JP3772941B2 - めっき装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板のめっき装置に係り、特に半導体基板に形成された配線用溝等に銅(Cu)等の金属を充填するためのめっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体基板上に配線回路を形成するためには、基板面上にスパッタリング等を用いて成膜を行った後、さらにレジスト等のパターンマスクを用いたケミカルドライエッチングにより膜の不要部分を除去していた。
【0003】
配線回路を形成するための材料としては、アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金が用いられているが、集積度が高くなるにつれて配線が細くなり、電流密度が増加するために熱応力や温度上昇を生じる。これは、ストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションによってAl等が希薄化するに従いさらに顕著となり、ついには断線のおそれが生じる。
【0004】
そこで、通電による過度の発熱を避けるため、より導電性の高い材料を配線形成に採用することが必然的に要求されている。現用材料のうち、Al系よりも電気比抵抗の小さい材料としては、銅(Cu)と銀(Ag)がある。
【0005】
しかしながら、Cu又はその合金はドライエッチングが難しく、全面を成膜してからパターン形成する上記の方法の採用は困難である。そこで、予め所定パターンの配線用の溝を形成しておき、その中にCu又はその合金を充填する工程が考えられる。これによれば、膜をエッチングにより除去する工程は不要で、充填後に表面段差を取り除くための研磨工程を行えばよい。また、多層回路の上下を連絡するプラグと呼ばれる部分も同時に形成することができる利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような配線溝あるいはプラグの形状は、配線幅が微細化するに伴いかなりの高アスペクト比(深さと直径又は幅の比)となり、スパッタリング成膜では均一な金属の充填が困難であった。また、種々の材料の成膜手段として気相成長(CVD)法が用いられるが、Cu又はその合金では、適当な気体原料を準備することが困難であり、また、有機原料を採用する場合には、これから堆積膜中へ炭素(C)が混入してマイグレーション性が上がるという問題点があった。
【0007】
さらに、基板をめっき液中に浸漬させて無電解又は電解めっきを行なう方法も提案されているが、溝や穴の底部への液の循環やイオンの供給が不充分となるので、溝の縁に比べて底部の膜成長が遅く、溝の上部が詰まって底部に空洞(ボイド)ができてしまうなどして、均一な充填が困難であった。このため、基板とめっき液とを相対的に回転させたり、基板に向けてめっき液を噴射させることで、めっき液の基板表面の微細窪み内への流入、或いはめっきすべき金属イオンの流動を促進させて、めっきの均一性を図ることが考えられる。
【0008】
しかしながら、基板とめっき液とを相対的に回転させると、基板の中央部と外周部でのめっき液の流速が異なり、このため、境界層の厚さに差が生じて、めっき厚さや組成の面内均一性が低下してしまう。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑み、微細な配線用の溝等の微細窪みに銅又は銅合金等の電気的抵抗の小さい材料を、基板の全面に亘って均一に充填することができるめっき装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、めっき室を形成するめっき容器と、該めっき室の内部で基板を保持し、かつその周囲に基板とほぼ面一のめっき液流通面を構成する保持台と、前記めっき室内において前記基板及びめっき流通面の上面に沿ってめっき液の平行な均一流れを形成するめっき液流れ形成部と、基板との対向面に前記めっき液流れの方向に沿って延びる仕切壁を有し、前記めっき室の内部に基板と略平行に配置されて、前記めっき液流れの方向に交差する方向に揺動する整流板と、前記めっき液流れ形成部にめっき液を供給するめっき液供給装置とを有することを特徴とするめっき装置である。
【0011】
これにより、基板の上面をめっき液が該基板の全面に亘って均一な速度で流れるようにして、めっき液の微細窪みへの流入を促進しつつめっき厚さや組成の面内均一性を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記めっき液流れ形成部は、前記めっき室を挟んだ両側に所定のピッチで対向して設けられた2つのめっき液流通孔列を有することを特徴とする請求項1に記載のめっき装置である。これにより、簡単な構成でめっき液の平行な均一流れを安定に形成することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記めっき液供給装置には、前記めっき液流れ形成部へのめっき液の供給を切り替えてめっき室でのめっき液流れ方向を切り替える切り替え手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置である。これにより、めっき液を交互に流すことで、上流下流の差を相殺してめっきの全面に亘る均一性を確保することができる。
【0014】
記めっき室の内部に、前記めっき液流れの方向に交差する方向に揺動する整流板設けることで、整流板の揺動によりめっき液の流れに交差する方向での回転流が交互に生じ、めっき液の基板表面の微細窪み内への流入、或いはめっきすべき金属イオンの流動をより促進させることができる。整流板には、液の流れ方向に延びる仕切を設けるとその作用がより顕著になる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記整流板のめっき液の流れ方向に沿った長さは、基板の直径より長いことを特徴とする請求項1に記載のめっき装置である。
請求項5に記載の発明は、前記めっき容器は基台とキャップを有し、前記めっき室は基台とキャップとの間に形成されることを特徴とする請求項1記載のめっき装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。このめっき装置は、基板Wを載置保持する円形の基板保持面10aとその周囲のめっき液流通面10bとを有する基台10と、この基台10の上面を水密的に覆い、該基台10との間で水平方向に拡がるほぼ矩形のめっき室12を形成する天板(キャップ)14とから構成されるめっき容器15を備えている。この天板14は、基台10に対して例えば、蝶番等によってめっき室12を開閉可能なように設けられ、基板Wの出し入れやメンテナンスの便宜を図っている。
【0017】
キャップ14には、中央下面に矩形の凹部14aが設けられ、この凹部14aと基板保持面10aの間にめっき室12が形成される。キャップ14には、めっき容器15の長手方向(図1又は2において左右方向)の両端部にめっき液貯液部16a,16bが設けられ、めっき液貯液部16a,16bはめっき室12と隔壁18a,18bによって区画されている。そして、これら隔壁18a,18bには、めっき液貯液部16a,16bとめっき室12とを連通する多数の流通孔20a,20bが所定のピッチp1で設けられている。
【0018】
めっき容器15の外部には、めっき室12にめっき液を供給するめっき液供給手段22が備えられている。このめっき液供給手段22は、第1のめっき液循環ライン24aと第2のめっき液循環ライン24bとを有し、これらの両ライン24a,24bは、互いに合流して循環ポンプ26の吸込側と吐出側、及び各めっき液貯液部16a,16bにそれぞれ接続されている。そして、第1のめっき液循環ライン24aには、ポンプ26を挟んで開閉弁28a,28bが、第2のめっき液循環ライン24bにも、ポンプ26を挟んで開閉弁28c,28dがそれぞれ設置されている。
【0019】
これにより、第1のめっき液循環ライン24aの各開閉弁28a,28bを開き、第2のめっき液循環ライン24bの各開閉弁28c,28dを閉じることで、めっき液が第1のめっき液循環ライン24a内を実線の矢印に沿って流れ、めっき室12を図1又は図2において右から左に流れる。逆に、第1のめっき液循環ライン24aの各開閉弁28a,28bを閉じ、第2のめっき液循環ライン24bの各開閉弁28c,28dを開くと、めっき液が第2のめっき液循環ライン24b内を流れ、めっき室12を図1又は図2において左から右に流れる。
【0020】
めっき室12内には、1辺の長さaが基板保持面10aに保持される基板Wの直径dより僅かに長い正方形状の整流板30が配置されている。この整流板30の下面には、めっき容器15の長手方向に直線状に延びる複数の仕切壁32が所定のピッチp2で平行に垂設されている。一方、整流板30の上面中央には、上方に突出する軸体34が設けられている。この軸体34は、キャップ14の中央に長手方向に直交する方向にピッチp2より長く延びて設けられた長穴36に挿入され、軸体34と長穴36の間はベローズ38のような柔軟性部材で覆われている。
【0021】
軸体34は、長穴36よりキャップ14の上面に突出し、これには、軸体34を長穴36に沿って往復動させる駆動手段が連結されている。従って、整流板30は軸体34を介して仕切壁32と直交する方向、すなわち、隔壁18a,18bと平行な方向に、仕切壁32のピッチp2よりも大きな振幅で揺動するようになっている。
【0022】
このように構成されためっき装置の作用を、半導体基板の配線回路形成のためのCu又はその合金のめっきを行なう場合について説明する。被処理対象の基板Wには、図6(a)に示すように、半導体回路素子が形成された半導体基材50の上に導電層52及びSiO2からなる絶縁層54を堆積させた後、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール56と配線用の溝58が形成され、その上にTiN等からなるバリア層60が形成されている。
【0023】
このような基板Wを基台10の基板保持面10a上に載置し、キャップ14を閉じた後、例えば第1のめっき液循環ライン24aを開き、第2のめっき液循環ライン24bを閉じた状態で、ポンプ26を作動させる。すると、めっき液は、一方のめっき液貯液部16aから隔壁18aの流通孔20aよりめっき室12内に流入し、基板Wの上面に全面に亘る均一な平行流を形成して基板Wのめっきを行った後、他方の隔壁18bの流通孔20bからめっき液貯液部16bに排出される。
【0024】
このように、めっき液を基板Wの上面に沿って流すことで、基板Wのコンタクトホール56および溝58内へのめっき液の流入、或いはめっきすべき金属イオンの流動が促進される。しかも、基板Wの全面をめっき液が均一な速度で一方向に流れるので、定常的な流れが形成されて境界層の厚さも均一となり、めっき厚さや組成の面内均一性が確保される。
【0025】
上記の工程において、適宜に、整流板30を仕切壁32と直交する方向に適当な振幅で揺動させる。この振幅は、仕切32のピッチp程度の適宜な値に設定される。すると、めっき液は仕切壁32により押され、図5に示すように、例えば整流板30を左方向(同図(a))に移動する時には、めっき液に左回りの上下方向の回転流が生じ、右方向(同図(b))に移動する時には、めっき液に右回りの上下方向の回転流が生じる。これにより、基板Wのコンタクトホール56および溝58内へのめっき液の流入、或いはめっきすべき金属イオンの流動をさらに促進させることができる。
【0026】
次に、一定のタイミングで開閉弁28a〜28dを操作して、第1のめっき液循環ライン24aを閉じ、第2のめっき液循環ライン24bを開き、めっき液の流れを逆転させる。すなわち、めっき液をめっき液貯液部16bの流通孔20bからめっき室12内に導入し、めっき液貯液部16a側の隔壁18aの流通孔20aから排出する。これを交互に行なうことにより、めっき液の上流、下流に起因するめっきの不均一を相殺して、めっき厚さや組成の基板全面における面内均一性を更に向上させることができる。
【0027】
以上の液相めっき工程により、図6(b)に示すように半導体基板Wのコンタクトホール56および溝58にCuが充填される。その後、化学的機械的研磨(CMP)により、絶縁膜54上に堆積したCu層を除去し、コンタクトホール56および配線用の溝58に充填されたCu層62の表面と絶縁膜54の表面とを同一平面にする。これにより、図6(c)に示すようにCu層62からなる配線が形成される。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板の上面をめっき液が該基板の全面に亘って均一な速度で流れるようにして、めっき液の微細窪みへの流入あるいはめっきすべき金属イオンの流動を促進しつつめっき厚さや組成の面内均一性を向上させることができるので、微細な配線用の溝等の微細窪みに銅又は銅合金等の電気的抵抗の小さい材料を、基板の全面に亘って均一にしかも空洞(ボイド)を形成することなく充填することができる。従って、高密度化する半導体集積回路の実用化を促進する有用な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のめっき装置の全体の概要を示す断面図(図2のA−A線断面図)である。
【図2】同じく、平面図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】整流板を示す斜視図である。
【図5】整流板の揺動に伴う作用を説明する部分拡大断面図である。
【図6】本発明のめっき装置によってめっきを行なう工程の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 基台
10a 基板保持面
10b めっき液流通面
12 めっき室
14 キャップ
15 容器
16a,16b めっき液貯液部
18a,18b 隔壁部
20a,20b 流通孔
22 めっき液供給手段
24a,24b めっき液循環ライン
30 整流板
32 仕切壁

Claims (5)

  1. めっき室を形成するめっき容器と、
    該めっき室の内部で基板を保持し、かつその周囲に基板とほぼ面一のめっき液流通面を構成する保持台と、
    前記めっき室内において前記基板及びめっき流通面の上面に沿ってめっき液の平行な均一流れを形成するめっき液流れ形成部と、
    基板との対向面に前記めっき液流れの方向に沿って延びる仕切壁を有し、前記めっき室の内部に基板と略平行に配置されて、前記めっき液流れの方向に交差する方向に揺動する整流板と、
    前記めっき液流れ形成部にめっき液を供給するめっき液供給装置とを有することを特徴とするめっき装置。
  2. 前記めっき液流れ形成部は、前記めっき室を挟んだ両側に所定のピッチで対向して設けられた2つのめっき液流通孔列を有することを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
  3. 前記めっき液供給装置には、前記めっき液流れ形成部へのめっき液の供給を切り替えてめっき室でのめっき液流れ方向を切り替える切り替え手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
  4. 前記整流板のめっき液の流れ方向に沿った長さは、基板の直径より長いことを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
  5. 前記めっき容器は基台とキャップを有し、前記めっき室は基台とキャップとの間に形成されることを特徴とする請求項1記載のめっき装置。
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