JP3782585B2 - 送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インレットボックスを有する遠心ファン、斜流ファン及び軸流ファンなどの送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ボイラの強制送風や各種ガスの圧送用として用いられる送風機は、羽根を回転させかつガスがこの羽根を通ることによってガスの圧力および流速を高める所謂ターボ型が用いられている。前記送風機21は、図6に示すように、空気などのガスを取り入れるガス取入れ口22を有するインレットボックス23を備えている。なお、図6は遠心式ファンの例を示しかつ後述する羽根車24の羽根を省略している。
【0003】
図6に例示された送風機21は、羽根車24とフローガイド25とケーシング26とを備えている。羽根車24は、図示中の一点鎖線P1(回転軸)を中心として図示中の矢印K1に沿って回転するようになっているとともに、外周方向にガス圧送用の開口部(図示せず)を有している。
【0004】
ケーシング26は箱状に形成され、前記羽根車24の回転を妨げないように羽根車24を包囲して支持している。フローガイド25は一端がケーシング26の側壁27に開口しかつ他端が羽根車24に接続する裁頭円錐状のパイプで構成され、前記ケーシング26の外部から羽根車24にガスを導くようになっている。
【0005】
インレットボックス23は、箱状に形成され、前記回転軸P1の側方に開口するガス取入れ口22を有するとともに、前記フローガイド25にガスを導くようになっている。
【0006】
このような構成によれば、送風機21は、羽根車24を矢印K1に沿って回転させることによって、インレットボックス23のガス取入れ口22からガスを取入れ、フローガイド25を通して図示しない開口部からガスを圧送することとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の送風機21は、前記インレットボックス23のガス取入れ口22からガスを取入れる際に、羽根車24の回転軸P1の側方から前記フローガイド25内にガスを導くので、前記回転軸P1からガス取入れ口22に向う方向に沿って、前記フローガイド25内のガスの流速に以下に示すように偏りが生じることとなる。
【0008】
例えば、前記フローガイド25の流路断面積が最小となる狭隘部28において、前記回転軸P1からガス取入れ口22に向う方向のインレットボックス25の鉛直方向に沿った図6中の二点鎖線Q1上において、図7に示すように最もガス取入れ口22から離れた点R1では、ガスの流速が比較的遅く静圧が比較的高くなっているとともに、最もガス取入れ口22に近い点U1では、ガスの流速が比較的早く静圧が比較的低くなっている。
【0009】
このフローガイド25内のガスの流速の偏りによって、前記従来の送風機21は、効率が低下するという問題があった。
【0010】
従って本発明の目的は、効率の低下を抑制することが可能な送風機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の送風機は、回転する羽根車と、前記羽根車の上流側に設けられかつ前記羽根車に向う裁頭円錐状に形成されたフローガイドと、箱状に形成されかつ前記羽根車の回転軸の側方に開口するガス取入れ口を有するとともに前記ガス取入れ口から前記フローガイドにガスを導くインレットボックスとを有する送風機において、前記フローガイドが、前記インレットボックスの内壁面からこのインレットボックス内に突出しかつ開口して設けられ、かつ前記インレットボックスの前記フローガイドの開口部と相対する壁面が、前記羽根車から前記ガス取入れ口に向う方向に沿って徐々に前記羽根車から離れる方向に傾斜し、当該傾斜した壁面と前記フローガイドの開口部の開口縁とが互いに平行になるように構成にしたことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の元となる参考例について、図1から図4を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、送風機1は、気体を圧送する羽根車2と、この羽根車2を包囲するケーシング3と、ガス取入れ口14を有するインレットボックス13と、このインレットボックス13のガス取入れ口14から取入れたガスを前記羽根車2に導くフローガイド12等を備えている。
【0016】
羽根車2は、円板状に形成された基部4と、断面が翼形状に形成されるとともに、前縁側が中央側に位置しかつ後縁側が外周側に位置するように前記基部4の周方向にほぼ等間隔に設けられた羽根5などを備えている。
【0017】
また、前記羽根車2は、前記基部4に固定されかつ前記羽根5を包囲するカバー部材6を備えている。このカバー部材6は、ほぼ中央に吸気用の円形に開口した第1の開口部7を有している。カバー部材6は、周方向の一か所に送気用の図示しない開口部を設けている。
【0018】
前記基部4には、図2に示すように、前記羽根5の反対側に駆動軸8が接続されている。駆動軸8は、一端が前記基部4のほぼ中央でかつ基部4と垂直になるように接続され、他端が図示しない動力装置に接続されている。
【0019】
前記動力装置は、図2に示すように、基部4の中心Oを通り、基部4に垂直な軸(回転軸)Pを中心として、前記基部4と羽根5とを図1に示す矢印Kに沿って回転させるようになっている。
【0020】
なお、参考例において、前記羽根車2は、遠心式ファンを用いているが、羽根5を回転させかつガスがこの羽根5を通ることによってガスの圧力および流速を高める所謂ターボ型のものであれば、必要に応じて軸流式ファンや斜流式ファンなどを用いてもよい。
【0021】
前記ケーシング3は、前記羽根車2を包囲する箱状に形成され、前記駆動軸8の回転を妨げないように一つの側壁9に前記羽根車2を支持している。この側壁9に相対する側壁10には、図2に示すように、前記羽根車2のカバー部材6の第1の開口部7と同心円となる位置でかつ、前記第1の開口部7より径の大きな円形に開口した第2の開口部11を設けている。
【0022】
前記インレットボックス13は、前記ケーシング3の前記第2の開口部11を設けた側壁10に取付けられて設けられている。インレットボックス13は、箱状に形成されかつ羽根車2の回転軸Pと交差する方向(側方)に開口するガス取入れ口14を有している。このガス取入れ口14からケーシング3内にガスを導くようになっている。
【0023】
前記フローガイド12は、前記羽根車2に向かう裁頭円錐状のパイプ状に形成されている。フローガイド12は、カバー部材6の第1の開口部7に連結するとともに、前記ケーシング3の第2の開口部11を通って、前記インレットボックス13内に開口して設けられている。
【0024】
フローガイド12は、インレットボックス13内に開口する開口部15を有する開口縁16が、前記ケーシング3の側壁10のインレットボックス13内に相対向する壁面10aから前記インレットボックス13内に突出した状態で設けられている。前記側壁10の壁面10aは、インレットボックス13の内壁面となっている。
【0025】
前記フローガイド12は、図1中に平行斜線で示した前記開口部15の開口面積S1と、図2中に平行斜線で示した前記開口部15の回転軸Pを通った鉛直方向の長さを示す線分L1とこの線分L1の上下両端部からこの開口部15と相対向するインレットボックス13の壁面17aに向って垂直に下ろした線分L2,L3と前記壁面17aとで囲んだ部分の面積S2とが等しいか、またはこの面積S2が前記面積S1より大きくなる位置に設けられている。
【0026】
また、前記フローガイド12の開口部15に相対向するインレットボックス13の側壁17は、前記開口部15に相対向する壁面17aが、前記羽根車2からガス取入れ口14に向うに方向に沿って、徐々に前記羽根車2から離れる方向に傾斜して設けられている。
【0027】
このように構成された送風機1は、羽根車2を図1中の矢印Kに沿って回転させることによって、インレットボックス13のガス取入れ口14からガスを取入れ、フローガイド12を通して羽根車2内にガスを取り込み、カバー部材6の図示しない開口部からガスを圧送することとなる。
【0028】
前記参考例の送風機1の作用を確かめるために、本発明者らはフローガイド12内の圧力分布を測定した。その結果について図3及び図4を参照して説明する。
【0029】
この実験は、図1及び図2に示した参考例品(図3中の実線Aで示す)と図6などに示した従来の送風機21からなる比較例(図3中の点線Bで示す)のそれぞれのフローガイド12,25内のガスの静圧を測定して行った。
【0030】
それぞれの羽根車2,24が回転中の前記送風機1,21において、フローガイド12,25のガスの流路断面積が最小となる狭隘部18,28の静圧を測定した。これら狭隘部18,28の前記回転軸P,P1からガス取入れ口14,22に向う方向のインレットボックス13,23の鉛直方向に沿った図示中の二点鎖線Q,Q1上において、最もガス取入れ口14,22から離れた図中下端部に位置する点R,R1と、最もガス取入れ口14,22に近い点U,U1と、前記点R,R1と点U,U1との中央に位置する点M,M1などにおけるガスの静圧を測定した。
【0031】
図3によれば、比較例Bの前記点R1と点U1との間の静圧の圧力差が図中の領域B1で示すように比較的大きな値であるのに対し、参考例品Aは前記点Rと点Uとの間の静圧の圧力差が図中の領域A1で示すように比較的小さな値となっており、前記フローガイド12内の流速の偏りが抑制されていることが明らかとなった。
【0032】
また、この図3の結果を用いて、送風機1,21それぞれの効率を推定した結果を図4に示している。この図4は、前記点R,R1における流速と前記点U,U1における流速との差を、前記点M,M1における流速の2倍で除算した値をフローガイド12,25内の流速の偏りとして横軸にとり、この流速の偏りが0のときの送風機1,21の効率を100%として示している。なお、図4中の曲線Nは、前述した流速の偏りを変化させたときの送風機1,21の効率の変化を示している。
【0033】
図4によれば、比較例Bが、流速の偏りが46となりかつ送風機21の効率が約92%となる前記曲線N上の点B2であるのに対し、参考例品Aは、流速の偏りが30となりかつ送風機1の効率が約95%となる曲線N上の点A2となる。このように、流速の偏りを抑制することによって効率の低下を抑制できることが明らかとなった。
【0034】
前述した構成の参考例によれば、フローガイド12がインレットボックス13内に突出して設けられている。このため、送風機1がガスを圧送する際に、インレットボックス13のガス取入れ口14から導かれたガスが、フローガイド12の開口縁16において、図2中の矢印Sに沿ってガス取入れ口14に近い側がらフローガイド12内に導かれるとともに、図中の矢印T1に沿ってフローガイド12の開口縁16とこのフローガイド12が設けられた側壁10との間を流れて、図中の矢印T2に沿ってガス取入れ口14から離れた側から回り込んで、フローガイド12内に導かれることとなる。
【0035】
このため、羽根車2の回転軸Pからガス取入れ口14に向う方向に沿ったフローガイド12内のガスの流速の偏りが抑制されることとなって、送風機1の効率の低下が抑制されることとなる。
【0036】
さらに、前記インレットボックス13の前記フローガイド12の開口縁16と相対向する壁面17aが羽根車2の回転軸Pからガス取入れ口14に向う方向に沿って、徐々に羽根車2から離れる方向に傾斜しているので、ガス取入れ口14からフローガイド12へと確実にガスを取り込める。
【0037】
このため、羽根車2の回転軸Pからガス取入れ口14に向う方向に沿ったフローガイド12内のガスの流速の偏りがより一層確実に抑制されることとなって、送風機1の効率の低下をより一層確実に抑制することができる。
【0038】
また、前記フローガイド12は、図1中に平行斜線で示した前記開口縁16における開口部15の開口面積S1と、図2中に平行斜線で示した面積S2とが等しいかまたはこの面積S2が前記面積S1より大きくなる位置に設けられている。このため、羽根車2の回転軸Pからガス取入れ口14に向う方向に沿ったフローガイド12内のガスの流速の偏りがより一層確実に抑制されることとなって、送風機1の効率の低下をより一層確実に抑制することができる。
【0039】
次に、本発明の一実施形態を図5を参照して説明する。なお、前記参考例と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態における送風機1のフローガイド12は、インレットボックス13の内壁面10aからこのインレットボックス13内に突出した開口縁16aが、図5に示すように、送風機1の側方からみて、前記インレットボックス13の壁面17aと平行となるように形成されている。
【0041】
本実施形態の送風機1は、前述した参考例と同様に、羽根車2の回転軸Pからガス取入れ口14に向う方向に沿ったフローガイド12内のガスの流速の偏りが抑制されるとともに、ガス取入れ口14から確実にガスを取り込めるので、効率の低下を抑制することができる。
【0042】
また、前記フローガイド12は、前記開口縁16aにおける開口部15の開口面積S1と、図5中に平行斜線で示した面積S2とが等しいか、またはこの面積S2が前記面積S1より大きくなる位置に設けられている。このため、羽根車2の回転軸Pからガス取入れ口14に向う方向に沿ったフローガイド12内のガスの流速の偏りがより一層確実に抑制されることとなって、送風機1の効率の低下をより一層確実に抑制することができる。
【0043】
さらに、フローガイド12のインレットボックス13内に開口した開口部15を有する開口縁16aと、この開口縁16aと相対向するインレットボックス13の壁面17aと、が互いに平行に設けられているので、フローガイド12に導かれるガスが前記開口縁16aの周方向から略均一の流量及ぶ流速で導かれることとなる。
【0044】
このため、羽根車2の回転軸Pからガス取入れ口14に向う方向に沿ったフローガイド12内のガスの流速の偏りがより抑制されることとなって、送風機1の効率の低下がより確実に抑制されることとなる。
【0045】
また、前述した一実施形態では、羽根車2、フローガイド12及びインレットボックス13をそれぞれ一つのみ備えた所謂片吸込型の送風機1を示している。なお、本発明は、羽根車2、フローガイド12及びインレットボックス13をそれぞれ一対備え、一対の羽根車の背面側を互いに同軸的に連結するとともに、一対のフローガイドを互いに逆向きの方向でかつそれぞれのインレットボックス内に開口させた、所謂両吸込型の送風機にも適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の送風機は、羽根車にガスを導くフローガイドがインレットボックスの内壁面からこのインレットボックス内に突出して設けられているので、ガスが、ガス取入れ口に近い側がらフローガイド内に導かれるとともに、フローガイドの開口縁とこのフローガイドが設けられたインレットボックスの壁面との間を流れて、ガス取入れ口から離れた側からも回り込んで、フローガイド内に導かれることとなる。
【0047】
このため、羽根車の回転軸からガス取入れ口に向う方向に沿ったフローガイド内のガスの流速の偏りが抑制されることとなって、羽根車の効率の低下が抑制されることとなる。
【0048】
また、フローガイドのインレットボックス内に開口した開口縁と、この開口縁と相対向するインレットボックスの壁面と、が互いに平行に設けられているので、フローガイドに導かれるガスが前記開口縁の周方向から略均一の流量、流速で導かれることとなる。このため、羽根車の回転軸からガス取入れ口に向う方向に沿ったフローガイド内のガスの流速の偏りがより抑制されることとなって、羽根車の効率の低下がより確実に抑制されることとなる。
【0049】
さらに、前記インレットボックスの前記フローガイドの開口縁と相対向する壁面が羽根車の回転軸からガス取入れ口に向うにしたがって、徐々に羽根車から離れる方向に傾斜しているので、ガス取入れ口から確実にガスを取り込める。このため、羽根車の回転軸からガス取入れ口に向う方向に沿ったフローガイド内のガスの流速の偏りがより一層確実に抑制されることとなって、羽根車の効率の低下がより一層確実に抑制されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の元なる参考例を示す送風機の一部を切り欠いた斜視図。
【図2】 図1に示された送風機の断面図。
【図3】 参考品と比較例のフローガイド内の圧力分布を示す図。
【図4】 フローガイド内の流速の偏りと送風機の効率との関係を示す図。
【図5】 本発明の一実施形態を示す送風機の断面図。
【図6】 従来の送風機の断面図。
【図7】 図6に示された送風機のフローガイド内の流速の偏りを示す図。
【符号の説明】
1…送風機
2…羽根車
10a…内壁面
12…フローガイド
13…インレットボックス
14…ガス取入れ口
15…開口部
16,16a…開口縁
17a…壁面
Claims (1)
- 回転する羽根車と、
前記羽根車の上流側に設けられかつ前記羽根車に向う裁頭円錐状に形成されたフローガイドと、
箱状に形成されかつ前記羽根車の回転軸の側方に開口するガス取入れ口を有するとともに前記ガス取入れ口から前記フローガイドにガスを導くインレットボックスとを有する送風機において、
前記フローガイドが、前記インレットボックスの内壁面からこのインレットボックス内に突出しかつ開口して設けられ、
かつ前記インレットボックスの前記フローガイドの開口部と相対する壁面が、前記羽根車から前記ガス取入れ口に向う方向に沿って徐々に前記羽根車から離れる方向に傾斜し、
当該傾斜した壁面と前記フローガイドの開口部の開口縁とが互いに平行になるように構成にした
ことを特徴とする送風機。
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