JP3779496B2 - 薄肉扁平ブローボトル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄肉扁平ボトル、とくに胴部を補強した薄肉扁平ブローボトルに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近年、プラスチック成形材料の節減とともに再利用が奨励され、廃棄ボトルの押潰し回収ということからもボトルの薄肉化が求められるようになっており、手で簡単に押潰して廃棄することができる薄肉ボトルも周知となっている。
【0003】
しかしながら、従来の薄肉ボトルは、例えばPPの場合、単位容量あたりの樹脂重量は0.065g/mlであったが、さらに成形材料を節減し押潰しを容易にするため、樹脂重量を0.05g/ml以下、さらに極薄肉ボトルとして0.03g/ml以下とすると、胴部を補強しなければボトルとしての保形性を保つことが困難になるという問題があった。
【0004】
さらに内容物の加温充填後の冷却工程において、減圧によって胴部が変形するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、押潰しが簡単にできるように壁面を極薄肉としたブローボトルにおいて、ボトル胴部を補強して一定の剛性と減圧強度とを維持させるようにした薄肉扁平ブローボトルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、薄肉扁平ブローボトルとして、口部と肩部、胴部および底部とからなる薄肉扁平ボトルであって、胴部は、横断面を扁平形状とした前後壁面と、該前後壁面に交差する左右の側壁面とからなっており、前後壁面には、その両面または片面に、横方向に延びる複数列の円弧状の凹部が上下に等間隔に配設され、該凹部によって、壁面を上下方向に波形に湾曲する波面としたことを特徴とする構成を採用する。
【0007】
上記構成に付加して、胴部の前後壁面の横断面が、扁平楕円状、または扁平角形状であり、側壁面が、前後壁面の両端を切裁し、前後壁面に交差して上下に延びる平面によって形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
前後壁面に横方向に延びるよう配設されている円弧状の凹部が偶数列であることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
薄肉ボトルとして、ボトルの基材樹脂としてPEまたはPPが用いられ、単位容量あたり樹脂重量が0.05g/ml〜0.015g/mlの合成樹脂をもって成形されていることを特徴とする構成を採用する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1,2において、Aはダイレクトブローによって成形された薄肉のブローボトルで、口部1、肩部2、胴部3および底部4とからなっており、基材樹脂としてPE、PP、その他の合成樹脂が用いられ、単層または積層としてブロー成形されている。
【0011】
口部1は、上部口筒部5と口部の中間部に位置する把持リング6とその下方から肩部に続く下部口筒部7とからなっている。
上部口筒部5の外周面にはネジ8が螺設され、把持リング6の外周面には前後部分または全周にわたってローレット9が刻設されている。
下部口筒部7は、該下部口筒部7に手指を入れボトルを把持できるだけの高さを有しており肩部2に続いている。
【0012】
口部1は、肩部2、胴部3と比較して肉厚となつているが、それでも従来のものと比較して薄肉となっているので、把持リング6を口部の中間部に形成し、その外周面にローレット9を設けることによって、口部1を強化するとともに、ボトルの搬送時にボトルが妄動しないようにボトルを保持し、キャップ締着時にボトルが廻動しないようにしている。
把持リング6の下方に一定高さの下部口筒部7が設けられているので、把持リング6と肩壁2との間の下部口筒部7に手指を差し入れ、ボトルAを把持することもでき、使用時にキャップを簡単に開閉できるようにしている。
【0013】
肩部2と胴部3の間には、段部10が形成され、図3,4に示すように、肩部2及び胴部3の断面形状は、前後を楕円面とし、両側を平面とした扁平断面11となっている。
胴部3は、前面12aと後面12bとからなる前後壁面12と左右の側壁面13とからなっており、側壁面13は、前後壁面12の楕円面を切裁する垂直な平面で、その上端は肩部2まで延び、その端縁と前後壁面12の端部との間は細幅の弧状壁14によって接続されている。
【0014】
胴部3の前後壁面12の両面12a,bには、横方向にのびる円弧状の凹部15が上下に等間隔を置いて配設されており、凹部15によって、前後壁面12は上下方向に山と谷が連続する波形に湾曲する壁面すなわち波面となっている。
または、凹部15によって形成される波面を、前面12aまたは後面12bのいずれか一方のみに形成させるようにしてもよい。
凹部15は、偶数個とし前後壁面12の上下方向の中央に波面の山部が位置するようにされている。
【0015】
左右の側壁面13は、弧状壁14と一定の角度をもって交わり、側壁面13の表面には上下方向に等間隔に複数個の円形の補強凹部16が配設されている。
胴部3の下端部には、上部との間に段差を有する膨出周壁17が配設されており、底部4に続いている。
【0016】
図1,2に示すように、底部4は、底周壁18と底壁19とからなっており、底周壁18は、僅かに傾斜した前後壁20と、所定角度に傾斜した左右側壁21とから形成されている。
底周壁18と胴部3の膨出周壁17との接続部には、全周にわたる上横リブ22が設けられており、前後壁20には、一定間隔を置いて複数個の縦リブ23が設けられている。
【0017】
底周壁18の下端部には、全周にわたる下横リブ24が配設され、該下横リブ24の下側には、中央部が上に凹んだ湾曲面25とした底壁19が連続している。
底周壁18は、上下の横リブ22,24と縦リブ23によって補強され、左右側壁21が傾斜して底周壁18下端と底壁19との接続部が肉厚となっているので、底部4はボトルの落下衝撃、座屈に対して強化されている。
【0018】
次に、ボトルAの成形方法について説明すると、本発明のボトルは、従来より周知のダイレクトブロー成形によって成形される。
保形性を保ち、押潰しが簡単にできる薄肉ボトルとして、従来例のものでは0.067g/mlの樹脂重量が使用されていたが、本発明は胴部壁面と底部周壁に補強部を配設することによって、単位容量あたりの樹脂重量を低くし、樹脂重量を0.05〜0.015g/mlとしている。
【0019】
さらに軽量且つ押潰しが簡単にできるようにするため、極薄肉ボトルとして単位容量あたりの樹脂重量を0.03g/ml以下とし、胴部周壁の肉厚を0.3mm以下としている。
一つの実施例では、樹脂重量が0.027g/ml、胴部3の側壁面13の肉厚は0.1〜0.15mmであり、胴部3の前後壁面12で0.15〜0.3mmである。
【0020】
次に、上記構成に基づく作用効果について説明する。
胴部3の前後壁面12は、その前面12aと後面12bの双方、またはいずれか一方に、横方向に延びる凹部15を等間隔に配設し、壁面を上下方向に波形に湾曲する波面としたことによって胴部の剛性、減圧強度が強化されている。
【0021】
そして、凹部を偶数個にしたことによって、胴部の壁面中央に波面の山部が位置するようにしている。
胴部の波面の山部と谷部との間では、山部の方が剛性は強い。
一般にボトルを保持する場合には、胴部の壁面中央を手指で挟持することが多いが、そこに山部があると胴部の変形が抑えられることになる。
また、胴部上下の間に曲げモーメントが加えられると、胴部中央部が変形され易くなるが、中央部が山部となっていると、ボトルの変形を抑えることができる。
【0022】
また、側壁面13を垂直平面とし、前後壁面12の端部の弧状壁14と一定の角度をもって交わるようにしているので、その交点は角部として補強リブと同様の働きをし、胴部3の屈曲強度を増大させている。
【0023】
次に、胴部の前後壁面を波面とし、側壁面を垂直平面すなわちストレート面にしたことによる効果について実験例を示して説明する。
【0024】
〔実験例1〕
PP樹脂を素材として、17.5gの樹脂で600mlのボトル(単位容量あたり樹脂重量、0.0292g/ml)を、口部、肩部、底部の形状を実施形態と同一とし、さらに胴部の側壁面をストレート面として、前後壁面の形状を変えて成形した。
そして、横方向に延びる凹部によって形成され、上下方向に波形に湾曲する波面の有無による胴部の強度を測定した。
その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003779496
【0026】
表1に示す結果から分かるように、胴部の剛性は、前後壁面を波形とすることによって、ストレート面のときより著しく向上しており、減圧強度も強化されている。
【0027】
〔実験例2〕
次に、側壁面を垂直平面すなわちストレート面にしたことによる効果について、胴部壁面を側壁を設けない楕円柱面とした場合と、垂直な側壁面(ストレート面)を設けた場合を比較して胴部の強度を測定すると、表2に示すとおりとなった。
【0028】
【表2】
Figure 0003779496
【0029】
表2に示す結果から分かるように、側壁面をストレート面としたことによって、座屈強度、胴部の剛性、減圧強度が向上していることがわかる。
【0030】
〔実験例3〕
次に、横方向に延びる凹部によって形成され、上下方向に波形に湾曲する波面を両面に有する実験例1に使用したボトルを用い、胴部壁面に配設した凹部の数を変え、胴部中央における剛性を比較したところ次の結果を得た。
【0031】
【表3】
Figure 0003779496
【0032】
この結果からみると、凹部を複数個にした場合、換言すれば胴部中央に波面の山部が位置するようにすると、奇数個の場合と比較して胴部の強度が増加することが確認できた。
【0033】
次に、ボトルの形状を変更した第2実施形態について説明する。
前記第1実施形態では、前後壁面の横断面を楕円とし、左右の側壁面を前後壁面と交差する垂直な平面としたが、胴部の横断面の形状は、前後面が扁平であり、その両端を直線的に切裁する交差面を有するものであればよく、以下第1実施形態との相違点を重点的に、第2実施形態について述べる。
【0034】
図5において、Aaは前記第1実施形態と同様の薄肉の扁平ブローボトルであって、口部30、肩部31、胴部32、底部33とからなっている。
口部30は、第1実施形態と同一であり、その下部口筒部は、肩部31に続いている。
肩部31、胴部32の横断面形状はほぼ同じであり、図6,7に示すように、前後の角部を円弧で結び、その左右両端を切裁した扁平な六角形状としている。
【0035】
図5,7に示すように、胴部32は、中央を円弧34とした前面35aと後面35bとからなる前後壁面35と、左右の側壁面36とからなっている。
前後壁面35の両面35a,b、または前後のいずれかの面には、横方向に延びる円弧状の凹部37が上下方向に等間隔を置いて配設されており、前後壁面35は、凹部37によって第1実施形態と同様な上下方向に波形に湾曲する波面となっている。
左右の側壁面36は、前後壁面35を切裁する垂直な平面で形成されている。
【0036】
底部33は、その横断面の形状は胴部32と同様に、扁平な六角形状であるが、図5,8に示すように、胴部32の前後壁面35に続く中央部38では、ほぼ垂直になっており、側壁面36に続く側部39では一定角度傾斜して、中央部38から側部39にかけて、傾斜角度は連続的に大きくなっている。
側部39が、一定角度傾斜することによって第1実施形態と同様に、底部33が落下衝撃、座屈に対して強化されている。
【0037】
上記第2実施形態のボトルでは、胴部32の前後壁面35を円弧状の凹部37によって波面とし、側壁面36を前後壁面35の両端を切裁して交差する垂直な平面としたことによって、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
前記第2実施形態では、ボトルの断面形状を扁平な六角形状としたが、図9に示すように、横断面形状を扁平な八角形状としてもよい。
すなわち、前後壁面40の横断面は、角部を円弧で接続した三辺からなり、前後壁面40は、円弧状の凹部41によって波面としている。
そして、側壁面42は、前後壁面40の両端を切裁する垂直な平面から形成されている。
波面とした前後壁面40と、該前後壁面40に交差する左右の側壁面42によって、ボトル胴部は、前記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
次に、側壁面の変形実施例について説明する。
前記各実施形態では、左右の側壁面が前後壁面に交差し、扁平ボトルの長径方向に直交する垂直な平面としたが、側壁面が垂直な平面であれば、両側の側壁面が長径方向に対して対称的に若干傾斜するようにしてもよい。
【0040】
両側の側壁面が前後壁面に交差する平面であれば、上下方向に対称的に傾斜を有する平面としてもよい。
また、縦断面の形状が、一つの垂直面に対して三角形となるように配置された二つの平面、或いは台形となるように配置された三つの平面によって、側壁面を形成してもよい。
【0041】
前記各変形実施例では、側壁面を平面によって形成しているが、前後壁面に交差する面であれば、ボトルの短径方向を軸方向とする円、また楕円の所定巾の筒面によって側壁面を形成するようにしてもよい。
上記のいずれの実施例においても、側壁面が前後壁面に交差することによって、前記各実施形態の垂直平面の側壁面と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成されているから、次の効果を奏する。
前後壁面の両面、または片面に上下方向に複数列の円弧状の凹部を配設し、壁面を上下方向に波形に湾曲する波面としたこと、及び側壁面を前後壁面に交差し、上下方向に延びる交差面によって形成したことによって胴部が補強された。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態ブローボトルの一部断面正面図である。
【図2】ボトルの一部断面側面図である。
【図3】ボトルの平面図である。
【図4】ボトル胴部の図2のA−A線における横断面図である。
【図5】第2実施形態ブローボトルの正面図である。
【図6】ボトルの平面図である。
【図7】ボトル胴部の図5のA−A線における横断面図である。
【図8】ボトルの底面図である。
【図9】別実施形態のボトル胴部の横断面図である。
【符号の説明】
A、Aa ブローボトル
1、30 口部
2、31 肩部
3、32 胴部
4、33 底部
11 扁平断面
12、35、40 前後壁面
13、36、42 側壁面
15、37、41 凹部

Claims (4)

  1. 口部と肩部、胴部および底部とからなる薄肉扁平ボトルであって、
    胴部は、横断面を扁平形状とした前後壁面と、該前後壁面に交差する左右の側壁面とからなっており、
    前後壁面には、その両面または片面に、横方向に延びる複数列の円弧状の凹部が上下に等間隔に配設され、
    該凹部によって、壁面を上下方向に波形に湾曲する波面としたことを特徴とする薄肉扁平ブローボトル。
  2. 胴部の前後壁面の横断面が、扁平楕円状、または扁平角形状であり、側壁面が、前後壁面の両端を切裁し、前後壁面に交差して上下に延びる平面によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の薄肉扁平ブローボトル。
  3. ボトルの基材樹脂としてPEまたはPPが用いられ、単位容量あたり樹脂重量が0.05g/ml〜0.015g/mlの合成樹脂をもって成形されていることを特徴とする請求項1、または2記載の薄肉扁平ブローボトル。
  4. 円弧状の凹部が偶数列であることを特徴とする請求項1〜3記載の薄肉扁平ブローボトル。
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