JP3776260B2 - 自動車用ドアクロージャ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動機構によりドアを完全閉扉状態に駆動する自動車用ドアクロージャ装置に関し、特にモジュールベースにドア内に配置される部品をあらかじめ取付けておき、車体組立ラインではモジュールベースをドアに組み付けるだけでドア組立が完了するモジュールタイプドアに適用されるドアクロージャ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ドアクロージャ装置は、例えば、実用新案登録第2530516号公報に開示されているように、駆動機構部とドアロック装置とが駆動ケーブルにより連結されているものがある。
【0003】
また、特公平7−6329号公報に開示されているように、ドア内に装着される構成部品、例えばウインドパネルを昇降するウインドレギュレータ等をモジュールベースにあらかじめ取り付けておき、車体組立ラインでは前記構成部品を組付けたモジュールベースをドアに取り付けるだけで、ドア内の部品組付けを完了できるモジュールタイプの自動車用ドアが知られている。
【0004】
ここで駆動ケーブルで駆動するドアクロージャ装置をモジュールタイプのドアに適用するに際し、ドアクロージャ装置は、駆動ケーブルで連結されているので、ドアロック装置とともにドア内側に取り付ける必要がある。また、駆動機構部は取付スペースの関係からモジュールベースに取り付ける必要がある。
【0005】
かかるモジュールベースをドアに取り付けた後だと、作業孔が塞がれてしまうので、ドア内側に配設された駆動機構部への駆動ケーブルの連結作業が作業が出来なくなる。このため、取り付け前の状態のモジュールベース上に配置された駆動機構部に、ドア内のドアロック装置に連結された駆動ケーブルを連結する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる方法によれば、駆動機構部への駆動ケーブル取り付けを、モジュールベースを保持しながら行う必要があり、作業性が悪いことになる。このため、駆動ケーブル連結の作業性を確保するために駆動機構部をモジュールベースのドア外側に配置することも考えられるが、かかる場合には、駆動機構部がドア外側の車室内側に配置されることになり、車室内にドアクロージャ装置の駆動音が漏洩するおそれがある上、車室内側のスペースを占有するため車室内が狭くなり、さらなる改善が要望されている。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ドアクロージャ装置のドアへの組み付け性を向上し、静粛性の向上したドアクロージャ装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ドアアウターパネル及びドアインナーパネルにより中空状に形成されてなるドア内に配置されたドアロック装置をモータ及び減速機構からなる駆動機構部により駆動ケーブルを介し駆動させてドアを完全閉扉状態にする自動車用ドアクロージャ装置において、前記ドアインナーパネルに開口した作業孔をドア外側から塞ぐ状態でモジュールベースが取り付けられ、該モジュールベースのドア内側且つ前記作業孔内には、前記駆動機構部が配設され、該駆動機構部の出力軸は、モジュールベースに穿設された貫通孔からシール材を介在してドア外側に突出しており、前記駆動ケーブルの一端部をドアロック装置の入力部に連結してなり且つ前記駆動ケーブルの他端部をドア外側に突出した駆動機構部の出力軸に連結されてなると共に前記駆動ケーブルの途中を前記モジュールベースに穿設された挿通孔にドア内側からドア外側に延出されてなことを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、ドアロック装置も駆動機構部も所定位置に取り付け完了した後、駆動ケーブルの連結作業が出来るので、組み付け作業性が向上する。また、駆動機構部は、ドア内側である車室外側に配置されているので、駆動機構部から発生する作動音はドア外に漏洩することはなく静粛性が向上する。さらに、嵩張る駆動機構部をドア内側に配置できるので、車室内の居住空間を広く確保することが可能となり居住性が向上する。
【0010】
請求項2記載の発明は、駆動ケーブルが挿通された挿通孔には、グロメットが嵌着されているものである。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、グロメットが挿通孔と駆動ケーブルとの間に嵌装されているので、ドア内からの騒音の車室内への漏洩防止がさらに確実になるとともに防水性の向上にも貢献できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図に基づいて説明する。図1において、符号1は、自動車Vのドアである。前記ドア1は、図2に示すように、ドアアウターパネル2とドアインナーパネル3とにより中空状に形成されてなる。
【0013】
符号4は、鋼板よりプレス成形されてなるモジュールベースである。該モジュールベース4は、前記ドアインナーパネル3に開口した作業孔5を塞ぐのに十分な大きさに形成されていて、該ドアインナーパネル3にボルト6で締結されてなる。シール部材7は、図2に示すように、モジュールベース4のドア内側面の全周縁部4aに形成されて成るビード4b内に接着されてなる。
【0014】
前記ドア1の内部には、駆動機構部8とドアロック装置9とを駆動ケーブル10で連結した構造のドアクロージャ装置Cが設置されている。ドアロック装置9には、図1に示すように、車体側に配設されたストライカ11と係合する図示せぬラッチプレートが設けられており、該ラッチプレートは、駆動ケーブル10を介し伝達された駆動力により回動するようになっている。
【0015】
駆動ケーブル10の一端部10aは、ドア1内に配設されたドアロック装置9の入力部9aに連結されている。駆動ケーブル10は、ドア1の内側よりモジュールベース4に穿設された挿通孔4cに挿通され、モジュールベース4のドア外側に延出されている。駆動ケーブル10の他端部10bは、出力レバー12が固着されている。モジュールベース4に穿設された貫通孔4dを貫通し、ドア外側に突出している駆動機構部8の出力軸8aには、出力レバー12の係合孔12aが係合されている。さらに、出力レバー12は、外側からボルト13で出力軸8aのねじ孔8eに締結されている。出力軸8aの係合部8bと、出力レバー12の係合孔12aとは、回り止めのために、ともに楕円形状に形成されている。駆動ケーブル10が挿通する挿通孔4cが穿設されたモジュールベース4の面は、駆動ケーブル10が無理に屈曲すること無く挿通出来るよう、傾斜面4eに形成されている。挿通孔4cには、駆動ケーブル10の外側を保護するとともに防水のためのグロメット14が嵌着されている。
【0016】
駆動機構部8は、防振ゴム8cを介在させたナット8dが固着されており、該ナット8dに螺合するボルト15でもってモジュールベース4に取り付けられている。駆動機構部8は、モータ16が取り付けられた複数のギアから構成される減速機構17と、該減速機構17から突出するピニオンギア17aに噛み合うセクタギア18とがベース部材19に取り付けられてなる。
【0017】
セクタギア18は、ベース部材19に両端を回動可能に支持された出力軸8aを有する。駆動機構部8のベース部材19は、モジュールベース4のドア内方側に取り付けられており、出力軸8aは、モジュールベース4に穿設された貫通孔4dを貫通しドア外側に突出している。出力軸8aとモジュールベース4の間には、リング状のシール材20が介装されており、モータ作動音やギアの噛み合い音の車室内への漏洩を防止している。
【0018】
駆動ケーブル10は、外側を包むアウターケース10cと該アウターケース10c内を軸方向に移動可能なインナー駆動ケーブル10dとからなる。
【0019】
出力レバー12の先端部には駆動ケーブル10のインナー駆動ケーブル10の他端部10bが取り付けピン21により連結されている。
【0020】
モジュールベース4のドア外側の出力軸8aが突出している近傍には、支持ブラケット22が取り付けられている。支持ブラケット22を締結するボルト23は、取付孔22bから挿入されモジュールベース4を貫通し、モジュールベース4のドア内側に配設されているベース部材19に固着されたナット19aに螺合されている。支持ブラケット22には、ケーブル支持溝22aが形成されている。支持ブラケット22のケーブル支持溝22aには、駆動ケーブル10のアウターケース10cの他端部10bに形成され、雄ねじが外周に螺刻されたクランプ部10eが挿入され、螺合された2個のナット10f,10fにより支持ブラケット22に狭持されている。
【0021】
次に、組み付け手順を図5乃至図9に基づいて説明する。先ず図5によると、駆動ケーブル10の一端部10aが入力部9aにあらかじめ連結されているドアロック装置9をドア内部に取り付ける。駆動ケーブル10には、グロメット14が外嵌されるとともにナット10f,10fが螺合され、他端部10bには、出力レバー12が固着されている。モジュールベース4のドア内側に駆動機構部8のナット8dにボルト15で締結し取り付ける。
【0022】
次に、図6及び図8の状態を説明すると、支持ブラケット22の取付孔22bにボルト23を通し、モジュールベース4の裏側に配置されたベース部材19に固着されたナット19aに締結することで取り付ける。このとき、モジュールベース4の貫通孔4dから出力軸8aの係合部8bが突出している。
【0023】
駆動ケーブル10の先端をモジュールベース4の挿通孔4cから延出した状態でモジュールベース4は、ドアインナーパネル3にボルト6で取り付けられている。
【0024】
この状態をドア外側の車室内側から見ると、モジュールベース4の挿通孔4cから先端に出力レバー12を連結され、グロメット14を外嵌させ、2個のナット10f,10fが螺合された駆動ケーブル10が、モジュールベース4の貫通孔10dから係合部8bをのぞかせた出力軸8aの近傍に突出している。
【0025】
ここでグロメット14を挿通孔4cに装着し、図7及び図9に示すとおり出力レバー12の係合孔12aを出力軸8aの係合部8bに係合させ、ボルト13をねじ孔8eに締結し、さらに支持ブラケット22のケーブル支持溝22aにアウターケース10cのクランプ部10eを挿入し、ナット10f,10fで狭持すればドア1へのドアクロージャ装置Cの組み付け作業は完了する。
【0026】
以上の構成により、駆動機構部8のモータ16の駆動力は、出力レバー12から駆動ケーブル10のインナー駆動ケーブル10dに伝達され、ドアロック装置9を駆動することが可能になる。このとき、モータ16及び噛み合い音を発生するピニオンギア17a、セクタギア18等の駆動機構部8は、モジュールベース4の車室外側のドア内側に配置されているので、駆動機構部8から発生する作動音はモジュールベース4によって遮蔽されドア外に漏洩することはない。
【0027】
また、嵩張る駆動機構部8がドア内側である車室外側に配置されているため、車室内側に突出するものがなく車室内空間が広くなり居住性が向上する。
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ドアロック装置も駆動機構部も所定位置に取り付け完了した後、駆動ケーブルの連結作業が出来るので組み付け作業性が向上する。また、駆動機構部はドア内側である車室外側に配置されているので、駆動機構部から発生する作動音はドア外に漏洩することはなく静粛性が向上する。さらに、嵩張る駆動機構部をドア内側に配置できるので、車室内の居住空間を広く確保することが可能となり居住性が向上する。
【0029】
請求項2記載の発明によれば、グロメットが挿通孔と駆動ケーブルとの間に嵌装されているので、ドア内からの騒音の車室内への漏洩防止がさらに確実になるとともに防水性の向上にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる自動車用ドアクロージャ装置をドアに搭載した自動車を示す斜視図。
【図2】図1中II−II線に沿う断面図。
【図3】図2中矢視III方向から見た正面図。
【図4】図3中IV−IV線に沿う断面図。
【図5】本発明の一実施形態に係わる自動車用ドアクロージャ装置をモジュールドアへ組み付ける前の状態を示す斜視図。
【図6】本発明の一実施形態に係わる自動車用ドアクロージャ装置をモジュールドアへ組み付け中の状態を示す正面図。
【図7】本発明の一実施形態に係わる自動車用ドアクロージャ装置をモジュールドアへ組み付けた後の状態を示す正面図。
【図8】図6中矢視VIII方向から見た正面図。
【図9】図7中矢視IX線方向から見た正面図。
【符号の説明】
C 自動車用ドアクロージャ装置
1 ドア
3 ドアインナーパネル
4 モジュールベース
4c 挿通孔
4d 貫通孔
5 作業孔
8 駆動機構部
8a 出力軸
9 ドアロック装置
10 駆動ケーブル
10a 一端部
10b 他端部
14 グロメット
16 モータ
17 減速機構

Claims (2)

  1. ドアアウターパネル及びドアインナーパネルにより中空状に形成されてなるドア内に配置されたドアロック装置をモータ及び減速機構からなる駆動機構部により駆動ケーブルを介し駆動させてドアを完全閉扉状態にする自動車用ドアクロージャ装置において、
    前記ドアインナーパネルに開口した作業孔をドア外側から塞ぐ状態でモジュールベースが取り付けられ、
    該モジュールベースのドア内側且つ前記作業孔内には、前記駆動機構部が配設され、
    該駆動機構部の出力軸は、モジュールベースに穿設された貫通孔からシール材を介在してドア外側に突出しており、
    前記駆動ケーブルの一端部をドアロック装置の入力部に連結してなり且つ前記駆動ケーブルの他端部をドア外側に突出した駆動機構部の出力軸に連結されてなると共に前記駆動ケーブルの途中を前記モジュールベースに穿設された挿通孔にドア内側からドア外側に延出されてなことを特徴とする自動車用ドアクロージャ装置。
  2. 請求項1記載の自動車用ドアクロージャ装置であって、
    駆動ケーブルが挿通された挿通孔には、グロメットが嵌着されていることを特徴とする自動車用ドアクロージャ装置。
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