JP3781094B2 - 耐食性希土類磁石 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐食性を有する耐食性希土類磁石に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
希土類永久磁石は、その優れた磁気特性のため各種電気製品やコンピュータの周辺機器等、幅広い分野で多用されており、重要な電気、電子材料である。特にNd−Fe−B系永久磁石は、Sm−Co系永久磁石に比べて主要元素であるNdがSmより豊富に存在すること、Coを多量に使用しないことから原材料費が安価であり、磁気特性もSm−Co系永久磁石をはるかにしのぐ極めて優れた永久磁石である。このため、近年ますますNd−Fe−B系永久磁石の使用量は増大し、用途も広がりつつある。
【0003】
磁気特性向上のための開発研究はNd−Fe−B系永久磁石の発明以来精力的に行われているが、その1つとして、2種類の組成の異なる合金粉末を混合、焼結して高性能Nd磁石を製造する、いわゆる2合金法がある。特許第2853838号、特許第2853839号、特開平5−21218号、特開平5−21219号、特開平5−74618号、特開平5−182814号公報には、磁性体構成相の種類、特性等を考慮して2種類の合金の組成を決定し、これらを組み合わせることにより、高残留磁束密度と高保磁力、更に高エネルギー積を有するバランスのとれた高性能Nd磁石を製造する方法が提案されている。
【0004】
しかし、Nd−Fe−B系永久磁石は、主成分として希土類元素及び鉄を含有するため、湿度をおびた空気中で短時間の内に容易に酸化するという欠点を持っている。このため、磁気回路に組み込んだ場合には、これらの酸化により磁気回路の出力が低下したり、錆が機器周辺を汚染する問題がある。前記の特許公報及び公開特許公報で提案されている2合金法で作成されたNd−Fe−B系永久磁石は、Coを含んだ組成を有するため、耐食性はある程度向上しているが、それでも用途によっては不十分である。
【0005】
特に、最近は自動車用モータやエレベータ用モータなどのモータ類にもNd−Fe−B系永久磁石が使われはじめているが、これらは高温かつ湿潤な環境での使用を余儀なくされる。また、塩分を含んだ湿気に曝されることも想定しなくてはならず、より高い耐食性を低コストで実現することが要求されている。更に、これらのモータ類は、その製造工程において、短時間ではあるが磁石が300℃以上に加熱されることがあり、このような場合には耐熱性も併せて要求される。
【0006】
Nd−Fe−B系永久磁石の耐食性を改善するため、多くの場合、樹脂塗装、Alイオンプレーティング、Niメッキ等の各種表面処理が施されるが、上記のような厳しい条件にこれらの表面処理で対応することは現段階の技術では難しい。例えば、樹脂塗装は耐食性が不足する上、耐熱性がない。Niメッキにはピンホールがわずかながら存在するため、塩分を含んだ湿気中では錆が発生する。イオンプレーティングは耐熱性、耐食性は概ね良好であるが、大掛かりな装置を必要とし、低コストを実現するのは困難である、などの問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、高性能で、かつ上記のような過酷な条件での使用に耐える希土類永久磁石を提供するためになされたもので、高性能希土類永久磁石に耐食性、耐熱性を有する皮膜を付与した、耐食性高性能希土類磁石を安価に提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、高性能でかつ耐食性を有するNd−Fe−B系永久磁石について鋭意検討した結果、R−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、TはFe又はFe及びCo、MはTi,Nb,Al,V,Mn,Sn,Ca,Mg,Pb,Sb,Zn,Si,Zr,Cr,Ni,Cu,Ga,Mo,W,Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5wt%≦R≦40wt%、50wt%≦T≦90wt%、0.1wt%≦M≦8wt%、0.2wt%≦B≦8wt%)で表記される合金、特に該合金1と、R−Fe−Co−M−B(R及びMは上記と同じであり、各元素の含有量が30wt%≦R≦90wt%、0wt%≦Fe≦50wt%、5wt%≦Co≦70wt%、0wt%≦M≦8wt%、0wt%≦B≦2wt%)で表記される合金2とを混合し、製造される希土類永久磁石の表面に、Al,Mg,Ca,Zn,Si,Mn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種の金属の微粉末と、Si,Mn,Zn,Mo,Cr,Pから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物を複合して形成される皮膜を付与することにより、耐食性、耐熱性に優れた高性能希土類磁石を提供できることを知見し、諸条件を確立して本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)R−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、TはFe又はFe及びCo、MはTi,Nb,Al,V,Mn,Sn,Ca,Mg,Pb,Sb,Zn,Si,Zr,Cr,Ni,Cu,Ga,Mo,W,Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5wt%≦R≦40wt%、50wt%≦T≦90wt%、0.1wt%≦M≦8wt%、0.2wt%≦B≦8wt%)で表記される希土類永久磁石の表面に、Al,Mg,Ca,Zn,Si,Mn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種の金属の微粉末70wt%以上と、Si,Mn,Zn,Mo,Cr,Pから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物30wt%以下(但し、0%を含まない)とからなる耐食性付与材料を複合して形成されるフッ素を含まない耐食性皮膜を1〜40μm付与したことを特徴とする耐食性希土類磁石、及び、
(2)上記(1)の耐食性希土類磁石において、希土類永久磁石が、R−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、TはFe又はFe及びCo、MはTi,Nb,Al,V,Mn,Sn,Ca,Mg,Pb,Sb,Zn,Si,Zr,Cr,Ni,Cu,Ga,Mo,W,Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5wt%≦R≦40wt%、50wt%≦T≦90wt%、0.1wt%≦M≦8wt%、0.2wt%≦B≦8wt%)で表記される合金1と、R−Fe−Co−M−B(R及びMは上記と同じであって、各元素の含有量が30wt%≦R≦90wt%、0wt%≦Fe≦50wt%、5wt%≦Co≦70wt%、0wt%≦M≦8wt%、0wt%≦B≦2wt%)で表記される合金2を混合し、製造されたものである耐食性希土類磁石
を提供する。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る耐食性希土類磁石において、使用する永久磁石としては、R−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、TはFe又はFe及びCo、MはTi,Nb,Al,V,Mn,Sn,Ca,Mg,Pb,Sb,Zn,Si,Zr,Cr,Ni,Cu,Ga,Mo,W,Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5wt%≦R≦40wt%、50wt%≦T≦90wt%、0.1wt%≦M≦8wt%、0.2wt%≦B≦8wt%)で表記される希土類永久磁石、特にR−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、TはFe又はFe及びCo、MはTi,Nb,Al,V,Mn,Sn,Ca,Mg,Pb,Sb,Zn,Si,Zr,Cr,Ni,Cu,Ga,Mo,W,Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5wt%≦R≦40wt%、50wt%≦T≦90wt%、0.1wt%≦M≦8wt%、0.2wt%≦B≦8wt%)で表記される合金1と、R−Fe−Co−M−B(R及びMは上記と同じであって、各元素の含有量が30wt%≦R≦90wt%、0wt%≦Fe≦50wt%、5wt%≦Co≦70wt%、0wt%≦M≦8wt%、0wt%≦B≦2wt%)で表記される合金2とを混合し、いわゆる2合金法で製造される希土類永久磁石である。
【0011】
ここで、合金1はR2Fe14B化合物相(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種)を主成分とし、焼結後は主としてNd磁石の主相になるものが好ましい。合金1は原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解して作成する。原料金属は純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、更にはこれらの合金等を使用するが、工業生産において不可避な各種不純物、代表的にはC,N,O,H,P,S等は含まれるものとする。得られた合金はR2Fe14B相の他にαFe、Rリッチ相、Bリッチ相などが残る場合があるが、高性能Nd磁石の作成にあたっては合金1の中のR2Fe14B相が多い方が望ましいので、必要に応じて溶体化処理を行う。その時の条件は真空又はAr雰囲気下、700〜1,200℃の温度で1時間以上熱処理すればよい。
【0012】
一方、合金2は、R−Fe−Co−M−B(各元素の含有量が30wt%≦R≦90wt%、0wt%≦Fe≦50wt%、5wt%≦Co≦70wt%、0wt%≦M≦8wt%、0wt%≦B≦2wt%)で表記され、更にRとしてPr,Dy又はTbを必須とすることが好ましく、合金1と同じく原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解して作成する。原料金属は純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、純コバルト、更にはこれらの合金等を使用するが、工業生産において不可避な各種不純物、代表的にはC,N,O,H,P,S等は含まれるものとする。この組成において得られた合金には、R21 14B相(T1はFe,Coを主体とする遷移金属元素)、Rリッチ相、並びにRT2 4L相、RT2 3相、RT22相、R22 7B相、RT2 5相(T2はFe,Coを主体とする遷移金属元素、同遷移金属及びMのうち1種又は2種、LはB又はBとM)等が出現する。これらの相の融点はいずれもR2Fe14B相の融点以下のため、合金2は、焼結温度において適度な粘度を持ち、粒の配向を乱さず粒界をクリーニングする液相成分となる。合金2は酸化し易い希土類元素を多く含む組成であるが、Coを用いることにより、酸化を抑制している。
【0013】
上記で述べた合金1と合金2をそれぞれ別々に粉砕した後、それらの粉末を所定の比に混合する。粉砕は一般に粗粉砕、微粉砕と段階的に行われるが、混合はどの段階で行ってもよい。但し、2つの合金粉末はほぼ同じ平均粒径で均一に混合されることが好ましく、平均粒径は0.5〜20μmの範囲がよい。0.5μm未満では酸化され易く磁気特性が低下してしまうおそれがある。また、20μmを超えると焼結性が悪くなるおそれがある。
【0014】
合金1と合金2の粉末の混合比は合金1が70〜99wt%、合金2が1〜30wt%が好ましい。合金2が1wt%未満だと液相成分が少なすぎて焼結密度が上がらず、十分な保磁力が得られない場合がある。合金2が30wt%を超えると焼結後の非磁性相の割合が大きすぎて残留磁束密度が小さくなるおそれがある。
【0015】
混合された混合微粉は、磁場中成形プレスによって所定の形状に成形され、続いて焼結を行う。焼結は900〜1,200℃の温度範囲で真空又はAr雰囲気下にて30分以上行い、焼結後、更に焼結温度以下の低温で30分以上時効熱処理することが好ましい。
【0016】
本発明におけるNd−Fe−B系永久磁石においては、粒界周辺部にPr,Dy及び/又はTbの濃度偏析を有するものがよい。これは液相成分の合金2に含まれるPr,Tb,Dyが主相の中に完全に拡散せず、焼結後も粒界近傍に存在するためであるが、このことが磁石の保磁力をより向上させる効果を持っている。このため、同じ組成であってもより高い磁気特性を持つ磁石が製造できる。
【0017】
本発明におけるNd−Fe−B系永久磁石には、工業生産において不可避な不純物元素、代表的にはC,N,O,H,P,S等が含まれるが、その総和は2wt%以下であることが望ましい。2wt%を超えると永久磁石中の非磁性成分が多くなって残留磁束密度が小さくなるおそれがある。また、希土類元素がこれら不純物に消費されてしまい、焼結不良になり、保磁力が低くなるおそれがある。不純物の総和は低ければ低いほど残留磁束密度、保磁力共に高くなり好ましい。
【0018】
本発明におけるNd−Fe−B系永久磁石の焼結体密度は7.2g/cc以上が望ましい。7.2g/cc未満では保磁力が十分に得られない場合がある。また、抗折力は150MPa以上、ビッカース硬さで500以上が望ましい。抗折力が150MPa未満、ビッカース硬さで500未満の永久磁石は、実際にモータなどで使用された時に破損するおそれがある。
【0019】
本発明においては、上記希土類永久磁石の表面に、Al,Mg,Ca,Zn,Si,Mn及びこれらの合金から選ばれる少なくとも一種の金属の微粉末と、Si,Mn,Zn,Mo,Cr,Pから選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物とを複合して形成される耐食性皮膜を形成する。
【0020】
ここで、上記金属微粉末としては、フレーク状微粉末であることが好ましく、その形状は、平均長径が0.1〜15μm、平均厚さが0.01〜5μmであって、かつアスペクト比(平均長径/平均厚さ)が2以上のものが好ましい。より好ましくは、平均長径が1〜10μm、平均厚さが0.1〜0.3μmであって、かつアスペクト比(平均長径/平均厚さ)が10以上のものである。平均長径が0.1μm未満では、フレーク状微粉末が素地に平行に積層せず、密着力が不足するおそれがある。平均長径が15μmを超えると、加熱焼付けの時、蒸発した水分によりフレークが持ち上げられ、素地に平行に積層せず、その結果密着の悪い皮膜になってしまう場合がある。また、皮膜の寸法精度上、平均長径は15μm以下が望ましい。平均厚さが0.01μm未満のものは、フレークの製造段階でフレーク表面が酸化してしまい、膜が脆くなって耐食性が悪化し易い傾向となり、平均厚さが5μmを超えると、前記分散水溶液中でのフレークの分散が悪くなって沈降し易くなり、処理液が不安定になって、その結果耐食性が悪くなるおそれがある。アスペクト比が2未満だとフレークが素地に平行に積層しにくく密着不良になるおそれがある。アスペクト比の上限はないが、あまり大きいものはコスト的に高くなり、通常50以下である。
【0021】
本発明で形成される皮膜において、上記金属微粉末、特にフレーク状微粉末の含有量は70wt%以上であり、より好ましくは75wt%以上である。70wt%未満では微粉末が少なすぎて、磁石素地を十分に被覆しきれないので耐食性が低下するおそれがある。また、Si,Mn,Zn,Mo,Cr,Pから選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物は30wt%以下、より好ましくは25wt%以下(0を含まず)を添加することがよい。
【0022】
本発明において、上記耐食性皮膜を形成する方法は、上記金属微粉末と上記酸化物との分散水溶液に上記永久磁石を浸漬、又は該水溶液を永久磁石に塗布する方法が採用し得、浸漬又は塗布後、加熱処理を行うが、温度は300℃以上350℃未満にて30分以上維持することが望ましい。300℃未満では成膜が不十分で密着力も耐食性も悪くなるおそれがある。また、350℃以上にすると、下地の磁石がダメージを受け、磁気特性劣化の原因になり得る。
【0023】
本発明における皮膜の形成にあたっては、繰り返して重ね塗りと加熱処理を行ってもよい。本発明における皮膜は、金属微粉末、特にフレーク状微粉末が不定形酸化物により結合された構造となる。これが高い耐食性を示す理由は定かではないが、微粉末がフレーク状である場合、これが素地に概ね平行にそろい、よく磁石を被覆し、遮蔽効果を持つものと考えられる。また、フレーク状微粉末として永久磁石より卑な電位を持つ金属あるいは合金を用いたときは、これらが先に酸化され、下地の磁石の酸化を抑制する効果があると考えられる。また、この皮膜は無機物であるため、有機皮膜に比べて耐熱性が高いという特徴も有する。
【0024】
このように得られた本発明の皮膜の平均厚さは1〜40μmの範囲にあることが望ましい。1μm未満では耐食性が不足する場合があり、40μmを超えると、密着力低下や層間剥離を起こし易くなる場合が生じる。更に、皮膜を厚くすると、外観形状が同一であっても、使用できるR−Fe−B系永久磁石の体積が小さくなるため、磁石使用上も好ましくない。
【0025】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0026】
まず、下記方法により希土類永久磁石を製造した。
永久磁石
Ar雰囲気の高周波溶解により、重量比で28Nd−69.8Fe−1Co−1B−0.2Alなる組成の鋳塊を作製し、Ar雰囲気下で1,070℃にて20時間溶体化処理した。これを合金1とする。次に、同じく重量比で47Nd−13Dy−18.3Fe−20Co−0.5B−1Cu−0.2Alなる組成の鋳塊をAr雰囲気の高周波溶解にて作製した。これを合金2とする。合金1と合金2のインゴットをそれぞれ別に窒素雰囲気下にてジョウクラッシャーで粗粉砕し、続いて合金1の粗粉93wt%に合金2の粗粉7wt%を秤量して、窒素置換したVブレンダーにて30分混合した。この混合粗粉を、更に窒素ガス下にてジェットミルで微粉砕し、平均粒径が3μmの微粉末を得た。この微粉末を、15kOe磁界が印加された金型内に充填し、1.0t/cm2の圧力でプレス成形した。この成形体はAr雰囲気下にて1,070℃で2時間焼結し、更に530℃で1時間時効処理を施して永久磁石とした。得られた永久磁石から径21mm×厚み10mm寸法の磁石片を切り出し、バレル研磨処理を行った後、超音波水洗を行い、これを磁石試験片とした。
【0027】
この磁石の磁気特性をBHトレーサーで測定したところ、残留磁束密度Brが14.4T、保磁力iHcが1,110kA/m、最大エネルギー積が398kJ/m3であった。この磁石におけるDyの元素分布をEPMAにて調べたところ、図1のように、主相の粒界付近にDyの分布が多く存在し、主相の中央にはDyの分布が少なかった(なお、図中1は希土類リッチ相、2は主相(Dyリッチな部分)、3は主相(Dyの少ない部分)である)。
【0028】
この磁石に含まれる各種不純物元素、具体的にはC,N,O,H,P,S等の重量を、不活性ガス融解赤外吸収法、不活性ガス融解熱伝導度測定法、燃焼赤外吸収法等を用いて測定したところ、その総和は0.5wt%であった。焼結体密度は7.55g/ccであった。JIS−R−1601に準じた3点曲げ法にて抗折力を測定したところ、240MPaであった。ビッカース硬度計を用いて9.807Nの荷重にてビッカース硬さを測定したところ、600であった。
【0029】
次に、上記磁石(試験片)に下記方法により皮膜を形成した。即ち、皮膜形成のための処理液として、アルミニウムフレークと亜鉛フレーク粉末、無水クロム酸を含む分散水溶液を準備した。この分散水溶液に前記試験片を浸漬した後、所定の膜厚になるように回転数を調整したスピンコータで余滴を除去し、次いで熱風乾燥炉で330℃にて30分加熱して前記処理液による皮膜を形成し、性能試験に供した。性能試験法は以下の通りである。
(1)碁盤目密着性試験
JIS−K−5400碁盤目試験に準ずる。カッターナイフで皮膜に1mmのマス100個ができるように碁盤目状の切り傷を入れた後、セロファンテープを強く押しつけ、45度の角度に強く引いて剥がし、残った碁盤目の数で密着性を評価する。
(2)塩水噴霧試験(JIS−Z−2371に準拠)
5%食塩水を35℃にて連続噴霧し、茶錆が発生するまでの時間で評価する。
【0030】
以下、具体的な例を示す。
[実施例1、比較例1,2]
処理液には、フレーク状アルミニウム粉末2wt%、フレーク状亜鉛粉末20wt%(共に平均長径3μm、平均厚さ0.2μm)、無水クロム酸4wt%が含まれたものを使用した。膜厚は10μmになるようにした。比較のため、前記試験片に膜厚を10μmに調整したNiメッキ、樹脂塗装を施したサンプルも作成し、塩水噴霧試験を行った。また、350℃にて4時間加熱した後の皮膜の外観変化を目視にて調べた。これらの結果を併せて表1に示す。本発明(実施例1)の永久磁石は、他の表面処理を施した永久磁石(比較例1,2)と比べて、耐食性と耐熱性を併せ持っていることがわかる。
【0031】
【表1】
Figure 0003781094
【0032】
[実施例2〜4、参考例1,2
ここでは膜厚を変えたサンプルを作成し、碁盤目密着性試験と塩水噴霧試験を行った。処理液には実施例1で使用したものと同じ物を使用した。これより、膜厚が薄すぎると耐食性が低下し、厚すぎると密着性が低下する。
【0033】
【表2】
Figure 0003781094
【0034】
[実施例5,6、参考例3
ここでは皮膜中におけるフレーク状微粉末の含有割合を変えたサンプルを作成し、塩水噴霧試験と碁盤目密着性試験を行った。処理液には、フレーク状アルミニウム粉末、フレーク状亜鉛粉末(共に平均長径3μm、平均厚さ0.2μm)を1:10の割合で混合した混合粉末と無水クロム酸4wt%が含まれた分散水溶液を用いた。処理液中に占める混合粉末の重量比は、皮膜中のフレーク状微粉末の含有割合が表3に記載した値で残部が無水クロム酸になるように調整した。膜厚は10μmになるように調整した。これより、皮膜中のフレーク状微粉末の含有割合が少なすぎると、耐食性が低下する。
【0035】
【表3】
Figure 0003781094
【0036】
[実施例19
ここでは使用するフレーク状微粉末の形状を変えて、碁盤目密着性試験と塩水噴霧試験を行った。処理液には、フレーク状アルミニウム粉末2wt%、フレーク状亜鉛粉末20wt%、無水クロム酸4wt%が含まれたものを使用した。膜厚は10μmになるようにした。平均長径が短すぎても長すぎても密着性が低下する。また、平均厚さが薄すぎても厚すぎても耐食性が低下する。更にアスペクト比が小さすぎると密着性が低下する。
【0037】
【表4】
Figure 0003781094
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、高性能希土類永久磁石の表面に、Al,Mg,Ca,Zn,Si,Mn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種の金属の微粉末と、Si,Mn,Zn,Mo,Cr,Pから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物を複合して形成される皮膜を付与することにより、耐食性高性能希土類永久磁石を安価に提供することができ、産業上その利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた永久磁石における元素分布を説明する図である。
【符号の説明】
1 希土類リッチ相
2 主相(Dyリッチな部分)
3 主相(Dyの少ない部分)

Claims (4)

  1. R−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、TはFe又はFe及びCo、MはTi,Nb,Al,V,Mn,Sn,Ca,Mg,Pb,Sb,Zn,Si,Zr,Cr,Ni,Cu,Ga,Mo,W,Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5wt%≦R≦40wt%、50wt%≦T≦90wt%、0.1wt%≦M≦8wt%、0.2wt%≦B≦8wt%)で表記される希土類永久磁石の表面に、Al,Mg,Ca,Zn,Si,Mn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種の金属の微粉末70wt%以上と、Si,Mn,Zn,Mo,Cr,Pから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物30wt%以下(但し、0%を含まない)とからなる耐食性付与材料を複合して形成されるフッ素を含まない耐食性皮膜を1〜40μm付与したことを特徴とする耐食性希土類磁石。
  2. 請求項1において、希土類永久磁石が、R−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、TはFe又はFe及びCo、MはTi,Nb,Al,V,Mn,Sn,Ca,Mg,Pb,Sb,Zn,Si,Zr,Cr,Ni,Cu,Ga,Mo,W,Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5wt%≦R≦40wt%、50wt%≦T≦90wt%、0.1wt%≦M≦8wt%、0.2wt%≦B≦8wt%)で表記される合金1と、R−Fe−Co−M−B(R及びMは上記と同じであって、各元素の含有量が30wt%≦R≦90wt%、0wt%≦Fe≦50wt%、5wt%≦Co≦70wt%、0wt%≦M≦8wt%、0wt%≦B≦2wt%)で表記される合金2を混合し、製造されたものである耐食性希土類磁石。
  3. 希土類永久磁石の金属組織が、結晶粒界周辺部にPr,Dy及び/又はTbの濃度偏析を有するものである請求項1又は2記載の耐食性希土類磁石。
  4. 耐食性皮膜を構成する金属微粉末がフレーク状微粉末で、形状が平均長径で0.1〜15μm、平均厚さで0.01〜5μm、アスペクト比(平均長径/平均厚さ)が2以上であるものであって、皮膜内におけるフレーク状微粉末の含有割合が70wt%以上である請求項1乃至のいずれか1項記載の耐食性希土類磁石。
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