JP3783606B2 - 粒度分布測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置に関し、特に短いインターバルで被測定粒子群をサンプリングして次々とその粒度分布を測定する必要のある分野に用いるのに適した粒度分布測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒体の粒度分布を比較的短時間で正確に測定する装置として、レーザ回折・散乱法に基づく、いわゆるレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置が知られている。このレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置においては、分散飛翔状態の被測定粒子群にレーザ光を照射することによって生じる回折・散乱光の空間強度分布を測定し、その光強度分布がミーの散乱理論ないしはフラウンホーファの回折理論に則ることを利用し、回折・散乱光の空間強度分布の測定結果からミーの散乱理論ないしはフラウンホーファ回折理論に基づく演算によって被測定粒子群の粒度分布を算出する。
【0003】
従来のこの種の粒度分布測定装置においては、図7に例示するような装置構成が採用されている。すなわち、被測定粒子群Pは、媒液供給ポンプ211から供給される媒液Lとともに、攪拌機212および超音波振動子213を備えた分散槽210に投入され、ここで媒液L中に被測定粒子群Pが分散してなる懸濁液Sが生成される。分散槽210は、循環用配管221によりフローセル230と連通しており、循環/排出ポンプ222を駆動することによって懸濁液Sが分散槽210とフローセル230の間で循環する。
【0004】
この懸濁液Sの循環状態、つまりフローセル230中を懸濁液Sが流れている状態で、レーザ光源241からのレーザ光を集光レンズ242,空間フィルタ243およびコリメータ244を介してフローセル230に照射することによって、フローセル230中の被測定粒子群Pによりそのレーザ光は回折・散乱を受ける。この回折・散乱光のうち、前方への回折・散乱光は集光レンズ251を介して前方散乱光センサ252の受光面上に集光されて測定され、側方への散乱光は側方散乱光センサ253に、また、後方への散乱光は後方散乱光センサ254によって測定される。
【0005】
前方散乱光センサ252は、図8(A)にその正面図を例示するように、互いに半径の異なるリングの一部をなす受光面を有する複数の光センサPSを同心状に並べたものであり、この前方散乱光センサ252によって前方所定角度範囲の回折・散乱光の空間強度分布を測定することができ、側方散乱光センサ253および後方散乱光センサ254による測定と併せて、図8(B)に測定結果を表す棒グラフを示すように、回折・散乱光の空間強度分布を広い角度範囲で測定することができる。
【0006】
以上のようにして測定された光強度分布は、各光センサの出力を増幅するアンプおよびその増幅信号をデジタル化するA−D変換器を備えてなるデータサンプリング回路260を介してコンピュータ270に取り込まれる。コンピュータ270では、この回折・散乱光の空間強度分布の測定データと、被測定粒子群Pおよび媒液Lの屈折率を用いることにより、ミーの散乱理論ないしはフラウンホーファの回折理論に基づいた公知の演算によって、被測定粒子群Pの粒度分布を算出することができる。
【0007】
ここで、図7において223は循環/排出バルブであって、この循環/排出バルブ223を操作することにより、上記したように懸濁液Sをフローセル230との間で循環させるか、あるいは、分散槽210並びにフローセル230中の懸濁液Sを外部に排出できるようになっており、一つのサンプルの測定後に、懸濁液Sを外部に排出して分散槽210および循環用配管221並びにフローセル230内を洗浄することによって、先のサンプルの影響が後のサンプルの測定結果に及ばないようにすることができる。
【0008】
以上のようなレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置においては、回折・散乱光の測定に要する時間が短く、従って他の測定方法を用いた粒度分布測定装置に比して、その測定に要する時間が短くてすむという大きなメリットがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年において普及してきている高速粉砕機においては、その粉砕過程を監視するために、短時間、例えば20秒程度ごとに粉体の粒度分布の測定を繰り返し、その結果に基づいて粉砕機の運転の続行/停止を行う、という要求がある。
【0010】
ここで、前述した従来のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置においては、回折・散乱光の空間強度分布の測定に要する時間は短時間ですむのであるが、被測定粒子群のサンプリングを含めた測定の1サイクルに要する時間は、上記した要求にはとても応えられない。
【0011】
すなわち、従来のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置では、「分散槽内への媒液の供給→同じく分散槽内へのサンプル投入→分散→懸濁液の循環→回折・散乱光測定→懸濁液の排出→循環系の洗浄」が測定の1サイクルであり、しかも、洗浄工程自体が、「分散槽内への媒液の供給→一定時間の循環→排出」という工程が必要であり、測定全体としての1サイクルを数十秒とすることは実質的に不可能である。
【0012】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、従来のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置に比して、測定の1サイクルを大幅に短縮化することができ、もって高速粉砕機における上記した要求等を十分に満たすことのできる粒度分布測定装置の提供を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の粒度分布測定装置は、分散飛翔状態の被測定粒子群にレーザ光を照射することによって得られる回折・散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果を用いて被測定粒子群の粒度分布を演算する粒度分布測定装置であって、フローセルと、そのフローセルに対して媒液を供給し、かつ、当該フローセルから流出した媒液を排出するとともに、フローセルの上流側で被測定粒子群を投入可能に構成された媒液供給・排出系と、上記フローセルに対してレーザ光を照射する照射光学系と、そのレーザ光の照射により生じる回折・散乱光の空間強度分布を測定する測定光学系と、その測定光学系により測定された回折・散乱光強度があらかじめ設定されたレベル以上になったとき、当該測定光学系による測定結果を用いて粒度分布を演算する演算手段を備えるとともに、上記媒液供給・排出系は、上流側から供給される媒液が下流側に向けて流れるよう互いに連通する複数の槽を備えてなる分散槽を含み、その分散槽の各槽のいずれかに、攪拌機および/または超音波振動子が配置されているとともに、上記被測定粒子群は当該分散槽の各槽のうち最下流側以外の槽に対して投入可能に構成されていることによって特徴づけられる(請求項1)。
【0014】
ここで、本発明においては、上記分散槽に攪拌機および超音波振動子が配置され、超音波振動子は攪拌機が配置されている槽よりも上流側の槽に配置されている構成(請求項2)を好適に採用することができる。
【0015】
また、本発明においては、上記分散槽の各槽のそれぞれに媒液の供給口が設けられている構成(請求項3)を好適に採用することができる。
【0016】
本発明は、従来のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置のように被測定粒子群を媒液中に分散させた懸濁液をフローセルと分散槽の間で循環させるのではなく、フローセルに対して清浄な媒液を常時供給して排出する媒液供給・排出系を設け、粒度分布の測定に際しては被測定粒子群をその系内に投入することによって懸濁液として、フローセルを経て外部に排出するとともに、被測定粒子群を分散させるための分散槽を複数の槽に分割し、最下流の槽以外の槽に被測定粒子群を投入するように構成することで、被測定粒子群の媒液中への分散性と、系の洗浄性の双方を向上させ、所期の目的を達成しようとするものである。
【0017】
すなわち、本発明においては、フローセルに対して清浄な媒液を供給し、フローセルを出た媒液は外部に排出し、その媒液供給・排出系のフローセルの上流側で被測定粒子群の投入可能な部分を設けるとともに、フローセルには照射光学系からのレーザ光を常時照射しておく。従って、媒液供給・排出系に被測定粒子群を投入することにより、媒液が懸濁化してフローセル内を流れた後、外部に排出される。この懸濁液がフローセル内を流れている間のみ、被測定粒子群による回折・散乱光の空間強度分布が測定光学系によって測定される。このとき、測定光学系による回折・散乱光の空間強度分布の測定値のレベルが上がるため、演算手段では、そのレベルがあらかじめ設定されているレベルを越えたときに、その測定結果を用いて被測定粒子群の粒度分布を演算する。
【0018】
このようなサンプリング系を用いることによって、投入した被測定粒子群はフローセルを流れた後に直ちに外部に排出されるとともに、次の被測定粒子群が投入されるまでの間に清浄な媒液が常時系内を流れて実質的にサンプリング系が洗浄されているため、被測定粒子群の投入間隔、従って測定のインターバルを短くしても、先に投入した粒子群の影響を受けることなく、正確な粒度分布の測定が可能となる。
【0019】
そして、このサンプリング系内に設けられて被測定粒子群と媒液を分散させるための分散槽を、一定の向きに液が流れるように相互に連通した複数の槽に分けて、被測定粒子群は最下流の槽を除く槽に投入するようにした構成の採用により、単一の槽からなる比較的大きな分散槽を用いる場合に比して、各槽の役割を適宜に分担させることができるが故に被測定粒子群の分散性を向上させることができると同時に、各槽内における液の流れが単純化されるが故に、槽内に投入された被測定粒子群の槽からの排出が容易化され、短いインターバルで異なる被測定粒子群を投入しても、その投入時点で先に投入した被測定粒子群が槽内に残る確率が小さくなり、結果的に洗浄性が向上する。
【0020】
また、請求項2に係る発明のように、分散槽を構成する複数の槽のうち、超音波振動子が配置されている槽により下流側の槽に攪拌機を配置することにより、超音波振動子から液に超音波を照射することによって発生する気泡が、下流側の槽に設けられた攪拌機による攪拌動作により上方に移動して大気中に抜けやすくなり、気泡による測定誤差の発生を防止することが可能となる。
【0021】
更に、請求項3に係る発明のように、分散槽を構成する複数の槽のそれぞれに媒液の供給口を設けて媒液を供給することにより、被測定粒子群を投入後、次の粒子群を投入するまでの間に、全べての槽に清浄な媒液が個別に供給され、各槽の洗浄をより一層確実なものとすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の構成図で、光学系並びに配管系の構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【0023】
分散槽1は、この例において3つの槽1a,1bおよび1cに分割され、各槽1a,1bおよび1cはそれぞれ底部において連通し、液が槽1a〜1b〜1cの順で流れるようになっている。
【0024】
すなわち、分散槽1は、その底面1dが槽1aから1cに向けて低くなるように傾斜しており、この分散槽1内に2枚の仕切り板1e,1fがそれぞれの下端部を底面1dに接触しない状態で配置されている。この構成により、上流側の槽1a内の液は、仕切り板1e,1fの下側を通って槽1b〜1cへと流れる。
【0025】
分散槽1を構成する各槽1a,1b,1cには、それぞれ媒液供給ポンプ13の吐出口に連通する媒液供給口13a,13b,13cが設けられており、これらの各媒液供給口13a,13b,13cを介して全ての槽1a,1b,1cに清浄な媒液が個別に供給される。
【0026】
各槽1a,1b,1cのうち、最上流側の槽1aはその上面が開口しており、この開口が被測定粒子群Pの投入口1gを構成している。また、その次段の槽1bには超音波振動子12が上方から挿入されているとともに、最下流の槽1cには攪拌機11が設けられている。そして、この最下流の槽1cの下端部には液出口1hが設けられており、この液出口1hは送液ポンプ21の吸引口が連通している。この送液ポンプ21の吐出口は液供給用配管22を介してフローセル3の下端開口部に連通している。また、フローセル3の上端開口部は液排出用配管23に連通している。
【0027】
以上の分散槽1、媒液供給ポンプ13、送液ポンプ21、液供給用配管22、液排出用配管23等によって媒液供給・排出系2を構成しており、媒液はフローセルを流れた後、外部に排出されるようになっている。
【0028】
フローセル3には、照射光学系4からのレーザ光が照射される。照射光学系4は、従来と同様にレーザ光源41、集光レンズ42、空間フィルタ43およびコリメータ44からなり、フローセル3に対して平行なレーザ光を照射することができる。
【0029】
フローセル3を挟んで照射光学系4と反対側には、集光レンズ51およびその焦点位置に置かれた前方散乱光センサ52が配置されており、また、フローセル3の側方には側方散乱光センサ53が、更にフローセル3の後方、つまり照射光学系4側には後方散乱光センサ54が配置されており、これらによって、従来と同様の測定光学系5を構成している。各光センサの出力はアンプおよびA−D変換器からなるデータサンプリング回路6を介して刻々とコンピュータ7に取り込まれる。
【0030】
以上の本発明の実施の形態の使用に際しては、媒液供給ポンプ13および送液ポンプ21、更には攪拌機11および超音波振動子12が常時駆動状態に置かれ、フローセル3には清浄な媒液が常時流され、フローセル3内を流れた媒液は順次外部に排出される。また、フローセル3には常時照射光学系4からのレーザ光が照射され、測定光学系5の各センサの出力がデータサンプリング回路6により所定の微小時間ごとにデジタル化されてコンピュータ7に刻々と取り込まれる。
【0031】
粒度分布の測定に際しては、適宜量の被測定粒子群Pを投入口1gを介して最上流側の槽1a内に投入する。これにより、その被測定粒子群Pは槽1a内の媒液とともに次段の槽1b内に順次流下し、この槽1b内において超音波振動子12によって媒液中に分散する。槽1b内で媒液中に分散した被測定粒子群Pは、最下流の槽1c内に流下し、この槽1c内において攪拌機11で攪拌されることにより、媒液中における被測定粒子群Pの濃度が均一化されると同時に、超音波の照射により発生した気泡が上方に浮かび上がって大気中に抜ける。このようにして、被測定粒子群Pが媒液中に分散して生成された懸濁液は、フローセル3内に導かれた後に系外に排出され、再び媒液のみがフローセル3内を流れる状態となる。フローセル3に照射されているレーザ光は、被測定粒子群Pがフローセル3中を通過している間のみ、回折・散乱を受ける。
【0032】
コンピュータ7では、測定光学系5の各光センサの出力の大きさを監視し、その出力値があらかじめ設定されているレベルに達している間のみ、各光センサの出力を有効データとして刻々と蓄積する。より具体的には、例えば前方散乱光センサ52内の特定の散乱角度に位置する一つの光センサの出力を監視し、その出力値とあらかじめ設定されているレベルとを比較して、出力値がそのレベルに達している間のみ、測定光学系5の全光センサの出力を各センサごとに順次蓄積していく。そして、監視している光センサの出力値が上記のレベル未満になった時点で、それまでに蓄積した各センサごとの出力を回折・散乱光の空間強度分布データとして、公知の演算によって粒度分布に換算して、付属の表示器7aに表示する。
【0033】
以上の本発明の実施の形態によると、分散槽1に被測定粒子群Pを投入した後の僅かな間のみ、フローセル3を含む媒液供給・排出系2内の媒液がこの粒子群Pによって懸濁化し、その状態での測定光学系5の出力が自動的に有効データとして蓄積されて粒度分布の算出に供されるものの、その懸濁液はフローセル3を通過した後に直ちに系外に排出され、後は清浄な媒液のみが系内を流れるため、被測定粒子群Pの投入後の僅かな時間を経過した後は、フローセル3を含む媒液供給・排出系2内は実質的に洗浄されて次の被測定粒子群Pを測定するための待機状態となり、従って、測定の1サイクルは図7に例示した従来の回折・散乱式粒度分布測定装置に比して大幅に短くなる。
【0034】
そして、以上の測定動作において特に注目すべき点は、分散槽1は上流側から下流側に向けて3つの槽1a,1b,1cに分割され、被測定粒子群Pの投入口1gが最上流の槽1aに設けられ、次段の槽1bには超音波振動子12が、最下流の槽1cには攪拌機11が設けられている点であり、これにより、最上流に位置する槽1aの投入口1gから投入された被測定粒子群Pは、次段の槽1b内に流下して超音波照射され、更に最下流の槽1cに流下して攪拌されたうえでフローセル3内に導かれることになり、フローセル3内には、媒液中に被測定粒子群Pが均質に分散され、しかも気泡の混在しない懸濁液が流入し、正確な粒度分布の測定が可能となる。しかも、投入された被測定粒子群Pは、媒液の流れに沿って槽1aから1cへと向けて確実に流下するので滞留しにくく、フローセル3を経由して確実に系外に排出される。
【0035】
また、各槽1a,1b,1cのそれぞれに媒液を個別に供給する構成の採用により、被測定粒子群Pが投入されて懸濁液となってフローセル3に導かれた後、各槽1a,1b,1c内が個々に清浄な媒液によって洗浄され、次回の被測定粒子群Pの投入時点における前回の被測定粒子群Pの滞留の防止をより一層確実なものとすることができる。
【0036】
なお、以上の実施の形態においては、分散層1を3つの槽に分割した例を示したが、例えば最上流の槽1aと超音波振動子12が配置されている槽1bとを合体させる等によって、2つの槽に分割してもよく、あるいは4つ以上の層に分割してもよい。
【0037】
また、分散槽1の構造は、以上の実施の形態において採用したものに限られることなく、本発明における分散槽の構造は、複数の槽を有し、かつ、その各槽相互の液の流れが一定であれば任意の構造を採用することができ、以下にその構造例を模式的断面図で示す。
【0038】
図2に示すものは、分散槽1の底面1dに各槽1a,1b,1cの境界部分において段部1jを設けたものであり、図3に示すものは、実質的に独立的に形成された複数の箱型の槽1a,1b,1cを階段状に配置し、それぞれの底面に設けた流出口1kを通じて内部の液を下流側に流すように構成したものである。また、図4に示すものは、同じく実質的に独立的に形成された複数の漏斗型の槽1a,1b,1cを鉛直方向に沿って配置し、それぞれの底面に設けた流出口1kを通じて内部の液を下方に流すように構成したものである。
【0039】
更に、分散層1を仕切り板を用いて複数の槽に分割する場合、その仕切り板の形状・構造は、前記した実施の形態で用いた下端部に隙間を設けて液を下流側に流すものに限られることなく、媒液並びに被測定粒子群が下流側に流れるものであれば任意の形状・構造のものを用いることができる。その例を以下に模式的断面図により示す。
【0040】
図5(A)に正面図を、同図(B)にそのB−B断面図を示す仕切り板1mは、縦方向に複数の貫通溝1nを形成したものであり、各貫通溝1nの断面は下流側に向けて漸次狭くなっており、粒子が下流側に流れやすくなるように考慮されている。図6(A)に正面図を、同図(B)にそのB−B断面図を示す仕切り板1qは、複数の貫通孔1rを設けるとともに、下端部には底面1dとの間に隙間1sを設けている。
【0041】
更にまた、前記した実施の形態においては、分散槽1内に超音波振動子12および攪拌機11の双方を配置したが、被測定粒子群の性状、特に媒液内での分散性によっては、これらのうちのいずれか一方のみでもよく、あるいは超音波振動子12ないしは攪拌機11を複数個設けてもよい。
【0042】
また、前記した実施の形態においては、被測定粒子群の分散槽1内への投入後、前方散乱光センサ52内の一つの特定の光センサの出力が設定レベルを越えている間にのみ各光センサの出力を有効データとして蓄積して粒度分布の算出に供した例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば複数の光センサの出力を監視し、その平均値が設定レベルを越えている間にのみ各光センサの出力を有効データとしてもよく、また、大きさの異なる2つのレベルを設定しておき、特定の一つの光センサの出力、あるいは特定の複数の光センサの出力の平均値が、大きい側のレベルを越えた時点で各光センサの出力の蓄積を開始し、小さい側のレベル未満になったときにその蓄積を終了するように構成してもよく、要は、被測定粒子群がフローセル3内に所定の濃度以上で存在していることを測定光学系5のいずれか適当な光センサの出力に基づいて自動的に検知し、その被測定粒子群のフローセル3内の濃度が有効なデータを採取し得ない程度に低くなった時点で各光センサの出力の蓄積を自動的に終了できれば、任意の方法を採用することができる。
【0043】
更に、以上の実施の形態では、被測定粒子群を分散槽1内に投入する方法については特に言及しなかったが、例えば投入用の容器を用意し、その容器に被測定粒子群を満たして人手によって投入するほか、同様の容器に自動的に被測定粒子群を満たして分散槽1内に投入する投入機構を設け、スイッチ操作によってその投入機構を駆動して被測定粒子群を分散槽1内に投入し、あるいは一定のインターバルでその投入機構を駆動して自動的に被測定粒子群を分散槽1内に投入するように構成することもできる。
【0044】
また、以上の実施の形態では、分散槽を構成する複数の槽のそれぞれに媒液供給口を設けた旨を説明したが、その媒液供給口については、各槽について必ずしも1個である必要はなく、一定の間隔で複数個の媒液供給口を設けることもでき、その場合、各槽の洗浄性をより一層向上させることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、レーザ光が照射されるフローセル内に媒液を供給した後に系外に排出する媒液供給・排出系を設け、その媒液排出・供給系を介して随時に被測定粒子群を投入して懸濁化させてフローセルに導いた後、その懸濁液を直ちに系外に排出できるように構成するとともに、その被測定粒子群の投入があったことを測定光学系の出力から自動的に検知して、有効データとして粒度分布の算出に供するように構成しているので、被測定粒子群を投入した後、僅かな時間の経過によってフローセルを含む媒液供給・排出系内が清浄な媒液の流れによって自動的に洗浄されることになり、従来のように洗浄工程を別途設ける必要がなくなり、測定の1サイクルを大幅に短縮化することができる。
【0046】
しかも、媒液供給・排出系内に配置されて投入された被測定粒子群を分散させるための分散槽が、上流から下流へと向かう複数の槽からなり、その最下流の槽以外の槽に被測定粒子群の投入口を設けるとともに、これらの槽のいずれかに超音波振動子および攪拌機の双方もしくはいずれかを配置した構成を有しているため、分散槽内の被測定粒子群を含む懸濁液の流れが、比較的大きな単一の分散槽を用いる場合に比して単純となり、最下流の分散槽を経て滞留することなくフローセル内へと流れると同時に、各槽の役割を分担させることによって被測定粒子群の分散性も向上する。
【0047】
また、請求項2に係る発明のように、超音波振動子を配置する槽よりも下流側の槽に攪拌機を配置する構成の採用により、強力な超音波振動子を用いて媒液中に気泡が生じても、下流側の槽に設けられた攪拌機で攪拌されることによって、気泡が上昇して大気中に抜けやすく、気泡による測定誤差を生じる恐れがなくなる。
【0048】
更に、請求項3に係る発明のように、分散槽を構成する複数の槽のそれぞれに媒液供給口を設けて清浄な媒液を供給する構成を採用することにより、被測定粒子群を投入して後、次の被測定粒子群を投入するまでの間の洗浄期間において、各槽は個別に供給される清浄な媒液によって確実に洗浄され、前の粒子群が槽内に滞留することをより一層確実に防止することができる。
【0049】
以上の結果、高速粉砕機や造粒プラントなどに適用して、粒度分布測定結果をフィードバックしてこれらの装置やプラントなどを制御することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成図で、光学系並びに配管系の構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】本発明に係る粒度分布測定装置に使用可能な分散槽の他の構成例を示す模式図である。
【図3】同じく本発明に係る粒度分布測定装置に使用可能な分散槽の更に他の構成例を示す模式図である。
【図4】同じく本発明に係る粒度分布測定装置に使用可能な分散槽の更にまた他の構成例を示す模式図である。
【図5】本発明に係る粒度分布測定装置に使用する分散槽を仕切り板を用いて複数の槽に分割する場合、採用可能な仕切り板の形状・構造の他の例の説明図で、(A)は正面図で、(B)はそのB−B断面図である。
【図6】同じく本発明に係る粒度分布測定装置に使用する分散槽を仕切り板を用いて複数の槽に分割する場合、採用可能な仕切り板の形状・構造の更に他の例の説明図で、(A)は正面図で、(B)はそのB−B断面図である。
【図7】従来のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置の構成例を示す図で、光学系並びに配管系の構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図8】レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置に多用されている前方散乱光センサの説明図で、(A)はその構成例を示す正面図であり、(B)はその各光センサPSの出力による回折・散乱光の空間強度分布の測定例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 分散槽
1a,1b,1c 槽
1d 底面
1e,1f 仕切り板
1g 被測定粒子群の投入口
1h 液排出口
11 攪拌機
12 超音波振動子
13 媒液供給ポンプ
2 媒液供給・排出系
21 送液ポンプ
22 液供給用配管
23 液排出用配管
3 フローセル
4 照射光学系
41 レーザ光源
42 集光レンズ
43 空間フィルタ
44 コリメータ
5 測定光学系
51 集光レンズ
52 前方散乱光センサ
53 側方散乱光センサ
54 後方散乱光センサ
6 データサンプリング回路
7 コンピュータ
7a 表示器
P 被測定粒子群
Claims (3)
- 分散飛翔状態の被測定粒子群にレーザ光を照射することによって得られる回折・散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果を用いて被測定粒子群の粒度分布を演算する粒度分布測定装置であって、
フローセルと、そのフローセルに対して媒液を供給し、かつ、当該フローセルから流出した媒液を排出するとともに、フローセルの上流側で被測定粒子群を投入可能に構成された媒液供給・排出系と、上記フローセルに対してレーザ光を照射する照射光学系と、そのレーザ光の照射により生じる回折・散乱光の空間強度分布を測定する測定光学系と、その測定光学系により測定された回折・散乱光強度があらかじめ設定されたレベル以上になったとき、当該測定光学系による測定結果を用いて粒度分布を演算する演算手段を備えるとともに、
上記媒液供給・排出系は、上流側から供給される媒液が下流側に向けて流れるように互いに連通する複数の槽を備えてなる分散槽を含み、その分散槽の各槽のいずれかに、攪拌機および/または超音波振動子が配置され、上記被測定粒子群は当該分散槽の各槽のうち最下流側以外の槽に対して投入可能に構成されていることを特徴とする粒度分布測定装置。 - 上記分散槽に攪拌機および超音波振動子が配置され、超音波振動子は攪拌機が配置されている槽よりも上流側の槽に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の粒度分布測定装置。
- 上記分散槽の各槽のそれぞれに媒液の供給口が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒度分布測定装置。
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