JP3783197B2 - 首部側面に吊り具を一体形成したpetボトル及びその成形金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボトルの首部側面に偏平な吊り具を側方に長く一体形成したPETボトルとその成形金型に関するものである。
【0002】
プリフォームの射出成形時に首部のねじより下側の側面から側方に把手を一体形成し、そのプリフォームの首部基端から底部を延伸吹込成形により薄肉に形成したPETボトルは既に公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、延伸吹込成形により薄肉に二軸配向されると衝撃強度等が増すが、射出成形されたままの未配向の状態では、固さを有するが衝撃強度に劣り、内容物を充填した状態で棚などから床に落下したときに、把手がプリフォームの首部と同様に未配向であることから破損する場合がある。また未配向の状態では可撓性に乏しいことから、曲げ応力にも劣り、折り曲げ強度に優れたポリプロピレンのように、首部と一体成形した状態で落下強度や折り曲げ強度を付与することはきわめて困難とされている。
【0004】
この発明は、上記従来の把手付きPETボトルの課題を解決するために考えられたものであって、その目的は、プリフォームと共に偏平で側方に長い吊り具を首部側面に一体形成し、その吊り具の射出成形時に狭窄部による折り曲げ強度と衝撃強度とを付与するとともに、指掛けが環状片によるものであつても射出成形が容易で、比較的大型のボトルであっても吊り持ちし易い新たな首部側面に吊り具を一体形成したPETボトルと、その成形金型とを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明のPETボトルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)によるプリフォームの射出成形時に、偏平で側方に長く、かつ自由端を首部との接続片よりも幅広の環状片による指掛けに形成した吊り具を、首部のねじより下側の外周のサポートリング側面に一体形成し、その吊り具より下位の首部基端から底部を延伸吹込成形により薄肉に形成したボトルであって、
上記吊り具は、プリフォームの首部成形型と本体成形型とのパーティング面に形成した偏平なキャビティにより、首部外周の上記サポートリングと共に形成され、そのキャビティの首部から離れた途中に設けた幅方向に長く両側をテーパー面に形成した横幅のあるキャビティ狭窄部により、上記接続片の途中が幅方向に長く肉厚が薄減されるとともに、該キャビティ狭窄部による樹脂の分子配向により上下に折曲自在で曲げ強度に耐える狭窄部に形成され、かつ偏平なキャビティの指掛けを成形する部分の内縁に沿って形成した深溝により、環状内側に沿って補強を兼ねる厚肉の凸縁による指掛け縁が一体形成されてなる、というものである。
【0006】
またこの発明のPETボトルの成形金型は、プリフォームの首部成形型及びプリフォームの本体成形型と、首部成形型と本体成形型とのパーティング面に形成した偏平なキャビティとからなり、その偏平なキャビティは上記サポートリングと上記吊り具の接続片及び環状片とを成形するキャビティを有し、その接続片を形成するキャビティの首部から離れた途中に、該接続片の途中を幅方向に長く肉厚を薄減するとともに、樹脂の分子配向により上下に折曲自在で曲げ強度に耐える狭窄部に形成する、幅方向に長く両側をテーパー面に形成した横幅のあるキャビティ狭窄部を備える、というものである。
【0007】
上記構成では、キャビティ狭窄部により指掛けを成形する部分への流量が制限を受けるようになるが、キャビティ狭窄部が首部から離れた途中にあるので、首部側から樹脂が流入し易く、キャビティ狭窄部による樹脂の分子配向(流動配向)により吊り具は狭窄部から折り曲げ易くなると共に、曲げ強度の向上により反復使用にも耐え、指掛けにおける衝撃強度も増すようになる。
【0008】
またキャビティ狭窄部を通過した樹脂は、指掛け成形部の内縁の深溝を通路として流動するので、指掛けが環状片によるものであっても樹脂の充填がスムーズに行われる。また深溝で成形された厚肉の凸縁による指掛け縁が指掛けの捩じれ防止となるので、吊り具全体が偏平で横長のポリエチレンテレフタレート片によるものであつても、その目的を十分に達成し得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
図中1は一般にペツトボトルと称されているポリエチレンテレフタレート(PET)によるボトルで、射出成形されたままの首部2の基端から胴部3及び底部4を延伸吹込成形により薄肉に形成したものからなる。
【0010】
5は吊り具で、プリフォーム11の射出成形時に、首部2より下側に形成したサポートリング6の片側面に一体形成してある。この吊り具5は偏平で側方に長く突出し、かつ自由端を首部2との接続片51よりも幅広の環状片による指掛け52に形成したものからなる。
【0011】
上記接続片51には、途中の肉厚を幅方向に長く薄減して上下に折曲自在な狭窄部55が形成してある。また指掛け52の面内に形成された指先挿入穴53の周縁は、環状内側に沿って一体に上下に突出形成した厚肉の凸縁による補強兼用の指掛け縁54をもって形成され、その指掛け縁54により掛け止めた指先に負担が掛からないようにしてある。
【0012】
上記吊り具5は、プリフォーム11の首部成形型31と、胴部13及び底部14とによる本体の成形型32とのパーティング面17に形成した偏平なキャビティ15により、プリフォーム11と共に射出成形される。このキャビティ15はプリフォーム11の首部12の側面のサポートリング16に連なる接続片21を成形する部分と、その先方の幅広の環状の指掛け52を成形する部分とからなる。
【0013】
上記接続片51を成形する部分には、キャビティ上下面に突出形成した両側がテーパー面の突条15bにより、横幅のあるキャビティ狭窄部15aがキャビティを横断するように幅方向に長く設けられている。また指掛け52を成形する部分には内縁に沿って深溝15cが上下に設けてある。
【0014】
このような構造のキャビティ15では、本体成形型32の底部のゲートから溶融樹脂が射出充填されてプリフォーム11が成形されたときに、パーティング面17のサポートリング16から接続片51を成形する部分に樹脂が圧入されるようになる。
樹脂は上記キャビティ狭窄部15aにより、指掛け52を成形する部分への流量が制限を受けるようになるが、キャビティ狭窄部15aを首部12から離れた途中に設け、またャビティ狭窄部15aの両側がテーパー面に形成してあるので首部側から樹脂が流入し易く、樹脂はキャビティ狭窄部15aにより絞られて指掛け52を成形する部分に押し入れられるようになる。このため横幅のあるキャビティ狭窄部15aにより、樹脂が自然に流動配向するようになって、吊り具5は狭窄部55から折り曲げ易くなり、曲げ強度及び指掛け52における衝撃強度も増すようになる。
【0015】
またキャビティ狭窄部15aを通過した樹脂の流動は、指掛け52を成形する部分の内縁が深溝15bに形成してあることから、その深溝15bを通路として生じ、指掛け52が環状片によるものであっても、樹脂の充填がスムーズに行われて、肉厚1.5mmほどの側方に長い吊り具5でも、プリフォーム11と共に射出成形が容易となる。
【0016】
また深溝15bにより成形された厚肉の凸縁による指掛け縁54により、指掛け52の捩じれが防止されるので、吊り具全体が偏平で横長のポリエチレンテレフタレート片によるものであつても、十分にその使用に耐え、3リットル程度の大型のPETボトルに採用しても、吊り具5が狭窄部55から簡単に切断するようなことはなく、その目的を達成することができる。
【0017】
さらにまたキャビティ15についても、パーティング面の加工により容易に形成でき、離型もプリフォーム11と共に容易になし得るので、通常ボトルの場合と何ら変わるところなく成形を行うことができる。
【0018】
【実施例】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る首部側面に吊り具を一体形成したPETボトルの半部縦断正面図である。
【図2】 同上の平面図である。
【図3】 吊り具の折り曲げ状態を鎖線で示す縦断面図である。
【図4】 吊り具とプリフォームとの成形状態を示す金型の略示正面図である。
【図5】 吊り具のキャビティの縦断正面図てある。
【符号の説明】
1 ボトル
2 首部
3 胴部
4 底部
5 吊り具
6 サポートリング
11 プリフォーム
12 プリフォームの首部
13 プリフォーム胴部
14 プリフォームの底部
15 吊り具のキャビティ
16 サポートリング
17 パーティング面
15a キャビティ狭窄部
15b 突条
15c 深溝
51 接続片
52 指掛け
53 指先挿入穴
54 凸縁
55 狭窄部
Claims (2)
- ポリエチレンテレフタレート(PET)によるプリフォームの射出成形時に、偏平で側方に長く、かつ自由端を首部との接続片よりも幅広の環状片による指掛けに形成した吊り具を、首部のねじより下側の外周のサポートリング側面に一体形成し、その吊り具より下位の首部基端から底部を延伸吹込成形により薄肉に形成したボトルであって、
上記吊り具は、プリフォームの首部成形型と本体成形型とのパーティング面に形成した偏平なキャビティにより、首部外周の上記サポートリングと共に形成され、そのキャビティの首部から離れた途中に設けた幅方向に長く両側をテーパー面に形成した横幅のあるキャビティ狭窄部により、上記接続片の途中が幅方向に長く肉厚が薄減されるとともに、該キャビティ狭窄部による樹脂の分子配向により上下に折曲自在で曲げ強度に耐える狭窄部に形成され、かつ偏平なキャビティの指掛けを成形する部分の内縁に沿って形成した深溝により、環状内側に沿って補強を兼ねる厚肉の凸縁による指掛け縁が一体形成されてなることを特徴とする首部側面に吊り具を一体形成したPETボトル。 - ポリエチレンテレフタレート(PET)によるプリフォームの射出成形時に、偏平で側方に長く、かつ自由端を首部との接続片よりも幅広の環状片による指掛けに形成した吊り具を、首部のねじより下側の外周のサポートリング側面に一体形成し、その吊り具より下位の首部基端から底部を延伸吹込成形により薄肉に形成したボトルの成形金型であって、
その成形金型はプリフォームの首部成形型及びプリフォームの本体成形型と、首部成形型と本体成形型とのパーティング面に形成した偏平なキャビティとからなり、その偏平なキャビティは上記サポートリングと上記吊り具の接続片及び環状片とを成形するキャビティを有し、その接続片を形成するキャビティの首部から離れた途中に、該接続片の途中を幅方向に長く肉厚を薄減するとともに、樹脂の分子配向により上下に折曲自在で曲げ強度に耐える狭窄部に形成する、幅方向に長く両側をテーパー面に形成した横幅のあるキャビティ狭窄部を備えることを特徴とする首部側面に吊り具を一体形成したPETボトルの成形金型。
Priority Applications (1)
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JP34123999A JP3783197B2 (ja) | 1995-11-27 | 1999-11-30 | 首部側面に吊り具を一体形成したpetボトル及びその成形金型 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP34123999A Expired - Lifetime JP3783197B2 (ja) | 1995-11-27 | 1999-11-30 | 首部側面に吊り具を一体形成したpetボトル及びその成形金型 |
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-
1999
- 1999-11-30 JP JP34123999A patent/JP3783197B2/ja not_active Expired - Lifetime
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