JP3779337B2 - 反射防止膜及び表示装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、外光反射を防止する反射防止膜及びこの反射防止膜を備えた表示装置に関し、特に、少なくとも2層の薄膜よりなる多層反射防止膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、窓ガラス、ショー・ウインドウ、表示装置の表示面等の材質としては、ガラスが用いられる。このガラスは、周囲の光、例えば太陽光や照明光を鏡面反射することがあり、そのため、映り込み現象が生じ、透明性等に支障をきたすことが多い。特に、表示装置の場合には、表示面で鏡面反射が起こると、表示面に表示されるべき映像と周囲から映り込んだ光源や周囲の景観等が重なってしまい、著しい画像劣化を引き起こす。
【0003】
そこで、この反射を防止する方法として、従来、ガラス表面上に単層もしくは多層の光学膜を形成して、光の干渉効果を利用することで外光反射を防止する反射防止膜を形成する方法がある。
【0004】
この反射防止膜として一般的に良く知られているものに、1/4波長膜と呼ばれているものがある。この1/4波長膜について説明すると次のようになる。すなわち、単層の反射防止膜により外光反射を防止する場合には、空気の屈折率をn0 、薄膜の屈折率をn1 、基板の屈折率をn2 、薄膜の膜厚をd、反射を防止しようとする光の波長をλとするとき、以下の無反射条件を満足しなければならない。
【0005】
n1 d=λ/4 …(1)
n1 2 =n0 n2 …(2)
上記関係式(1)、(2)を満足する薄膜は、薄膜の膜厚が反射を防止しようとする光の波長の1/4の厚さになっていることから1/4波長膜と呼ばれている。
【0006】
薄膜が式(1)、(2)を満足した場合には、波長λの光の反射を零にすることができるが、基板としてガラスを用いた場合には、n2 は1.52、空気の屈折率n0 は1.00であるから、薄膜の屈折率n1 は1.23である必要がある。しかしながら、現在知られている中で実用上可能な低屈折率物質はMgF2 であり、それ自体の屈折率は1.38で、上記無反射条件の屈折率(n1 =1.23)より大きいため、単層の低屈折率薄膜のみで外光反射を完全に防止することは不可能であった。
【0007】
そこで、基板上に、基板側の下層とその上に形成される上層の2層からなる多層式反射防止膜を形成して反射を防止することも行われている。この場合、空気の屈折率をn0 、上層の屈折率をn3 、下層の屈折率をn4 、基板の屈折率をn2 、上層の膜厚をd1 、下層の膜厚をd2 、反射を防止しようとする光の波長をλとするとき、以下の無反射条件を満足しなければならない。
【0008】
n3 d1 =λ/4 …(3)
n4 d2 =λ/4 …(4)
n2 n3 2 =n0 n4 2 …(5)
上記関係式(3)、(4)、(5)から、基板がガラス板の場合には、n2 =1.52、n0 =1.00であるから、屈折率の比n4 /n3 が1.23になるように下層と上層の物質を選択すれば、外光反射を防止し得ることがわかる。
【0009】
なお、広帯域で反射を抑制するためには、2層膜ではなく、3層以上の反射防止膜を用いればよいことが知られている。つまり、反射防止膜の膜厚は、光の波長によって決定されるので、理論的には、N層の多層膜とすることによりN個の波長の反射率を低くすることができる。
【0010】
また、従来、2層構造の反射防止膜を用い、下層膜の気孔率を制御することで下層膜の屈折率を制御する方法が特開平3−261047号公報に示されている。さらに、2層構造の反射防止膜に色素を含有させることにより、反射防止膜にフィルター効果を持たせることも提案されている。
上述のように、外光反射を抑制するため、ガラス基板表面に多層構造の反射防止膜を形成することが知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来提案されている多層反射防止膜は、いずれも高屈折率と低屈折率の材料をガラス基板上に積層させた構成となっている。これは、上述のように、特定波長に対する無反射条件を満足させるためには、多層膜の屈折率を所定の値に設定する必要があったためである。しかし、低屈折率材料と高屈折率材料の中で実用可能なものは限定されており、その中から適切な組合せを選択しなければならなかった。高屈折率材料としては、TiO2 ,ZrO2 ,BaO,SnO2 等が知られており、低屈折率材料としては、MgF2 ,SiO2 ,SnO2 等が知られている。そして、これらの材料から適切な選択を考慮する必要があった。
【0012】
また、このように多層膜を異なる材料で形成すると、各層間における密着性が問題となり、膜形成条件等において複雑な制御が必要であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な方法にて多層膜構造の反射防止膜を提供することを目的とする。さらに、このような反射防止膜を表示面に備えた表示装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、光透過性基体上に2層又は3層の薄膜を積層した多層構造の反射防止膜であって、前記薄膜のうち少なくとも1層は、3〜300nmの粒径を有し、400〜700nmの全波長域において吸収を示す顔料を含有することにより屈折率が調整され、それによって、400〜700nmの全波長域において吸収を有し、かつこの吸収を有する波長における反射防止膜の反射率が前記基体の反射率より小さくなっていることを特徴とする反射防止膜が提供される。
【0014】
また、本発明によると、光透過性表示部基体と、この基体上に積層された2層又は3層の薄膜からなる多層構造の反射防止膜とを具備する表示装置であって、前記薄膜のうち少なくとも1層は、3〜300nmの粒径を有し、400〜700nmの全波長域において吸収を示す顔料を含有することにより屈折率が調整され、それによって、400〜700nmの全波長域において吸収を有し、かつこの吸収を有する波長における反射防止膜の反射率が前記基体の反射率より小さくなっていることを特徴とする表示装置が提供される。
【0015】
【作用】
本発明の特徴は、多層構造の反射防止膜の少なくとも1層が色素を含有することにある。色素は一般に特定の波長の光を選択的に吸収する。このような色素を含有した薄膜について詳細に検討したところ次のことが明らかになった。
【0016】
即ち、色素が吸収を有する波長の領域において、薄膜の屈折率は波長が増加するにつれて増加する傾向を示し、その他の領域では減少傾向にあることがわかった。さらに、このような薄膜を用いて多層構造の反射防止膜を形成した場合、屈折率が増加傾向を示している波長の領域つまり色素の吸収領域において反射防止効果が顕著であることが判明した。結果として、この反射防止膜の反射率は色素の吸収領域にほぼ対応した波長領域で低くなる。従って、可視域の全波長域にわたって反射防止効果をもたせようとした場合、反射防止膜は可視域の全波長域で屈折率が増加しなければならず、結果的に可視域の全波長域の光を吸収することが必要である。
【0017】
本発明者らによる検討の結果、波長の増加に伴い屈折率が増加傾向を示すためには、透過率は95%以下でなければならず、また、充分な効果が得られる程度の屈折率の増加を得るためには、90%以下、より好ましくは85%程度とすることが好ましい。
【0018】
このような知見の下に、本発明では、多層構造の反射防止膜に、400〜700nmの全可視光波長域において吸収を有する色素を含有させることにより、可視光の反射を最大限防止することを可能としている。
【0019】
ところで、通常の多層反射防止膜は、低屈折率層と高屈折率層を低屈折率層が外表面となるように交互に積層された構成となっている。本発明の好ましい態様では、高屈折率層に色素を含有させることより、効果的に可視光の反射を防止することが可能である。つまり、前述のように色素の吸収領域で膜の屈折率特性が変化するので、多層反射防止膜における無反射条件を満足するように膜の屈折率を設定することができる。
【0020】
従って、多層反射防止膜における最外層から数えて偶数番目の層の少なくとも1層に色素を含有させることが好ましい。
このように、屈折率の調整は色素の吸収特性にて行うことができるので、多層膜の各層を低屈折率材料と高屈折率材料というように異なる材料で形成する必要がなくなる。従って、多層膜を同質の材料にて形成することが可能であり、そうすることにより各層間での密着性を向上させることが出来る。
【0021】
さらに、屈折率が異なる材料、例えば、低屈折率物質としてSiO2 を用い、高屈折率物質としてTiO2 を用い、かつ、TiO2 層に色素を含有させることにより、さらに反射防止効果を向上させることができる。
【0022】
本発明において、使用可能な薄膜の材質としては、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、TaO5 、Al2 O3 等を挙げることが出来る。多層の薄膜はそれぞれ異なる材質でもよいが、同一の材質でもよい。同一の材質の場合、上述のように各層間での密着性を向上させることが出来る。しかし、この場合、多層構造としての特性を得るためには、各層間で色素の含有を異ならせること、各層間で色素の種類を異ならせること、各層間で色素の含有量を異ならせること、等により、各層間を区別する必要がある。
【0023】
なお、各層間で薄膜の材質を異ならせる場合には、最上層を低屈折率物質により構成することが望ましい。
本発明において、色素としては、カ−ボンブラック、グラファイト等の黒色色素が好ましく使用される。これら以外にも、ほとんど全ての顔料を用いることができる。有機顔料では、例えば、ベンジンエロー、カーミンFB等のアゾ系黄色、赤色顔料、ベリレン、ベリロン、ジオキサジン、チオインジゴ、イソインドリノン、キノフタロン、キナクリドン等の縮合顔料、フタロシアニン系顔料等がある。無機顔料では、チタン白、ベンガラ、黄鉛、コバルトブルーが挙げられる。これらは全可視光波長領域で5%以上、好ましくは10%以上の吸収を有するように組合わせた混合物とすることが必要となる。
【0024】
このように、本発明では、色素は、種々の形で使用可能である。例えば、カ−ボンブラックやグラファイトのように、単独で全可視光波長領域を吸収する色素を使用することも、これら色素と他の色素を組合わせて使用することも可能である。また、500nm又は600nm以下の波長を吸収する黄色系色素又は赤色系色素、ベンジンエロ−、カ−ミンFB等と、500nm以上の波長を吸収する青色系色素、ヘリオゲンブル−EP−7s等を組合わせて用いることも可能である。
【0025】
上述の組合わせに係る顔料としては、その種類の多さから、有機顔料が好ましい。また、膜の透明性からこれらの顔料の粒径は300nm以下が好ましい。一般的に、膜の透明性を得るためには顔料の粒径は波長λの1/2以下つまり可視光の場合は200nm以下である。これは顔料の粒径が大きくなると光散乱を生じ透明性が損なわれる傾向があるからである。本発明では顔料は膜内部に閉じ込められているので顔料と空気の屈折率差に比べ顔料と膜材料の屈折率差は小さくなり、300nmの粒径まで透明性を維持することができる。また、多孔質膜からの溶出を防ぎ、かつ、十分な耐光性を有するためには、顔料の粒径は3nm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、顔料の粒径は5〜200nmである。
本発明の多層反射防止膜が適用される表示装置としては、陰極線管や液晶表示装置等の表示部基体を通して画像を見るものがあげられる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の種々の実施例について説明する。
実施例1
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Aを調製した。
【0027】
ここで、顔料分散液1は、平均粒径が約100nmのカーボンブラック(色素1)を2.4wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させた液である。上記組成Aのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液を得た。
【0028】
(2)上層形成溶液の調製
次に、上層形成溶液として以下の組成の溶液Bを調製した。
上記組成Bのように調製された混合液を約1時間撹拌して反応させ、上層形成用溶液を得た。
【0029】
(3)反射防止膜の形成
まず、上述の下層形成用溶液を屈折率1.52のガラス基板上にディップ法により塗布し、150℃で5分間後乾燥し、厚さ約0.1μmの下層膜を形成した。次いで、上層形成用溶液をこの下層膜上にディップ法により塗布し、180℃の雰囲気で10分間焼成し、膜厚が約0.1μmの上層膜を形成した。この2層反射防止膜の各層の組成は以下に示す通りである。
【0030】
このようにして得た2層反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図1A及び図1Bに示す結果を得た。なお、この反射防止膜の分光反射率の測定は、大塚電子(株)製MCPD−1000を用い、光源としてハロゲンランプを用いて入射角0°で測定し、反射防止膜を形成していない基板の反射率を100%としたパ−セントで表した。
【0031】
また、分光透過率の測定は、ミノルタカメラ製分光測色計CM−1000を用いて行った。試料を白色板の上において分光透過率を測定し、反射防止膜を形成していない基板の値に対する比率の平方根で表した。
【0032】
図1A及び1Bからわかるように、本発明の反射防止膜は、優れた反射防止効果を有している。
実施例2
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Cを調製した。
【0033】
ここで、顔料分散液2は、平均粒径が約100nmの色素1(カーボンブラック)を1.71wt%、色素2としてヘリオゲンブルーEP−7Sを0.34wt%、色素3としてペリレン系バイオレットを0.34wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させた液である。上記組成Cのように調製された混合液を空気中の水で約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0034】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は、以下に示す通りである。
【0035】
このようにして得た2層反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図2A及び図2Bに示す結果を得た。図2A及び図2Bから明らかなように、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0036】
実施例3
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0037】
ここで、顔料分散液3は、それぞれ平均粒径が約100nmの色素2、色素3、さらに色素4としてジオキサジン系バイオレット、色素5としてイソインドリノン系イエローを、それぞれ0.6wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させた液である。上記組成Dのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0038】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液として実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0039】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図3A及び図3Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0040】
実施例4
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0041】
ここで、顔料分散液1は、実施例1と同じものを用いた。上記組成Eのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させることにより、下層形成溶液を得た。
【0042】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0043】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図4A及び図4Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0044】
実施例5
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0045】
ここで、顔料分散液3は、上記実施例3と同じである。上記組成Fのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0046】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層式反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0047】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図5A及び図5Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0048】
実施例6
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0049】
ここで、SnO2 微粒子分散液は約50〜100nmのSnO2 微粒子を2wt%の濃度でIPAに分散させた液である。顔料分散液1は上記実施例1と同じである。上記組成Gのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0050】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層式反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0051】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図6A及び図6Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。また、この反射防止膜は導電性を有し、抵抗値は10×1010Ω/cm2 であった。
【0052】
実施例7
(1)上層形成溶液の調整
上層形成溶液として以下の組成の溶液Hを調整した。
【0053】
ここで、SnO2 微粒子分散液は上記実施例6と同じである。上記組成Hのように調整された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0054】
(2)反射防止膜の形成
下層形成用溶液は実施例6と同様の溶液Gを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0055】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図7A及び図7Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。また、この反射防止膜は導電性を有し、その抵抗値は5×108 Ω/cm2 であった。
【0056】
実施例8
下層形成用溶液として溶液B、中層形成用溶液として溶液A、上層形成用溶液として溶液Bをそれぞれ用い、3層構造の反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。
【0057】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図8A及び図8Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1に比較してより広い領域で優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0058】
実施例9
下層形成用溶液として溶液B、中層形成用溶液として溶液C、上層形成用溶液として溶液Bをそれぞれ用い、3層構造の反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。
【0059】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図9A及び図9Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例2に比較してより広い領域で優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0060】
実施例10
次に、本発明の表示装置の具体例として、陰極線管に適用した例について説明する。
【0061】
図10は、本発明に基づき製造された陰極線管60を示す部分切欠側面図である。この陰極線管60は、内部が排気された気密性のガラス外囲器61を具備している。この外囲器61は、ネック62およびネック62から連続するコーン63を有しているとともに、このコーン63とフリットガラスにより封着されるフェースプレート64を有している。このフェースプレート64の側壁の外周には、防爆のために金属製のテンションバンド65が巻回されている。
【0062】
このネック62内には、電子ビームを放出する電子銃66が配置されている。フェースプレート64の内面には、電子銃66からの電子ビームにより励起されて発光する蛍光体層よりなる蛍光体スクリーン67が設けられている。また、コーン63の外側には、蛍光体スクリーン上を走査するように電子ビームを偏向させる偏向装置(図示せず)が挿着されている。
【0063】
ところで、この陰極線管60のフェースプレート64の外表面には、上述の実施例1〜7の下層形成用溶液と上層形成用溶液を塗布することにより、本発明の2層構造の反射防止膜68が形成されている。
【0064】
上記実施例1では、下層形成用溶液と上層形成用溶液をディップ法により塗布しているが、本実施例では組立終了後の25インチのカラー陰極線管のフェースプレート前面にスピンコートにより塗布した。乾燥、焼成の条件および下層、上層の膜厚は実施例1と同様である。
【0065】
このようにして得た反射防止膜の特性は、上述の実施例1〜7の図1〜図7に示す通りであった。この反射防止膜を形成した陰極線管は、窓や照明等の周囲光の映り込みの影響がほとんどなく、さらに着色のない反射光となり、色再現性を妨げることなく、良好な画像を形成することができた。
【0066】
なお、このカラー受像管の表面に形成された反射防止膜の分光反射率の測定は、上記実施例と同様に、大塚電子(株)製MCPD−1000を用い、光源にハロゲンランプを用いて入射角0°で測定し、次いで、反射防止膜を取り除いたときの同一部分の測定を行い、反射防止膜を取り除いたときの値を100%として表した。また、分光透過率は、ミノルタカメラ製分光測光計CM−1000を用い、試料を測定し、その後、試料の反射防止膜を薬剤等で取り除き、同一部分を測定し、反射防止膜を取り除いたときの測定値を基準として試料の測定値の比率の平方根で表した。
【0067】
実施例11
次に、本発明の表示装置の他の具体例として、液晶表示装置に適用した例について説明する。
【0068】
図11は、本発明に基づき製造された液晶表示装置を示す断面図である。この液晶表示装置は、熱硬化性樹脂からなるスペ−サ−77により間隔を規制された対向する1対のガラス基板71,72の間に液晶78を充填することにより構成されている。基板71,72の対向面には、ITO(indium tin oxide)からなる所定のパタ−ンの電極73,74が形成され、これら電極73,74上には配向膜75,76が形成されている。間に液晶78を充填したガラス基板71,72の周縁部は、シ−ル剤79により封止されている。
【0069】
以上のように構成される液晶表示装置において、一方のガラス基板71の外表面に、反射防止膜80が形成されている。この反射防止膜80は、基板71,72の周縁部をシ−ル剤79により封止した後、実施例3で用いた下層形成用溶液と上層形成用溶液を、膜厚が0.1μmとなるように塗布し、次いで焼成することにより形成された。得られた反射防止膜80は、実施例3で得たものと同様、優れた反射防止特性を示した。
【0070】
以上、本発明の実施例について説明したが、反射防止膜の反射防止特性は、その反射防止膜を形成しようとする基体に要求される特性に合わせて適宜設定されるものであり、上記実施例に限定されるものではない。また、反射防止膜と表示装置の組合せも上記例に限定されない。
【0071】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、2層以上の多層構造の反射防止膜の少なくとも1層に色素を含有させるだけで、優れた反射防止特性を有する多層反射防止膜を得ることが可能であり、更に膜材料の選択性、膜強度の面においてもその工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図であり、(a)は、実施例1に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例1に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図であり、(a)は、実施例2に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例2に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図3】本発明の第3の実施例を示す図であり、(a)は、実施例3に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例3に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図4】本発明の第4の実施例を示す図であり、(a)は、実施例4に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例4に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図5】本発明の第5の実施例を示す図であり、(a)は、実施例5に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例5に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図6】本発明の第6の実施例を示す図であり、(a)は、実施例6に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例6に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図7】本発明の第7の実施例を示す図であり、(a)は、実施例7に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例7に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図8】本発明の第8の実施例を示す図であり、(a)は、実施例8に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例8に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図9】本発明の第9の実施例を示す図であり、(a)は、実施例9に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例9に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図10】実施例10に係る陰極線管の概略を示す一部断面図である。
【図11】実施例11に係る液晶表示装置の概略を示す断面図である。
【産業上の利用分野】
本発明は、外光反射を防止する反射防止膜及びこの反射防止膜を備えた表示装置に関し、特に、少なくとも2層の薄膜よりなる多層反射防止膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、窓ガラス、ショー・ウインドウ、表示装置の表示面等の材質としては、ガラスが用いられる。このガラスは、周囲の光、例えば太陽光や照明光を鏡面反射することがあり、そのため、映り込み現象が生じ、透明性等に支障をきたすことが多い。特に、表示装置の場合には、表示面で鏡面反射が起こると、表示面に表示されるべき映像と周囲から映り込んだ光源や周囲の景観等が重なってしまい、著しい画像劣化を引き起こす。
【0003】
そこで、この反射を防止する方法として、従来、ガラス表面上に単層もしくは多層の光学膜を形成して、光の干渉効果を利用することで外光反射を防止する反射防止膜を形成する方法がある。
【0004】
この反射防止膜として一般的に良く知られているものに、1/4波長膜と呼ばれているものがある。この1/4波長膜について説明すると次のようになる。すなわち、単層の反射防止膜により外光反射を防止する場合には、空気の屈折率をn0 、薄膜の屈折率をn1 、基板の屈折率をn2 、薄膜の膜厚をd、反射を防止しようとする光の波長をλとするとき、以下の無反射条件を満足しなければならない。
【0005】
n1 d=λ/4 …(1)
n1 2 =n0 n2 …(2)
上記関係式(1)、(2)を満足する薄膜は、薄膜の膜厚が反射を防止しようとする光の波長の1/4の厚さになっていることから1/4波長膜と呼ばれている。
【0006】
薄膜が式(1)、(2)を満足した場合には、波長λの光の反射を零にすることができるが、基板としてガラスを用いた場合には、n2 は1.52、空気の屈折率n0 は1.00であるから、薄膜の屈折率n1 は1.23である必要がある。しかしながら、現在知られている中で実用上可能な低屈折率物質はMgF2 であり、それ自体の屈折率は1.38で、上記無反射条件の屈折率(n1 =1.23)より大きいため、単層の低屈折率薄膜のみで外光反射を完全に防止することは不可能であった。
【0007】
そこで、基板上に、基板側の下層とその上に形成される上層の2層からなる多層式反射防止膜を形成して反射を防止することも行われている。この場合、空気の屈折率をn0 、上層の屈折率をn3 、下層の屈折率をn4 、基板の屈折率をn2 、上層の膜厚をd1 、下層の膜厚をd2 、反射を防止しようとする光の波長をλとするとき、以下の無反射条件を満足しなければならない。
【0008】
n3 d1 =λ/4 …(3)
n4 d2 =λ/4 …(4)
n2 n3 2 =n0 n4 2 …(5)
上記関係式(3)、(4)、(5)から、基板がガラス板の場合には、n2 =1.52、n0 =1.00であるから、屈折率の比n4 /n3 が1.23になるように下層と上層の物質を選択すれば、外光反射を防止し得ることがわかる。
【0009】
なお、広帯域で反射を抑制するためには、2層膜ではなく、3層以上の反射防止膜を用いればよいことが知られている。つまり、反射防止膜の膜厚は、光の波長によって決定されるので、理論的には、N層の多層膜とすることによりN個の波長の反射率を低くすることができる。
【0010】
また、従来、2層構造の反射防止膜を用い、下層膜の気孔率を制御することで下層膜の屈折率を制御する方法が特開平3−261047号公報に示されている。さらに、2層構造の反射防止膜に色素を含有させることにより、反射防止膜にフィルター効果を持たせることも提案されている。
上述のように、外光反射を抑制するため、ガラス基板表面に多層構造の反射防止膜を形成することが知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来提案されている多層反射防止膜は、いずれも高屈折率と低屈折率の材料をガラス基板上に積層させた構成となっている。これは、上述のように、特定波長に対する無反射条件を満足させるためには、多層膜の屈折率を所定の値に設定する必要があったためである。しかし、低屈折率材料と高屈折率材料の中で実用可能なものは限定されており、その中から適切な組合せを選択しなければならなかった。高屈折率材料としては、TiO2 ,ZrO2 ,BaO,SnO2 等が知られており、低屈折率材料としては、MgF2 ,SiO2 ,SnO2 等が知られている。そして、これらの材料から適切な選択を考慮する必要があった。
【0012】
また、このように多層膜を異なる材料で形成すると、各層間における密着性が問題となり、膜形成条件等において複雑な制御が必要であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な方法にて多層膜構造の反射防止膜を提供することを目的とする。さらに、このような反射防止膜を表示面に備えた表示装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、光透過性基体上に2層又は3層の薄膜を積層した多層構造の反射防止膜であって、前記薄膜のうち少なくとも1層は、3〜300nmの粒径を有し、400〜700nmの全波長域において吸収を示す顔料を含有することにより屈折率が調整され、それによって、400〜700nmの全波長域において吸収を有し、かつこの吸収を有する波長における反射防止膜の反射率が前記基体の反射率より小さくなっていることを特徴とする反射防止膜が提供される。
【0014】
また、本発明によると、光透過性表示部基体と、この基体上に積層された2層又は3層の薄膜からなる多層構造の反射防止膜とを具備する表示装置であって、前記薄膜のうち少なくとも1層は、3〜300nmの粒径を有し、400〜700nmの全波長域において吸収を示す顔料を含有することにより屈折率が調整され、それによって、400〜700nmの全波長域において吸収を有し、かつこの吸収を有する波長における反射防止膜の反射率が前記基体の反射率より小さくなっていることを特徴とする表示装置が提供される。
【0015】
【作用】
本発明の特徴は、多層構造の反射防止膜の少なくとも1層が色素を含有することにある。色素は一般に特定の波長の光を選択的に吸収する。このような色素を含有した薄膜について詳細に検討したところ次のことが明らかになった。
【0016】
即ち、色素が吸収を有する波長の領域において、薄膜の屈折率は波長が増加するにつれて増加する傾向を示し、その他の領域では減少傾向にあることがわかった。さらに、このような薄膜を用いて多層構造の反射防止膜を形成した場合、屈折率が増加傾向を示している波長の領域つまり色素の吸収領域において反射防止効果が顕著であることが判明した。結果として、この反射防止膜の反射率は色素の吸収領域にほぼ対応した波長領域で低くなる。従って、可視域の全波長域にわたって反射防止効果をもたせようとした場合、反射防止膜は可視域の全波長域で屈折率が増加しなければならず、結果的に可視域の全波長域の光を吸収することが必要である。
【0017】
本発明者らによる検討の結果、波長の増加に伴い屈折率が増加傾向を示すためには、透過率は95%以下でなければならず、また、充分な効果が得られる程度の屈折率の増加を得るためには、90%以下、より好ましくは85%程度とすることが好ましい。
【0018】
このような知見の下に、本発明では、多層構造の反射防止膜に、400〜700nmの全可視光波長域において吸収を有する色素を含有させることにより、可視光の反射を最大限防止することを可能としている。
【0019】
ところで、通常の多層反射防止膜は、低屈折率層と高屈折率層を低屈折率層が外表面となるように交互に積層された構成となっている。本発明の好ましい態様では、高屈折率層に色素を含有させることより、効果的に可視光の反射を防止することが可能である。つまり、前述のように色素の吸収領域で膜の屈折率特性が変化するので、多層反射防止膜における無反射条件を満足するように膜の屈折率を設定することができる。
【0020】
従って、多層反射防止膜における最外層から数えて偶数番目の層の少なくとも1層に色素を含有させることが好ましい。
このように、屈折率の調整は色素の吸収特性にて行うことができるので、多層膜の各層を低屈折率材料と高屈折率材料というように異なる材料で形成する必要がなくなる。従って、多層膜を同質の材料にて形成することが可能であり、そうすることにより各層間での密着性を向上させることが出来る。
【0021】
さらに、屈折率が異なる材料、例えば、低屈折率物質としてSiO2 を用い、高屈折率物質としてTiO2 を用い、かつ、TiO2 層に色素を含有させることにより、さらに反射防止効果を向上させることができる。
【0022】
本発明において、使用可能な薄膜の材質としては、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、TaO5 、Al2 O3 等を挙げることが出来る。多層の薄膜はそれぞれ異なる材質でもよいが、同一の材質でもよい。同一の材質の場合、上述のように各層間での密着性を向上させることが出来る。しかし、この場合、多層構造としての特性を得るためには、各層間で色素の含有を異ならせること、各層間で色素の種類を異ならせること、各層間で色素の含有量を異ならせること、等により、各層間を区別する必要がある。
【0023】
なお、各層間で薄膜の材質を異ならせる場合には、最上層を低屈折率物質により構成することが望ましい。
本発明において、色素としては、カ−ボンブラック、グラファイト等の黒色色素が好ましく使用される。これら以外にも、ほとんど全ての顔料を用いることができる。有機顔料では、例えば、ベンジンエロー、カーミンFB等のアゾ系黄色、赤色顔料、ベリレン、ベリロン、ジオキサジン、チオインジゴ、イソインドリノン、キノフタロン、キナクリドン等の縮合顔料、フタロシアニン系顔料等がある。無機顔料では、チタン白、ベンガラ、黄鉛、コバルトブルーが挙げられる。これらは全可視光波長領域で5%以上、好ましくは10%以上の吸収を有するように組合わせた混合物とすることが必要となる。
【0024】
このように、本発明では、色素は、種々の形で使用可能である。例えば、カ−ボンブラックやグラファイトのように、単独で全可視光波長領域を吸収する色素を使用することも、これら色素と他の色素を組合わせて使用することも可能である。また、500nm又は600nm以下の波長を吸収する黄色系色素又は赤色系色素、ベンジンエロ−、カ−ミンFB等と、500nm以上の波長を吸収する青色系色素、ヘリオゲンブル−EP−7s等を組合わせて用いることも可能である。
【0025】
上述の組合わせに係る顔料としては、その種類の多さから、有機顔料が好ましい。また、膜の透明性からこれらの顔料の粒径は300nm以下が好ましい。一般的に、膜の透明性を得るためには顔料の粒径は波長λの1/2以下つまり可視光の場合は200nm以下である。これは顔料の粒径が大きくなると光散乱を生じ透明性が損なわれる傾向があるからである。本発明では顔料は膜内部に閉じ込められているので顔料と空気の屈折率差に比べ顔料と膜材料の屈折率差は小さくなり、300nmの粒径まで透明性を維持することができる。また、多孔質膜からの溶出を防ぎ、かつ、十分な耐光性を有するためには、顔料の粒径は3nm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、顔料の粒径は5〜200nmである。
本発明の多層反射防止膜が適用される表示装置としては、陰極線管や液晶表示装置等の表示部基体を通して画像を見るものがあげられる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の種々の実施例について説明する。
実施例1
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Aを調製した。
【0027】
ここで、顔料分散液1は、平均粒径が約100nmのカーボンブラック(色素1)を2.4wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させた液である。上記組成Aのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液を得た。
【0028】
(2)上層形成溶液の調製
次に、上層形成溶液として以下の組成の溶液Bを調製した。
上記組成Bのように調製された混合液を約1時間撹拌して反応させ、上層形成用溶液を得た。
【0029】
(3)反射防止膜の形成
まず、上述の下層形成用溶液を屈折率1.52のガラス基板上にディップ法により塗布し、150℃で5分間後乾燥し、厚さ約0.1μmの下層膜を形成した。次いで、上層形成用溶液をこの下層膜上にディップ法により塗布し、180℃の雰囲気で10分間焼成し、膜厚が約0.1μmの上層膜を形成した。この2層反射防止膜の各層の組成は以下に示す通りである。
【0030】
このようにして得た2層反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図1A及び図1Bに示す結果を得た。なお、この反射防止膜の分光反射率の測定は、大塚電子(株)製MCPD−1000を用い、光源としてハロゲンランプを用いて入射角0°で測定し、反射防止膜を形成していない基板の反射率を100%としたパ−セントで表した。
【0031】
また、分光透過率の測定は、ミノルタカメラ製分光測色計CM−1000を用いて行った。試料を白色板の上において分光透過率を測定し、反射防止膜を形成していない基板の値に対する比率の平方根で表した。
【0032】
図1A及び1Bからわかるように、本発明の反射防止膜は、優れた反射防止効果を有している。
実施例2
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Cを調製した。
【0033】
ここで、顔料分散液2は、平均粒径が約100nmの色素1(カーボンブラック)を1.71wt%、色素2としてヘリオゲンブルーEP−7Sを0.34wt%、色素3としてペリレン系バイオレットを0.34wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させた液である。上記組成Cのように調製された混合液を空気中の水で約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0034】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は、以下に示す通りである。
【0035】
このようにして得た2層反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図2A及び図2Bに示す結果を得た。図2A及び図2Bから明らかなように、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0036】
実施例3
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0037】
ここで、顔料分散液3は、それぞれ平均粒径が約100nmの色素2、色素3、さらに色素4としてジオキサジン系バイオレット、色素5としてイソインドリノン系イエローを、それぞれ0.6wt%の濃度でイソプロピルアルコールに分散させた液である。上記組成Dのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0038】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液として実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0039】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図3A及び図3Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0040】
実施例4
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0041】
ここで、顔料分散液1は、実施例1と同じものを用いた。上記組成Eのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させることにより、下層形成溶液を得た。
【0042】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0043】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図4A及び図4Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0044】
実施例5
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0045】
ここで、顔料分散液3は、上記実施例3と同じである。上記組成Fのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0046】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層式反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0047】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図5A及び図5Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0048】
実施例6
(1)下層形成溶液の調製
まず、下層形成溶液として以下の組成の溶液Dを調製した。
【0049】
ここで、SnO2 微粒子分散液は約50〜100nmのSnO2 微粒子を2wt%の濃度でIPAに分散させた液である。顔料分散液1は上記実施例1と同じである。上記組成Gのように調製された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0050】
(2)反射防止膜の形成
上層形成用溶液は実施例1と同様の溶液Bを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層式反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0051】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図6A及び図6Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。また、この反射防止膜は導電性を有し、抵抗値は10×1010Ω/cm2 であった。
【0052】
実施例7
(1)上層形成溶液の調整
上層形成溶液として以下の組成の溶液Hを調整した。
【0053】
ここで、SnO2 微粒子分散液は上記実施例6と同じである。上記組成Hのように調整された混合液を約1時間撹拌し、反応させて下層形成溶液とした。
【0054】
(2)反射防止膜の形成
下層形成用溶液は実施例6と同様の溶液Gを用い、基板上に反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。このようにして形成された2層反射防止膜の組成は以下に示す通りである。
【0055】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図7A及び図7Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1の反射防止膜と同様に優れた反射防止効果を有していることがわかる。また、この反射防止膜は導電性を有し、その抵抗値は5×108 Ω/cm2 であった。
【0056】
実施例8
下層形成用溶液として溶液B、中層形成用溶液として溶液A、上層形成用溶液として溶液Bをそれぞれ用い、3層構造の反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。
【0057】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図8A及び図8Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例1に比較してより広い領域で優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0058】
実施例9
下層形成用溶液として溶液B、中層形成用溶液として溶液C、上層形成用溶液として溶液Bをそれぞれ用い、3層構造の反射防止膜を形成した。塗布方法、条件、膜厚は実施例1と同様である。
【0059】
このようにして得た反射防止膜の分光反射率と分光透過率を測定したところ、図9A及び図9Bに示す結果を得た。これらの結果から、本実施例に係る反射防止膜は、実施例2に比較してより広い領域で優れた反射防止効果を有していることがわかる。
【0060】
実施例10
次に、本発明の表示装置の具体例として、陰極線管に適用した例について説明する。
【0061】
図10は、本発明に基づき製造された陰極線管60を示す部分切欠側面図である。この陰極線管60は、内部が排気された気密性のガラス外囲器61を具備している。この外囲器61は、ネック62およびネック62から連続するコーン63を有しているとともに、このコーン63とフリットガラスにより封着されるフェースプレート64を有している。このフェースプレート64の側壁の外周には、防爆のために金属製のテンションバンド65が巻回されている。
【0062】
このネック62内には、電子ビームを放出する電子銃66が配置されている。フェースプレート64の内面には、電子銃66からの電子ビームにより励起されて発光する蛍光体層よりなる蛍光体スクリーン67が設けられている。また、コーン63の外側には、蛍光体スクリーン上を走査するように電子ビームを偏向させる偏向装置(図示せず)が挿着されている。
【0063】
ところで、この陰極線管60のフェースプレート64の外表面には、上述の実施例1〜7の下層形成用溶液と上層形成用溶液を塗布することにより、本発明の2層構造の反射防止膜68が形成されている。
【0064】
上記実施例1では、下層形成用溶液と上層形成用溶液をディップ法により塗布しているが、本実施例では組立終了後の25インチのカラー陰極線管のフェースプレート前面にスピンコートにより塗布した。乾燥、焼成の条件および下層、上層の膜厚は実施例1と同様である。
【0065】
このようにして得た反射防止膜の特性は、上述の実施例1〜7の図1〜図7に示す通りであった。この反射防止膜を形成した陰極線管は、窓や照明等の周囲光の映り込みの影響がほとんどなく、さらに着色のない反射光となり、色再現性を妨げることなく、良好な画像を形成することができた。
【0066】
なお、このカラー受像管の表面に形成された反射防止膜の分光反射率の測定は、上記実施例と同様に、大塚電子(株)製MCPD−1000を用い、光源にハロゲンランプを用いて入射角0°で測定し、次いで、反射防止膜を取り除いたときの同一部分の測定を行い、反射防止膜を取り除いたときの値を100%として表した。また、分光透過率は、ミノルタカメラ製分光測光計CM−1000を用い、試料を測定し、その後、試料の反射防止膜を薬剤等で取り除き、同一部分を測定し、反射防止膜を取り除いたときの測定値を基準として試料の測定値の比率の平方根で表した。
【0067】
実施例11
次に、本発明の表示装置の他の具体例として、液晶表示装置に適用した例について説明する。
【0068】
図11は、本発明に基づき製造された液晶表示装置を示す断面図である。この液晶表示装置は、熱硬化性樹脂からなるスペ−サ−77により間隔を規制された対向する1対のガラス基板71,72の間に液晶78を充填することにより構成されている。基板71,72の対向面には、ITO(indium tin oxide)からなる所定のパタ−ンの電極73,74が形成され、これら電極73,74上には配向膜75,76が形成されている。間に液晶78を充填したガラス基板71,72の周縁部は、シ−ル剤79により封止されている。
【0069】
以上のように構成される液晶表示装置において、一方のガラス基板71の外表面に、反射防止膜80が形成されている。この反射防止膜80は、基板71,72の周縁部をシ−ル剤79により封止した後、実施例3で用いた下層形成用溶液と上層形成用溶液を、膜厚が0.1μmとなるように塗布し、次いで焼成することにより形成された。得られた反射防止膜80は、実施例3で得たものと同様、優れた反射防止特性を示した。
【0070】
以上、本発明の実施例について説明したが、反射防止膜の反射防止特性は、その反射防止膜を形成しようとする基体に要求される特性に合わせて適宜設定されるものであり、上記実施例に限定されるものではない。また、反射防止膜と表示装置の組合せも上記例に限定されない。
【0071】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、2層以上の多層構造の反射防止膜の少なくとも1層に色素を含有させるだけで、優れた反射防止特性を有する多層反射防止膜を得ることが可能であり、更に膜材料の選択性、膜強度の面においてもその工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図であり、(a)は、実施例1に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例1に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図であり、(a)は、実施例2に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例2に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図3】本発明の第3の実施例を示す図であり、(a)は、実施例3に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例3に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図4】本発明の第4の実施例を示す図であり、(a)は、実施例4に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例4に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図5】本発明の第5の実施例を示す図であり、(a)は、実施例5に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例5に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図6】本発明の第6の実施例を示す図であり、(a)は、実施例6に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例6に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図7】本発明の第7の実施例を示す図であり、(a)は、実施例7に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例7に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図8】本発明の第8の実施例を示す図であり、(a)は、実施例8に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例8に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図9】本発明の第9の実施例を示す図であり、(a)は、実施例9に係る反射防止膜の分光反射率を示すグラフ、(b)は、実施例9に係る反射防止膜の分光透過率を示すグラフである。
【図10】実施例10に係る陰極線管の概略を示す一部断面図である。
【図11】実施例11に係る液晶表示装置の概略を示す断面図である。
Claims (4)
- 光透過性基体上に2層又は3層の薄膜を積層した多層構造の反射防止膜であって、
前記薄膜のうち少なくとも1層は、3〜300nmの粒径を有し、400〜700nmの全波長域において吸収を示す顔料を含有することにより屈折率が調整され、それによって、400〜700nmの全波長域において吸収を有し、かつこの吸収を有する波長における反射防止膜の反射率が前記基体の反射率より小さくなっていることを特徴とする反射防止膜。 - 前記顔料は、最上層の薄膜から数えて偶数番目の薄膜に含有されている請求項1に記載の反射防止膜。
- 光透過性表示部基体と、この基体上に積層された2層又は3層の薄膜からなる多層構造の反射防止膜とを具備する表示装置であって、
前記薄膜のうち少なくとも1層は、3〜300nmの粒径を有し、400〜700nmの全波長域において吸収を示す顔料を含有することにより屈折率が調整され、それによって、400〜700nmの全波長域において吸収を有し、かつこの吸収を有する波長における反射防止膜の反射率が前記基体の反射率より小さくなっていることを特徴とする表示装置。 - 前記顔料は、最上層の薄膜から数えて偶数番目の薄膜に含有されている請求項3に記載の表示装置。
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-
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