JP3779120B2 - 芯出し機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具, 化粧具やペンライトなど(以下「筆記具など」という。)を対象とした芯出し機構に関し、特に先軸筒と後軸筒とを相対的に回動させたときのカム作用により芯が当該先軸筒の開口部から出没する芯出し機構において、先軸筒と後軸筒との軸方向の全長を任意の回動状態で変更できるようにしたものである。
【0002】
なお、本明細書においては、筆記具などを構成する軸筒の、芯が出没する側を「前または先」と記し、これと反対の操作部側を「後」と記す。
【0003】
回動操作式の芯出し機構を備えた筆記具などの使い勝手を考える場合、その全長を利用状態に応じて変更できる、例えば収納時と使用時とで変更できることが望ましく、本発明はこのような要請に応えるものである。
【0004】
【従来の技術】
従来の、回動操作式の芯出し機構を備えた筆記具などでは、当然のことながらその先軸筒と後軸筒との間の相対的な回動操作が前提であり、当該軸をその軸方向に積極的に移動させるようにはなっていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、使用後の筆記具などをポケットやバッグなどにしまう場合にかさばりがちであり、また、個々の使用者がその長さを調整した上で筆記することなどもできないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明では、回動操作式の芯出し機構の先軸筒と後軸筒とを関連付ける中間筒状部を設け、操作時の回動力をこの中間筒状部に伝えるとともに、一方の軸筒をこの中間筒状部に対して前後動可能にして、回動操作式の芯出し機構の利便性を良くすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を次のようにして解決する。
(1)先軸筒と後軸筒とを相対的に回動させたときのカム機構の作用により芯が当該先軸筒の開口部から出没する芯出し機構において、前記先軸筒前記後軸筒および前記芯を一体化して関連付けるための中間筒状部を備え、前記カム機構は、その構成要素であるカム部およびカムフォロワ部が前記中間筒状部に統合して、または当該構成要素が前記先軸筒および前記後軸筒のいずれかと前記中間筒状部とに別々に、設けられ、前記先軸筒と前記後軸筒との相対的な回動力を前記中間筒状部に伝える伝達部を当該軸筒の一方に形成し、前記中間筒状部に、前記伝達部との係合作用に基づいてともに回動し、かつ前記先軸筒と前記後軸筒との相対的な前後動を許容する筒状体を設ける。
(2)前記伝達部として、前記一方の軸筒の軸方向に延びるレール状部を用い、前記筒状体として、前記レール状部の前後動をガイドするスリット状部を軸方向に形成したものを用いる。
【0008】
本発明によれば、上記(1)のように、先軸筒および後軸筒の一方といわば一体となって回動し、かつ当該軸筒を相対的に前後動させるための筒状体からなる中間筒状部を新たに設けて、当該軸筒の全長を変更可能にすることにより、回動操作式の芯出し機構を用いた筆記具などの利便性の向上を図っている。
【0009】
また、上記(2)のように、一方の軸筒側にレール状部を形成して、筒状体にはこれをガイドするスリット状部を軸方向に形成することにより、芯出し機構の回動操作、および先軸筒および後軸筒の相対的な前後方向への移動操作の確実化・円滑化を図っている。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、上述のように、筆記具, 化粧具やペンライトなどの芯出し機構を対象としているが、以下の記載では説明の便宜上、筆記具を前提とする。
【0011】
各図において、
図1は筆記具の芯を軸筒内に没入した静止状態の全体構成(断面)を示し、
図2は先軸筒,中間筒状部および後軸筒の各構成要素の関連性を示し、
図3は中間筒状部のカム機構などであり、 (a)は図1の静止状態に対応し、 (b)は図4の作動状態に対応し、 (c)は (a)のA−A′線の断面を示し、
図4は筆記具の芯を軸筒から突出させた作動状態を示し、
図5は筆記具の全長を短くした状態を示している。
【0012】
図示の筆記具は、概略、
・レフィール(芯)1,レフィールケース1a,当該レフィールケースの後端側周面に形成した螺子部1b,当該レフィールケースの尾栓1c
・レフィール1が出没する口金2
・口金2と螺子結合した先軸筒3
・先軸筒3に圧入した中間筒状部4
・先軸筒3に対する相対的な回動および前後動のそれぞれが可能なかたちで中間筒状部4と結合した後軸筒5,当該後軸筒の内周面の軸方向に形成したレール状部5a
・後軸筒5の先端側開口部に圧入した中間リング6, 当該中間リングの後端面6a
・後軸筒5の後端側開口部に圧入した筒状のスペーサ7, 当該スペーサの後端面7a
・スペーサ7の中に圧入した頭冠8
・後軸筒5およびスペーサ7と頭冠8との間に挟みこんだクリップ9
などの各部材からなっている。
【0013】
そして、中間筒状部4の構成要素としては、
・先軸筒3の内周面に圧入した筒状の繰出しカム4a
・繰出しカム4aの内周面に形成したカム溝4b
・カム溝4bの先端側安定部4c
・ロールカシメにより、回動可能な状態で繰出しカム4aの後方側の外周面に取り付けた中パイプ4d
・中パイプ4dの後端側内周面に形成した内側波状部4e
・中パイプ4dの外周面に接着した固定パイプ4f
・固定パイプ4fに形成したポンチ穴4g
・ポンチ穴4gへの落とし込みにより固定パイプ4fと一体化したC型パイプ4h(筒状体に相当)
・C型パイプ4hの前端面4i
・C型パイプ4hの後端面4j
・C型パイプ4hに形成した落とし込み用の突部4k,
・後軸筒5のレール状部5aを案内するため、C型パイプ4hの軸方向に形成したスリット4m
・中パイプ4の内側波状部4eと回動方向に係合し、かつ当該波状部の軸方向およびカム溝4bに案内されながら前後動する筒状の摺動体4n
・摺動体4nの外周面に、中パイプ4の内側波状部4eと対応するかたちで形成した外側波状部4p
・摺動体4nの先端側に形成した突状のカムフォロワ部4q
・摺動体4nの後端側内周面に形成した螺子部4r
などがある。
【0014】
中間筒状部4の各構成要素の中で先軸筒3に固定されるのは繰出しカム4aのみである。
【0015】
その他の各部材、例えば当該繰出しカムに対して回動可能な中パイプ4dや、その内側の摺動体4nおよびその外側の固定パイプ4f, C型パイプ4hなどの各部材は、後軸筒5とともに回動する。
【0016】
後軸筒5とともにC型パイプ4hが回動するのは、後軸筒5のレール状部5aとC型パイプ4hのスリット4mとが回動方向に係合するからであり、中パイプ4dとともに摺動体4nが回動するのは、中パイプ4dの内側波状部4eと摺動体4nの外側波状部4pとが回動方向に係合するからである。
【0017】
摺動体4nは、回動にともない、そのカムフォロワ部4qが繰出しカム4aのカム溝4bに倣うかたちで前後動する。この前後動が可能となるのは、摺動体4nと中パイプ4dとはそれぞれの波状部により回動方向のみに係合しているからである。
【0018】
また、レール状部5aに対するスリット4mの前後方向への案内作用により、後軸筒5は、C型パイプ4hおよび固定パイプ4f, 中パイプ4dのパイプ群に対して前後動する。なお、このパイプ群は、繰出しカム4aおよびこれと一体の先軸筒に対して回動するだけであり、前後動することはない。
【0019】
図1の静止状態では摺動体4nのカムフォロワ部4qは繰出しカム4aのカム溝4bの後側端部に保持されている。このとき、摺動体4n(螺子部4r)と螺子部1bで結合しているレフィールケース1aも後退し、その中のレフィール1は口金2の中に入り込んでいる。
【0020】
図4の作動状態にするには、例えば図1の静止状態の筆記具の後軸筒5を先軸筒3に対して時計方向に回動すればよい。
【0021】
この回動操作にともない、上述のように、後軸筒5のレール状部5aとC型パイプ4hのスリット4mとの係合作用によって、C型パイプ4hが回動する。
【0022】
さらには、C型パイプ4hと一体の固定パイプ4fおよび中パイプ4dが繰出しカム4aに対して回動する。また、摺動体4nが、外側波状部4pおよび内側波状部4eの係合作用によって中パイプ4dとともに回動しながら、自らのカムフォロワ部4qと繰出しカム4aのカム溝4bとのカム作用により前進する。
【0023】
このとき、摺動体4nと螺合しているレフィールケース1aも前進し、レフィール1は口金2から突出して図示の作動状態になる。
【0024】
図4の作動状態では、摺動体4nのカムフォロワ部4qはカム溝4bの先端側安定部4cに確実に保持されるので、使用時の筆圧などでカムフォロワ部4qがカム溝4bを少しでも元に戻る、すなわちレフィール1が後退するようなことはない。なお、図1の静止状態に戻すには、後軸筒5を先軸筒3に対して反時計方向に回動すればよい。
【0025】
図5のように筆記具の全長を短く(変更する)には、後軸筒5を先軸筒3に対して軸方向にスライドさせればよい。
【0026】
後軸筒5とこれを受けるC型パイプ4hとは、後軸筒5のレール状部5aとC型パイプ4hのスリット4mとでリンクしているため、それぞれの相対的な前後動は自由に行なえる。
【0027】
C型パイプ4hに対する後軸筒5のスライド可能な範囲は、
・後軸筒5と一体の中間リング6の後端面6aがC型パイプ4hの前端面4iに当接する位置(筆記具の最長状態)と、
・後軸筒5と一体のスペーサ7の後端面7aがC型パイプ4hの後端面4jに当接する位置(筆記具の最短状態)と、
の間である。
【0028】
上述のように、C型パイプ4hおよび固定パイプ4f, 中パイプ4dのパイプ群が、先軸筒およびこれと一体の繰出しカム4aに対して前後動することはない。
【0029】
レフィール1を点検・交換する場合は、
・先ず、先軸筒3と螺子結合している口金2を取り外し、
・次に、先軸筒3の中のレフィールケース1aに軽く嵌合しているレフィール1を当該ケースから引き出せばよい。
【0030】
なお、カム溝4bとカムフォロワ部4qとの作用は相対的なものであり、
・カム溝4bを先軸筒に形成したり、
・カム溝4bを後軸筒5に形成して、カムフォロワ部4q(摺動体4n)を先軸筒側に形成する、
ようにしてもよい。
【0031】
また、C型パイプ4hのスリット4mと後軸筒5のレール状部5aとの係合, 案内作用に関しても、
・C型パイプ4hの外周面に、スリット4mに代えて、レール状部5aに対応の溝状の案内部を形成したり、
・C型パイプ4hの外周面にレール状部を形成して、これに対応の案内部を後軸筒5に形成する、
ようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、このように、先軸筒および後軸筒の一方といわば一体となって回動し、かつ当該軸筒を相対的に前後動させるための筒状体からなる中間筒状部を新たに設け、先軸筒および後軸筒の全長を変更可能にしているので、回動操作式の芯出し機構を用いた筆記具などの利便性の向上を図ることができる。
【0033】
また、一方の軸筒側にレール状部を形成し、筒状体にはこれをガイドするスリット状部を軸方向に形成しているので、芯出し機構の回動操作、および先軸筒および後軸筒の相対的な前後方向への移動操作の確実化・円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、筆記具の芯を軸筒内に没入した静止状態の全体構成(断面)を示す説明図である。
【図2】本発明の、先軸筒,中間筒状部および後軸筒の各構成要素の関連状態を示す説明図である。
【図3】本発明の、中間筒状部のカム機構などを示す説明図であり、 (a)は図1の静止状態に対応し、 (b)は図4の作動状態に対応し、 (c)は (a)のA−A′線の断面を示している。
【図4】本発明の、筆記具の芯を軸筒から突出させた作動状態を示す説明図である。
【図5】本発明の、筆記具の全長を短くした状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1:レフィール(芯)
1a:レフィールケース
1b:螺子部
1c:尾栓
2:口金
3:先軸筒
4:中間筒状部
4a:先軸筒3の内周面に圧入した筒状の繰出しカム
4b:繰出しカム4aの内周面に形成したカム溝
4c:カム溝4bの先端側安定部
4d:ロールカシメにより繰出しカム4aに取り付けた中パイプ
4e:中パイプ4dの後端側内周面に形成した内側波状部
4f:中パイプ4dの外周面に接着した固定パイプ
4g:固定パイプ4fに形成したポンチ穴
4h:固定パイプ4fと一体化したC型パイプ
4i:C型パイプ4hの前端面
4j:C型パイプ4hの後端面
4k:C型パイプ4hに形成した落とし込み用の突部
4m:C型パイプ4hの軸方向に形成したスリット
4n:回動し、かつ前後動する摺動体
4p:摺動体4nの外周面に形成した外側波状部
4q:摺動体4nの先端側に形成したカムフォロワ部
4r:摺動体4nの後端側内周面に形成した螺子部
5:後軸筒
5a:レール状部
6:中間リング
6a:後端面
7:スペーサ
7a:後端面
8:頭冠
9:クリップ

Claims (2)

  1. 先軸筒と後軸筒とを相対的に回動させたときのカム機構の作用により芯が当該先軸筒の開口部から出没する芯出し機構において、
    前記先軸筒,前記後軸筒および前記芯を一体化して関連付けるための中間筒状部を備え、
    前記カム機構は、その構成要素であるカム部およびカムフォロワ部が前記中間筒状部に統合して、または当該構成要素が前記先軸筒および前記後軸筒のいずれかと前記中間筒状部とに別々に、設けられ、
    前記先軸筒と前記後軸筒との相対的な回動力を前記中間筒状部に伝える伝達部を当該軸筒の一方に形成し、
    前記中間筒状部に、前記伝達部との係合作用に基づいてともに回動し、かつ前記先軸筒と前記後軸筒との相対的な前後動を許容する筒状体を設けた、
    ことを特徴とする芯出し機構。
  2. 前記伝達部として、前記一方の軸筒の軸方向に延びるレール状部を用い、
    前記筒状体として、前記レール状部の前後動をガイドするスリット状部を軸方向に形成したものを用いる、
    ことを特徴とする請求項1記載の芯出し機構。
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