JP3783751B2 - スパッタ膜の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、速い成膜速度でスパッタ膜を作製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、種々の金属や金属化合物をスパッタリング法により作製することは広く行われており、各種スパッタリング方式、スパッタリング装置が提案されている。
【0003】
例えば、特公昭62−56575号公報、特公昭63−20304号公報、特公平3−1810号公報には、対向ターゲット式スパッタリング法が提案されており、結晶性の良好な垂直磁化膜を作製することが開示されている。
【0004】
しかし、この従来の対向ターゲット式スパッタリング法は、成膜速度が遅いという課題があり、この点の解決が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記要望に応えるため鋭意検討を行った結果、互いに対向するターゲット間のスパッタ空間の側方に基板を配置し、該基板上にスパッタ膜を形成する対向ターゲット式スパッタリング方式によりスパッタ膜を作製する場合に、上記両ターゲットに180度位相のずれた矩形波交流電圧を印加することにより、高速で成膜し得ることを見出した。
【0006】
即ち、対向ターゲット式スパッタリング法は、カソード(ターゲット)は互いに対向して2個あるが、従来の方法では、これらカソードに直流又は交流電圧を同じ位相で印加するものであり、上述したように成膜速度が遅いものである。特に、反応性ガスを導入してリアクティブスパッタリングを行うと、反応性ガスとの反応の面から極端に成膜速度が低下する。ところが、対向ターゲット式スパッタリング法において、互いに対向する2個のターゲットに180度位相のずれた矩形波交流電圧を印加することで、特にリアクティブスパッタリング法の場合、結晶性の優れた金属化合物を高速で成膜することができ、例えばターゲットにチタン金属を用い、スパッタ空間に不活性ガスと酸素分子を有するガスとを導入して酸化チタン薄膜を作製した場合、非常に高速で高光触媒活性を有するアナターゼ型結晶リッチの薄膜を形成し得ることを知見したものである。
【0007】
なお従来、位相を180度ずらした交流スパッタ法は、特開平5−222531号公報、特開平6−212421号公報で提案されている。しかし、従来のこの種の交流スパッタ法は、2個のターゲットを対向させずに並列配置し、これらターゲットにスパッタ膜を形成すべき基板を対向した状態で配置してスパッタリングを行うものであるが、この方式では基板がプラズマ放電にさらされる上、特に酸化チタン光触媒膜を成膜する場合、得られる膜はアモルファス構造となってしまうため、触媒活性が殆どないものであり、上記対向ターゲットに位相が180度ずれた交流電圧を印加することで、高速でアナターゼ構造の光触媒膜を得ることができるものである。
【0008】
またこの場合、位相を180度ずらせた交流波の波形は三角波乃至正弦波的で、実際に放電している時間は投入時間の半分程度しかない。それでも、従来の対向ターゲット式スパッタリング法よりも顕著な成膜速度を与えるものであるが、本発明者は、三角波信号の代わりに矩形波信号を2個のターゲットに位相を180度ずらせて印加することにより、更に速い成膜速度でスパッタ膜が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は、
請求項1:
互いに対向するチタンターゲット間のスパッタ空間の側方に基板を配置し、該基板上にスパッタ膜を形成する対向ターゲット式スパッタリング法にてスパッタ膜を作製するに際し、上記2個のチタンターゲットに互いに180度位相のずれた矩形波交流電圧を印加し、スパッタ空間に不活性ガスと酸素分子を有するガスを導入して、基板上にアナターゼ構造の酸化チタン光触媒膜を成膜することを特徴とするスパッタ膜の作製方法
を提供する。
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明のスパッタ膜の作製方法は、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて成膜するものであるが、この場合、互いに対向して配置された2個のターゲットに180度位相のずれた矩形波交流電圧を印加してスパッタリングを行うものである。
【0011】
ここで、この対向ターゲット式スパッタリング装置としては、電源が相違するほかは公知の装置態様とすることができ、例えば図1に示す装置を使用し得る。即ち、図1において、1は内部を脱気真空可能な装置本体で、この装置本体1内に一対の金属ターゲット2,2が互いに所定間隔離間対向して配置されたものである。これらターゲット2,2は、それぞれ支持部3a,3aを有するホールド3,3に保持され、これらホールド3,3を介してスパッタ電源(交流電源)4に接続されていると共に、上記ターゲット2,2の背後に磁石5,5が互いに異なる磁極が対向するように配置され、上記ターゲット2,2間のスパッタ空間6に、ターゲット2,2に対して垂直方向の磁界が発生するようになっている。そして、上記スパッタ空間6の側方には、スパッタ膜を形成すべき基板7が配置されたものである。なお、8は基板7を所定方向に移動可能に支持する支持部材である。
【0012】
ここで、上記スパッタ電源4において、4aは矩形波を与える信号発生器、4bは第1増幅器、4cは第2増幅器であり、信号発生器4aは第1及び第2増幅器4b,4cを同期させ、信号発生器から出た信号を適宜な回路4dで180度ずれたある周波数の交流信号を作り、これを第1増幅器4bと第2増幅器4cで互いに180度位相がずれた高電圧、高電流の交流を与え、第1増幅器4bは一方のホールド3、第2増幅器4cは他方のホールド3に接続され、これにより互いに対向するターゲット2,2に180度位相のずれた矩形波交流電圧が印加されるようになっている。なお、このように2個のターゲット2,2に互いに180度位相がずれた矩形波を与える回路は公知の回路を採用することができる。
【0013】
上記のような装置を用いてスパッタリングを行い、基板上にスパッタ膜を形成する場合、その条件は特に制限されず、通常の条件を採用して金属ターゲットの種類あるいはターゲット空間に導入する反応性ガスの種類に応じたスパッタ膜を形成することができるが、本発明は特に基板上に光触媒膜を形成する場合に好適である。
【0014】
ここで、基板上に光触媒膜を形成するに際し、使用する金属ターゲットとしては、光触媒作用を有する金属酸化物MeOx(MeはAl,Co,Cu,Fe,In,Mg,Sn,Ti,Zn等の金属を示し、xは金属の種類によって異なるが、0〜10、好ましくは0〜5の範囲の正数であり、xは必ずしも金属の価数に相当していなくてもよい)を得るための金属酸化物に対応した金属が選定されるが、特には酸化チタン膜を形成するチタンが好ましい。
【0015】
真空チャンバー内を十分に排気後、不活性ガスと酸素分子を有するガスを導入した後、上記チャンバー内の圧力を0.1〜100mTorr、特に0.3〜30mTorrに保ち、成膜を行う。ここで、上記スパッタ空間に供給される酸素分子を有するガス(酸化性ガス)としては、公知のガスを使用することができ、具体的には、酸素、オゾン、空気、水等が挙げられ、通常は酸素が用いられる。また、不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴンなどを用いることができ、特に工業的に安価なアルゴンが好適に使用し得る。
【0016】
なお、交流の周波数は特に制限はないが、20Hz〜500MHzとすることができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に速い成膜速度でスパッタ膜を作製することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0019】
〔実施例〕
図1に示す対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて、2枚の直径100mmのチタンターゲットをそれぞれのカソードに設置した。基材として0.1mm厚のステンレス板(SUS304)を用い、予めアセトンで脱脂した後、真空装置にセットした。真空チャンバーを排気した後、まずアルゴンガスのみを流し、チャンバー中で高周波プラズマ処理(100W×10分間)を行った後、アルゴンガスを流量10cc/min、酸素ガスを流量10cc/minで流し、成膜圧力5mTorrで180度位相をずらした矩形波交流電圧を対向するターゲットにそれぞれ印加し、投入電力1200Wで60分間成膜した。
成膜速度はテーラーホブソン社製の膜厚計で膜厚を測定し、求めた。
光触媒効果は成膜した膜の上に機械油を0.1mg/cm2程度塗布した後、400W低圧水銀ランプ下15cmの位置に試験片を置き、3時間照射後の重量減少量から求めた。
【0020】
〔比較例〕
上述の装置において180度位相をずらした三角波(正弦波)交流電圧を与えた以外は実施例と同様に成膜したものを比較例1とした。また、上述の装置において2つのカソードに印加する電源のみを直流電源に変え、投入パワー1200Wで60分間成膜したものを比較例2とした。
結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1の結果より、本発明の成膜方法は、非常に成膜速度が速いことが認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る対向ターゲット式スパッタリング装置の一実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 装置本体
2 金属ターゲット
3 ホールド
3a 支持部
4 スパッタ電源
4a 信号発生器
4b 第1増幅器
4c 第2増幅器
4d 回路
5 磁石
6 スパッタ空間
7 基板
8 支持部材
Claims (1)
- 互いに対向するチタンターゲット間のスパッタ空間の側方に基板を配置し、該基板上にスパッタ膜を形成する対向ターゲット式スパッタリング法にてスパッタ膜を作製するに際し、上記2個のチタンターゲットに互いに180度位相のずれた矩形波交流電圧を印加し、スパッタ空間に不活性ガスと酸素分子を有するガスを導入して、基板上にアナターゼ構造の酸化チタン光触媒膜を成膜することを特徴とするスパッタ膜の作製方法。
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JP20385897A JP3783751B2 (ja) | 1997-07-14 | 1997-07-14 | スパッタ膜の作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20385897A JP3783751B2 (ja) | 1997-07-14 | 1997-07-14 | スパッタ膜の作製方法 |
Publications (2)
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JPH1129862A JPH1129862A (ja) | 1999-02-02 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP20385897A Expired - Fee Related JP3783751B2 (ja) | 1997-07-14 | 1997-07-14 | スパッタ膜の作製方法 |
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JP5171035B2 (ja) * | 2004-06-07 | 2013-03-27 | 株式会社アルバック | マグネトロンスパッタリング方法及びマグネトロンスパッタリング装置 |
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1997
- 1997-07-14 JP JP20385897A patent/JP3783751B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1129862A (ja) | 1999-02-02 |
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