップ周波数発信機、3 パルス変調器、4 超解像信号処理器、5 送受切換器、6 アンテナ、7 受信機、41 メモリ、42 制御回路、43,43A,43B 超解像処理器、431 相関行列算出手段、432 移動平均算出手段、433 固有値解析手段、434 評価関数算出手段、435 距離推定手段、437A 固有ベクトル選択手段、438A 複素振幅推定手段、439A 判定手段、440A 制御手段、441B 波源仮定数初期値決定手段。

Claims (12)

  1. 波源からの反射信号を受信信号として受信し、上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列を求め、上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均を示す平均相関行列を算出し、上記平均相関行列の最小固有値と上記受信信号の伝搬遅延時間とから定義される評価関数を用いて、上記平均相関行列の最小固有値に対する上記評価関数の振幅値のピークを与える遅延時間を推定し、上記遅延時間の推定値に基づいて上記波源の反射の強度と位相情報を複素数形式で表す信号である複素振幅を推定して、上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから上記波源を検出する超解像処理器と、
    上記超解像処理器によって検出された上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値との妥当性を判定する判定手段と、
    上記判定手段により上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とが妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理器を反復して動作させるための制御を行う制御手段と
    を備えたことを特徴とする波源検出装置。
  2. 上記超解像処理器が、
    上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列の計算を行う相関行列算出手段と、
    上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列を算出する移動平均算出手段と、
    上記平均相関行列の固有値解析を行う固有値解析手段と、
    上記制御手段によって与えられる波源数の仮定値に基づいて、上記固有値解析の結果得られた上記平均相関行列の固有ベクトルから、必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択手段と、
    上記固有ベクトル選択手段によって選択された上記固有ベクトルを用いて上記評価関数を計算する評価関数算出手段と、
    上記評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より上記波源までの距離を推定する距離推定手段と、
    上記遅延時間の推定値を用いて、上記波源の複素振幅を推定する複素振幅推定手段と
    を有し、
    上記判定手段が、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから再構成される上記受信信号の推定値と上記受信信号とを比較して、上記波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値との妥当性を判定し、
    上記制御手段が、上記判定手段により上記波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値が妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理器を動作させる
    ことを特徴とする請求項1記載の波源検出装置。
  3. 上記超解像処理器が、さらに
    上記固有値解析手段によって得られた固有値を用いて、波源数の推定を行うことによって、上記制御手段に対して、波源数の仮定値の初期値を与える波源仮定数初期値設定手段
    を有することを特徴とする請求項2記載の波源検出装置。
  4. 上記判定手段が、
    上記波源の遅延時間の推定値と、上記複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と上記受信信号との差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと受信機雑音電力の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値との妥当性を評価する
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の波源検出装置。
  5. 上記判定手段が、
    上記固有値解析手段において求められた全ての固有値のうちから、値の大きいほうから順に数えて、上記制御手段によって与えられる波源数の仮定値に、ある定数を加えた数だけ除いたものの平均値を求め、これを雑音電力の推定値とし、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と上記受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと上記雑音電力の推定値の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値の妥当性を評価する
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の波源検出装置。
  6. 波源からの反射信号を受信信号として受信し、上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列を求め、上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均を示す平均相関行列を算出し、上記平均相関行列の最小固有値と上記受信信号の伝搬遅延時間とから定義される評価関数を用いて、上記平均相関行列の最小固有値に対する上記評価関数の振幅値のピークを与える遅延時間を推定し、上記遅延時間の推定値に基づいて上記波源の反射の強度と位相情報を複素数形式で表す信号である複素振幅を推定して、上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから上記波源を検出する超解像処理ステップと、
    上記超解像処理ステップによって検出された上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値との妥当性を判定する判定ステップと、
    上記判定ステップにより上記波源の上記遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とが妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理ステップと上記判定ステップとを反復して動作させるための制御を行う制御ステップと
    を備えたことを特徴とする波源検出方法。
  7. 上記超解像処理ステップが、
    上記受信信号の相互相関値を要素とする相関行列の計算を行う相関行列算出ステップと、
    上記相関行列の一部からサブ行列を構成し、これらのサブ行列の移動平均から平均相関行列を算出する移動平均算出ステップと、
    上記平均相関行列の固有値解析を行う固有値解析ステップと、
    上記固有値解析の結果得られた上記平均相関行列の固有ベクトルから、上記制御ステップによって与えられる波源数の仮定値に基づいて必要な固有ベクトルを選択する固有ベクトル選択ステップと、
    上記固有ベクトル選択ステップによって選択された固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出ステップと、
    上記評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与える遅延時間より上記波源までの距離を推定する距離推定ステップと、
    上記遅延時間の推定値を用いて、上記波源の複素振幅を推定する複素振幅推定ステップとを含み、
    上記判定ステップが、上記波源の遅延時間の推定値と複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と上記受信信号とを比較して、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値の妥当性を判定し、
    上記制御ステップが、上記判定ステップによって上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値が妥当と判定されるまで、波源数の仮定値を変化させて上記超解像処理ステップを動作させる
    ことを特徴とする請求項6記載の波源検出方法。
  8. 上記超解像処理ステップが、
    上記固有値解析ステップによって得られた固有値を用いて、波源数の推定を行うことによって、上記制御ステップが与える波源数の仮定値の初期値を与える波源仮定数初期値設定ステップを含む
    ことを特徴とする請求項7記載の波源検出方法。
  9. 上記判定ステップが、
    上記波源の遅延時間の推定値と、複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と上記受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと受信機雑音電力の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値の妥当性を評価する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の波源検出方法。
  10. 上記判定ステップが、
    上記固有値解析ステップにおいて求められた全ての固有値のうちから、値の大きいほうから順に数えて、上記制御ステップによって与えられる波源数の仮定値に、ある定数を加えた数だけ除いたものの平均値を求め、これを雑音電力の推定値とし、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値とから再構成される受信信号の推定値と上記受信信号の差分信号を計算し、その差分信号の平均パワーと上記雑音電力の推定値の差分をもとめ、この差分を予め定めた定数と比較することによって、上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値の妥当性を評価する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の波源検出方法。
  11. 上記制御ステップが、
    波源数の仮定値について、その初期値からはじまり、上記超解像処理ステップを反復する際に、1回目の反復では、波源数の仮定値を1増やし、2回目の反復では波源数の仮定値を2減らし、3回目では波源数の仮定値を3増やすというように、初期値から初めて増加、減少を繰り返すように制御する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の波源検出方法。
  12. 上記制御ステップが、予め定められた回数だけ上記超解像処理ステップを反復するように制御し、
    上記判定ステップにおいては、全ての反復で得られた上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値を比較して、最適と判定したものを最終的な上記波源の遅延時間の推定値と上記複素振幅の推定値と判定する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の波源検出方法。
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