JP3778897B2 - 環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造法 - Google Patents

環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、塩素化リンと塩化アンモニウムとを反応触媒存在下に反応させる際に、特定の溶媒中で、反応系内の水分量、塩化アンモニウムの平均粒径および粒度分布、塩素化リンの供給速度を制御することにより、線状体の生成がほとんどなく、環状クロロホスファゼンオリゴマー、特に、3量体および4量体を、高収率・高選択性で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホスファゼンオリゴマーは、一般に「無機ゴム」と称せられるホスファゼンポリマーの原料として知られている。ホスファゼンオリゴマーやホスファゼンポリマーの各種誘導体は、プラスチックおよびその添加剤、ゴム、肥料、医薬等として、その用途は極めて広範囲である。特に、近年、社会的な関心が高まっているノンハロゲン系難燃剤によるプラスチックの難燃化または不燃化という点で、ホスファゼンオリゴマーやホスファゼンポリマーの誘導体は、その優れた難燃性、従来のリン酸エステルに比べて低い加水分解性・高耐熱性等、極めて優れた特徴を有しており、難燃・不燃材料への用途が非常に有望である。さらに、これらを添加した樹脂組成物が極めて低い誘電率を示すことから、プリント基板用材料、半導体封止材用材料等、電子材料用途の難燃剤として、その工業化が強く望まれている。
【0003】
クロロホスファゼンオリゴマーは、一般的に化学式(1)
【化1】
Figure 0003778897
【0004】
(式中、mは3以上の整数を表わす。)
で表わすことができ、1834年にリービッヒが、窒化リンアミドNP(NH22を合成する目的で塩化アンモニウムと五塩化リンを反応させたときに、副生成物として見出された化合物である。化学式(1)において、m=3および4である環状クロロホスファゼン3量体および4量体は、それぞれ化学式(2)および(3)で示される。
【0005】
【化2】
Figure 0003778897
【0006】
【化3】
Figure 0003778897
【0007】
これら3量体および4量体は、これらを開環重合させて高分子量化する際に、架橋等の副反応を起さずに直鎖状ポリマーが得られることや、クロロホスファゼンを誘導体化して樹脂に混ぜた際の物性低下が少ないことから、ホスファゼンオリゴマーの中でも特に用途が広く、需要が大きいものである。
リービッヒによる発見後、ホスファゼンオリゴマーの製造に関して数多くの研究がなされてきたが、現在までに明らかになっているホスファゼンオリゴマーの代表的な合成方法は、リン源として、(1)五塩化リンを用いる方法、(2)三塩化リンを用いる方法、(3)白リンを用いる方法、(4)窒化リンを用いる方法、等である。これまでにクロロホスファゼンオリゴマーを高収率で得るための合成方法の検討が精力的に行われているものの、従来の研究では、その目的は未だ達成できていない。
【0008】
従来技術としては、五塩化リンと塩化アンモニウムとを多価金属化合物触媒の存在下で反応させ、環状クロロホスファゼンオリゴマーを含む生成物を回収する方法が知られている(特許文献1)。この方法によると、3、4量体の選択性は比較的高いものの、五塩化リンから換算した3、4量体収率が満足できるものではなく、反応に長時間を要する。
多価金属化合物触媒下で、ある粒径範囲の塩化アンモニウムを使用して、反応系内の五塩化リン濃度が塩化アンモニウムに対して過剰とならないように、三塩化リンおよび塩素の供給速度を制御することにより3、4量体の収率を高める方法が知られている(特許文献2)。この先行技術には、反応系内の水分量に関する記載はなく、塩化アンモニウムの粒径を規定しているものの、粉砕が未だ十分でなく、反応生成物中に線状体が生成する。
【0009】
ルイス酸性を有する多価金属化合物およびキノリン等のピリジン誘導体を触媒として用いて、五塩化リンと塩化アンモニウムを反応させる方法が知られている(特許文献3)。この方法によると、3量体が特に選択的に得られるものの、3量体の収率は未だ満足できるものではなく、反応生成物中の不明成分が多いことや、助触媒として使用されるピリジン誘導体の添加量が多く、反応生成物や溶剤からピリジン誘導体を回収する操作が煩雑となり工業化は困難である。
【0010】
さらに、反応系中にアンモニアガスと塩化水素ガスを導入して微粒子の塩化アンモニウムを生成させ、塩素化リンと反応させて環状クロロホスファゼンを製造する方法が知られている(特許文献4)。この文献にも、反応系内の水分量や塩化アンモニウムの粒度分布に関する記載はない。また、反応系内でのアンモニアガスと塩化水素ガスの反応制御が困難であり、生成する塩化アンモニウム粒子の平均粒径や粒度分布が一定しないため、反応性にばらつきを生じ、3、4量体の収率が安定せず、線状体が生成するという問題がある。
【0011】
【特許文献1】
特開昭57−3705号公報
【特許文献2】
特公昭58−19604号公報
【特許文献3】
特開昭62−39534号公報
【特許文献4】
特開昭49−47500号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決し、環状クロロホスファゼンオリゴマー、特に、3、4量体を高収率・高選択性で製造する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
クロロホスファゼンの製造に際し、環状オリゴマー、特に、3、4量体を高収率で製造するためには、下記に示す制御すべき方策が考えられる。
イ)反応系内の水分量
ロ)塩化アンモニウムの平均粒径および粒度分布
ハ)塩素化リンの供給速度
まず、反応系内の水分量について説明する。使用される原料である塩素化リンおよび塩化アンモニウムは、ともに加水分解性および/または吸湿性を有することは従来から知られている。しかしながら、これまで反応系内の水分量の制御に関する検討は全く行われていなかった。
【0014】
原料の一つである塩素化リンは、加水分解性が非常に強く、微量の水分と反応してオキシ塩化リンとなり、塩素化リンに対して過剰量の水分存在下ではリン酸にまで分解されるため、反応系内の水分量によっては塩素化リンの加水分解による損失が顕著となり、クロロホスファゼンの収率低下に繋がる。
もう一つの原料である塩化アンモニウムは、水分の存在下で高温状態に曝されると、アンモニアと塩化水素への分解が顕著となり、クロロホスファゼンの収率低下に繋がる。また、塩化アンモニウムが有する吸湿性により、塩化アンモニウム粒子間で凝集が起こると表面積が減少するため、反応性が低下する。さらに、塩化アンモニウム粒子表面への水分子の付着により、塩化アンモニウム粒子表面と溶媒との界面状態が変化するため、反応性が変化したり、反応性が低下し、クロロホスファゼンの収率が低下したり、生成したクロロホスファゼンの組成、すなわち、反応生成物中の3、4量体、環状多量体、線状体の比率が一定しない、等の問題が発生する。
【0015】
さらに、クロロホスファゼン製造には、従来から、触媒として、金属酸化物、金属塩化物等が主として用いられており、特に、ルイス酸性の強いものが好適と言われてきた。しかしながら、金属塩化物、特に、塩化アルミニウムのようなルイス酸性が強い化合物は加水分解性が強く、反応系内の水分により分解し、触媒としての機能を失う。触媒の添加量は、原料や溶媒に比べて少量である場合が多いことから、反応系内の水分量による触媒への影響は重大であり、環状クロロホスファゼンの収率低下や反応時間の長期化等が顕著となる。
【0016】
次に、塩化アンモニウムの粒径について説明する。塩化アンモニウムと塩素化リンとの反応によるクロロホスファゼンオリゴマーの一般的な製造方法においては、塩化アンモニウムは反応溶媒に溶解せず、スラリーとして反応系内に存在する。したがって、塩素化リンと塩化アンモニウムとの反応は、塩化アンモニウム表面で起こると考えられるため、塩化アンモニウムの平均粒径を小さくすると、反応性が向上することは容易に推定できる。しかしながら、平均粒径を細かくしても、反応バッチ毎に塩化アンモニウムの平均粒径や粒度分布のばらつきが大きい場合には反応性が一定せず、得られるクロロホスファゼンの組成、すなわち、反応生成物中の3、4量体、環状多量体、線状体および未反応成分の比率が一定しないという問題を生じる。また、上述したように、塩化アンモニウムは吸湿性を有するため、平均粒径が細かく、粒度分布が狭い塩化アンモニウムを用いたとしても、反応系内の水分量によっては塩化アンモニウム粒子間で凝集が起こり、見かけの塩化アンモニウム粒径が大きくなる。また粒度分布が広くなり、反応性の低下や反応性が一定しない等の問題を生じる。
【0017】
次に、塩素化リンの反応系内への供給速度について説明する。上述したように、塩素化リンと塩化アンモニウムとの反応場は、反応系内でスラリーとして存在する塩化アンモニウム表面であるため、環化反応は、塩化アンモニウム粒子表面における塩化アンモニウムと塩素化リンとの反応が律速となると推定される。しかしながら、反応系内に大過剰量の塩素化リンが存在する場合には、分子内での環化反応よりも、分子間での生長反応が促進され、その結果、環状多量体や線状体の生成が多くなり、3、4量体の生成が減少するという問題を生じる。
【0018】
そこで、本発明者は、本発明の目的を達成するため、上述したような環状クロロホスファゼンオリゴマーを高収率で製造するための3つの方策に着目して鋭意研究を重ねた。その結果、驚くべきことに、特定の溶媒中で、反応系内の水分量、塩化アンモニウムの平均粒径および粒度分布、並びに塩素化リンの供給速度を制御することにより、環状クロロホスファゼンオリゴマー、特に3、4量体が飛躍的に高収率・高選択性で得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 反応触媒の存在下に、下記条件で、塩素化リンと塩化アンモニウムとを反応させることを特徴とする環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
1)反応系内に含有される水分量が、塩素化リン1モルに対して5x10-3モル以下、
2)塩化アンモニウムの平均粒径が10μm以下、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2以上、
3)塩素化リンの反応系内への供給速度が、塩化アンモニウム1モルに対して5x10-2〜5モル/hr、
4)反応溶媒が、ジクロロベンゼンおよびモノクロロベンゼンから選ばれる少なくとも一種。
【0020】
[2] 反応系内に含有される水分量が、塩素化リン1モルに対して1x10-3モル以下であることを特徴とする[1]に記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
[3] 塩化アンモニウムの平均粒径が2.5μm以下であることを特徴とする[1]に記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
[4] 塩素化リンの反応系内への供給速度が、塩化アンモニウム1モルに対して0.1〜2モル/hrであることを特徴とする[1]に記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
[5] 反応溶媒がジクロロベンゼンであることを特徴とする[1]に記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、塩素化リンと塩化アンモニウムから環状クロロホスファゼン3、4量体を高収率・高選択性で製造するために許容される反応系内の水分量は、塩素化リン1モルに対して5x10-3モル以下であり、好ましくは1x10-3モル以下である。反応系内の水分量が、塩素化リン1モルに対して5x10-3モルを越える場合には、環状クロロホスファゼン3、4量体の収率・選択性が低下する。本発明において、反応系内の水分量とは、反応を開始するにあたり、反応溶液中に含有される水分量のことを言い、原料、触媒、溶媒、反応に不活性なガスに含有される水分、反応装置内部に付着した水分等の総量を指している。
【0022】
水分量を制御するための方法には制限はないが、例えば、溶媒中の水分を除去する場合には、溶媒に対して不活性な脱水剤、例えば、モレキュラーシーブ、水素化カルシウム、金属ナトリウム、五酸化ニリン、塩化カルシウム等を使用して脱水し、さらに必要な場合には蒸留を行う。塩化アンモニウムに吸着した水分を除去する場合には、熱風乾燥機や真空乾燥機を用いて、常圧下または減圧下、50〜150℃で乾燥する方法が挙げられる。反応装置内に付着した水分を除去する場合には、反応装置内部を常圧下または減圧下で加熱する方法、常温下または加熱下で乾燥気体を流通させる方法等が挙げられる。
【0023】
本発明の反応を、乾燥した窒素やアルゴン等の、反応に不活性な雰囲気で実施することが好ましい。
本発明で使用される塩化アンモニウムは、平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2.5μm以下であり、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2以上である。
ここで言う、ロジン・ラムラー式とは、RosinとRammlerが石炭粉砕物の粒度分布を表わす関数として見出した式であり、数式(1)により定義される。また、本発明における粒度分布の値は、数式(3)中のnで表わされる。
【0024】
<ロジン・ラムラー式>
R=100exp(−bDn) (1)
(ここで、D:ある粒子の粒子径、R:Dより大きな粒子の百分率(%)、n:分布定数、b:定数を表わす。)
式(1)において、b=1/De nとおくと、
R=100exp{−(D/Den} (2)
(ここで、De:粒度特性数を表わす。)
式(2)の常用対数をとると、
log{log(100/R)}=n・logD+C (3)
(ここで、C=log(loge)−n・logDe
x軸とy軸にそれぞれlogD(粒径)とlog{log(100/R)}(分布量の累積値)をとったロジン・ラムラー線図に、測定結果の関係をプロットすると直線となり、直線の勾配nは、粒度の均一性を表わす。すなわち、勾配nが大きい程、均一性は高く、粒度分布が狭くなる。
【0025】
塩化アンモニウムの平均粒径が10μmを越えると、反応性が低下し、3、4量体の収率が低下するばかりか、線状体が生成する。さらにロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2未満の場合には、粒度分布が広くなるため、反応性が均一でなく、反応生成物の組成が一定しない。
塩化アンモニウムの粉砕方法には制限はなく、例えば、ボールミル、攪拌ミル、ローラーミル、ジェットミル等を使用できる。塩化アンモニウムは吸湿性を有し、微粉砕するにつれて吸湿性が特に顕著となるため、微粉砕が困難となったり、粉砕を行っても、再び粒子が凝集し、微粉砕の効果が得られなくなる。したがって、粉砕は、水分を含まない乾燥雰囲気下で行うことが好ましく、粉砕後も乾燥雰囲気下で保存することが好ましい。
【0026】
本発明では、市販の塩化アンモニウムを使用することが可能であるが、粉砕前に十分乾燥することが粉砕性の点から好ましい。乾燥方法には制限はないが、例えば、熱風乾燥機や真空乾燥機を用いて、50〜150℃で1〜5時間程度乾燥する方法が挙げられる。本発明においては、このようにして乾燥雰囲気下で微粉砕された塩化アンモニウムを、そのまま反応系内に供給することが好ましい。
本発明における塩化アンモニウムの添加量は、塩素化リンに対して過剰量であることが好ましく、塩素化リン1モルに対して1.0〜2.0モルが好ましく、より好ましくは1.05〜1.5モルである。
【0027】
本発明における塩素化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して5x10-2〜5モル/hrであり、好ましくは0.1〜2モル/hrである。供給速度が5モル/hrを越えると、環状多量体や線状体の生成量が多くなり、5x10-2モル/hr未満の場合には、反応に長時間を要する。
塩素化リンとして、五塩化リンをそのまま使用してもよいし、反応前または反応系内で三塩化リンと塩素、白リンと塩素、または黄リンと塩素を作用させて得られる塩素化リン等を用いてもよい。これらの中で、五塩化リン、および三塩化リンと塩素を作用させて得られる塩素化リンが好ましい。
【0028】
本発明で使用される溶媒は、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、およびp−ジクロロベンゼンから選ばれる少なくとも一種である。これらの溶媒を使用すると、より高温における反応が可能となる。3、4量体の収率・選択性の向上の面から、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンがより好ましい。
有機溶媒の添加量は、塩素化リン1重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜20重量部である。有機溶媒の添加量が0.1重量部未満の場合には、反応系内の原料濃度が高くなり、環状多量体や線状体の生成量が増加する場合がある。有機溶媒の添加量が100重量部を越える場合には、用役費の増大や設備の巨大化等を招く場合がある。
【0029】
本発明において、塩素化リンと塩化アンモニウムの反応は、触媒の存在下で行われる。触媒は、従来から使用されている触媒が使用できる。触媒として、例えば、MgO、ZnO等の金属酸化物、ZnO2、MgO2等の金属過酸化物、MgCl2、ZnCl2等の金属塩化物、ZnS等の金属硫化物、Mg(OH)2、Al(OH)3等の金属水酸化物、Ba(CH3COO)2、Zn[CH3(CH216COO]2等の有機カルボン酸金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩、スメクタイト、カオリン、マイカ、タルク、ウォラストナイト等の層状シリケート等があげられる。
【0030】
これらの中で、MgO、CrO、Fe23、CuO、ZnO、CdO、Al23、Ga23、In23、SiO2、La23、Ce23、Pr611、Nd23、Pm23、Sm23、Eu23、Gd23、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Tm23、Yb23、Lu23等の金属酸化物、MgCl2、ZnCl2等の金属塩化物、およびMg(CF3SO32、Zn(CF3SO32、Gd(CF3SO33等のパーフルオロスルホン酸金属塩が好ましい。これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
触媒の添加量は、塩素化リン1モルに対して、好ましくは10-5〜1モル、より好ましくは10-3〜10-1モルである。触媒の添加量が10-5モル未満の場合には、反応完結までに長時間を要したり、3、4量体が高収率・高選択性で得られず、環状多量体、線状体の生成が増加する場合があり、1モル未満の場合には、収率の向上が無く、触媒の添加量を増やす効果が得られないことがある。
【0031】
本発明においては、上記触媒に加えて、従来から知られている方法である、ピリジン、キノリンおよびこれらの誘導体を併用することができる。ピリジン誘導体としては、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、2,6−ジクロロピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン、メチルエチルピリジン等が挙げられ、キノリン誘導体としては、2−メチルキノリン、3−メチルキノリン、4−メチルキノリン、5−メチルキノリン、6−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、2−クロロキノリン、3−クロロキノリン、4−クロロキノリン、5−クロロキノリン、6−クロロキノリン、2,3−ジクロロキノリン、2−メチル−4−ブロモキノリン、3−クロロイソキノリン、8−クロロイソキノリン等があげられる。これらを単独で使用してもよいし、複数を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
【0032】
ピリジン、キノリンおよびこれらの誘導体の添加量には制限はないが、塩素化リン1モルに対して、好ましくは10-2〜1モルである。
反応は、従来から知られている種々の方法により行うことが可能であるが、例えば、反応溶媒に塩化アンモニウムと触媒を仕込み、加熱、攪拌しながら、これに五塩化リンの有機溶媒溶液を滴下する方法、反応溶媒に塩化アンモニウムと触媒を仕込み、加熱、攪拌しながら、これに三塩化リンと塩素、または白リンと塩素を供給する方法等があげられる。
【0033】
反応温度は限定されないが、好ましくは100〜200℃の範囲、より好ましくは120〜180℃である。反応温度が100℃未満の場合には、反応が進行しないか、反応完結までに長時間を有することがあり、200℃を越えると、塩素化リンの昇華が増加し、クロロホスファゼンオリゴマーの収率が低下することがあり、さらに、3、4量体だけでなく、5量体以上の環状多量体や線状体の生成が多くなる場合がある。
【0034】
本発明においては、発生した塩化水素ガスを反応系から除去することを目的として、窒素等の不活性ガスを流通してもよいし、真空ポンプやアスピレータで系内を減圧にしてもよい。
反応の進行は、塩素化リンと塩化アンモニウムの反応により生成する塩化水素ガスの発生量をモニターすることにより確認することができる。反応の終了は、塩化水素ガスが発生しなくなったときとしてもよく、さらに反応を完結させるために攪拌を継続し熟成させてもよい。その後、過剰の塩化アンモニウムをろ過により除き、溶媒を留去して実質的にクロロホスファゼンからなる反応生成物を得る。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
本発明で用いられる測定法等は、以下のとおりである。
環状クロロホスファゼンオリゴマーの組成は、GPC測定により内部標準法により決定する。GPC分析結果において、環状オリゴマーの組成比の合計が100%に満たない場合には、不足分は、未反応の塩素化リンが由来の成分または線状体である。
【0036】
(GPC測定条件)
装置:東ソー社製HLC−8220 GPC
Figure 0003778897
カラム温度:40℃
溶離液:クロロホルム
溶離液流量:0.5ml/min
内標:トルエン
【0037】
実施例に使用した溶媒は、市販特級品(和光純薬(株)製)を、五酸化ニリンおよびモレキュラーシーブで乾燥後、蒸留したものである。比較例における溶媒は、市販特級品をそのまま使用した。
反応系内の水分量は、気化装置付きカールフィッシャー水分分析計を用いて測定する。
【0038】
<水分量測定>
装置:三菱化学(株)社製微量水分測定装置CA−100型
(水分気化装置:三菱化学(株)社製VA−100型)
測定方法 :電量滴定法、水分気化−電量滴定法
試料ボートにサンプルを仕込み、120℃で加熱したVA−100内に投入し、300ml/分の窒素気流にて気化した水分を滴定セルに導入して水分量を測定する。
試薬 :アクアミクロンAX/CXU
パラメータ:End Sense 0.1、Delay(VA) 2
【0039】
実施例に使用した塩化アンモニウムは、和光純薬製特級品を、セイシン企業社製シングルトラック・ジェットミル(商標)STJ−200により、乾燥雰囲気下で粉砕した。
塩化アンモニウムの平均粒径および粒度分布は、セイシン企業社製SKレーザーマイクロンサイザー(商標)LMS−300により測定する。
【0040】
<粒度分布測定>
光源 :半導体レーザー(波長670nm)
分散媒 :アセトン
測定方法:100mlビーカー内で塩化アンモニウム0.1gをアセトン30mlに懸濁させ、3分間超音波処理により予備分散を行った後、粒度分布測定機LMS300の分散槽に投入する。
塩化アンモニウムは、使用前に熱風乾燥機中110℃で5時間乾燥する。
【0041】
<ロジン・ラムラー式による粒度分布の算出>
LMS−300から得られた粒度分布の測定結果をロジン・ラムラーグラフ上にプロットすると、データは直線状に並ぶ傾向がある。プロットを最小二乗法によって直線近似し、その直線の傾きを粒度分布とする。
(LMS−300を使用すると、粒度分布の測定結果から自動的にロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が算出される。)
【0042】
【実施例1】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して2.5x10-4モルであった。
【0043】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に56分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して0.89モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して2.5x10-4モルを上回ることはなかった。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.46g(五塩化リンに対して収率99.5%)が得られた。GPC測定結果を表1に示す。
【0044】
【実施例2】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびモノクロロベンゼン15gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して3.2x10-4モルであった。
【0045】
その後、油浴温度140℃で加熱還流しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をモノクロロベンゼン15gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に50分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して0.99モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して3.2x10-4モルを上回ることはなかった。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.45g(五塩化リンに対して収率99.2%)が得られた。GPC測定結果を表1に示す。
【0046】
【実施例3】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、塩化マグネシウム0.048g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して2.8x10-4モルであった。
【0047】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に49分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して1.02モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して2.8x10-4モルを上回ることはなかった。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.44g(五塩化リンに対して収率98.9%)が得られた。GPC測定結果を表1に示す。
【0048】
【実施例4】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径5.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2.8の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して3.1x10-4モルであった。
【0049】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に54分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して0.92モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して3.1x10-4モルを上回ることはなかった。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.41g(五塩化リンに対して収率98.1%)が得られた。GPC測定結果を表1に示す。
【0050】
【実施例5】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μmかつロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛 0.041g(0.5mmol)、ピリジン0.30g(3.8mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して2.7x10-4モルであった。
【0051】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に62分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して0.81モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応中、反応系内の水分量は、五塩化リン1モルに対して2.7x10-4モルを上回ることはなかった。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.40g(五塩化リンに対して収率97.8%)が得られた。GPC測定結果を表1に示す。
【0052】
【比較例1】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して7.1x10-3モルであった。
【0053】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に47分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して1.06モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.25g(五塩化リンに対して収率93.5%)が得られた。GPC測定結果を表2に示す。
【0054】
【比較例2】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径12.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2.2の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して5.1x10-4モルであった。
【0055】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に42分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して1.19モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.12g(五塩化リンに対して収率89.7%)が得られた。GPC測定結果を表2に示す。
【0056】
【比較例3】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して3.6x10-4モルであった。
【0057】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に7分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して7.1モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.08g(五塩化リンに対して収率88.6%)が得られた。GPC測定結果を表2に示す。
【0058】
【比較例4】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径12.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2.2の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して9.2x10-3モルであった。
【0059】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に42分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して1.19モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.01g(五塩化リンに対して収率86.6%)が得られた。GPC測定結果を表2に示す。
【0060】
【比較例5】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、およびo−ジクロロベンゼン 17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して6.8x10-3モルであった。
【0061】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に8分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して6.25モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物2.99g(五塩化リンに対して収率86.0%)が得られた。GPC測定結果を表2に示す。
【0062】
【比較例6】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径12.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2.2の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、o−ジクロロベンゼン17gを仕込み、窒素気流とした。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して4.8x10-4モルであった。
【0063】
その後、油浴温度177℃で加熱しながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をo−ジクロロベンゼン17gに溶解した溶液を105℃に加熱した滴下ロートを用いて、反応系内に8分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して6.25モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行った。反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.03g(五塩化リンに対して収率87.1%)が得られた。GPC測定結果を表2に示す。
【0064】
【比較例7】
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた100mlの4つ口フラスコに、平均粒径2.1μm、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が3.5の塩化アンモニウム1.93g(0.036mol)、酸化亜鉛0.041g(0.5mmol)、ピリジン0.30g(3.8mmol)およびモノクロロベンゼン15gを仕込み、窒素気流を流した。反応溶液の一部をマイクロシリンジで採取し、水分量を測定したところ、五塩化リン1モルに対して8.2x10-3モルであった。
【0065】
その後、油浴温度140℃で加熱還流させながら、五塩化リン6.25g(0.03mol)をモノクロロベンゼン15gに溶解した溶液を、105℃に加熱した滴下ロートを用いて反応系内に52分間かけて滴下した。このときの五塩化リンの反応系内への供給速度は、塩化アンモニウム1モルに対して0.96モル/hrであった。
滴下終了後、2時間反応を行い、反応終了後、未反応塩化アンモニウムをろ別除去し、反応溶媒を減圧留去した。その結果、反応生成物3.24g(五塩化リンに対して収率93.2%)が得られた。GPC測定結果を表2に示す。
【0066】
実施例(表1)と比較例(表2)との比較から明らかなように、
1)反応系内の水分量が塩素化リン1モルに対して5x10-3モル以下であり、
2)塩化アンモニウムの平均粒径が10μm以下、かつロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2以上であり、
3)塩素化リンの反応系内への供給速度が、塩化アンモニウム1モルに対して5x10-2〜5モル/hrの範囲
である場合には、五塩化リンから換算した生成物収率が高く、生成物中の3、4量体が高収率・高選択性で得られていることがわかる。
【0067】
【表1】
Figure 0003778897
【0068】
【表2】
Figure 0003778897
【0069】
【発明の効果】
本発明のクロロホスファゼンオリゴマーの製造方法によって、環状クロロホスファゼン3、4量体を高収率・高選択性で製造することが可能である。
本発明により得られたホスファゼンオリゴマーは、そのまま、またはホスファゼンポリマーの各種誘導体として、プラスチックおよびその添加剤、ゴム、肥料、医薬等、より広範囲な用途に使用することができる。

Claims (5)

  1. 反応触媒の存在下に、下記条件で、塩素化リンと塩化アンモニウムとを反応させることを特徴とする環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
    1)反応系内に含有される水分量が、塩素化リン1モルに対して5x10-3モル以下、
    2)塩化アンモニウムの平均粒径が10μm以下、かつ、ロジン・ラムラー式から算出した粒度分布の値が2以上、
    3)塩素化リンの反応系内への供給速度が、塩化アンモニウム1モルに対して5x10-2〜5モル/hr、
    4)反応溶媒が、ジクロロベンゼンおよびモノクロロベンゼンから選ばれる少なくとも一種。
  2. 反応系内に含有される水分量が、塩素化リン1モルに対して1x10-3モル以下であることを特徴とする請求項1記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
  3. 塩化アンモニウムの平均粒径が2.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
  4. 塩素化リンの反応系内への供給速度が、塩化アンモニウム1モルに対して0.1〜2モル/hrであることを特徴とする請求項1記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
  5. 反応溶媒がジクロロベンゼンであることを特徴とする請求項1記載の環状クロロホスファゼンオリゴマーの製造方法。
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