JP4122800B2 - 半導体ウェーハの研磨方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハのラッピング工程等の研磨工程に好適な半導体ウェーハの研磨方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CZ(チョクラルスキー)法等で得られたインゴットから切り出されたウェーハは、ラッピング工程により、所定の厚さ及び平坦度となるまで研磨される。一般に、ラッピング工程は、上下のラップ盤でウェーハを挟み込むと共に砥粒を含むスラリーを供給し、さらにウェーハを自転及び公転させることによりその表裏面を研磨している。
【0003】
この研磨方式では、スラリーが十分にウェーハと定盤との間に供給されない不都合があるため、この対策として、例えば特開平10−80861号公報にリング状の定盤を用いた技術が提案されている。すなわち、この技術は、ウェーハの表裏面における中心から周辺に至る部分に対しそれぞれ一対のリング状定盤を対向させて押圧し、リング状定盤の空洞部にスラリーを供給しながらウェーハ及びリング状定盤をそれぞれ回転させて研磨を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の研磨技術には、以下のような課題が残されている。すなわち、リング状定盤を用いる場合、ウェーハの中心部が他の領域に比べて定盤に長く接触して研磨されるため他の領域よりも中心部が深く研磨されてしまい中心部が凹部状となる不都合があった。これは、研磨砥粒の粒径のばらつき分布により、平坦又は球面に加工されないためであり、加工動作(相対速度と時間)の頻度の高い部分とそうでない部分で、加工量が同じであるべきところ、砥粒の粒度分布が幅のある範囲にわたるため、加工量が異なる部分が生じるためである。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、中心部の凹部化を抑制し、高い平坦度が得られる半導体ウェーハの研磨方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の半導体ウェーハの研磨方法は、回転する半導体ウェーハの表裏面を被研磨面とし該被研磨面の中心部から周辺部までの領域に回転するリング状定盤を押圧状態で移動させて研磨する方法であって、前記リング状定盤と前記被研磨面との間に砥粒を含む研磨液を供給しながら研磨を行い、前記遊離砥粒研磨工程において加工頻度の高い部分に作用する遊離砥粒分の除去部分を、砥粒を固定して砥粒端を揃えた固定砥粒で修復する固定砥粒研磨工程とを備え、
該固定砥粒研磨工程は、固定砥粒面の砥粒を前記遊離砥粒研磨工程の砥粒の粒度と同じ又はより細かい粒度にして、前記遊離砥粒研磨工程で前記半導体ウェーハの中心部が凹部状に研磨されても、ある程度研磨が進むと加わる圧力が小さくなる前記固定砥粒研磨工程によって、この凹部形状を修復することを特徴とする。
【0007】
この半導体ウェーハの研磨方法では、遊離砥粒研磨工程後に被研磨面との接触面を固定砥粒面に換えたリング状定盤で研磨を行う固定砥粒研磨工程を備え、該固定砥粒研磨工程において、固定砥粒面の砥粒を遊離砥粒研磨工程の砥粒の粒度と同じ又はより細かい粒度にするので、遊離砥粒研磨でウェーハの中心部が凹部状に研磨されても、同程度の砥粒又はより細かい砥粒を用いた固定砥粒研磨によって、この凹部形状を修復することができる。すなわち、加工頻度の高い部分に作用する大きな径の砥粒分の除去部分を、砥粒を固定して砥粒端を揃えた固定砥粒で修復する。なお、固定砥粒では、ある程度研磨が進むと加わる圧力が小さくなるため、周辺部に比べて長く接触するウェーハの中心部において研磨速度が低下し、中央部と周辺部との加工量差が自然に調整されて高い平坦度を得ることができる。
【0008】
また、本発明の半導体ウェーハの研磨方法は、前記遊離砥粒研磨工程において、少なくとも粒度5000番以上の砥粒を含む研磨液を供給して研磨することが好ましい。すなわち、この半導体ウェーハの研磨方法では、遊離砥粒研磨工程において、少なくとも粒度5000番以上の砥粒を含む研磨液を供給して研磨することにより、ラッピング工程で要求される平坦度を十分に得ることができる。
【0009】
また、本発明の半導体ウェーハの研磨方法は、前記遊離砥粒研磨工程が、少なくとも粒度2500番以上の砥粒を含む研磨液で研磨する第1の研磨工程と、該第1の研磨工程の砥粒に対して半分以下の粒径の砥粒を含む研磨液で研磨する第2の研磨工程とを備えていることが好ましい。すなわち、この半導体ウェーハの研磨方法では、第1の研磨工程で高い研磨速度で粗研磨し、これによって生じたウェーハ中心部の凹部形状を第2の研磨工程による研磨で、ある程度修復することができ、効率的な研磨が可能になる。
【0010】
また、本発明の半導体ウェーハの研磨方法は、前記リング状定盤を前記被研磨面の半径方向に移動させ被研磨面の中心部に接触する時間を他の部分よりも短く設定することが好ましい。すなわち、この半導体ウェーハの研磨方法では、リング状定盤を被研磨面の半径方向に移動させ被研磨面の中心部に接触する時間を他の部分よりも短く設定することにより、ウェーハ中心部に高い頻度をもって作用することを避け、中心部の作用頻度を他の部分の頻度と同等にすることが可能になる。したがって、中心部と他の部分との研磨量の差がさらに低減し、高い平坦度を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の研磨方法に用いるシリコンウェーハ(半導体ウェーハ)Wの研磨装置における主要部を概略的に示すものである。この研磨装置は、シリコンウェーハWを中心軸周りに回転させるウェーハ回転機構1と、回転するシリコンウェーハWの表裏面を被研磨面としこれらの被研磨面の中心部から周辺部までの領域に回転する一対のリング状定盤2をシリコンウェーハWの表裏面から押圧状態で移動させて研磨するラップ機構3とを備えている。
【0013】
上記ウェーハ回転機構1は、シリコンウェーハWの周縁を回転可能に支持する複数のガイドローラ4と、ウェーハWをその被研磨面の半径方向に揺動させるために上記複数のガイドローラ4系を移動制御する揺動機構(図示略)を備え、この揺動機構は、被研磨面の中心部がリング状定盤2に接する時間を他の部分より短くするように制御される。
上記ラップ機構3は、リング状定盤2を軸方向に移動させると共に圧力荷重を可能にする移動機構5と、リング状定盤2の定盤面が被研磨面に最も接近して接する姿勢に変える機構(図示略)を備えている。
【0014】
上記リング状定盤2は、シリコンウェーハWの半径にほぼ対応する外径を有する円環状の定盤であって、軸部材6の一端に固定された円盤部材7に取り付けられている。軸部材6の他端はウェーハ回転機構1の駆動用モータに接続されており、該駆動用モータによってリング状定盤2と共に所定回転速度で回転可能になっている。
また、リング状定盤2内側の空洞部2aには、軸部材6及び円盤部材7内の供給孔6aを介して砥粒を含むスラリー(研磨液)がスラリー供給源8から供給されるようになっている。
【0015】
この研磨装置を用いたラッピング工程における本発明の研磨方法を、工程順に以下に説明する。
〔遊離砥粒研磨工程〕
まず、シリコンウェーハWをガイドローラ4にセットし、次に、一対の同方向に回転するリング状定盤2を移動機構5により軸方向に移動させて被研磨面である表裏面に押圧状態にそれぞれ当接させて研磨を行う。
【0016】
この際、少なくとも粒度5000番以上の砥粒(アルミナ、ダイヤモンド、カーボランタム等)を含むスラリーを供給して研磨を行う。本実施形態では、最初に少なくとも粒度2500番以上の砥粒、例えば粒度6000番の砥粒を含むスラリーで第1の研磨を行い、次に、該第1の研磨の砥粒に対して半分以下の粒径の砥粒、例えば粒度10000番の砥粒を含むスラリーで第2の研磨を行う。
【0017】
上記リング状定盤2による研磨では、空洞部2aにスラリーが供給されるため、ラッピングで発生した加工屑及びスラリーはリング状定盤2の回転による相対速度及び遠心力で外周へと排出される。また、リング状定盤2は、平面定盤に比べて加工熱による歪みが少ないと共に応力変形も少なく、高精度な研磨が可能である。
【0018】
〔固定砥粒研磨工程〕
次に、シリコンウェーハWを研磨装置から一旦取り外して洗浄することによりスラリーを洗い流し、再び研磨装置にセットする。さらに、被研磨面との接触面を、図2に示すように、固定砥粒面12aに換えたリング状定盤2でスラリー供給源8から更に細かい粒子を有するスラリーを供給するか、水を供給して研磨を行う。この際、固定砥粒面12aの砥粒12bを遊離砥粒研磨工程の砥粒の粒度と同じ又はより細かい粒度にする。すなわち、加工頻度の高い部分に作用する大きな径の砥粒分の除去部分を、砥粒12bを固定して砥粒端を揃えた固定砥粒で修復する。
【0019】
なお、固定砥粒では、ある程度研磨が進むと加わる圧力が小さくなるため、周辺部に比べて長く接触するシリコンウェーハWの中心部において研磨速度が低下し、中央部と周辺部との加工量差が自然に調整されて高い平坦度を得ることができる。
また、上記各研磨工程では、移動機構5によりリング状定盤2を被研磨面の半径方向に揺動させ被研磨面の中心部に接触する時間を他の部分よりも短くされる。
【0020】
このように本実施形態では、遊離砥粒研磨工程後に被研磨面との接触面を固定砥粒面12aに換えたリング状定盤2で研磨を行う固定砥粒研磨工程を備え、該固定砥粒研磨工程において、固定砥粒面12aの砥粒12bを遊離砥粒研磨工程の砥粒の粒度と同じ又はより細かい粒度にするので、遊離砥粒研磨でシリコンウェーハWの中心部が凹部状に研磨されても、同程度の砥粒又はより細かい砥粒を用いた固定砥粒研磨によって、この凹部形状を修復することができる。
【0021】
また、遊離砥粒研磨工程において、少なくとも粒度5000番以上の砥粒を含むスラリーを供給して研磨することにより、ラッピング工程で要求される平坦度を十分に得ることができる。
さらに、遊離砥粒研磨工程の第1の研磨で高い研磨速度で粗研磨し、これによって生じたシリコンウェーハW中心部の凹部形状を第2の研磨で、ある程度修復することができ、効率的な研磨が可能になる。
【0022】
また、リング状定盤2を被研磨面の半径方向に移動させ被研磨面の中心部に接触する時間を他の部分よりも短く設定することにより、シリコンウェーハW中心部に高い頻度をもって作用することを避け、中心部の作用頻度を他の部分の頻度と同等にするか、その頻度の差を小さくすることが可能になる。したがって、中心部と他の部分との研磨量の差がさらに低減し、高い平坦度を得ることができる。
【0023】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0024】
例えば、上記実施形態では、ラッピング工程における研磨に適用したが、他の工程の研磨に適用しても構わない。例えば、ポリッシング工程におけるCMP(化学的機械的研磨)による鏡面加工に用いても構わない。
また、上記実施形態では、シリコンウェーハの表裏面を同時に研磨する両面研磨に適用したが、表裏面のいずれか一方を被研磨面とした片面研磨に適用しても構わない。
また、上記実施形態では、半導体ウェーハとしてシリコンウェーハに適用したが、他の半導体ウェーハ、例えば、化合物半導体のウェーハ(ガリウム・ヒ素のウェーハ等)の研磨技術に適用してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明の半導体ウェーハの研磨方法によれば、遊離砥粒研磨工程後に被研磨面との接触面を固定砥粒面に換えたリング状定盤で研磨を行う固定砥粒研磨工程を備え、該固定砥粒研磨工程において、固定砥粒面の砥粒を遊離砥粒研磨工程の砥粒の粒度と同じ又はより細かい粒度にするので、遊離砥粒研磨でウェーハの中心部が凹部状に研磨されても、同程度の砥粒又はより細かい砥粒を用いた固定砥粒研磨によって、この凹部形状を修復することができる。したがって、中心部の凹部化が抑制され、高い平坦度の半導体ウェーハが得られる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態に用いる研磨装置を示す要部の概略斜視図である。
【図2】 本発明に係る一実施形態の固定砥粒研磨工程におけるリング状定盤の固定砥粒面を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 ウェーハ回転機構
2 リング状定盤
3 ラップ機構
12a 固定砥粒面
12b 砥粒
W シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)

Claims (4)

  1. 回転する半導体ウェーハの表裏面を被研磨面とし該被研磨面の中心部から周辺部までの領域に回転するリング状定盤を押圧状態で移動させて研磨する方法であって、
    前記リング状定盤と前記被研磨面との間に砥粒を含む研磨液を供給しながら研磨を行う遊離砥粒研磨工程と、
    該遊離砥粒研磨工程後に前記被研磨面との接触面を固定砥粒面に換えた前記リング状定盤で研磨を行い、前記遊離砥粒研磨工程において加工頻度の高い部分に作用する遊離砥粒分の除去部分を、砥粒を固定して砥粒端を揃えた固定砥粒で修復する固定砥粒研磨工程とを備え、
    該固定砥粒研磨工程は、固定砥粒面の砥粒を前記遊離砥粒研磨工程の砥粒の粒度と同じ又はより細かい粒度にして、前記遊離砥粒研磨工程で前記半導体ウェーハの中心部が凹部状に研磨されても、ある程度研磨が進むと加わる圧力が小さくなる前記固定砥粒研磨工程によって、この凹部形状を修復することを特徴とする半導体ウェーハの研磨方法。
  2. 請求項1に記載の半導体ウェーハの研磨方法において、
    前記遊離砥粒研磨工程は、少なくとも粒度5000番以上の砥粒を含む研磨液を供給して研磨することを特徴とする半導体ウェーハの研磨方法。
  3. 請求項1に記載の半導体ウェーハの研磨方法において、
    前記遊離砥粒研磨工程は、少なくとも粒度2500番以上の砥粒を含む研磨液で研磨する第1の研磨工程と、
    該第1の研磨工程の砥粒に対して半分以下の粒径の砥粒を含む研磨液で研磨する第2の研磨工程とを備えていることを特徴とする半導体ウェーハの研磨方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の半導体ウェーハの研磨方法において、
    前記リング状定盤を前記被研磨面の半径方向に移動させ被研磨面の中心部に接触する時間を他の部分よりも短く設定することを特徴とする半導体ウェーハの研磨方法。
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