JP3784552B2 - 加工機械 - Google Patents

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    • B05B7/00Spraying apparatus for discharge of liquids or other fluent materials from two or more sources, e.g. of liquid and air, of powder and gas
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削工具による切削加工位置へ冷却流体を吹き付ける冷却装置を備えた加工機械に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、マシニングセンタなどの工作機械における切削加工においては、冷却や潤滑を目的として、切削工具による切削加工位置に向けて、エアー、ミストエアー(オイルを霧状にしてエアー内に混在させたもの)、クーラント液などを吹き付けることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エアーやミストエアーを吹き付けるものは、比較的構造が簡単であるという利点があるものの、冷却効果が低いという欠点がある。
また、クーラント液の吹き付けは、冷却効果は高いが、吹き付けられたクーラント液の回収、切り粉の分離など装置自体が複雑化するという欠点がある。
【0004】
本発明の目的は、このような課題を解決すべくなされたもので、簡単な構成で、高い冷却効果が得られる冷却装置を備えた加工機械を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の加工機械は、ハウジングに空気軸受を介して回転可能に支承された主軸を有する加工機械であって、前記主軸に着脱可能に取り付けられる工具による切削加工位置へ冷却流体を吹き付ける冷却装置を備え、この冷却装置は、冷却ノズルと、内パイプと、圧縮空気源と、潤滑油滴下装置とを備え、前記冷却ノズルには、前記圧縮空気源からの圧縮空気を導入する導入口と、この導入口に連通流路を介して連通され圧縮空気を噴出する噴出口とがそれぞれ形成されているとともに、前記連通流路には、導入口から噴出口に向かうに従って内径が次第に小さくなるテーパ孔状の差圧形成手段が設けられ、前記内パイプは、基端側が前記潤滑油滴下装置に接続され、かつ、先端側が前記冷却ノズルの前記導入口から挿入され前記連通流路内に臨ませられ、前記噴出口から噴出される圧縮空気の流速が200m/sec〜400m/secとなるように、前記圧縮空気源の圧力、前記差圧形成手段の寸法および前記噴出口の寸法が決定され、前記噴出口は、内径が0.5〜1.5mmで、かつ、長さが1.0〜2.0mmに形成され、前記圧縮空気源は、前記空気軸受に供給する圧縮空気の圧縮空気源を兼ね、前記冷却ノズルが工具とワークとの加工位置に向けて配置されていることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、ノズル本体の導入口に導入された圧縮空気は、連通流路に設けられた差圧形成手段のテーパ孔を通って、噴出口から200m/ sec 〜400m/ secの流速で噴出される。このとき、圧縮空気は、急激に減圧されるため、温度が低下する。
たとえば、導入口側に導入された空気圧と噴出口側から噴出される空気圧との差圧が略1気圧、具体的には、0.7〜1.2気圧程度で、かつ、噴出口から噴出される圧縮空気の流速が略マッハの流速になるように構成されていた場合、圧縮空気の温度は約20℃前後低下する。従って、特別に冷却装置を設けることなく、簡単な構成で、高い冷却効果を得ることができる。
また、潤滑油滴下装置から滴下された潤滑油は、内パイプ内を通ってその先端側まで達する。すると、その内パイプの外側流路を流れる圧縮空気によって霧状になって圧縮空気とともに、噴出口から吹き出されるから、冷却効果に加え、潤滑性の効果を併せ持つことができる。
【0007】
この際、噴出口の形状は、内径が0.5〜1.5mmで、かつ、長さが1.0〜2.0mmがよく、好ましくは、内径が0.8〜1.2mmで、かつ、長さが1.3〜1.7mmがよい。
【0009】
本発明の加工機械において、前記冷却ノズルの導入口および前記圧縮空気源を接続する外パイプが設けられ、この外パイプと前記内パイプとが二重構造の導管で構成されていることが好ましい。
【0011】
ここで、前記工具は、ハウジングに非接触軸受を介して回転可能に支承された主軸に着脱可能に取り付けられていることが望ましい。
非接触軸受で支承された主軸、たとえば、空気軸受で支承された主軸の場合、30,000〜50,000rpmで高速回転させることができるから、切り込み量が少なくても、切削送り速度を大きくすることによって能率的な加工を行える。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の冷却装置を用いたNC加工機械を示す斜視図である。同図に示すように、本実施形態に係るNC加工機械は、NC装置により制御される工作機械であって、ベース1と、このベース1上に設置された機械本体11と、この機械本体11の駆動を制御するNC装置41とを備える。
【0014】
前記機械本体11は、前記ベース1の上面にレベラなどを介して据え付けられたベッド12と、このベッド12の上面に前後方向(Y軸方向)へ移動可能に設けられたテーブル13と、前記ベッド12の両側に立設された一対のコラム14,15と、この両コラム14,15の上部間に掛け渡されたクロスレール16と、このクロスレール16に沿って左右方向(X軸方向)へ移動可能に設けられたスライダ17と、このスライダ17に上下方向(Z軸方向)へ昇降可能に設けられたスピンドルヘッド18と、前記コラム14,15間の前面部を覆うように設けられ内部が透視可能でかつ上端を支点として上下方向へ開閉可能なスプラッシュガード19とから構成されている。
【0015】
前記ベッド12には、前記テーブル13を案内するガイド(図示省略)とともに、テーブル13をY軸方向へ移動させるY軸駆動機構21が設けられている。Y軸駆動機構21としては、モータと、そのモータによって回転する送りねじ軸とからなる送りねじ機構が用いられている。
前記各コラム14,15は、側面形状が、上部に対して下部が広くなった略三角形状に形成されている。これにより、下部が安定した構造であるから、スピンドルヘッド18が高速回転するものであっても、振動の発生を低減できる。
【0016】
前記クロスレール16には、前記スライダ17を移動可能に案内する2本のガイドレール23が設けられているとともに、スライダ17をX軸方向へ移動させるX軸駆動機構24が設けられている。
前記スライダ17には、前記スピンドルヘッド18をZ軸方向へ案内するガイド(図示省略)とともに、スピンドルヘッド18をZ軸方向へ昇降させるZ軸駆動機構25が設けられている。これらの駆動機構24,25についても、前記Y軸駆動機構21と同様に、モータと、そのモータによって回転する送りねじ軸とからなる送りねじ機構が用いられている。
【0017】
前記スピンドルヘッド18は、図2に示すように、空気軸受スピンドルヘッドによって構成されている。つまり、前記クロスレール16に昇降自在に設けられ前記Z軸駆動機構25によって昇降されるハウジング31と、このハウジング31に空気軸受32,33,34を介して回転可能かつZ軸方向と平行に支承され途中にフランジ35Aを有する主軸35と、この主軸35を回転駆動させるモータ36とを備えた空気軸受スピンドルヘッドによって構成されている。これにより、主軸35は、30,000〜50,000rpmで高速回転できるようになっている。
【0018】
前記各空気軸受32,33,34の内周面には、主軸35に向かって軸直交方向から空気を吹き出す吹出口37が複数形成されている。これらの各吹出口37から噴出される空気によって主軸35をラジアル方向に支持するラジアル軸受が形成されている。また、前記空気軸受33,34の互いに対向する軸方向端面には、主軸35のフランジ35Aに向かって空気を噴出する吹出口38が複数形成されている。これらの各吹出口38から噴出される空気によって主軸35をスラスト方向に支持するスラスト軸受が形成されている。なお、図2において、39は各吹出口37,38に高圧空気を供給する給気通路、40は排気通路、Tはエンドミルなどの回転工具である。
【0019】
前記回転工具Tの先端、つまり、工具Tをワークとの加工位置に向けて、図3に示す冷却装置61が設けられている。冷却装置61は、冷却ノズル62と、圧縮空気源63と、前記冷却ノズル62と前記圧縮空気源63とを接続する導管64と、この導管64の途中に設けられた潤滑油滴下装置65とから構成されている。
前記導管64は、外パイプ64Aおよび内パイプ64Bを有する二重構造の導管で構成されている。外パイプ64Aは、前記冷却ノズル62の導入口と前記圧縮空気源63とを接続している。内パイプ64Bの基端側は前記潤滑油滴下装置65に接続され、かつ、先端側は冷却ノズル62内に臨ませられている。
【0020】
前記冷却ノズル62は、図4に示すように、先端が先細り円筒状のノズル本体66を有する。ノズル本体66には、基端側に導管64からの圧縮空気を導入する導入口67と、先端側に前記導入口67に連通流路68を介して連通され圧縮空気を噴出する噴出口69とがそれぞれ形成されているとともに、前記連通流路68には、差圧形成手段70が設けられている。
差圧形成手段70は、導入口67から噴出口69に向かうに従って内径が次第に小さくなるテーパ孔状に形成されている。このテーパ孔に続く噴出口69は、内径Dが略1mmで、長さLが略1.5mmの寸法に形成されている。
これにより、たとえば、導入口67側の空気圧P1が5気圧、噴出口69から噴出される空気圧P2が4気圧(つまり、差圧が1気圧)のとき、噴出口69から噴出される圧縮空気の流速Vが略マッハの流速になるように構成されている。
【0021】
前記NC装置41は、図5に示すように、入力部42と、RAM43と、ROM44と、CPU45とを備える。なお、46は表示装置である。
入力部42は、NCテープリーダ、キーボード、ネットワーク通信手段などから構成され、この入力部42からワークの加工プログラム51が入力される。
RAM43には、入力部42から入力された加工プログラム51および種々のNCの制御に対応するためのパラメータなどが格納される。
ROM44には、機械に特定の動作をさせるNCの制御コードが格納されている。
【0022】
CPU45は、ROM44の制御コードを使用し、RAM43の加工プログラム51を解読しつつ、一時的に格納が必要なデータをRAM43の領域にストアするとともに、解読した加工プログラム51に基づいて動作指令を算出し、これに基づく制御信号を前記X軸駆動機構24、Y軸駆動機構21、Z軸駆動機構25、スピンドルヘッド18および冷却装置61へ与える。これにより、各駆動機構24,21,25、スピンドルヘッド18および冷却装置61が駆動される。
【0023】
次に、本実施形態の作用を説明する。
ワークの加工にあたっては、NC装置41からの指令によって、テーブル13とスピンドルヘッド18とをX,Y,Z軸方向へ相対移動させながら、主軸35に装着された回転工具Tによってワークを加工する。つまり、テーブル13をY軸駆動機構21を介してY方向へ、スピンドルヘッド18をX軸駆動機構24およびZ軸駆動機構25を介してXおよびZ軸方向へそれぞれ移動させながら、主軸35に装着された回転工具Tによってワークを加工する。
【0024】
この加工時においては、冷却装置61の冷却ノズル62から冷却空気が、工具Tとワークとの加工部位に向けて噴出される。冷却装置61では、圧縮空気源63からの圧縮空気が、外パイプ64Aと内パイプ64Bとの間の流路、および、冷却ノズル62の連通流路68に設けられたテーパ孔を通って、噴出口69から略マッハの速度で吹き出される。このとき、圧縮空気の温度が低下される。
【0025】
たとえば、導入口67側の空気圧が5気圧、噴出口69側の空気圧が4気圧の場合、つまり、差圧が1気圧の場合、圧縮空気の温度は約20℃低下する。従って、簡単な構成で、高い冷却効果を得ることができる。これが、工具Tとワークとの加工部位に向けて噴出される結果、これらを効果的に冷却できる。
しかも、噴出口69から噴出された圧縮空気中には、潤滑油滴下装置65から滴下された潤滑油が霧状になって混在しているから、冷却効果に加え、潤滑性の効果をも併せて持たせることができる。
【0026】
従って、本実施形態によれば、冷却ノズル62を、ノズル本体66に、導入口67と、この導入口67に連通流路68を介して連通された噴出口69とをそれぞれ形成し、連通流路68に、導入口67から噴出口69に向かうに従って直径が次第に小さくなるテーパ孔を形成し、かつ、噴出口69の内径を1.0mm、長さを1.5mmに形成したので、導入口67に導入された圧縮空気は、テーパ孔を通って、噴出口69から略マッハの速度で吹き出される。このとき、圧縮空気の温度が低下(約20℃前後低下)するから、簡単な構成で、高い冷却効果を得ることができる。
【0027】
また、この冷却ノズル62と、圧縮空気源63と、冷却ノズル62の導入口67と圧縮空気源63とを接続する導管64とを含んで冷却装置61を構成し、冷却ノズル62を工具Tとワークとの加工位置に向けて配置したので、冷却された圧縮空気が工具Tとワークとの加工位置に向けて吹き付けられる結果、工具Tとワークとの間の発熱を抑えることができ、加工面を良好にかつ高精度に加工できる。
【0028】
また、導管64を、外パイプ64Aおよび内パイプ64Bを有する二重構造の導管で構成し、外パイプ64Aによって冷却ノズル62と圧縮空気源63とを接続するとともに、内パイプ64Bの基端側に潤滑油滴下装置65を接続し、かつ、内パイプ64Bの先端側をノズル本体66の連通流路68内に臨ませるようにしたから、潤滑油滴下装置65から滴下された潤滑油は、内パイプ64B内を通ってその先端側まで達したのち、その内パイプ64Bと外パイプ64Aとの流路を流れる圧縮空気によって霧状になって圧縮空気とともに、噴出口69から吹き出されるから、冷却効果に加え、潤滑性の効果を持たせることができる。
【0029】
また、主軸35を空気軸受32,33,34で回転可能に支承した空気軸受スピンドルヘッド18を用いたので、つまり、空気軸受スピンドルヘッド18では、高精度な高速回転が得られることから、大きな切削送り速度で加工を効率的に行うことができる。しかも、その圧縮空気源を冷却装置61の圧縮空気源63として兼用使用できる利点がある。
【0030】
なお、前記実施形態では、導入口67側の空気圧P1と噴出口69から噴出される空気圧P2との差圧(P1−P2)を略1気圧とし、かつ、噴出口69の寸法を、直径Dが1mm、長さLが1.5mmとして、噴出口69からの噴出される圧縮空気の流速を略マッハとしたが、これに限られるものでない。
たとえば、導入口67側の空気圧P1と噴出口69から噴出される空気圧P2との差圧(P1−P2)は0.7〜1.2気圧の範囲、また、噴出口69の寸法は、内径が0.5〜1.5mmの範囲で、かつ、長さが1.0〜2.0mmの範囲に形成して、噴出口69から噴出される圧縮空気の流速を200m/sec〜400m/secの範囲としても、実用に価する冷却効果が得られる。
【0031】
また、前記実施形態では、スピンドルヘッド18をXおよびZ軸方向へ、また、テーブル13をY軸方向へ移動自在に構成したが、これに限らず、回転工具TとワークWとが三次元方向(X,Y,Z軸方向)へ相対移動可能であれば、どのような構成でもよい。
また、スピンドルヘッド18を、主軸を空気軸受で回転可能に支承した空気軸受スピンドルヘッドとしたが、必ずしも、これに限られるものではなく、主軸を非接触軸受で回転可能に支承したスピンドルヘッドであればよい。たとえば、主軸を磁気軸受などで回転可能に支承したスピンドルヘッドでもよい。
【0032】
本発明の加工機械によれば、簡単な構成で、高い冷却効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るNC加工機械の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上実施形態におけるスピンドルヘッドの断面図である。
【図3】同上実施形態における冷却装置を示す図である。
【図4】同上実施形態における冷却装置のノズル内部を示す図である。
【図5】同上実施形態におけるNC装置および駆動機構を示すブロック図である。
【符号の説明】
61 冷却装置
62 冷却ノズル
63 圧縮空気源
64 導管
64A 外パイプ
64B 内パイプ
65 潤滑油滴下装置
66 ノズル本体
67 導入口
68 連通流路
69 噴出口
70 差圧形成手段
P1 空気圧
P2 空気圧
T 回転工具
V 流速
W ワーク

Claims (2)

  1. ウジングに空気軸受を介して回転可能に支承された主軸を有する加工機械であって、
    前記主軸に着脱可能に取り付けられる工具による切削加工位置へ冷却流体を吹き付ける冷却装置を備え、
    この冷却装置は、冷却ノズルと、内パイプと、圧縮空気源と、潤滑油滴下装置とを備え、
    前記冷却ノズルには、前記圧縮空気源からの圧縮空気を導入する導入口と、この導入口に連通流路を介して連通され圧縮空気を噴出する噴出口とがそれぞれ形成されているとともに、前記連通流路には、導入口から噴出口に向かうに従って内径が次第に小さくなるテーパ孔状の差圧形成手段が設けられ、
    前記内パイプは、基端側が前記潤滑油滴下装置に接続され、かつ、先端側が前記冷却ノズルの前記導入口から挿入され前記連通流路内に臨ませられ、
    前記噴出口から噴出される圧縮空気の流速が200m/sec〜400m/secとなるように、前記圧縮空気源の圧力、前記差圧形成手段の寸法および前記噴出口の寸法が決定され
    前記噴出口は、内径が0.5〜1.5mmで、かつ、長さが1.0〜2.0mmに形成され、
    前記圧縮空気源は、前記空気軸受に供給する圧縮空気の圧縮空気源を兼ね、
    前記冷却ノズルが工具とワークとの加工位置に向けて配置されていることを特徴とする加工機械。
  2. 請求項1に記載の加工機械において、
    前記冷却ノズルの導入口および前記圧縮空気源を接続する外パイプが設けられ、この外パイプと前記内パイプとが二重構造の導管で構成されていることを特徴とする加工機械
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