JP3781897B2 - 電気自動車のトルク制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車のトルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車に搭載されている駆動モータは、バッテリの直流電力を電源とし、インバータによって変換された交流電力によって駆動される交流モータである。そして駆動モータによる走行特性をエンジン自動車の運転性と同様のものにするために、従来から、特に低速走行時にクリープトルクを発生させ、またある程度の車速(モータ回転数に対応する。以下、同じ)において走行抵抗と釣合う設定にしている。
【0003】
図5には従来の電気自動車のトルク特性を示している。つまり、従来の電気自動車のトルク制御装置では、車速の減速時(したがって、駆動モータの回転数の減速時)には、ブレーキ操作によりブレーキスイッチがオンしていれば同図の特性曲線Aに従うトルク特性に基づくトルク制御を行い、多くの回生エネルギをバッテリに回収する。またブレーキペダルが踏まれず、単にアクセルペダルから足が離され、走行抵抗だけで減速させているような場合、つまりアクセル開度が0%で、ブレーキスイッチがオフの場合には、特性曲線Bに従うトルク特性に基づくトルク制御を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の電気自動車のトルク制御装置では、トルク特性曲線を、エンジン自動車に近い運転性を得るために低速時にはクリープトルクCをを発生させ、またある程度の車速Dでモータトルクが走行抵抗Eと釣合う設定にしているので、次のような問題点があった。すなわち、減速時にブレーキスイッチがオンしている場合にも、ブレーキが踏まれず、単にアクセル開度が0%になっているだけの場合にも、車速がある程度(図5におけるF点)以下になれば正のトルク指令を発生するようになり、回生運転が十分低速まで継続できず、それだけ電力回収率が悪化し、バッテリ1回充電当たりの航続距離が延びない問題点があった。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ドライバが車両を停止させようとしている意図が明らかな場合にはほぼ停止するまで回生運転を行うことによってバッテリへの電力回収率が高め、航続距離を延ばすことができる電気自動車のトルク制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の電気自動車のトルク制御装置は、アクセル開度の検出手段と、駆動モータの回転数検出手段と、ブレーキスイッチのオン/オフ検出手段と、(1)前記駆動モータの減速時に、前記アクセル開度が0かつ前記ブレーキスイッチがオンであれば、前記駆動モータの回転数が0になるまで当該駆動モータを回生制御し、(2)前記駆動モータの減速時に、前記アクセル開度が0かつ前記ブレーキスイッチがオフであれば、前記駆動モータの回転数が予め設定された所定値になるまで当該駆動モータを回生制御するモータ駆動制御手段とを備え、前記モータ駆動制御手段は、前記駆動モータへのトルク指令が0の値を跨がずにトルク指令を切り換える場合には、予め設定した切り換え期間はトルクをリニアに変化させ、前記駆動モータへのトルク指令を正の値から負の値、もしくは負の値から正の値に切り換える場合には、トルクが0の値付近にある時間を、トルクをリニアに変化させるより減らすように変化させ、この変化させる前後ではトルクをリニアに変化させることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明の電気自動車のトルク制御装置では、車両の減速時に、ドライバが車両を停止させようとする意図が明らかである場合、つまり、アクセル開度が0でありかつブレーキスイッチがオンである場合には、駆動モータの回転数が0になるまで当該駆動モータを回生制御する。一方、車両の減速時でも、ドライバが釣合い車速まで減速することによって、クリープトルクだけで徐行しようという意図が明らかな場合、つまり、ブレーキスイッチがオフであり、アクセル開度のみが0である場合には、駆動モータの回転数が予め設定された所定値になるまで当該駆動モータを回生制御する。
【0008】
これによって、ドライバが車両を停止させようとする意図が明らかな場合には車両の停止直前まで駆動モータの回生運転を行うことにより回生電力をバッテリに有効に回収して1充電当たりの航続距離を延ばし、またドライバが車両を釣合い車速まで減速させようとする意図が明らかな場合にはその釣合い車速付近の所定値になるまで回生運転を行うことによってドライバの意図通りの釣合い車速による徐行運転を可能とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ドライバが車両を停止させようとする意図が明らかな場合には車両の停止直前まで駆動モータの回生運転を行うことにより回生電力をバッテリに有効に回収して1充電当たりの航続距離を延ばすことができ、またドライバが車両を釣合い車速まで減速させようとする意図が明らかな場合にはその釣合い車速付近の所定値になるまで回生運転を行うことによってドライバの意図通りの釣合い車速による徐行運転が可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の1つの実施の形態の構成を示しており、この実施の形態の電気自動車のトルク制御装置は、トルクコントロールユニット1、モータコントロールユニット2を備えている。トルクコントロールユニット1は、ドライバの運転操作の意図を推定するための情報を得るために、シフトポジションスイッチ3からシフトレバーのシフトポジションを示す信号を入力し、スロットルポジションセンサ4からアクセル開度を示す信号を入力し、ブレーキスイッチ5からフットブレーキの操作有り無しを示す信号を入力し、さらに車速情報として回転数センサ6から駆動モータ7の回転数を入力し、これらの入力情報を用い、内蔵するトルク特性データに基づいてトルク指令を演算して出力する。
【0013】
またモータコントロールユニット2はシフトポジションスイッチ3の入力とスロットルポジションセンサ4の入力、そしてトルクコントロールユニット1の決定したトルク指令とに基づき、駆動モータ7の回転数を決定し、インバータユニット8のゲート制御を行う。
【0014】
インバータユニット8はバッテリ9の直流電力を所定の周波数及び電圧の交流電力に変換して駆動モータ7に供給する。
【0015】
次に、上記構成の電気自動車のトルク制御装置の動作を説明する。トルクコントロールユニット1はトルク−回転数特性マップデータを内蔵し、回転数センサ6の信号によって加速/減速状態を判断し、加速運転時には従来と同様のトルク−回転数特性マップデータを参照して、シフトポジションスイッチ3によるシフトレバーのポジション、スロットルポジションセンサ4によるアクセル開度に基づきトルク指令を演算してモータコントローラユニット2に与える。
【0016】
モータコントロールユニット2は、シフトポジションスイッチ3によるシフトポジション、スロットルポジションセンサ4によるアクセル開度により速度指令を演算し、またトルクコントロールユニット1からトルク指令を入力し、これらに基づいて駆動モータ7の回転数指令を演算し、さらに回転数センサ6から駆動モータ7の回転数フィードバック信号を入力して回転数指令と比較して駆動モータ7の所要加減速量を演算し、これをゲート指令に反映させてインバータユニット8に与えてそのゲート制御を行う。
【0017】
インバータユニット8はモータコントロールユニット2のゲート指令に基づいてPWM制御によってスイッチング素子のゲート制御を行い、バッテリ9の直流電力を駆動モータ7が所定の回転数で回転するような周波数、電圧の交流へ電力変換を行い、これによって駆動モータ7を駆動する。
【0018】
他方、減速運転の場合には、次のように制御動作する。トルクコントロールユニット1は図3に示すようなトルク特性マップデータT1,T2,T3を内蔵している。トルク特性データT1は、減速状態で、ブレーキスイッチ5がオン、かつスロットルポジションセンサ4がアクセル開度0%を示している場合に参照するものであり、トルク特性データT2は、減速状態で、ブレーキスイッチ5がオフ、かつスロットルポジションセンサ4がアクセル開度0%を示している場合に参照するものであり、さらに、トルク特性データT3は、減速状態にはなく、ブレーキスイッチ5がオフ、かつアクセル開度が0%の場合に参照するトルク特性データである。
【0019】
(1)ドライバが車両を停止させようとしている場合。
【0020】
ドライバが車両を停止させたいと思っている場合の運転操作では、アクセルペダルを離し、ブレーキペダルを踏込むことによって減速させることになる。この場合、スロットルポジションセンサ4はアクセル開度0%、かつブレーキスイッチ5はオンとなり、また回転数センサ6からの回転数信号の時間微分値あるいは差分値は減速状態を示す。
【0021】
そこで図2のステップS1,S2に示すように、このような条件が成立すれば、トルクコントロールユニット1はトルク特性データT1を選択して参照して、回転数センサ6の回転数信号に対応したトルク指令を決定し、これをモータコントロールユニット2に出力し、モータコントロールユニット2は第1の回生制御モードでインバータユニット8を制御し、モータの回転エネルギを電気エネルギとしてバッテリ9に回収する。この第1の回生制御では、トルク特性データT1はモータ回転数がほぼ0になるまで回生運転する特性に設定してあるので、車両がほぼ停止するまでモータの運動エネルギを電気エネルギとしてバッテリ9に回収することができ、バッテリ9の1回充電当たりの航続距離を延ばすことができる。
【0022】
(2)ドライバが車両を釣合い車速で走行させようとしている場合。
【0023】
この場合にはドライバは単にアクセルペダルから足を離すだけで、車両の走行抵抗Eによって車速が減速し、最終的にはクリープトルクと走行抵抗とが釣合う車速(モータ回転数)で徐行するように制御する。このために図2のフローチャートにおけるステップS3,S4に示すように、スロットルポジションセンサ4がアクセル開度0%、かつブレーキスイッチ5がオフ、そして回転数センサ6からの回転数信号の時間微分値あるいは差分値は減速状態を示していれば、トルクコントロールユニット1はトルク特性データT2を選択して参照して、回転数センサ6の回転数信号に対応したトルク指令を決定し、これをモータコントロールユニット2に出力し、モータコントロールユニット2は第2の回生制御モードでインバータユニット8を制御する。
【0024】
この第2の回生制御では、トルク特性データT2は釣合い車速Dの直前の所定の車速(回転数)Gまでは回生運転し、釣合い車速Dの点では走行抵抗Eと釣合うトルク指令を出力する設定である。これによって、通常のエンジン自動車と同様のクリープトルクによる徐行運転に円滑に移行することができるようになる。
【0025】
(3)ドライバがクリープトルクだけで走行させている場合。
【0026】
車両が減速状態になく、釣合い車速で走行している場合(この場合、アクセルペダルも踏まれず、ブレーキペダルも踏まれていない状態である)、したがって、回転数センサ6の信号から定速状態又は加速状態にあると判断され、かつスロットルポジションセンサ4はアクセル開度0%、ブレーキスイッチ5はオフ信号を入力している場合、トルクコントロールユニット1はトルクの勾配が緩やかな設定となっているトルク特性データT3を選択して参照してモータ回転数に対応したトルク指令を算出し、モータコントロールユニット2に出力する(図2のフローチャートにおけるステップS5)。
【0027】
これによって、例えば、下り坂でブレーキを離したような場合、従来のように急激に回生制動が働いて車速がギクシャクした変化をすることがなく、スムーズに変化するようになる。
【0028】
こうして、この実施の形態の電気自動車のトルク制御装置では、ブレーキペダルを踏込んで車両を完全に停止させる意図がある場合には車速がほぼ0になるまで回生制御を行うことによって車両の運動エネルギをバッテリ9に電気エネルギとして可能な限り回収することができ、この結果、1回の充電当たりの航続距離を延ばすことができ、また従来と同様の運転感覚も維持することができ、さらに釣合い車速で釣合っているときに道路上の勾配状態により走行抵抗が変化しても車速をスムーズに変化させることができる。
【0029】
なお、上記の実施の形態で、トルクコントロールユニット1がトルク指令を切換える場合、図4に示す方法で切換え前後のトルク指令を調整する。
【0030】
(a)切換え前トルク指令<切換え後トルク指令
図4(a)に示すように、切換え前トルクTr1<切換え後トルクTr2である場合には、予め設定した切換え期間t1はリニアに変化させる。つまり、トルク制御周期がθである場合、i回目の制御時のトルク指令Trは、
Tr=((Tr2−Tr1)/t1)*i・θ+Tr1
として設定する。
【0031】
(b)切換え前トルク指令>切換え後トルク指令
同図(b)に示すように、切換え前トルクTr1>切換え後トルクTr2である場合には、予め設定した切換え期間t2はリニアに変化させる。つまり、トルク制御周期がθである場合、i回目の制御時のトルク指令Trは、
Tr=((Tr2−Tr1)/t2)*i・θ+Tr1
として設定する。
【0032】
(c)トルク指令がトルク指令0をまたぐ場合
例えば、回生モードから力行モードに切換える場合、トルクが0付近にある時間を極力減らし、逆トルクになったときには緩やかにトルクを指令値まで変化させる。
【0033】
これによって、トルク切換え時に発生する衝撃を抑制し、乗り心地の改善を図る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】上記の実施の形態によるトルク制御のフローチャート。
【図3】上記の実施の形態によるトルク制御の特性図。
【図4】上記の実施の形態におけるトルク指令の切換え時の移行制御を示すタイムチャート。
【図5】従来例によるトルク制御の特性図。
【符号の説明】
1 トルクコントロールユニット
2 モータコントロールユニット
3 シフトポジションスイッチ
4 スロットルポジションセンサ
5 ブレーキスイッチ
6 回転数センサ
7 モータ
8 インバータユニット
9 バッテリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車のトルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車に搭載されている駆動モータは、バッテリの直流電力を電源とし、インバータによって変換された交流電力によって駆動される交流モータである。そして駆動モータによる走行特性をエンジン自動車の運転性と同様のものにするために、従来から、特に低速走行時にクリープトルクを発生させ、またある程度の車速(モータ回転数に対応する。以下、同じ)において走行抵抗と釣合う設定にしている。
【0003】
図5には従来の電気自動車のトルク特性を示している。つまり、従来の電気自動車のトルク制御装置では、車速の減速時(したがって、駆動モータの回転数の減速時)には、ブレーキ操作によりブレーキスイッチがオンしていれば同図の特性曲線Aに従うトルク特性に基づくトルク制御を行い、多くの回生エネルギをバッテリに回収する。またブレーキペダルが踏まれず、単にアクセルペダルから足が離され、走行抵抗だけで減速させているような場合、つまりアクセル開度が0%で、ブレーキスイッチがオフの場合には、特性曲線Bに従うトルク特性に基づくトルク制御を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の電気自動車のトルク制御装置では、トルク特性曲線を、エンジン自動車に近い運転性を得るために低速時にはクリープトルクCをを発生させ、またある程度の車速Dでモータトルクが走行抵抗Eと釣合う設定にしているので、次のような問題点があった。すなわち、減速時にブレーキスイッチがオンしている場合にも、ブレーキが踏まれず、単にアクセル開度が0%になっているだけの場合にも、車速がある程度(図5におけるF点)以下になれば正のトルク指令を発生するようになり、回生運転が十分低速まで継続できず、それだけ電力回収率が悪化し、バッテリ1回充電当たりの航続距離が延びない問題点があった。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ドライバが車両を停止させようとしている意図が明らかな場合にはほぼ停止するまで回生運転を行うことによってバッテリへの電力回収率が高め、航続距離を延ばすことができる電気自動車のトルク制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の電気自動車のトルク制御装置は、アクセル開度の検出手段と、駆動モータの回転数検出手段と、ブレーキスイッチのオン/オフ検出手段と、(1)前記駆動モータの減速時に、前記アクセル開度が0かつ前記ブレーキスイッチがオンであれば、前記駆動モータの回転数が0になるまで当該駆動モータを回生制御し、(2)前記駆動モータの減速時に、前記アクセル開度が0かつ前記ブレーキスイッチがオフであれば、前記駆動モータの回転数が予め設定された所定値になるまで当該駆動モータを回生制御するモータ駆動制御手段とを備え、前記モータ駆動制御手段は、前記駆動モータへのトルク指令が0の値を跨がずにトルク指令を切り換える場合には、予め設定した切り換え期間はトルクをリニアに変化させ、前記駆動モータへのトルク指令を正の値から負の値、もしくは負の値から正の値に切り換える場合には、トルクが0の値付近にある時間を、トルクをリニアに変化させるより減らすように変化させ、この変化させる前後ではトルクをリニアに変化させることを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明の電気自動車のトルク制御装置では、車両の減速時に、ドライバが車両を停止させようとする意図が明らかである場合、つまり、アクセル開度が0でありかつブレーキスイッチがオンである場合には、駆動モータの回転数が0になるまで当該駆動モータを回生制御する。一方、車両の減速時でも、ドライバが釣合い車速まで減速することによって、クリープトルクだけで徐行しようという意図が明らかな場合、つまり、ブレーキスイッチがオフであり、アクセル開度のみが0である場合には、駆動モータの回転数が予め設定された所定値になるまで当該駆動モータを回生制御する。
【0008】
これによって、ドライバが車両を停止させようとする意図が明らかな場合には車両の停止直前まで駆動モータの回生運転を行うことにより回生電力をバッテリに有効に回収して1充電当たりの航続距離を延ばし、またドライバが車両を釣合い車速まで減速させようとする意図が明らかな場合にはその釣合い車速付近の所定値になるまで回生運転を行うことによってドライバの意図通りの釣合い車速による徐行運転を可能とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ドライバが車両を停止させようとする意図が明らかな場合には車両の停止直前まで駆動モータの回生運転を行うことにより回生電力をバッテリに有効に回収して1充電当たりの航続距離を延ばすことができ、またドライバが車両を釣合い車速まで減速させようとする意図が明らかな場合にはその釣合い車速付近の所定値になるまで回生運転を行うことによってドライバの意図通りの釣合い車速による徐行運転が可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の1つの実施の形態の構成を示しており、この実施の形態の電気自動車のトルク制御装置は、トルクコントロールユニット1、モータコントロールユニット2を備えている。トルクコントロールユニット1は、ドライバの運転操作の意図を推定するための情報を得るために、シフトポジションスイッチ3からシフトレバーのシフトポジションを示す信号を入力し、スロットルポジションセンサ4からアクセル開度を示す信号を入力し、ブレーキスイッチ5からフットブレーキの操作有り無しを示す信号を入力し、さらに車速情報として回転数センサ6から駆動モータ7の回転数を入力し、これらの入力情報を用い、内蔵するトルク特性データに基づいてトルク指令を演算して出力する。
【0013】
またモータコントロールユニット2はシフトポジションスイッチ3の入力とスロットルポジションセンサ4の入力、そしてトルクコントロールユニット1の決定したトルク指令とに基づき、駆動モータ7の回転数を決定し、インバータユニット8のゲート制御を行う。
【0014】
インバータユニット8はバッテリ9の直流電力を所定の周波数及び電圧の交流電力に変換して駆動モータ7に供給する。
【0015】
次に、上記構成の電気自動車のトルク制御装置の動作を説明する。トルクコントロールユニット1はトルク−回転数特性マップデータを内蔵し、回転数センサ6の信号によって加速/減速状態を判断し、加速運転時には従来と同様のトルク−回転数特性マップデータを参照して、シフトポジションスイッチ3によるシフトレバーのポジション、スロットルポジションセンサ4によるアクセル開度に基づきトルク指令を演算してモータコントローラユニット2に与える。
【0016】
モータコントロールユニット2は、シフトポジションスイッチ3によるシフトポジション、スロットルポジションセンサ4によるアクセル開度により速度指令を演算し、またトルクコントロールユニット1からトルク指令を入力し、これらに基づいて駆動モータ7の回転数指令を演算し、さらに回転数センサ6から駆動モータ7の回転数フィードバック信号を入力して回転数指令と比較して駆動モータ7の所要加減速量を演算し、これをゲート指令に反映させてインバータユニット8に与えてそのゲート制御を行う。
【0017】
インバータユニット8はモータコントロールユニット2のゲート指令に基づいてPWM制御によってスイッチング素子のゲート制御を行い、バッテリ9の直流電力を駆動モータ7が所定の回転数で回転するような周波数、電圧の交流へ電力変換を行い、これによって駆動モータ7を駆動する。
【0018】
他方、減速運転の場合には、次のように制御動作する。トルクコントロールユニット1は図3に示すようなトルク特性マップデータT1,T2,T3を内蔵している。トルク特性データT1は、減速状態で、ブレーキスイッチ5がオン、かつスロットルポジションセンサ4がアクセル開度0%を示している場合に参照するものであり、トルク特性データT2は、減速状態で、ブレーキスイッチ5がオフ、かつスロットルポジションセンサ4がアクセル開度0%を示している場合に参照するものであり、さらに、トルク特性データT3は、減速状態にはなく、ブレーキスイッチ5がオフ、かつアクセル開度が0%の場合に参照するトルク特性データである。
【0019】
(1)ドライバが車両を停止させようとしている場合。
【0020】
ドライバが車両を停止させたいと思っている場合の運転操作では、アクセルペダルを離し、ブレーキペダルを踏込むことによって減速させることになる。この場合、スロットルポジションセンサ4はアクセル開度0%、かつブレーキスイッチ5はオンとなり、また回転数センサ6からの回転数信号の時間微分値あるいは差分値は減速状態を示す。
【0021】
そこで図2のステップS1,S2に示すように、このような条件が成立すれば、トルクコントロールユニット1はトルク特性データT1を選択して参照して、回転数センサ6の回転数信号に対応したトルク指令を決定し、これをモータコントロールユニット2に出力し、モータコントロールユニット2は第1の回生制御モードでインバータユニット8を制御し、モータの回転エネルギを電気エネルギとしてバッテリ9に回収する。この第1の回生制御では、トルク特性データT1はモータ回転数がほぼ0になるまで回生運転する特性に設定してあるので、車両がほぼ停止するまでモータの運動エネルギを電気エネルギとしてバッテリ9に回収することができ、バッテリ9の1回充電当たりの航続距離を延ばすことができる。
【0022】
(2)ドライバが車両を釣合い車速で走行させようとしている場合。
【0023】
この場合にはドライバは単にアクセルペダルから足を離すだけで、車両の走行抵抗Eによって車速が減速し、最終的にはクリープトルクと走行抵抗とが釣合う車速(モータ回転数)で徐行するように制御する。このために図2のフローチャートにおけるステップS3,S4に示すように、スロットルポジションセンサ4がアクセル開度0%、かつブレーキスイッチ5がオフ、そして回転数センサ6からの回転数信号の時間微分値あるいは差分値は減速状態を示していれば、トルクコントロールユニット1はトルク特性データT2を選択して参照して、回転数センサ6の回転数信号に対応したトルク指令を決定し、これをモータコントロールユニット2に出力し、モータコントロールユニット2は第2の回生制御モードでインバータユニット8を制御する。
【0024】
この第2の回生制御では、トルク特性データT2は釣合い車速Dの直前の所定の車速(回転数)Gまでは回生運転し、釣合い車速Dの点では走行抵抗Eと釣合うトルク指令を出力する設定である。これによって、通常のエンジン自動車と同様のクリープトルクによる徐行運転に円滑に移行することができるようになる。
【0025】
(3)ドライバがクリープトルクだけで走行させている場合。
【0026】
車両が減速状態になく、釣合い車速で走行している場合(この場合、アクセルペダルも踏まれず、ブレーキペダルも踏まれていない状態である)、したがって、回転数センサ6の信号から定速状態又は加速状態にあると判断され、かつスロットルポジションセンサ4はアクセル開度0%、ブレーキスイッチ5はオフ信号を入力している場合、トルクコントロールユニット1はトルクの勾配が緩やかな設定となっているトルク特性データT3を選択して参照してモータ回転数に対応したトルク指令を算出し、モータコントロールユニット2に出力する(図2のフローチャートにおけるステップS5)。
【0027】
これによって、例えば、下り坂でブレーキを離したような場合、従来のように急激に回生制動が働いて車速がギクシャクした変化をすることがなく、スムーズに変化するようになる。
【0028】
こうして、この実施の形態の電気自動車のトルク制御装置では、ブレーキペダルを踏込んで車両を完全に停止させる意図がある場合には車速がほぼ0になるまで回生制御を行うことによって車両の運動エネルギをバッテリ9に電気エネルギとして可能な限り回収することができ、この結果、1回の充電当たりの航続距離を延ばすことができ、また従来と同様の運転感覚も維持することができ、さらに釣合い車速で釣合っているときに道路上の勾配状態により走行抵抗が変化しても車速をスムーズに変化させることができる。
【0029】
なお、上記の実施の形態で、トルクコントロールユニット1がトルク指令を切換える場合、図4に示す方法で切換え前後のトルク指令を調整する。
【0030】
(a)切換え前トルク指令<切換え後トルク指令
図4(a)に示すように、切換え前トルクTr1<切換え後トルクTr2である場合には、予め設定した切換え期間t1はリニアに変化させる。つまり、トルク制御周期がθである場合、i回目の制御時のトルク指令Trは、
Tr=((Tr2−Tr1)/t1)*i・θ+Tr1
として設定する。
【0031】
(b)切換え前トルク指令>切換え後トルク指令
同図(b)に示すように、切換え前トルクTr1>切換え後トルクTr2である場合には、予め設定した切換え期間t2はリニアに変化させる。つまり、トルク制御周期がθである場合、i回目の制御時のトルク指令Trは、
Tr=((Tr2−Tr1)/t2)*i・θ+Tr1
として設定する。
【0032】
(c)トルク指令がトルク指令0をまたぐ場合
例えば、回生モードから力行モードに切換える場合、トルクが0付近にある時間を極力減らし、逆トルクになったときには緩やかにトルクを指令値まで変化させる。
【0033】
これによって、トルク切換え時に発生する衝撃を抑制し、乗り心地の改善を図る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】上記の実施の形態によるトルク制御のフローチャート。
【図3】上記の実施の形態によるトルク制御の特性図。
【図4】上記の実施の形態におけるトルク指令の切換え時の移行制御を示すタイムチャート。
【図5】従来例によるトルク制御の特性図。
【符号の説明】
1 トルクコントロールユニット
2 モータコントロールユニット
3 シフトポジションスイッチ
4 スロットルポジションセンサ
5 ブレーキスイッチ
6 回転数センサ
7 モータ
8 インバータユニット
9 バッテリ
Claims (1)
- アクセル開度の検出手段と、
駆動モータの回転数検出手段と、
ブレーキスイッチのオン/オフ検出手段と、
(1)前記駆動モータの減速時に、前記アクセル開度が0かつ前記ブレーキスイッチがオンであれば、前記駆動モータの回転数が0になるまで当該駆動モータを回生制御し、 (2)前記駆動モータの減速時に、前記アクセル開度が0かつ前記ブレーキスイッチがオフであれば、前記駆動モータの回転数が予め設定された所定値になるまで当該駆動モータを回生制御するモータ駆動制御手段とを備え、
前記モータ駆動制御手段は、前記駆動モータへのトルク指令が0の値を跨がずにトルク指令を切り換える場合には、予め設定した切り換え期間はトルクをリニアに変化させ、
前記駆動モータへのトルク指令を正の値から負の値、もしくは負の値から正の値に切り換える場合には、トルクが0の値付近にある時間を、トルクをリニアに変化させるより減らすように変化させ、この変化させる前後ではトルクをリニアに変化させる
ことを特徴とする電気自動車のトルク制御装置。
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