JP3772919B2 - 自動車の荷物積載面上の物体を非滑り輸送するための装置及びこれを備えた自動車 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の非滑り輸送を行うための積載面を有する自動車において、当該自動車に物体（荷物）を締め付ける装置に関するもので、又、境界壁で包囲された前記物体の非滑り輸送を行うための積載面を有する自動車に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
積載面上に非固定状態に設置された物体（荷物）を自動車で輸送する場合、有用な締め付け装備が無いことが原因で、これらの物体はブレーキ作動中及び加速作動中又はカーブの走行中に望ましくない様式で前後に滑動するという問題がしばしば生じている。従って、角部分が鋭くなっている重量のある物体を輸送する場合はその自動車の上部構造又は本体に傷が付くことになる。自動車のトランクの領域にある積載面上に固定され、又は車体の横部分上に固定され、非固定物体の受入れに使用される多数の挿入具、大部分は箱型又はポケット型の挿入具が乗用車に関連して公知になっている（ＧＢ−Ａ−２１ １２ ３３）。しかし、物体（荷物）が滑動する問題又は飛び上がる問題は、部分的に解決されるのみである。これは特に、旅行カバン、スーツ・ケース、ビール瓶の木枠等といった大型でかさばる物体（荷物）等、部分的にのみトランクを満たすものではあるが、前記公知の挿入具には嵌合し得ない物（荷物）を輸送しなければならない場合に問題である。こうした場合、救済策は、完全に利用できる適切な係止点が在ることを条件として、ロープ、ゴム・バンド等によって、幾分かさばる様式で積載荷を固定することによってのみできる。
【０００３】
この点とは別に、旋回運動する部材によって相互に関節接続されている平行チークを用いて、どちらか一方のチークあるいは保持部材で物品（荷物）を締め付ける装置が鉄道車両枠用に提案されている（ＧＢ−Ａ−１４ ５１ １１７）。この装置においては、一方のチークのために、チークの運動方向を横切る方向に延びるネジ付き棒が備えられている。これが原因で、当該公知の装置は、自動車の通常の小型でコンパクトなトランクには使用できない。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特別に作製された挿入具を提供する必要を伴わずに、大型でかさばる物体（荷物）の非滑り輸送を可能にするような、自動車の荷物積載面上に設置するのに適した装置を提供することにある。
【０００５】
本発明は、自動車によって物体（荷物）を輸送、移送する際に、当該自動車のトランク等における物体（荷物）積載面上で、物体（荷物）を滑動させずに輸送する、すなわち非滑り輸送することを可能とする装置を提供する事を目的としている。特に、自動車のトランク等における物体（荷物）積載面の面積を実質的に縮小させることなく、各種寸法の物体（荷物）に対して容易に適合可能な装置、また多数の自動車、どのような種類の自動車に対しても適合する様式で設計できる装置を提供することを目的としている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、自動車の荷物積載面２上の物体３２、３７を非滑り輸送するための装置であって、荷物積載面２の境界壁３、４、６に固定されている設置部７、保持部８、保持部８を設置部７に接続する装置であって境界壁６に関して垂直な方向で保持部８を設置部７に関して前後に移動可能に接続する装置９、保持部８を予め選択された位置に固定する固定機構３１とからで構成される装置を提案する。
【０００７】
前記において、保持部８を設置部７に接続する装置であって境界壁６に関して垂直な方向で保持部８を設置部７に関して前後に移動可能に接続する装置９を、はさみ−格子状装置としたものである。
【０００８】
このように、荷物積載面２の境界壁６に固定されている設置部７に、境界壁６に関して垂直な方向で、かつ設置部７に関して前後に移動可能に、保持部８を接続する装置９を介して、保持部８を接続することにより、保持部８と対向する境界壁との間の間隔を、物体（荷物）の形状、大きさに応じて任意に調製することができる。
【０００９】
これによって、自動車のトランク等に収容する物体（荷物）の大きさ、形状に応じて、トランクの荷物積載面の面積を調節する事ができ、各種寸法の物体（荷物）に対して容易に適合可能な装置を提供できる。
【００１０】
また、保持部８と対向する境界壁との間に物体（荷物）を保持する事ができ、自動車によって物体（荷物）を輸送、移送する際に、当該自動車のトランク等における物体（荷物）積載面上で、物体（荷物）を滑動させずに輸送する、すなわち非滑り輸送することが可能になる。
【００１１】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面を参照して説明する。
【００１２】
図１は床が荷物積載面２を形成している後方トランク１の領域における乗用車の上部構造又は本体のレイアウトを示す平面図である。図示していないが、テイル・ライト付きの一定の高さを備えた垂直な後方壁又は境界壁、及び、これも図示していないが、バンパーが、通常、トランク１の後端部に備えられている。通常、トランク１は、両側で、横方向の即ち境界壁４で境界が定められ、これらの境界壁は多かれ少なかれ斜めに及び／又は相互に平行に配列され、しばしば車輪窪みの形状で作製されている前方領域に隆起した突出壁部５が備えられている。一般に、トランク１は最終的には座席又はベンチ・シートの背もたれで形成することもできる荷物積載面２に対して実質的に垂直に配設された中間壁又は境界壁６によりその前端部で境目がつけられている。個々の場合、これは車両の個々の形式（セダン、クーペ、ステーション・ワゴン又はハッチ・バック又はプラットホームボディ等）に依存している。
【００１３】
本発明によれば、個々の場合の要件に荷物積載面２の寸法を適合させること、及び、輸送する物体（荷物）に非滑り様式にて楔止めする目的を備えている装置が提供される（図１）。
【００１４】
この目的のため、本装置は、自動車上に締め付けるために使用される設置部７及び保持部８、例えば荷物積載面２に対して実質的に直角に配列されたプレートからなる保持部８、を備えている。保持部８は、設置部７上に装置９を介して設置され、当該装置９により二頭矢印ｖの方向に移動自在である。
【００１５】
本発明の装置は、トランク１の荷物積載面２の使用可能な部分（面積）を、物体（荷物）の形状・大きさに応じて任意に、変更する目的と同時に、輸送する物体（荷物）を保持あるいは把持して動かないように、あるいは滑動しないようにする目的とを実現するためのものであるので、物体（荷物）は自動車で輸送中に滑ることがない。
【００１６】
図１及び図２に示すように、前記装置９は、「はさみ−格子状装置」で構成されている。この目的のため、本実施例における設置部７は、例えば境界壁６上のアングル部片１０によりネジ等で固定される。設置部７は、ガイド・レール１１を含み、このガイド・レール１１には境界壁６と平行で且つ荷物積載面２と平行になって延在するスロット１２が形成してある。摺動部片１３、１３が摺動嵌合にてスロット１２内に変位自在に設置されている。摺動部片１３、１３は、それぞれ対応するレバー１４、１５にヒンジ結合（蝶番結合）している。当該レバー１４、１５は共通した中央ヒンジ結合（蝶番結合）点１６で相互に交差し、その自由端部においてそれぞれレバー１７、１８にヒンジ結合（蝶番結合）し、これらのレバー１７、１８も共通の中央のヒンジ結合（蝶番結合）点１９において相互に交差する。レバー１７、１８の他方の自由端部は、それぞれ対応する摺動部片２０、２０とヒンジ結合（蝶番結合）している。当該摺動部片２０、２０は、保持部８上に固着されていて前記ガイド・レール１１に対応しているガイド・レール２２に形成されてるスロット２１内に摺動嵌合にて変位自在に設置されている。
【００１７】
レバー１４、１５の中央ヒンジ結合（蝶番結合）点１６と摺動部片１３、１３との間に存在する部分には、別のレバー２３、２４の一端がそれぞれヒンジ結合（蝶番結合）され、当該レバー２３、２４の他端はガイド・レール１１の中央部の固定点２５にそれぞれヒンジ結合（蝶番結合）されている。
【００１８】
これに対応する側、すなわち、レバー１７、１８の中央ヒンジ結合（蝶番結合）点１９と摺動部片２０、２０との間に存在する部分には、別のレバー２６、２７の一端がそれぞれヒンジ結合（蝶番結合）され、当該レバー２６、２７の他端はガイド・レール２２の中央部の固定点２８にそれぞれヒンジ結合（蝶番結合）されている。
【００１９】
保持部８が二頭矢印ｖの方向に前後移動する過程において、全てのヒンジ結合（蝶番結合）点１６、１９等の軸線は、好ましくは荷物積載面２に関して垂直に配設され、かつレバー１４、１５、１７、１８、２３、２４、２６及び２７が荷物積載面２と平行に存在し、二つの蝶番（ヒンジ）結合された「はさみ」によって「はさみ−格子」が形成され、これにより保持部８は、二頭矢印ｖの方向で又は境界壁６と直角な方向で、そして境界壁６と対向する境界壁３との間で、前後に押される、すなわち前後に移動され得ることが可能となる。
【００２０】
拡大寸法で示され、ガイド・レール２２又は保持部８に固定される、あるいは締め付けられる操作レバー３０は、前記動作を容易にする目的で使用される。設置部７又は、はさみ−格子状装置９の不要な応力を防止するため、保持部８は、好ましくは、更に、変位可能な全ての位置において、荷物積載面２上に支持される。
【００２１】
予め選択された位置における保持部８の固定は、ロッキング・レバーで模式的に示されている別の、任意の固定装置３１により適切に行うことができる。固定装置３１は、例えば、延在するスロット・ガイドによりレバー１７に接続されているレバー１８にヒンジ結合（蝶番結合）されたレバーで構成される。この場合の接続は、当該延在するスロットを貫通突出するネジと当該ネジ上にネジ込まれて締め付け固定する蝶ナットによりなされる。当該蝶ナットで前記延在するスロットを貫通突出してきたネジを締め付け固定することにより、はさみ−格子状装置９を予め選択された位置に固定することができる。
【００２２】
代替的に、こうしたネジは、ヒンジ結合（蝶番結合）部１６、１９等の一つに設ける事ができる。
【００２３】
予め選択された位置における保持部８の固定の他の方法としては、摺動部片１３、１３、あるいは摺動部片２０、２０のいずれか一方、すなわち、摺動部片１３、１３のみ、あるいは摺動部片２０、２０のみを偏心した位置に置き、それぞれ対応するスロット１２内あるいはスロット２１内に、楔作用により固定する方法がある。
【００２４】
図１によれば先に説明した装置の保持部８は前方の境界壁６付近の位置へ移動することができ、これによって、トランクの荷物積載面２における最大荷物積載面積が達成され、又は図２においては最低荷物積載面積に対応する後方境界壁３付近の位置になる。
【００２５】
図２図示のようにすれば、物体（荷物）３２を境界壁３と保持部８の間に楔止めすることが可能であり、これによって、物体（荷物）３２を自動車による移動・輸送中に摺動させないことができる。同時に、摺動にたいして支えられていない他の物体に対して、このはさみ部の内側の空間を利用することができよう。
【００２６】
図３は本発明による装置が更にどのように設計可能であるかを示すものである。この場合、一方では、別の物体、例えば、瓶３４、３５を配列すべく弾力的な、好ましくは、弾性的な紐３３を保持部８の後側で締め付け、その紐と保持部８の間での摺動に対して固定することが提供される。更に、別の保持部３６を、例えば保持部８に関して垂直に配設される位置で、保持部８に設置できる。また、要求があれば、別の保持部３６を、保持部８の背面に旋回可能に設け、保持部８に関して当該保持部３６を背面側の垂直な位置まで旋回移動可能に設置できる。これにより、保持部８が部分的にのみ引っ張り戻された状態で、ビール瓶等の木枠の形態にて物体（荷物）３７を、滑りの無い状態で受け入れる空間を形成することが可能になる（図３）。
【００２７】
本発明は多数の形態に変更でき、前述した実施例に限定されるものではない。例えば、二頭矢印ｖの方向に保持部８を変位させるには、例えば、入れ子式の様態で引っ張り出すことができる相互の内側に設置された複数個の管からなる装置といった、はさみ−格子装置の代わりとなる異なった装置を提供することもできよう。
【００２８】
更に、電気的、空圧的又は油圧的に励起される保持部８を設けることができ、勿論、特に電動機の助けにより電気的手段、空圧的手段、油圧的手段、モーター励起型手段によりはさみ−格子装置９を駆動することも可能である。
【００２９】
更に、二個以上のはさみを、はさみ−格子装置に提供するか又は摺動するブシュの助けによりレバー１４、１５、１７、１８を変位自在に、その設置部７上に締め付けられた、あるいは固定されたガイド棒の上に設置させることも可能であり、その場合、固定装置は摺動ブシュを貫通延在するネジで構成可能となる。
【００３０】
別の好適実施態様によれば、保持部８は更に横方向に延在可能な管又はプレート３８が装備され（図１、図２）、これは壁部５の領域内では、保持部８内に押し戻すことができ、一方、トランク１の残りの領域においては、境界壁４との間の距離に応じて保持部８の外に引っ張り出すことができる。
【００３１】
本発明の装置は、また反対方向に設置することもできる。すなわち、設置部７を境界壁３上に締め付け、あるいは固定し、保持部８を境界壁６に向かう方向に変位することが理解される。
【００３２】
個々の場合に応じて設置部７を横方向境界壁４上に締め付け、固定し、保持部８を図中の二頭矢印ｖの方向に関して横断する方向に変位させることも可能である。
【００３３】
設置部７と保持部８は、また、自動車の種類に応じて異なる設計にすることができ、一方、はさみ−格子装置９は、好ましくは、多数、多種の自動車形式において無変化のまま使用される。
【００３４】
最後に図示の固定装置以外も提供することができ、その場合、摩擦又は楔止めによる所要の固定力を提供する比較的堅固なはさみ−格子装置が使用されるといった固定上のオプションも構成されるものである。
【００３５】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車によって物体（荷物）を輸送、移送する際に、当該自動車のトランク等における物体（荷物）積載面上で、物体（荷物）を滑動させずに輸送する、すなわち非滑り輸送することを可能とする装置を提供する事ができ、これによれば、従来必要とされていた特別に作製された挿入具等を用いる必要はなくなる。また、自動車のトランク等における物体（荷物）積載面の面積を実質的に縮小させることなく、各種寸法の物体（荷物）に対して容易に適合可能な装置、更に、多数の自動車、どのような種類の自動車に対しても適合する様式で設計できる装置を提供することができる。
【００３６】
また、本発明によれば、当該装置を備えた自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第一の実施例の装置が装備された状態の自動車の荷物積載面をあらわす平面図。
【図２】 図１の実施例の装置の使用状態を現す平面図。
【図３】 本発明の他の実施例の装置の使用状態を現す平面図。
【符号の説明】
１ トランク
２ 荷物積載面
３、４、６ 境界壁
５ 突出壁部
７ 設置部
８ 保持部
９ はさみ−格子状装置
１１、２２ ガイド・レール
１２、２１ スロット
１３、２０ 摺動部片
１４、１５、１７、１８、２３、２４、２６、２７ レバー
１６、１９ ヒンジ（蝶番）結合点
３０ 操作レバー
３１ 固定機構
３２、３７ 物体（荷物）
３３ 保持紐
３６ 保持部

Claims (8)

1. 自動車の荷物積載面（２）上の物体（３２、３７）を非滑り輸送するための装置であって、荷物積載面（２）の境界壁（３、４、６）に固定されている設置部（７）、保持部（８）、保持部（８）を設置部（７）に接続する装置であって境界壁（６）に関して垂直な方向で保持部（８）を設置部（７）に関して前後に移動可能に接続する装置（９）、保持部（８）を予め選択された位置に固定する固定機構（３１）とからで構成され、装置（９）から離れる側において保持部（８）が旋回可能にそこに接続された別の少なくとも一つの保持部（３６）を有することを特徴とする装置。
2. 自動車の荷物積載面（２）上の物体（３２、３７）を非滑り輸送するための装置であって、荷物積載面（２）の境界壁（３、４、６）に固定されている設置部（７）、保持部（８）、保持部（８）を設置部（７）に接続する装置であって境界壁（６）に関して垂直な方向で保持部（８）を設置部（７）に関して前後に移動可能に接続する装置（９）、保持部（８）を予め選択された位置に固定する固定機構（３１）とからで構成され、装置（９）から離れる側において、保持部（８）が保持紐（３３）を備えていることを特徴とする装置。
3. 装置（９）は、はさみ−格子状装置からなることを特徴とする請求項１又は２記載の装置。
4. 保持部（８）が荷物積載面（２）に対して垂直に配設された面を含むことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項記載の装置。
5. 操作レバー（３０）が保持部（８）と組み合っていることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の装置。
6. 境界壁（３、４、６）で包囲された荷物積載面（２）を有する自動車であって、物体（３２、３７）の非滑り輸送用の装置が荷物積載面（２）に備えられ、この装置は境界壁（６）上に固定されている設置部（７）と境界壁（６）に対して垂直に変位可能となるよう設置部（７）上に設置され、所定位置にて固定可能な保持部（８）と、保持部（８）を設置部（７）に接続する装置であって境界壁（６）に関して垂直な方向で保持部（８）を設置部（７）に関して前後に移動可能に接続する装置（９）と、装置（９）から離れる側において保持部（８）が旋回可能にそこに接続された別の少なくとも一つの保持部（３６）とを含んでいることを特徴とする自動車。
7. 境界壁（３、４、６）で包囲された荷物積載面（２）を有する自動車であって、物体（３２、３７）の非滑り輸送用の装置が荷物積載面（２）に備えられ、この装置は境界壁（６）上に固定されている設置部（７）と境界壁（６）に対して垂直に変位可能となるよう設置部（７）上に設置され、所定位置にて固定可能な保持部（８）と、保持部（８）を設置部（７）に接続する装置であって境界壁（６）に関して垂直な方向で保持部（８）を設置部（７）に関して前後に移動可能に接続する装置（９）とを含んでいて、装置（９）から離れる側において、保持部（８）が保持紐（３３）を備えていることを特徴とする自動車。
8. 装置（９）は、設置部（７）と保持部（８）とがはさみ−格子状装置により相互に接続されているものであることを特徴とする請求項６又は７記載の自動車。

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