JP3780145B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法の如き画像形成方法において形成される静電荷像の現像に用いられるトナー。またはトナージェット記録方式による画像形成方法に用いられるトナー、及びトナーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、米国特許第2,297,691号、同第2,357,809号明細書等に記載されている如く、光導電性絶縁層を一様に帯電し、次いでその層を露光し、静電荷像を形成し、更に静電荷像をトナーで現像し(現像工程)、得られたトナー像を中間転写体を介して、または、介さずに転写紙の如き転写材に転写し(転写工程)、加熱、加圧或いは加熱加圧定着法により転写材にトナー像を定着する(定着工程)ことにより、画像形成を行う方法である。
【0003】
上記の如く、様々な工程を経て画像形成が行われるため、トナー像を形成するトナーは現像工程のみならず、転写工程、定着工程の各工程において要求される機能を備えていなければならない。
【0004】
一般にトナーは、現像装置内で機械的動作中にうける剪断力、衝撃力による機械的な摩擦力を受けるため、数千枚乃至数万枚コピー又はプリントする間に劣化しやすい。この様なトナーの劣化を防ぐには機械的な摩擦力に耐えうる分子量の大きな強靭な結着樹脂を用いれば良いが、分子量の大きな結着樹脂は一般に軟化点が高く、接触定着方式で熱効率が良いため広く用いられているヒートローラー定着方式においても、充分に定着させるためには、ヒートローラーの温度を高くする必要がある。ヒートローラーの温度が高いと定着装置自体の劣化、定着後の紙のカールの発生、消費エネルギーの増大を招く。更に、この様な結着樹脂は、粉砕性にも劣るため、トナーを製造する際、製造効率が低下する。
【0005】
一方、上記の如く、ヒートローラー定着方式は、加熱ローラー表面と転写材のトナー像面が圧接触するため熱効率が著しく良く、低速機から高速機に至るまで広く使用されている。しかしながら、ヒートローラー定着方式は、加熱ローラー表面とトナー像面が接触する際、トナーが加熱ローラー表面に付着し、付着したトナーが後続の転写材に転写される、オフセット現象が生じ易い。
【0006】
トナーの耐オフセット性を向上させる方法として架橋ポリマーと呼ばれる多官能性モノマーや多官能開始剤を用いた共有結合性架橋樹脂乃至分岐性樹脂を用いたトナー(特開平3−203746号公報、特開平4−24648号公報に記載)や金属酸化物とポリマーとを強固に結合させたイオン結合性架橋ポリマーを用いたトナー(特開昭61−213858号公報、特開平6−175395号公報に記載)が提案されている。いずれも耐オフセット性は向上するものの、結合樹脂本来の定着性が低下し、またポリマー分子のからみ合いが強いため、テトラヒドロフラン不溶分に代表される架橋による樹脂成分が、着色剤や荷電制御剤の結合樹脂への分散を困難なものとし、更にトナー製造時におけるトナー混練物の粉砕性も低下させてしまう。
【0007】
一般に、最低定着温度は、低温オフセットと高温オフセットの間にあるため、使用可能温度領域は最低定着温度と高温オフセットの間である。最低定着温度をできるだけ下げ、高温オフセット発生温度をできるだけ上げることにより、使用定着温度を下げることができると共に使用可能温度領域を広げることができる。その結果、省エネルギー化、高速定着化が可能となり、また紙のカールの発生を防ぐことができる。また、紙のカールを抑制できることから両面コピーを円滑に行え、複写機のインテリジェント化、定着装置の温度コントロールの精度、許容幅の緩和が行える。
【0008】
そのため、低温定着性及び耐オフセット性の良いトナーが望まれる。
【0009】
また、近年、パーソナル・ユーザーを対象としたコンピュータ機器の普及に伴い、映像による情報伝達機構として、フルカラーによる映像コミュニケーションが幅広く浸透しつつある。この様な状況下で、出力機器の一つであるプリンターや複写機においても低級機市場を中心にフルカラー化が急速に進んでおり、一般ユーザーにおいてもカラー画像がより身近なものとなりつつある。
【0010】
フルカラーの場合は、色材の3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色のトナー又はそれに黒色トナーを加えた4色のトナーを用いて色の再現を行う。例えば、原稿からの光をマゼンタと補色の関係にある色分解光透過フィルターを通して光導電層上にマゼンタ用の静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いでマゼンタトナーを用いて現像工程及び転写工程を経てマゼンタトナー画像は支持体に保持される。次いで、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーについても、前述の工程を順次行い、レジストレーションを合わせつつ、同一支持体上にカラートナーは重ね合わされ、定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0011】
特にカラートナーにおいては、定着したカラー画像は、光に対して乱反射して、色再現を妨げることのないように、トナー粒子の形が判別できないほどのほぼ完全溶融に近い状態となることが重要であり、且つ該カラートナーは、表層のカラートナー層の下にある異なった色調のカラートナー層の色調を妨げない透明性を有し、各カラートナーは、バランスのとれた色相及び分光反射特性と十分な彩度を有していることが重要である。
【0012】
このような観点から多くの結着樹脂に関する検討がなされており、上記の特性を満足するカラートナーが待望されている。今日、当該技術分野においてはポリエステル系樹脂がカラートナー用結着樹脂として多く用いられている。
【0013】
特開昭57−124740号公報には、結着樹脂合成時における遊離基の反応を抑制するために、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を高分子重合体に対する合計の含有量で0.1〜3.0重量%添加することが望ましいと記載されている。
【0014】
他方、特開平1−246560号公報には、結着樹脂を用いたトナー及び有機光導電性半導体からなる感光体の両者の酸化を抑制するために、結着樹脂を他の材料とともに溶融混練しトナー化する前の材料混合時において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤をトナーに対する合計の含有量で0.01〜10重量%添加することが好ましいと記載されている。
【0015】
しかし、係るヒンダードフェノール系酸化防止剤添加の効果は、全てのトナー及びトナー製造方法において発現されるものではなく、本発明の如き構成のトナーに添加する場合には、その添加する量及び製造方法に細心の注意を払う必要がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分な耐オフセット性を有しつつ、より低い定着温度で定着できるトナー及び該トナーの製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の更なる目的は、長期間の放置に対し、凝集を起こさず放置前の状態と同様な現像性を有するトナー及び該トナーの製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更なる目的は、常温常湿、高温高湿及び低温低湿の各環境条件の下、安定した帯電特性を有し、静電荷像に対して極めて忠実な現像を可能にするトナー及び該トナーの製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、少なくともカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤、トナーの質量基準で0.1〜10質量%のサリチル酸金属化合物及びトナーの質量基準で20〜400ppmのヒンダードフェノールを含有することを特徴とするトナーに関する。
【0020】
更に、本発明は、ヒンダードフェノールの存在下で合成され、ヒンダードフェノールを含有しているカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤及びサリチル酸金属化合物を少なくとも有する混合物を溶融混練して混練物を得る混練工程;混練物を冷却する冷却工程;及び冷却された混練物を粉砕してトナー粒子を得る粉砕工程;を有するトナーの製造方法であり、該トナーは、トナー粒子を有しており、トナーの質量基準で0.1〜10質量%のサリチル酸金属化合物及びトナーの質量基準で20〜400ppmのヒンダードフェノールを含有していることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0021】
更に、本発明は、少なくともヒンダードフェノール、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤及びサリチル酸金属化合物を有する混合物を溶融混練して混練物を得る混練工程;混練物を冷却する冷却工程;及び冷却された混練物を粉砕してトナー粒子を得る粉砕工程;を有するトナーの製造方法であり、該トナーは、トナー粒子を有しており、トナーの質量基準で0.1〜10質量%のサリチル酸金属化合物及びトナーの質量基準で20〜400ppmのヒンダードフェノールを含有していることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、トナー粒子を構成する成分として、少なくともカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤及びサリチル酸金属化合物を含有し、該トナー中にヒンダードフェノールをトナーの質量基準で20〜400ppm含有している場合に、特に定着性、長期保存性及び帯電安定性に優れたトナーを得られるという知見を得たため、本発明に到達したものである。以下、本発明に関し、詳細に説明する。
【0023】
本発明において、トナー粒子の結着樹脂は、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂である。
【0024】
本発明のトナーに使用する結着樹脂としては、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂が用いられるが、中でも下記式(A)で示される分子骨格を有するポリエステル樹脂が好ましい。
【0025】
【外1】
〔式中、x及びyは、1以上の整数であり、x+yの平均値は2〜4である〕。
【0026】
式(A)で示される分子骨格を有するポリエステル樹脂は、後に詳しく説明するサリチル酸金属化合物と同時に溶融混練される際に、金属イオン架橋構造が形成され易く、トナーの貯蔵弾性率曲線において明瞭な極小値(G′min )を有するトナーを良好に生成し得る。
【0027】
例えば、図1は本発明に係るトナーの貯蔵弾性率曲線の一例を示したものであり、該曲線においては、温度約145℃で極小値(G′min )をとり、極小値(G′min )を示す温度よりも高温サイドの温度で、トナーの粘弾性は再び高くなっている。この様な粘弾性特性を有するトナーは、耐高温オフセット性に極めて優れている。また、トナーの貯蔵弾性率の極小値(G′min )は、100乃至200℃の領域にあることが好ましく、特に110乃至170℃の領域にあることが好ましい。
【0028】
一方、図2に示す如き粘弾性を示す後述の比較トナーと類似処方のトナーは、温度100乃至200℃の領域に明確な極小値を有していなく、温度100℃よりも高温サイドにおいても温度の上昇とともにトナーの貯蔵弾性率が低下している。この様なトナーは、耐高温オフセット性に劣り、定着可能温度領域が本発明のトナーよりも狭くなる。
【0029】
式(A)で示される分子骨格がなぜ特異的にサリチル酸金属化合物と作用するかは十分には判明してはいないが、この分子鎖特有の屈曲性が相互作用しやすい配座を形成しやすいため(分子配置相互作用)と、P位に電子供与性を有するフェニル基の電子供与性、また、−CH=CH−のπ電子供与相互作用が深く係っていると思われる。
【0030】
ポリエステル樹脂を生成するための二価のアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水酸化ビスフェノールA、また式(B)で表わされるビスフェノール誘導体
【0031】
【外2】
〔式中、Rはエチレン、プロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である〕。
が挙げられる。
【0032】
また、非線形状ポリエステル樹脂を形成するための三価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメトロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。三価以上の多価アルコールの使用量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%が好ましい。
【0033】
また、ポリエステル樹脂を生成するための二価の酸成分としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸及びこれらを炭素数8〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した脂肪族系酸成分モノマー;また芳香族系酸成分モノマーとして、フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸及びそのエステル誘導体が挙げられる。
【0034】
また、非線形状ポリエステル樹脂を形成するための三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び、これらの無水物やエステル化合物が挙げられる。三価以上の多価カルボン酸成分の使用量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%が好ましい。
【0035】
本発明において、ポリエステル樹脂の好ましいガラス転移温度は47〜64℃、好ましくは49〜62℃であるのが良く、トナーのガラス転移温度としては、50〜67℃、好ましくは51〜64℃であるのが良い。
【0036】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が47℃未満、またはトナーのガラス転移温度が50℃未満の場合には、定着性には優れるものの、耐オフセット性が低下し、定着ローラーへの汚染や定着ローラーへの巻き付きが発生し好ましくない。更に定着後の画像表面のグロスが高くなりすぎてしまい画像品位が低下して好ましくない。
【0037】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が64℃よりも高い、または、トナーのガラス転移温度が67℃より高い場合には、定着性が低下し、複写機本体の設定定着温度を上げざるを得ず、得られた画像は一般にグロスが低く、かつフルカラー用トナーとしての混色性が低下する。
【0038】
本発明においては、ポリエステル樹脂のTHF可溶分のGPC測定における、数平均分子量(Mn)が1300〜9500であり、重量平均分子量(Mw)が5500〜95000であり、該ポリエステル樹脂のTHF可溶分のMwとMnとの比(Mw/Mn)は2〜10であることが好ましい。
【0039】
また、トナー化した際のトナーのTHF可溶分のGPC測定において、数平均分子量(Mn)が1500〜10000であり、重量平均分子量(Mw)が6000〜100000であり、MwとMnとの比(Mw/Mn)が2〜10であることが好ましい。
【0040】
ポリエステル樹脂のTHF可溶分の数平均分子量(Mn)が1300未満または重量平均分子量(Mw)が5500未満の場合、もしくはトナーのTHF可溶分の数平均分子量(Mn)が1500未満または重量平均分子量(Mw)が6000未満の場合には、いずれも定着画像表面の平滑性は高く、見た感じの鮮やかさはあるものの、耐久において高温オフセットが発生しやすくなり、更に、長期保存安定性が低下し、現像機内でのトナー融着及びキャリア表面にトナー成分が付着する、所謂キャリアスペントの発生といった新たな問題も懸念される。更に、カラートナー粒子の製造時のトナー原料の溶融混練時にシェアーがかかり難く、着色剤の分散性が低下し易いため、トナーの着色力の低下やトナーの帯電量の変動が生じ易い。
【0041】
ポリエステル樹脂のTHF可溶分の数平均分子量(Mn)が9500を超える場合又は重量平均分子量(Mw)が95000を超える場合、もしくはトナーのTHF可溶分の数平均分子量(Mn)が10000を超える場合または重量平均分子量(Mw)が100000を超える場合は、いずれも、耐オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ないし、更に、仮に顔料の分散の程度をコントロールできたとてしても、画像部での表面平滑性が低下してしまい色再現性が低下し易くなってしまう。
【0042】
ポリエステル樹脂、もしくはトナーのTHF可溶分のMw/Mnが2未満の場合には、一般に得られるポリエステル樹脂は、分子量自体が小さくなることから、前述の分子量が小さい場合と同様に耐久による高温オフセット現像、長期保存安定性の低下、現像器内でのトナーの融着及びキャリアスペントが生じ易くなり、更に、トナーの帯電量のばらつきが生じ易い。
【0043】
ポリエステル樹脂、もしくはトナーのTHF可溶分のMw/Mnが10を超える場合には、耐高温オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざる得ないし、更に、仮に顔料の分散の程度をコントロールできたとしても、画像部での表面滑性が低下してしまい、色再現性が低下し易くなってしまう。
【0044】
また、本発明において、ポリエステル樹脂は、THF不溶分を0.1〜10質量%含有していることが好ましく、更には0.5〜8質量%含有しているのが良い。トナーとしては、THF不溶分を0.2〜18質量%、より好ましくは0.6〜16質量%含有していることが良い。
【0045】
本願発明においては、ポリエステル樹脂とサリチル酸金属化合物とを、他の添加剤と共に溶融混練する際に、ポリエステル樹脂とサリチル酸金属化合物との混練時架橋が生じるため、トナー化した際には、THF不溶分が増加する。
【0046】
更に、本発明に係るポリエステル樹脂は、カルボキシル基を有しており、酸価が5〜60mgKOH/g、より好ましくは7〜50mgKOH/gであるのが良い。ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/g未満の場合には、耐久における帯電量の上昇傾向、所謂チャージアップが発生し、逆にポリエステル樹脂の酸価が60mgKOH/gを超える場合には、高温高湿環境時に耐久を行った際チャージダウンするため好ましくない。
【0047】
本発明に使用するサリチル酸金属化合物を形成する金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属としてMg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn2+,Cu2+が挙げられる。2価の金属としては、Zn2+,Ca2+,Mg2+,Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+,Cr3+,Fe3+,Ni3+が挙げられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+,Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
【0048】
本発明においては、サリチル酸金属化合物として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましい。
【0049】
サリチル酸金属化合物は、例えば、サリチル酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
【0050】
サリチル酸金属化合物は、トナーの質量基準で0.1〜10質量%(より好ましくは0.5〜9質量%)使用すると、トナーの帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすく、結果的にカブリや画像濃度の低下の如き画像品質の低下がなく好ましい。
【0051】
次に本発明において用いられるヒンダードフェノールとは、水酸基に対して少なくともオルト位に置換基を有するフェノール性化合物をいう。
【0052】
本発明に使用することのできるヒンダードフェノールとしては、例えば、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、4−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、プロピルガレード、4,4′−メチレンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、4−ハイドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチル、オクタデシル−3−(4−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル(4−ハイドロキシ−3−メチル−5−t−ブチル)ベンジルマロネート、6−(4−ハイドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2,6−ジフェル−4−オクタデカノキシフェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2′−ジハイドロキシ−3,3′−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ハイドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェノール)イソシアヌレート、1,1,3′−トリス(2−メチル−4−ハイドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルベンジル)4−メチルフェノール、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシハイドロシンナメート)、ヘキサメチレングルコールビス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが挙げられる。
【0053】
この中でも特に4−t−ブチルカテコール、2,5−t−ブチルハイドロキノンが好ましい。
【0054】
ヒンダードフェノールは、トナーの質量基準で20〜400ppm、好ましくは50〜380ppm含有されていることが良い。
【0055】
ヒンダードフェノールの含有量がトナーの質量基準で20ppm未満の場合には、ポリエステル樹脂合成時における重合抑制作用やトナー表面及び有機光導電性半導体の酸化抑制作用が発現しない。
【0056】
一方、本発明の如きカルボキシル基を有するポリエステル樹脂とサリチル酸金属化合物の混練時架橋(緩いイオン結合)を利用した構成のトナーの場合、ヒンダードフェノールの含有量がトナーの質量基準で400ppmを超える場合には、例えば、図1に示した本発明に係るトナーの貯蔵弾性率曲線において、温度100乃至200℃の領域に明確な極小値を有さなくなり、高温サイドにおいても温度の上昇とともにトナーの貯蔵弾性率が低下することとなる。
【0057】
これは、ヒンダードフェノールの含有量がトナーの質量基準で400ppmを超えることにより、ポリエステル樹脂の分子骨格とサリチル酸金属化合物との緩いイオン結合が阻害されるためと考えられる。そして、結果的に耐高温オフセット性に劣り、定着可能温度領域が狭くなると共にトナーの長期保存性が著しく低下する。また、フルカラートナー用として使用した場合、着色剤や荷電制御剤の分散が低下し、よってトナーの透光性が低下し、帯電量の変化が生じ易くなる。
【0058】
上述の如く、本発明のトナーに含有されるヒンダードフェノールの量を制御することが重要である。それと同時に、該トナーに含有されるサリチル酸金属化合物の含有量との比においても、ある適正な範囲を逸脱すると、不具合を生じやすい。
【0059】
トナーに含まれるヒンダードフェノールの含有量をH(質量部)、サリチル酸金属化合物の含有量をS(質量部)としたとき、HとSとは、好ましくは下記関係
S:H×104 =1:5〜1:4000
を満たすことが良い。
【0060】
トナーに含まれるヒンダードフェノールの含有量(H)と該サリチル酸金属化合物の含有量(S)との比が、S:H×104 =1:5未満の場合、ポリエステル樹脂合成時における重合抑制作用やトナー表面及び有機光導電性半導体の酸化抑制作用が十分に得られにくい。
【0061】
逆に、トナーに含まれるヒンダードフェノールの含有量(H)と該サリチル酸金属化合物の含有量(S)との比がS:H×104 =1:4000を超える場合、耐高温オフセット性に劣る様になりやすく、定着可能温度領域が狭くなると共に、トナーの長期保存性が低下してしまいやすい。
【0062】
着色剤としては、顔料及び/または染料を用いることができる。例えば染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6が挙げられる。
【0063】
顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGがある。
【0064】
また、フルカラー用トナーとして使用する場合には、マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
【0065】
上記顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレット9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料が挙げられる。
【0066】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、又は、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0067】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83,C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。
【0068】
着色剤の使用量は結着樹脂100質量部に対して、1〜15質量部、好ましくは3〜12質量部、さらに好ましくは4〜10質量部含有していることが良い。
【0069】
着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下し易くなり、更にはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる。
【0070】
着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度の高品位画像が得られ難い。
【0071】
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナー粒子は磁性体を含み、磁性体は着色剤としての機能も有する。磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0072】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3 O4 )、三二酸化鉄(γ−Fe3 O3 )、酸化鉄亜鉛(ZnFe3 O4 )、酸化鉄イットリウム(Y3 Fe5 O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2 O4 )、酸化鉄ガドリニウム(Gd3 Fe5 O12)、酸化鉄銅(CuFe2 O4 )、酸化鉄鉛(PbFe1 2 O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2 O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2 O3 )、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2 O4 )、酸化マンガン(MnFe2 O4 )、酸化鉄ランタン(LaFeO3 )、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組み合わせて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0073】
これらの磁性体は個数平均粒径が0.1〜2μm(より好ましくは0.1〜0.5μm)で、796kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性が抗磁力1.59〜11.9kA/m(20〜150エルステッド)、飽和磁化50〜200emu/g(好ましくは50〜100emu/g)、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
【0074】
結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部使用するのが良い。
【0075】
本発明において、必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させてもかまわない。
【0076】
離型剤としては次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類の一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類、ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類、ソルビトールの如き多価アルコール類、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジビン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、また、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0077】
特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族系アルコールワックス、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。
【0078】
脂肪族炭化水素系ワックスとしては、アルキレンを高圧下でのラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいは、これらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。更に、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスを分別したものがより好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンの如きアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特に一酸化炭素及び水素から合成されたワックスが分子量分布が狭く、好ましいものである。
【0079】
ワックスの分子量分布では、分子量400〜2400の領域に(好ましくは450〜2000、特に好ましくは500〜1600の領域に)メインピークが存在することが良い。このような分子量分布を有するワックスは、トナーに好ましい熱特性を持たせることができる。
【0080】
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。
【0081】
離型剤は、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させられる。
【0082】
トナー粒子には、流動性向上剤が外添されていることが画質向上のために好ましい。
【0083】
流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。
【0084】
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末の如きシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が挙げられる。
【0085】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が30cm2 /g以上、好ましくは50m2 /g以上のものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部を使用するのが良い。
【0086】
トナー粒子は結着樹脂、着色剤、サリチル酸金属化合物及びその他の任意成分の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより所定の平均粒径のトナー粒子を生成することができる。
【0087】
ヒンダードフェノールの添加方法は特に限定されないが、結着樹脂の合成中に樹脂中に含有させることが好ましい。また、他の成分と同時に、混合時にヒンダーフェノールを添加することも好ましい方法である。
【0088】
さらに、流動性向上剤とトナー粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得ることができる。
【0089】
本発明においては、トナーの重量平均粒径(D4 )は、3.0乃至15.0μm、好ましくは4.0乃至12.0μmが良い。
【0090】
トナーの重量平均粒径(D4 )が3.0μm未満の場合には、帯電安定化が達成しづらくなり、耐久において、カブリやトナー飛散が発生しやすくなる。
【0091】
トナーの重量平均粒径(D4 )が15.0μmを超える場合には、ハーフトーン部の再現性が大きく低下し、得られた画像はガサついた画像になってしまう。
【0092】
さらに、本発明のトナーは、体積平均粒径(Dv )が2.5μm乃至6.0μmであることが、より高画質画像の形成のために好ましい。
【0093】
トナーの体積平均粒径(Dv )が2.5μm未満の場合には、トナーの帯電安定性が低下し、6.0μmを超える場合には、画質が粗くなる傾向にある。
【0094】
次に、本発明のトナーを適用し、電子写真法によりフルカラー画像を形成する方法を図3を参照しながら説明する。
【0095】
図3は、電子写真法によりフルカラーの画像を形成するための画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図3の画像形成装置は、フルカラー複写機又はフルカラープリンタとして使用される。フルカラー複写機の場合には、図3に示すように、上部にデジタルカラー画像リーダ部、下部にデジタルカラー画像プリンタ部を有する。
【0096】
画像リーダ部において、原稿30を原稿台ガラス31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することにより、原稿30からの反射光像をレンズ33によりフルカラーセンサ34に集光し、カラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は、増幅回路(図示せず)を経てビデオ処理ユニット(図示せず)にて処理を施され、デジタル画像プリンタ部に送出される。
【0097】
画像プリンタ部において、像担持体である感光ドラム1は、たとえば有機光導電体を有する感光層を有し、矢印方向に回転自在に担持されている。感光ドラム1の回りには、前露光ランプ11、コロナ帯電器2、レーザ露光光学系3、電位センサ12、色の異なる4個の現像器4Y、4C、4M、4B、ドラム上光量検知手段13、転写装置5およびクリーニング器6が配置されている。
【0098】
レーザ露光光学系において、リーダ部からの画像信号は、レーザ出力部(図示せず)にてイメージスキャン露光の光信号に変換され、変換されたレーザ光がポリゴンミラー3aで反射され、レンズ3bおよびミラー3cを介して、感光ドラム1の面上に投影される。
【0099】
プリンタ部は、画像形成時、感光ドラム1を矢印方向に回転させ、前露光ランプ11で除電した後に感光ドラム1を帯電器2により一様にマイナス帯電させて、各分解色ごとに光像Eを照射し、感光ドラム1上に静電荷像を形成する。
【0100】
次に、所定の現像器を作動させて感光ドラム1上の静電荷像を現像し、感光ドラム1上にトナーによるトナー画像を形成する。現像器4Y、4C、4M、4Bは、それぞれの偏心カム24Y、24C、24M、24Bの動作により、各分解色に応じて択一的に感光ドラム1に接近して、現像を行う。
【0101】
転写装置は、転写ドラム5a、転写帯電器5b、記録材を静電吸着するための吸着帯電器5cおよびこれと対向する吸着ローラ5g、そして内側帯電器5d、外側帯電器5e、分解帯電器5hを有している。転写ドラム5aは、回転駆動可能に軸支され、その周面の開口域に転写材を担持する転写材担持体である転写シート5fが、円筒上に一体的に調節されている。転写シート5fにはポリカーボネートフィルムの如き樹脂フィルムが使用される。
【0102】
転写材はカセット7a、7bまたは7cから転写シート搬送系を通って転写ドラム5aに搬送され、転写ドラム5a上に担持される。転写ドラム5a上に担持された転写材は、転写ドラム5aの回転にともない感光ドラム1と対向した転写位置に繰り返し搬送され、転写位置を通貨する過程で転写帯電器5bの作用により、転写材上に感光ドラム1上のトナー画像が転写される。この際、転写されずに感光ドラム1上に残ったトナーは、クリーニング装置6にて除去される。
【0103】
トナー画像は、感光体から直接転写材へ転写されても良く、また、感光体上のトナー画像を中間転写体へ転写し、中間転写体からトナー画像を転写材へ転写しても良い。
【0104】
上記の画像形成工程を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)について繰り返し、転写ドラム5上の転写材上に4色のトナー画像を重ねたカラー画像が得られる。
【0105】
このようにして4色のトナー画像が転写された転写材は、分離爪8a、分離押上げコロ8bおよび分離帯電器5hの作用により、転写ドラム5aから分離して加熱加圧定着器9に送られ、そこで加熱加圧定着することによりトナーの混色、発色および転写材への固定が行われて、フルカラーの定着画像とされたのちトレイ10に排紙され、フルカラー画像の形成が終了する。
【0106】
このとき、加熱加圧定着器9での定着動作速度は、本体のプロセススピード(例えば160mm/sec)より遅い(例えば90mm/sec)で行われる。これは、トナーが二層から四層積層された未定着画像を溶融混色させる場合、十分な加熱量をトナーに与えなければならないためで、現像速度より遅い速度で定着を行うことによりトナーに対する加熱量を多くしている。
【0107】
図4において、定着手段である定着ローラー39は、例えば厚さ5mmのアルミ製の芯金41上に厚さ2mmのRTV(室温加硫型)シリコーンゴム層42、この外側に厚さ50μmのフッ素ゴム層68、この外側にHTV(高温加硫型)シリコーンゴム層43を有し、直径60mmを有している。
【0108】
一方、加圧手段である加圧ローラー40は、例えば厚さ5mmのアルミ芯金44の上に厚さ2mmのRTVシリコーンゴム層45、この外側に厚さ50μmのフッ素ゴム層69、この外側に厚さ230μmのHTVシリコーンゴム層70を有し、直径60mmを有している。
【0109】
上記定着ローラー39には発熱手段であるハロゲンヒータ46が配置され、加圧ローラー40には同じくハロゲンヒータ47が芯金内に配設されて両面からの加熱を行っている。定着ローラー39及び加圧ローラー40に当接されたサーミスタ48a及び48bにより定着ローラー39及び加圧ローラーの温度が検知され、この検知温度に基づき制御装置49a及び49bによりハロゲンヒータ46及び47がそれぞれ制御され、定着ローラー39の温度及び加圧ローラー40の温度が共に一定の温度(例えば、160℃±10℃で保つように制御される。定着ローラー39と加圧ローラー40は加圧機構(図示せず)によって総圧約40kgで加圧されている。
【0110】
図4においてOは離型剤塗布手段たるオイル塗布装置、Cはクリーニング装置、C1は加圧ローラーに付着したオイル及び汚れを除去するためのクリーニングブレードである。オイル塗布装置Oはオイルパン50内のジメチルシリコーンオイル51(例えば、信越化学製KF96 300cSt)を、オイル汲み上げローラー52及びオイル塗布ローラー53を経由してオイル塗布量調節ブレード54でオイル塗布量を規制して定着ローラー39上に塗布させる。
【0111】
クリーニング装置Cはノーメックス(商品名)より成る不織布ウェブ56を押圧ローラー55にて定着ローラー39に押し当ててクリーニングしている。該ウェブ56は巻き取り装置(図示せず)により適宜巻き取られ、定着ローラー39との当接部にトナー等が堆積しないようにされている。
【0112】
本発明のトナーは、低温定着性及び耐高温オフセット性に優れているので離型剤の塗布量を少なくすることが可能であり、また、クリーニング装置の汚れ量も少ない。
【0113】
本発明のトナーのトナー像は、定着ローラの表面温度150℃±30℃の温度条件で加熱加圧定着するのが良い。
【0114】
上記の画像形成プロセスによって、本発明のトナーを少なくとも有するカラートナー画像が記録材シートに定着されることによって記録シートに形成されたカラー画像が得られる。
【0115】
結着樹脂及びトナー粒子における各物性の測定方法を以下に説明する。
【0116】
(1)ヒンダードフェノール含有率の測定
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)によるヒンダードフェノール含有率の定量は以下の方法で行う。
【0117】
試料の熱分解にはTRACE2000シリーズ(Thermo Quest社製)を用い、キャピラリーカラムにはRtx−5MSを使用した。
【0118】
また、質量分析にはVOYAGER(Thermo Quest社製)を用いた。
【0119】
定量したいヒンダードフェノール0.5mgを100mlのメタノールに溶解させた試料溶液および該試料を10倍希釈した試料溶液を調製し、両溶液1.0μlを以下の昇温速度で熱分解させることにより得られたスペクトルから検量線を作成する。
【0120】
〈昇温速度〉
50℃:1分間保持
50℃〜70℃:2℃/分
70℃〜150℃:5℃/分
150℃〜250℃:10℃/分
【0121】
トナー1.0gを20mlのクロロホルム溶液に溶解させ、次いで20mlのメタノール溶液をゆっくりと滴下させながら十分に溶解させた後に1日間静置し、トナー中に含まれる他の材料を沈殿させた上澄み液1.0μlを熱分解させる。
【0122】
検出された試料固有のスペクトルと、予め作成した検量線からトナー中に含まれるヒンダードフェノールの含有率を算出する。
【0123】
(2)トナーの貯蔵弾性率の測定
粘弾性測定装置(レオメーター)RDA−II型(レオメトリックス社製)を用いて、下記の条件で、60〜210℃の温度範囲における貯蔵弾性率G′の測定を行う。
・測定治具:弾性率が高い場合には直径7.9mmのフラットな円形プレートを使用し、弾性率が低い場合には直径40mmのフラットな円形プレートを使用する。アクチュエーター(actuator)側には円形プレートに対応するシャローカップを使用する。シャローカップの底面と円形プレートの間隙は約2mmである。
・測定試料:トナーを加熱、溶融後に、直径約8mm,高さ2mmの円柱状試料、又は直径約40mm,高さ約2mmの円盤状試料に成型して使用する。
・測定周波数:6.28ラジアン/秒
・測定歪の設定:初期値を0.1%に設定した後、自動測定モードにて測定を行う。
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整する。
・測定温度:60〜210℃まで毎分2℃の割合で昇温する。
【0124】
(3)GPCにより分子量の測定
ゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0125】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102 ,2.1×103 ,4×103 ,1.75×104 ,5.1×104 ,1.1×105 ,3.9×105 ,8.6×105 ,2×106 ,4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0126】
カラムとしては、103 〜2×106 の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103 ,104 ,105 の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
【0127】
(4)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差熱分析測定装置(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0128】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0129】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0130】
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0131】
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0132】
(5)トナー粒子又はトナーの粒度分布の測定
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体積分布から求めた重量基準のトナー粒子又はトナーの重量平均粒径(D4 )及び体積平均粒径(Dv )(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0133】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。尚、各チャンネルはその上限値を含まない。
【0134】
(6)テトラヒドロフラン(THF)不溶成分の定量
樹脂もしくはトナー2gを精秤(TW1 )して円筒濾紙(例えば、東洋濾紙社製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、THFは200ml用いる。約120℃に温度調整されたオイルバスを用いて10時間還流する。THFに可溶な成分(W1 )はTHFを濃縮、乾固した後に60℃で24時間真空乾燥することにより定量できる。トナーのTHF不溶成分(W2 )を定量する場合は、着色剤(磁性体)等の結着樹脂以外のTHF不溶成分(TW2 )から下記式により算出される。
【0135】
【外3】
【0136】
(7)酸価(JIS酸価)の測定
サンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解する。溶解性がわるいようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1mol/lカ性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量からつぎの計算で酸価を求める。
【0137】
酸価=KOH(ml数)×N×5.61/試料重量
(ただしNは0.1mol/lKOHのファクター)
【0138】
【実施例】
以下、結着樹脂とトナーの製造例および本発明のトナーの実施例について述べるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0139】
(樹脂製造例1)
【0140】
【外4】
(x+yの平均値=2.1)で表されるジオール成分 10mol%
・フマル酸 10mol%
【0141】
ヒンダードフェノールである4−t−ブチルカテコール(化合物Iとする)の存在下において、上記モノマーと重縮合させて数平均分子量(Mn)が850の線状プレポリマーを生成した。
【0142】
次いで、線状プレポリマーと下記モノマーとを混合して重縮合を行って非線状のポリエステル樹脂No.1を得た。
【0143】
4−t−ブチルカテコールは、全モノマー成分100質量部当り0.02質量部となる様に存在させた。
【0144】
【外5】
(x+yの平均値=2.3)で表されるジオール成分 37mol%
・フマル酸 27mol%
・テレフタル酸 11mol%
・トリメリット酸 1mol%
【0145】
得られた非線状のポリエステル樹脂No.1は、Tgが58℃であり、THF不溶分の含有量が7質量%であり、THF可溶成分のGPCにおいて、Mnが3100であり、Mwが10850であり、Mw/Mnが3.5であった。該ポリエステル樹脂の酸価は15mgKOH/gであり、カルボキシル基を含有していることがIRにより確認された。
【0146】
(樹脂製造例2)
【0147】
【外6】
(x+yの平均値=3.0)で表されるジオール成分 51mol%
・フマル酸 21mol%
・テレフタル酸 11mol%
・トリメリット酸 9mol%
【0148】
4−t−ブチルカテコールの存在下において、上記モノマーと重縮合させて非線状のポリエステル樹脂No.8を得た。
【0149】
4−t−ブチルカテコールは、全モノマー成分100質量部当り0.1質量部となる様に存在させた。
【0150】
得られた非線状のポリエステル樹脂No.8は、Tgが56℃であり、THF不溶分の含有量が10質量%であり、THF可溶成分のGPCにおいて、Mnが4500であり、Mwが47250であり、Mw/Mnが10.5であった。該ポリエステル樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、カルボキシル基を含有していることが確認された。
【0151】
(樹脂製造例3)
【0152】
【外7】
(x+yの平均値=2.1)で表されるジオール成分 38mol%
・フマル酸 39mol%
・テレフタル酸 11mol%
・トリメリット酸 1mol%
【0153】
4−t−ブチルカテコールの存在下において、上記モノマーと重縮合させて非線状のポリエステル樹脂No.9を得た。
【0154】
4−t−ブチルカテコールは、全モノマー成分100質量部当り0.2質量部となる様に存在させた。
【0155】
得られた非線状のポリエステル樹脂No.9は、Tgが56℃であり、THF不溶分の含有量が5質量%であり、THF可溶成分のGPCにおいて、Mnが1250であり、Mwが8370であり、Mw/Mnが6.7であった。該ポリエステル樹脂の酸価は13mgKOH/gであり、カルボキシル基を含有していることが確認された。
【0156】
〈実施例1〉
・結着樹脂:ポリエステル樹脂No.1 100質量部
・荷電制御剤:ジ−tert−ブチルサリチル酸Al化合物 6質量部
・顔料:銅フタロシアニン 5質量部
【0157】
上記材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、二軸式押出し機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を多分割分級装置で分級して微粉及び粗粉を同時に厳密に除去して、重量平均粒径7.8μmのシアンカラートナー粒子を得た。
【0158】
一方、トナー粒子に、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した一次粒子径50nmの酸化チタン微粒子を1.5質量%外添混合し、シアントナー1を製造した。シアントナー1の各物性を表1に示す。
【0159】
シアントナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径50μm)とを、トナー濃度が6質量%になる様に混合し、二成分系シアン現像剤1とした。
【0160】
上記二成分シアン現像剤を市販の普通紙フルカラー複写機(カラーレーザー複写機CLC700、キヤノン製)に導入して、単色モードで常温常湿環境下(23℃,60%)、低温低湿環境下(10℃,10%)、高温高湿環境下(30℃,90%)で2万枚の耐久画像試験を行った。
【0161】
該試験結果を表2に示す。
【0162】
尚、評価項目は以下の通りである。
【0163】
画像濃度の測定は、複写機の現像コントラスト電位差が低温低湿環境下(10℃,10%)では、350V、常温常湿環境下(23℃,60%)では300V、高温高湿環境下(30℃,90%)では250Vとなる様に設定して画出しを行い、得られた画像に対して、「マクベス反射濃度計(マクベス社)」を用いて測定することにより行った。
【0164】
カブリは、「リフレクトメーター」(東京電色社製)により測定した複写画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差からカブリ濃度(%)を算出して評価した。
【0165】
トナー飛散は、2万枚耐久試験後の機内状態を目視にて判定した。
【0166】
トナー飛散の評価基準を以下に示す。
A:機内に全く飛散していない
B:機内にほんの僅かに飛散している
C:機内に若干の飛散が見られる
D:機内にかなり飛散している
【0167】
また、フルカラー複写機による評価とは別に、定着機のみを本体から取り出し、外部駆動部及び温度制御機能を付与し、200mm/secの速度で定着試験を行うとともに、サンプルトナーを30℃,90%にて3ケ月放置することにより、長期保存性を評価した。該評価としては目視による凝集性のレベルを判定した。
【0168】
トナー凝集性評価基準を以下に示す。
A:凝集体が全く見られなく流動性が非常に良い
B:凝集体が全く見られない
C:若干の凝集体は見られるがすぐにほぐれる
D:現像剤撹拌装置で凝集体がほぐれる
E:現像剤撹拌装置では凝集体が十分にほぐれない
【0169】
該試験結果を表3に示す。
【0170】
〈実施例2〉
ポリエステル樹脂の合成時に添加する4−t−ブチルカテコールの量を0.04質量部に増やす以外はポリエステル樹脂No.1と同様にして製造したポリエステル樹脂No.2を使用する以外は、実施例1と同様にしてシアントナー2及び現像剤2を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0171】
〈実施例3〉
ポリエステル樹脂の合成時に添加する4−t−ブチルカテコールの量を0.005質量部に減らす以外はポリエステル樹脂No.1と同様にして製造したポリエステル樹脂No.3を使用する以外は、実施例1と同様にしてシアントナー3及び現像剤3を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0172】
〈実施例4〉
ジ−tert−ブチルサリチル酸Al化合物の添加量が異なる以外は、実施例2と同様にしてシアントナー7及び現像剤7を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0173】
〈実施例5〉
ジ−tert−ブチルサリチル酸Al化合物の添加量が異なる以外は、実施例2と同様にしてシアントナー8及び現像剤8を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0174】
〈実施例6〉
ポリエステル樹脂の合成時に添加した4−t−ブチルカテコールに代えて2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン(化合物IIとする)を使用した以外は、ポリエステル樹脂No.1と同様にして製造したポリエステル樹脂No.6を使用し、かつ、ジ−tert−ブチルサリチル酸Al化合物に替えてジ−tert−ブチルサリチル酸Cr化合物を4質量部添加する以外は、実施例1と同様にしてシアントナー9及び現像剤9を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0175】
〈実施例7〉
樹脂合成時に4−t−ブチルカテコールを添加しない以外は、ポリエステル樹脂No.1と同様にして製造したポリエステル樹脂No.10を使用し、該4−t−ブチルカテコールを結着樹脂、荷電制御剤、顔料とともに予備混合する以外は、実施例1と同様にしてシアントナー15及び現像剤15を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0176】
〈実施例8〉
4−t−ブチルカテコールを含有したポリエステル樹脂No.1を用いて、更に4−t−ブチルカテコールを、結着樹脂、荷電制御剤及び顔料の予備混合の際に添加する以外は、実施例1と同様にしてシアントナー16及び現像剤16を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0177】
〈比較例1〉
ポリエステル樹脂No.1の合成時に添加する4−t−ブチルカテコールの量を0.05質量部に増やす以外は同様にして製造したポリエステル樹脂No.4を使用する以外は、実施例1と同様にしてシアントナー4及び現像剤4を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0178】
ポリエステル樹脂合成時に添加する4−t−ブチルカテコールの量が多く、トナー中の含有量が多過ぎる為、本発明の如きカルボキシル基を有するポリエステル樹脂とサリチル酸金属化合物との混練時架橋(緩いイオン結合)が阻害されてしまい高温オフセットが発生した。また得られたトナーの長期保存性の尺度となるトナー凝集も多く見られた。
【0179】
〈比較例2〉
ポリエステル樹脂No.1の合成時に添加する4−t−ブチルカテコールの量を0.002質量部に減らす以外は同様にして製造したポリエステル樹脂No.5を使用する以外は、実施例1と同様にしてシアントナー5及び現像剤5を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0180】
ポリエステル樹脂合成時に添加するヒンダードフェノールの量が少なく、トナー中の含有量が不足していた為、特に高温高湿環境下における耐久試験時において帯電量が低下し、カブリとトナーの機内飛散が見られた。
【0181】
〈比較例3〉
ジ−tert−ブチルサリチル酸Al化合物の添加量が異なる以外は実施例2と同様にして、シアントナー6及び現像剤6を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0182】
ジ−tert−ブチルサリチル酸Al化合物の添加量が少ない為、溶融混練時のポリエステル樹脂とAl化合物とのイオン架橋構造の形成が不十分となり、高温オフセットが発生し、トナーの長期保存性に劣る様になった。また耐久試験におけるトナーの帯電量が安定しないために、カブリ及び機内飛散の如き不具合を生じた。
【0183】
〈比較例4〉
ポリエステル樹脂合成時に添加した4−t−ブチルカテコールの代替としてアミン系酸化防止剤であるフェニル−α−ナフチルアミン(化合物IIIとする)を使用する以外はポリエステル樹脂No.1と同様にして製造したポリエステル樹脂No.7を使用する以外は、実施例4と同様にしてシアントナー10及び現像剤10を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0184】
〈比較例5〉
荷電制御剤を全く使用しない以外は実施例6と同様にして得られたシアントナー11及び現像剤11を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0185】
溶融混練される際のイオン架橋構造が形成されていないために、高温オフセットを生じ、またトナーの長期保存性に劣る結果であった。更に、耐久試験においては、トナーの帯電量が安定しないために、カブリ及び機内飛散の如き不具合を生じた。
【0186】
〈比較例6〉
ジ−tert−ブチルサリチル酸Cr化合物の添加量を増量して使用した以外は実施例6と同様にしてシアントナー12及び現像剤12を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0187】
ジ−tert−ブチルサリチル酸Cr化合物の添加量が多いために、耐久試験においてキャリア側にトナースペントが発生し、帯電量が不安定になり、結果的にカブリとトナーの機内飛散が発生した。
【0188】
〈比較例7〉
樹脂製造例2で製造したポリエステル樹脂No.8を使用し、かつジ−tert−ブチルサリチル酸Cr化合物の添加量が異なる以外は実施例6と同様にしてシアントナー13及び現像剤13を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0189】
〈比較例8〉
樹脂製造例3で製造したポリエステル樹脂No.9を使用し、かつジ−tert−ブチルサリチル酸Cr化合物の添加量が異なる以外は実施例6と同様にしてシアントナー14及び現像剤14を調製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1乃至3に示す。
【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
【0192】
【表3】
【0193】
【発明の効果】
本発明によれば、耐性オフセット性と定着性に優れ、長期間の放置後でも放置前と同様な現像性を有するトナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの貯蔵弾性率曲線の一例を示す図である。
【図2】従来のトナーの貯蔵弾性率曲線の一例を示す図である。
【図3】本発明のトナーを用いる画像形成装置の一例を示す概略的断面図である。
【図4】加熱加圧定着手段の一例を示す概略的説明図である。
Claims (47)
- 少なくともカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤、トナーの質量基準で0.1〜10質量%のサリチル酸金属化合物及びトナーの質量基準で20〜400ppmのヒンダードフェノールを含有することを特徴とするトナー。
- 該トナーが、貯蔵弾性率曲線において、100乃至200℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該トナーが、貯蔵弾性率曲線において、110乃至170℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該トナーは、ガラス転移温度が50乃至67℃であり、貯蔵弾性率曲線において、100乃至200℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布において、数平均分子量(Mn)が1500乃至10000、重量平均分子量(Mw)が6000乃至100000であり、その比Mw/Mnが2乃至10であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーは、サリチル酸金属化合物をトナーの質量基準で、0.5〜9質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 該サリチル酸金属化合物が、サリチル酸アルミニウム化合物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 該サリチル酸金属化合物が、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属化合物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 該サリチル酸金属化合物が、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 該ヒンダードフェノールが、カテコール系のヒンダードフェノールであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該ヒンダードフェノールが、ハイドロキノン系のヒンダードフェノールであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該ヒンダードフェノールが、4−tert−ブチルカテコール又は2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- ヒンダードフェノールの含有量が、トナーの質量基準で50〜380ppmであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
- トナーが、ヒンダードフェノールの含有量をH、サリチル酸金属化合物の含有量をSとしたとき、S:104×H=1:5〜1:4000を満足することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー。
- ヒンダードフェノールの存在下で合成され、ヒンダードフェノールを含有しているカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤及びサリチル酸金属化合物を少なくとも有する混合物を溶融混練して混練物を得る混練工程;混練物を冷却する冷却工程;及び冷却された混練物を粉砕してトナー粒子を得る粉砕工程;を有するトナーの製造方法であり、
該トナーは、トナー粒子を有しており、トナーの質量基準で0.1〜10質量%のサリチル酸金属化合物及びトナーの質量基準で20〜400ppmのヒンダードフェノールを含有していることを特徴とするトナーの製造方法。 - 該トナー粒子が、粉砕工程で粉砕された粉砕物を分級して得られたものであることを特徴とする請求項15に記載のトナーの製造方法。
- 該混合物が、ヒンダードフェノールを含有しているカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤及びサリチル酸金属化合物の他に、更にヒンダードフェノールを含有していることを特徴とする請求項15又は16に記載のトナーの製造方法。
- 該混合物が、ヒンダードフェノールをトナーの質量基準で20〜400ppm含有していることを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、貯蔵弾性率曲線において、100乃至200℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、貯蔵弾性率曲線において、110乃至170℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーは、ガラス転移温度が50乃至67℃であり、貯蔵弾性率曲線において、100乃至200℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布において、数平均分子量(Mn)が1500乃至10000、重量平均分子量(Mw)が6000乃至100000であり、その比Mw/Mnが2乃至10であることを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、サリチル酸金属化合物をトナーの質量基準で、0.5〜9質量%含有していることを特徴とする請求項15乃至22のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該サリチル酸金属化合物が、サリチル酸アルミニウム化合物であることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該サリチル酸金属化合物が、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属化合物であることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該サリチル酸金属化合物が、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物であることを特徴とする請求項15乃至23のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該ヒンダードフェノールが、カテコール系のヒンダードフェノールであることを特徴とする請求項15乃至26のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該ヒンダードフェノールが、ハイドロキノン系のヒンダードフェノールであることを特徴とする請求項15乃至26のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該ヒンダードフェノールが、4−tert−ブチルカテコール又は2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンであることを特徴とする請求項15乃至26のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、ヒンダードフェノールを50〜380ppm含有していることを特徴とする請求項15乃至29のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、ヒンダードフェノールの含有量をH、サリチル酸金属化合物の含有量をSとしたとき、S:104×H=1:5〜1:4000を満足することを特徴とする請求項15乃至30のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 少なくともヒンダードフェノール、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、着色剤及びサリチル酸金属化合物を有する混合物を溶融混練して混練物を得る混練工程;混練物を冷却する冷却工程;及び冷却された混練物を粉砕してトナー粒子を得る粉砕工程;を有するトナーの製造方法であり、
該トナーは、トナー粒子を有しており、トナーの質量基準で0.1〜10質量%のサリチル酸金属化合物及びトナーの質量基準で20〜400ppmのヒンダードフェノールを含有していることを特徴とするトナーの製造方法。 - 該トナー粒子が、粉砕工程で粉砕された粉砕物を分級して得られたものであることを特徴とする請求項32に記載のトナーの製造方法。
- 該混合物が、ヒンダードフェノールをトナーの質量基準で20〜400ppm含有していることを特徴とする請求項32又は33に記載のトナーの製造方法。
- 該トナーは、貯蔵弾性率曲線において、100乃至200℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項32乃至34のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーは、貯蔵弾性率曲線において、110乃至170℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項32乃至34のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーは、ガラス転移温度が50乃至67℃であり、貯蔵弾性率曲線において、100乃至200℃の領域に極小値(G'min)を有することを特徴とする請求項32乃至34のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布において、数平均分子量(Mn)が1500乃至10000、重量平均分子量(Mw)が6000乃至100000であり、その比Mw/Mnが2乃至10であることを特徴とする請求項32乃至37のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、サリチル酸金属化合物をトナーの質量基準で、0.5〜9質量%含有していることを特徴とする請求項32乃至38のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該サリチル酸金属化合物が、サリチル酸アルミニウム化合物であることを特徴とする請求項32乃至39のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該サリチル酸金属化合物が、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属化合物であることを特徴とする請求項32乃至39のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該サリチル酸金属化合物が、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物であることを特徴とする請求項32乃至39のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該ヒンダードフェノールが、カテコール系のヒンダードフェノールであることを特徴とする請求項32乃至42のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該ヒンダードフェノールが、ハイドロキノン系のヒンダードフェノールであることを特徴とする請求項32乃至42のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ヒンダードフェノールが、4−tert−ブチルカテコール又は2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンであることを特徴とする請求項32乃至42のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、ヒンダードフェノールを50〜380ppm含有しているあることを特徴とする請求項32乃至45のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 該トナーが、ヒンダードフェノールの含有量をH、サリチル酸金属化合物の含有量をSとしたとき、S:104×H=1:5〜1:4000を満足するあることを特徴とする請求項32乃至46のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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