JP3779473B2 - 研磨定盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエハー等のラッピング研磨の際に使用される研磨定盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にシリコンウエハー等のラッピング研磨においては、スラリー状の砥粒を上下一対からなる研磨定盤と被加工物の間に供給し、加工圧力を加えながら定盤の回転運動を利用して研磨材のもつ切刃で被加工物から必要量を取り除き、これにより定盤の持つ平坦度を被加工物に転写する方法が採られている。このような研磨はシリコンウエハーのみならず、硝子,宝石,金属,セラミックスなどの被加工物の表面を平坦にする目的で多く用いられているが、特に最近ではシリコンウエハーはエレクトロニクスの発展に関連して需要は年々増加の傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この研磨定盤は、下型に黒鉛鋳型を用い、上型は一般の砂型にて鋳造凝固させる製造法で製作されている。この場合、黒鉛鋳型面から上型に向かって一方性凝固となり、凝固組織が粗くなり易く不均一な硬度分布になっている。
【0004】
そして研磨定盤に使用される材料は従来球状黒鉛鋳鉄であり、定盤の高硬度化を得るには油焼入れ,焼戻しなどの熱処理を施すことは一般的に行われている。この従来の研磨定盤では、定盤の肉厚により硬度の不均一が発生し、油焼入れ時にマルテンサイト変態の開始と終了に時間差を生じ、この時間差によって定盤が変形する。これを一定の定盤にすべく機械加工した場合には加工寸法に差が発生し、この加工代のアンバランスが定盤内の硬度のバラツキを生じている。このような定盤でシリコンウエハーを研磨した場合は、定盤の硬度バラツキにより定盤自体の偏摩耗,平坦度の劣化が発生するばかりか、シリコンウエハーの歩留まりが大幅に悪化することに繋がる。特に最近では定盤が大型化し改良が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みて成されたもので、高硬度で且つ均一な硬度分布を持つ研磨定盤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明における研磨定盤は、重量比で、C:2.0〜3.5%,Si:2.0〜2.7%,Mn:0.5〜1.0%,Ni:0.2〜0.6%を含み、残部が鉄及び付随的不純物からなる球状黒鉛鋳鉄製の研磨定盤において、前記球状黒鉛鋳鉄に錫を重量比で0.05〜0.3%含有させ、焼入れ・焼戻しの熱処理により組織を焼戻しマルテンサイト組織とし、ビッカース硬度が390以上で且つ硬度バラツキを±20以内にしたものである。錫を含有することにより、焼入れによる定盤をマルテンサイト変態させる開始と終了の時間差を小さくすることができ、熱処理による変形を最小限に抑えることが可能となり、定盤の硬度の均一化が実現した。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を説明する。
まず、実施例の研磨定盤の材料成分(重量%)と熱処理後の定盤素材のそり量及び硬度測定結果を、従来の球状黒鉛鋳鉄製の研磨定盤で比較して表1に示す。尚、表中の試料No.1,2は従来の比較例で、試料No.3〜6は本発明の実施例である。
【0007】
【表1】
【0008】
以下、各組成成分の添加目的並びに組成範囲の限定理由について説明する。
Siは球状化率,鋳造性の向上の為に添加するが、Si2.7%以上になると熱処理によってもフェライトが存在し、硬さが低下する傾向となりHv200以上にすることは困難になる。又、Si2.0%以下では特に鋳造性が悪くなり、定盤として望ましくない引け巣が発生しやすくなる。
【0009】
Mn0.5%以下では、定盤(肉厚40〜60mm)のように肉厚鋳物において中心部になるにしたがって空気冷却の際にフェライトが発生しやすくなり耐摩耗性が悪くなる。一方、1%を超えると粒堺に硬化相が偏折しやすく脆くなるので望ましくない。
【0010】
P及びSは介在物の生成を少なくするため、できるだけ少なくする方が望ましい。介在物は硬く、不規則に存在するのでシリコンウエハに傷を付けやすい。このため、いずれも0.03%以下がよい。0.03%以上になると砥粒よりも大きな介在物(Fe3 ,MnS,MgSなど)が生成するため望ましくない。
【0011】
Mgは黒鉛を球状化するために必要な合金元素で、0.03%以下では球状化率が好ましい範囲(例えば80%以上)になり難くなり、一方、0.07%程度を超えると異形の炭化物が生成しやすくなるので望ましくない。
【0012】
Ni及びCuは、組織を均一にするため、例えば表面から深さ方向に組織を均一にして硬さのバラツキをなくし、特に表面から20mmの領域におけてHv30〜50を保持するのに効果的な元素である。またNiは、熱処理における酸化物生成を防止する効果がある。Ni0.2%以下ではこれらの効果が少なく、又0.6%以上加えてもこれらの効果にそれ程有効でなく、また経済的でもない。一方、CuはNiと同様0.3%以下では均一性に対する効果は少なく、逆にCuを0.7%以上添加すると基地にCu相が析出し、組織が不均一になり耐摩耗性を悪くする傾向がみられる。
【0013】
Snを0.04〜0.24%添加すると、マルテンサイト変態させる開始と終了の時間差を小さくすることができ、定盤を熱処理による変形を最小限に抑えることができる。
【0014】
Moは、Siの添加により脆くなる合金に靭性を付与して合金基地の強度を高めるものであるが、Moを0.3%以下にすると付与される靭性が小さく、2.0%以上にするとMoの化合物発生により靭性が低下する。
【0015】
次に研磨定盤による本実施例と従来とのそり量及び硬度比較結果は表1のとおりであるが、従来品(Snが0.01〜0.02%)ではそり量が18〜19mmと非常に大きく且つ硬度も210〜450Hvとバラツキも大きい。これに対して、本実施例はそり量が2〜4mmで小さく且つ硬度も370〜440Hvとバラツキも小さくなっている。即ち、Snの添加による熱処理により凝固組織が均一化され、且つマルテンサイト変態させる開始と終了の時間差を小さくすることができ(マルテンサイト組織の均一化により硬度の安定化が図れる)、定盤を熱処理による変形を最小限に抑えることができる。この為、従来発生していた硬度不均一でそり量が大きい研磨定盤が改良され、硬度バラツキ・そり量が小の研磨定盤を使用することにより、定盤自体の偏摩耗,平坦度の劣化という課題が解決されると共に、シリコンウエハーの歩留まりが大幅に改善された。
【0016】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、球状黒鉛鋳鉄に錫を重量比で0.05〜0.3%含有させ、焼入れ・焼戻しの熱処理により組織を焼戻しマルテンサイト組織とし、ビッカース硬度が390以上で且つ硬度バラツキを±20以内にした定盤である。錫を含有することにより、焼入れによる定盤をマルテンサイト変態させる開始と終了の時間差を小さくすることができ、熱処理による変形を最小限に抑えることが可能となり、定盤の硬度の略均一化が実現した。
Claims (2)
- 重量比で、C:2.0〜3.5%,Si:2.0〜2.7%,Mn:0.5〜1.0%,Ni:0.2〜0.6%を含み、残部が鉄及び付随的不純物からなる球状黒鉛鋳鉄製の研磨定盤において、前記球状黒鉛鋳鉄に錫を重量比で0.05〜0.3%含有させ、焼入れ・焼戻しの熱処理により、組織を焼戻しマルテンサイト組織としたことを特徴とする研磨定盤。
- ビッカース硬度が390以上で且つ硬度バラツキを±20以内にした請求項1記載の研磨定盤。
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JP17233998A JP3779473B2 (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | 研磨定盤 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP17233998A JP3779473B2 (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | 研磨定盤 |
Publications (2)
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JP2000006012A JP2000006012A (ja) | 2000-01-11 |
JP3779473B2 true JP3779473B2 (ja) | 2006-05-31 |
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ID=15940080
Family Applications (1)
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JP17233998A Expired - Lifetime JP3779473B2 (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | 研磨定盤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3779473B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1998
- 1998-06-19 JP JP17233998A patent/JP3779473B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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