JP2003080588A

JP2003080588A - 吊り具付き容器

Info

Publication number: JP2003080588A
Application number: JP2001277481A
Authority: JP
Inventors: Tsunemi Yoshioka; 常己吉岡; Masaru Ito; 勝伊藤; Mikio Kumamoto; 幹男熊本
Original assignee: Hanshin Kasei Kogyo Co Ltd
Current assignee: Hanshin Kasei Kogyo Co Ltd
Priority date: 2001-09-13
Filing date: 2001-09-13
Publication date: 2003-03-19

Abstract

(57)【要約】【課題】輸液容器などに適用される樹脂製の吊り具付
き容器であって、自立安定性に優れ、しかも、より効率
的に製造できる吊り具付き容器を提供する。【解決手段】吊り具付き容器は、パンタグラフ状の吊
り具（２）を容器本体（１）の底部（１２）に備えてお
り、吊り具（２）が一体化されたプリフォームを射出成
形する工程、プリフォームの温度調節を行う工程、プリ
フォームを延伸ブロー成形する工程を経て製造される。
そして、延伸ブロー成形する工程において延伸ロッドの
押圧操作によりブローキャビティ内に吊り具（２）を折
り畳んだ状態で成形することにより、吊り具（２）は、
容器本体（１）の底部（１２）に収納された状態に一体
成形される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吊り具付き容器に関す
るものであり、詳しくは、輸液容器などに適用される樹
脂製の吊り具付き容器であって、自立性を備え且つより
効率的に製造できる吊り具付き容器に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】吊り具付き容器は、吊り下げ用の吊り具
が底面に取り付けられた容器であり、主に、医療用の輸
液容器として使用される。吊り具付き容器に関する技術
は、例えば、特公平６−８４０３８号公報に「吊具付き
容器成形用プリフォーム及び吊具付き容器の成形方法」
として開示されている。上記の公報に記載された容器
は、熱可塑性樹脂から成る容器本体と、容器本体の底面
に取り付けられた環状の吊り具とから構成された容器で
あり、吊り具が予め底部に備えられたプリフォームを延
伸ブロー成形して製造される。また、容器本体と吊り具
との連結部は、折曲げ用のヒンジとして機能させるた
め、プリフォームの製造後あるいは容器本体のブロー成
形後に圧縮加工される。

【０００３】上記の様な吊り具付き容器は、プリフォー
ムの製造において吊り具を予め一体成形するため、容器
本体に対する吊り具の連結強度が高く、落下事故を防止
する観点から医療用容器として好適である。また、容器
本体の製造後に吊り具を装着する構造の容器に比べて効
率的に製造することが出来る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、吊り具付き
容器は、使用時は転倒させるにせよ、流通、保管の間お
よび使用直前までは立てた状態で取り扱えるのが便宜上
好ましい。しかしながら、プリフォームの製造において
吊り具を一体成形した上記の様な容器は、容器本体と吊
り具との連結部にヒンジ加工が施されているにしても、
連結部の本来的な弾性により容器本体の底部から吊り具
が食み出た状態となるため、実際、自立安定性に欠け
る。また、上記の連結部におけるヒンジ加工により、製
造効率の十分な向上が望めない。

【０００５】本発明は、吊り具が一体成形された吊り具
付き容器における上記の課題を解決すべく種々検討の結
果なされたものであり、その目的は、輸液容器などに適
用される樹脂製の吊り具付き容器であって、自立安定性
に優れ、しかも、より効率的に製造できる吊り具付き容
器を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の吊り具付き容器は、折畳み可能なパンタグ
ラフ状の吊り具を容器本体の底部に備えた吊り具付き容
器であって、容器本体形成部に前記吊り具が一体化され
たプリフォームを射出成形する工程、当該プリフォーム
の温度調節を行う工程、前記プリフォームを延伸ブロー
成形する工程を経て製造され、かつ、延伸ブロー成形す
る工程において延伸ロッドの押圧操作によりブローキャ
ビティ内に前記吊り具を折り畳んだ状態で延伸ブロー成
形することにより、前記吊り具は、内側に凹没した前記
容器本体の底部に対して収納された状態に一体成形され
ていることを特徴とする。

【０００７】すなわち、上記の吊り具付き容器におい
て、延伸ブロー成形する工程における吊り具の折畳みに
より吊り具が容器本体の底部に収納状態に一体成形され
た構造は、使用前においては吊り具が容器本体の外側に
突出することがなく、高い自立安定性を発揮する。ま
た、上記の吊り具付き容器は、延伸ブロー成形する工程
において吊り具を折り畳んだ状態に塑性変形でき、製造
工程を簡素化できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明に係る吊り具付き容器の一
実施形態を図面に基づいて説明する。図１は本発明に係
る吊り具付き容器の全体形状を示す側面図である。図２
は本発明に係る吊り具付き容器の吊り具の形状例を示す
容器本体の底面図および引き出した状態の吊り具の形状
を示す容器本体の底部の縦断面図である。図３はプリフ
ォームの形状を示す図であり、分図（ａ）及び（ｂ）は
それぞれ９０°異なる方向から視た縦断面図、分図
（ｃ）は底面図である。図４〜図９は本発明に係る吊り
具付き容器の製造工程を示す図であり、そのうち、図４
〜図７はプリフォームの成形工程を示す縦断面図、図８
はプリフォームの温度調節工程（及び予備ブロー工程）
を示す縦断面図、図９は延伸ブロー成形工程（製品ブロ
ー成形工程）を示す縦断面図である。以下、実施形態の
説明においては、吊り具付き容器を「容器」と略記す
る。

【０００９】本発明の容器は、図１に示す様に、折畳み
可能なパンタグラフ状の吊り具（２）を容器本体（１）
の底部（１２）に備えた合成樹脂製の容器であり、後述
する様に、容器本体（１）と吊り具（２）とを一体成形
して成る。本発明の容器を構成する樹脂としては、プロ
ピレンの単独重合体とプロピレンを主体とするオレフィ
ンの共重合体とを含有する樹脂組成物が挙げられる。ま
た、本発明の容器は、低密度ポリエチレンとオレフィン
共重合体とを含有する樹脂組成物から構成されていても
よい。更に、本発明の容器は、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂によって構成することも出来る。

【００１０】容器本体（１）は、例えば、底部側が若干
絞られた縦長の胴部（１１）によって主に構成され、胴
部（１１）の上端には口部が設けられる。胴部（１１）
は、略楕円形（図示の形態）又は略円形もしくは角部が
円弧状に形成された略方形の横断面形状（中心線に直交
する断面形状）を備えている。また、図示しないが、胴
部（１１）の両側面（短径に沿った側面）には、各々、
上下方向に伸長された幅狭の平面部が形成されいてもよ
い。更に、容器本体（１）の肩部及び腰部は、各々、緩
やかな曲率で上記の平面部に連続する曲面を備えていて
もよい。

【００１１】上記の様に横断面形状が扁平になされ且つ
胴部（１１）の両側面にリブ状の平面部が形成された容
器本体（１）は、内容物の排出に伴い、平面部を起点と
して前後面側が内側に潰れるため、容易に減容させるこ
とが出来る。容器本体（１）の内容積は、例えば輸液容
器として使用する場合で１００〜１０００ｍｌ程度であ
り、その場合の容器本体（１）の肉厚は、減容性と適度
な剛性（取り扱い容易性）を確保する観点から、０．１
５〜０．７０mm程度が好ましい。

【００１２】容器本体（１）の底部（１２）は、図１及
び図２（底面図）に示す様に、その外周に折返し部（１
２ｃ）が形成されることにより、内側に凹没した形状に
なされている。本発明の容器においては、上記の折返し
部（１２ｃ）が容器本体（１）の剛性を高めるリブとし
て機能するため、吊り具（２）によって容器本体（１）
を転倒状態に吊り下げた際に全体形状を保持することが
出来る。そして、図１に示す様に、底部（１２）の凹没
部分に吊り具（２）を収納することが出来る。また、口
部（３）は、例えば、カテーテル装着用の栓を挿入する
ために円筒状に形成される。口部（３）には、蓋を溶着
し且つ前記の栓を挿入する際の指掛けとするためのフラ
ンジが設けられる。なお、斯かる口部（３）は螺子構造
を備えていてもよい。

【００１３】容器本体（１）の底部（１２）に収納され
る吊り具（２）は、図２に示す様に、折畳み可能なパン
タグラフ状に形成される。本発明において、折畳み可能
なパンタグラフ状とは、容器本体（１）の底部（１２）
に対する連結部を含む弾性変形可能な節（関節部）が複
数箇所に設けられ、引き伸ばした場合にこれら節を屈曲
点として階段状に弾性変形する形状を言う。

【００１４】具体的には、吊り具（２）は、扁平な板状
の断面形状（各部位の長さ方向に直交する断面形状）を
備えており、輸液用スタンド等の吊下機器に掛止される
環状部（２１）と、容器本体（１）の底部（１２）の中
央から長径方向に伸長されて環状部（２１）に連続する
アーム部（２２）とから構成される。例えば、図２
（ａ）に示す吊り具（２）は、２つの節を備えた吊り具
であり、略リング状の環状部（２１）とアーム部（２
２）とから構成される。また、図２（ｂ）に例示する吊
り具（２）は、３つの節を備えた吊り具であり、円形の
半円部を折り返した略馬蹄形状の環状部（２１）と、底
部（１２）の中央から伸長されて環状部（２１）の最内
縁に連続するアーム部（２２）とから構成される。吊り
具（２）の各部位は、幅を１．５〜５．０ｍｍ程度、厚
さを１．０〜３．０ｍｍ程度とされる。

【００１５】本発明においては、吊り具（２）が上記の
様なパンタグラフ状に形成されることにより、吊り具
（２）の強度を一層高めることが出来、使用時における
落下事故をより確実に防止できる。すなわち、本発明の
容器は、吊下機器に吊り下げられた際に内容物の荷重が
吊り具（２）に掛かるが、揺れ等によって吊り具（２）
に加わる荷重が変化した場合でも、吊り具（２）の複数
の節によって荷重を分散でき、吊り具（２）の破損を有
効に防止し得る。更に、吊り具（２）には、屈曲性（柔
軟性）を高めるための薄肉部（２３）が設けられる。薄
肉部（２３）は、厚さを０．４〜１．０ｍｍ程度、長さ
を１．０〜５．０ｍｍ程度に設定され、通常は２〜６箇
所に設けられる。

【００１６】本発明の容器は、ホットパリソン法やコー
ルドパリソン法を利用した従来法と同様の延伸ブロー成
形により製造される。図４〜図９に例示した製造工程
は、ホットパリソン法による製造工程であり、本発明の
容器は、概略、次の様な製造工程、すなわち、図４〜図
７に示す様に、容器本体形成部（Ｐ１）に吊り具（２）
が一体化されたプリフォーム（Ｐ）を射出成形する工程
（以下「射出成形工程」と言う。）と、図８に示す様
に、プリフォーム（Ｐ）の温度調節を行う工程（以下
「温度調節工程」と言う。）と、図９に示す様に、プリ
フォーム（Ｐ）を延伸ブロー成形する工程（以下「ブロ
ー成形工程」と言う。）とを経て製造される。

【００１７】射出成形工程では図３に示す様なプリフォ
ーム（Ｐ）を製造する。図３に示すプリフォーム（Ｐ）
は、上端に上記の口部（３）を備え且つ中心線に直交す
る断面が略円形に形成された容器本体形成部（Ｐ１）
と、当該容器本体形成部の底部に設けられた上記の吊り
具（２）とから成り、容器本体形成部（Ｐ１）は、イン
ジェクションキャビティ（以下、「キャビティ」と言
う。）から上方へ引き抜くため、上端側に比べて底部側
を小さな直径に設定される。

【００１８】プリフォーム（Ｐ）において、吊り具
（２）は、図２及び図３に示す様に、上記の薄肉部（２
３）が設けられることにより、キャビティ内での樹脂の
溶着を防止する様になされている。上記のプリフォーム
（Ｐ）においては、離型操作の際に吊り具（２）が後述
の固定型（４１）に引っ掛かることなく引き抜ける様
に、吊り具（２）の最大外形幅（Ｗ）は、容器本体形成
部（Ｐ１）において後述の分割型（４２）により成形さ
れる部位の最大外径（Ｄ）に対して９８％以下に設定さ
れる。

【００１９】また、図３に示す様に、プリフォーム
（Ｐ）は、吊り具（２）の先端（下端）に第１のスプル
ー（２４）を備え、容器本体形成部（Ｐ１）の底部中央
に第２のスプルー（２５）（底部（１２）に対する吊り
具（２）の連結部に相当する部分）を備えている。そし
て、第１のスプルー（２４）は、容器本体形成部（Ｐ
１）の分割型（４２）によって成形される部位の最大外
径（Ｄ）の７０〜９５％の範囲に相当する領域（Ｓ）に
配置される（図３（ａ）参照）。

【００２０】射出成形工程においては、図４に示す様
に、容器本体形成部（Ｐ１）を形成する固定型（４
１）、および、吊り具（２）を形成する分割型（４２）
から成る射出成形型（４）が使用される。固定型（４
１）の上端には、プリフォーム（Ｐ）の口部（３）を形
成すると共にプリフォーム（Ｐ）及び製品容器の搬送機
構として機能する円環状のホルダー（５）が装着され、
また、ホルダー（５）の中心には、上方からコア（４
３）が装着される。すなわち、ホルダー（５）及びコア
（４３）と共に固定型（４１）により、主に容器本体形
成部（Ｐ１）及び口部（３）を形成するキャビティが構
成される。斯かるキャビティは、中心線に直交する断面
を略円形に形成され且つ抜き角度を１〜２．５度に設定
される。

【００２１】一方、分割型（４２）は、図４及び図５に
示す様に、上記のキャビティの中心線に対して左右に離
間可能に構成され、分割部分の間に吊り具（２）を形成
するキャビティが構成される。更に、分割型（４２）の
分割部分の固定型側には、上記のコア（４３）の先端部
が挿入される彫込み部が設けられる。すなわち、コア
（４３）の先端部と共に分割型（４２）の彫込み部によ
り、容器本体形成部（Ｐ１）の底部を形成するキャビテ
ィが構成される。また、分割型（４２）の分割部分に
は、固定型（４１）と反対側から射出ノズル（６）が装
着され、吊り具（２）の先端の上記の第１のスプルー
（２４）を形成するゲートが構成される。斯かるゲート
の位置は、容器本体形成部（Ｐ１）に対する前述の第１
のスプルー（２４）の配置関係と同等である。

【００２２】射出成形型（４）においては、上記の様
に、固定型（４１）と分割型（４２）の両方によって容
器本体形成部（Ｐ１）を形成する様になされているが、
容器本体形成部（Ｐ１）を形成するキャビティは、その
高さの９５〜８５％が固定型（４１）において構成され
且つ５〜１５％が分割型（４２）において構成される。
容器本体形成部（Ｐ１）のキャビティを上記の様に設定
する理由は次の通りである。

【００２３】すなわち、プリフォーム（Ｐ）を射出成形
する場合には、固定型（４１）及び分割型（４２）にお
いてそれぞれに温度調節するが、主に吊り具（２）を形
成する分割型（４２）においては、キャビティの形状が
複雑で且つ断面積が小さいため、樹脂の流動性を高める
観点から、固定型（４１）の温度よりも高い温度に設定
する必要がある。他方、主に容器本体形成部（Ｐ１）を
形成する固定型（４１）においては、キャビティの形状
が比較的単純で且つ断面積が大きいため、回り込んだ樹
脂をより速く冷却する観点から、ならびに、離型の際に
容器本体形成部（Ｐ１）が壊れる所謂底抜け現象を防止
する観点から、分割型（４２）の温度よりも低い温度に
設定するのが好ましい。

【００２４】しかしながら、容器本体形成部（Ｐ１）は
吊り具（２）に比べて多くの量の樹脂を必要とするた
め、容器本体形成部（Ｐ１）を形成するキャビティの
中、吊り具（２）のキャビティから樹脂が流入するゲー
ト近傍においては、樹脂の流動性を十分に高める必要が
ある。そこで、容器本体形成部（Ｐ１）のキャビティを
固定型（４１）と分割型（４２）において上記の割合で
構成することにより、底抜け現象を誘発することなく、
プリフォーム（Ｐ）の成形性を高めることが出来る。

【００２５】射出成形工程においては、図４に示す様
に、先ず、固定型（４１）及び分割型（４２）を型閉し
た状態で射出ノズル（６）からキャビティに樹脂を射出
する。次いで、各型の温度調整によりキャビティ内の樹
脂を固化してプリフォーム（Ｐ）を成形する。プリフォ
ーム（Ｐ）を成形した後は、図５に示す様に、分割型
（４２）を型開し、成形された吊り具（２）及び容器本
体形成部（Ｐ１）の底部を開放する。続いて、図６に示
す様に、成形された口部（３）をホルダー（５）によっ
て保持したまま、ホルダー（５）及びコア（４３）を引
き上げることにより、固定型（４１）のキャビティを通
じ、プリフォーム（Ｐ）全体を固定型（４１）から引き
抜く。

【００２６】上記の様にプリフォーム（Ｐ）を固定型
（４１）から引き抜く際には、吊り具（２）の最大外形
幅（Ｗ）が分割型（４２）により成形される容器本体形
成部（Ｐ１）の最大外径（Ｄ）に対して特定の大きさに
設定されているため、固定型（４１）に引っ掛かること
なく円滑に取り出すことが出来る。次いで、プリフォー
ム（Ｐ）を固定型（４１）から取り出した後は、図７に
示す様に、プリフォーム（Ｐ）からコア（４３）を引き
出す。そして、得られたプリフォーム（Ｐ）は、ホルダ
ー（５）により保持した状態で図８に示す温度調節工程
に移送する。

【００２７】温度調節工程においては、後段のブロー成
形に適した温度にプリフォーム（Ｐ）の温度を調節する
と共に、予備ブロー成形を行う。温度調節工程では、図
８（ａ）に示す様に、分割型（７１）から成り且つ容器
本体形成部（Ｐ１）を収容する予備ブロー成形型（７）
が使用される。予備ブロー成形型（７）の上端には、プ
リフォーム（Ｐ）を保持した上記のホルダー（５）が装
着され、また、ホルダー（５）の中心には、上方から延
伸ロッド装置（８）が装着される。

【００２８】すなわち、予備ブロー成形型（７）は、容
器本体形成部（Ｐ１）を所定の大きさに成形するブロー
キャビティを構成し、延伸ロッド装置（８）は、ブロー
キャビティのプリフォーム（Ｐ）内に延伸ロッド（８
１）を挿入し且つ延伸ロッド（８１）の外周部に設けら
れた吹込みノズルから空気等の気体を吹き込む様になさ
れている。なお、延伸ロッド装置（８）は、通常、後述
するブロー成形工程においても共通に使用されるが、射
出成形した吊り具（２）と容器本体形成部（Ｐ１）の連
結部（第２のスプルー（２５））を押し潰すことのない
様に、斯かる延伸ロッド装置（８）としては、延伸ロッ
ド（８１）の先端押圧面の中央部が凹没した延伸ロッド
装置を使用するのが好ましい。

【００２９】温度調節工程においては、図８（ａ）に示
す様に、先ず、予備ブロー成形型（７）のブローキャビ
ティにプリフォーム（Ｐ）の容器本体形成部（Ｐ１）を
収容する。吊り具（２）は、分割型（７１）の端部から
食み出させた状態に開放しておく。次いで、予備ブロー
成形型（７）の温度調節によりプリフォーム（Ｐ）を加
温すると共に、延伸ロッド（８１）によって容器本体形
成部（Ｐ１）の底を押圧し、そして、吹込みノズルによ
って気体を吹き込む。斯かる操作により、プリフォーム
（Ｐ）の容器本体形成部（Ｐ１）をブローキャビティに
倣って膨張させる。

【００３０】また、本発明においては、製品としての容
器の底部（１２）に対してより確実に吊り具（２）を収
納状態とするため、上記の温度調節工程においては、癖
付け治具により吊り具（２）を折り畳んだ状態に予め変
形させてもよい。予め変形させる具体的な方法として
は、例えば、図８（ｂ）に示す様に、分割型（７１）の
端部から食み出させた吊り具（２）を分割型（７１）の
端部に向けて癖付け治具としての加圧部材（７２）によ
って加圧変形させる方法が挙げられる。

【００３１】あるいは、図８（ｃ）に示す様に、上記の
予備ブロー成形型（７）において、予備ブロー成形品
（プリフォーム（Ｐ））の底部に相当する部位が他の型
（底型）によって構成された成形型を使用することも出
来る。すなわち、図８（ｃ）に示す温度調節工程におい
ては、左右の分割型（７１）を型閉することによりプリ
フォーム（Ｐ）の容器本体形成部（Ｐ１）を収容すると
共に、癖付け治具として機能する底型（７３）を型閉す
ることにより折り畳んだ状態で吊り具（２）をブローキ
ャビティに収容し、そして、上記の温度調節および予備
ブロー成形を行う。上記の様に予備ブロー成形されたプ
リフォーム（Ｐ）は、ホルダー（５）により保持したま
ま図９に示すブロー成形工程に移送する。

【００３２】ブロー成形工程では、図９に示す様に、プ
リフォーム（Ｐ）（予備ブロー成形品）の全体を収容す
るブロー成形型（９）が使用される。ブロー成形型
（９）は、容器の容器本体（１）の胴部（１１）を成形
する左右の分割型（９１）と、容器の容器本体（１）の
底部（１２）を成形する底型（９２）とから構成され
る。ブロー成形型（９）の上端には、上記のプリフォー
ム（Ｐ）を保持したホルダー（５）が装着され、また、
ホルダー（５）には、上方から上記の延伸ロッド装置
（８）が装着される。すなわち、ブロー成形型（９）
は、プリフォーム（Ｐ）を最終の大きさ及び形状に成形
するブローキャビティを構成し、延伸ロッド装置（８）
は、プリフォーム（Ｐ）内に延伸ロッド（８１）を挿入
し且つ吹込みノズルから気体を吹き込む様になされてい
る。

【００３３】ブロー成形工程においては、図９に示す様
に、先ず、左右の分割型（９１）及び底型（９２）を型
閉してブローキャビティにプリフォーム（Ｐ）を収容す
る。その際、同時に吊り具（２）も折り畳んだ状態でブ
ローキャビティに収容する。そして、延伸ロッド（８
１）によってプリフォーム（Ｐ）の底を押圧すると共
に、吹込みノズルによって気体を吹き込む。斯かる操作
により、プリフォーム（Ｐ）をブローキャビティに倣わ
せて膨張させ、製品としての図１に示す様な容器を成形
する。その結果、容器本体（１）の底部（１２）に吊り
具（２）を収納した状態に一体成形できる。

【００３４】また、上記のブロー成形工程においては、
延伸ロッドとして、前述した様に、先端押圧面の中央部
が凹没した延伸ロッド（８１）を使用すると共に、ブロ
ーキャビティを構成するブロー成形型（９）として、吊
り具（２）を収容する彫込み部（９２ｅ）が容器本体
（１）の底部（１２）に相当する部位に設けられたブロ
ー成形型（９）を使用するのが好ましい。

【００３５】ブロー成形工程においては、上記の延伸ロ
ッド（８１）及びブロー成形型（９）を使用することに
より、延伸ロッド（８１）による押圧操作およびブロー
操作の際、プリフォーム（Ｐ）の底部に形成された吊り
具（２）ならびに当該吊り具と容器本体（１）の連結部
（プリフォーム（Ｐ）下側に突出する第２のスプルー
（２５））を押し潰すことがなく、射出成形工程で形成
した吊り具（２）の原形を確実に維持できる。

【００３６】上述した様に、本発明の容器は、ブロー成
形工程において延伸ロッド（８１）の押圧操作によりブ
ローキャビティ内に吊り具（２）を折り畳んだ状態で延
伸ブロー成形されており、内側に凹没した容器本体
（１）の底部（１２）に対して吊り具（２）が収納され
た状態に一体成形されている。そして、吊り具（２）が
収納状態に一体成形された上記の構造は、使用前におい
ては吊り具（２）が容器本体（１）の外側に突出するこ
とがなく、高い自立安定性を発揮する。換言すれば、本
発明の容器は、使用するまでは容器本体（１）の底部
（１２）から吊り具（２）が食み出すことがなく、自立
安定性に優れており、取扱いが極めて便利である。ま
た、本発明の容器は、ブロー成形工程において成形と同
時に吊り具（２）を折り畳んだ状態に塑性変形できるた
め、製造工程を一層簡素化できる。

【００３７】

【発明の効果】本発明の吊り具付き容器によれば、吊り
具が容器本体の底部に収納された状態に一体成形された
構造により、使用前においては高い自立安定性を発揮す
るため、取扱いが極めて便利である。しかも、ブロー成
形工程において成形と同時に吊り具を折り畳んだ状態に
塑性変形できるため、製造工程を一層簡素化できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る吊り具付き容器の全体形状を示す
側面図

【図２】本発明に係る吊り具付き容器の吊り具の形状例
を示す容器本体の底面図および引き出した状態の吊り具
の形状を示す容器本体の底部の縦断面図

【図３】プリフォームの形状を示す縦断面図および底面
図

【図４】プリフォームの成形工程（射出操作）を示す縦
断面図

【図５】プリフォームの成形工程（離型操作）を示す縦
断面図

【図６】プリフォームの成形工程（離型操作）を示す縦
断面図

【図７】プリフォームの成形工程（離型操作）を示す縦
断面図

【図８】プリフォームの温度調節工程（及び予備ブロー
工程）を示す縦断面図

【図９】延伸ブロー成形工程（製品ブロー成形工程）を
示す縦断面図

【符号の説明】

１：容器本体１１：胴部１２：底部２：吊り具２１：環状部２２：アーム部２３：薄肉部３：口部４：射出成形型４１：固定型４２：分割型４３：コア５：ホルダー６：射出ノズル７：予備ブロー成形型７１：分割型７２：加圧部材（癖付け治具）７３：底型（癖付け治具）８：延伸ロッド装置８１：延伸ロッド９：ブロー成形型９１：分割型９２：底型９２ｅ：彫込み部Ｐ：プリフォームＰ１：容器本体形成部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考） // Ｂ２９Ｌ 22:00 Ａ６１Ｊ 1/00 ３９０Ｊ (72)発明者熊本幹男富山県富山市小中163番地阪神化成工業株式会社内Ｆターム(参考） 3E033 AA01 BA14 BA16 BA18 DA08 DB01 DD01 DE20 FA03 GA02 3E062 AA20 AB01 AC02 GA10 GB02 KA04 KB17 4F208 AG07 AG23 AG28 AH67 LA02 LA04 LB01 LG15 LG28 LH10 LH18 LN25

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】折畳み可能なパンタグラフ状の吊り具を
容器本体の底部に備えた吊り具付き容器であって、容器
本体形成部に前記吊り具が一体化されたプリフォームを
射出成形する工程、当該プリフォームの温度調節を行う
工程、前記プリフォームを延伸ブロー成形する工程を経
て製造され、かつ、延伸ブロー成形する工程において延
伸ロッドの押圧操作によりブローキャビティ内に前記吊
り具を折り畳んだ状態で延伸ブロー成形することによ
り、前記吊り具は、内側に凹没した前記容器本体の底部
に対して収納された状態に一体成形されていることを特
徴とする吊り具付き容器。
【請求項２】吊り具が、吊下機器に掛止される環状部
と、容器本体の底部の中央から伸長されて前記環状部に
連続するアーム部とから構成されている請求項１に記載
の吊り具付き容器。
【請求項３】プリフォームの温度調節を行う工程にお
いて、癖付け治具により吊り具を折り畳んだ状態に予め
変形させる請求項１又は２に記載の吊り具付き容器。
【請求項４】プリフォームを延伸ブロー成形する工程
において、延伸ロッドとして、先端押圧面の中央部が凹
没した延伸ロッドを使用すると共に、ブローキャビティ
を構成するブロー成形型として、吊り具を収容する彫込
み部が容器本体の底部に相当する部位に設けられたブロ
ー成形型を使用する請求項１〜３の何れかに記載の吊り
具付き容器。