JP3773421B2 - 作業車の窓構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農用トラクタやコンバイン、油圧ショベル等の作業車において、運転部を覆うキャビンに備えられる窓の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
作業車において運転部を覆うキャビンを備えた場合、キャビンに開閉自在な窓を備える必要がある。この場合、開閉される窓板部及び固定側の外枠部をキャビンに備えて、外枠部の外面にヒンジ部材を揺動自在に取り付け、ヒンジ部材を窓板部に取り付けて、窓板部を開閉自在に構成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に記載の構造であると、ヒンジ部材の支点部(ヒンジ部材を揺動自在に外枠部に支持する部分)が、外枠部の外部に露出する状態となっている。これにより、窓板部の開閉操作やキャビンの内部で運転者が作業を行う場合、ヒンジ部材の支点部に運転者の腕等が当たり、ヒンジ部材の支点部に塗られているグリス等で衣服を汚してしまうことが考えられる。
本発明は作業車の窓構造において、運転者の衣服を汚してしまうようなことなく、窓板部の開閉が行えるように構成することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
[I]
請求項1の特徴によると、作業車の運転部を覆うキャビンにおいて、開閉される窓板部及び固定側の外枠部を備えて、外枠部を中空状に構成し、外枠部の内部に支点部を備え、外枠部に開口部を備えるとともに、前記外枠部の外面に取り付け可能な取付部と、前記外枠部の開口部に挿入可能な支持部とを備え、前記支持部に前記支点部を備えて、支持部材を構成すると共に、前記支持部材の支持部及び支点部を前記外枠部の開口部に挿入して、 前記支持部材の取付部を前記外枠部の外面に取り付け可能に構成し、支点部に揺動自在に支持されたアームを、外枠部の開口部を通して外方に延出し窓板部に取り付けて、窓板部を開閉自在に構成する。
請求項1の特徴によると、外枠部の内部に支点部が配置されて支点部が中空状の外枠部の内部に隠された状態となり、外枠部の外部に露出するような状態とはならないので、運転者の衣服が支点部に触れるようなことが少ない。
【0005】
[II]
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように、キャビンに窓板部及び外枠部を備えた場合、窓板部の外周部又は外枠部の外周部に、ゴム製や樹脂製等のシール部材を取り付けることが多い。
【0006】
請求項2の特徴によると、窓板部を閉位置に操作した状態での外枠部の断面視において、アームの窓板部への取付部分と支点部とを結ぶ直線の近傍に、シール部材が位置するように、アームを屈曲させて外枠部の開口部を通している。これにより、請求項2の特徴によると、開位置の窓板部を閉位置に操作する場合、外枠部の断面視において、窓板部のシール部材が外枠部に接触する際(窓板部が外枠部のシール部材に接触する際)、外枠部の面に略直交(シール部材の面に略直交)する方向から接触する状態となるのであり、シール部材を横方向に動かそうとする変位が窓板部に発生し難い。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の前部にエンジン3が備えられ、機体の後部にミッションケース4及び運転部5が備えられて、作業車の一例である農用トラクタが構成されている。運転部5は操縦ハンドル6及び運転座席7を備えて構成されており、キャビン8によって覆われている。
【0008】
次にキャビン8について説明する。図1,2,3に示すように、右及び左の前縦フレーム10、右及び左の中縦フレーム12、右及び左の後縦フレーム13が備えられている。第1横フレーム14が、右及び左の前縦フレーム10の上端部における内横側面に亘って、溶接により連結されている。右及び左の第2横フレーム15が、右及び左の前縦フレーム10の上端部における後横側面、右及び左の中縦フレーム12の上端部、右及び左の後縦フレーム13の上端部における前横側面に亘って溶接により連結されている。第3横フレーム16が、右及び左の後縦フレーム13の上端部における内横側面に亘って、溶接により連結されている。
【0009】
図1,2,3に示すように、右及び左の前縦フレーム10の下端部における後横側面、右及び左の中縦フレーム12の下端部、右及び左の後縦フレーム13の下端部における前横側面に亘って、角パイプ状の右及び左の下フレーム11が溶接により連結されている。図1,2,4に示すように、樹脂製でブロー成型によって中空状に構成された天井部材38が用意されており、天井部材38が第1,2,3横フレーム14,15,16に乗せ付けられ、シール部材(図示せず)が間に挟まれた状態で、天井部材38が第1,2,3横フレーム14,15,16に連結されている。前向きの作業灯36及びバックミラー39が、右及び左の前縦フレーム10の上端部に取り付けられており、後向きの作業灯36が右及び左の後縦フレーム13の上端部に取り付けられている。フロントガラス17及びリヤガラス23に、ワイパー41及びワイパー41を駆動するモータ42が取り付けられている。
以上のようにして構成されたキャビン8が、図1,2,4に示すようにフロア9及び後輪フェンダ48に乗せ付けられて連結されている。
【0010】
図1,2,4に示すように、右及び左の前縦フレーム10及び第1横フレーム14に、透明なフロントガラス17がシール部材を介して固定されている。外周部にシール部材を備えた透明ガラス製の右及び左のドア20が、ヒンジ部材21を介して右及び左の中縦フレーム12の縦軸芯P1周りに開閉自在に支持されている。透明なリヤガラス23が第3横フレーム16の横軸芯P3周りに開閉自在に支持されている。
【0011】
図1及び図2に示すように、右及び左の中縦フレーム12と右及び左の後縦フレーム13の間に、透明な右及び左のサイドガラス22が配置されており、次にサイドガラス22の開閉構造について説明する。
図5,6,7に示すように、後縦フレーム13はパイプにより中空状に構成されており、後縦フレーム13において中縦フレーム12に向いた前側面に、上下一対の開口部13aが形成されている。平板状の基板部材18の裏面に一対のナット18bが溶接によって固定され、基板部材18においてナット18bの間の部分に開口部18aが形成されている。このように構成された基板部材18が後縦フレーム13の開口部13aの部分に溶接によって固定されている。
【0012】
図5,6,7に示すように、1枚の板材が折り曲げられて支持部材19が構成されている。支持部材19は一対の取付部19a、取付部19aから延出された一対の支持部19b、一対の支持部19bに亘って架設された補強部19cを備えて構成されており、一対の支持部19bに亘って支持ピン24が架設されている。平面視でく字状に屈曲されたアーム25が、支持ピン24に揺動自在に取り付けられている。
【0013】
これにより、図5,6,7に示すように、支持部材19の支持部19b及び補強部19c、支持ピン24及びアーム25を、基板部材18及び後縦フレーム13の開口部18a,13aに挿入し、これらを後縦フレーム13の内部に位置させた状態で、後縦フレーム13の外側からボルト26により、支持部材19の取付部19aを基板部材18(ナット18b)に取り付ける。この状態で、アーム25が後縦フレーム13の内部(支持ピン24)から延出され、基板部材18及び後縦フレーム13の開口部18a,13aを通して、外方に延出される状態となる。
【0014】
図5及び図7に示すように、アーム25にサイドガラス22が、ボルト27によって取り付けられており、サイドガラス22の外周部にゴム製のシール部材28が取り付けられている。図7に示すように、中縦フレーム12の上下中央部に支持部材29が固定され、支持部材29の縦軸芯P4周りにリンク部材37が揺動自在に連結されており、リンク部材37の縦軸芯P5周りにバックル部材30が揺動自在に連結されている。サイドガラス22に連係部材31が取り付けられており、連係部材31の縦軸芯P6周りにバックル部材30が揺動自在に連結されている。
【0015】
図7に示す状態はサイドガラス22を閉位置に操作している状態であり、中及び後縦フレーム12,13の横断面視において、ボルト27(アーム25のサイドガラス22への取付部分)と支持ピン24(支点部)とを結ぶ直線の近傍に、シール部材28における後縦フレーム13側の部分が位置しており、前述の直線の中縦フレーム12側への延長線の近傍に、シール部材28における中縦フレーム12側の部分が位置している。サイドガラス22を閉位置に操作している状態で、バックル部材30及びリンク部材37が折り畳まれた状態となって、サイドガラス22が閉位置に保持されている。
【0016】
図8に示すように、折り畳まれたバックル部材30及びリンク部材37を展開させることにより、サイドガラス22を支持ピン24の縦軸芯P2周りに開位置に操作することができる。
前述のようにボルト27(アーム25のサイドガラス22への取付部分)と支持ピン24(支点部)とを結ぶ直線(延長線)の近傍に、シール部材28における後縦フレーム13側の部分及び中縦フレーム12側の部分が位置していることにより、開位置のサイドガラス22を閉位置に操作する場合、シール部材28が後及び中縦フレーム13,12の受け面に接触する際に、後及び中縦フレーム13,12の受け面に略直交する方向から接触する状態となる。
【0017】
図1及び図2に示すように、フロア9における右及び左前下部に乗降時の足掛け用の右及び左のステップ32が備えられ、右及び左のステップ32の付近を照らす右及び左の足元ランプ33が備えられている。右及び左のドア20におけるヒンジ部材21の近傍に、ドア20が開いているか閉じているかを検出するドアスイッチ34が備えられている。
【0018】
これにより、図9に示すように運転部5に備えられたダイヤル式のランプスイッチ35を第1位置ON1に操作しておくと、通常は右及び左の足元ランプ33は消えており、右のドア20を開き操作すれば右の足元ランプ33が点灯し、左のドア20を開き操作すれば左の足元ランプ33が点灯するのであり、ヘッドライト40(図1参照)を点灯すれば右及び左の足元ランプ33が点灯する。
ランプスイッチ35を第2位置ON2に操作しておくと、通常は右及び左の足元ランプ33は消えており、右のドア20を開き操作すれば右の足元ランプ33が点灯し、左のドア20を開き操作すれば左の足元ランプ33が点灯するのであり、ヘッドライト40を点灯しても右及び左の足元ランプ33は点灯しない。ランプスイッチ35を切り位置OFFに操作しておくと、右及び左のドア20の開き操作、ヘッドライト40の点灯に関係なく、右及び左の足元ランプ33は点灯しない。
【0019】
[発明の実施の別形態]
図7及び図8に示す構成において、シール部材28をサイドガラス22の外周部ではなく、右及び左の中及び後縦フレーム12,13、第2横フレーム15、下フレーム11に備えるように構成してもよい。
図5,6,7,8に示すような基板部材18、支持部材19及びアーム25の構造を、右及び左の中縦フレーム12や第2横フレーム15、下フレーム11に備えるように構成してもよく、基板部材18、支持部材19及びアーム25の構造をリヤガラス23に採用してもよい。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、作業車の窓構造において、窓板部を開閉自在に支持するアームの支点部を中空状の外枠部の内部に配置することにより、支点部にグリス等が塗布されていても、運転者の衣服が支点部に触れるようなことが少なくなるので、運転者の衣服を汚してしまうようなことを少なくして、窓板部の開閉を行うことができるようになった。
【0021】
請求項1の特徴によると、支持部材の支持部及び支点部を外枠部の開口部に外側から挿入して、支持部材の取付部を外枠部の外面に取り付けることにより、外枠部の内部に支点部を容易に配置することができるようになって、作業車の組立性を良いものにすることができた。
【0022】
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項2の特徴によると、開位置の窓板部を閉位置に操作する場合、外枠部の断面視において、外枠部の面に略直交(シール部材の面に略直交)する方向から接触する状態となり、シール部材を横方向に動かそうとする変位が、窓板部に発生し難いようにすることができて、シール部材の横方向への変位によるシール性の低下及びシール部材の耐久性の低下を防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 農用トラクタの全体側面図
【図2】 キャビンの付近の全体斜視図
【図3】 キャビンにおける前、中及び後縦フレーム、第1,2,3横フレーム及び下フレーム等を示す全体斜視図
【図4】 キャビンの付近の背面図
【図5】 後縦フレームにおけるアーム及び支持部材の付近の縦断側面図
【図6】 後縦フレームにおけるアーム及び支持部材の付近の正面図
【図7】 中及び後縦フレーム、サイドガラスの付近においてサイドガラスを閉位置に操作している状態での横断平面図
【図8】 中及び後縦フレーム、サイドガラスの付近においてサイドガラスを開位置に操作している状態での横断平面図
【図9】 操縦ハンドル及びランプスイッチの付近の正面図
【符号の説明】
5 運転部
8 キャビン
13 外枠部
13a 開口部
19 支持部材
19a 取付部
19b 支持部
22 窓板部
24 支点部
25 アーム
28 シール部材
Claims (2)
- 運転部(5)を覆うキャビン(8)に、開閉される窓板部(22)及び固定側の外枠部(13)を備えて、前記外枠部(13)を中空状に構成し、
前記外枠部(13)の内部に支点部(24)を備え、前記外枠部(13)に開口部(13a)を備えると共に、
前記外枠部(13)の外面に取り付け可能な取付部(19a)と、前記外枠部(13)の開口部(13a)に挿入可能な支持部(19b)とを備え、前記支持部(19b)に前記支点部(24)を備えて、支持部材(19)を構成すると共に、
前記支持部材(19)の支持部(19b)及び支点部(24)を前記外枠部(13)の開口部(13a)に挿入して、前記支持部材(19)の取付部(19a)を前記外枠部(13)の外面に取り付け可能に構成し、
前記支点部(24)に揺動自在に支持されたアーム(25)を、前記外枠部(13)の開口部(13a)を通して外方に延出し前記窓板部(22)に取り付けて、前記窓板部(22)を開閉自在に構成してある作業車の窓構造。 - 前記窓板部(22)の外周部又は前記外枠部(13)の外周部にシール部材(28)を取り付けて、
前記窓板部(22)を閉位置に操作した状態での前記外枠部(13)の断面視において、前記アーム(25)の窓板部(22)への取付部分と前記支点部(24)とを結ぶ直線の近傍に、前記シール部材(28)が位置するように、前記アーム(25)を屈曲させて前記外枠部(13)の開口部(13a)を通してある請求項1に記載の作業車の窓構造。
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