JP3783134B2 - ホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造 - Google Patents

ホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は自動車の車輪のホイールバランスをとるために、ホイールのリムフランジ部に装着されるホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のホイールは、アクスルシャフトを中心に円運動をするが、ホイールバランスが狂っていると、回転速度が高まるにつれて振動が発生する。そこで、バランサーにてホイールバランスの軽い部分を発見し、この部分にホイールバランスウエイトを打ち込んで装着することによりホイールバランスをとっている。
【0003】
従来、ホイールバランスウエイトは、図13に示すように,鉛部材で構成されているホイールバランスウエイト本体(以下、ウエイト本体という)11と、このウエイト本体11に一体に固着された固定用クリップ19とで構成され、そのホイールWへの取付けは図14および図15に示すようにウエイト本体11をリムフランジ部Fの内周面F1に添えるとともに、固定用クリップ19部分をリムフランジ部Fの外周面F2に添え、ウエイト本体11と固定用クリップ19にてリムフランジ部Fの端部を挟み込むように位置させた状態にて、ハンマー等にて打ち込んで装着している。
【0004】
また、図17および図18に示すようにウエイト本体11と固定用クリップ29が別体に構成されて、ウエイト本体11をリムフランジ部Fの内周面F1に添えるとともに、固定用クリップ29において固定用クリップ29の先端29aをウエイト本体11に嵌合し、他端29bをリムフランジ部Fの外周面F2に係合させるように打ち込んで装着している。
【0005】
この場合、ウエイト本体11の鉛部材は柔らかい部材であることから、前記打ち込みによりホイールWのR径に沿って変形する。この変形により、ホイールWとの「なじみ」がでて、装着後において外れにくく、また、打ち込みにあたってもホイールWを傷つけることがない。さらに、ホイールWのR径が異なっても、この異なる各R径に沿ってウエイト本体11が曲折するために、ホイールWのR径が異なる毎にホイールバランスウエイトを用意する必要がない。
このように従来のホイールバランスウエイトは、ホイールのR径とのなじみがよく,ホイールを傷つけることもなく、さらにホイールWのR径が異なる毎にこれに対応したホイールバランスウエイトを用意する必要がないという利便を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固定用クリップ19がウエイト本体11に一体に固着されたホイールバランスウエイトの固定用クリップ19は、図16に示すように固定用クリップ19の基端側がウエイト本体11の中に埋設されて固設されている。そして、そのホイールバランスウエイトのホイールWへの取付けは、図14、図15および図16に示すように、ウエイト本体11をリムフランジ部Fの内周面F1に添えるとともに、固定用クリップ19部分をリムフランジ部Fの外周面F2に添え、ウエイト本体11と固定用クリップ19にてリムフランジ部Fの端部を挟み込むように位置させた状態にて、ハンマー等にて打ち込んで装着している。
【0007】
従って、図16に示すように固定用クリップ19の支持力の反力及びストレスは、固定用クリップ19とウエイト本体11との境界Gに集中することになるが、この時、固定用クリップ19は鋼材で構成され、、ウエイト本体11は鉛部材で構成されているため、経時的に固定用クリップ19とウエイト本体11との境界(付根)Gにおいてウエイト本体11が塑性変形し、クリップ力が緩みホイールWから脱落する不具合がある。また、何回も取付け、取外しを繰り返すと、クリップ力が減少し脱落するおそれも生じる。悪いときには折損することもある。
【0008】
また、ホイールバランスウエイトは、所定重量の異なるもの(例えば、2.5g、5g、10g等)を用意し、使用目的とする重量のものを選択して使用するが、前記したようなウエイト本体11と固定用クリップ19とが一体となったものを複数種類揃えることは、製造も大変であるし、コストも高くなる。
【0009】
また、図17および図18に示すようにウエイト本体11と固定用クリップ29が別体に構成されているものは、長期間使用していると車輪の回転や振動によって緩みが生じ、一層脱落するおそれがある。特に、ウエイト本体11が鉛部材以外の金属、例えば鉄部材で構成されているときは、硬(固〕いためホイールWのR径に沿っての「なじみ」もなく、固定用クリップ29との「なじみ」も生じないので緩みが生じやすく、脱落する可能性が高くなる。
【0010】
このようなため、ホイールバランスウエイトを粘着剤(接着剤)で接着する方法もあるが、雨、雪および洗車などにより水にさらされるため接着力が低下し、剥がれ落ちてしまう課題がある。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的はホイールへの装着後は外れにくく脱落することのないホイールバランスウエイトのクリップ取付構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造は、固定用クリップは、クリップ部とホイールバランスウエイトの両端に位置する軸受部とを具備し、この固定用クリップは、この軸受部の間に位置するホイールバランスウエイトに、軸受部を介し取付手段において取付けることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造は、固定用クリップは、クリップ部とホイールバランスウエイトの両端に位置する軸受部とを具備し、ホイールバランスウエイトには貫通孔が穿設され、この貫通孔には軸部材が挿通され、
前記固定用クリップは、軸受部の間に位置する前記ホイールバランスウエイトの軸部材に軸受部を取付けることを特徴とする。
【0014】
このような構成にすると、ホイールバランスウエイトは、その両端が固定用クリップの軸受部に取付けられるためクリップ部とホイールバランスウエイトとの間で緩みが生じたりすることがなく、クリップ部のトラブルは軸受部に影響を与えず、固定用クリップとホイールバランスウエイトが離脱することもない。
【0015】
さらに、このような構成の固定用クリップ取付構造とすれば、前記ホイールバランスウエイトは、複数を連結してホイールバランスウエイトとする小ウエイト体を構成し、この小ウエイト体は連結手段で連結可能となっており、この小ウエイト体の複数を連結して所定重量のホイールバランスウエイトに採用して最適となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面と共に詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態を示す分解斜視図、図2は本発明の実施の形態を示す斜視図、図3は本発明の実施の形態を示す断面図であり、符号1はホイールバランスウエイト(以下、ウエイトと略称する)、9は固定用クリップを示す。
【0017】
固定用クリップ9は、クリップ部9aと、軸受部9cと、このクリップ部9aと軸受部9cとを連結する連結部9bとで構成されている。軸受部9cはウエイト1の両端に位置しウエイト1を両側から挟持する格好に連結部9bからコ字状に曲折しており、クリップ部9aはその連結部9bの略中央にフック状に設けられている。前記軸受部9cには軸部材5が挿通できる孔12が穿設されている。
【0018】
ウエイト1には、その略軸心に貫通孔4が穿設されており、また、ウエイト1の両端面には前記固定用クリップ9の軸受部9cが嵌挿できる溝13が設けられ、さらに、固定用クリップ9の連結部9bが当接する部分は平面14になっている。
【0019】
このように構成されたウエイト1は、固定用クリップ9の軸受部9c、9c間に位置させるが、この時、軸受部9cはウエイト1の両端面に形成した溝13に嵌挿する。そして、一方の軸受部9cの外側から孔12を介しウエイト1の貫通孔4に軸部材5を挿通し、他方の軸受部9cの孔12に到達させた後、軸受部9cの外側に位置する軸部材5にEリング10を装着して抜け止めをする。これにより固定用クリップ9はウエイト1に取り付けられて両者は一体となる。このようにして完成した状態を図2及び図3に示している。
【0020】
ウエイト1の両端面に溝13を設け、この溝13に固定用クリップ9の軸受部9cを嵌挿するようにすると、ウエイト1が固定用クリップ9にしっかりと支持され脱落が防止されると共に、軸受部9cがウエイト1の端面より外出せずフラットな面を形成できるので好ましい。従って、溝13の形状は軸受部9cの形状に対応し、溝13の深さは軸受部9cの厚さに対応するのが好ましい。
【0021】
固定用クリップ9が取り付けられたウエイト1は、図2および図3に示すようにウエイト1をリムフランジ部Fの内周面F1に添えると共に、固定用クリップ9のクリップ部9aをリムフランジ部Fの外周面F2に添え、ウエイト1とクリップ部9aにてリムフランジ部Fの端部に挟み込むように位置させた状態にて、木ハンマー等にて打ち込んで装着する。
【0022】
この時、ウエイト1は固定用クリップ9の軸受部9cに支持されているため、クリップ部9aにトラブルが発生しても、クリップ部9aのトラブルに影響されず、固定用クリップ9から脱落することがない。また、軸受部9cはウエイト1の端面に形成された溝13に嵌挿されているので、ウエイト1の支持が確実になるし、軸受部9cがウエイト1の端面から外出せずフラットな面を形成できる。
【0023】
このようにウエイト1の端面に溝13を形成し、この溝13に軸受部9cを嵌挿すると前記のような利点があって好ましいものであるが、前記実施の形態は、本発明を制限するものでなく、本発明は要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が許容される。例えば、軸受部9cとウエイト1の支持構造は、種々の変更が可能である。
【0024】
図4は前記実施の形態の変形例を示す斜視図、図5はその断面図である。本例はウエイト1の端面に溝を形成せず、固定用クリップ9の軸受部9cをウエイト1の端面に当接した場合であって、他は前記実施の形態と同様であるので同一符号を付して詳細な説明は省略する。本例では軸受部9cの厚さ分だけウエイト1の端面より突出するが、クリップ部9aのトラブルに影響を受けずにウエイト1を支持できることは前記実施の形態と同様である。また、図4および図5に示すように軸受部9cに凸部を設け、この凸部に対応する凹部をウエイト1の端面に形成し、凸部を凹部に嵌入して支持の信頼性の向上をはかってもよい。
【0025】
図6は前記実施の形態の他の変形例を示す斜視図である。本例は固定用クリップ9のクリップ部9aが全長(連結部9bと同じ長さ)にわたって存在する場合であり、他は前記実施の形態と同様であるので同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
ウエイト1は、一体のものではなく図7乃至図10に示すような小ウエイト体1aを複数連結して所定重量のウエイト1とする構成のものであってもよい。この種のウエイト1においては、小ウエイト体1aを所定重量にしておけば、連結する数においてウエイト1の重量は決定できるので好ましい。
図7および図8に示すウエイト1は、小ウエイト体1aが短軸状であって、一端面に螺孔2が形成され、他端面に螺軸3が突設され、隣接する小ウエイト体1a、1a同志において、一方の小ウエイト体1aの螺孔2に他方の小ウエイト体1aの螺軸3を螺入して連結する構成のものである。
【0027】
図9に示すウエイト1は、小ウエイト体1aが短軸状であって、軸心には貫通孔4が穿設され、この貫通孔4において軸部材5に挿入して複数を連結し、ウエイト本体1に構成するものであり、本例では小ウエイト体1aを3個連結した場合を示している。
前記軸部材5は、一端側が径大部(鍔体)5aに、他端側がねじ部6になっており、小ウエイト体1aを挿入すると径大部5aで係止され、これをねじ部6にナット7を螺合して締め付け固定することによって、ウエイト本体1を構成する
【0028】
図10に示すウエイト1は、小ウエイト体1aが、短軸状であって、その軸心には貫通孔4が穿設され、この貫通孔4にワイヤ8を挿入して複数を連結し、ウエイト本体1に構成するものであり、本例では小ウエイト体1aを5個連結した場合を示している。
【0029】
図11および図12は本発明の他の実施の形態を示す斜視図およびその断面図であり、ウエイト1として前記図7乃至図10に示すような複数の小ウエイト体1aを連結してウエイト1とする構成のものを使用した場合である。
本実施の形態は、小ウエイト体1aは、短軸状であって、その軸心には貫通孔4が穿設され、この貫通孔4に軸部材5を挿入して複数を連結する。一方、固定用クリップ9は、クリップ部9aと、軸受部9cと、このクリップ部9aと軸受部9cとを連結する連結部9bとで構成されており、軸受部9cは小ウエイト体1aを連結して構成したウエイト1を、両側から挟持するようにコ字状に曲折しているので、前記小ウエイト体1aを軸部材5に挿入して連結したウエイト1を、軸受部9c、9cの間に位置させ軸受部9c、9cで挟持する格好にし、この軸受部9c、9cに軸部材5の両端を固定する。軸受部9cに軸部材5を固定する手段は、Eリング等の従来公知の手段を採用する。
これによりウエイト1に固定用クリップ9が設けられると共に、複数の小ウエイト体1aも連結固定される。
【0030】
この時の小ウエイト体1aの材質は、特に制限はなく、鉛部材以外の金属部材も使用可能である。例えば、金属部材及び金属とゴム、金属と樹脂、金属とゴムと樹脂の配合部材を例示できるが、比重は大きい方が小さな容積で大きな重さを提供できるので好ましい。例えば、タングステンを例示できる。
【0031】
なお。前記実施の形態は、本発明を制限するものではなく、本発明は、固定用クリップが、クリップ部とホイールバランスウエイトの両端に位置する軸受部とを具備し、この固定用クリップは、この軸受部の間に位置するホイールバランスウエイトに、軸受部を介し取付手段において取付ける構成であればよく、この範囲での種々の変形が可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、本発明は、固定用クリップが、クリップ部とウエイトの両端に位置する軸受部とを具備し、ウエイトは軸受部の間に位置して軸受部に取付けられ、ホイールのリムフランジ部にはクリップ部において取付け固定される。従って、クリップ部にはリムフランジ部に取付けるため、外力が作用し塑性変形したり、破損したりするトラブルが発生するが、ウエイトは軸受部に支持されているため、このトラブルの影響を受けずに固定用クリップから脱落することがない。特に、従来のクリップはウエイトの支持とホイールへの固定を兼ねているので、クリップのトラブルは、ウエイトの脱落に直結したが、本発明では回避される。
【0033】
しかも、ウエイトが複数の小ウエイト体を連結して構成するものである場合には、固定用クリップの軸受部でウエイトの両端側からウエイトを挟持する格好で支持できるので、小ウエイト体の集合を維持してホイールに取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の他の変形例を示す斜視図である。
【図7】ホイールバランスウエイトの斜視図である。
【図8】ホイールバランスウエイトの一部破断正面図である。
【図9】他のホイールバランスウエイトの一部破断正面図である。
【図10】更に他のホイールバランスウエイトの一部破断正面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【図13】従来例を示す斜視図である。
【図14】従来例の使用状態を示す斜視図である。
【図15】従来例の使用状態を示す部分拡大斜視図である。
【図16】従来例の使用状態を示す部分拡大断面図である。
【図17】他の従来例を示す部分拡大斜視図である。
【図18】クリップの従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ホイールバランスウエイト
1a 小ウエイト体
4 貫通孔
5 軸部材
9 固定用クリップ
9a クリップ部
9b 連結部
9c 軸受部
10 Eリング
12 孔
13 溝

Claims (3)

  1. 固定用クリップは、クリップ部とホイールバランスウエイトの両端に位置する軸受部とを具備し、この固定用クリップは、この軸受部の間に位置するホイールバランスウエイトに、軸受部を介し取付手段において取付けることを特徴とするホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造。
  2. 固定用クリップは、クリップ部とホイールバランスウエイトの両端に位置する軸受部とを具備し、ホイールバランスウエイトには貫通孔が穿設され、この貫通孔には軸部材が挿通され、
    前記固定用クリップは、軸受部の間に位置する前記ホイールバランスウエイトの軸部材に軸受部を取付けることを特徴とするホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造。
  3. 前記ホイールバランスウエイトは、複数を連結してホイールバランスウエイトとする小ウエイト体を構成し、この小ウエイト体は連結手段で連結可能となっており、この小ウエイト体の複数を連結して所定重量のホイールバランスウエイトとするものであることを特徴とする請求項1または2記載のホイールバランスウエイトの固定用クリップ取付構造。
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