JP3776611B2 - ワークの研磨加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨剤の存在下でワークと研磨布間を摺動しつつ薄板状ワークの研磨を行なうワークの研磨加工方法に係り、特に半導体基板の研磨加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化の進展に伴い、その基板であるウエーハの平坦度の要求も厳しくなっている。このためウエーハの平坦度を決める研磨工程の加工精度を高める必要が生じている。
【0003】
ウエーハの研磨は、研磨ヘッドに取り付けられたキャリアに支持されたウエーハと、定盤に貼付された研磨布との間に相対運動を与えつつ、液状研磨剤を研磨布の表面に供給して行なわれ、ウエーハは、機械的作用と化学的作用が複合した、いわゆるメカノケミカル作用により研磨される。この場合の研磨剤としては、アルカリ性水溶液に分散されたコロダイルシリカが用いられる。
【0004】
このメカノケミカル作用においては、ウエーハ材料(例えばシリコン)の除去速度は、ウエーハが研磨布を垂直に押す力と摺擦速度、即ち研磨圧力と回転数に比例する。
その結果、研磨圧力がウエーハ内で不均一に分布しているものでは、材料の除去量がウエーハ内で不均一となり、ウエーハが平坦に研磨されなくなる。従って、平坦なウエーハを得るためには、ウエーハ内で研磨圧力の分布を均一にすることが重要となる。
【0005】
特に、半導体ウエーハの研磨工程では、研磨工程を複数段に分け、ウエーハのうねりを除去し鏡面化する研磨代が大きい第一の研磨工程と、微小な面粗さを向上する研磨代が小さい最終研磨工程とを含むが、数ミリメートルの周期を持つうねりや数十ミクロンの周期を持つさざ波の除去を図る第一の研磨工程において研磨布の影響が大きい。
【0006】
かかる課題を解決するために、特開平8−11049号において、切削工具にて研磨布を研磨機上で切削修正して研磨布表面の凹凸を除去する技術が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術は、研磨布に研磨圧を印加していない状況下での研磨布表面の平坦化の実現であり、通常のワーク加工時の加圧状況下での研磨布の平坦化の実現ではない。
ウエーハ研磨工程に用いる研磨布には、硬質発泡樹脂製、スエード製、不織布製等のものを用いているが、いずれも粘弾性的性質を有し、クリープ変形を惹起する。即ち、研磨布に一定荷重を継続して加えると、研磨布は圧縮されて薄くなるが、その厚さの減少量、つまり変位量は荷重を加えた直後は急速にやがては緩慢に増大する。そして、荷重を取り除いても研磨布の厚さは荷重を加える前の厚さに復することはなく、永久的に変位が残存してしまうことになる。このように、一定荷重のもとでは、研磨布の変位量は荷重を加えている時間に大きく依存することになる。
そこで、新しい研磨布の立上げ段階ではシーズニングと呼ばれる研磨条件と同じ状態でダミーウエーハを入れて研磨をする処理が行なわれることもあるが、研磨条件と同じ処理では初期の平坦度が出にくいことと、その安定性に問題があった。
【0008】
一方、ウエーハの研磨には1枚のキャリアに1枚のウエーハを保持してウエーハの研磨を行なう枚葉式研磨、1枚のキャリアに複数枚のウエーハを保持してウエーハの研磨を行なうバッチ式研磨、又前記枚葉式及びバッチ式のいずれにおいても、ウエーハの表裏両面側に研磨布を介在させて研磨を行なう両面研磨、ワックス法やワックスレス法で接着されたウエーハの片側に研磨布を摺擦させて研磨を行なう片面研磨に分かれるが、いずれもウエーハを自転、公転、若しくは自/公転させて研磨を行なうものである為に、必然的にウエーハの中心域と周辺域で、研磨荷重の存在時間が同一とならず不均一となる。
そして研磨荷重の存在時間が不均一であると、研磨布のクリープ変位量は上述の如く荷重負荷時間に依存するので、研磨時にウエーハに印加される研磨圧が変動し、研磨されたウエーハの平坦度のバラツキが生じる。
又、研磨布側においても発泡密度や組織密度がウエーハ全面に亙って高度に均等でなく、この為クリープ特性の微小なバラツキが生じる。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑み、予め均等なクリープ変形をなさしめることにより、平坦度の高いウエーハその他の薄板ワークを得ることができる研磨加工方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、研磨剤の存在下でワークと研磨布間を摺動しつつ薄板状ワークの研磨を行なうワークの研磨加工方法において、
前記ワークの研磨加工前若しくは研磨加工中断時において、前記ワークが研磨布に印加される面圧(研磨圧)より高い面圧で前記研磨布を押圧するダミープレートを用い、研磨剤又は水等の液の存在下でダミープレートと研磨布間を摺動させて、該研磨布にクリープ変形を起こさせ、該クリープ変形が生じている間のみ、前記ワークの研磨加工を行なうこととともに、前記ダミープレートは、内径側が円形空間若しくは円形凹部を有し、外周側がリング円凸部である板状部材であり、前記板状部材を自転及び公転させるようにしたことを特徴とする。
具体的には、前記ダミープレートの一部を凸状に形成し、該凸部を前記研磨圧より高い面圧で研磨布に押圧且つ摺動させながら、該研磨布にクリープ変形を起こさせることにより、発熱を抑えつつ研磨布全面を均一に処理することができる。
この場合、前記凸部が、外径が円形で、内径側が一又は複数の円形空間若しくは円形凹部を有する略リング円若しくはハニカム円状に形成されているとともに、該略円形状凸部が自転及び公転しながら摺動させるのがよい。
【0011】
また、本発明では、前記円形空間若しくは円形凹部を有する内径側から外周側のリング円凸部の外径に亙って溝部が形成され、該溝部を介して外径側から内径側に液を流通させながら、研磨布にクリープ変形を起こさせることを特徴としている。
つまり、内径側が一又は複数の円形空間若しくは円形凹部を有するために、研磨剤等の液が入りづらい中心域部が研磨布に接触されずに摺動を行なうことが出来るために、発熱や熱変形が阻止され、更に外径、内径ともに円形であるために、該略円形状凸部が自転及び公転により円滑な摺動が可能となる。
【0012】
そして、さらに、前記円形状凸部の内径から外径に亙る溝部が形成され、該溝部を介して外径側から内径側に液を流通させながら、研磨布にクリープ変形を起こさせることにより、発熱や熱変形が生じやすい内径側にも十分に液が侵入し、好ましい。
尚、ダミープレート自身が自転している処理方法では問題ないが、前記凸部に溝部を設けるとともに、該溝部をダミープレートと研磨布間の摺動方向に沿って形成すると、その溝部に沿って研磨布が十分圧縮されずにクリープ変形の不均一部分ができてしまう。
【0013】
そこで、前記溝部の延在方向が、ダミープレートと研磨布間の摺動方向と交差する方向、即ち摺動方向と例えば直交する方向に延在するように設定することによりその溝部形成部位でも面圧が高まるとともに、その溝部は摺動方向と直交する方向に延在しているために、その溝部に沿って研磨布が摺動されることなく、均一な摺動加圧が可能となる。
さらに、前記ダミープレートは、ワークの直径より大きい内径を持つ板状部材で構成されているのがよい。枚葉式などでは、ワークの直径とほぼ同じ外径の板状部材でもよいが、ワークの直径より大きい内径を持つ板状部材を用いることで、より均一にクリープ変形が生じ、好ましい。
そこで、本発明では、研磨剤の存在下でワークと研磨布間を摺動しつつ薄板状ワークの研磨を行なうワークの研磨加工方法において、
前記ワークの研磨加工前若しくは研磨加工中断時において、前記ワークが研磨布に印加される面圧(研磨圧)より高い面圧で前記研磨布を押圧するダミープレートを用い、研磨剤又は水等の液の存在下でダミープレートと研磨布間を摺動させて、該研磨布にクリープ変形を起こさせ、該クリープ変形が生じている間のみ、前記ワークの研磨加工を行なうとともに、前記ダミープレートは、内径側の円形空間若しくは円形凹部がワークの直径より大きい内径を持ち、その外周側が凸リング円である板状部材で構成され、前記板状部材を自転及び公転させるようにしたことを特徴とする。
【0014】
例えば、均等なクリープ変形が可能なウレタン系不織布や硬い発泡ウレタン研磨布を用い、前記ワークの研磨加工前若しくは研磨加工中断時において、前記ワークが研磨布に印加される面圧(研磨圧)より高い200g/cm 2 〜1000g/cm 2 の範囲の面圧で前記研磨布を押圧するダミープレートを用い、研磨剤又は水等の液の存在下でダミープレートと研磨布間を摺動させて、該研磨布にクリープ変形を起こさせ、該クリープ変形が生じている間のみ、前記ワークの研磨加工を行なう。
ワークを研磨する条件より高い面圧で処理することにより、クリープ変形が短時間で容易にでき、またクリープ変形が長時間安定して維持できる。このため、実際のワークの研磨時間を長くすることができ、研磨装置の稼働率、生産性が向上する。また、ワークの平坦度も高平坦度となり、従来レベルより品質が向上する。
この場合、前記研磨布が、アスカーC硬度50度から90度のウレタン系不織布又は発泡ウレタン研磨布であることが望ましい。
【0015】
そして、ここでは、熱変形を抑制する為に、研磨剤や水等の液の存在下で、ダミープレートでワークの研磨荷重よりも高荷重を加えつつ、研磨が行なわれる領域または研磨布全面を均一に擦動して、研磨布にクリープを起こさせ、研磨布の回復を抑制させた状態でワークの研磨加工を実施するもので、前記ダミープレートによるクリープ変形は、前記ワークの研磨加工前のみならず研磨加工途中においても研磨加工を中断して逐次行なえばよい。
また、研磨加工の限定はなく、研磨布を用いる研磨であれば適用でき、従って枚葉式及びバッチ式のいずれにおいても、又両面研磨若しくは片面研磨のいずれにも適用可能であるが、特に、両面研磨の場合、研磨布を上下に使用しているため研磨布の影響を特に受けやすい為に、有効である。
【0016】
また、ここで使用する研磨布には、硬質発泡樹脂製、スエード製、不織布製等圧縮によりクリープが発生するものなら本発明が適用可能であるが、クリープ特性の持続性の面より、ウレタン系不織布や硬い発泡ウレタン等、具体的にはアスカーC硬度50度から90度のウレタン系不織布又は発泡ウレタン研磨布に特に有効に適用される。
そして、従来技術のように研磨布表面を削るようなことはしない為に、研磨加工中に切削した削り粉が悪影響を及ぼすことはない。
【0017】
ここでは、研磨圧より高い面圧で前記研磨布を押圧するとは、例えば、通常の研磨圧は100〜500g/cm 2 、一般的には150g/cm 2 程度のため、その2〜5倍程度の圧力でクリープ変形を生じさせればよい。具体的には200g/cm 2 〜1000g/cm 2 の範囲に設定するのがよい。
ただし、前記圧力があまりに大きく、1000g/cm 2 を超えると、ダミープレートの割れや、この圧力による発熱等による研磨布の特性(圧縮率、表面の状態等)が変化(変質)して研磨精度に影響してしまい、又通常の研磨圧や200g/cm 2 以下では圧縮の効果が少なく、すぐに回復してしまう。そしてこれらの圧力の設定は、研磨布の種類等により変化する。
【0018】
前記したようにダミープレートについては、このような高圧力で押圧されるために、欠けや割れを生じないものであることが必要で、特に研磨剤の存在下で前記ダミープレートを研磨布上に摺動させて、研磨布のクリープ変形を起こさせるものについては、プレート自体が削れづらい、被研磨性の低い材料、例えば、酸化アルミセラミックス、SiCセラミックスや石英ガラス等を用いるのがよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図3(A)、(B)は本発明が適用されるウエーハ両面研磨装置の概略図で、10は、内部のそれぞれの対称位置に3組のウエーハ保持孔11を具えたキャリアで、外径を円板状構成とし、外周に外周歯10aを備え、その構成部材は金属または樹脂被覆をした金属または樹脂部材で形成されている。
そして、かかるキャリア10の前記ウエーハ保持孔11に被研磨ウエーハ55を挿入保持して、前記外周歯10aを両面研磨装置の太陽歯車53、内歯車54に噛み合わせ自転及び公転させ、研磨剤56を供給しながら互いに逆回転する上下定盤51、52に貼着した研磨布51a、52aとの間に形成される相対摺擦運動により所定の研磨を行なうように構成してある。
【0022】
尚、上定盤52、下定盤51のそれぞれに予め貼り付けられた研磨布52a、51aには、ロデールニッタ製SUBA600、JISK6301に準拠したアスカーC硬度80のウレタン系不織布を使用し、該研磨布52a、51aの厚さは約1.27mmである。
そして、本実施形態においては、前記キャリア10の代りに図1に示すダミープレート20をセットして前記研磨布52a、51aにクリープ変形を起こした後、所定の研磨加工を行なうように構成している。
【0023】
以下かかる実施形態を詳細に説明するに、前記ダミープレート20は、キャリア10と同外径に形成され、その外径に外周歯20aを有する酸化アルミセラミクス製円形状プレートで形成されている。
ここで、セラミクスを使用するのは、被研磨性の高いウエーハと同じ材質では、高荷重による摩耗量が大きいことと、また、極端な摩耗により研磨布52a、51aの目詰りが極端に進み、研磨布52a、51aの劣化を速めるという問題があるためである。
【0024】
このような目詰まりはウエーハの研磨時にも起こるが、これはドレッシングにより回復することができる。
尚、ドレッシングは、ドレッシングプレートにより押圧する方法等があるが、この時の圧力はウエーハの研磨圧に比べて比較的低圧力で、研磨布を目直しする必要があり、本発明のような安定したクリープ変形を起こすことができない。
【0025】
そして、このダミープレートの形状は図2に示すように、外周側の表裏両面にリング円状の凸部21を設けるとともに、内径側の中心円部22を凹に形成している。
そして前記中心凹部22の径は、被研磨ウエーハ55よりも大きな内径のリングを用いることによって前記外周リング凸部21の面圧を高めるとともに、ウエーハ研磨時に使用される研磨布52a、51a面を均一に擦動可能にし、均一にクリープ変形を引き起こすができる。
又、前記円形状凸部21の内径から外径に亙る半径方向に90°単位で4本の溝部24が形成され、該溝部24を介して外径側と内径凹部22間に液を流通させながら、研磨布にクリープ変形を起こさせることにより、発熱や熱変形の防止を図っている。
【0026】
即ち、より具体的に説明するに、前記ダミープレート20は外径490mmφ、内径430mmφ、厚さ15mmのものを用い、前記外周側の凸部21の高さを1〜2mmに又溝部24は1〜2mm幅に設定している。
そして、前記ダミープレート20を図3に示すキャリア10の代りに介装した後、その荷重をウエーハ研磨時よりも高い500g/cm2に設定し、研磨剤56を供給しながら下定盤51、上定盤52、太陽歯車53、内歯車54を後記に示す回転数で回転させながらダミープレート20の自公転を行ないながらクリープ変形加工を120分実施した。
【0027】
ダミープレート20のリング状凸部21に加える面圧は、研磨圧(150g/cm2 )以下では安定したクリープ変形を生じるに至らず、逆に1000g/cm2以上ではダミープレート20と研磨布52a、51aの密着によって、水や研磨剤56が双方の擦動面に供給されず発熱が生じ、研磨布52a、51aのウレタン樹脂の溶解等による変質を起こすため、200〜1000g/cm2程度が好ましい。
【0028】
この圧力の掛け方については、特に限定するものでは無いが、エアーバックやウェイトにより均一に押圧できることが好ましい。
【0029】
尚、前記研磨剤56には研磨加工の粗研磨工程(第1研磨工程)に用いる研磨剤と同様なものを用い、具体的にはコロダイルシリカ、AJ−1325(日産化学製、コロダイルシリカ濃度25%)を用い、その供給量は4リットル/分に設定した。
又上定盤52:下定盤51:太陽歯車53:内歯車54の夫々の回転数(rpm)と回転方向(+は右周り、−は左周りに設定している)は、「+1.5:−45:+7:−11」にて設定してダミープレート20の自公転を行なった。
【0030】
前記クリープ変形処理の結果、研磨布52a、51aのアスカーC硬度はほとんど変化せず、厚さ1.10mm程度に圧縮されたことが確認された。
そして前記クリープ変形処理終了後、前記ダミープレート20をキャリア10に交換して、該キャリア10の前記ウエーハ保持孔11に被研磨ウエーハ55を挿入保持して、前記キャリア10を自転及び公転させながら、クリープ変形した研磨布51a、52aとの間に形成される相対摺擦運動により所定の研磨加工を実施した。
尚、前記被研磨ウエーハ55は、シリコンウエーハ8インチ、厚さ725mmのものを1つのキャリア10に3枚セットし研磨を行ない、又第1段研磨加工の研磨圧は150g/cm2であった。
【0031】
そして同じ研磨布52a、51aを用いて、前記ウエーハ55の研磨加工を5バッチ行なった結果を図4に示す。
図4から明らかなように、ウエーハ55の平坦度(SBIR:25mm×25mmで評価)は0.2μmと良好であり、バッチ間のバラツキも小さい。
尚、SBIR(Site Back-side Ideal Range)は、SEMI規格等で標準化されている値である。
【0032】
次に比較例として、クリープ変形処理をしていない新しい研磨布52a、51aを用いて前記実施形態と同じ条件研磨加工を行なった結果を図4に示す。
本比較例ではウエーハの平坦度、特に1バッチ目の平坦度は0.8μmと大きな値であり、その研磨布52a、51aを用い、繰り返し研磨すると2バッチ目以降、平坦度は良くなるもののバッチ間のバラツキが大きくなる(特に1バッチ目と4バッチ目の差が0.4μmと大きいのは問題である)。また、4バッチ目以降安定する絶対値も0.4μmと大きい。
【0033】
なお、図示はしていないが実施形態において、研磨を10バッチ前後繰り返すと、平坦度が悪化した。
これはおそらく、研磨布52a、51aが元の状態に回復するためで、その時点で再度、ダミープレート20でクリープ変形処理を行なうことにより、図4の状態に戻った。
【0034】
図5は本発明の他の実施形態で、下定盤51側に研磨布51aが貼着された片面研磨加工に使用されるダミープレート20を示し、該ダミープレート20は、ウエーハ貼付用プレートと同一外径を有する円板状で、上面側25は面一状の平面状に形成してワックスレス若しくはワックスを介して上定盤52に接着可能に形成されている。
下面側は前記実施形態と同様に外周側にリング状凸部21と中央域に円形凹部22を形成している。
【0035】
かかるダミープレート20を用いた場合でも、前記実施形態と同様な作用効果を得ることが出来る。
尚、図示はしないが、枚葉式のダミープレート20の場合も図5と同様な形状のダミープレートを用いればよい。
また、ダミープレートの円形凹部は、円形空間の状態(中身の無い状態)で形成されていてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上記載のごとく本発明によれば、研磨布立上げ時に研磨剤又は水等を供給し、ダミープレートでウエーハの研磨荷重よりも高荷重で研磨布全面を均一に擦動することにより、クリープ変形を起こすことができる。これによって、研磨加工中における研磨布の回復を抑制させ、安定した平坦度のウエーハを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図3のウエーハ両面研磨装置にダミープレートを取り付けた状態を示す部分正面図で、図3(B)の対応図である。
【図2】 図1のダミープレートの正面図(A)と断面図(B)である。
【図3】 (A)(B)は本発明が適用されるウエーハ両面研磨装置の概略図で、(A)は側面より見た断面図で(B)はキャリアの自転・公転の状況を示す部分正面図である。
【図4】 従来法と本発明によるウエーハ平坦度の比較を示すグラフ図である。
【図5】 ウエーハ片面研磨装置に取り付けるダミープレートの断面図(A)と背面図(B)である。
【符号の説明】
10 キャリア
20 ダミープレート
21 リング円状の凸部
22 内径側の中心円部
24 溝部
51 下定盤
51a、52a 研磨布
52 上定盤
55 被研磨ウエーハ
56 研磨剤
Claims (3)
- 研磨剤の存在下でワークと研磨布間を摺動しつつ薄板状ワークの研磨を行なうワークの研磨加工方法において、
前記ワークの研磨加工前若しくは研磨加工中断時において、前記ワークが研磨布に印加される面圧(研磨圧)より高い面圧で前記研磨布を押圧するダミープレートを用い、研磨剤又は水等の液の存在下でダミープレートと研磨布間を摺動させて、該研磨布にクリープ変形を起こさせ、該クリープ変形が生じている間のみ、前記ワークの研磨加工を行なうこととともに、前記ダミープレートは、内径側が円形空間若しくは円形凹部を有し、外周側がリング円凸部である板状部材であり、前記板状部材を自転及び公転させるようにしたことを特徴とするワークの研磨加工方法。 - 前記円形空間若しくは円形凹部を有する内径側から外周側のリング円凸部の外径に亙って溝部が形成され、該溝部を介して外径側から内径側に液を流通させながら、研磨布にクリープ変形を起こさせることを特徴とする請求項1記載のワークの研磨加工方法。
- 研磨剤の存在下でワークと研磨布間を摺動しつつ薄板状ワークの研磨を行なうワークの研磨加工方法において、
前記ワークの研磨加工前若しくは研磨加工中断時において、前記ワークが研磨布に印加される面圧(研磨圧)より高い面圧で前記研磨布を押圧するダミープレートを用い、研磨剤又は水等の液の存在下でダミープレートと研磨布間を摺動させて、該研磨布にクリープ変形を起こさせ、該クリープ変形が生じている間のみ、前記ワークの研磨加工を行なうこととともに、前記ダミープレートは、内径側の円形空間若しくは円形凹部がワークの直径より大きい内径を持ち、その外周側が凸リング円である板状部材で構成され、前記板状部材を自転及び公転させるようにしたことを特徴とするワークの研磨加工方法。
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