JP3779890B2 - 接触燃焼式ガスセンサユニット及びガス警報装置 - Google Patents

接触燃焼式ガスセンサユニット及びガス警報装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接触燃焼式ガスセンサユニット及びガス警報装置に関し、より詳細には、被検ガス中の被検物質に感応する検知素子と前記被検ガス中の被検物質に感応しない比較素子とを有する接触燃焼式ガスセンサに対する通電を制御する通電制御手段を備える接触燃焼式ガスセンサユニット、及び、該接触燃焼式ガスセンサユニットを備えるガス警報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガス漏れ警報器は、測定環境への燃料ガス、可燃ガスの漏出を検出し、警報を行うものであり、家庭用、業務用を問わず厨房や居室などで広く用いられている。このようなガス漏れ警報器としては、検出方法の違いにより、接触燃焼式ガスセンサ、および、酸化錫(SnO2)を主剤とする半導体式素子を備えた半導体式ガス漏れ警報器に大別される。
【0003】
ここで、図6は従来の接触燃焼式ガスセンサを示す図であり、この接触燃焼式ガスセンサ(以降、ガスセンサという)1は、燃焼排気ガス中の被検物質に感応する検知素子11aを有している。この検知素子11aは、図7の検知素子の構成説明図に示すように、抵抗線として機能する白金線の中央部にコイル形状部11を形成し、このコイル形状部11を、例えば、酸化アルミニウム、パラジウム等の適宜の燃焼触媒を含有させた担体で覆って球状に形成している。
【0004】
ガスセンサ1はさらに、温度等周囲環境による測定値への影響を排除するための比較素子11bを有しており、この比較素子11bは、燃焼触媒を有しない他は検知素子11aと同様に構成されている。これら素子の白金線は、センサ基台14を貫通する一対のピン12a、12bに接続され、これら素子からの出力値は、センサ基台14の裏面側から突出したピン12a、12bの先端部に接続されるリード線16を介してセンサハウジング外へ出力される。
【0005】
ここで、図8は接触燃焼式ガスセンサの一般的な回路を示す図である。図8に示すように、検知素子11aと比較素子11bとは、抵抗ブリッジ回路に組み込まれている。また、ガスセンサ1には、検知素子11a及び比較素子11bが互いに干渉しないようにこれらの間に干渉防止板13が設けられ、これらは金網15b及びカバー15a及びセンサ基台14から構成されるセンサハウジング内に収納されて保護されている。
【0006】
金網15bは、例えばSUS100meshの2重金網によって筒形状に形成されていて、周壁及び頂壁を有している。この周壁及び頂壁には、金網の微小の網目孔である微小連通孔が穿設されている。被検ガスが金網15bに当たると、被検ガスが金網15bの微小連通孔から染み込むようにして金網15b内部に入り込み、入り込むときの被検ガスの流速は殆どない状態になる。
【0007】
センサ基台14の表面には立設されたカバー15aと、金網15bの周壁との間には空間層が形成されている。カバー15aの上端部にはフランジが形成され、フランジの先端部が、内方(金網15b側)に延在され、金網15bの周壁の上端に接触している。それにより、空間層は、閉じられた空間になり、熱遮断効果を奏するようになる。そして、カバー15aは、ガスセンサ1が横向きの状態で被検ガスの流路に設置された場合に、被検ガスの流れに対して直交して対峙するようになる。
【0008】
そして、上述した構成において、検知素子11a及び比較素子11bはリード線16、ピン12a、12bを介しての通電により所定の温度(例えば、約200℃など)に加熱された状態で、燃焼動作により発生した排気ガスである被検ガスが検知素子11aに接触すると、触媒による接触燃焼反応生じ、この反応により検知素子11aの温度が上昇して電気抵抗が大きくなり、接触燃焼反応を起こさない比較素子11bとの抵抗バランスが崩れ、この抵抗バランスの崩れに応じてガスセンサ1の抵抗ブリッジ回路から取り出される電圧の変化が生じ、その変化に基づいて被検物質の濃度が検出される。
【0009】
このような接触燃焼式センサ素子を用いるガスセンサ1は、本来、雑ガス滞留が生じやすく、使用環境が過酷な業務用の厨房でも耐えられるガスセンサとして使用されているが、長期の使用の結果、半導体式ガス漏れ警報器と同様、感度低下が生じる。そのため、このガスセンサ1に生ガスを直接吹きかけて正常に動作するか否かを点検するようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した点検のとき、ガスセンサ1に長時間に渡って生ガスが噴射されてしまうと、ガスセンサ1が故障してしまい、そのベース出力が戻らないという問題が生じていた。これは検知素子11aが過剰燃焼することによって特性が変化したり、ガスセンサ1内部のガス濃度が燃焼限界濃度を超えた場合、不完全燃焼を起こすことによってセンサ素子にカーボンが付着し、センサ抵抗値の低下が生じることによって起こるものと考えられる。
【0011】
この問題を解決する案としては、ガスセンサ1への生ガスの噴射時間を制限することで対応することも考えられるが、点検結果の精度を考慮すると噴射時間を減少させるのは困難である。さらに、生ガスの噴射は作業者等によって行われるため、全ての作業者等に噴射時間を厳守させることも困難である。
【0012】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、過剰燃焼や不完全燃焼によるセンサ素子の故障を防止する接触燃焼式ガスセンサユニット及びガス警報装置を提供することを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の接触燃焼式ガスセンサユニットは、被検ガス中の被検物質に感応する検知素子11aと前記被検ガス中の被検物質に感応しない比較素子11bとを有する接触燃焼式ガスセンサに対する通電を制御する通電制御手段31aを備える接触燃焼式ガスセンサユニットにおいて、前記接触燃焼式ガスセンサに対する通電を停止する条件を示す停止条件情報を記憶する停止条件情報記憶手段32aと、前記停止条件情報記憶手段32aが記憶している前記停止条件情報に基づいて、前記検知素子11aと前記比較素子11bとの熱的バランスを示すセンサ出力が前記停止条件を満たしているか否かを判定する停止条件判定手段31bと、をさらに備え、前記通電制御手段31aは、前記停止条件判定手段31bが前記停止条件を満たしていると判定すると前記通電を停止させ、その後所定時間が経過すると前記通電を再開させることを特徴とする。
【0014】
上記請求項1に記載した本発明の接触燃焼式ガスセンサユニットによれば、停止条件情報記憶手段32aが記憶している停止条件情報に基づいて、センサ出力が停止条件を満たしているか否かが停止条件判定手段31bによって判定される。そして、停止条件判定手段31bによってセンサ出力が停止条件を満たしていると判定されると、通電制御手段31aによって接触燃焼式ガスセンサに対する通電が停止され、その後所定時間が経過すると通電が再開される。よって、接触燃焼式ガスセンサの故障を防ぐべきセンサ出力に応じた停止条件を設定しておき、センサ出力が停止条件を満たしたときに、接触燃焼式ガスセンサに対する通電を停止させているので、センサ素子が過剰燃焼又は不完全燃焼を起こすことを防止することができる。また、所定時間が経過すると通電を再開するので、接触燃焼式ガスセンサの動作で問題となることもない。従って、過剰燃焼や不完全燃焼によるセンサ素子の故障を防止することができるため、接触燃焼式ガスセンサの耐久性を向上させることができる。
【0015】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項2記載のガス警報装置は、請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサユニットと、前記接触燃焼式ガスセンサユニットから出力される前記センサ出力が警報状態であるか否かを判定するための警報閾値情報を記憶する警報閾値情報記憶手段32bと、前記警報閾値情報記憶手段32bが記憶している前記警報閾値情報に基づいて、前記センサ出力が前記警報状態であるか否かを判定する警報判定手段31cと、前記警報判定手段31cが前記警報状態であると判定すると、警報手段40に警報を行わせる制御を行う警報制御手段31dと、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記請求項2に記載した本発明のガス警報装置によれば、警報閾値情報記憶手段32bが記憶している警報閾値情報に基づいて、接触燃焼式ガスセンサユニットからのセンサ出力が警報状態であるか否かが警報判定手段31cによって判定される。そして、警報判定手段31cによって警報状態であると判定されると、警報制御手段31dは警報手段40に警報を行わせる。よって、接触燃焼式ガスセンサユニットからのセンサ出力が警報状態であると、警報手段40によって警報が行われ、センサ出力が停止条件を満たすと接触燃焼式ガスセンサに対する通電を停止させているので、ガス警報装置の点検で接触燃焼式ガスセンサに生ガスが長時間に渡って噴射されても、センサ素子が過剰燃焼や不完全燃焼を起こすことはない。従って、過剰燃焼や不完全燃焼によるセンサ素子の故障を防止することができるとともに、ガス警報装置の点検を正確に行うことができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項2に記載のガスセンサにおいて、前記警報制御手段31dは、前記警報手段40に前記警報を行わせているときに、前記通電制御手段31aによって前記通電が停止されても前記警報を継続させることを特徴とする。
【0018】
上記請求項3に記載した本発明のガス警報装置によれば、警報手段40にて警報が行われているときに、通電制御手段31aによって接触燃焼式ガスセンサに対する通電が停止されても、警報手段40は警報を継続するように警報制御手段31dによって制御される。よって、ガス警報装置の点検で接触燃焼式ガスセンサに生ガスが長時間に渡って噴射されて通電が停止されても、警報は継続して行われるので、この通電停止に伴って点検中に警報状態にあるにも係わらず警報が停止してしまうことを防止することができる。従って、ガス警報装置が警報状態中に警報が停止されないため、より一層正確に点検を行うことができる。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項3に記載のガスセンサにおいて、前記前記通電制御手段31aによって前記接触燃焼式ガスセンサに対する前記通電が停止されている間、及び、前記通電が再開されて前記センサ出力が過渡状態の間、前記警報判定手段31cは前記警報状態の判定を行わないことを特徴とする。
【0020】
上記請求項4に記載した本発明のガス警報装置によれば、通電制御手段31aによって接触燃焼式ガスセンサに対する通電が停止されている間、及び、通電が再開されて前記センサ出力が過渡状態の間は警報判定手段31cによって警報状態の判定は行われない。よって、接触燃焼式ガスセンサに対する通電が停止している間、及び、通電が再開されてセンサ出力が過渡状態の間は警報状態の判定を行わないので、過渡状態のセンサ出力を検出して警報状態であるにも係わらず警報状態が解除されたと認識してしまうことを防止することができる。従って、接触燃焼式ガスセンサに対する通電の停止に応じた警報状態の誤検出を回避することができるので、より一層正確に点検を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る接触燃焼式ガスセンサを備えるガス警報装置の一実施の形態を、図2〜図5の図面を参照して説明する。なお、従来の技術のところで説明したものと同一あるいは相当する部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0022】
ここで、図2は本発明に係るガス警報装置の概略構成を示す構成図であり、図3は図2のROMのメモリマップの一例を示す図であり、図4は図2のCPUが行う処理概要の一例を示すフローチャートであり、図5は図2のガス警報装置の動作を説明するための図である。
【0023】
図2において、本発明に係るガス警報装置は、従来の技術で説明した接触燃焼式センサを構成する抵抗ブリッジ回路に組み込まれた検知素子11aと比較素子11bに通電を行うセンサ駆動部10と、検知素子11aと比較素子11bとの熱的バランスを示すセンサ出力を出力するセンサ出力部20と、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロコンピュータ(μCOM)30と、警報ブザー、表示装置を用いることができる警報部40と、を有して構成している。
【0024】
μCOM30の出力ポートにはセンサ駆動部10及び警報部40、入力ポートにはセンサ出力部20をそれぞれ接続している。そして、μCOM30からの指示に応じて、センサ駆動部10は接触燃焼式ガスセンサの駆動/停止を制御し、警報部40は警報を行う。また、μCOM30はA/D変換されてセンサ出力部20が出力したセンサ出力に基づいて、ガスが警報状態であるか否かの判定を行う。
【0025】
μCOM30は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)31、CPU31のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM32、各種のデータを格納するとともにCPU31の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM33等を有して構成している。
【0026】
ROM32は、接触燃焼式ガスセンサ(検知素子11a及び比較素子11b)に対する通電を停止する条件を示す停止条件情報、センサ出力部20が出力したセンサ出力が警報状態であるか否かを判定するための警報閾値情報等を格納する格納エリアを有する。
【0027】
停止条件情報は、接触燃焼式ガスセンサに対する通電をセンサ駆動部10に停止させる条件、つまり、接触燃焼式ガスセンサの故障を防ぐべきセンサ出力に応じた停止条件を示したものであり、本実施の形態では、センサ出力に対する閾値を示す停止閾値を有する停止条件情報として構成しているが、本発明はこれに限定するものではなく、さらに異常センサ出力の継続時間を追加するなど種々異なる構成とすることができる。
【0028】
ここで、停止閾値の設定方法の一例を説明する。
例えば、複数の接触燃焼式ガスセンサに対して通電試験を行った結果、警報すべきガス濃度に達したときのセンサ出力(ガス漏れ検知出力)は、約10〜25[mv]となった。そして、生ガス噴射時のセンサ出力の最高は、約250〜300[mv]となり、接触燃焼式ガスセンサへの影響が少なく済む限界値(センサ影響出力)は、約130〜160[mv]であった。そして、生ガスが噴射された状態で通電が開始されて所定時間(例えば、10秒など)が経過したときのセンサ出力の過渡応答の上限(過渡応答出力)は、約40〜60[mv]であった。
【0029】
この場合、接触燃焼式ガスセンサに対する通電をOFFするセンサ出力の停止する停止閾値は、以下の条件1〜条件3を満たす必要がする。
条件1: ガス漏れ検知出力 < 停止閾値
条件2: 過渡応答出力 < 停止閾値
条件3: センサ影響出力 > 停止閾値
【0030】
本実施の形態では、条件2と条件3とに基づいて、過渡応答出力よりも大きく、かつ、センサ影響出力よりも大きい範囲内となるように、停止閾値(例えば、100[mv])を設定している。つまり、警報閾値情報が示す警報閾値よりも大きな値として停止閾値を設定している。そうすることで、過渡状態のセンサ出力を検出して警報状態であるにも係わらず警報状態が解除されたと認識してしまうことを防止することができる。
【0031】
次に、上述した構成におけるガス警報装置の処理概要の一例を、CPU31が行う本発明に係る処理に着目し、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
電源部(図示せず)からの電力の供給によってCPU31が起動されると、RAM33の作業エリアなどの初期化が初期処理によって実行され、センサ駆動部10がON状態に変更されることで、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電が開始される。
【0033】
その後、センサ出力部20からセンサ出力がRAM33に読み取られ(ステップS1)、ROM32の警報閾値情報に基づいて、読み取ったセンサ出力が警報閾値よりも大きいか否かを判定することで、センサ出力が警報状態であるか否かが判定される(ステップS2)。センサ出力は警報閾値以下である、つまり、センサ出力は警報状態ではないと判定されると(ステップS2でN)、ステップS3において、警報部40がOFF状態に変更され、その後ステップS1に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0034】
一方、ステップS2でセンサ出力は警報閾値よりも大きい、つまり、センサ出力は警報状態であると判定されると(ステップS2でY)、警報部40がON状態に変更されることで、警報部40にて警報音、警報表示などによる警報が行われる(ステップS4)。そして、ステップS5において、センサ出力部20から新たなセンサ出力がRAM33に読み取られ、その後ステップS6に進む。
【0035】
ステップS6において、ROM32の停止条件情報に基づいて、読み取ったセンサ出力が停止閾値よりも大きいか否かを判定することで、センサ出力が接触燃焼式ガスセンサに対する通電を停止する停止条件を満たしているか否かが判定される。センサ出力は停止閾値以下である、つまり、停止条件を満たしていないと判定された場合は(ステップS6でN)、ステップS1に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0036】
一方、ステップS6でセンサ出力は停止閾値より大きい、つまり、停止条件を満たしていると判定された場合は(ステップS6でY)、ステップS7において、センサ駆動部10がON状態からOFF状態に変更されることで、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電が停止され、その後ステップS8に進む。
【0037】
ステップS8において、所定時間(例えば、10秒など)が経過するとタイムアウトするタイマなどを用いて所定時間が経過したときに、センサ駆動部10がOFF状態からON状態に変更されることで、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電が再開され、その後ステップS9に進む。
【0038】
ステップS9において、ステップS8と同様に、タイマなどを用いて一定時間(例えば、10秒など)が経過するまで待機状態となり、所定時間が経過するとステップS5に戻り、新たなセンサ出力が読み取られて、一連の処理が繰り返される。このステップS9の処理によって、検知素子11a及び比較素子11b(接触燃焼式ガスセンサ)に対する通電再開時に、過渡電圧を検出して警報を停止させることを防止している。
【0039】
なお、本実施の形態では、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電の停止から再開までの所定時間と、センサ出力に対する警報状態の判定を再開するまでの一定時間とに、同一の設定値を設定しているが、異なる設定値としても差し支えない。
【0040】
上述したように、ステップS7及びS8によって検知素子11a及び比較素子11bに対する通電を制御していることから、ステップS7及びS8が通電制御手段に相当し、ステップS6によってセンサ出力が停止条件を満たしているか否かを判定していることから、ステップS6が停止条件判定手段に相当し、ステップS2によってセンサ出力が警報状態であるか否かを判定していることから、ステップS2が警報判定手段に相当し、ステップS3及びS4によって警報部40を制御していることから、ステップS3及びS4が警報制御手段に相当する。
【0041】
従って、本実施の形態では、CPU31が通電制御手段、停止条件判定手段、警報判定手段、並びに警報制御手段として機能している。また、ROM32に停止条件情報及び警報閾値情報を記憶していることから、ROM32が停止条件情報記憶手段及び警報閾値情報記憶手段として機能している。
【0042】
次に、上述した構成による本実施の形態の動作(作用)の一例を、図5の図面を参照して説明する。
【0043】
ここで、図5の(a)はセンサ出力と経過時間、(b)は通電状態と経過コンピュータ時間の関係をそれぞれ示したグラフであり、縦軸が電圧、横軸が時間を示している。また、図5(a)中のSは停止閾値、Cは警報閾値をそれぞれ示している。
【0044】
まず、時間t0において、検知素子11a及び比較素子11b(接触燃焼式ガスセンサ)に対して生ガスが作業者等によって吹き付けられる。そして、時間t1において、センサ出力が警報閾値Cよりも大きくなったことが検出されると(ステップS2でY)、警報部40にて警報が行われる(ステップS4)。
【0045】
その後、センサ出力の監視が継続され、時間t2において、センサ出力が停止閾値Sよりも大きくなったことが検出されると(ステップS6でY)、センサ駆動部10の通電状態がON状態からOFF状態に遷移する、つまり、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電が停止される(ステップS7)。
【0046】
そして、所定時間が経過して時間t3に到達すると、センサ駆動部10の通電状態がOFF状態からON状態に遷移する、つまり、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電が再開される(ステップS8)。そして、一定時間が経過しても、この時点ではまだ生ガスが噴射されているため、警報閾値Cを越えたセンサ出力が検出されるので、警報部40における警報は継続され、センサ出力の監視が開始される。
【0047】
その後も生ガスが噴射されているためセンサ出力はさらに上昇し、時間t4においてセンサ出力が停止閾値Sよりも再度大きくなったことが検出されると(ステップS6でY)、センサ駆動部10の通電状態がON状態からOFF状態に遷移する、つまり、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電が停止される(ステップS7)。
【0048】
そして、時間t5において生ガスの噴射が停止され、時間t6においてセンサ駆動部10の通電状態がOFF状態からON状態に遷移して、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電が再開され(ステップS8)、さらに一定時間が経過すると、センサ出力の監視が開始される。そして、生ガスの噴射は既に停止されているのでガス濃度も薄れ、時間t7においてセンサ出力が警報閾値C以下となったことが検出されると(ステップS2でN)、警報部40にて行われていた警報が停止される(ステップS3)。
【0049】
以上説明したように、ROM(停止条件情報記憶手段)32aが記憶している停止条件情報に基づいて、センサ出力が停止条件を満たしているか否かがCPU(停止条件判定手段)31によって判定される。そして、CPU(停止条件判定手段)31によってセンサ出力が停止条件を満たしていると判定されると、CPU(通電制御手段)31によって検知素子11a及び比較素子11b(接触燃焼式ガスセンサ)に対する通電が停止され、その後所定時間が経過すると通電が再開される。
【0050】
よって、検知素子11a及び比較素子11b(接触燃焼式ガスセンサ)の故障を防ぐべきセンサ出力に応じた停止条件を設定しておき、センサ出力が停止条件を満たしたときに、検知素子11a及び比較素子11bに対する通電を停止させているので、センサ素子が過剰燃焼や不完全燃焼を起こすことを防止することができる。また、所定時間が経過すると通電を再開するので、検知素子11a及び比較素子11bの動作で問題となることもない。従って、過剰燃焼や不完全燃焼によるセンサ素子の故障を防止することができるため、接触燃焼式ガスセンサの耐久性を向上させることができる。
【0051】
また、センサ出力が警報状態であると、警報部(警報手段)40によって警報が行われ、センサ出力が停止条件を満たすと検知素子11a及び比較素子11b(接触燃焼式ガスセンサ)に対する通電を停止させているので、ガス警報装置の点検で検知素子11a及び比較素子11bに生ガスが長時間に渡って噴射されても、センサ素子が過剰燃焼や不完全燃焼を起こすことはない。従って、過剰燃焼や不完全燃焼によるセンサ素子の故障を防止することができるとともに、ガス警報装置の点検を正確に行うことができる。
【0052】
さらに、ガス警報装置の点検で検知素子11a及び比較素子11b(接触燃焼式ガスセンサ)に生ガスが長時間に渡って噴射されて通電が停止されても、警報は継続して行われるので、この通電停止に伴って点検中に警報状態にあるにも係わらず警報が停止してしまうことを防止することができる。
【0053】
また、検知素子11a及び比較素子11b(接触燃焼式ガスセンサ)に対する通電が停止している間、及び、通電が再開されてセンサ出力が過渡状態の間は警報状態の判定を行わないので、過渡状態のセンサ出力を検出して警報状態であるにも係わらず警報状態が解除されたと認識してしまうことを防止することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の接触燃焼式ガスセンサユニットによれば、接触燃焼式ガスセンサの故障を防ぐべきセンサ出力に応じた停止条件を設定しておき、センサ出力が停止条件を満たしたときに、接触燃焼式ガスセンサに対する通電を停止させているので、センサ素子が過剰燃焼や不完全燃焼を起こすことを防止することができる。また、所定時間が経過すると通電を再開するので、接触燃焼式ガスセンサの動作で問題となることもない。従って、過剰燃焼や不完全燃焼によるセンサ素子の故障を防止することができるため、接触燃焼式ガスセンサの耐久性を向上させることができるという効果を奏する。
【0055】
以上説明したように請求項2に記載した本発明のガス警報装置によれば、接触燃焼式ガスセンサユニットからのセンサ出力が警報状態であると、警報手段によって警報が行われ、センサ出力が停止条件を満たすと接触燃焼式ガスセンサに対する通電を停止させているので、ガス警報装置の点検で接触燃焼式ガスセンサに生ガスが長時間に渡って噴射されても、センサ素子が過剰燃焼や不完全燃焼を起こすことはない。従って、過剰燃焼や不完全燃焼によるセンサ素子の故障を防止することができるとともに、ガス警報装置の点検を正確に行うことができるという効果を奏する。
【0056】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、ガス警報装置の点検で接触燃焼式ガスセンサに生ガスが長時間に渡って噴射されて通電が停止されても、警報は継続して行われるので、この通電停止に伴って点検中に警報状態にあるにも係わらず警報が停止してしまうことを防止することができる。従って、ガス警報装置が警報状態中に警報が停止されないため、より一層正確に点検を行うことができるという効果を奏する。
【0057】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、接触燃焼式ガスセンサに対する通電が停止している間、及び、通電が再開されてセンサ出力が過渡状態の間は警報状態の判定を行わないので、過渡状態のセンサ出力を検出して警報状態であるにも係わらず警報状態が解除されたと認識してしまうことを防止することができる。従って、接触燃焼式ガスセンサに対する通電の停止に応じた警報状態の誤検出を回避することができるので、より一層正確に点検を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス警報装置の基本構成を示す図である。
【図2】本発明に係るガス警報装置の概略構成を示す構成図である。
【図3】図2のROMのメモリマップの一例を示す図である。
【図4】図2のCPUが行う処理概要の一例を示すフローチャートである。
【図5】図2のガス警報装置の動作を説明するための図である。
【図6】接触燃焼式ガスセンサを説明するための図である。
【図7】図6の検知素子の構成説明図である。
【図8】接触燃焼式ガスセンサの一般的な回路を示す図である。
【符号の説明】
11a 検知素子
11b 比較素子
31a 通電制御手段(CPU)
31b 停止条件判定手段(CPU)
31c 警報判定手段(CPU)
31d 警報制御手段(CPU)
32a 停止条件情報記憶手段(ROM)
32b 警報閾値情報記憶手段(ROM)
40 警報手段(警報部)

Claims (4)

  1. 被検ガス中の被検物質に感応する検知素子と前記被検ガス中の被検物質に感応しない比較素子とを有する接触燃焼式ガスセンサに対する通電を制御する通電制御手段を備える接触燃焼式ガスセンサユニットにおいて、
    前記接触燃焼式ガスセンサに対する通電を停止する条件を示す停止条件情報を記憶する停止条件情報記憶手段と、
    前記停止条件情報記憶手段が記憶している前記停止条件情報に基づいて、前記検知素子と前記比較素子との熱的バランスを示すセンサ出力が前記停止条件を満たしているか否かを判定する停止条件判定手段と、
    をさらに備え、
    前記通電制御手段は、前記停止条件判定手段が前記停止条件を満たしていると判定すると前記通電を停止させ、その後所定時間が経過すると前記通電を再開させる
    ことを特徴とする接触燃焼式ガスセンサユニット。
  2. 請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサユニットと、
    前記接触燃焼式ガスセンサユニットから出力される前記センサ出力が警報状態であるか否かを判定するための警報閾値情報を記憶する警報閾値情報記憶手段と、
    前記警報閾値情報記憶手段が記憶している前記警報閾値情報に基づいて、前記センサ出力が前記警報状態であるか否かを判定する警報判定手段と、
    前記警報判定手段が前記警報状態であると判定すると、警報手段に警報を行わせる制御を行う警報制御手段と、
    を備えることを特徴とするガス警報装置。
  3. 前記警報制御手段は、前記警報手段に前記警報を行わせているときに、前記通電制御手段によって前記通電が停止されても前記警報を継続させる
    ことを特徴とする請求項2に記載のガス警報装置。
  4. 前記前記通電制御手段によって前記接触燃焼式ガスセンサに対する前記通電が停止されている間、及び、前記通電が再開されて前記センサ出力が過渡状態の間、前記警報判定手段は前記警報状態の判定を行わない
    ことを特徴とする請求項3に記載のガス警報装置。
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