JP3749072B2 - ゴルフクラブ選択方法及び選択システム - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルファーに適したゴルフクラブを選択するための方法及びシステムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ゴルファーに適したゴルフクラブを選択するための方法として、従来、ゴルファーにゴルフクラブでゴルフボールを打撃させるとともに、そのときのゴルフクラブのヘッドスピードを計測し、このヘッドスピード値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブを選択する方法がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来のゴルフクラブ選択方法は、ゴルファーのヘッドスピードのみに基づいてゴルフクラブを選択するものであり、選択の基礎となるデータの種類が少ないため、そのゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択できないことがあった。
【０００４】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択することが可能なゴルフクラブ選択方法及び選択システムを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ゴルファーのヘッドスピードのみではなく、ゴルファーの打球データ値、例えば打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量等をも加味すること、具体的には、ゴルファーのヘッドスピード値などの実打データを取得し、この実打データに基づいてそのゴルファーの理想の打球データ値を算出するとともに、該理想の打球データ値の実現に適したゴルフクラブを選ぶことにより、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択できること知見し、本発明をなすに至った。
【０００６】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、ゴルファーに適したゴルフクラブを選択する方法であって、
（ａ）ボールをヒットするクラブヘッドの通過を検知するセンサー手段により得られるゴルファーのヘッドスピード値、並びに１／１００００〜１／２０００００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラで打球を撮影することにより得られる打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離をコンピュータが取得するステップと、
（ｂ）ステップ（ａ）で得られたゴルファーのヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量をコンピュータが算出し、理想のサイドスピン量はゼロとし、理想の飛距離は理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいてコンピュータが算出することにより、そのゴルファーの理想の打球データ値をコンピュータが取得するステップと、
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数
Ｇ：所定の定数
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数
Ｉ：所定の定数
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数
Ｋ：所定の定数
（ｃ）ステップ（ｂ）で得られた理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブをコンピュータ又は人が選択するステップとを備えたことを特徴とするゴルフクラブ選択方法を提供する。
【０００７】
また、本発明は、ゴルファーに適したゴルフクラブを選択するシステムであって、
ボールをヒットするクラブヘッドの通過を検知するセンサー手段により得られるゴルファーのヘッドスピード値、並びに１／１００００〜１／２０００００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラで打球を撮影することにより得られる打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を取得する実打データ取得手段と、
実打データ取得手段により得られたゴルファーのヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量を算出し、理想のサイドスピン量はゼロとし、理想の飛距離は理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいて算出することにより、そのゴルファーの理想の打球データ値を取得する理想データ取得手段とを備え、
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数
Ｇ：所定の定数
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数
Ｉ：所定の定数
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数
Ｋ：所定の定数
理想データ取得手段により得られた理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブを選択することを特徴とするゴルフクラブ選択システムを提供する。
【０００８】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明では、まず、ゴルファーにゴルフクラブでゴルフボールを打撃させ、そのときのヘッドスピード値及び打球データ値を取得する。打球データ値とは、ゴルファーがゴルフボールを打撃したときの打球に関する様々な数値データを言い、例えば、打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量、飛距離等が挙げられる。
【０００９】
本発明では、上述したヘッドスピード値及び打球データ値として、ヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離の全部を取得する。上記項目の全部を取得した場合には、打撃を行ったゴルファーに関する多くのデータを得ることができる。なお、後述する実施形態に示すように、ヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量は計測装置により計測することができ、飛距離は初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から計算することができる。
【００１０】
また、ゴルファーにボールを打撃させるゴルフクラブとしては、ゴルファーがそれまでプレーに使用して打ち慣れているクラブを用いることが好ましい。このようにすると、適正なヘッドスピード値や打球データ値を取得することができ、ゴルファーに適したゴルフクラブをより適切に選択することが可能となる。
【００１１】
本発明では、次に、上述のようにして得られたヘッドスピード値及び打球データ値に基づいて、そのゴルファーの理想の打球データ値を取得する。理想の打球データ値としては、理想の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離の全部を取得する。上記項目の全部を取得した場合には、クラブ選択に役立つ多くのデータを得ることができる。理想の打球データ値は、計算によって取得したり、予め設定したりすることができる。例えば、ゴルファーが実際に打撃を行ったときのヘッドスピード値から、所定の計算式に基づいて理想の初速度、打出角及びバックスピン量を算出することができる。また、理想のサイドスピン量はゼロに設定することができる。さらに、上記理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から、所定の計算式に基づいて理想の飛距離を算出することができる。具体的には、理想の飛距離は、求められた理想の初速度、理想の打出角、理想のバックスピン量を用いて、揚抗力係数を含む運動方程式に則ってオイラー法にて数値的に座標計算を行って求める。
【００１２】
本発明では、次いで、上記のようにして得られた理想の打球データ値に基づいて、そのゴルファーに適したゴルフクラブを選択する。すなわち、理想の打球データ値の実現に適した１本又は２本以上のクラブを選択する。この選択は人が行ってもよく、理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブを選択するクラブ選択手段を設け、このクラブ選択手段によって自動的に行うようにしてもよい。
【００１３】
本発明では、以上のようにして、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択できるものであるが、さらに、選択したゴルフクラブでゴルファーがゴルフボールを打撃したときのヘッドスピード値及び打球データ値を取得することが好ましく、これによって選択したクラブの効果を確認することが可能となる。この場合、打球データ値としては、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離から選ばれる少なくとも１つ、特にこれらの全部を取得することが好ましい。上記項目の全部を取得した場合には、選択したゴルフクラブの効果を多くのデータによって確認することができる。
【００１４】
また、本発明では、ゴルファーに始めに打撃させるゴルフクラブの仕様データを別途取得しておくことが好ましい。上記仕様データを参照することにより、ゴルファーに適したゴルフクラブをいっそう適切に選択することが可能となる。この場合、ゴルフクラブの仕様データとしては、例えば、ゴルフクラブの全長、バランス、総重量、ロフト角、フェース角、ライ角等が挙げられる。
【００１８】
また、本発明のゴルフクラブ選択システムは、実打データ取得手段により得られたヘッドスピード値及び打球データ値の少なくとも１つに基づいてゴルファーに対するコメントを作成するコメント作成手段を備えることが好ましい。上記コメントにより、ゴルファーが自己のスイング特性や選択したゴルフクラブの効果を明確に知ることができる。
【００１９】
さらに、本発明のゴルフクラブ選択システムは、実打データ取得手段により得られたヘッドスピード値及び打球データ値、理想データ取得手段により得られた理想の打球データ値、並びに、コメント作成手段により得られたコメントの少なくとも１つを印刷する印刷手段を備えることが好ましい。これにより、ゴルファーが自己のスイング特性や選択したゴルフクラブの効果を容易に確認することができる。
【００２０】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態につき図面を参照して説明する。図１は、本発明に係るゴルフクラブ選択システムの一実施形態を示す概略図である。本例のシステムは、ゴルフボール１１をセットするボールセット手段１２、具体的にはボール１１を乗せるティーと、ボールセット手段１２の飛球線後方に位置し、ボール１１をヒットするクラブヘッド（図示せず）の通過（ダウンスイング）を検知するセンサー手段１３と、ヒットされたボール１１の飛球線前方の上記ボールセット手段１２より所定距離だけ離れた位置に、互いに間隔を置いて横向きにセットされた第１カメラ１４及び第２カメラ１５と、上記センサー手段１３よりの検知信号を受け、タイミングを図ってヒットされたボール１１に対するシャッター信号を上記第１及び第２カメラ１４，１５に時間をずらして送るトリガー手段を有する制御ユニット１６と、モニタ１７と、プリンタ１８とを備えている。また、符号Ｍはボール１１の表面に印されたマークを示す。本システムにより測定を行うときには、マークＭをカメラ１４，１５側に向けた状態でボール１１をティー１２上にセットする。なお、第１及び第２カメラ１４，１５としては、１／１０，０００〜１／２００，０００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラが好ましい。
【００２１】
センサー手段１３としては、互いに７０ｍｍの距離ｍ１の間隔（図２参照）をおいて、発光部と受光部よりなる一対の光学式センサーからなる第１センサー１３Ａ及び第２センサー１３Ｂをセットしてある。また、ボールセット手段１２であるティーとセンサー手段１３との間の距離ｍ２は４０ｍｍ前後が好ましい。さらに、ティー１２と第１カメラ１４間及び第１カメラ１４と第２カメラ１５間の各距離ｍ３及びｍ４は、それぞれ５０〜３００ｍｍ及び１００〜２５０ｍｍの範囲が好適である。ティー１２上のボール１１に対する第１及び第２カメラ１４，１５の上下方向の配置レベルは、打球の軌跡を予め考慮して決める必要がある。なお、測定場所によっては、打球方向にライト１９を設けたり、カメラのシャッターと同期して作動するストロボ２０（発光手段）を付設したりすることができる。また、上記打球の軌跡上のボールと第１及び第２カメラ１４，１５との間の水平距離はそれぞれ２００〜６００ｍｍが好ましい。
【００２２】
センサー手段１３、ストロボ２０を含む各カメラ１４，１５、モニタ１７及びプリンタ１８に接続された（接続関係は図示せず）制御ユニット１６は、次のものを含む。
▲１▼コントロールボックス部
次のものを含む。
ａ）カメラ画像記録用フレームメモリー
ｂ）画像解析ユニット
ｃ）タイミングコントロールユニット
センサー制御、シャッター制御、Ｉ／Ｏ
ｄ）ＣＰＵユニット
ｅ）ＦＤＤ（フロッピーディスクドライブ）、ＨＤＤ（ハードディスクドライブ）又はフラッシュメモリー
▲２▼ソフト部
次のものを算出及び表示するためのソフトウエアを内蔵する。
ａ）ヘッドスピード値、初速度、打出角（水平線に対する上方向、基準線に対する左右方向）、バックスピン量、サイドスピン量の計測算出及び数値表示
ｂ）弾道、飛距離の算出
ｃ）次のような画面表示
・分割画面（打球の２映像画面＋計測値画面）
・打出角分布画面
・キャリー及び／又はトータル距離分布画面
・弾道軌跡画面
ｄ）データ値の集積
【００２３】
次いで、図２及び図３を参照して、本システムによるヘッドスピード値、初速度、打出角（水平線に対する上方向）、バックスピン量、サイドスピン量の計測算出方法及び飛距離の算出方法を説明する。まず、第１及び第２のセンサー１３Ａ及び１３Ｂがクラブヘッドの通過を検知すると、通過時間ｔ１を計測し、両センサー１３Ａ，１３Ｂ間の距離との関係よりヘッドスピード値が計測される。次に、センサー１３Ｂによる検知信号を受けて各カメラ１４，１５及びストロボ２０へトリガー出力が作用する。トリガー出力は適用するヘッドスピードを、例えば複数予め測定しておき、これらヘッドスピードに対応するディレイタイムｔ２及びシャッター間隔ｔ３をセットする。また、打球が両カメラ１４，１５間を通過した時間と、両カメラ１４，１５間の距離との関係より初速度が計測される。
【００２４】
図４はモニター１７に映し出された打球の表示を示す。モニター画面４０を４分割し、第１画面４０Ａに第１カメラ１４で側方からとらえた打球、第２画面４０Ｂに第２カメラ１５で側方からとらえた打球がそれぞれ映し出され、そして第３画面４０Ｃに計測値が表示される。本システムでは、ゴルフボール１１の表面に印すマークＭの形状を二等辺三角形としてある。また、マークＭの色は、ボール表面の色から際立たせるために、黒色又はそれに類する暗色とする。
【００２５】
本システムでは、第１及び第２画面４０Ａ及び４０Ｂ（図４）に映し出された画像に関し、画面内から２値化手法（白／黒）によって、黒区域の背景から白部分であるゴルフボール１１の外形を抽出する。次いで、抽出されたゴルフボール１１の外形内のマークＭを同様の２値化手法によって抽出する。
【００２６】
上記処理が終了した後、マークＭの主軸（高さを含む直線）を求め、さらにこの主軸から垂直にサーチし、黒から白に変化する変化点を求める。この垂直サーチによる黒から白への変化点の検索は主軸に沿って行われ、その結果これらの変化点の点列を通る直線、すなわち２つの斜辺が求められる。次いで、黒ブロック（黒マーク）外に２斜辺の中線と垂直に交わる基線を設定し、ここからブロック側にサーチして底辺を求める。斜辺や底辺を求める場合、球面による湾曲を考慮し曲線近似で求めるのが良い。
【００２７】
上記画像処理により三角形、すなわちマークＭを特定したら、３辺より３頂点を求め、３頂点５０ｘ、５０ｙ、５０ｚを決定する。そして、第１画面４０Ａと第２画面４０Ｂに映し出された映像から、ボールを半径１の単位球としたときの３頂点５０ｘ、５０ｙ、５０ｚの３次元ベクトルを求め、第１画面４０Ａより第２画面４０Ｂへの移動からボールの回転軸ベクトルを求め、この回転軸ベクトルと各点の位置のベクトルとのベクトル演算を行ってボールの回転量を求める。回転軸ベクトルと回転量が求まると、ボールのバックスピン量及びサイドスピン量を求めることができる。また、第１画面４０Ａ及び第２画面４０Ｂのボール１１（図４）の上下方向の位置関係を測定することによって、距離ｍ４（水平距離）との関係から、上方向への打出角を得ることができる。さらに、得られた初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から飛距離を算出することができる。
【００２８】
なお、本システムでは、ゴルフボール１１の表面に記した二等辺三角形のマークＭを用いて打出角、バックスピン量、サイドスピン量を求めたが、ゴルフボール表面に表示されている他の形状のマークや文字を用いて同様の手法により打出角、バックスピン量、サイドスピン量を求めてもよい。
【００２９】
次に、本システムを用いたゴルフクラブ選択方法の一例を説明する。本システムでは、センサー手段１３、第１カメラ１４、第２カメラ１５、制御ユニット１６及びモニタ１７によって実打データ取得手段が実現され、制御ユニット１６及びモニタ１７によって理想データ取得手段が実現され、制御ユニット１６によってコメント作成手段が実現され、制御ユニット１６及びプリンタ１８によって印刷手段が実現されている。
【００３０】
▲１▼まず、ゴルファーがそれまでプレーに使用して打ち慣れているクラブでゴルフボールを打撃する。そして、このときのヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を前述のようにして実打データ取得手段により取得する。これらの値はモニタ１７に表示される。なお、各値は複数回の打撃における平均値や最大値としてもよい。
【００３１】
▲２▼次に、実打データ取得手段により得られたヘッドスピード値に基づいて、そのゴルファーの理想の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を理想データ取得手段により取得する。具体的には、上記ヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量を制御ユニット１６で算出する。また、理想のサイドスピン量はゼロとする。理想の飛距離は、理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいて算出する。これらの値はモニタ１７に表示される。
【００３２】
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数（例えば１．３〜１．５の範囲の所定の数値）
Ｇ：所定の定数（例えば−０．５〜０．５の範囲の所定の数値）
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数（例えば−０．３〜−０．２の範囲の所定の数値）
Ｉ：所定の定数（例えば２５〜３１の範囲の所定の数値）
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数（例えば−５０〜−３０の範囲の所定の数値）
Ｋ：所定の定数（例えば３７００〜５１００の範囲の所定の数値）
【００３３】
▲３▼理想データ取得手段により得られた理想の打球データ値に基づいて、そのゴルファーに適したゴルフクラブを選択する。この場合、人の判断により、理想の打球データ値の実現に適した１本又は２本以上のクラブを選択する。
【００３４】
▲４▼選択したゴルフクラブでゴルファーがゴルフボールを打撃したときのヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を▲１▼と同様にして実打データ取得手段によって取得する。２本以上のクラブを選択した場合には、各クラブについて上記値を取得する。これらの値はモニタ１７に表示される。なお、各値は複数回の打撃における平均値や最大値としてもよい。
【００３５】
▲５▼コメント作成手段により、▲１▼で得られたヘッドスピード値、バックスピン量、サイドスピン量に基づいて、ゴルファーが始めに使ったゴルフクラブに関するコメントが作成される。また、▲４▼で得られたバックスピン量、サイドスピン量、飛距離に基づいて、選択したクラブに関するコメントが作成される。具体的には、各値のある範囲に対する文章を例えば下記のように定めて予め制御ユニット１６に入力しておくと、各値に対する文章が選択され、これらの文章をつなげて自動的にコメントが作成される。
【００３６】
・▲１▼のヘッドスピード値が所定の範囲に入る：コメントは「ヘッドスピードはやや早めで、ＳＲ、Ｓフレックス程度が適正。」
・▲１▼のバックスピン量が理想のバックスピン量よりやや多い：コメントは「バックスピンがやや多く、」
・▲１▼のサイドスピン量が理想値のサイドスピン量に近い：コメントは「ほぼストレートな弾道です。」
これらをつなげて、ゴルファーが始めに使ったゴルフクラブに関するコメントとして、「ヘッドスピードはやや早めで、ＳＲ、Ｓフレックス程度が適正。バックスピンがやや多く、ほぼストレートな弾道です。」というコメントが作成される。
【００３７】
・▲４▼のバックスピン量が▲１▼のバックスピン量より所定量減って理想のバックスピン量に近くなっている：コメントは「バックスピンが減って適正値に近づき、」
・▲４▼のサイドスピン量が▲１▼のサイドスピン量とほぼ同じで理想値のサイドスピン量に近い：コメントなし
・▲４▼の飛距離が▲１▼の飛距離よりかなり増大している：コメントは「飛距離が大幅に伸びています。」
これらをつなげて、選択したゴルフクラブに関するコメントとして、「バックスピンが減って適正値に近づき、サイドスピンは変わりませんが、飛距離が大幅に伸びています。」というコメントが作成される。
【００３８】
▲６▼プリンタ１８により、▲１▼で得られたヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離、▲２▼で得られた理想の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離、▲４▼で得られた選択したゴルフクラブによるヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離が所定の用紙に印刷される。印刷手段により作成された用紙の一例を図５に示す。なお、図５において、マイクラブとは▲１▼でゴルファーがボールを打撃したクラブのことであり、ボールスピードとは初速度のことである。
【００３９】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るゴルフクラブ選択方法及び選択システムによれば、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るゴルフクラブ選択システムの一実施形態を示す概略図である。
【図２】図１のシステムにおける各機器の配置間隔を示す図である。
【図３】図１のシステムの作動説明図である。
【図４】図１のシステムのモニタ画面の図である。
【図５】図１のシステムの印刷手段により作成された用紙の一例を示す図である。
【符号の説明】
１１ ボール
１２ ボールセット手段
１３ センサー手段
１４ 第１カメラ
１５ 第２カメラ
１６ 制御ユニット
１７ モニタ
１８ プリンタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルファーに適したゴルフクラブを選択するための方法及びシステムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ゴルファーに適したゴルフクラブを選択するための方法として、従来、ゴルファーにゴルフクラブでゴルフボールを打撃させるとともに、そのときのゴルフクラブのヘッドスピードを計測し、このヘッドスピード値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブを選択する方法がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来のゴルフクラブ選択方法は、ゴルファーのヘッドスピードのみに基づいてゴルフクラブを選択するものであり、選択の基礎となるデータの種類が少ないため、そのゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択できないことがあった。
【０００４】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択することが可能なゴルフクラブ選択方法及び選択システムを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ゴルファーのヘッドスピードのみではなく、ゴルファーの打球データ値、例えば打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量等をも加味すること、具体的には、ゴルファーのヘッドスピード値などの実打データを取得し、この実打データに基づいてそのゴルファーの理想の打球データ値を算出するとともに、該理想の打球データ値の実現に適したゴルフクラブを選ぶことにより、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択できること知見し、本発明をなすに至った。
【０００６】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、ゴルファーに適したゴルフクラブを選択する方法であって、
（ａ）ボールをヒットするクラブヘッドの通過を検知するセンサー手段により得られるゴルファーのヘッドスピード値、並びに１／１００００〜１／２０００００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラで打球を撮影することにより得られる打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離をコンピュータが取得するステップと、
（ｂ）ステップ（ａ）で得られたゴルファーのヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量をコンピュータが算出し、理想のサイドスピン量はゼロとし、理想の飛距離は理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいてコンピュータが算出することにより、そのゴルファーの理想の打球データ値をコンピュータが取得するステップと、
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数
Ｇ：所定の定数
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数
Ｉ：所定の定数
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数
Ｋ：所定の定数
（ｃ）ステップ（ｂ）で得られた理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブをコンピュータ又は人が選択するステップとを備えたことを特徴とするゴルフクラブ選択方法を提供する。
【０００７】
また、本発明は、ゴルファーに適したゴルフクラブを選択するシステムであって、
ボールをヒットするクラブヘッドの通過を検知するセンサー手段により得られるゴルファーのヘッドスピード値、並びに１／１００００〜１／２０００００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラで打球を撮影することにより得られる打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を取得する実打データ取得手段と、
実打データ取得手段により得られたゴルファーのヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量を算出し、理想のサイドスピン量はゼロとし、理想の飛距離は理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいて算出することにより、そのゴルファーの理想の打球データ値を取得する理想データ取得手段とを備え、
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数
Ｇ：所定の定数
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数
Ｉ：所定の定数
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数
Ｋ：所定の定数
理想データ取得手段により得られた理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブを選択することを特徴とするゴルフクラブ選択システムを提供する。
【０００８】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明では、まず、ゴルファーにゴルフクラブでゴルフボールを打撃させ、そのときのヘッドスピード値及び打球データ値を取得する。打球データ値とは、ゴルファーがゴルフボールを打撃したときの打球に関する様々な数値データを言い、例えば、打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量、飛距離等が挙げられる。
【０００９】
本発明では、上述したヘッドスピード値及び打球データ値として、ヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離の全部を取得する。上記項目の全部を取得した場合には、打撃を行ったゴルファーに関する多くのデータを得ることができる。なお、後述する実施形態に示すように、ヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量は計測装置により計測することができ、飛距離は初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から計算することができる。
【００１０】
また、ゴルファーにボールを打撃させるゴルフクラブとしては、ゴルファーがそれまでプレーに使用して打ち慣れているクラブを用いることが好ましい。このようにすると、適正なヘッドスピード値や打球データ値を取得することができ、ゴルファーに適したゴルフクラブをより適切に選択することが可能となる。
【００１１】
本発明では、次に、上述のようにして得られたヘッドスピード値及び打球データ値に基づいて、そのゴルファーの理想の打球データ値を取得する。理想の打球データ値としては、理想の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離の全部を取得する。上記項目の全部を取得した場合には、クラブ選択に役立つ多くのデータを得ることができる。理想の打球データ値は、計算によって取得したり、予め設定したりすることができる。例えば、ゴルファーが実際に打撃を行ったときのヘッドスピード値から、所定の計算式に基づいて理想の初速度、打出角及びバックスピン量を算出することができる。また、理想のサイドスピン量はゼロに設定することができる。さらに、上記理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から、所定の計算式に基づいて理想の飛距離を算出することができる。具体的には、理想の飛距離は、求められた理想の初速度、理想の打出角、理想のバックスピン量を用いて、揚抗力係数を含む運動方程式に則ってオイラー法にて数値的に座標計算を行って求める。
【００１２】
本発明では、次いで、上記のようにして得られた理想の打球データ値に基づいて、そのゴルファーに適したゴルフクラブを選択する。すなわち、理想の打球データ値の実現に適した１本又は２本以上のクラブを選択する。この選択は人が行ってもよく、理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブを選択するクラブ選択手段を設け、このクラブ選択手段によって自動的に行うようにしてもよい。
【００１３】
本発明では、以上のようにして、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択できるものであるが、さらに、選択したゴルフクラブでゴルファーがゴルフボールを打撃したときのヘッドスピード値及び打球データ値を取得することが好ましく、これによって選択したクラブの効果を確認することが可能となる。この場合、打球データ値としては、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離から選ばれる少なくとも１つ、特にこれらの全部を取得することが好ましい。上記項目の全部を取得した場合には、選択したゴルフクラブの効果を多くのデータによって確認することができる。
【００１４】
また、本発明では、ゴルファーに始めに打撃させるゴルフクラブの仕様データを別途取得しておくことが好ましい。上記仕様データを参照することにより、ゴルファーに適したゴルフクラブをいっそう適切に選択することが可能となる。この場合、ゴルフクラブの仕様データとしては、例えば、ゴルフクラブの全長、バランス、総重量、ロフト角、フェース角、ライ角等が挙げられる。
【００１８】
また、本発明のゴルフクラブ選択システムは、実打データ取得手段により得られたヘッドスピード値及び打球データ値の少なくとも１つに基づいてゴルファーに対するコメントを作成するコメント作成手段を備えることが好ましい。上記コメントにより、ゴルファーが自己のスイング特性や選択したゴルフクラブの効果を明確に知ることができる。
【００１９】
さらに、本発明のゴルフクラブ選択システムは、実打データ取得手段により得られたヘッドスピード値及び打球データ値、理想データ取得手段により得られた理想の打球データ値、並びに、コメント作成手段により得られたコメントの少なくとも１つを印刷する印刷手段を備えることが好ましい。これにより、ゴルファーが自己のスイング特性や選択したゴルフクラブの効果を容易に確認することができる。
【００２０】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態につき図面を参照して説明する。図１は、本発明に係るゴルフクラブ選択システムの一実施形態を示す概略図である。本例のシステムは、ゴルフボール１１をセットするボールセット手段１２、具体的にはボール１１を乗せるティーと、ボールセット手段１２の飛球線後方に位置し、ボール１１をヒットするクラブヘッド（図示せず）の通過（ダウンスイング）を検知するセンサー手段１３と、ヒットされたボール１１の飛球線前方の上記ボールセット手段１２より所定距離だけ離れた位置に、互いに間隔を置いて横向きにセットされた第１カメラ１４及び第２カメラ１５と、上記センサー手段１３よりの検知信号を受け、タイミングを図ってヒットされたボール１１に対するシャッター信号を上記第１及び第２カメラ１４，１５に時間をずらして送るトリガー手段を有する制御ユニット１６と、モニタ１７と、プリンタ１８とを備えている。また、符号Ｍはボール１１の表面に印されたマークを示す。本システムにより測定を行うときには、マークＭをカメラ１４，１５側に向けた状態でボール１１をティー１２上にセットする。なお、第１及び第２カメラ１４，１５としては、１／１０，０００〜１／２００，０００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラが好ましい。
【００２１】
センサー手段１３としては、互いに７０ｍｍの距離ｍ１の間隔（図２参照）をおいて、発光部と受光部よりなる一対の光学式センサーからなる第１センサー１３Ａ及び第２センサー１３Ｂをセットしてある。また、ボールセット手段１２であるティーとセンサー手段１３との間の距離ｍ２は４０ｍｍ前後が好ましい。さらに、ティー１２と第１カメラ１４間及び第１カメラ１４と第２カメラ１５間の各距離ｍ３及びｍ４は、それぞれ５０〜３００ｍｍ及び１００〜２５０ｍｍの範囲が好適である。ティー１２上のボール１１に対する第１及び第２カメラ１４，１５の上下方向の配置レベルは、打球の軌跡を予め考慮して決める必要がある。なお、測定場所によっては、打球方向にライト１９を設けたり、カメラのシャッターと同期して作動するストロボ２０（発光手段）を付設したりすることができる。また、上記打球の軌跡上のボールと第１及び第２カメラ１４，１５との間の水平距離はそれぞれ２００〜６００ｍｍが好ましい。
【００２２】
センサー手段１３、ストロボ２０を含む各カメラ１４，１５、モニタ１７及びプリンタ１８に接続された（接続関係は図示せず）制御ユニット１６は、次のものを含む。
▲１▼コントロールボックス部
次のものを含む。
ａ）カメラ画像記録用フレームメモリー
ｂ）画像解析ユニット
ｃ）タイミングコントロールユニット
センサー制御、シャッター制御、Ｉ／Ｏ
ｄ）ＣＰＵユニット
ｅ）ＦＤＤ（フロッピーディスクドライブ）、ＨＤＤ（ハードディスクドライブ）又はフラッシュメモリー
▲２▼ソフト部
次のものを算出及び表示するためのソフトウエアを内蔵する。
ａ）ヘッドスピード値、初速度、打出角（水平線に対する上方向、基準線に対する左右方向）、バックスピン量、サイドスピン量の計測算出及び数値表示
ｂ）弾道、飛距離の算出
ｃ）次のような画面表示
・分割画面（打球の２映像画面＋計測値画面）
・打出角分布画面
・キャリー及び／又はトータル距離分布画面
・弾道軌跡画面
ｄ）データ値の集積
【００２３】
次いで、図２及び図３を参照して、本システムによるヘッドスピード値、初速度、打出角（水平線に対する上方向）、バックスピン量、サイドスピン量の計測算出方法及び飛距離の算出方法を説明する。まず、第１及び第２のセンサー１３Ａ及び１３Ｂがクラブヘッドの通過を検知すると、通過時間ｔ１を計測し、両センサー１３Ａ，１３Ｂ間の距離との関係よりヘッドスピード値が計測される。次に、センサー１３Ｂによる検知信号を受けて各カメラ１４，１５及びストロボ２０へトリガー出力が作用する。トリガー出力は適用するヘッドスピードを、例えば複数予め測定しておき、これらヘッドスピードに対応するディレイタイムｔ２及びシャッター間隔ｔ３をセットする。また、打球が両カメラ１４，１５間を通過した時間と、両カメラ１４，１５間の距離との関係より初速度が計測される。
【００２４】
図４はモニター１７に映し出された打球の表示を示す。モニター画面４０を４分割し、第１画面４０Ａに第１カメラ１４で側方からとらえた打球、第２画面４０Ｂに第２カメラ１５で側方からとらえた打球がそれぞれ映し出され、そして第３画面４０Ｃに計測値が表示される。本システムでは、ゴルフボール１１の表面に印すマークＭの形状を二等辺三角形としてある。また、マークＭの色は、ボール表面の色から際立たせるために、黒色又はそれに類する暗色とする。
【００２５】
本システムでは、第１及び第２画面４０Ａ及び４０Ｂ（図４）に映し出された画像に関し、画面内から２値化手法（白／黒）によって、黒区域の背景から白部分であるゴルフボール１１の外形を抽出する。次いで、抽出されたゴルフボール１１の外形内のマークＭを同様の２値化手法によって抽出する。
【００２６】
上記処理が終了した後、マークＭの主軸（高さを含む直線）を求め、さらにこの主軸から垂直にサーチし、黒から白に変化する変化点を求める。この垂直サーチによる黒から白への変化点の検索は主軸に沿って行われ、その結果これらの変化点の点列を通る直線、すなわち２つの斜辺が求められる。次いで、黒ブロック（黒マーク）外に２斜辺の中線と垂直に交わる基線を設定し、ここからブロック側にサーチして底辺を求める。斜辺や底辺を求める場合、球面による湾曲を考慮し曲線近似で求めるのが良い。
【００２７】
上記画像処理により三角形、すなわちマークＭを特定したら、３辺より３頂点を求め、３頂点５０ｘ、５０ｙ、５０ｚを決定する。そして、第１画面４０Ａと第２画面４０Ｂに映し出された映像から、ボールを半径１の単位球としたときの３頂点５０ｘ、５０ｙ、５０ｚの３次元ベクトルを求め、第１画面４０Ａより第２画面４０Ｂへの移動からボールの回転軸ベクトルを求め、この回転軸ベクトルと各点の位置のベクトルとのベクトル演算を行ってボールの回転量を求める。回転軸ベクトルと回転量が求まると、ボールのバックスピン量及びサイドスピン量を求めることができる。また、第１画面４０Ａ及び第２画面４０Ｂのボール１１（図４）の上下方向の位置関係を測定することによって、距離ｍ４（水平距離）との関係から、上方向への打出角を得ることができる。さらに、得られた初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から飛距離を算出することができる。
【００２８】
なお、本システムでは、ゴルフボール１１の表面に記した二等辺三角形のマークＭを用いて打出角、バックスピン量、サイドスピン量を求めたが、ゴルフボール表面に表示されている他の形状のマークや文字を用いて同様の手法により打出角、バックスピン量、サイドスピン量を求めてもよい。
【００２９】
次に、本システムを用いたゴルフクラブ選択方法の一例を説明する。本システムでは、センサー手段１３、第１カメラ１４、第２カメラ１５、制御ユニット１６及びモニタ１７によって実打データ取得手段が実現され、制御ユニット１６及びモニタ１７によって理想データ取得手段が実現され、制御ユニット１６によってコメント作成手段が実現され、制御ユニット１６及びプリンタ１８によって印刷手段が実現されている。
【００３０】
▲１▼まず、ゴルファーがそれまでプレーに使用して打ち慣れているクラブでゴルフボールを打撃する。そして、このときのヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を前述のようにして実打データ取得手段により取得する。これらの値はモニタ１７に表示される。なお、各値は複数回の打撃における平均値や最大値としてもよい。
【００３１】
▲２▼次に、実打データ取得手段により得られたヘッドスピード値に基づいて、そのゴルファーの理想の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を理想データ取得手段により取得する。具体的には、上記ヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量を制御ユニット１６で算出する。また、理想のサイドスピン量はゼロとする。理想の飛距離は、理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいて算出する。これらの値はモニタ１７に表示される。
【００３２】
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数（例えば１．３〜１．５の範囲の所定の数値）
Ｇ：所定の定数（例えば−０．５〜０．５の範囲の所定の数値）
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数（例えば−０．３〜−０．２の範囲の所定の数値）
Ｉ：所定の定数（例えば２５〜３１の範囲の所定の数値）
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数（例えば−５０〜−３０の範囲の所定の数値）
Ｋ：所定の定数（例えば３７００〜５１００の範囲の所定の数値）
【００３３】
▲３▼理想データ取得手段により得られた理想の打球データ値に基づいて、そのゴルファーに適したゴルフクラブを選択する。この場合、人の判断により、理想の打球データ値の実現に適した１本又は２本以上のクラブを選択する。
【００３４】
▲４▼選択したゴルフクラブでゴルファーがゴルフボールを打撃したときのヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を▲１▼と同様にして実打データ取得手段によって取得する。２本以上のクラブを選択した場合には、各クラブについて上記値を取得する。これらの値はモニタ１７に表示される。なお、各値は複数回の打撃における平均値や最大値としてもよい。
【００３５】
▲５▼コメント作成手段により、▲１▼で得られたヘッドスピード値、バックスピン量、サイドスピン量に基づいて、ゴルファーが始めに使ったゴルフクラブに関するコメントが作成される。また、▲４▼で得られたバックスピン量、サイドスピン量、飛距離に基づいて、選択したクラブに関するコメントが作成される。具体的には、各値のある範囲に対する文章を例えば下記のように定めて予め制御ユニット１６に入力しておくと、各値に対する文章が選択され、これらの文章をつなげて自動的にコメントが作成される。
【００３６】
・▲１▼のヘッドスピード値が所定の範囲に入る：コメントは「ヘッドスピードはやや早めで、ＳＲ、Ｓフレックス程度が適正。」
・▲１▼のバックスピン量が理想のバックスピン量よりやや多い：コメントは「バックスピンがやや多く、」
・▲１▼のサイドスピン量が理想値のサイドスピン量に近い：コメントは「ほぼストレートな弾道です。」
これらをつなげて、ゴルファーが始めに使ったゴルフクラブに関するコメントとして、「ヘッドスピードはやや早めで、ＳＲ、Ｓフレックス程度が適正。バックスピンがやや多く、ほぼストレートな弾道です。」というコメントが作成される。
【００３７】
・▲４▼のバックスピン量が▲１▼のバックスピン量より所定量減って理想のバックスピン量に近くなっている：コメントは「バックスピンが減って適正値に近づき、」
・▲４▼のサイドスピン量が▲１▼のサイドスピン量とほぼ同じで理想値のサイドスピン量に近い：コメントなし
・▲４▼の飛距離が▲１▼の飛距離よりかなり増大している：コメントは「飛距離が大幅に伸びています。」
これらをつなげて、選択したゴルフクラブに関するコメントとして、「バックスピンが減って適正値に近づき、サイドスピンは変わりませんが、飛距離が大幅に伸びています。」というコメントが作成される。
【００３８】
▲６▼プリンタ１８により、▲１▼で得られたヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離、▲２▼で得られた理想の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離、▲４▼で得られた選択したゴルフクラブによるヘッドスピード値、初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離が所定の用紙に印刷される。印刷手段により作成された用紙の一例を図５に示す。なお、図５において、マイクラブとは▲１▼でゴルファーがボールを打撃したクラブのことであり、ボールスピードとは初速度のことである。
【００３９】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るゴルフクラブ選択方法及び選択システムによれば、ゴルファーに適したゴルフクラブを適切に選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るゴルフクラブ選択システムの一実施形態を示す概略図である。
【図２】図１のシステムにおける各機器の配置間隔を示す図である。
【図３】図１のシステムの作動説明図である。
【図４】図１のシステムのモニタ画面の図である。
【図５】図１のシステムの印刷手段により作成された用紙の一例を示す図である。
【符号の説明】
１１ ボール
１２ ボールセット手段
１３ センサー手段
１４ 第１カメラ
１５ 第２カメラ
１６ 制御ユニット
１７ モニタ
１８ プリンタ
Claims (6)
- ゴルファーに適したゴルフクラブを選択する方法であって、
（ａ）ボールをヒットするクラブヘッドの通過を検知するセンサー手段により得られるゴルファーのヘッドスピード値、並びに１／１００００〜１／２０００００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラで打球を撮影することにより得られる打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離をコンピュータが取得するステップと、
（ｂ）ステップ（ａ）で得られたゴルファーのヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量をコンピュータが算出し、理想のサイドスピン量はゼロとし、理想の飛距離は理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいてコンピュータが算出することにより、そのゴルファーの理想の打球データ値をコンピュータが取得するステップと、
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数
Ｇ：所定の定数
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数
Ｉ：所定の定数
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数
Ｋ：所定の定数
（ｃ）ステップ（ｂ）で得られた理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブをコンピュータ又は人が選択するステップとを備えたことを特徴とするゴルフクラブ選択方法。 - ＣＣＤカメラで打球を撮影するに当たり、ＣＣＤカメラのシャッターと同期してストロボを作動させる請求項１に記載のゴルフクラブ選択方法。
- ＣＣＤカメラで撮影した打球の表面のマークを用いて画像処理により打球の打出角及びバックスピン量を求める請求項１又は２に記載のゴルフクラブ選択方法。
- ゴルファーに適したゴルフクラブを選択するシステムであって、
ボールをヒットするクラブヘッドの通過を検知するセンサー手段により得られるゴルファーのヘッドスピード値、並びに１／１００００〜１／２０００００秒のシャッタースピードを有するＣＣＤカメラで打球を撮影することにより得られる打球の初速度、打出角、バックスピン量、サイドスピン量及び飛距離を取得する実打データ取得手段と、
実打データ取得手段により得られたゴルファーのヘッドスピード値から下記式により理想の初速度、打出角及びバックスピン量を算出し、理想のサイドスピン量はゼロとし、理想の飛距離は理想の初速度、打出角、バックスピン量及びサイドスピン量から所定の計算式に基づいて算出することにより、そのゴルファーの理想の打球データ値を取得する理想データ取得手段とを備え、
・理想の初速度＝Ｆ×ヘッドスピード値＋Ｇ
Ｆ：所定の係数
Ｇ：所定の定数
・理想の打出角＝Ｈ×ヘッドスピード値＋Ｉ
Ｈ：所定の係数
Ｉ：所定の定数
・理想のバックスピン量＝Ｊ×ヘッドスピード値＋Ｋ
Ｊ：所定の係数
Ｋ：所定の定数
理想データ取得手段により得られた理想の打球データ値に基づいてそのゴルファーに適したゴルフクラブを選択することを特徴とするゴルフクラブ選択システム。 - ＣＣＤカメラで打球を撮影するに当たり、ＣＣＤカメラのシャッターと同期してストロボを作動させる請求項４に記載のゴルフクラブ選択システム。
- ＣＣＤカメラで撮影した打球の表面のマークを用いて画像処理により打球の打出角及びバックスピン量を求める請求項４又は５に記載のゴルフクラブ選択システム。
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