JP3781966B2 - 座屈拘束ブレースを備えた架構体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、構造材間に座屈拘束ブレースを架設した架構体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、座屈拘束ブレースとしては、図12に示すように、鋼管等からなる補剛材(1)内に、主として鋼板等からなるブレース本体としての芯材(2)を挿入し、これら補剛材(1)と芯材(2)との間の隙間をモルタル等の充填材(3)によって埋めるようにした構造のものが多く、芯材(2)の座屈を補剛材(1)の曲げ剛性と曲げ強度によって拘束することから、断面の小さな芯材(2)で引張力及び圧縮力の両方に抵抗することができるといった特性を有している。
【0003】
従って、このような座屈拘束ブレースを架構体に組み込むことで、接合部や周辺の構造材の強度を高めることなく、エネルギー吸収効果の高いとされる紡錘型の復元力特性を持つ架構体とすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の一般的な座屈拘束ブレースにおいては、芯材(2)の座屈しようとする力を補剛材(1)に確実に伝達するために、補剛材(1)と芯材(2)との間の隙間にモルタル等の湿式による材料を充填しているが、確実に充填するための品質管理が煩雑で充填作業自体も手間がかかり、しかもブレース全体の重量も嵩んでしまうため、生産性、施工性が悪いとった不具合があった。
【0005】
また、このようにモルタル等を充填する場合、芯材(2)と充填材(3)とを縁切りして芯材(2)が自由に伸縮できるようにするために、芯材(2)に絶縁材(4)を巻く等の処置が必要となり、構造が複雑で、生産性をさらに悪くしている。なお、モルタル等を充填せずに、補剛材単独で芯材の座屈を拘束する座屈拘束ブレースも提案されているが、この種の座屈ブレースにおいては、概して補剛材の断面積や重量が増大してしまう。
【0006】
一方、座屈拘束ブレースを架構体に組み込む場合、補剛材(1)及び充填材(3)から突出させた芯材(2)の両端部を構造材(5)(5)に締結するが、この芯材(2)の両端部においては、圧縮力が作用して芯材(2)が縮んだときの補剛材(1)と構造材(5)側との干渉をなくすために、図13(a)に示すように、芯材(2)の圧縮変形を見込んだ縮み代(L)を確保しておく必要がある。ところが、引張力が作用して芯材(2)が降伏して伸びると、図13(b)に示すように、補剛されていない縮み代(L)部分が長くなり、この状態で芯材(2)に圧縮力が作用すると、図13(c)に示すように縮み代(L)部分で局部座屈が発生し易くなるといった不具合があった。
【0007】
そこで、近年では、図14に示すように、芯材(2)の両端部をリブ等の補強材(6)で補強し、芯材(2)の局部座屈を防止するようにした構造のものが提案されている。なお、図14に示す座屈拘束ブレースでは、充填材(3)と補強材(6)が干渉しないように、充填材(3)内に形成した空間部分に補強材(6)の一部が差し入れられており、これら充填材(3)と補強材(6)との間には柔軟性を持つ発泡材(7)等が充填されている。
【0008】
ところが、このように芯材(2)を補強材(6)によって補強すれば、それだけ構造が複雑になって重量も重くなり、生産性、施工性のさらなる悪化を招き、生産コストも高騰していた。
【0009】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、構造が簡単で生産性、施工性に優れ、コストダウンが可能な座屈拘束ブレースを組み込むことで、プレハブ住宅等にも十分に適用可能とした架構体の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、構造材間に座屈拘束ブレースを架設した架構体であって、前記座屈拘束ブレースは、引張力及び圧縮力が作用するブレース本体と、このブレース本体の座屈を拘束する補剛材との間に、予め所定形状に成型された成型体からなるスペーサーを介在してなることを特徴とする。
【0011】
また、補剛材とブレース本体との間に介在した複数のスペーサーが、前記ブレース本体の縮み代を分散させるように、軸方向に隙間をあけて前記ブレース本体に取り付けられている。
【0012】
そして、前記座屈拘束ブレースにおいて、前記補剛材は、鋼管からなり、前記ブレース本体は、前記補剛材内に挿入される丸鋼からなり、前記スペーサーは、前記ブレース本体を挿通する挿通孔が軸方向に沿って形成された金属製の押し出し成型体からなる。
【0013】
また、前記座屈拘束ブレースにおいて、各スペーサーの軸方向中央部を、前記ブレース本体に固定したり、前記補剛材の軸方向中央部を、複数のスペーサーのうち軸方向中央に位置するスペーサーの軸方向中央部に固定している。
【0014】
具体的には、一対の座屈拘束ブレースを用いて、両座屈拘束ブレースにおけるブレース本体の一端部を、第1の柱中央に固定するとともに、一方の座屈拘束ブレースにおけるブレース本体の他端部を、第2の柱上部に固定し、他方の座屈拘束ブレースにおけるブレース本体の他端部を、第2の柱下部に固定することで、これら座屈拘束ブレースを柱間にく字形に配置している。また、第1の柱と第2の柱の間に、これら柱と直交する中桟を差し渡している。そして、この架構体を、木構造住宅に用いたり、鉄骨構造住宅に用いるようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る架構体に組み込む座屈拘束ブレース(10)は、図1に示すように、補剛材(11)内にブレース本体としての芯材(12)が挿入されている。そして、これら補剛材(11)と芯材(12)との間に5個のスペーサー(13)(13)…が介在されていて、芯材(12)の座屈しようとする力をスペーサー(13)(13)…を介して補剛材(11)に伝達することで、芯材(12)の座屈を拘束する構造となっている。
【0016】
補剛材(11)は、図1乃至図4に示すような円筒形の鋼管からなり、その軸方向の長さが約1180mm、外径が約43mm、肉厚が約2.3mmに設定されている。また、この補剛材(11)の軸方向中央部には、一対のビス孔(15)(15)が形成されている。なお、補剛材(11)は、円筒形のものに限らず、例えば角筒形のものであっても良い。
【0017】
芯材(12)は、図1乃至図3に示すような両端部に転造ネジ加工が施された丸鋼からなり、その軸方向の長さが約1260mm、直径が約11mmに設定されている。なお、芯材(12)の両端部に施す転造ネジの一方を逆ネジとすることで、ターンバックル機能を付加させることができる。また、芯材(12)は、丸鋼に限らず、例えば帯状の鋼板或いはH形、十字形の鋼材であっても良い。
【0018】
各スペーサー(13)(13)…は、従来のようにモルタル等を充填してなる湿式のものとは異なり、図2及び図4に示すような予め所定形状に成型された押し出し成型体からなる。具体的には、金属製の押し出し成型体、好ましくはアルミニウムを押し出し成型してなる軽量の押し出し成型体とされている。なお、スペーサー(13)(13)…としては、このような金属製の押し出し成型体に限らず、例えば合成樹脂製の押し出し成型体や、セメント系材料の押し出し成型体(押し出し成型セメント板のようなもの)であっても良い。
【0019】
各スペーサー(13)(13)…は、断面略正方形に形成された基部(17)と、この基部(17)外面の各コーナー部分から放射状に突出する4本の突起(18)(18)…とからなる。このように、スペーサー(13)の外面に、補剛材(11)の内面に当接する軸方向に沿った突起(18)(18)…を形成することで、芯材(12)の座屈しようとする力を補剛材(11)に伝えるといったスペーサー(13)としての機能を確保しながら、その断面積を必要最小限に抑えて、スペーサー(13)の製作に要する材料を削減するとともに、軽量化を図ることができる。なお、突起(18)(18)…の形状や本数は、これに限定されるものではなく、例えば基部(17)の外面に点状或いは環状に形成したり、本数を2本、3本或いは5本としても良い。
【0020】
また、基部(17)の中心部分には、芯材(12)を挿通する軸方向に沿った挿通孔(19)が形成されている。基部(17)の軸方向中央部には、ビス孔(20)が形成され、さらに5個のスペーサー(13)(13)…のうち中央に位置するスペーサー(13)においては、その相対する一対の突起(18)(18)の軸方向中央部に、補剛材(11)のビス孔(15)(15)に対応したビス孔(21)(21)が形成されている。なお、スペーサー(13)(13)…の軸方向の長さは、すべて約230mmに設定され、相対する突起(18)(18)の先端から先端までの距離は、補剛材(11)の内径が約38mmに対して約37mmに設定されている。
【0021】
上述した補剛材(11)、芯材(12)及びスペーサー(13)(13)…における各寸法は、これに限定されるものではなく、ブレースを組み込む架構体の大きさや強度、芯材(12)に作用する力等に応じて適宜設定すれば良い。また、スペーサー(13)(13)…の個数も5個に限定されるものではない。
【0022】
上記の座屈拘束ブレース(10)は、以下のようにして組み立てられる。まず、5個のスペーサー(13)(13)…の挿通孔(19)(19)…に芯材(12)を串刺し状態で挿通させて、各スペーサー(13)(13)…のビス孔(20)(20)…にビス(30)(30)…をねじ込んで、ビス(30)(30)…の先端部を芯材(12)に押し付けることで、スペーサー(13)(13)…を芯材(12)に固定する。すなわち、各スペーサー(13)(13)…の軸方向中央部を、芯材(12)に固定する。なお、この固定は、ビス(30)(30)…止めに限らず、接着やカシメ等によって行うようにしても良い。
【0023】
そして、このスペーサー(13)(13)…を取り付けた芯材(12)を補剛材(11)内に挿入して、中央に位置するスペーサー(13)のビス孔(21)(21)と補剛材(11)のビス孔(15)(15)を互いに一致させて、これらビス孔(15)(21)…にビス(31)(31)をねじ込んで、補剛材(11)をスペーサー(13)に固定する。すなわち、補剛材(11)の軸方向中央部を、中央に位置するスペーサー(13)の軸方向中央部に固定する。なお、この固定においても、ビス(31)(31)…止めに限らず、接着やカシメ等によって行うようにしても良い。
【0024】
このようにして組み立てた座屈拘束ブレース(10)では、芯材(12)の両端部が、両端に位置するスペーサー(13)(13)から突出しており、また各スペーサー(13)(13)…が、軸方向にほぼ均等な隙間をあけて配置されている。
【0025】
次に、この座屈拘束ブレース(10)を組み込んだ架構体について説明する。図5は、架構体の一例である木構造住宅の耐力壁を示しており、この耐力壁は、基礎(50)上の土台(51)、胴差(52)及び一対の柱(53)(54)で囲まれた枠内に、溝形鋼からなる枠部材(55)が取り付けられ、この枠部材(55)に一対の座屈拘束ブレース(10)(10)が架設されている。なお、図面左側の第1の柱(53)は、開口部のフレームとなっており、その上下端部がL型金具(45)(45)によって、土台(51)及び胴差(52)に固定され、胴差(52)の固定部で上下方向にわずかにスライド可能となっている。
【0026】
枠部材(55)は、土台(50)にアンカーボルト(56)(56)やホゾパイプ(57)によって固定された下側横材(60)と、この下側横材(60)の一端部から第1の柱(53)に沿ってその中央やや上方まで立ち上がって、下地材(58)(58)を介してビス(59)(59)により第1の柱(53)に固定された左側縦材(61)と、下側横材(60)の他端部から第2の柱(54)に沿ってその上部まで立ち上がって、ビス(62)(62)により第2の柱(54)に固定された右側縦材(63)と、この右側縦材(63)の上端部から胴差(52)に沿ってその中央手前まで延びて、ホゾパイプ(64)及びボルト(65)により胴差(52)に固定された上側横材(66)とからなる。
【0027】
そして、この枠部材(55)の左側縦材(61)には、その第1の柱(53)の中央部に対応する位置に第1の固定材(70)が取り付けられ、右側縦材(63)の上下端部には、第2、第3の固定材(71)(72)が夫々取り付けられている。また、第1の固定材(70)と右側縦材(63)の中央部との間には、柱(53)(54)すなわち縦材(61)(63)と直交する溝型鋼からなる補強用の中桟(46)が溶接によって差し渡されている。なお、中桟(46)は、必要に応じて廃止するようにしても良い。
【0028】
第1の固定材(70)は、図6及び図7に示すように、左側縦材(61)の上端部に溶接された一対の垂直プレート(75)(75)と、これら垂直プレート(75)(75)の斜めに切り欠かれた上端部間及び下端部間に跨って溶接された斜めプレート(76)(76)とから構成され、斜めプレート(76)(76)には、ボルト挿通用孔(80)(80)が夫々形成されている。
【0029】
第2、第3の固定材(71)(72)は、図8及び図9に示すように、右側縦材(63)と上側、下側横材(60)(66)に跨って溶接された一対の垂直プレート(85)(85)と、第1の固定材(70)の斜めプレート(76)(76)に対向するように、垂直プレート(85)(85)の斜めに切り欠かれた上端部間或いは下端部間に跨って溶接された斜めプレート(86)(86)とから夫々構成され、夫々の斜めプレート(86)(86)には、ボルト挿通用孔(87)(87)が夫々形成されている。
【0030】
そして、第1の固定材(70)の上側の斜めプレート(76)と、第3の固定材(72)の斜めプレート(86)との間に一方の座屈拘束ブレース(10)が差し渡され、第1の固定材(70)の下側の斜めプレート(76)と、第2の固定材(71)の斜めプレート(86)との間に他方の座屈拘束ブレース(10)が差し渡されている。この場合、座屈拘束ブレース(10)(10)の芯材(12)(12)の端部と斜めプレート(76)(76)(86)(86)との連結は、図10に示すように、斜めプレート(76)(76)(86)(86)のボルト挿入用孔(80)(80)(87)(87)に貫通させたボルト(90)(90)…と、芯材(12)(12)の端部のネジ部(91)(91)…とをナット(92)(92)…を介して連結することでなされている。
【0031】
従って、上記の耐力壁においては、両座屈拘束ブレース(10)(10)における芯材(12)の一端部が、第1の柱(53)の中央に固定され、一方の座屈拘束ブレース(10)における芯材(12)の他端部が、第2の柱(54)の上部に固定され、他方の座屈拘束ブレース(10)における芯材(12)の他端部が、第2の柱(54)の下部に固定されて、これら座屈拘束ブレース(10)(10)が柱(53)(54)間にく字形に配置された状態となっている。
【0032】
このようにして耐力壁に組み込んだ座屈拘束ブレース(10)(10)においては、各スペーサー(13)(13)…間の隙間も芯材(12)の縮み代(L)(L)…となることから、芯材(12)の縮み代(L)(L)…が分散された状態となっている。すなわち、芯材(12)の縮み代(L)(L)…は、芯材(12)の両端部及び各スペーサー(13)(13)…間の合計6箇所に分散され、芯材(12)の両端部の縮み代(L)(L)が夫々約4mm、スペーサー(13)(13)…間の縮み代(L)(L)…が夫々約8mmで、全体では約40mmとなっている。
【0033】
このため、地震に伴う大きな振動エネルギーすなわち水平荷重によって、座屈拘束ブレース(10)に一定以上の引張力が作用し、芯材(12)が降伏して伸びると、この伸びに伴って各スペーサー(13)(13)…もその軸方向中央の固定位置を基点として移動し、図11に示すように、各縮み代(L)(L)…の長さが少しずつ長くなる。すなわち、芯材(12)が伸びたときの伸び出し量を6箇所で負担し合うことで、1箇所当たりの伸び出し量を小さく抑えている。
【0034】
そして、この状態で、座屈拘束ブレース(10)に圧縮力が作用すると、芯材(12)はその補剛がなされていない縮み代(L)(L)…部分で座屈しようとするが、各縮み代(L)(L)…の長さはそれほど長くなっていないので、これら縮み代(L)(L)…部分での座屈は起こりにくい。従って、芯材(12)は座屈することなしに縮み、各スペーサー(13)(13)…がその軸方向中央の固定位置を基点として引張時とは逆方向に移動して、各縮み代(L)(L)…の長さが少しずつ短くなる。従って、引張力だけでなく圧縮力に対しても十分に抵抗して、地震による振動エネルギーを効率良く吸収し、接合部や周辺の構造材(51)〜(54)の損傷を防止することができる。
【0035】
これにより、地震後において、必要に応じて座屈拘束ブレース(10)(10)を交換するだけで、当初の耐震性を取り戻して継続使用することができ、災害復旧を迅速かつ最小限に行うことができる。
【0036】
なお、芯材の両端部の2箇所に縮み代を集中させた従来のような座屈拘束ブレースを組み込んだ場合、芯材が伸びたときの伸び出し量を2箇所で負担しなければならないので、1箇所当たりの伸び出し量が大きくなって各縮み代が長くなり、芯材の圧縮に際して各縮み代部分での局部座屈を招いて圧縮耐力を失い、接合部や周辺の構造材の損傷することがある。
【0037】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態においては木構造住宅の耐力壁について説明したが、この発明の架構体は、鉄骨構造住宅の壁軸組(耐力壁)、床や小屋組等としても利用することができ、また住宅以外の高層ビル等の構造物の架構体としても適用可能である。また、座屈拘束ブレースは、上記実施形態の座屈拘束ブレースのような補剛材内にブレース本体を挿通させる構造のものに限らず、これとは逆に筒状のブレース本体内に芯状の補剛材を挿通させて、これらの間にスペーサーを介在させる構造のものや、板状の補剛材と板状のブレース本体をスペーサーを介して重ね合わせるようにした構造のものであっても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明の架構体に用いる座屈拘束ブレースでは、補剛材とブレース本体との間の隙間を、予め所定形状に成型された成型体からなるスペーサーを用いて埋めるようにして、モルタル等を用いない乾式による製作、組立を実現していることから、生産性、施工性を向上することができる。しかも、モルタル等を用いないことから、縁切りのための絶縁材等を廃止することができ、構造を簡単にして、さらなる生産性、施工性の向上を図ることができる。
【0039】
また、複数のスペーサーを軸方向に隙間をあけてブレース本体に固定して、これら隙間を縮み代として利用することで、ブレース本体の縮み代を分散させているので、ブレース本体が伸びたときの縮み代1箇所当たりの伸び出し量を小さく抑えて、その後の圧縮に際してのブレース本体の縮み代部分での局部座屈を防止することができる。従って、ブレース本体の両端部の縮み代部分を補強材で補強しなくても、ブレース本体の圧縮耐力を良好に発揮させることできる。これにより、補強材を廃止してより一層の構造の簡略化及び軽量化を実現し、生産性、施工性をさらに高めて、大幅なコストダウンが可能となる。
【0040】
さらに、ブレース材として丸鋼を用い、補剛材として鋼管を用い、さらにスペーサーとして挿通孔付きの金属製の押し出し成型体を用いていることから、構造をさらに簡略化することができる。
【0041】
さらにまた、ブレース本体が伸びたときには、その伸びに追従して各スペーサーがその固定位置を基点として移動するので、各スペーサーの軸方向中央部をブレース本体に固定しておけば、ある箇所の縮み代における伸び出し量が他の箇所よりも極端に大きくなるといった不具合をなくすことができ、ブレース本体の局部座屈を確実に防止して、性能を向上することができる。
【0042】
また、補剛材の軸方向中央部を、中央に位置するスペーサーの軸方向中央部に固定することで、架構体への架設状態において補剛材が下側へずれ落ちるのを防止することができるとともに、ブレース本体が伸びたときの補剛材からのスペーサーの飛び出しを少なくして、安定した補剛を行うことができる。
【0043】
従って、このような生産性、施工性に優れ、しかも安価な座屈拘束ブレースを備えた架構体は、木構造住宅や鉄骨構造住宅にも十分に適用可能であり、これら住宅の耐震性能を格段に向上することができ、また住宅の平面プランの設計にも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る座屈拘束ブレースの概略側断面図である。
【図2】同じくその分解斜視図である。
【図3】同じくその要部の側断面図である。
【図4】同じくその軸方向中央部の正面断面図である。
【図5】木構造住宅の耐力壁を示す図である。
【図6】第1の固定材部分の縦断面図である。
【図7】同じくその斜視図である。
【図8】第2の固定材部分の縦断面図である。
【図9】同じくその斜視図である。
【図10】芯材の端部と構造材側の斜めプレートとの連結部分の側断面図である。
【図11】引張力が作用したときの座屈拘束ブレースの状態を示す概略側断面図である。
【図12】従来の座屈拘束ブレースの概略側断面図である。
【図13】同じくその引張、圧縮時の芯材端部の状態を示す図である。
【図14】補強材を備えた座屈拘束ブレースの概略側断面図である。
【符号の説明】
(10) 座屈拘束ブレース
(11) 補剛材
(12) 芯材(ブレース本体)
(13) スペーサー
(46) 中桟
(51)〜(54) 構造材
(53) 第1の柱
(54) 第2の柱
(L) 縮み代

Claims (10)

  1. 構造材間に座屈拘束ブレースを架設した架構体であって、前記座屈拘束ブレースは、引張力及び圧縮力が作用するブレース本体と、このブレース本体の座屈を拘束する補剛材との間に、予め所定形状に成型された成型体からなるスペーサーを介在してなり、前記補剛材は、鋼管からなり、前記ブレース本体は、前記補剛材内に挿入される丸鋼からなり、前記スペーサーは、前記ブレース本体を挿通する挿通孔が軸方向に沿って形成された金属製の押し出し成型体からなることを特徴とする座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  2. 構造材間に座屈拘束ブレースを架設した架構体であって、前記座屈拘束ブレースは、引張力及び圧縮力が作用するブレース本体と、このブレース本体の座屈を拘束する補剛材との間に、複数のスペーサーを介在してなり、これら複数のスペーサーは、前記ブレース本体の縮み代を分散させるように、軸方向に隙間をあけて前記ブレース本体に取り付けられていることを特徴とする座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  3. 前記座屈拘束ブレースにおける複数のスペーサーは、予め所定形状に成型された成型体からなる請求項2記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  4. 前記座屈拘束ブレースにおいて、前記補剛材は、鋼管からなり、前記ブレース本体は、前記補剛材内に挿入される丸鋼からなり、前記スペーサーは、前記ブレース本体を挿通する挿通孔が軸方向に沿って形成された金属製の押し出し成型体からなる請求項2又は3記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  5. 前記座屈拘束ブレースにおいて、各スペーサーの軸方向中央部を、前記ブレース本体に固定した請求項2乃至4のいずれかに記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  6. 前記座屈拘束ブレースにおいて、前記補剛材の軸方向中央部を、複数のスペーサーのうち軸方向中央に位置するスペーサーの軸方向中央部に固定した請求項2乃至5のいずれかに記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  7. 一対の座屈拘束ブレースを用いて、両座屈拘束ブレースにおけるブレース本体の一端部を、第1の柱中央に固定するとともに、一方の座屈拘束ブレースにおけるブレース本体の他端部を、第2の柱上部に固定し、他方の座屈拘束ブレースにおけるブレース本体の他端部を、第2の柱下部に固定することで、これら座屈拘束ブレースを柱間にく字形に配置した請求項1乃至6のいずれかに記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  8. 第1の柱と第2の柱の間に、これら柱と直交する中桟を差し渡した請求項7記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  9. 木構造住宅に用いるようにした請求項1乃至8のいずれかに記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
  10. 鉄骨構造住宅に用いるようにした請求項1乃至8のいずれかに記載の座屈拘束ブレースを備えた架構体。
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