JP3782502B2 - 巻尺テープとその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、巻尺テープに印刷されている目盛りが剥げ落ちてしまった場合でも、支障なく計測作業を続けることができる巻尺テープとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術と問題点】
巻尺テープは、巻き取りバネによりケース内に引き込まれており、寸法測定時にケースから引き出して使用するものである。そして、このテープはステンレスなどの金属から形成されており、巻尺テープの片面に目盛り・寸法数字などが表示されている。
【0003】
従来、巻尺テープの目盛りや寸法数字などを表示している椀曲内面の構造は、図6で示すように、巻尺テープ11の全周面に先ず下色の塗料10が塗られ、その上に目盛り21や寸法数字61などが印刷により表示され、さらに、これらの上に透明樹脂41が塗られて、目盛りや寸法数字などの保護のために巻尺テープの全周面を覆っている。
【0004】
しかしながら、上述のような構造から成る巻尺テープの目盛りや寸法数字などの表示面は、ヤスリのようにざらつきのあるものや突起を持つものなどの接触に弱く、巻尺テープの引き込み中や測定作業中に何らかの原因で、例えば、金属部品の端部が接触していた場合や鋭利な道具で引っ掻いてしまった場合などは、その部分の塗料が掻き取られ時には剥げ落ちてしまうことにより、目盛りや寸法数字などの読み取りが困難となって作業の進行に多大な影響を及ぼしてしまうことがある。
【0005】
このように、表示が剥げ落ち読み取りが困難となってしまうと、それが一部分だけの発生でも買い替えを余儀なくされている。
これは、測定物の長さがちょうど剥げ落ちた目盛りの所に合ってしまったら、測定作業を中断して新しい巻尺に交換しなければ測定作業を続けることができないからで、交換するための二度手間を省くことと、剥げ落ちた目盛りの所にいつ測定物の長さが合うかわからないからである。
このことから、巻尺テープの改善がユーザーから強く求められていた。
【0006】
【目的】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは巻尺テープの目盛りや寸法数字などの表示が剥げ落ちてしまった場合でも、その部分に表示されていた目盛りや寸法数字を容易に識別することができ、測定作業を支障なく続けることができる巻尺テープを提供することであり、さらに、その巻尺テープを簡単に製造することができる製造方法を提供することである。
【0007】
【問題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、短手方向に椀曲した金属製巻尺テープに於いて、該巻尺テープの椀曲内面が耐酸性インクで直接印刷された浮彫状の目盛りとエッチング処理された梨地状の面で形成され、該巻尺テープの全周面が透明樹脂により被覆されて成ることを特徴とする巻尺テープであり、また、短手方向に椀曲した金属製巻尺テープの椀曲内面に、耐酸性インキで目盛りを印刷する工程と、該椀曲内面の目盛りが印刷されていない部分の面をエッチング処理する工程と、該巻尺テープの全周面を透明樹脂で被覆する工程から成ることを特徴とする巻尺テープの製造方法である。
【0008】
巻尺テープの本体を形成する金属は、エッチング処理に適しているものであれば特に限定するものではないが、巻尺が使用される作業条件からステンレス材を用いるのが望ましい。
また、巻尺テープ本体の幅も特に限定するものではないが、板厚においてはエッチング処理により多少とも厚みが薄くなるため、この点を考慮して板厚を選定すればよい。
【0009】
目盛りの印刷に使用する耐酸性インキは、一般に市販されているものを用いればよく、その印刷方法も特に限定するものではない。また、目盛りの色も一色に限定することなく、複数の色を使用することで目盛りを見やすくしてもよい。
さらに、椀曲内面に表示する寸法数字や文字なども耐酸性インキを使用して表示してもよい。そして、印刷の前に巻尺テープを脱脂しておく方がよい。
【0010】
椀曲内面に浮彫状の目盛りを直接耐酸性インクで行う印刷と、梨地状の面を形成するために行うエッチング処理は、一般公知の技術を用いて行えばよく特に限定するものではない。また、溶解させる深さも特に限定するものではない。
【0011】
巻尺テープの全周面を被覆する透明樹脂は、一般に市販されている樹脂系塗料を用いればよく特に限定するものではないが、アクリル樹脂やナイロン樹脂のクリアー塗料を用いるのがよい。
被覆する方法も特に限定するものではなく、一度に巻尺テープの全周面を被覆してもよく最適な方法を用いればよい。
【0012】
【作用】
本発明の巻尺テープは以上のように構成されているので、巻尺テープの目盛りや寸法数字の表示が剥げ落ちると光沢の有るステンレスの地色面が現れ、一方、エッチング処理を行っている面は梨地状で光沢が無くグレーに近い色である。
このことから、目盛りが剥げ落ちた部分の面とエッチング処理を行っている部分の面とでは、面の色あるいは光沢に差を明確に生ずることになる。これにより、剥げ落ちた部分に表示されていた目盛りや寸法数字を識別することができる。
【0013】
【実施例】
以下本発明の巻尺テープを図面に従って説明すると、1は直状性保持のために短手方向に椀曲したステンレスを素材とする巻尺テープ、2は目盛り、6は寸法数字で、共に巻尺テープ1に耐酸性インキで印刷されており、3はエッチング処理により形成された梨地状の面である。そして、4は巻尺テープ1の全周面を被覆している透明樹脂である。(図1)
【0014】
図2は、巻尺テープ1の一部分の平面図であり、耐酸性インキで印刷された目盛り2と寸法数字6以外の面は、エッチング処理により梨地状の面3となっている。
図3は、図2のA−A線の一部拡大断面図であり、耐酸性インキで印刷された目盛り2と寸法数字6(図3では図示なし)以外の面がエッチング処理により溶解し、これにより目盛り2と寸法数字6(図3では図示なし)が浮彫状となっている。そして、4は巻尺テープ1の全周面を被覆している透明樹脂である。
図5は、一実施例の巻尺の概略を示す斜視図であり、1は直状性保持のために短手方向に椀曲したステンレスを素材とする巻尺テープ、2は目盛り、3は梨地状の面、7は巻尺テープを係止するための係止片、8は巻尺ケースである。
【0015】
本発明の巻尺テープの製造方法を、図4の巻尺テープの製造工程順を説明する断面図に従って説明すると、
巻尺テープ1の椀曲内面5に、目盛り2と寸法数字6を耐酸性インキで印刷し(a)、次に、目盛り2と寸法数字6が印刷された巻尺テープ1の椀曲内面5をエッチング液9でエッチング処理する(b)。このエッチング処理により、耐酸性インキで印刷した目盛り2と寸法数字6以外の面が溶解し、梨地状の面3が形成される(c)。そして、梨地状の面3が形成された巻尺テープ1の全周面を透明樹脂4で被覆する(d)。
【0016】
【効果】
本発明の巻尺テープは以上のように、椀曲内面の目盛りと寸法数字以外の面をエッチング処理することにより、何らかの原因で目盛りや寸法数字の表示が剥げ落ちてしまった場合でも、その剥げ落ちた部分の面とエッチング処理を行った部分の面とを、その面の色あるいは光沢の差で識別することができるため、剥げ落ちた部分に表示されていた目盛りや寸法数字を読むことができ、測定作業を中断することなく続けることができる。
これにより、巻尺を買い替える必要もなく同じ巻尺を使い続けることができるため、経済的にもまた環境的にも優れた効果を発揮するもので、その実用的価値は高いものがある。
【0017】
また、巻尺テープの製造方法に於いては、目盛りや寸法数字の印刷に耐酸性インキを用いることにより、エッチング処理工程の前に行う溶解防止用保護膜の印刷およびエッチング処理工程の後に行う溶解防止用保護膜の除去、そして、目盛りや寸法数字の着色の各工程を省くことができるため、巻尺テープを簡単に且つ短時間で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻尺テープの短手方向の断面図
【図2】巻尺テープの一部分の平面図
【図3】A−A線の一部拡大断面図
【図4】巻尺テープの製造工程順を説明する断面図
【図5】一実施例の巻尺の概略を示す斜視図
【図6】従来の巻尺テープの短手方向の断面図
【符号の説明】
1−巻尺テープ,2−目盛り,3−梨地状の面,4−透明樹脂,5−椀曲内面,6−寸法数字,7−係止片,8−巻尺ケース,9−エッチング液,10−下色塗料,11−巻尺テープ,21−目盛り,41−透明樹脂,51−椀曲内面,61−寸法数字
Claims (4)
- 短手方向に椀曲した金属製巻尺テープに於いて、該巻尺テープの椀曲内面が耐酸性インクで直接印刷された浮彫状の目盛りとエッチング処理された梨地状の面で形成され、該巻尺テープの全周面が透明樹脂により被覆されて成ることを特徴とする巻尺テープ
- 短手方向に椀曲した金属製巻尺テープの椀曲内面に、耐酸性インキで目盛りを印刷する工程と、該椀曲内面の目盛りが印刷されていない部分の面をエッチング処理する工程と、該巻尺テープの全周面を透明樹脂で被覆する工程から成ることを特徴とする巻尺テープの製造方法
- 前記金属がステンレスであることを特徴とする請求項1の巻尺テープ
- 前記金属がステンレスであることを特徴とする請求項2の巻尺テープの製造方法
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