JP3776326B2 - 色変換テーブル作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色変換テーブルの作成方法に関し、特に、デバイスの色再現特性に依存しない中間の三次元色空間の座標値にいったん変換された色信号を、出力デバイスの特性に合わせた四次元色空間の座標値に変換するための色変換テーブルの作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー画像を印刷したり表示したりする際には、通常、まず、写真等の原稿をスキャナ等の画像入力装置で読み取って画像データが生成される。そして、この画像データをプリンタやディスプレイ等の画像出力装置で出力することにより、カラー画像が得られる。
ところで、入力デバイスや出力デバイスの色再現特性が異なるため、元のカラー画像と、印刷又は表示される出力カラー画像の色が、微妙に異なることがある。
【0003】
そこで、従来から画像再現にあたり、デバイスに依存する画像データの色信号を、いったん、デバイスに依存しない中間の色空間の色信号に変換し、その後、出力デバイス固有の色空間に変換する方法が採用されている。
このような色空間の変換は、デバイスごとの色再現特性が記述されたプロファイルを用いて行われる。プロファイルは、一般に、参照テーブル(ルックアップテーブル)の形で提供される。
【0004】
デバイスに依存する画像データの色信号を、デバイスに依存しない中間の色空間の色信号に変換するため参照テーブルの作成方法の一例が、特開2000−253270号公報に記載されている。この公報記載の技術によれば、カラーパッチと格子点との距離に応じて、あるカラーパッチに近い格子点ほどそのカラーパッチにおける色差による影響を大きくする重み付けをして補正し、また、あるカラーパッチから所定距離の内の近傍格子点に対してのみ、初期ルックアップテーブルの色値を補正し、一連の補正処理を繰り返すことにより、色変換テーブルを効率よく作成する。
【0005】
また、中間の色空間の色信号を、出力デバイスの色空間に変換する種々の多次元色変換テーブルが、ICC等を作成するソフトウエアとして市販されている。多次元色変換テーブルは、カラーパッチを測色し、その測色データに基づいて指定のRGBに最も近い格子点を探索し、その格子点のCMYK色空間におけるCMY値を取得する。続いて、UCR等を行ってCMYK色空間におけるK(ブラック)値を算出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の多次元色変換テーブルにおいては、先にCMY値を決定し、後からK値を決定している。このため、CMY値とCMYKの測色値とが異なり、探索した格子点の色と再現された色とが異なってしまう。その結果、本来明るいはずの色にK(ブラック)が過剰に入ってしまい、色相の再現性が悪くなる場合があるという問題点があった。特に、肌色やグレー等の淡色の正確な再現が困難な場合があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決すべくなされたものであり、色再現性の高い色変換テーブルの作成方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成を図るため、本発明の請求項1に係る色変換テーブル作成方法によれば、(a)CMYK色空間における格子点を設定し、画像装置に出力させたカラーパッチを測色してXYZ値を求め、CMYK−XYZの測色テーブルを作成する工程と、
(b)指定RGB値をXYZ値に変換する工程と、
(c)XYZ値から、CMYK色空間におけるK値を決定する工程と、
(d)(c)工程で決定したK値を変えずに、カラーパッチを測色して得られたCMYK−XYZの測色テーブルから、XYZ値との色差が最小となる格子点を探索し、XYZ値に対応するCMY値を決定する工程と、
(e)(b)〜(d)の工程を、全ての指定RGB値について行い、RGB−CMYK色変換テーブルを作成する工程とを含む方法としてある。
【0009】
このように、本発明の色変換テーブル作成方法によれば、CMYK色空間におけるK値を先に決定し、その後、このK値を変えずに、色差が最小となる格子点を探索して、その格子点のCMY値をXYZ値に対応する値として決定する。これにより、本発明によれば、色再現性の高い色変換テーブルを作成することができる。
【0010】
そして、本発明の方法により作成した色変換テーブルを用いて色変換を行えば、CMYK色空間におけるブラック成分の量が原画像のインクにおける割合と同等になり、正確な色相の再現を図ることができる。特に、肌色やグレー等の淡色の正確な再現を図ることができる。
【0011】
ところで、ROM等の記憶容量の制約のため、多次元色変換テーブルの格子点数は、通常、9×9×9であり、多くても17×17×17である。このため、従来の多次元色変換テーブルでは、パッチデータの数が少なく、格子点間の線形性が保たれていない。線形性が保たれていない空間で補間を行うと、グラディエーション等が逆転してしまう場合がある。このような逆転は、特に、グレーのグラディエーションで顕著に現れる。
【0012】
そこで、請求項2記載の発明によれば、(a)工程において、測色テーブルにおいて、設定されたCMYK色空間の座標値間の新たな格子点に対応するXYZ値を補間により求めて追加する方法としてある。
このように、測色後に、測色テーブルの測色データを補間により増やせば、パッチデータ間の線形性を保つことができる。その結果、このようにして作成した色変換テーブルを用いれば、グラディエーションの逆転の発生を抑制することができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明によれば、(c)工程において、XYZ値に対応するK値を決定するにあたり、XYZ値をL*a*b*値に変換し、このL*a*b*値に相当するCMYK空間におけるK値をICCプロファイルから求める方法としてある。
これにより、XYZ値から容易にK値を求めることができる。
【0014】
ところで、カラーパッチを測色し、その測色データに基づいて指定RGBに最も近い格子点、すなわち色差の最も小さい格子点を探索するにあたり、従来は、通常、色差をL*a*b*値で表して探索している。
ところが、L*a*b*の色空間は、青色側の色相が歪んでいる。このため、色差をL*a*b*値で表して探索したのでは、青色方向の正確な色再現が困難である。例えば、青色の色相が紫色になってしまうことがある。
【0015】
そこで、請求項4記載の発明によれば、(d)工程において、色差をL*u*v*色空間における色差とする方法としてある。
L*u*v*の色空間は、青色側の色相が歪んでいない。このため、色差をL*u*v*値で表して探索すれば、青色方向の色相の正確な再現を図ることができる。
【0016】
また、請求項5記載の発明によれば、(e)工程において、RGB−CMYK色変換テーブルの格子点数を補間により減少させる処理と増加させる処理とを交互に繰り返し、スムージングをかける方法としてある。
このようにして色変換テーブルにスムージングをかければ、色変換テーブル内のデータをその周囲の格子点のデータに対して滑らかに変化させることができる。その結果、この色変換テーブルを用いていろ変換を行えば、滑らかなグラディエーションを再現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の色変換テーブル作成にあたり、まず、CMYK色空間(表色系)における格子点を設定し、すなわち、座標値を格子状に設定して、画像装置にCMYK色空間の各格子点のカラーパッチを出力させる(図2のステップS1)。
【0018】
ここで、図1に、CMYKのカラーパッチを模式的に示す。このカラーパッチは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の四次元表色系における各格子点の座標値を設定し、プリンタに出力させたものである。ここでは、9×9×9×9の格子点を設定したので、このカラーパッチは6561色を有する。
【0019】
そして、このカラーパッチを色彩計で測色してXYZ値を求め、CMYK−XYZの測色テーブルを作成する(図2のステップS2)。
ここでは、D50の環境で測色を行う。
【0020】
続いて、測色したデータ数を増やすため、図3に示すフローにより、8点補間(図3のステップS)により、CMYK−XYZの測色テーブルのデータ数を、25×25×25×25=390625に増やす。このように、測色テーブルの測色データを補間により増やせば、パッチデータ間の線形性を保つことができる。
【0021】
なお、図3のLoop1(0≦C≦25)、Loop2(0≦M≦25)、Loop3(0≦Y≦25)及びLoop4(0≦K≦25)は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各座標について25分割した各格子点について順次に、その周囲のP1〜P8の8格子点のデータに基づく8点補間を計算することを表す。
【0022】
次に、図4のフローチャートを参照して、測色テーブルを用いて色変換テーブルを作成する方法の一例について説明する。
ここでは、sRGB色空間で17×17×17に分割された各格子点の指定RGB値をCMYK色空間のCMYK値に変換して色変換テーブルを作成する。
【0023】
次に、指定RGB値をXYZ値に変換する(図4のステップS1)。
ここで、図5に、指定RGB値からXYZ値への変換例を模式的に示す。
図5に示す例では、指定RGB値を、2.2のGammaにかけてR’G’B’値に変換する(図5のステップS1)。これは、モニターのGammaを考慮したものである。
【0024】
続いて、R’G’B’値にsRGB変換マトリクスをかけてXYZ値(D65)に変換する(図5のステップS1)。図5のsRGB変換マトリクスのブロックの下にsGRB変換マトリクスの一例を示す。
【0025】
ところで、カラーパッチの測色は、D50の環境下で行っている。このため、XYZ値を測色時の光源に合わせる必要がある。そこで、XYZ値(D65)に、光源を考慮したブラッドフォードマトリクスをかけて、これをXYZ値(D50)に変換する(図5のステップS3)。図5のブラッドフォードマトリクスのブロックの下に、ブラッドフォードマトリクスの一例を示す。
【0026】
次に、XYZ値から、CMYK色空間におけるK(ブラック:墨)値を決定する(図4のステップS2)。
ここで、図6に、XYZ値からK値を決定する方法例を説明するフローチャートを示す。まず、XYZ値に対応するK値を決定するにあたり、XYZ値をL*a*b*値(L*a*b*色空間における座標値)に変換する(図6のステップS1)。
この変換では、光源としてD50を使用する。
【0027】
次に、このL*a*b*値に相当するCMYK空間におけるK値を、EUROInkのICCプロファイルから求める(図6のステップS2)。
EURO InkのICCプロファイルを利用することで、K(ブラック)の割合がインク印刷と同様な割合となる。その結果、肌色やグレー等の淡色の再現性を向上させることができる。また、CMYKのK値の探索の際にも、8点補間法を用いるとよい。
【0028】
次に、K値を変えずに、測色テーブルから、XYZ値との色差が最小となる格子点を探索し、その格子点のCMY値を、XYZ値に対応するCMY値として決定する(図4のステップS3)。
ここで、図7に、CMY値の決定方法例を示す。まず、XYZ値をL*u*v*値(L*u*v*色空間における座標値)に変換する(図7のステップS1)。この変換では、光源としてD50を使用する。
【0029】
次に、補間により25×25×25×25に増加した測色テーブルより、K(ブラック)値が等しく、色差ΔE(L*u*v*)が最も小さくなる格子点を見つける。
すなわち、色差を求めるにあたり、まず、測色テーブルのXYZ値(D50)(図7のA)をLI*uI*vI*(D50)(図7のB)に変換し、入力L*u*v*(図7のC)との色差ΔE(図7のD)を求める(図7のステップS2)。
なお、色差は、ΔE={(LI−L)2+(uI−u)2+(vI−v)2}1/2で表される。
【0030】
そして、測色テーブルを全て検索し、色差ΔE(L*u*v*)が最小となるXYZ(D50)の格子点を求め、その格子点に対応するCMY値を出力する(図7のステップS3)。
【0031】
このように、先にK値を決定し、このK値を変えずに、後から色差が最小となる格子点を探索してCMY値を決定すれば、肌色やグレー等の淡色の色再現性の高い色変換テーブルを作成することができる。
【0032】
なお、L*u*v*の色空間は、青色側の色相が歪んでいないため、色差をL*u*v*値で表して探索すれば、青色方向の色相の正確な再現を図ることができる。また、明度、彩度等に重み付けをして色差ΔEを取れば、出力する色を調整することができる。
【0033】
次に、このようにして求めたCMYK値を、RGB−CMYK色変換テーブルに入れる(図4のステップS4)。
そして、この操作を、図4のLoop1〜Loop3に従って全ての指定RGB値について行い、RGB−CMYK色変換テーブルを作成する。
【0034】
ところで、このようにして作成されたRGB−CMYK色変換テーブルは、このままでは、滑らかなグラディエーションを再現することが困難な場合がある。そこで、本実施形態では、さらにRGB−CMYK色変換テーブルにスムージングをかける。
【0035】
スムージングをかけるにあたっては、17×17×17の格子数(メッシュ数)を8点補間により、16×16×16の格子数にいったん変換する。さらに、この16×16×16の格子数を再び元の17×17×17の格子数に戻す。この作業を例えば五回繰り返すことにより、色変換テーブルのデータが周囲の格子点のデータに対して滑らかに変化する値となり、滑らかなグラディエーションを再現することができる。
【0036】
上述した実施の形態においては、本発明を特定の条件で構成した例について説明したが、本発明は、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施の形態においては、カラーパッチや指定RGB値の格子点数として、特定数の格子点を設定した例について説明したが、本発明では格子点数はこれに限定されない。
【0037】
また、上述した実施形態では、K値を決定するにあたり、EURO InkのICCプロファイルから求めた例について説明したが、本発明では、K値を決定する際に用いるプロファイルはこれに限定されない。例えば、SWOP等のICCプロファイルを用いても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の色変換テーブル作成方法によれば、CMYK色空間におけるK値を先に決定し、その後、このK値を変えずに、色差が最小となる格子点を探索してCMY値を決定する。これにより、色再現性の高い色変換テーブルを作成することができる。
そして、本発明の方法により作成した色変換テーブルを用いて色変換を行えば、正確な色相の再現を図ることができる。特に、肌色やグレー等の淡色の正確な再現を図ることができる。
【0039】
また、測色テーブルの測色データを補間により増やせば、パッチデータ間の線形性を保つことができる。その結果、このようにして作成した色変換テーブルを用いれば、グラディエーションの逆転の発生を抑制することができる。
また、色差をL*u*v*色空間における色差で表して探索を行えば、色差をL*a*b*で表した場合よりも、青色方向の色相の正確な再現を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラーパッチの模式図である。
【図2】測色テーブルの作成工程を説明するためのフローチャートである。
【図3】測色テーブルの格子点を増加させる工程を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施形態における色変換テーブルの作成方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4のステップS1において、sRGB値をXYZ値に変換する工程を説明するためのフローチャートである。
【図6】図4のステップS2において、K値を求める工程を説明するためのフローチャートである。
【図7】図4のステップS3において、CMY値を求める工程を説明するためのフローチャートである。
Claims (5)
- (a)CMYK色空間における格子点を設定して画像装置に出力させたカラーパッチを測色してXYZ値を求め、CMYK−XYZの測色テーブルを作成する工程と、
(b)指定RGB値をXYZ値に変換する工程と、
(c)前記XYZ値から、CMYK色空間におけるK値を決定する工程と、
(d)前記(c)工程で決定したK値を変えずに、カラーパッチを測色して得られた前記CMYK−XYZの測色テーブルから、前記XYZ値との色差が最小となる格子点を探索し、前記XYZ値に対応するCMY値を決定する工程と、
(e)前記(b)〜(d)の工程を、全ての指定RGB値について行い、RGB−CMYK色変換テーブルを作成する工程と
を含むことを特徴とする色変換テーブル作成方法。 - 前記(a)工程において、前記測色テーブルにおいて、設定されたCMYK色空間の座標値間の新たな格子点に対応するXYZ値を補間により求めて追加する
ことを特徴とする請求項1記載の色変換テーブル作成方法。 - 前記(c)工程において、前記XYZ値に対応するK値を決定するにあたり、
前記XYZ値をL*a*b*値に変換し、このL*a*b*値に相当するCMYK空間におけるK値をICCプロファイルから求める
ことを特徴とする請求項1又は2記載の色変換テーブル作成方法。 - 前記(d)工程において、前記色差をL*u*v*色空間における色差とする
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の色変換テーブル作成方法。 - 前記(e)工程において、前記RGB−CMYK色変換テーブルの格子点数を補間により減少させる処理と増加させる処理とを交互に繰り返し、スムージングをかける
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の色変換テーブル作成方法。
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