JP3780403B2 - 電子ビーム処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理物に電子ビームを照射して各種の処理を行う電子ビーム処理装置に係わり、例えば、ウエハ上のSOG(Spin On Glass)膜と呼ばれる半導体デバイスの層間絶縁膜の硬化やその他の被処理物の成膜等を行う電子ビーム処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、SOG膜の硬化処理は加熱によって行われ、400〜450℃で、約1時間も要していた。この処理時間を短縮するために、加熱温度を高くしようとすると、半導体デバイス中の異種薄膜界面で相互拡散が生じ、半導体デバイスの電気特性が劣化し、高温処理できなかった。
【0003】
一方、電子ビームだけでSOG膜の硬化を行うことも考えられるが、電子ビームの照射だけでは、SOG膜の温度上昇はせいぜい20℃程度であり、膜を硬化させるには到底不十分であった。
【0004】
図7は、従来技術に係る加熱および電子ビーム照射による処理を併用した電子ビーム処理装置の一例を示す図である。
【0005】
同図において、1は図示していない高圧電源が供給されて電子ビームを生成し、後述する処理室2内の被処理物6に電子ビームを照射する電子ビーム管、2は処理室、3は電子ビーム管1の開口を覆うように設けられたシリコンからなる蓋部、31は電子ビーム管1から処理室2内に向けて放射される電子ビームを通過させる蓋部3に設けられた開口部、4は開口部31を覆い電子ビームが透過可能な複数個の透過部を有し、シリコンからなる数μm程度の薄膜で形成された窓部、5は被処理物6を載置して加熱する加熱台、6は被処理物である。ここで、蓋部3および窓部4は全体として電子ビーム管1の照射部を構成する。
【0006】
この電子ビーム処理装置によれば、被処理物6は、加熱台5により加熱されると共に、電子ビーム管1から放射される電子ビームによって照射されて処理され、被処理物6を短時間で効率良く処理することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術に係る電子ビーム処理装置では、電子ビームを透過させる窓部4が処理室2内に露出する構造となっているため、加熱台5によって被処理物6を加熱する熱が窓部4にも伝わり高温化されてしまう。そのため、窓部4は電子ビームを効率良く放射するために薄膜で形成されているので、窓部4が400℃越えると、数時間で破損してしまうという問題があった。
【0008】
また、処理過程で、処理室2内に発生した副生成物が窓部4に付着し、しかも窓部4の温度が高いと、窓部4と副生成物からなる付着物との反応が促進され、例えば、付着物が有機物である場合、シリコンからなる窓部4が酸化または炭化することがあり、窓部4が質的に変化すると共に機械的強度も落ち、窓部4が破損してしまうという問題があった。
【0009】
さらに、窓部4と共に、蓋部3も加熱されると、蓋部3の加熱に伴って、電子ビーム管1内部に配置されている各種部材、例えば、電子ビームを発生するために設けられる電子ビーム管内の金属材料や、電子ビーム管外囲を構成しているガラス体からガスが放出され、電子ビーム管1内のガス圧が高くなり、電子ビーム管1内の各部材間で放電が発生して、所望の電子ビーム出力が得られなくなるという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記の種々の問題を解決するために、電子ビーム管の処理室内に露出した照射部を冷却することにより、電子ビーム管の窓部の破損、窓部における副生成物からなる付着物の抑制、さらには電子ビーム管の蓋部の温度上昇を抑制した電子ビーム処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
【0012】
第1の手段は、処理室内に電子ビーム管の照射部を露出して配置し、この処理室内に設けられた加熱台に被処理物を載置して、前記被処理物を加熱しながら電子ビームを照射する電子ビーム処理装置において、前記電子ビーム管の照射部は、電子ビーム管の開口を覆うと共に電子ビームを通過させる開口部を有する蓋部と、前記開口部を覆い電子ビームを透過させる電子ビーム透過部を有する窓部とから構成され、前記電子ビーム透過部を除く前記照射部に、前記照射部を冷却する冷却ブロックを接触して配置したことを特徴とする。
【0013】
第2の手段は、前記窓部に向けて冷却ガスを吹き付ける冷却ガス吹き付け手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明の第1の実施形態を図1ないし図3を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る電子ビーム処理装置の構成を示す正面断面図、図2は図1に示す電子ビーム管1の照射部付近の拡大図、図3は電子ビーム処理装置の構成を示す底面図である。
【0016】
これらの図において、41は、窓部4において薄肉で形成され、電子ビームを透過させるために設けられた複数個の電子ビーム透過部、42は窓部4に形成された電子ビームの非透過部、7は電子ビーム管1が処理室2内に露出している電子ビーム透過部41を除く照射部を覆うように接触して設けられる冷却ブロック、71は冷却ブロック7内に設けられ、水等の冷却用流体を流すために設けられた冷却管、72は冷却ブロック7外部から不活性ガス等の冷却ガスを導入し、窓部4付近で露出された管体の小孔部721から冷却ガスを噴出する冷却管、721は冷却管72に導入された冷却ガスを窓部4に吹き付けるために設けられた複数個の小孔部、8は冷却ガスが導入される冷却ガス流入管、9は冷却ガスが流出される冷却ガス流出管である。
【0017】
なお、これらの図において、その他の符号は図7に示した同符号の構成に対応するので説明を省略する。
【0018】
上記のごとく、この電子ビーム照射装置では、冷却ブロック7が窓部4の電子ビーム透過部41を除いて照射部に接触した状態で配置されているので、冷却ブロック7内に設けられた冷却管71に流通する冷却用流体により蓋部3および窓部4、即ち照射部が冷却され、蓋部3および窓部4の温度上昇を防止することができる。従って、照射部が高温化することが抑制されるので、電子ビーム管内の金属材料や、電子ビーム管外囲を構成するガラス体からのガス放出を抑え、電子ビーム管1内の異常放電等の発生を防止することができる。
【0019】
また、窓部4付近では、冷却ブロック7から露出した冷却管72に設けられた複数の小孔部721から噴出する冷却ガスが、露出した窓部4表面に沿って吹き付けるため、窓部4を効率良く冷却することができると共に、窓部4に処理室2内で発生した副生成物が付着することを防止することができ、副生成物の付着により窓部4が酸化または炭化されて、機械的強度が落ち、窓部4が破損されてしまうことを防止することができる。
【0020】
次に、本発明の第2の実施形態を図4ないし図6を用いて説明する。
【0021】
図4は、本実施形態に係る電子ビーム処理装置の構成を示す正面断面図、図5は図4に示す電子ビーム管1の照射部付近の拡大図、図6は電子ビーム処理装置の構成を示す底面図である。
【0022】
これらの図において、10は全体として電子ビーム管の照射部を覆うように設けられ、照射部の蓋部3の一部に接触してこれを冷却すると共に、蓋部3の残部および窓部4を冷却ガスで冷却するように配置された冷却ブロック、101は冷却ブロック10内に設けられ、水等の冷却用流体を流すために設けられた冷却管、102は冷却ブロック10外部から不活性ガス等の冷却ガスを導入し、冷却ブロック10本体と蓋部3間に露出された開口部から冷却ガスを噴出する冷却管であり、また、図5に示す冷却ブロック10の位置a、bは、図6に示す冷却ブロック10の一点鎖線と交差する位置a、bに対応する。
【0023】
これらの図において、その他の符号は図1ないし図3および図7に示した同符号の構成に対応するので説明を省略する。
【0024】
上記のごとく、この電子ビーム照射装置では、冷却ブロック10の一部が蓋部3に接触した状態で配置されているので、冷却ブロック10内部に設けられた冷却管101に流通する冷却用流体により蓋部3が冷却され、また、冷却ブロック10本体と蓋部3と窓部4間に形成される空間部には、冷却管102の開口部から冷却ガスが放出され、蓋部3および窓部4を冷却することができるので、蓋部3および窓部4の高温化を防止することができる。その結果、電子ビーム管1内の金属材料や、電子ビーム管外囲を構成するガラス体からのガス放出を抑え、電子ビーム管1内の異常放電等の発生を防止できる。
【0025】
また、窓部4付近では、冷却管102から放出された冷却ガスが、露出した窓部4表面に沿って吹き付けるので、窓部4を効率良く冷却すると共に、窓部4に処理室2内で発生した副生成物が付着することを防止することができ、副生成物による窓部4の酸化または炭化、それに伴う機械的強度の低下による窓部4の破損を防止することができる。
【0026】
以上述べたように、上記の各実施形態の発明によれば、SOG膜(被処理物)を加熱しながら電子ビーム照射に処理することにより、電子ビーム管の照射部の高温化や窓部の破損を伴うことなく、例えば、窓部の温度が300℃という低温で、約10分という短時間で硬化処理を行うことができる。また、被処理物の硬化温度を低温化できたので半導体デバイスの電気特性を劣化させることなく硬化膜を得ることができる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、この電子ビーム照射装置では、冷却ブロックが照射部に接触した状態で配置されているので、冷却ブロックにより照射部が冷却され、照射部の蓋部や窓部の温度上昇を防止することができる。その結果、照射部が高温化されて電子ビーム管内の金属材料や、電子ビーム管外囲を構成するガラス体からのガス放出を抑え、電子ビーム管内の異常放電等の発生を防止することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、冷却ガスにより窓部が吹き付けられるので、窓部を効率良く冷却することができると共に、窓部に処理室内で発生した副生成物が付着することを防止することができ、副生成物の付着により窓部が酸化または炭化されて、機械的強度が落ち、窓部が破損してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子ビーム処理装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】図1に示す電子ビーム管1の照射部付近の拡大図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電子ビーム処理装置の構成を示す底面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電子ビーム処理装置の構成を示す正面断面図である。
【図5】図4に示す電子ビーム管1の照射部付近の拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電子ビーム処理装置の構成を示す底面図である。
【図7】従来技術に係る電子ビーム処理装置の構成を示す正面断面図である。
【符号の説明】
1 電子ビーム管
2 処理室
3 蓋部
31 開口部
4 窓部
41 透過部
42 非透過部
5 加熱台
6 被処理物
7 冷却ブロック
71 冷却管
72 冷却管
721 小孔部
8 冷却用流体流入管
9 冷却用流体流出管
10 冷却ブロック
101 冷却管
102 冷却管
Claims (2)
- 処理室内に電子ビーム管の照射部を露出して配置し、この処理室内に設けられた加熱台に被処理物を載置して、前記被処理物を加熱しながら電子ビームを照射する電子ビーム処理装置において、
前記電子ビーム管の照射部は、電子ビーム管の開口を覆うと共に電子ビームを通過させる開口部を有する蓋部と、前記開口部を覆い電子ビームを透過させる電子ビーム透過部を有する窓部とから構成され、前記電子ビーム透過部を除く前記照射部に、前記照射部を冷却する冷却ブロックを接触して配置したことを特徴とする電子ビーム処理装置。 - 前記窓部に向けて冷却ガスを吹き付ける冷却ガス吹き付け手段を設けたことを特徴とする電子ビーム処理装置。
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