JPH07279891A - 多翼送風機 - Google Patents

多翼送風機

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JPH07279891A
JPH07279891A JP7506494A JP7506494A JPH07279891A JP H07279891 A JPH07279891 A JP H07279891A JP 7506494 A JP7506494 A JP 7506494A JP 7506494 A JP7506494 A JP 7506494A JP H07279891 A JPH07279891 A JP H07279891A
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JP
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blade
impeller
blower
side plate
blades
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JP7506494A
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English (en)
Inventor
Kanjiro Kinoshita
歓治郎 木下
Masashi Kamata
正史 鎌田
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 羽根の側板寄りの端部における剥離域の抑制
と羽根の出口側における風速分布の均一化とを両立させ
ることで、静音化と送風性能の向上とを実現する。 【構成】 その一端4aが主板5に、他端4bが側板6
にそれぞれ保持された羽根4を、その軸方向の中間位置
でその板厚方向に折曲して下流側羽根部4Aと上流側羽
根部4Bとを構成するとともに、該下流側羽根部4Aと
上流側羽根部4Bとをそれぞれ上記一端4a及び他端4
bから上記折曲位置4cに向けて羽根車回転方向の後方
側へ傾斜させることで、空気流の入口となる上記羽根4
の他端4b側における剥離現象が可及的に抑制され、空
気流が該他端4b側からスムーズに流入し送風性能が向
上するとともに、羽根4上における空気流速の低下によ
り静音化が促進される。また、空気流が上記下流側羽根
部4A側を流れる際、該下流側羽根部4Aの傾斜によっ
て主板5側から側板6側への偏向力を受けることで羽根
車3の出口側における羽根車軸方向における相対速度分
布の均一化が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、多翼送風機に関し、
さらに詳しくはかかる多翼送風機における羽根の構造に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に従来の多翼送風機は、図17及び
図19に示す多翼送風機Z01のように、ベルマウス32
と空気出口38とを相互に直交する方向にそれぞれ形成
したケーシング31内にモータ37により駆動される羽
根車33を収容して構成される。また、上記羽根車33
は、環状に配列された複数枚の羽根34,34,・・の
一端を上記モータ37に固定された主板35に、他端を
環状の側板36に、それぞれ保持せしめて構成され、且
つ該側板36側を上記ベルマウス32側に近接対向させ
た状態で上記ケーシング31内に収容される。そして、
この場合、上記羽根車33の各羽根34,34,・・
は、その軸方向が羽根車軸線L0(第20図参照)に平
行となるようにその取付角が設定されている。
【0003】また一方、一般に多翼送風機においては、
用途別の必要性能に対応して上記羽根車33とケーシン
グ31のベルマウス32との相対的な取り付け位置が異
ならしめられている。即ち、多翼送風機はその用途に応
じて、図15の性能曲線において、点Aで示す大風量低
静圧領域で主として使用される大風量低静圧仕様のもの
と、点Bで示す中風量高静圧領域で主として使用される
中風量高静圧仕様のものとに大別される。そして、この
二つの仕様のうち、大風量低静圧仕様の多翼送風機にお
いては、風量が大きいことからベルマウス32及び側板
36の口径を大きくして流入空気の流速を低下させて運
転音の低減を図るという観点から、図22に示すよう
に、ベルマウス32の口縁が羽根車軸方向において上記
側板36に近接対向するような構造とされる。これに対
して、中風量高静圧仕様の多翼送風機においては、図1
9に示すように、元々風量が少なく流入速度が低いため
ベルマウス32の口径を小さくしても運転音いう点にお
いて問題がなく、また高静圧であることを利用して羽根
34の側板36側の端部に循環流(矢印A0で示す)を
生成させて流入空気の剥離を抑制するという観点から、
ベルマウス32の口縁を羽根34の内側端部付近に位置
させて上記側板36との間に循環流形成用の通路を設け
るようにしている。
【0004】ところで、このように各羽根34,34,
・・が羽根車軸方向に平行とされた従来一般の多翼送風
機Z01においては、これが大風量低静圧仕様のものであ
っても中風量高静圧仕様のものであっても、次述するよ
うに、運転音が比較的高く且つ送風性能が劣るという問
題があった。
【0005】即ち、多翼送風機Z01においては、ベルマ
ウス32を通して羽根34の側板36寄りの端縁側から
も空気が流入し、該ベルマウス32と直交する方向に設
けられた空気出口38から吹き出される。
【0006】先ず、大風量低静圧仕様の多翼送風機にお
いては、図23に示すように羽根34が羽根車軸線L0
と平行とされているため、羽根車33の回転速度
(u1)と空気の羽根車軸線L0方向における流入速度
(c1)との関係から、実際の羽根34の側板36寄り
の端縁側からの流入空気流の羽根34に対する相対速度
(w1)は該羽根34の端縁に対して迎え角α1の角度を
もって流入し、この迎え角α1により羽根34の側板3
6寄りの端部には、図22において境界線Lb11で示す
ような剥離域が生じることになる。この結果、この羽根
34の側板36寄りの端部近傍での流入流れが乱れて送
風性能が落ちるとともに、該羽根34上における有効作
動羽根幅が剥離が生じない場合に比して小さくなりそれ
だけ該羽根34上における流速が増大し、これに応じて
流速の6乗に比例する送風騒音エネルギーも増大するこ
とになる。かかる剥離域の発生による送風性能の低下と
送風騒音の増加は、中風量高静圧仕様の多翼送風機にお
いても、図20に示すように循環流A0の存在により羽
根34の側板36寄りの端縁側からの空気の流入速度
(c1)が羽根車軸線L0に対して所定の角度をもつこと
になるものの、空気流の羽根34に対する相対速度(c
1)は羽根車軸線L0に対して迎え角α1をもつことから
同様である(図19の境界線Lb21参照)。
【0007】次に、空気流の流れ状態であるが、この多
翼送風機Z01においては上述のように羽根34が羽根車
軸線L0と平行とされているため、ベルマウス32を通
して羽根34の側板36寄りの端部近傍から流入して該
ベルマウス32と直交する方向に設けられた空気出口3
8から吹き出される空気流には、その流れを側板36寄
りに偏向させる速度成分が作用せず、従って空気流は流
入慣性力により、図17の流線及び図22の相対速度分
布曲線Lb12で示すように、大きく主板35寄りに偏っ
た流れとなり、それだけ送風性能が低下することにな
る。尚、このような空気流の偏流に起因する送風性能の
低下は、図19において相対速度分布曲線Lb22で示す
ように、中風量高静圧仕様の多翼送風機においても同様
である。
【0008】このような従来一般的な多翼送風機(即
ち、羽根34が羽根車軸線L0に平行とれた多翼送風
機)における諸問題のうち、特に空気流の偏流による送
風性能の低下に着目し、これを積極的に抑制する技術と
して特公平4−54078号公報には、図18に示すよ
うに羽根車33の各羽根34,34,・・の取付角を、
主板35側から側板36側に向かって羽根車回転方向の
後方側へ所定角度β1(図21参照)だけ傾斜させるこ
とで、該羽根34上を流れる空気流に側板36側への速
度成分を付与して羽根34の出口側における相対速度分
布の均一化を図る技術が提案されている(図22の相対
速度分布曲線La12及び図19の相対速度分布曲線La
22を参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この公知の
多翼送風機Z02においては、上述のように相対速度分布
の均一化が促進され送風性能の向上及び送風騒音の低減
が図れるものの、図21に示すように羽根34が羽根車
軸線L0に対して角度β1の取付角をもつことから該羽根
34の迎え角α1は図20に示す従来一般の多翼送風機
01の場合よりも大きくなり、羽根34の側板36寄り
の端部における剥離域が大きいまま存在する(図22の
境界線La11及び図19の境界線La21を参照)。この
結果、羽根34上における有効作動羽根幅が若干大きく
なり改善されるものの、依然として送風騒音の大きさを
支配する羽根34上における流速が大きいので送風騒音
の低減には自ずと限界があった。
【0010】尚、図16には、図17に示す従来の多翼
送風機Z01における比騒音を特性曲線L14で、静圧(即
ち、送風性能)を特性曲線L24で、また図18に示す従
来の多翼送風機Z02における比騒音を特性曲線L13で、
静圧を特性曲線L23で、それぞれ示している。
【0011】そこで本願発明は、かかる従来の多翼送風
機における問題点に鑑み、羽根の側板寄りの端部におけ
る剥離域の抑制と羽根の出口側における相対速度分布の
均一化とを両立させることで、多翼送風機の静音化と送
風性能の向上とを図らんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明ではか
かる課題を解決するための具体的手段として、図1に例
示するように、環状に配列した複数枚の羽根4,4,・
・の一端4aを主板5に、他端4bを側板6に、それぞ
れ保持せしめてなる羽根車3を、ベルマウス2と空気出
口8とを略直交する方向に向けて設けたケーシング1内
に、上記側板6側を上記ベルマウス2に近接対向させた
状態で収容して構成される多翼送風機において、上記羽
根車3の各羽根4,4,・・を、その軸方向の中間位置
でその板厚方向に折曲し、且つ上記主板5と側板6への
保持状態においては上記折曲位置4cから上記主板5寄
りに位置する下流側羽根部4Aと上記折曲位置4cから
上記側板6寄りに位置する上流側羽根部4Bとをそれぞ
れ上記一端4a及び他端4bから上記折曲位置4cに向
けて羽根車回転方向の後方側へ傾斜せしめたことを特徴
としている。
【0013】また、本願の第2の発明では、図8に例示
するように、環状に配列した複数枚の羽根4,4,・・
の一端4aを主板5に、他端4bを側板6に、それぞれ
保持せしめてなる羽根車3を、ベルマウス2と空気出口
8とを略直交する方向に向けて設けたケーシング1内
に、上記側板6側を上記ベルマウス2に近接対向させた
状態で収容して構成される多翼送風機において、上記羽
根車3の各羽根4,4,・・を、その軸方向の中間位置
でその板厚方向に折曲し、且つ上記主板5と側板6への
保持状態においては上記折曲位置4cから上記主板5寄
りに位置する下流側羽根部4Aを上記一端4aから上記
折曲位置4cに向けて羽根車回転方向の後方側へ傾斜せ
しめ、また上記折曲位置4cから上記側板6寄りに位置
する上流側羽根部4Bを羽根車軸線L0と略平行とした
ことを特徴としている。
【0014】
【作用】本願発明ではかかる構成とすることにより次の
ような作用が得られる。
【0015】即ち、本願の第1の発明では、その一端4
aが主板5に、他端4bが側板6に、それぞれ保持せし
められた羽根車3の各羽根4,4,・・を、その軸方向
の中間位置でその板厚方向に折曲して下流側羽根部4A
と上流側羽根部4Bとするとともに、該下流側羽根部4
Aと上流側羽根部4Bとをそれぞれ上記一端4a及び他
端4bから上記折曲位置4cに向けて羽根車回転方向の
後方側へ傾斜せしめているので、先ず空気流の入口側に
位置する上記上流側羽根部4Bの端縁近傍においては、
空気流が該上流側羽根部4Bの端縁側から羽根車軸線L
0に対して羽根車回転方向の後方側へ所定の流入角をも
って流入することで、空気流の流入方向と上流側羽根部
4Bの延出方向とが可及的に接近し、上記端縁側におけ
る空気流に対する迎え角が小さくなる。従って、上流側
羽根部4Bの端縁側における剥離現象が可及的に抑制さ
れ、空気流は該端縁側からスムーズに流入し、且つ羽根
4上をその回転方向前方側の羽根後縁側に向かってより
短い流線長さをもって斜めに流れることになる。
【0016】また、この羽根4の上流側羽根部4Bの端
縁側から流入して該羽根4上をその回転方向前方側に向
かって斜めに流れる空気流のうち、上記下流側羽根部4
A側を流れる空気流には、該下流側羽根部4Aが該主板
5から折曲位置4cに向けて回転方向後方側へ傾斜して
いることから(換言すれば、折曲位置4cから主板5に
向けて回転方向前方側へ傾斜していることから)、これ
を主板5側から側板6側に偏向させる偏向力が作用し、
その結果として、空気流の出口となる羽根4の回転方向
前方側の羽根後縁においては吹き出される空気流の羽根
車軸方向における相対速度分布が可及的に均一化される
ことになる。
【0017】一方、本願の第2の発明では、その一端4
aが主板5に、他端4bが側板6に、それぞれ保持せし
められた羽根車3の各羽根4,4,・・を、その軸方向
の中間位置でその板厚方向に折曲して下流側羽根部4A
と上流側羽根部4Bとするとともに、上記下流側羽根部
4Aを上記一端4aから上記折曲位置4cに向けて羽根
車回転方向の後方側へ傾斜させ、また上記上流側羽根部
4Bを羽根車軸線L0と略平行としているので、空気流
の入口となる上記上流側羽根部4Bの端縁近傍において
は、該上流側羽根部4Bの端縁側から羽根車軸線L0
対して羽根車回転方向の後方側へ所定の流入角をもって
流入する空気流に対して該上流側羽根部4Bが羽根車軸
線L0に平行であることから比較的大きな迎え角が生じ
て剥離域が発生することになるが、この剥離域は図17
に示す従来の多翼送風機Z01と同程度の大きさに止ま
り、図18に示す従来の多翼送風機Z02における剥離域
よりは若干大きくなる程度で済む。
【0018】また、この羽根4の上流側羽根部4Bの端
縁側から流入して該羽根4上をその回転方向前方側に向
かって斜めに流れる空気流のうち、上記下流側羽根部4
A側を流れる空気流は、該下流側羽根部4Aが該主板5
から折曲位置4cに向けて回転方向後方側へ傾斜してい
ることから(換言すれば、折曲位置4cから主板5に向
けて回転方向前方側へ傾斜していることから)、これを
主板5側から側板6側に偏向させる偏向力が作用し、空
気流の出口となる羽根4の回転方向前方側の羽根後縁に
おいては吹き出される空気流の羽根車軸方向における相
対速度分布が可及的に均一化されることになる。
【0019】
【発明の効果】従って、本願発明の多翼送風機によれば
次のような効果が得られる。
【0020】即ち、本願の第1の発明では、空気流の入
口となる上記羽根4の上流側羽根部4Bの端縁寄りにお
いては空気流に対する迎え角が小さくなり該端縁側にお
ける剥離現象が可及的に抑制され、空気流が該端縁側か
らスムーズに流入することから送風性能が向上するとと
もに、該空気流が羽根4上をその回転方向前方側の羽根
後縁側に向かってより短い流線長さをもって斜めに流れ
ることから該羽根4上における空気流速が小さくなるの
で送風騒音が低減され静音化が促進される。また、空気
流のうち上記下流側羽根部4A側を流れる空気流には、
該下流側羽根部4Aの傾斜によって主板5側から側板6
側への偏向力を受けることで羽根車3の出口側における
羽根車軸方向における相対速度分布が可及的に均一化さ
れることから、より高い送風性能が得られる。これらの
相乗的効果として多翼送風機の静音化と高水準の送風性
能とが両立されるものである。
【0021】一方、本願の第2の発明では、空気流の入
口となる上記羽根4の上流側羽根部4Bの端縁寄りにお
いては迎え角の存在により剥離域が生じるものの、空気
流のうち羽根4の下流側羽根部4A側を流れる空気流に
は、該下流側羽根部4Aの傾斜によって主板5側から側
板6側への偏向力を受けて出口側での羽根車軸方向にお
ける相対速度分布が可及的に均一化されることで、単に
羽根の軸方向を羽根車軸方向と平行とした従来の多翼送
風機に比して、より高い送風性能が実現されるという効
果が得られる。
【0022】
【実施例】以下、本願発明の多翼送風機を添付図面に基
づいて具体的に説明する。
【0023】第1実施例 図1には、本願発明の第1実施例にかかる多翼送風機Z
1が示されている。この多翼送風機Z1は、上述の従来の
多翼送風機Z01、Z02と基本構成を同様とするものであ
って、ベルマウス2と空気出口8とを略直交する方向に
向けて形成したケーシング1内に、モータ7に連結され
た主板5と環状の側板6との間に複数枚の後述する羽根
4,4,・・を環状に配置し、且つその一端4aを上記
主板5に、他端4bを上記側板6にそれぞれ保持せしめ
てなる羽根車3を、上記側板6を上記ベルマウス2に近
接対向させた状態で収容して構成されている。尚、この
実施例の多翼送風機Z1は、大風量低静圧仕様のもので
あって、図3に示すように、上記ベルマウス2の口縁に
上記側板6が近接対向する構造となっている。
【0024】上記羽根4は、本願発明の要旨となるもの
であって、この実施例の多翼送風機Z1においては、図
2に示すように、所定曲率の湾曲断面形状をもつ帯板材
をその一端4aから軸方向長さの70〜80%程度の位
置でその板厚方向に略「く」字状に折曲して構成され、
その折曲位置4cから上記一端4a寄り部分を下流側羽
根部4Aとし、該折曲位置4cから他端4b寄り部分を
上流側羽根部4Bとしている。尚、この場合、上記折曲
位置4cにおいては、その折曲線が上記他端4bに対し
て所定の傾斜角、具体的には図3に示すようにベルマウ
ス2を通って上記羽根4の他端4b側(即ち、上記上流
側羽根部4Bの端縁側)から流入する空気流の流線方向
に沿うような傾斜角(δ)をもつようにその折曲方向を
設定している。
【0025】そして、かかる構造をもつ複数枚の羽根
4,4,・・は、図2に示すように、上記主板5及び側
板6の径方向線L1に対して所定の傾斜角(ε)をもち
且つ折曲線が径方向の内側から外側に向かって上記主板
5側へ傾斜するようにした状態で周方向に所定間隔で環
状に配置されるとともに、各羽根4,4,・・の一端4
aを上記主板5に、他端4bを上記側板6にそれぞれ保
持せしめることで該主板5及び側板6と一体化され、略
駕篭状の羽根車3を構成している。
【0026】この場合、上記各羽根4,4,・・は、そ
の一端4aと他端4bの外周側のコーナ部がそれぞれ羽
根車軸線L0(厳密には羽根車軸線に平行な直線)上の
同一位置に位置するようにして取り付けられている。従
って、この羽根4を主板5と側板6とで保持した状態に
おいては、該羽根4の下流側羽根部4Aは上記主板5か
ら上記折曲位置4cに向かって羽根車3の回転方向(矢
印R方向)の後方側へ角度(γ1)だけ傾斜し、また上
流側羽根部4Bは上記側板6から上記折曲位置4cに向
かって回転方向後方側へ角度(θ1)だけ傾斜すること
なる。そして、この実施例においては、上記上流側羽根
部4Bの傾斜角度(θ1)を、図4に示すように、羽根
車3の回転速度u1と羽根車軸線L0に沿う方向への空気
の流入速度c1とで決定される実際の空気流の流入方向
(速度ベクトルw1で示す方向)に合致するように設定
している。
【0027】このような羽根構造をもつ羽根車3を備え
た多翼送風機Z1においては、上記モータ7により上記
羽根車3を回転駆動することで上記ベルマウス2を通し
て吸入した空気を空気出口8から吹き出すが、この場
合、図3に示すようにベルマウス2から上記羽根4の他
端4b側の端縁、即ち、上記上流側羽根部4Bの端縁側
から流入する空気流は、図4に示すように該上流側羽根
部4Bの傾斜方向と空気流の流入方向とが一致している
ことから、上述した従来の多翼送風機のような空気流に
対する迎え角が生じない。このため、この多翼送風機Z
1においては、図3に境界線Lc1で示すように羽根4の
他端4b側における剥離域は極めて小さいものとなる。
従って、羽根4上における空気流の流れがよりスムーズ
となり送風性能の向上に寄与するとともに、該羽根4上
における有効作動羽根幅が大きくなって流速が低下する
ことで送風騒音が抑制され、送風性能の向上と静音化が
実現されることとなる。
【0028】また一方、上記下流側羽根部4A側を通っ
て流れる空気流は、該下流側羽根部4Aが主板5から折
曲位置4cに向かって羽根車3の回転方向後方側に傾斜
していることから、空気流に側板6側に向かう速度成分
が作用し、該空気流はベルマウス2と空気出口8とが直
交方向に設定されていることに起因する慣性力の存在に
拘わらず上記主板5側に偏流することなく羽根4上を可
及的に均一状態で流れることとなり、羽根出口部分にお
いては図3に相対速度分布曲線Lc2で示すように羽根
車軸線L0の軸方向における相対速度分布が可及的に均
一化され、結果的に高い静圧が得られ、送風性能のより
一層の向上が図られるものである。
【0029】このような下流側羽根部4A側における相
対速度分布の均一化による送風性能の向上と、上記上流
側羽根部4B側における剥離抑制による送風性能の向上
及び空気流速の低減による送風騒音の低減作用との相乗
的効果として、より一層高い送風性能と静音化とが実現
されるものである。尚、図16には、この実施例の多翼
送風機Z1における比騒音を特性曲線L11で、静圧(即
ち、送風性能)を特性曲線L21でそれぞれ示している。
この各特性曲線から、この実施例の多翼送風機Z1の静
音性及び送風性能が従来構造のものに比して高いことが
分かる。
【0030】また、この実施例においては、上述のよう
に羽根4の折曲位置4cにおける折曲方向を空気流の流
線方向に合わせている(図3参照)ことから、該羽根4
の負圧側面の上記折曲位置4cの近傍に剥離域が生じる
のが効果的に抑制されることになり、送風性能及び静音
化がさらに促進されるものである。
【0031】さらに、上流側羽根部4B側の羽根前縁端
部は、羽根車3が回転する場合にその周辺の羽根前縁に
対してその回転方向の最前端に位置し且つ回転方向前方
に向かって三角状に突出する状態となることから一種の
三角翼を構成する。このため、羽根車3の回転により上
記上流側羽根部4B側の羽根前縁端部においては、三角
状の端縁に沿って正圧側から負圧側に回り込む縦渦が生
じ、この縦渦によって負圧側面に剥離域が生じるのが抑
制され、送風性能のより一層の向上が図られるものであ
る。
【0032】第2実施例 図5には、本願発明の第2実施例にかかる多翼送風機Z
2が示されている。この実施例の多翼送風機Z2は、上記
第1実施例の多翼送風機Z1の構造を中風量高静圧仕様
の多翼送風機に適用したものであって、羽根4を含む基
本構造は上記第1実施例の多翼送風機Z1と同様であ
り、これと異なる点は、図6に示すようにベルマウス2
の口径が小さくその口縁が上記側板6から外れて該口縁
よりも径方向内側に位置している点である。
【0033】従って、この実施例の多翼送風機Z2にお
いては、高静圧であるため図6に矢印A0で示すように
羽根4の他端4b部分に循環流が生じ、この循環流A0
の速度成分によって図7に示すように空気流の流入方向
(速度ベクトルc1で示す方向)が羽根車軸線L0よりも
回転方向前方側に変位している。従って、羽根4に流入
する空気流の方向(速度ベクトルw1で示す方向)が上
記第1実施例の場合よりも主板5寄り(羽根車軸線方
向)に変化し、これに伴って羽根4の上流側羽根部4B
の羽根車軸線L0に対する傾斜角θ2は上記第1実施例の
多翼送風機Z1における当該傾斜角θ1(図4参照)より
も小さくなる。また、これに伴って下流側羽根部4Aの
羽根車軸線L0に対する傾斜角γ2も上記第1実施例の多
翼送風機Z1の当該傾斜角γ1よりも小さくなる。
【0034】このように、この実施例の多翼送風機Z2
においては、循環流A0の存在によって羽根4の上流側
羽根部4Bと下流側羽根部4Aの傾斜角が上記第1実施
例のものと異なるものの、該羽根4による作用効果は上
記第1実施例のものと全く同様であるため(図6の剥離
域の境界線Ld1、相対速度分布曲線Ld2を参照)、こ
こでは第1実施例の説明を援用する。
【0035】第3実施例 図8には、本願発明の第3実施例にかかる多翼送風機Z
3が示されている。この実施例の多翼送風機Z3は、図1
0に示すように大風量低静圧仕様の多翼送風機であっ
て、その基本構造は図8及び図9に示すように、羽根4
の形状を除いて全て上記第1実施例の多翼送風機Z1
同様であり、従ってここではこの羽根4の構造を主とし
て説明する。
【0036】上記羽根4は、上記第1実施例における羽
根4と同様に、折曲位置4cを挟んでその両側に所定の
折曲角度をもって下流側羽根部4Aと上流側羽根部4B
とを形成している。しかし、上記第1実施例のものにお
いては下流側羽根部4Aと上流側羽根部4Bとが共に羽
根車軸線L0に対して所定の傾斜角(γ1),(θ1)を
もって上記主板5及び側板6に保持されていたのに対し
て、この実施例のものにおいては、図9に示すように、
下流側羽根部4Aはこれを羽根車軸線L0に対して回転
方向後方側に所定の傾斜角(γ3)をもって主板5に保
持せしめる一方、、上流側羽根部4Bはこれを羽根車軸
線L0と平行方向に向けた状態で側板6に保持せしめた
ものであり、第1実施例のものとは羽根4の取り付け構
造が異なっている。
【0037】かかる構造とすると、図11に示すよう
に、空気の入口側に位置する上流側羽根部4Bが空気流
に対して迎え角α2をもつことから、図17に示す上記
従来の多翼送風機Z01の如く該上流側羽根部4Bの端縁
近傍に剥離域を生じることになるため(図10の剥離域
の境界線Le1を参照)、かかる剥離域をほとんど生じ
ない上記第1実施例の多翼送風機Z1の場合に比して送
風性能及び送風騒音という点において不利であるが、そ
の弊害は図18に示す従来の多翼送風機Z02の場合より
は少ない。一方、羽根出口における相対速度分布は、下
流側羽根部4Aが回転方向後方側に傾斜していることで
空気流の主板5寄りへの偏流が抑制されることで羽根車
軸線方向における相対速度分布は可及的に均一化される
(図10の相対速度分布曲線Le2を参照)。従って、
この実施例の多翼送風機Z3においては、送風騒音の改
善はさほど期待できないものの、羽根出口での相対速度
分布の均一化による送風性能の向上は十分に期待できる
ものであり、トータル的にみた場合、上記各従来の多翼
送風機Z01,Z02よりも高性能であると言えるものであ
る。
【0038】第4実施例 図12には、本願発明の第4実施例にかかる多翼送風機
4が示されている。この多翼送風機Z4は、上記第3実
施例の多翼送風機Z3と同様の構造を中風量高静圧仕様
の多翼送風機に適用したものであって、第3実施例のも
のとは図13に示すようにベルマウス2の位置が異なる
のみである。従って、図14に示すように上流側羽根部
4Bにおいては空気流に対して迎え角α2を有すること
から剥離域が生じ(図13の剥離域の境界線Lf1を参
照)、送風騒音の低減はさほど期待できないものの、下
流側羽根部4Aが回転方向後方側へ傾斜していることに
よる羽根出口での空気流の相対速度分布の均一化(図1
3の相対速度分布曲線Lf2を参照)による送風性能の
向上が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施例にかかる多翼送風機の構
造を示す断面図である。
【図2】図1に示した多翼送風機の羽根車の部分拡大斜
視図である。
【図3】図1に示した羽根車の羽根形状を示す断面図で
ある。
【図4】図3のIV-IV拡大断面図である。
【図5】本願発明の第2実施例にかかる多翼送風機の構
造を示す断面図である。
【図6】図5に示した羽根車の羽根形状を示す断面図で
ある。
【図7】図6のVII-VII拡大断面図である。
【図8】本願発明の第3実施例にかかる多翼送風機の構
造を示す断面図である。
【図9】図8に示した多翼送風機の羽根車の部分拡大斜
視図である。
【図10】図8に示した羽根車の羽根形状を示す断面図
である。
【図11】図10のXI-XI拡大断面図である。
【図12】本願発明の第4実施例にかかる多翼送風機の
構造を示す断面図である。
【図13】図12に示した羽根車の羽根形状を示す断面
図である。
【図14】図13のXIV-XIV拡大断面図である。
【図15】多翼送風機の風量−静圧性能曲線である
【図16】多翼送風機の風量−静圧、風量−比騒音性能
曲線である。
【図17】従来の第1の多翼送風機の構造を示す断面図
である。
【図18】従来の第2の多翼送風機の構造を示す断面図
である。
【図19】図17に示した羽根車の羽根形状を示す断面
図である。
【図20】図19のXX-XX拡大断面図である。
【図21】図18に示した従来の第2の多翼送風機の羽
根の要部拡大断面図である。
【図22】従来の第3の多翼送風機における羽根車の羽
根形状を示す断面図である。
【図23】図22のXXIII-XXIII拡大断面図である。
【図24】従来の第4の多翼送風機の羽根の要部拡大断
面図である。
【符号の説明】
1はケーシング、2はベルマウス、3は羽根車、4は羽
根、5は主板、6は側板、7はモータ、8は空気出口で
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状に配列した複数枚の羽根(4),
    (4),・・の一端(4a)を主板(5)に、他端(4
    b)を側板(6)に、それぞれ保持せしめてなる羽根車
    (3)を、ベルマウス(2)と空気出口(8)とを略直
    交する方向に向けて設けたケーシング(1)内に、上記
    側板(6)側を上記ベルマウス(2)に近接対向させた
    状態で収容して構成される多翼送風機であって、 上記羽根車(3)の各羽根(4),(4),・・が、そ
    の軸方向の中間位置でその板厚方向に折曲され、且つ上
    記主板(5)と側板(6)への保持状態においては上記
    折曲位置(4c)から上記主板(5)寄りに位置する下
    流側羽根部(4A)と上記折曲位置(4c)から上記側
    板(6)寄りに位置する上流側羽根部(4B)とがそれ
    ぞれ上記一端(4a)及び他端(4b)から上記折曲位
    置(4c)に向けて羽根車回転方向の後方側へ傾斜せし
    められていることを特徴とする多翼送風機。
  2. 【請求項2】 環状に配列した複数枚の羽根(4),
    (4),・・の一端(4a)を主板(5)に、他端(4
    b)を側板(6)に、それぞれ保持せしめてなる羽根車
    (3)を、ベルマウス(2)と空気出口(8)とを略直
    交する方向に向けて設けたケーシング(1)内に、上記
    側板(6)側を上記ベルマウス(2)に近接対向させた
    状態で収容して構成される多翼送風機であって、 上記羽根車(3)の各羽根(4),(4),・・が、そ
    の軸方向の中間位置でその板厚方向に折曲され、且つ上
    記主板(5)と側板(6)への保持状態においては上記
    折曲位置(4c)から上記主板(5)寄りに位置する下
    流側羽根部(4A)は上記一端(4a)から上記折曲位
    置(4c)に向けて羽根車回転方向の後方側へ傾斜せし
    められ、また上記折曲位置(4c)から上記側板(6)
    寄りに位置する上流側羽根部(4B)は羽根車軸線(L
    0)と略平行とされていることを特徴とする多翼送風
    機。
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