JP3778427B2 - 打球診断システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、定位置から球を叩打する場合に叩打直後に観察し、その後の飛球状態を診断する打球診断システムに係り、特にゴルフクラブにより打たれたゴルフボールの打ち出し角度、バックスピン、サイドスピン、ミート率、飛距離、ゴルフクラブのヘッドスピード等を計測し、この値をテレビモニタ等に表示し、狭い空間で実際に近い打球情報を得ようとする場合に好適な打球診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の装置およびシステムは種々提案されており、例えばゴルフ打球のショットした瞬間を撮影し、その後の飛距離や曲がりを計測してテレビモニタに表示し、プレイヤーに結果を知らしめて、最適なクラブを決定できるように情報を提示する装置等が知られている(例えば、特開平8−278169号公報、特開平7−121287号公報等)。
【0003】
しかし、従来の装置およびシステムでは、計測の過程で、人が撮影された画像内のゴルフボールを認識し、装置に対して教える必要があった。また、装置構成要素は一般に、打球棒検出部、照明部、撮像部、解析部、表示部等に大きく分けられるが、このうち解析部および表示部には、汎用のパーソナルコンピュータを用いるため、システム的にはアイテム数が多い大規模なものとなっていた。また、人が打球を認識し、装置に教示するための時間、個人差によるばらつきがあり、必ずしも実際に近い打球の情報を得ることができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の装置では、計測の過程で、人が撮影された画像内のゴルフボールを認識し、装置に対して教える必要があり、余分な操作手間や時間を要し、また解析部や表示部に汎用のパーソナルコンピュータを適用するため、アイテム数が多い大規模なものとなったり、人が打球を認識して装置に教示することから、個人差によるデータのばらつきが生じる等の難点があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、叩打力によって飛翔する球の叩打時から人手を要することなく自動認識できるとともに、後の打球軌跡計算等まで全自動的に行うことができ、人の手を介在させずに実際に近い打球情報を計測することができ、しかもアイテム数を最低限として構成のコンパクト化、操作の容易化、および低コスト化等が図れる打球診断システムを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、各種のボールに広く適用することができるとともに、利用者に応じたシミュレーションの種類選択の幅を拡大することができ、さらにラン計算等についての高信頼性確保が図れる打球診断システムを提供することを目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、全自動的に打球診断を行う基本的な機能とともに、使用するボールによっては人が打球を認識して装置に教示する機能をも備え、これにより適用できる球種の一層の拡大を可能とし、打撃練習に幅広く対応できる多機能型の打球診断システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に係る発明では、ゴルフボールのショット直前位置に設置され、ゴルフクラブの通過方向と交差する方向にレーザ光を2箇所で照射し、この各レーザ光が前記ゴルフクラブの通過によって遮断されたことを検出するヘッドスピード検出器と、このヘッドスピード検出器からの検出データを入力として2つのレーザ光が遮断された速度および順によりショットか否かを判断し、一定以下の速度で2つのレーザ光が遮断された場合および遮断方向がゴルフボールに遠い方、次に近い方の順で遮断されない場合には、ショットでないと判断するショット判定手段と、このショット判定手段によりショットと判定された場合に前記ゴルフクラブのヘッドスピードを検出するヘッドスピード検出手段と、前記ゴルフボールのショット直後におけるボール進行方向の一定領域を照明し得る2つのストロボ照明具と、これらのストロボ照明具による発光を前記ヘッドスピード検出手段によって検出されたヘッドスピードに対応して決められた第1発光および第2の発光タイミングで行わせるストロボ発光設定手段と、前記ストロボ照明具によって照射された前記ゴルフボールを前記領域における前後2点で角度が異なる方向から撮影して撮影画面内に2個の打球の画像を多重撮影する2台のカメラ装置と、これらのカメラ装置による撮影を前記スピード検出手段によるヘッドスピードに対応して行わせるカメラ駆動手段と、前記ヘッドスピード検出手段により検出されたヘッドスピード情報および前記カメラ装置により撮影された2つのボール画像情報を取り込み、ボールの進行方向、ボール速度および回転に基づく演算により飛球方向および飛距離等を求める打球状態演算手段と、この打球状態演算手段による演算結果を出力する出力手段と、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するゴルフボールを認識する手段とを備え、前記打球状態演算手段は、前記カメラ装置により撮影された2つのボール画像情報として前記各マークの位置情報および前記ボールの中心位置情報を取り込み、2枚の画像におけるボールの中心と、各マークによる2点と、これらにボールの中心と各マークによる2点とで定まるベクトルの外積から求めることができる1点を加えた計4点の座標値に基づいて、三次元弾道シミュレーションを行うための要素であるボールスピード、回転数、回転軸傾き、サイドスピン、飛び出し角度および横ぶれ角度の解析を行う解析手段を有することを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0009】
請求項2に係る発明では、ゴルフボールのショット直前位置に設置され、ゴルフクラブの通過方向と交差する方向にレーザ光を2箇所で照射し、この各レーザ光が前記ゴルフクラブの通過によって遮断されたことを検出するヘッドスピード検出器と、このヘッドスピード検出器からの検出データを入力として2つのレーザ光が遮断された速度および順によりショットか否かを判断し、一定以下の速度で2つのレーザ光が遮断された場合および遮断方向がゴルフボールに遠い方、次に近い方の順で遮断されない場合には、ショットでないと判断するショット判定手段と、このショット判定手段によりショットと判定された場合に前記ゴルフクラブのヘッドスピードを検出するヘッドスピード検出手段と、前記ゴルフボールのショット直後におけるボール進行方向の一定領域を照明し得る2つのストロボ照明具と、これらのストロボ照明具による発光を前記ヘッドスピード検出手段によって検出されたヘッドスピードに対応して決められた第1発光および第2の発光タイミングで行わせるストロボ発光設定手段と、前記ストロボ照明具によって照射された前記ゴルフボールを前記領域における前後2点で角度が異なる方向から撮影して撮影画面内に2個の打球の画像を多重撮影する2台のカメラ装置と、これらのカメラ装置による撮影を前記スピード検出手段によるヘッドスピードに対応して行わせるカメラ駆動手段と、前記ヘッドスピード検出手段により検出されたヘッドスピード情報および前記カメラ装置により撮影された2つのボール画像情報を取り込み、ボールの進行方向、ボール速度および回転に基づく演算により飛球方向および飛距離等を求める打球状態演算手段と、この打球状態演算手段による演算結果を出力する出力手段と、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するゴルフボールを認識する手段とを備え、前記打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像のそれぞれの球面上にある2つのマークを認識する順序を定めておき、ボールが180°以上回転したとされた場合には1枚目と2枚目の画像が逆の順で認識される誤認があったものと判定する手段と、この手段により前記逆の順で認識される誤認があったものと判定された場合には、撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点で定まるベクトルの内積を用いて、前記2枚の画像間でのマークの誤認による回転を0°〜180°の回転に修正する修正手段とを有することを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0010】
請求項3に係る発明では、請求項1または2に記載の打球診断システムにおいて、ストロボ発光設定手段では、第1発光と第2発光のタイミングで撮影されるボールの画像が180°以上回転しないように第1発光と第2発光の間隔を設定されており、打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像における各ボールの各マークが順序を定めて認識されるとともに、前記の定めた順序が逆の順序で認識され2枚の画像間でボールが180°以上回転したとされた場合には、前記ボールの回転が0〜180°の回転に修正される設定とされていることを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0011】
請求項4に係る発明では、請求項1から3までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点から求められる回転角が0〜30°で認識されて、その回転角をそのまま採用して解析を行う場合に、第1象限の角を第3象限の角として計算し、解析後、第3象限の角を、第1象限の角に戻して演算を行う設定とされていることを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0012】
請求項5に係る発明では、請求項1から4までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するゴルフボールと、マークを有しないゴルフボールを使用する場合とを選択する切換え用のスイッチを備え、打球状態演算手段では、前記マークが存在しないゴルフボールを適用した場合にはゴルフクラブの種類をウッド、アイアン、ウェッジの3種に特定して予め経験的に集計されたインパクト時のバックスピン量の推定値に基づいて、飛距離計算を行う手段と、三次元弾道シミュレーションを行うために、インパクト直後のボールのデータをウッド、アイアン、ウェッジ毎に解析して、ボール初速、飛び出し角、バックスピンの3パラメータにより2次平滑化し、ボール初速および飛び出し角からバックスピンを推定する手段とを有することを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0013】
請求項6に係る発明では、請求項1から5までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、三次元弾道シミュレーションを行うために、インパクト直後のボールのデータについて、ヘッドスピード、ボール初速、飛び出し角を独立変数とし、バックスピンを従属変数として重回帰分析することを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0014】
請求項7に係る発明では、請求項1から6までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段は、一つの頂点を他の頂点と異なる角度にした六角形のマークを付したゴルフボールを使用する場合と、2点マークを付したゴルフボールを使用する場合と、マークを有しないゴルフボールを使用する場合との少なくともいずれか2つの場合を選択する切換え用のスイッチを備えるとともに、弾道計算において前記切換えた場合に対応する計算方法を選択する手段を備えたことを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0015】
請求項8に係る発明では、請求項1から7までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、一方向から見える範囲に文字、図形、記号、数字、その他の各種マークを有するゴルフボールを適用し、打球状態演算手段では、ショット後にカメラ装置で捉えた前記マークの任意の2点が座標指示器によって座標指示されるとともに、前記ボール外形から中心が求められ、当該各座標とボールの中心とに基づいて三次元弾道シミュレーションが行われることを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0016】
請求項9に係る発明では、請求項8記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像の各2つのボールにおけるボールの中心と、座標指示されたマーク上の任意の2点と、これらにボールの中心と各マークによる2点とで定まるベクトルの外積から求めることができる1点を加えた計4点の座標値に基づいて、三次元弾道シミュレーションを行うための要素であるボールスピード、回転数、回転軸傾き、サイドスピン、飛び出し角度および横ぶれ角度の解析を行うことを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0017】
請求項10に係る発明では、請求項8または9記載の打球診断システムにおいて、座標指示器としてマウスを適用することを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0018】
請求項11に係る発明では、請求項9から10までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、座標指示器による任意2点とボール中心の座標指示の入力有無が判別され、入力有りの場合にはカメラ装置により撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点とボール中心で定まるベクトルの内積を用いて各画像のボール回転角を求め、三次元弾道シミュレーションを行うための要素であるボール回転の解析を行うことを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0019】
請求項12に係る発明では、請求項9から11までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、ストロボ発光設定手段では、第1発光と第2発光のタイミングで撮影されるボールの画像が180°以上回転しないように第1発光と第2発光の間隔を設定されており、打球状態演算手段では、座標指示器による任意2点の座標指示の入力有無が判別され、入力有りの場合にはカメラ装置により撮影された2枚の画像における各ボールの各マークが順序を定めて認識されるとともに、前記の定めた順序が逆の順序で認識され2枚の画像間でボールが180°以上回転したとされた場合には、前記ボールの回転が0〜180°の回転に修正される設定とされていることを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0020】
請求項13に係る発明では、請求項9から12までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、座標指示器による任意2点の座標指示の入力有無が判別され、入力有りの場合にはカメラ装置により撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点から求められる回転角が0〜30°で認識されて、その回転角をそのまま採用して解析を行う場合に、第1象限の角を第3象限の角として計算し、解析後、第3象限の角を、第1象限の角に戻す設定とされていることを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0021】
請求項14に係る発明では、請求項1から13までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、一つの頂点を他の頂点と異なる角度にした六角形のマークを付したゴルフボールを使用する場合と、2点マークを付したゴルフボールを使用する場合と、マークを有しないゴルフボールを使用する場合と、各種マークの任意の2点を座標指示器によって座標指示するゴルフボールを使用する場合の少なくともいずれか2つの場合を選択する切換え用のスイッチを備えるとともに、弾道計算において前記切換えた場合に対応する計算方法を選択する手段を備えたことを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0022】
請求項15に係る発明では、請求項1から14までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、ゴルフボールを撮影するカメラ装置は、横向き使用が可能な可搬性のものであり、支持スタンドに着脱可能に支持することにより、ショット位置の地面よりも高い所定高さ範囲内に当該カメラの向きを俯角をもって傾斜配置可能であり、かつカメラ装置を傾斜配置とする場合、打球状態演算手段では、カメラ装置の傾きに対応する弾道計算の数値設定および2点座標の指示計算方法の選択が行われることを特徴とする打球診断システムを提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の実施形態は、例えば比較的狭いゴルフ練習場所等に適用されるゴルフボールの打球診断システムとして適用するものである。
【0024】
第1実施形態(図1〜図7)
図1は、本発明の第1実施形態による打球診断システムの機械的構成部Aを平面的に示すとともに、信号処理系Bとしての機能ブロックを示す説明図である。この図1に示すように、本実施形態の機械的構成部Aは概略的に、3体の分割された機器、すなわちレーザ式のヘッドスピード検出器1、レーザ反射板2および装置本体3により構成される。
【0025】
ヘッドスピード検出器1およびレーザ反射板2は、ゴルフボール4が置かれるショット直前の両側位置、例えばプレイヤーの正面側におけるゴルフボール4を挟む対向両側位置の地面上に固定配置される。このうち、ヘッドスピード検出器1は例えば薄箱状のものであり、スイング方向(矢印a方向)に沿う一定長さと、幅および高さを有し、スイング方向aに一定の間隔で1対のレーザ発受光部1a,1aを有する。一方、レーザ反射板2は縦板状のもので、鏡面をヘッドスピード検出器1に対向させてゴルフボール4の反対側位置に平行に設置される。なお、本実施形態では図1に符号5としてプレイヤーの足の位置を示すように、プレイヤーはレーザ反射板2側に立ってショットするが、逆の位置でショットすることも勿論可能である。各レーザ発受光部1aから発したレーザ光6はレーザ反射板2で反射され、その反射光は各レーザ発受光部1aにて受信される。このレーザ光は変調をかけられており、晴天時の外部での使用など、外光の多い環境への考慮がされている。
【0026】
また、装置本体3はゴルフボール4のショット直後におけるボール進行方向の一定領域の側方、例えばスピード検出器1と同一の側に配置されている。この装置本体3は、箱形のケース体に二次元固体撮像素子を用いた2台の撮影用カメラ装置3a,3aと、2個の撮影用ストロボ照明具3b,3bとを設けた構成とされている。各ストロボ照明具3bは、ボール進行方向に一定の間隔をあけて配設され、ゴルフボール4のショット直後におけるボール進行方向の一定領域を照明し得る可動式構成としてあり、後述するヘッドスピード検出手段によって検出されたヘッドスピードに対応するタイミングで発光を行う。また、各カメラ装置3aはそれぞれ各ストロボ照明具3bの外側に配置されており、ショットされたゴルフボール4を各ストロボ照明具3bと同タイミングでショット直後の前後2点で撮影することができる。
【0027】
信号処理系Bは、装置本体3内に組み込まれており、ショット判定手段7、ヘッドスピード検出手段8、ストロボ発光設定手段9、カメラ駆動手段10、打球状態演算手段11等を備えている。そして、これらの手段によって打球軌跡等の打球状態が求められ、任意の位置に設置される出力手段12に画像表示される。
【0028】
ショット判定手段7は、ヘッドスピード検出器1からの検出データを入力として、ショットが行われたか否かを判定するものである。すなわち、ヘッドスピード検出器1のレーザ発受光部1aからゴルフクラブの通過方向aと交差する方向に照射された2つのレーザ光6は、ゴルフクラブの通過によって順次に遮断されるため、レーザ反射板2からの反射光の遮断によってゴルフボール4の前方でショット動作を検出することができる。ヘッドスピード検出器1の検出信号はケーブル等を介して装置本体3に送られる。そして、クラブヘッドが振り下ろされたことによる撮影開始タイミングと、それぞれのレーザ光6が遮断された時間差が検出される。この場合、ある一定以下の速度で2つのレーザ光6が遮断された場合や、遮断方向がゴルフボール4に遠い方、次に近い方の順で遮断されない場合等には、ショットでないと判断され、次の撮影開始とならない制限が設定される。
【0029】
ヘッドスピード検出手段8は、ショット判定手段7によりショットと判定された場合に、レーザ光6の遮断間隔によりヘッドスピードを検出するものである。このヘッドスピード検出手段8によって検出されたヘッドスピードに基づいて、以下のストロボ発光設定手段9の発光タイミング設定、カメラ駆動手段10の撮影タイミング設定、および打球状態演算手段11における打球速度、ミート率等の打球状態計算が行われる。
【0030】
ストロボ発光設定手段9は、ゴルフボール4のショット直後におけるボール進行方向の一定領域を照明し得るストロボ照明具3bによる発光を、ヘッドスピード検出手段8によって検出されたヘッドスピードに対応するタイミングで行わせる制御を行う。カメラ駆動手段10は、カメラ装置3aによる撮影をヘッドスピード検出手段8によるヘッドスピードに対応して行わせるものであり、ストロボ照明具3bによって照射されたショット直後のゴルフボール4を予め定めた2点で撮影する指令を出力する。打球状態演算手段11は、ヘッドスピード検出手段8により検出されたヘッドスピード情報およびカメラ装置3aにより撮影されたボール画像情報を取り込み、ボール速度および回転に基づく演算により飛球方向および飛距離等を求める。そして、出力手段12は、打球状態演算手段による演算結果を出力する。
【0031】
図2は、ヘッドスピード検出器1による検出位置およびカメラ装置3aによる撮像エリアの様子等を側面視で示す説明図である。この図2の左側部分には、ヘッドスピード検出器1における2つのレーザ光6の位置P1,P2を、左方から右方に順次に示している。ショット時には、まず左方に示す第1の位置P1においてレーザ光6が遮断され、次に右側に示す第2の位置P2においてレーザ光が遮断される。後段のレーザ光位置P2の右側(ヘッド進行側)には、ショット位置に置かれた静止状態のゴルフボール4が示してある。
【0032】
そして、ゴルフボール4の右側に示した四角形の枠で囲まれた範囲が、カメラ装置3aによる撮像エリア13である。ショット後のボール4は、撮像エリア13内に2つのタイミングで露光され、撮影される。撮像エリア13を示す枠内にショット後の4個のゴルフボール4a,4b,4c,4dを示している。本来は、2個のゴルフボール4a,4bあるいは4c,4dが別個に撮影されるが、図2においては、下側に示した2個のゴルフボール4a,4bがロフト角度の少ないヘッド(1W,3Iなど)による打球の軌跡の様子を示し、上側の2個のゴルフボール4c,4dがロフト角度の多いヘッド(PW,SWなど)による打球軌跡の様子を示している。
【0033】
ショット後にゴルフボール4が撮像エリア13内に到達するまでの時間は、クラブヘッドの速度と関連している。診断時には、まずヘッドスピード検出器1からの入力に基づいてヘッドスピード検出手段8で検出されたヘッドスピードに対応して、2つのストロボ照明具3bの1つを発光させる(第1発光)。この発光タイミングは撮影エリア13の左側で捉えることが望ましいため、計算および実験により、クラブヘッドの速度に対応した時間が予め決められる。次にクラブヘッドの速度に対応した、ある時間経過後に、もう一方のストロボ3bを発光させる(第2発光)。これにより撮影エリア内において、ある時間間隔を持ったボール4bの映像が多重露光される。このように、第一発光と第二発光の発光タイミングは、予め決められた値から選択され、またクラブヘッドの種類により、同一ヘッド速度でも打球の速度が異なるため、2種類のテーブルを持つことで、ウッド系から、大きな番手のクラブまで対応可能となっている。
【0034】
このように、本実施形態ではヘッドスピード検出によりショット後の打球4aが画面の左端に写るような1回目のストロボ発光のタイミングが選択され、2回目のストロボ発光で画面の右端に打球4bが写るようなタイミングが選択されて、2回の発光が行われるように発光タイミングの制御が行われる。この場合、本実施形態では、撮影画面内に2個の打球4a,4bの画像が多重撮影される。すなわち、打球は三次元空間を移動し、1台のカメラでは二次元へ投影された動きとなるため、2台のカメラ装置3aを用いて異なった角度から撮影した2枚の画像を得る。このように、角度の異なる方向から撮影して、後述するDLT法を用いることにより、三次元での計測を行うようにしたものである。なお、カメラ装置3aは赤外域に感度を持ち、フィルタを通して、赤から赤外域を撮影するようにすることもできる。これは屋外での背景光影響を少なくして、ストロボの光量を低減することに役立つ。撮影された2枚の画像はディジタル信号に変換され、CPUの受け持つメモリにロードされる。画像はCPUにより後述する所定の手順で処理することにより、全ての計測処理が人の手を介することなく行われる。
【0035】
図3は、ゴルフボール4の表面に表示されるマーク14を示している。このマーク14は、ゴルフボール4の一方向から全姿が見える多角形、例えば六角形のものであり、ゴルフボール4の表面と一定以上の輝度差をもつものとされている。色彩は任意に設定することができる。そして、本実施形態では、多角形のマーク14の一つの頂点14aが他の頂点14bと異なる角度に設定されている。すなわち、この六角形状のマーク14は、五つの頂点14bについては正六角形の一部を構成する整合のとれた角度であるが、例えば図3の右端に位置する一つの頂点14aは突出により他から変形した角度をもつ形状となっている。このように、1つの頂点14aを突出させることにより、マーク14を検査対象として後述するハフ変換により外形の線分を抽出し、各頂点の座標を得る場合において、計測時の基準点とすることができる。
【0036】
図4は本実施形態の診断手順を示すフローチャートである。図4(A)はメインルーチンを示し、図4(B)はハフ計算におけるサブルーチンを示す。
【0037】
図4(A)に示すように、スイッチオンによるスタート後、レーザ光が照射され(S101)、次いで遮光があるか否か判断される(S102)。遮光がなければ(S102:NO)、上記判断が繰り返され、遮光があると(S102:YES)、ショットか否か判定される(S103)。前述したように、遮光の順番がスイング方向と異なるような場合にはショットでないと判断され(S103:NO)、ショットと判定されるまで上記判断が繰り返される。遮光がショットであると判定されると(S103:YES)、ヘッドスピード検出手段8によってヘッドスピードが検出される(S104)。
【0038】
次に、ストロボ発光設定手段9によってストロボ発光タイミング計算が行われ(S105)、その後ストロボ照明具3bによるストロボ発光が行われる(S106)。この直後に各カメラ装置3aにより2点撮影がされ(S107)、図2に示したゴルフボール4a,4bのマーク14の座標に基づいてハフ計算により三次元座標が求められる(s108)。
【0039】
このハフ計算については、図4(B)に示すように、レーザ照射(S101)と同時に、予めカメラ装置による多重画像取り込みが行われ(S201)、画像内輝度平均値(MEAN)・画像内輝度最大値(MAX)の算出がされる(S202)。そして、画像内輝度平均値(MEAN)・画像内輝度最大値(MAX)により境界値算出がされ(S203)、ボール位置(Coo−A)の探索が行われる(S204)。次に、ボール位置エッジ(Mark−EDGE)の作成が行われ(S204)、ボール位置より最短のエッジ(EDGE−A(これがマーク14の第1点目))が算出される(S205)。
【0040】
ここで、ボール位置(Coo−A)と最短のエッジ(EDGE−A)とを結ぶ線を0度とし、60度区切りでボール位置エッジ(Mark−EDGE)を6分割する操作が行われる。6分割されたエッジがそれぞれハフ変換され、直線成分とされる。ハフ変換で6本の直線の交点が導かれる。なお、ハフ変換については、下記に示すように、最短のエッジ(EDGE−A)を1番とし、ボール位置(Coo−A)を中心に左回りに番号を2から6とする。これを2枚の画像に対して行い、計2個のボールから24個の座標を得る。
【0041】
ここで、図5および図6を用いてハフ計算による直線検出について詳細に説明する。
【0042】
直線を表す式として一般的な形はy=ax+bである。しかし、この表現には問題がある。すなわち、パラメータは傾きaとy切片bであり、観測点(x,y)でaを動かすと連動してbも動き、傾きが垂直に近付くとbの値も無限大(小)に発散してしまう。この欠点を取り除くためにρ,θをパラメータとする下記の(1)式の表現を用いる。
【0043】
【数1】
ρ=x・cosθ+y・sinθ ……(1)
【0044】
図5はx−y平面上の観測点を示している。この図5に示すように、観測するエッジ点を下記の(2)式のように、Pi(xi,yi)とする。
【0045】
【数2】
【0046】
各点に対して、(1)式より得られるρ−θ平面上の軌跡を描くと、図6に示すように、それぞれ一つの曲線になる。x−y平面上で同一直線上の二点は図6のように、ρ−θ平面上でただ一回だけ交わる。
【0047】
x−y平面に直線成分があると、図6に示すように、ρ−θ平面上に軌跡の集中点が現れる。ここで、最も軌跡が集中している点(ρj,θj)に対応するx−y平面上の直線を、求める直線とする。実際には、軌跡の累積度数を制限することにより直線の検出をする。
【0048】
ρ−θ平面上の一点はx−y平面上の一直線に対応するので、求める直線の方程式は、下記の(3)式に示すように、
【数3】
となる。
【0049】
以上のハフ計算の後に、算出された24個の座標をDTL法(Direct Liner Transformation法)により三次元座標位置(3D−Coo)に変換する工程を行う(図4:S109)。
【0050】
このDTL法による三次元座標位置(3D−Coo)への変換に基づいて、三次元座標位置(3D−Coo)とヘッドスピードとにより、ボールスピード、回転数、回転軸傾き、サイドスピン、バックスピン、飛び出し角度、横ぶれ角度等が算出される。
【0051】
図7を参照してDLT法について詳述すると、以下の通りである。
【0052】
カメラやビデオカメラで被写体の座標を測定する場合、本来撮像やビデオカメラに平行面内の二次元座標はそのまま求められる。見取図の場合は真上から撮影した映像がそのまま二次元の平面図であり、その映像の必要なポイント座標をそのまま測定すればよいが、真上からの撮影は通常の場合は不可能である。
【0053】
地上から撮影した映像は斜めから撮影した映像であり、測定したい座標は三次元座標である。映像から三次元座標を算出する場合、通常は2台以上のカメラで被写体を撮影し、計算により三次元座標を算出する。厳密に三次元座標を検出する場合は2台のカメラで被写体を撮影し、計算により三次元座標を算出する。
【0054】
厳密に三次元座標を検出する場合には、2台のカメラ装置3aの位置、光軸の方向、レンズの焦点等のカメラ定数から計算する。ただし、このカメラ定数を正確に算出することは撮影現場では不可能に近く、現実的ではない。そのため、三次元座標の算出の方程式の中でカメラ定数に依存する定数が不知であっても座標値を求める方法がDLT法である。
【0055】
この方法は、被写体内にある既知の座標値から逆に計算し、カメラ定数を求め、その定数により三次元座標を求めるものである。
【0056】
(1)実空間座標と撮像面上での座標の関係
図7は、実際の被写体である実空間(object space)と投影される撮像面上での座標の関係を示している。
【0057】
図7に示すように、実空間上の一つの点Pの撮像面上の像をQとする。Qの撮像面上での位置は、レンズの中心位置(カメラ位置)、光軸の向きおよびレンズの中心と撮像面との距離(Pが十分遠方にあればレンズの焦点距離に等しい)により一義的に定まる。
【0058】
実空間上に任意の座標軸を設定し、点Pおよびレンズの中心Oの座標がその座標系に対して、それぞれ(X,Y,Z)および(X0,Y0,Z0)であったとする。また、点Qを含み、光軸に垂直な面とレンズの中心との距離をFとする。撮像面上にも任意の座標軸(但し、座標の単位は実空間座標と同じ)をとったとき、Pの像Qの撮像面上での座標が(U,V)であったとする。
【0059】
点Pとその像Qとの関係については、下記の(4),(5)式
【数4】
が得られる。
【0060】
(4)式および(5)式は実空間座標(X,Y,Z)と座標(U,V)の関係を一般的な形で表している。したがって、もし2台のカメラによって同じ点を撮影し、2組の(U,V)を実測すれば、(4)式,(5)式に代入して4個のX,Y,Zに関する方程式が得られる。この4つの方程式のうちの任意の3個を連立方程式として解けば、実空間座標(X,Y,Z)の値が確定する。しかし、そのためには(4)式および(5)式に含まれるカメラ定数である(X0,Y0,Z0),(U0,V0),mijおよびFの値を知ることが必要である。しかしながら、これらの定数の値を実測することは容易ではない。特にmijを決定する光軸の向きを求めることは極めて困難である。
【0061】
逆に、これらの定数が予め定められた値になるようにカメラを設定するとしても、実験室内で、しかも極めて特殊な装置を用いない限り困難である。
【0062】
そこで、DLT法ではこれらのカメラ定数を直接求めるのではなく、実空間での座標値が知られている点(コントロールポイント)の像の撮像面上での座標値を実測することにより方程式に表れる定数を決定する方法を採っている。
【0063】
(2)係数の決定
(4)式、(5)式でカメラ定数を適当にまとめ、U,VおよびX,Y,Zについて整理すれば、下記の(6)式、(7)式
【数5】
が得られる。
【0064】
ここで、A1,…,A4,B1,…,B4およびC1,…,C3の11個の定数はカメラ定数により定まる。そこで、(6)式、(7)式をこれらの11個の定数について解くと、下記の(8)式、(9)式
【数6】
が得られる。
【0065】
これらの2つの式はA1からC3までの11個の定数に関する一次方程式となっている。もし、実空間での座標値が既知の6個のコントロールポイントとその像の撮像面での座標の実測値、言い換えれば6組の(X,Y,Z)と(U,V)が得られれば、これらの式に代入することにより、12個の方程式が得られる。これらのうちの任意の11個のA1からC3までの11個の未知数に関する連立一次方程式とみなして解けば、A1からC3までの定数の値が求まる。
【0066】
A1からC3までの11個の定数が決まってしまえば実座標(X,Y,Z)の値は撮像面上の座標(U,V)はわかっているので求めることができる。
【0067】
(8)式、(9)式を式X,Y,Zに関する方程式として書き換えると、下記(10)式、(11)式
【数7】
が得られる。
【0068】
(3)1台のカメラで三次元座標を算出する方法
前述した(8)式、(9)式で測定する座標が同じ平面内に含まれている場合、例えば測定点がXY平面にあると仮定すればZは定数になり無視できる。(8)式、(9)式でZ=0と置けば、
【数8】
が得られる。
【0069】
これらの2つの式は8個の未知数に関する一次方程式となっている。もし、実空間での座標値が既知の4個のコントロールポイントとその像の撮像面での座標の実測値、言い換えれば4組の(X,Y,Z)と(U,V)が得られれば、これらの式に代入することにより、8個の方程式が得られる。これらのうちの任意の7個のA1からC2までの7個の未知数に関する連立一次方程式とみなして解けば、A1からC2までの未知数の値が求まる。未知数が求まれば、(8),(9)の式をx,yについて整理し、
【数9】
が得られる。
【0070】
これらの式(14),(15)でA1,A2,A4,B1,B2,C1,C2は係数で既知であり、U,Vも撮像面上の座標で既知であるので、実座標X,Yに関する連立方程式を解けばX,Y座標を求めることができる。
【0071】
以上のDLT法により、ボールスピード回転数、回転軸傾き、サイドスピン、飛び出し角度、横ぶれ角度を求め、これにより三次元弾道シミュレーションが行われる(図4:S110)。
【0072】
ゴルフボールの打撃後の位置、すなわち三次元弾道シミュレーションは、F=m・dV/dtの運動方程式を解くプログラムを用いて計算することによって、得られる。
【0073】
X軸を飛球方向、Z軸を横ぶれ方向、Y軸を鉛直方向とすると、ある時間tにおいてボールに働く力Fx(t),Fz(t),Fy(t)は、下記の(101)式〜(103)式で表される。
【0074】
【数10】
【0075】
以上の運動方程式を解くことによって、任意の時間のボールの変位ベクトルと速度ベクトルを計算することができる。
【0076】
以上の操作により行われる三次元弾道シミュレーションの最後は、ゴルフボールが地面に落ちるときである。その時の三次元速度成分(X,Y,Z軸)とスピン数とにより、最後の処理として、ランの計算を行う(図4:S111)。ランの計算とは、地面でバウンドした後のボールの全移動量(ラン:R)を言う。
【0077】
以下、ラン計算について説明する。
【0078】
(1)落下直前のボールの速度成分(Vx,Vy,Vz)とした場合について考える。ここで各速度成分は、横ぶれ方向をVx、飛球線方向をVy、高さ方向をVz(上向き正)とする。例えば芝の摩擦、反発係数を加味した原則パラメータeを新たに設定し、これは実験により得られる経験値とする。また、これはVzに依存しないものと仮定する。
【0079】
バウンドは、例えば10回繰り返すものと仮定し、その後の転がりは考慮しない。ただし、10回は暫定で、z方向速度成分が十分小さくなった場合、そこでバウンド終了とするプログラムとしてもよい。
【0080】
1回目の跳ね上がり速度Vz1は
【数11】
Vz1=−Vz×e
である。ここで、e=0.2091である。
【0081】
1回目のバウンド(跳ね上がって次に地面に落下するまで)に要する時間t1は、
【数12】
t1=−(2Vz/g)×e
である。ここで、gは重力加速度である。
【0082】
1回目のボール移動量R1は、
【数13】
R1=(Vx2+Vy2)1/2×t1
であり、2回目の跳ねあがり速度R2は、
【数14】
Vz2=Vz1×e=−Vz×e2
である。3回目の跳ねあがり速度Vz3は、
【数15】
Vz3=Vz2×e=−Vz×e3
であり、以下、順次同様に4回目以降の跳ね上がり速度を求める。
【0083】
以上より、10回バウンド後のボールの全移動量(ラン)Rは、下記の(124)式で表される。
【0084】
【数16】
【0085】
計算例を下記の表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
(2)各時間のボールの位置
画面上にボールの軌跡を表示するため、ボールの位置を計算する必要がある。
【0088】
x方向、y方向の移動量は、単純にVx×t、Vy×tで計算することができる。(1)で説明したように、バウンドの度にz方向の速度成分にeが乗じてくる。また、それに伴い、1バウンド当りの滞空時間も短くなるので、各バウンド毎に座標を計算する。
【0089】
1バウンド目を参考に例を掲げると、
【数17】
【数18】
【0090】
以上のラン計算により、トータル飛距離の算出が終る。
【0091】
このように、本実施形態においては、打球が三次元空間を移動し、1台のカメラでは二次元へ投影された動きとなることから、2台のカメラ3aを用いて異なった角度から撮影した2枚の画像を得るようにしている。そして、この2台のカメラ装置3aについては、予め寸法の判った12点のポイントを持つキャリブレーション治具を撮影し、DLT法により、この撮影系の三次元定数を取得しておく。この三次元定数により、第1の発光による画像と、第2の発光による2つの画像とから、三次元空間での2つのゴルフボールの座標を算出し、打ち出し角度、バックスピン、サイドスピン、打球速度を算出するものである。
【0092】
ミート率は、ヘッドスピード検出器1によって検出されるヘッドスピードと、打球速度とから算出することができる。飛距離においては、別途打撃マシーン等を用いた実験値を基にして作成した弾道計算処理により、打ち出し角度、バックスピン、サイドスピン、打球速度等により計算することができる。
【0093】
算出された各データは、表やグラフ等の形にまとめ、出力手段としてのテレビモニタ等に表示する(図4:S112)。試打者であるプレイヤーは、このデータを見ることで、狭い空間でも、実際に近い打球の情報を得ることができる。
【0094】
また、モニタ表示されている映像は、ビデオプリンタを用いることにより、プリントアウトすることができる。
【0095】
本実施形態では、ビデオ出力、イーサネット(Ethernet)出力、リモートコントロール装置等を適用することができ、それにより計測結果はテレビモニタに表示することができる。また、ビデオ出力をプリントアウトするビデオプリンタを用いることにより、記録紙に記録することもできる。リモートコントロール装置では、測定結果の画面変更などを行い、様々な表現で結果を伝えることができる。イーサネットはパーソナルコンピュータと接続することで、試打者のデータ管理や、撮影データそのものを送り、異なった処理にも対応可能である。
【0096】
なお、以上の実施形態においては、ゴルフボールに関する打球診断について説明したが、本発明はこれに限らず、練習時等に定位置から打球具や人体により球を叩打することがある他の球技用ボール、例えば野球用ボール、クリケット用ボール、テニスボール、サッカーボール、ラグビーボール、卓球ボール、その他種々のボールの打球診断に適用することができる。
【0097】
その場合には、叩打力によって飛翔する球の叩打直後における進行速度および回転角ならびに回転速度を計測し、その計測値に基づいて後の打球軌跡を計算し、その軌跡を推定して画像表示する打球診断システムとして広く適用することができる。
【0098】
例えば、各種の球に叩打力を与える要素の叩打直前の動作を光学的に検出する叩打要素検出手段と、この叩打要素検出手段によって検出した動作に基づいて打球の出発速度および方向を求め、その速度と方向に対応する少なくとも2点の球測定位置を指定する測定位置指定手段とを設ければよい。そして、この測定位置指定手段によって指定された個所で光学的に前記球の表面を少なくとも出発2点で光学的に観察する打球観察手段と、この観察手段によって捉えた各点における球の進行方向および速度ならびに回転方向および角速度により打球のその後の軌跡を求める打球軌跡算出手段と、算出した打球軌跡を画像出力する出力手段とを備える構成とすればよい。
【0099】
この場合においても、球の表面に多角形もしくはこれに類する形状要素を表示し、この形状要素における少なくとも一つの頂点もしくはこれに相当する表示部の位置、形状または角度その他の要素を他の頂点もしくはこれに相当する表示部から異ならせて特徴付け、この特徴付けられた表示要素と他の表示要素とを打球観察手段によって捉えて打球軌跡算出を行うことが望ましい。
【0100】
また、叩打要素検出手段の光学的な検出要素として、少なくとも2箇所の異なる位置で照射されるレーザ光を適用し、球を叩打する手段によって各個所で前記レーザ光が遮光されることに基づいて前記球を叩打する手段の速度および方向を検出するものであることが望ましい。さらに、レーザ光として、変調されたレーザ光を適用することが望ましい。
【0101】
第2実施形態(図8〜10)
本実施形態は、前記第1実施形態で使用した六角形のマークを付したゴルフボールに代えて、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するゴルフボールを適用する場合についてのものである。すなわち、前述した(12)式および(13)式等で示したように、三次元弾道シミュレーションを行うための要素であるボールスピード回転数、回転軸傾き、サイドスピン、飛び出し角度、横ぶれ角度等については、実空間での座標値が既知である4個のコントロールポイントを得ることによって正確に求めることができる。
【0102】
そこで、本実施形態では、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するボールを適用し、このマークによる2点と、ボールの中心と、これらの3点で定まる外積から求めることができる1点の計4点を要素とするものである。
【0103】
図8は、適用するゴルフボールの一例を示している。この図8に示すように、本実施形態で適用するゴルフボール4には、一方向から見える範囲に例えば円形の2つのマーク15,16が付されている。各マーク15,16は同一径または異径の円形で、一定距離離間した配置としてあり、塗り潰しとしてある。解析には、このマーク15,16による2点と、ボール4の中心と、これらの3点で定まる外積から求めることができる1点の計4点を要素とするものである。なお、基本的には、ボール中心による1点と、マーク15,16による2点の計3点を要素として解析することも可能であるが、本実施形態において、さらに座標から外積にて第4点目を求め、このようにマーク2点、中心点1点の他に、外積を含めた4点で計算を行う理由は、3点の場合には一平面上に現れる誤差を大きく含む場合があるのに対し、4点にすることによって誤差が大きく現れることを解消できるからである。なお、2点のマーク15,16の形状、位置、間隔、着色等についてはどのようなものでもよく、例えばゴルフボール4に付される各種の着色表示等を利用することも可能である。
【0104】
図9(A),(B)は、2台のカメラ装置3aによって捉えられるショット直後のゴルフボール4の形態を示すものである。これらの図に示すように、ゴルフボール4の2点のマーク15,16の位置が移動に伴って変化することにより、第1実施形態の場合と同様に、ボールスピード回転数、回転軸傾き、サイドスピン、飛び出し角度、横ぶれ角度等の解析要素を得ることができる。
【0105】
図10は、このような画像データを利用する第2実施形態の診断手順を示すフローチャートである。図10(A)はメインルーチンを示し、図10(B)は位置計算におけるサブルーチンを示している。
【0106】
図10(A)に示すように、本実施形態では第1実施形態と同様の手順(S301〜S312)に加えて、探索方法の選択工程(S307a)および2点マーク位置計算工程(S308a)を行う。これにより、第1実施形態の図3に示した六角形のマーク14を付したゴルフボール4を使用する場合と、本実施形態における図8の2点マーク15,16を付したゴルフボールを使用する場合とを選択できるようにしている。このステップS307aの選択を行う前提として、本実施形態の装置構成(図1参照)において、プレイヤーが予め使用するボールの種類に応じて選択できる切換スイッチ(図示省略)を設けておくものである。但し、本実施形態の適用のみを単独で行うための専用装置としての実施も勿論可能である。その場合には、図示しないがステップS308をS308aに置き換えた装置構成として実施すればよい。
【0107】
そして、2点マーク位置計算工程(S308a)については、図10(B)に示すように、第1実施形態と同様の工程(S405〜S407)に代えて、これらの工程と略同様の手法で、探索方法の選択(S404a)から、ボール範囲内マークエッジを作成する工程(S405a)、マークエッジを2グループ化する工程(S406a)、各マークエッジの位置計算を行う工程(S407a)を実行し、座標計算(S407)へと進むものである。
【0108】
なお、上述した本実施形態の工程においては、ゴルフボール上に表示したマーク15,16が180°回転しないように、2つのストロボ照明具3bによるフラッシュの発光間隔(時間)および2つのカメラ装置3aによる撮影間隔(時間)を定める。これらの発光間隔および撮影間隔は、過去の実績から、例えば、0.96msec〜7.52msecが適当である。
【0109】
そして、撮影された2枚の画像に基づいて、前述したように、それぞれの球面上にある2つのマークの順序を定めるが、第1の誤認が起こる可能性として、1枚の画像内のそれぞれの球面上マーク15,16が逆順に認識された場合が考えられる。この場合においても、180°以上回転しない前記の設定とすることによって、180°以上の回転は0〜180°の回転に修正することが可能である。
【0110】
また、第2の誤認が起こる可能性として、2枚の画像間で、逆の順序で認識された場合が考えられる。そこで本実施形態では、内積を利用し、2つの画像間でのマーク誤認を防止することができる。そして、解析に際しては誤認した、2つのマーク15,16を修正することで、誤認を防止することが可能である。
【0111】
さらに、0〜30°の回転角をそのまま採用して解析を行う場合には、解析誤差が大きく発生するが、第1象限の角を第3象限の角として計算することで、精度を向上することができる。そして、解析後、第3象限の角を、第1象限の角に戻すことで、正しい角とすることが可能である。他の工程については、第1実施形態と略同様であるから、説明を省略する。
【0112】
以上の本実施形態によれば、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマーク15,16が2点存在するボールを適用できることから、打球練習用として利用できるゴルフボール4の種類の範囲拡大が図れ、利用上の利便性向上に寄与できるようになる。
【0113】
第3実施形態(図11〜図18)
本実施形態は、さらに上記の第1、第2実施形態で示したようなマークが存在しない、全てのゴルフボールに適用できる応用例についてのものである。このようなマークが存在しないゴルフボールの場合には、ボール回転数を解析することができない。そこで、本実施形態では、ゴルフクラブの種類をウッド、アイアン、ウェッジの3種に特定して予め経験的に集計されたショット時(インパクト時)のバックスピン量の推定値を利用して、飛距離計算を行うものである。
【0114】
また、サイドスピンは考慮せず、打ち出し方向に直進した結果としての飛距離計算を行う。すなわち、打ち出し方向への飛距離のみの弾道シミュレーションによるモニタ表示するものである。自打球のスライス状態等についての癖を知るプレイヤー等の利用に適合する、いわば簡易モード型の実施形態である。
【0115】
図11(A),(B)は、ショット直後に撮影されるボール4の画像を示し、図12〜図17は、バックスピンの計算値を基にした弾道状態およびその信頼性等についての説明図である。図18は処理手順を示すフローチャートである。
【0116】
図11(A),(B)に示すように、本実施形態では撮影される打球直後のゴルフボール4については、ボール位置のデータしか実測することができない。すなわち、ボール回転数がとれない状態で弾道シミュレーションを行う必要がある。そこで、ヘッドスピード、或いはボール初速、飛出し角より、妥当な(一般的な)バックスピン量を概算する。
【0117】
まず、検討事項について説明する。本実施形態では、前述したDLTにより、ボール4の中心点の移動に関する情報のみが得られる。即ち、ボール初速、飛び出し角(上下、左右)等である。また、ヘッドスピード測定により、ヘッドスピードを計測することができる。よって、これらのパラメータより、バックスピン量を概算する。この場合、経験値として予めハイスピードカメラにより、各種プレイヤー、例えば熟練者(職業プレイヤー等),それ以外の一般的なプレイヤー、あるいはロボット等によるインパクトデータを得て、これを基礎データとして扱う。
【0118】
データの検討方法は、次の二通りである。すなわち、(i)ボール初速、飛び出し角、バックスピンの3パラメータでの2次平滑化。(ii)ヘッドスピード、ボール初速、飛び出し角を独立変数とし、バックスピンを従属変数とした重回帰分析である。インパクトデータはウッド、アイアン、ウェッジ毎に解析する。これは、全てのクラブをまとめて解析することとした場合には、非常に大きなばらつきが生じ、傾向を見出すことができないからである。
【0119】
以下、図12〜図17によって、インパクト時のバックスピン量の推定結果および解析について説明する。
【0120】
(1)ウッドによるショット(図12および図13)
図12は、ウッドによる多数の打球について、横軸にショット後のボール初速を表し、縦軸に飛出し角(上下)を表したグラフである。この場合のバックスピン量を推定し、500rpmごとにグラフ上の領域に種分けしてある。推定した計算式は、ボール初速、飛び出し角、バックスピンの2次平滑化であり、下記の式(16)である。
【0121】
【数19】
【0122】
また、ヘッドスピード、ボール初速、飛び出し角を独立変数とした重回帰分析結果は、
【数20】
である。
【0123】
図13は、ウッドのバックスピンに関する実測値と、重回帰分析、2次平滑結果の比較を示している。縦軸に上記の各計算結果を表し、横軸に対応するバックスピンの実測値を表している。
【0124】
本実施形態において、信頼性の根拠は、それぞれ重回帰と2次平滑化における相関係数Rの比較である。相関係数Rが大きいほど、統計的に近似が妥当であると言える。ひとつの目安として、R=0.6以上(R2=0.36以上)であれば、信頼性が高いということができる。
【0125】
図12および図13の結果においては、重回帰分析、2次平滑結果のいずれの場合も、完全な相関は得られていないが、重回帰分析Rについては、R2=0.1899であり、2次平滑結果については、R2=0.3643であることから、2次平滑化による結果の方がデータのばらつき度合いがより現実的であると判断することができる。
【0126】
(2)アイアンによるショット(図14および図15)
図14は、アイアンによる多数の打球について、横軸にショット後のボール初速を表し、縦軸に飛出し角(上下)を表したグラフである。この場合のバックスピン量を推定し、500rpmごとにグラフ上の領域に種分けしてある。推定した計算式は、ヘッドスピード、ボール初速、飛び出し角を独立変数とした重回帰分析であり、下記の式(18)である。
【0127】
【数21】
【0128】
図15は、アイアンのバックスピンに関する実測値と、重回帰分析、2次平滑結果の比較を示している。縦軸に上記の各計算結果を表し、横軸に対応するバックスピンの実測値を表している。
【0129】
図14および図15の結果においては、重回帰分析Rについて、R2=0.6035であり、2次平滑結果については、R2=0.2048であり、重回帰分析結果の相関係数が高いことは明らかである。そこで、アイアンについては重回帰分析結果の方を採用する。
【0130】
(3)ウェッジによるショット(図16および図17)
図16は、ウェッジによる多数の打球について、横軸にショット後のボール初速を表し、縦軸に飛出し角(上下)を表したグラフである。この場合のバックスピン量を推定し、500rpmごとにグラフ上の領域に種分けしてある。推定した計算式は、ボール初速、飛び出し角、バックスピンの2次平滑化であり、下記の式(19)である。
【0131】
【数22】
【0132】
図17は、ウェッジのバックスピンに関する実測値と、重回帰分析、2次平滑結果の比較を示している。縦軸に上記の各計算結果を表し、横軸に対応するバックスピンの実測値を表している。
【0133】
図16および図17の結果においては、重回帰分析Rについて、R2=0.8296であり、2次平滑結果については、R2=0.9119であり、重回帰分析、2次平滑何れの計算結果も相関係数が高い。但し、2次平滑化の信頼性が若干高いので、2次平滑化結果の方を採用する。
【0134】
以上の結果より、本実施形態では、ウッドについては2次平滑化、アイアンについては重回帰、ウェッジについては2次平滑化を採用して、弾道シミュレーションの解析を行う。
【0135】
この場合の処理としては、基本的には、第1実施形態で示した手順に沿って行われるが、サイドスピンを考慮する点が除かれる。これにより、打ち出し方向に直進した結果としての飛距離計算が行われ、打ち出し方向への飛距離のみの弾道シミュレーションによるモニタ表示がなされる。この場合、図18に示すように、位置計算工程については、第1実施形態および第2実施形態と異なり、算出方法の選択のための工程(S503a)が行われる。ここで、マーク無しの選択がされると、上記推定式を用いた座標計算(S507)が行われる。
【0136】
なお、この図18においては、第2実施形態と同様に、探索方法の選択工程(S504a)および2点マーク位置計算工程(S504b〜S506b)も加えられ、第1実施形態の図3に示した六角形のマークを付したゴルフボールを使用する場合と、第2実施形態における図8の2点マークを付したゴルフボールを使用する場合と、さらにマークを有しないゴルフボールを使用する場合(マーク無し)とを選択できるようにしている。これらの選択工程S503a、S504の選択を行う前提として、本実施形態の装置構成(図1参照)においても、第2実施形態と同様に、プレイヤーが予め使用するボールの種類に応じて選択できる切換スイッチを設けておくものである。但し、本実施形態の適用のみを単独で行うための専用装置としての実施も勿論可能である。その場合には、図示しないがステップS504〜S506等を省略した装置構成として実施すればよい。
【0137】
本実施形態によれば、マークが存在しない全てのゴルフボールに適用できる広範な利用が可能となる利便性を得ることができる。この場合、サイドスピンは考慮せず、打ち出し方向に直進した結果としての飛距離計算を行う簡易モード型であることから、打ち出し方向に直進した結果としての飛距離計算により、打ち出し方向への飛距離のみの弾道シミュレーションによるモニタ表示で十分とするプレイヤー等の利用に適合し、また弾道計算等も比較的簡便なものとして、簡易な構成が実現できる等の利点が得られる。
【0138】
第4実施形態(図19)
本実施形態は、ゴルフボールが飛翔して着地した後の移動であるランの計算をさらに高精度で行う手段についてのものである。すなわち、ランの計算に関しては、地面のコンディション(ボールと地面の反発特性や、芝の摩擦、さらには地形効果など)、或いはバウンドから転がりへと転じる閾値等、物理的アプローチから正確に求めることは非常に困難である。そこで、シミュレーションの作成は、物理的に大きな破綻をきたさないよう配慮し、且つ以下の点に特に注意して行う必要がある。そこで、本実施形態では、(i)これまで計測してきたデータと、シミュレーション値との整合性を確保すること、および(ii)ゴルファーのウッドが転がって、アイアン、ウェッジは止まってほしいという心理に配慮することを目的として、なされたものである。
【0139】
具体的には、上記(ii)を実現するために、落下角(俯角)が浅いと良く転がり、深いと転がらないようにすること、また上記目的に沿うために、落下速度を三次元の(Vx,Vy,Vz)成分に分離し、水平成分(Vx,Vyに関する)にはその速度と俯角の影響を考慮したバウンド毎に変化する減速成分を、また垂直成分(Vzに関する)には地面との反発係数を考慮したバウンド毎に変化する減速成分を、それぞれバウンド毎に乗じることで、ランの距離を制御するようにしたものである。以下、詳述する。
【0140】
(1)ランの計算
落下直前のボールの速度成分(Vx,Vy,Vz)とした場合について考える。ここで各速度成分は、飛球線方向をVy、横ブレ方向をVx(目標に対し右側を正)、そして高さ方向をVz(上向き正)を意味する。
【0141】
ここで、仮定1として、Vx及びVy方向には芝の摩擦を想定した減速パラメータμを、またVz方向には反発係数を加味した減速パラメータeを設定し、これは実験より得られる経験値とする。また、μは落下角度(俯角)に、eはVzにバウンド毎にそれぞれ依存する係数とする。
【0142】
また、仮定2として、μ及びeは、以下の式(20),(21)で決定する。
【数23】
但し、tan−1〜部分は地面に対する俯角を示し、単位は「°」である。
【数24】
ここで、α=41、β=0.551、γ=0.998、σ=59.7である。
【0143】
なお、α、β、γ、σは過去に蓄積したデータとの照合により決定した値であり、上記数値に必ずしも限られるものではない。
【0144】
次に、仮定3として、バウンド回数については特に制限は設けないが、水平移動方向速度(Vx2+Vy2)0.5が0.1m/s以下であり、もしくはVyが0.0001m/s以下になると終了するこことした。
【0145】
本実施形態では、以上の仮定に基づいて、下記の計算を行う。
【数25】
以下、同様である。
【0146】
(2)各時間のボールの位置
本実施形態では、画面上にボールの軌跡を表示するために、ボールの位置を計算する必要がある。(1)で説明したように、バウンドの度にz方向の速度成分にenが乗じられることとなる。またそれに伴い、1バウンド当りの滞空時間も短くなる。
【0147】
そこで、1バウンド目を参考に例を挙げると、
【数26】
と表される。
ここで、Z1の値が0から始まり再び0になるとき、2バウンド目Z2を考慮することとした。
【0148】
ちなみに、2バウンド目は、
【数27】
となる。
【0149】
以下、同様である。
【0150】
図19は、ゴルフスイングロボットによる様々なクラブに関するショットのランの実測値と、上記の方法によって作成したシミュレーションによる計算値との比較を示すグラフである。
【0151】
この図19によれば、データがy=x(実測と計算が1:1の関係である)上に均一に分布し、シミュレーションが成功していることを示している。多少のばらつきは、落下地点の状態(凸凹、芝の状態)が均一でないところに起因している。よって、シミュレーションとして均一な状態の芝に落下したとすれば、十分使用できるものと判断できる。
【0152】
以上の本実施形態によると、落下角、落下速度等の要素を取り込んでランの計算を行うことにより、第1実施形態で示したランの推定をさらに高信頼性のものとして適用することができる。
【0153】
第5実施形態(図20〜図24)
本実施形態は、上述した第1〜第4実施形態の機能に加え、何らかの表示があるボールを使用する場合にも対応できる機能を付加したものである。
【0154】
すなわち、上述した各実施形態においては、図3または図8に示したように、六角形のマーク14、または顕著な2点マーク15,16等の特定のマーク(以下、「固定マーク」ともいう)を表示したボール4を適用したが、本実施形態では、一方向から見える範囲に文字、図形、記号、数字、その他の各種マーク(以下、「自由マーク」ともいう)17を有する一般的なゴルフボール4を適用する。
【0155】
図20は、このようなゴルフボールの一例を示している。この図20に示すように、本実施形態で適用するゴルフボール4には、一方向から見える範囲に例えば英文字によるマーク17が付されている。このマーク17はボール表面の全体輝度に対して少なくとも解析のために利用できる輝度差を有するマークであれば足りる。本実施形態では、この英文字からなるマークの例えば左右下端位置の2点18,19を座標指示用として適用する場合について説明する。
【0156】
図21は、このようなボール4を使用する本実施形態の打球診断装置を平面的に示す図であり、図22は図21の概略的な側面図である。これらの図に示すように、本実施形態でも前記各実施形態と同様に、ヘッドスピード検出器1、レーザ反射板2、装置本体3等が備えられ、装置本体3には、撮影用カメラ装置3a,3a、撮影用ストロボ照明具3b,3bが設けられるとともに、信号処理系Bが収納されている。これらの構成は図1に示したものと略同様であるから、重複する説明は省略する。
【0157】
本実施形態の装置が前記各実施形態と異なる第1の点は、信号処理系Bに接続されてショット後にカメラ装置3a,3bで捉えた自由マーク17の任意の2点18,19を指示する座標指示器20を備え、信号処理系Bには、前記各実施形態で示した機能に、座標指示器20からの入力に対応する機能が追加されていることである。座標指示器20としては、各種のマウスを適用することができ、例えば支持台の不要なトラックボールと呼ばれる手で把持した状態で指示操作できるものが好適である。
【0158】
また、本実施形態の装置が前記各実施形態と異なる第2の点は、図22に示すように、ボール4を撮影するカメラ装置3a,3bを、ショット位置の地面よりも高い所定高さ範囲内に設置し、当該カメラの向きを俯角をもって傾斜配置させたことにある。これにより、カメラの向きが下向となるため、ボール4の撮影に際し、不要な周辺からの入光をより効果的に防止し、座標指示用の自由マークの2点18,19を明確に捉えることができる。特に、太陽光等が入光し易い戸外の練習場等において、効果的である。
【0159】
カメラ装置3a,3bを収納した装置本体3は横向き使用が可能な可搬性のものであり、傾斜面を有する支持スタンド21に着脱可能に支持することにより傾斜配置可能としてある。すなわち、装置本体3はショット位置の地面上に直接載置して使用することも可能であり、各種の設置状態を選択できるものである。
【0160】
図23は、上述したカメラ装置3a,3bの一方によってショット直後に撮像された画面上の2位置にあるボール4の状態、および座標指示器20を使用してカーソル22a,22bを移動させ、ボール4に表示された自由マーク17の2点18,19の座標指示を行う様子を示している。
【0161】
また、この図23に示すように、ボール4の外形を指示する第2のカーソルも表されるようになっており、この外形指示に基づいてボール4の中心位置も求めることができる。
【0162】
これにより、本実施形態では、自由マーク17の任意の2点を座標指示器20によって座標指示するとともに、ボール外形から中心を求め、当該各座標とボール4の中心とに基づいて信号処理系Bによって三次元弾道シミュレーションを行う機能が追加される。さらに、三次元弾道シミュレーションの解析には、このマーク17の2点18,19の座標と、ボール4の中心と、これらの3点から外積により求めることができる1点の計4点が要素とされ、より高精度のシミュレーションが行われる。
【0163】
図24は、本実施形態の処理方法を詳細に示すフローチャートである。図24(A)はメインルーチンを示し、図24(B)は位置計算におけるサブルーチンを示している。
【0164】
図24(A)に示すように、本実施形態においても基本的に、第1実施形態および第2実施形態と同様の手順(S701〜S712)を行う。この場合、本実施形態では、ショットの前に、設備および使用ボールの種類についての設定(S701a)を行う。すなわち、このステップ701aでは、スタンド21,座標指示器20およびマーク14,15,16,17の有無の設定を行い、これによりカメラ装置3a,3bの傾きによる数値設定、座標指示による2点指示計算の選択、マークの種類による探索方法の設定等が事前に行われる。この設定のために、プレイヤーが予め使用するボールの種類に応じて選択できる切換スイッチ(図示省略)を設けておく。
【0165】
この設定(701a)の後、ショットがなされると、遮光によるショット検出(S702,S703)、ヘッドスピードに基づく打球の初速検出および飛打球の2点撮影(S704〜S707)が行われる。そして、この後、スタンド21の有無による撮影角度の判断が行われ(S707a)、スタンド無しの場合は第1実施形態および第2実施形態と同様の計算用の機能設定がなされ(S707b)、スタンド有りの場合は第1実施形態および第2実施形態と異なる機能設定がなされる(S707c)。後の三次元DTL計算値に対する三次元座標が変るためである。
【0166】
次に、第2実施形態と同様に、探索方法の判断(S707d)が行われ、上述した本実施形態の自由マーク17を表示したボール4を使用する場合には、2点マーク位置計算(S708a)が行われる。
【0167】
この2点マーク位置計算工程(S708a)またはハフ計算(S708)については、第2実施形態および第3実施形態の処理に加え、図24(B)に示すように、第3、第4のルートが加わる。すなわち、多重画像読み込み(S801)の後、座標指示器20による設定の有無が判断される(S801a)。前記第1〜第3実施形態と同様の操作を行う場合には、この設定が無しとする。
【0168】
一方、自由マーク18,19を有するボール4についての座標指示を座標指示器20によって設定する本実施形態の場合には、この設定が行われる。この場合、自由マークを有するが座標指示を行わずにボール4の外形のみから位置設定をして、第3実施形態と同様に簡易なルートを選択することもできる。
【0169】
そこで、本実施形態では、マーク有無の設定についての判断を使用者が行い(S801b)、設定有りの場合には、計算ルーチンにおいて座標指示器20による2点座標の指示計算が行われる(S801c)。逆に、設定無しの場合には、座標指示器20によるボール外形のみについての位置計算が行われる(S801d)。
【0170】
そして、座標計算(S807)が行われた後は、メインルーチンに示すように、DTL変換が行われる(S709)。この場合、マークの種類が判断され(S709a)、固定マークの場合には固定マーク用座標の設定がされ(S709b)、自由マークの場合には、自由マーク用座標の設定がされる(S709c)。
【0171】
その後は、前記第1実施形態等と同様の工程、すなわち弾道シミュレーション(S710)およびラン計算(S711)が行われ、モニタ表示(S712)がなされる。
【0172】
以上の第5実施形態によると、全自動的に打球診断を行う基本的な機能に加えて、使用するボールに特定のマークがない場合でも、自由マークを利用して人が座標指示器20により座標入力をすることにより、適用できる球種の拡大を可能とすることができ、打撃練習に幅広く対応できる多機能型の打球診断システムを提供することができる。また、本実施形態によると、カメラ装置3a、3bを俯角設定することにより、余分な入光を防止して、より明確なマーク認識を行うことができる。
【0173】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ゴルフボール等の叩打力によって飛翔する球の叩打直後における進行速度および回転角ならびに回転速度を計測し、その計測値に基づいて後の打球軌跡を計算し、その軌跡を推定して画像表示する打球診断システムにおいて、自動認識を行い、人の手を介在させずに全自動で計測可能かつ、アイテム数を最低限としたコンパクトで安価な打球診断システムを提供することができる。
【0174】
また、各種のボールに広く適用することができるとともに、利用者に応じたシミュレーションの種類選択の幅を拡大することができ、さらにラン計算等についての高信頼性確保が図れるようになる。
【0175】
さらに、本発明によれば、全自動的に打球診断を行う基本的な機能とともに、使用するボールによっては人が打球を認識して装置に教示する機能をも備え、これにより適用できる球種の一層の拡大を可能とし、打撃練習に幅広く対応できる多機能型の打球診断システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す平面図。
【図2】 本発明の第1実施形態を示す作用説明図。
【図3】 本発明の第1実施形態におけるボールに表示するマークを示す説明図。
【図4】 (A),(B)は本発明の第1実施形態における実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【図5】 本発明の第1実施形態におけるハフ変換を説明する図。
【図6】 本発明の第1実施形態におけるハフ変換を説明する図。
【図7】 本発明の第1実施形態におけるDLT法を示す図。
【図8】 本発明の第2実施形態におけるボールを示す図。
【図9】 (A),(B)は本発明の第2実施形態におけるボールの移動状態を示す図。
【図10】 (A),(B)は本発明の第2実施形態における実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【図11】 (A),(B)は本発明の第3実施形態におけるボールを示す図。
【図12】 本発明の第3実施形態におけるウッドに関するボール初速と飛出し角の関係を示す図。
【図13】 本発明の第3実施形態におけるウッドに関する実測値と計測値の関係を示す図。
【図14】 本発明の第3実施形態におけるアイアンに関するボール初速と飛出し角の関係を示す図。
【図15】 本発明の第3実施形態におけるアイアンに関する実測値と計測値の関係を示す図。
【図16】 本発明の第3実施形態におけるウェッジに関するボール初速と飛出し角の関係を示す図。
【図17】 本発明の第3実施形態におけるウェッジに関する実測値と計測値の関係を示す図。
【図18】 本発明の第3実施形態における実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【図19】 本発明の第4実施形態における実測値と計測値の関係を示す図。
【図20】 本発明の第5実施形態における文字が表示されたゴルフボールを示す図。
【図21】 本発明の第5実施形態における装置構成を示す平面図。
【図22】 本発明の第5実施形態における装置構成を示す側面図。
【図23】 本発明の第5実施形態におけるカメラ配置を説明する図。
【図24】 (A),(B)は本発明の第5実施形態における処理を詳細に示すフローチャート。
【符号の説明】
1 ヘッドスピード検出器
2 レーザ反射板
3 装置本体
4 ゴルフボール
5 プレイヤーの足の位置
6 レーザ光
1a レーザ発受光部
3a カメラ装置
3b ストロボ照明具
7 ショット判定手段
8 ヘッドスピード検出手段
9 ストロボ発光設定手段
10 カメラ駆動手段
11 打球状態演算手段
12 出力手段
13 撮影エリア
14 マーク
14a,14b 頂点
15,16 マーク
17 マーク
18,19 選択された2点
20 座標指示器
21 スタンド
22a,22b,23 カーソル
Claims (15)
- ゴルフボールのショット直前位置に設置され、ゴルフクラブの通過方向と交差する方向にレーザ光を2箇所で照射し、この各レーザ光が前記ゴルフクラブの通過によって遮断されたことを検出するヘッドスピード検出器と、このヘッドスピード検出器からの検出データを入力として2つのレーザ光が遮断された速度および順によりショットか否かを判断し、一定以下の速度で2つのレーザ光が遮断された場合および遮断方向がゴルフボールに遠い方、次に近い方の順で遮断されない場合には、ショットでないと判断するショット判定手段と、このショット判定手段によりショットと判定された場合に前記ゴルフクラブのヘッドスピードを検出するヘッドスピード検出手段と、前記ゴルフボールのショット直後におけるボール進行方向の一定領域を照明し得る2つのストロボ照明具と、これらのストロボ照明具による発光を前記ヘッドスピード検出手段によって検出されたヘッドスピードに対応して決められた第1発光および第2の発光タイミングで行わせるストロボ発光設定手段と、前記ストロボ照明具によって照射された前記ゴルフボールを前記領域における前後2点で角度が異なる方向から撮影して撮影画面内に2個の打球の画像を多重撮影する2台のカメラ装置と、これらのカメラ装置による撮影を前記スピード検出手段によるヘッドスピードに対応して行わせるカメラ駆動手段と、前記ヘッドスピード検出手段により検出されたヘッドスピード情報および前記カメラ装置により撮影された2つのボール画像情報を取り込み、ボールの進行方向、ボール速度および回転に基づく演算により飛球方向および飛距離等を求める打球状態演算手段と、この打球状態演算手段による演算結果を出力する出力手段と、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するゴルフボールを認識する手段とを備え、
前記打球状態演算手段は、前記カメラ装置により撮影された2つのボール画像情報として前記各マークの位置情報および前記ボールの中心位置情報を取り込み、2枚の画像におけるボールの中心と、各マークによる2点と、これらにボールの中心と各マークによる2点とで定まるベクトルの外積から求めることができる1点を加えた計4点の座標値に基づいて、三次元弾道シミュレーションを行うための要素であるボールスピード、回転数、回転軸傾き、サイドスピン、飛び出し角度および横ぶれ角度の解析を行う解析手段を有することを特徴とする打球診断システム。 - ゴルフボールのショット直前位置に設置され、ゴルフクラブの通過方向と交差する方向にレーザ光を2箇所で照射し、この各レーザ光が前記ゴルフクラブの通過によって遮断されたことを検出するヘッドスピード検出器と、このヘッドスピード検出器からの検出データを入力として2つのレーザ光が遮断された速度および順によりショットか否かを判断し、一定以下の速度で2つのレーザ光が遮断された場合および遮断方向がゴルフボールに遠い方、次に近い方の順で遮断されない場合には、ショットでないと判断するショット判定手段と、このショット判定手段によりショットと判定された場合に前記ゴルフクラブのヘッドスピードを検出するヘッドスピード検出手段と、前記ゴルフボールのショット直後におけるボール進行方向の一定領域を照明し得る2つのストロボ照明具と、これらのストロボ照明具による発光を前記ヘッドスピード検出手段によって検出されたヘッドスピードに対応して決められた第1発光および第2の発光タイミングで行わせるストロボ発光設定手段と、前記ストロボ照明具によって照射された前記ゴルフボールを前記領域における前後2点で角度が異なる方向から撮影して撮影画面内に2個の打球の画像を多重撮影する2台のカメラ装置と、これらのカメラ装置による撮影を前記スピード検出手段によるヘッドスピードに対応して行わせるカメラ駆動手段と、前記ヘッドスピード検出手段により検出されたヘッドスピード情報および前記カメラ装置により撮影された2つのボール画像情報を取り込み、ボールの進行方向、ボール速度および回転に基づく演算により飛球方向および飛距離等を求める打球状態演算手段と、この打球状態演算手段による演算結果を出力する出力手段と、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するゴルフボールを認識する手段とを備え、
前記打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像のそれぞれの球面上にある2つのマークを認識する順序を定めておき、ボールが180°以上回転したとされた場合には1枚目と2枚目の画像が逆の順で認識される誤認があったものと判定する手段と、この手段により前記逆の順で認識される誤認があったものと判定された場合には、撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点で定まるベクトルの内積を用いて、前記2枚の画像間でのマークの誤認による回転を0°〜180°の回転に修正する修正手段とを有することを特徴とする打球診断システム。 - 請求項1または2に記載の打球診断システムにおいて、ストロボ発光設定手段では、第1発光と第2発光のタイミングで撮影されるボールの画像が180°以上回転しないように第1発光と第2発光の間隔を設定されており、打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像における各ボールの各マークが順序を定めて認識されるとともに、前記の定めた順序が逆の順序で認識され2枚の画像間でボールが180°以上回転したとされた場合には、前記ボールの回転が0〜180°の回転に修正される設定とされていることを特徴とする打球診断システム。
- 請求項1から3までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点から求められる回転角が0〜30°で認識されて、その回転角をそのまま採用して解析を行う場合に、第1象限の角を第3象限の角として計算し、解析後、第3象限の角を、第1象限の角に戻して演算を行う設定とされていることを特徴とする打球診断システム。
- 請求項1から4までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、一方向から見える範囲に少なくとも解析のために利用できるマークが2点存在するゴルフボールと、マークを有しないゴルフボールを使用する場合とを選択する切換え用のスイッチを備え、打球状態演算手段では、前記マークが存在しないゴルフボールを適用した場合にはゴルフクラブの種類をウッド、アイアン、ウェッジの3種に特定して予め経験的に集計されたインパクト時のバックスピン量の推定値に基づいて、飛距離計算を行う手段と、三次元弾道シミュレーションを行うために、インパクト直後のボールのデータをウッド、アイアン、ウェッジ毎に解析して、ボール初速、飛び出し角、バックスピンの3パラメータにより2次平滑化し、ボール初速および飛び出し角からバックスピンを推定する手段とを有することを特徴とする打球診断システム。
- 請求項1から5までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、三次元弾道シミュレーションを行うために、インパクト直後のボールのデータについて、ヘッドスピード、ボール初速、飛び出し角を独立変数とし、バックスピンを従属変数として重回帰分析することを特徴とする打球診断システム。
- 請求項1から6までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段は、一つの頂点を他の頂点と異なる角度にした六角形のマークを付したゴルフボールを使用する場合と、2点マークを付したゴルフボールを使用する場合と、マークを有しないゴルフボールを使用する場合との少なくともいずれか2つの場合を選択する切換え用のスイッチを備えるとともに、弾道計算において前記切換えた場合に対応する計算方法を選択する手段を備えたことを特徴とする打球診断システム。
- 請求項1から7までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、一方向から見える範囲に文字、図形、記号、数字、その他の各種マークを有するゴルフボールを適用し、打球状態演算手段では、ショット後にカメラ装置で捉えた前記マークの任意の2点が座標指示器によって座標指示されるとともに、前記ボール外形から中心が求められ、当該各座標とボールの中心とに基づいて三次元弾道シミュレーションが行われることを特徴とする打球診断システム。
- 請求項8記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、カメラ装置により撮影された2枚の画像の各2つのボールにおけるボールの中心と、座標指示されたマーク上の任意の2点と、これらにボールの中心と各マークによる2点とで定まるベクトルの外積から求めることができる1点を加えた計4点の座標値に基づいて、三次元弾道シミュレーションを行うための要素であるボールスピード、回転数、回転軸傾き、サイドスピン、飛び出し角度および横ぶれ角度の解析を行うことを特徴とする打球診断システム。
- 請求項8または9記載の打球診断システムにおいて、座標指示器としてマウスを適用することを特徴とする打球診断システム。
- 請求項9から10までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、座標指示器による任意2点とボール中心の座標指示の入力有無が判別され、入力有りの場合にはカメラ装置により撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点とボール中心で定まるベクトルの内積を用いて各画像のボール回転角を求め、三次元弾道シミュレーションを行うための要素であるボール回転の解析を行うことを特徴とする打球診断システム。
- 請求項9から11までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、ストロボ発光設定手段では、第1発光と第2発光のタイミングで撮影されるボールの画像が180°以上回転しないように第1発光と第2発光の間隔を設定されており、打球状態演算手段では、座標指示器による任意2点の座標指示の入力有無が判別され、入力有りの場合にはカメラ装置により撮影された2枚の画像における各ボールの各マークが順序を定めて認識されるとともに、前記の定めた順序が逆の順序で認識され2枚の画像間でボールが180°以上回転したとされた場合には、前記ボールの回転が0〜180°の回転に修正される設定とされていることを特徴とする打球診断システム。
- 請求項9から12までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、打球状態演算手段では、座標指示器による任意2点の座標指示の入力有無が判別され、入力有りの場合にはカメラ装置により撮影された2枚の画像におけるボールの各マークによる2点から求められる回転角が0〜30°で認識されて、その回転角をそのまま採用して解析を行う場合に、第1象限の角を第3象限の角として計算し、解析後、第3象限の角を、第1象限の角に戻す設定とされていることを特徴とする打球診断システム。
- 請求項1から13までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、一つの頂点を他の頂点と異なる角度にした六角形のマークを付したゴルフボールを使用する場合と、2点マークを付したゴルフボールを使用する場合と、マークを有しないゴルフボールを使用する場合と、各種マークの任意の2点を座標指示器によって座標指示するゴルフボールを使用する場合の少なくともいずれか2つの場合を選択する切換え用のスイッチを備えるとともに、弾道計算において前記切換えた場合に対応する計算方法を選択する手段を備えたことを特徴とする打球診断システム。
- 請求項1から14までのいずれか1項に記載の打球診断システムにおいて、ゴルフボールを撮影するカメラ装置は、横向き使用が可能な可搬性のものであり、支持スタンドに着脱可能に支持することにより、ショット位置の地面よりも高い所定高さ範囲内に当該カメラの向きを俯角をもって傾斜配置可能であり、かつカメラ装置を傾斜配置とする場合、打球状態演算手段では、カメラ装置の傾きに対応する弾道計算の数値設定および2点座標の指示計算方法の選択が行われることを特徴とする打球診断システム。
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