JP3783174B2 - 流水式超音波洗浄装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、半導体ウェハ、ガラスマスク、液晶表示素子用ガラス基板等に付着している微粒子の塵埃を除去するために用いられる、概ね数100kHz以上から3.5MHz程度までの範囲の周波数を使用する流水式超音波洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハやガラスマスク、液晶表示素子やプラズマディスプレイパネルのガラス等の精密洗浄には、数100kHz以上の高い周波数を持つ超音波が使用されている。洗浄装置には、洗浄液中に被洗浄物を浸漬し、高周波数の超音波を放射して洗浄を行う洗浄槽型と、加圧供給した洗浄液に高周波数の超音波を重畳させ、小径の穴や細長いスリット状の噴出口から被洗浄物に勢いよく照射して洗浄する流水式超音波洗浄装置がある。
【0003】
近年、液晶表示素子やプラズマディスプレイパネルに使用されるガラス基板は大型化が進展し,半導体ウェハも12インチの寸法への移行が急ピッチで進みつつある。これらの生産工程では被洗浄物を一枚づつ搬送する枚葉搬送方式が主流となって来ているため、汚れの再付着が起こらず、平坦で大きな洗浄面積を持つ被洗浄物に適した流水式超音波洗浄装置に大きな期待がかけられている。また、同時に生産性や歩留り向上の面から洗浄効果の一層の向上が必須の条件となっている。
【0004】
図5は従来型の代表的な流水式超音波洗浄装置の構造を示す断面図である。ノズル部1は中央下部に細長いスリット状の噴出口4を持ち、側面に配置した給液口3から洗浄液を供給し、噴出口4の下部に置かれた図示してない被洗浄物へ照射する。ノズル部1のノズル内面2に対面して超音波振動板6と圧電振動子7より構成される超音波振動子部5が設置されている。圧電振動子7はカバー8に取り付けてあるコネクタ9を介して、図示してない超音波発振器により高周波電圧が印加され超音波振動板6と一体となって超音波振動を起こし、噴出口4より噴出する洗浄液に超音波を放射する。図5に示した従来型の場合は、噴出口4が斜面を持っており、超音波振動板6から放射される超音波は若干の集束が起こるものの、そのほとんどはノズル内面2に衝突し散乱消滅し、その結果噴出口4を通過する超音波エネルギは、噴出口4の面積に相当する超音波振動板6の放射エネルギ程度となってしまい、超音波振動板6から放射する全エネルギよりはるかに小さいエネルギしか有効に利用できないという欠点があった。
【0005】
図6は上記の欠点を改良した従来型の流水式超音波洗浄装置の断面斜視図である。ノズル部1のノズル内面2の対面する二面を長い傾斜面としてあることが特徴である。符号1〜9は図5と同じである。また図7は噴出口4を円形としノズル内面2の形状をコーン型とした従来型の構造を示す斜視図である。符号は図5と同じである。さらに、図8は作用説明用の断面図であり、符号は図5と同じである。図6及び図7にに示す従来型の流水式超音波洗浄装置は、図8の断面図に示すように超音波を傾斜のあるノズル内面2で繰り返し反射させ、噴出口4へ集束するようにしたものである。しかし、ノズル部1の長さが長くなり超音波振動板6と被洗浄物との距離が遠くなるため、また、ノズル内面2による超音波の反射の回数が多くなるため減衰が起こってしまう等の欠点があり、より洗浄効果の高い流水式超音波洗浄装置が要求されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来型の流水式超音波洗浄装置の洗浄効果を上げるためには、噴出口の面積をを大きくし、噴出口から被洗浄物に照射される超音波エネルギの総量を増加させることが考えられるが、洗浄液の消費量の増大につながり、洗浄液の流し捨てを主流とする流水式超音波洗浄装置としては非現実的である。また、超音波発振器の出力を上げることも手っとり早い方法であるが、超音波発振器の電気振動を機械振動に変換する圧電振動子は、機械的強度や寿命の面から入力電力に制限を受ける。そこで、洗浄効果を上げるため本発明では以下の課題に着目した。
【0007】
洗浄液を噴出させる噴出口の寸法の多くは、細長いスリット状の場合は幅の狭い部分が1〜3mm程度、円径の穴の場合は直径2〜10mm程度が流水式超音波洗浄装置を使用する上で実用的な寸法となる。これに対し細長いスリット状の噴出口を持つノズル部に対応する圧電振動子の寸法は、入力電力の制限や寿命の関係から、幅の狭いほうの部分が10〜40mm程度、円径の穴に対応する圧電振動子の寸法は直径10〜30mm程度が使用される。即ち、噴出口の面積より大きな面積から超音波が放射されることになる。従って、圧電振動子から放射する超音波を狭い面積の噴出口に効率よく集束させ、噴出する洗浄液に有効に作用させる方策を提供することが洗浄効果を向上させるための必要条件となる。
【0008】
上記の諸条件に鑑み、本発明は超音波振動板から放射される超音波を均一に効率良く噴出口に集束させ、洗浄効果の向上した流水式超音波洗浄装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明の流水式超音波洗浄装置は、超音波振動板に対面するノズル内面の断面の形状を放物線とし、給液口より加圧供給される洗浄液を、ノズル内面の放物線の頂点に位置する噴出口より噴出するようしてあるノズル部と、超音波振動板に固定され、超音波発振器により駆動される圧電振動子とにより組み合わされた、超音波を放射する超音波振動子部とにより構成し、超音波振動板と噴出口との距離Lが、ノズル内面の放物線の頂点における曲率半径をRとしたとき、L=(1/4±1/10)Rの範囲となることを特徴とする、流水式超音波洗浄装置とする。
【0010】
請求項2に記載した本発明の流水式超音波洗浄装置は、前述した請求項1の解決手段におけるノズル内面の断面形状を円弧とし、超音波振動板と噴出口との距離Lが、ノズル内面の円弧の半径をRとしたとき、
L=(1/4±1/10)Rの範囲となることを特徴とする、流水式超音波洗浄装置とする。
【0011】
【作用】
反射面の断面が放物線である反射鏡に、放物線の主軸に平行な光を当てると、その反射光は全て放物線の焦点を通る。また、放物線の頂点の近傍における曲率は、近似的に放物線の頂点における曲率半径と等しい半径を持つ円弧に置き換えることができ、その焦点距離は放物線の頂点における曲率半径(円弧の場合は半径となる)の1/2となることは周知の如くである。
【0012】
本発明はこの原理に基ずきなされたもので、図4の作用説明図により説明する。図において、反射鏡に相当するノズル部1のノズル内面2の断面の形状は放物線となっており、放物線の頂点Aの位置に主軸を中心として噴出口4を設けている。主軸上の点Oは放物線の頂点における曲率中心であり、焦点Fは放物線の頂点における曲率半径Rの1/2の位置(焦点距離をfとするとf=R/2の位置。)となる。超音波振動子部5は超音波振動板6を噴出口4に対面させ主軸に直交して設置してあり、超音波振動板6は、噴出口4のAの位置と焦点Fとの中間の位置、即ち、超音波振動板6と噴出口4との距離Lが、L=R/4(L=f/2)になるように設定してある。
【0013】
超音波振動板6より主軸に平行に放射された超音波は、直接、噴出口4に向かう部分以外はノズル内面2に衝突し反射する。そして、反射波は焦点Fに向かうことになるが、焦点Fの手前にある超音波振動板6に当たり再び反射する。超音波振動板6から反射した超音波は反射の原理から、超音波振動板6に関して焦点Fの対称点となるAの位置、つまり噴出口4に向かうことになる。
【0014】
前述では、超音波振動板6と噴出口4との距離を曲率半径Rの1/4としたため超音波振動板6から放射した超音波は、理論的に噴出口4の一点Aに集束することとなったが、実用面では噴出口4の面積の範囲に集束すればよく、超音波振動板6と噴出口4との距離Lは、L=(1/4±1/10)Rの範囲にあれば必要十分となる。
【0015】
こうして、超音波振動板6から放射する超音波は,理論的には全て噴出口4へ集束するので、噴出口4より噴出する洗浄液に、超音波エネルギを効率良く有効に作用させることができるので洗浄効果を高めることができる。
【0016】
なお、放物線の頂点の近傍における曲率は近似的に円弧に置き換えることができるので、図4のノズル内面2の断面形状は、中心をOとする半径Rの円弧として形成しても実用上何ら差し支えない。
【0017】
【実施例】
枚葉方式で搬送移動する被洗浄物に、上方または下方より高周波の超音波を重畳させた洗浄液を照射して洗浄する、本発明による流水式超音波洗浄装置の一実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明のうち請求項1に記載した細長いスリット状の噴出口4を持つ流水式超音波洗浄装置の一実施例の断面斜視図である。ノズル部1のノズル内面2の断面の形状を放物線で形成し、放物線の頂点に、側面に設けた給液口3より供給された洗浄液を噴出する噴出口4を備えている。噴出口4の先端の形状を突起型としているのは、内圧を高め液の噴出力を上げるためと、被洗浄物の搬送部材の間から洗浄液の照射を容易にし、且つ被洗浄物とノズル部の間隙の調整が容易なようにしたためである。噴出口4の寸法は狭い方の幅が1〜3mmの範囲で製作されるのが一般的である。超音波振動子部5はノズル内面2に対面する超音波振動板6と、超音波振動板6の裏面に、この例では、接着剤で固定される圧電振動子7により構成し、超音波振動板6と噴出口4との距離Lが、ノズル内面2の断面形状である放物線の頂点における半径をRとしたとき、L=(1/4±1/10)Rの範囲となるように位置させノズル部1と箱状に組み立ててある。
【0018】
超音波発振器から入力される高周波電圧はカバー8に取り付けてあるコネクタ9を介して接続される、圧電振動子7により超音波振動に変換され超音波振動板6を経て、給液口3から加圧供給される洗浄液に放射される。超音波振動板6より放射された超音波は、直接噴出口4に向かう部分以外はノズル内面2で反射し、次いで超音波振動板6で反射することによって噴出口4へ集束し被洗浄物へ至る。
【0019】
本発明の請求項2に記載した実施例は、前述した図1におけるノズル内面2の断面形状を円弧に置き換えてなる流水式超音波洗浄装置であり、基本原理等については前述した通りである。
【0020】
図2は本発明における請求項1および請求項2に記載した他の実施例の断面図、図3は下面図である。符号は図1と同じである。本例は噴出口4の形状を直径2〜10mm程度の円形としたものであり、ノズル内面2の形状は放物面または球面となり洗浄液は棒状になって噴出する。超音波の集束効果については前述の細長いスリット状の噴出口を持つ流水式超音波洗浄装置と同様である。
【0021】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明を実施することにより、超音波放射面より放射される超音波は均一に効率よく噴出口に集束し、被洗浄物に対して超音波エネルギを有効に作用させることができるので、洗浄効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の、流水式超音波洗浄装置の断面斜視図である。
【図2】本発明の他の実施例の、流水式超音波洗浄装置の断面図である。
【図3】図2の下面図である。
【図4】本発明の作用説明図である。
【図5】従来技術の構造を示す断面図である。
【図6】従来技術の構造を示す断面斜視図である。
【図7】従来技術の構造を示す斜視図である。
【図8】従来技術の作用説明用の断面図である。
【符号の説明】
1 ノズル部
2 ノズル内面
3 供給口
4 噴出口
5 超音波振動子部
6 超音波振動板
7 圧電振動子
8 カバー
9 コネクタ
Claims (2)
- 超音波振動板に対面する部分の断面形状を放物線で形成し、前記放物線の頂点に噴出口を設け給液口から洗浄液を加圧供給して噴出するようにしたノズル部と、前記噴出口から噴出する洗浄液に超音波エネルギを供給する超音波振動子部とにより構成し、超音波振動板と対面する前記噴出口との距離Lが、前記放物線の頂点における曲率半径をRとしたとき、
L=(1/4±1/10)Rの範囲に設定されることを特徴とする流水式超音波洗浄装置。 - 超音波振動板に対面する部分の断面形状を円弧で形成し、前記円弧の頂点に噴出口を設け給液口から洗浄液を加圧供給して噴出するようにしたノズル部と、前記噴出口から噴出する洗浄液に超音波エネルギを供給する超音波振動子部とにより構成し、超音波振動板と対面する前記噴出口との距離Lが、前記円弧の半径をRとしたとき、L=(1/4±1/10)Rの範囲に設定されることを特徴とする流水式超音波洗浄装置。
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- 1997-04-09 JP JP12618197A patent/JP3783174B2/ja not_active Expired - Fee Related
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