JP3780555B2 - 過酸化水素の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酸化水素の製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、酸素と水素から過酸化水素を製造する方法であって、爆発の危険性を回避し、かつ数百気圧〜数千気圧という高い圧力を必要とせず、よって工業的実施上有利な過酸化水素の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
触媒の存在下、ガス状の酸素と水素を反応させることにより過酸化水素を製造する方法は公知である(たとえば、特開昭63−156005号公報、ヨ−ロッパ特許第342047号公報参照)。しかしながらこれらの方法は、酸素と水素の混合ガスが爆発範囲(水素の爆発範囲については、安全工学,1969年,Vol.8,No.5,280〜286貢参照)にあるため、爆発の危険があるという問題を有する。かかる問題を回避する方法として、窒素ガスなどの不活性ガスを用いて酸素と水素の混合ガスを希釈して反応を行う方法、叉は酸素の代わりに空気等の酸素含有ガスを用いて反応を行う方法が示されている。しかしながら、このような方法で水素の爆発範囲を回避するには、反応系の全圧力を数百気圧〜数千気圧程度の高圧にする必要がある。ここで工業的規模において数百気圧〜数千気圧という高圧を実現するためには、コンプレッサ−などの圧縮装置を必要とし、また装置全体を高圧に耐えるものとする必要から特殊な材質で肉圧のものが要求されるなどの不都合が発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、酸素と水素から過酸化水素を製造する方法であって、爆発の危険性を回避し、かつ数百気圧〜数千気圧という高い圧力を必要とせず、よって工業的実施上有利な過酸化水素の製造方法を提供する点に存する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、触媒を含有する超臨界流体中において酸素と水素を反応させる過酸化水素の製造方法であって、反応系に超臨界流体と分離する抽出溶媒を存在させ、反応により生じた過酸化水素を該抽出溶媒相へ移動させつつ行う過酸化水素の製造方法に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
超臨界流体とは、臨界圧力より高い圧力を有し、かつ臨界温度より高い温度を有する流体をいう。
【0006】
本発明の超臨界流体としては、臨界温度が−20〜100℃であるものが好ましい。このことによって、過酸化水素の製造にとって好ましい温度で反応を実施することができる。臨界圧力に関しては特に制限はないが、工業的かつ経済的であるという点で、300atm以下の圧力が好ましい。具体的には、二酸化炭素(臨界圧力=72.9atm、臨界温度31.0℃)、キセノン(臨界圧力=57.7atm、臨界温度16.6℃)、トリフロロメタン(臨界圧力=47.8atm、臨界温度25.9℃)、クロロトリフロロメタン(臨界圧力=38.7atm、臨界温度28.8℃)等の超臨界流体をあげることができる。最も好ましい超臨界流体として、二酸化炭素の超臨界流体をあげることができる。
【0007】
本発明の反応条件としては、用いられる超臨界流体の臨界圧力より高い圧力、かつ臨界温度より高い温度で実施されるが、通常、反応温度20〜100℃、反応圧力50〜300atm、反応時間10分〜6時間の条件で実施される。ここで、二酸化炭素の超臨界流体を用いる場合の好ましい反応条件としては、反応系の圧力が73〜300atmであり、かつ温度が31〜100℃である条件をあげることができる。さらに好ましくは、反応系の圧力が73〜150atmであり、かつ温度が31〜80℃である条件をあげることができる。圧力が低過ぎる、叉は温度が低過ぎると超臨界状態を維持することができない。
【0008】
本発明の触媒としては、周期律表の第9族金属、第10族金属及び/叉は第11族金属を含有する触媒をあげることができる。該第9族の金属としてはコバルト、ロジウム、イリジウムをあげることができる。該第10族の金属としてはニッケル、パラジウム、白金をあげることができる。該第11族の金属としては銅、銀、金をあげることができる。これらの金属はその一種を単独で用いてもよく、叉は二種以上を混合して用いてもよい。
【0009】
また触媒として、金属酸化物叉は金属塩を用いることができる。より具体的には、第9族金属の金属酸化物叉は金属塩としては、酸化イリジウム(IV)、酸化ロジウム(III)、塩化コバルト(II)、フッ化コバルト(II)、ヨウ化コバルト(II)、炭酸コバルト(II)、塩化イリジウム(III)、塩化ロジウム(III)、臭化ロジウム(III)、ヨウ化ロジウム(III)等をあげることができる。第10族金属の金属酸化物叉は金属塩としては、酸化ニッケル(II)、酸化パラジウム(II)、酸化白金(IV)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)、2−エチルヘキサン酸ニッケル(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、白金(IV)等をあげることができる。第11族金属の金属酸化物叉は金属塩としては塩化銅(II)、塩化銅(I)、酢酸銅(II)、2−エチルヘキサン酸銀(I)、シアン化金(I)などをあげることができる。
【0010】
更に触媒として、Mm Xx Ll で表される金属錯体を用いることができる。ここでMはコバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金等の金属を表し、mは1〜6の整数を表す。Xはハロゲン原子、カルボン酸残基、1,3−ジケトン残基等を表し、xは0〜3の整数を表す。Lはホスフィン配位子、ホスフィンオキサイド配位子、アミン類叉はニトリル類等の有機窒素化合物配位子、エ−テル類等の有機酸素化合物配位子、オレフィン配位子、ジエン配位子、シクロペンタジエニル配位子、一酸化炭素配位子等を表し、lは0〜16の整数を表す。より具体的には、第9族金属の金属錯体としては、テトラフェニルポルフィリンコバルト(II)、ジカルボニルアセチルアセトナトロジウム(I)、テトラロジウム(0)ドデカカルボニル、ヘキサロジウム(0)ヘキサデカカルボニル、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ドデカカルボニル四イリジウム(0)、クロロトリカルボニルイリジウム(I)、トリクロロトリス(トリエチルホスフィン)イリジウム(III)、クロロカルボニルビス(トリエチルホスフィン)イリジウム(I)等をあげることができる。第10族金属の金属錯体としては、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケル(II)クロライド、ニッケル(II)フタロシアニン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジブロモ(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、ジクロロビス(ピリジン)白金(II)、アセチルアセトナト白金(II)、ヘキサフロロアセチルアセトナト白金(II)、(トリメチル)メチルシクロペンタジエニル白金(IV)等をあげることができる。第11族金属の金属錯体としては、ヘキサフロロアセチルアセトナト銅(II)、銅(II)フタロシアニン、(トリエチルホスフィン)金(I)クロライド等をあげることができる。
【0011】
更にこれらの金属を含有する触媒は担体を用いた担持触媒であってもよい。ここで、担体としてはカーボン、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、チタニア、アルミノホスフェート、イオン交換樹脂などをあげることができる。具体的には、第9族金属を含有する担持触媒としては、ロジウム−カーボン、ロジウム−アルミナ、イリジウム−カーボン、イジジウム−アルミナ等をあげることができる。第10族金属を含有する担持触媒としては、パラジウム−カーボン、パラジウム−アルミナ、白金−カーボン、白金−アルミナ、白金−パラジウム−アルミナ等をあげることができる。第11族金属を含有する担持触媒としては、金−チタニア、金−カーボン等をあげることができる。
【0012】
本発明においては、反応系の超臨界流体と酸素と水素の割合は、超臨界流体中に酸素および水素が完全に均一となる割合であればよい。好ましくは、反応系に存在させる超臨界流体を90体積%以上にし、かつ反応系に存在させる水素を4体積%以下にすることが好ましい。このことにより、水素の爆発の危険を回避することができる。
【0013】
本発明においては、反応系に超臨界流体と分離する抽出溶媒を存在させ、反応により生成した過酸化水素を該抽出溶媒相へ移動させつつ行う。このことにより、生成した過酸化水素の分解を回避することができる。なお、抽出溶媒としては水が好ましい。
【0014】
本発明を実施する具体例としては、攪拌混合機付の耐圧反応容器に二酸化水素、触媒及び水を仕込み、酸素及び水素を供給し、所定の反応温度及び反応圧力に維持しつつ攪拌して反応させる方法をあげることができる。ここで、反応により生じた過酸化水素は水相に移動し、過酸化水素水が形成されるので、該過酸化水素水を適宜反応系から抜き出せばよい。
【0015】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって説明する。
実施例1
撹拌混合機付きのテフロンの内張りを有するステンレススチ−ル製の耐圧反応器(容量200ml)に、触媒としてのジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.027g(39マイクロモル)、液化二酸化炭素80gを仕込み、温度34℃及び圧力79kg/cm2 Gとした。この反応器内に、蒸留水25gをポンプで導入し、続いて酸素ガスと水素ガスを共に分圧で2kg/cm2 G導入し、温度を34℃に維持しつつ反応させた。1時間の反応後、反応系を常温、常圧にもどし、生成した過酸化水素を定量した。反応により過酸化水素が147マイクロモル生成した。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、酸素と水素から過酸化水素を製造する方法であって、爆発の危険性を回避し、かつ数百気圧〜数千気圧という高い圧力を必要とせず、よって工業的実施上有利な過酸化水素の製造方法を提供することができた。
Claims (5)
- 触媒を含有する超臨界流体中において酸素と水素を反応させる過酸化水素の製造方法であって、反応系に超臨界流体と分離する抽出溶媒を存在させ、反応により生じた過酸化水素を該抽出溶媒相へ移動させつつ行う過酸化水素の製造方法。
- 超臨界流体が二酸化炭素の超臨界流体である請求項1記載の製造方法。
- 反応系の圧力が73〜300atmであり、かつ温度が31〜100℃である請求項1記載の製造方法。
- 触媒が周期律表の第10族金属を含有する触媒である請求項1記載の製造方法。
- 抽出溶媒が水である請求項1記載の製造方法。
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