JP3772670B2 - 交流モータ制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、すべり周波数制御方式の交流モータ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法では、励磁分電流とトルク分電流のそれぞれについて電力変換装置の最大許容電流の範囲内で上限値が任意に定められており、モータの起動時と定速運転中とでこれら両者の上限値を変化させるという制御はされていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、交流モータを起動する際には、励磁が十分に行われていないうちにトルク分電流を流しても無駄電流となり、トルクにはほとんど寄与しない。一方、交流モータの二次磁束は大きな励磁分電流を流すことによって目標磁束への到達時間を短縮することができる。そこでモータ起動時には、トルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流せば、励磁時間を早め、その後にトルク分電流を流すようにすればこのトルク分電流が無駄電流になることがなく、トルク指令値にモータの出力トルクが到達するまでに要する時間を短縮することができることになる。
【0004】
しかしながら、上述したように従来の交流モータ制御方法では、電力変換装置の最大許容電流の範囲内でトルク分電流と励磁分電流とに共に固定的な上限値を設定していてそれ以上の励磁分電流を流す制御はできなかった。このため、モータの起動応答特性が遅い問題点があった。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、交流モータの起動応答性能を早めることができる交流モータ制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法において、交流モータの起動時に、当該交流モータに励磁分電流として許容される上限値まで優先的に供給し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分をトルク分電流として供給するように電力変換装置を制御することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の交流モータ制御方法において、前記励磁分電流の上限値を、前記交流モータが目標速度に到達するまでの時間を最短にする電流に設定することを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法において、前記トルク指令値と前記回転速度とに基づいて得られる二次磁束指令値とトルク分電流指令値を入力し、前記モータ電流値から得られる二次磁束推定値とトルク分電流実値を入力し、前記二次磁束指令値と二次磁束推定値との偏差に対してPI制御演算を行って励磁分電流指令値を与えるステップと、前記励磁分電流指令値と前記トルク電流指令値に対して、当該交流モータに励磁分電流として許容される上限値を補正励磁分電流指令値として出力し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分を補正トルク分電流指令値として出力するステップと、前記補正励磁分電流指令値と補正トルク分電流指令値に対して電流PI制御演算を行い、2相電圧指令値を得るステップと、前記2相電圧指令値を3相電圧指令値に変換して前記電力変換装置を制御するステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
請求項1の発明の交流モータ制御方法によれば、交流モータの起動時に、励磁分電流として許容される上限値まで優先的に供給し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分をトルク分電流として供給するように電力変換装置を制御するので、トルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流すことができ、交流モータの励磁時間を早めることができる。
【0010】
請求項2の発明の交流モータ制御方法によれば、交流モータの起動時に、励磁分電流として許容される上限値まで優先的に供給し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分をトルク分電流として供給するように電力変換装置を制御するのにおいて、励磁分電流を交流モータが目標速度に到達するまでの時間を最短にする電流に設定するので、交流モータの起動応答特性を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明の交流モータ制御方法によれば、請求項1の発明と同様に、トルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流すことができ、交流モータの励磁時間を早めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の一実施の形態の交流モータ制御方法を使用した交流モータ制御装置の制御ブロック図である。この交流モータ制御装置は、3相誘導モータ1に対してすべり周波数制御方式のベクトル制御を行うものであり、速度PI制御部2、速度演算部3、トルク指令変換部4、磁束制御部5、二次磁束演算部6、すべり周波数演算部7、電流PI制御部8、2相/3相変換部9、3相/2相変換部10、角度演算部11、PWM制御部12、インバータ13、電流検出器14そして回転数検出器15から構成されている。
【0013】
速度PI制御部2は、外部から与えられる電源角周波数指令値ωm*と速度演算部3から与えられる実電源角周波数ωmに基づき、数1式の制御演算を行い、トルク指令値T*を出力する。
【0014】
【数1】
ただし、Km:速度PI制御部2のゲイン、Tm:速度PI制御部2の積分時間である。
【0015】
速度演算部3は回転数検出器15が検出するモータ回転数Neから実電源角周波数ωmとモータ電気角周波数ωreを求めて、速度PI制御部2、トルク指令演算部4そして角度演算部11に出力する。
【0016】
トルク指令変換部4はトルク指令値T*と実電源角周波数ωmとを入力し、予め登録されている実電源角周波数ωmに対するトルク指令値T*のマップデータを参照して、二次磁束指令値φγr*と磁束優先制御前のトルク分電流指令値Iδs*'を求めて出力する。このマップデータは、例えば、図2(a),(b)に示すようなものであり、両図とも、横軸が電源角周波数ωmであり、グラフ曲線それぞれが異なるトルク指令値T*それぞれに対応している。同図(a)のφγrマップでは、左下側の曲線ほどトルク指令値T*が大きくなり、同図(b)のIδsマップでは、右上側の曲線ほどトルク指令値T*が大きい。
【0017】
磁束制御部5は本発明の特徴要素をなし、図3に示す内部構成であり、磁束PI制御部21と励磁電流優先電流制御部22を備えている。この磁束制御部5は二次磁束指令値φγr*、磁束優先制御前のトルク分電流指令値Iδs*'、二次磁束推定値φγr及び実励磁分電流値Iγsを入力し、後述する演算処理によって励磁分電流指令値Iγs*と磁束優先制御後の最終トルク分電流指令値Iδs*を算出して出力する。
【0018】
二次磁束演算部6は、3相/2相変換部10から実励磁分電流値Iγsを入力し、数2式の演算により二次磁束推定値φγrを求めて磁束制御部5とすべり周波数演算部7に出力する。
【0019】
すべり周波数演算部7は、二次磁束推定値φγrと実励磁分電流電流値Iγsを入力し、数3式の演算によりすべり周波数ωseを算出して角度演算部11に出力する。
【0020】
【数2】
【数3】
ただし、M:交流モータの相互インダクタンス、Rr:回転子コイル抵抗、Lr:回転子自己インダクタンスである。
【0021】
電流PI制御部8は磁束制御部5から励磁分電流指令値Iγs*と最終トルク分電流指令値Iδs*を入力し、また3相/2相変換部10から実励磁分電流値Iγsと実トルク分電流値Iδsを入力し、数4式により電圧指令値Vγs*,Vδs*に変換して2相/3相変換部9に出力する。
【0022】
【数4】
ただし、KI:電流PI制御部8のゲイン、TI:電流PI制御部8の積分時間である。
【0023】
2相/3相変換器9は2相電圧指令値Vγs*,Vδs*を入力し、次の数5式の演算によって2相/3相変換し、3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を出力する。
【0024】
【数5】
また3相/2相変換器10は電流検出器14が検出した3相モータ電流値Iu,Iv,Iwを入力し、次の数6式によって3相/2相変換し、2相実電流値、すなわち、実励磁分電流値Iγsと実トルク分電流値Iδsを出力する。
【0025】
【数6】
角度演算部11は速度演算部3からモータ角周波数ωre、すべり周波数演算部7からすべり周波数ωseを入力し、次の数7式の演算によって電気角θを求めて2相/3相変換部9と3相/2相変換部10に出力する。
【0026】
【数7】
PWM制御器12は与えられる3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*によりPWM信号を生成し、インバータ13のスイッチング制御を行い、交流モータ1に対してトルク指令値に応じた3相モータ電流を給電させる。
【0027】
次に、本実施の形態の特徴要素である磁束制御部5について図3の制御ブロック図及び図4のフローチャートを用いて説明する。前述したように、磁束制御部5は図3の制御ブロックで表わされ、磁束PI制御部21と励磁電流優先電流制御部22から構成されている。
【0028】
磁束PI制御部21は、入力される二次磁束指令値φγr*と二次磁束推定値φγrとの偏差に対して次の数8式のPI演算を実行し、優先制御前の励磁分電流指令値Iγs*'を求めて出力する(ステップS05,S10)。
【0029】
【数8】
励磁電流優先電流制御部22は優先制御前の励磁分電流指令値Iγs*'とトルク分電流指令値Iδs*'、そして実励磁電流Iγsを入力し(ステップS15)、目標回転数に最短時間で到達させることができる励磁分電流制限値Iγs_maxで制限をかけて最終励磁電流指令値Iγs*とする(ステップS20,S23,S25)。なお、この励磁分電流制限値Iγs_maxは、適用するインバータ13及び交流モータ1に対して予めシミュレーションにより、あるいは実験によって求めて設定しておく値である。
【0030】
一方、トルク分電流指令値Iδs*'については、インバータ13の最大許容電流値Is_maxと上記の最終励磁分電流指令値Iγs*とより、次の数9式の値を求め、その値を上限値として制限をかけ、最終トルク分電流指令値Iδ*とする(ステップS30,S33,S35)。
【0031】
【数9】
そしてこれらの最終励磁分電流指令値Iγs*、最終トルク分電流指令値Iδs*を2相電流指令値として電流PI制御部8に出力する(ステップS40)。
【0032】
図5(a)〜(d)は本実施の形態によるモータ起動特性をグラフにしたものである。同図(a),(b)に示すように二次磁束が立ち上がり期間であり、回転数も低い起動初期の0〜0.02secの期間、同図(c),(d)に示すように励磁分電流が大きくなり、トルク分電流は小さめに抑えられている。これにより、本実施の形態によれば、モータ起動時にトルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流すことができ、交流モータの励磁時間を早めることができる。しかも、このモータ起動時の励磁分電流として交流モータが目標速度に到達するまでの時間を最短にする電流値を上限値として設定するので、交流モータの起動応答特性を最高度に高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態の交流モータ制御装置の制御ブロック図。
【図2】上記の実施の形態においてトルク指令変換部が参照するマップ。
【図3】上記の実施の形態における磁束制御部の制御ブロック図。
【図4】上記の実施の形態における磁束制御部の制御処理のフローチャート。
【図5】上記の実施の形態による制御応答特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1 交流モータ
2速度PI制御部
3 速度演算部
4 トルク指令変換部
5 磁束制御部
6 二次磁束演算部
7 すべり周波数演算部
8 電流PI制御部
9 2相/3相変換部
10 3相/2相変換部
11 角度演算部
12 PWM制御部
13 インバータ
14 電流検出器
15 回転数検出器
【発明の属する技術分野】
本発明は、すべり周波数制御方式の交流モータ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法では、励磁分電流とトルク分電流のそれぞれについて電力変換装置の最大許容電流の範囲内で上限値が任意に定められており、モータの起動時と定速運転中とでこれら両者の上限値を変化させるという制御はされていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、交流モータを起動する際には、励磁が十分に行われていないうちにトルク分電流を流しても無駄電流となり、トルクにはほとんど寄与しない。一方、交流モータの二次磁束は大きな励磁分電流を流すことによって目標磁束への到達時間を短縮することができる。そこでモータ起動時には、トルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流せば、励磁時間を早め、その後にトルク分電流を流すようにすればこのトルク分電流が無駄電流になることがなく、トルク指令値にモータの出力トルクが到達するまでに要する時間を短縮することができることになる。
【0004】
しかしながら、上述したように従来の交流モータ制御方法では、電力変換装置の最大許容電流の範囲内でトルク分電流と励磁分電流とに共に固定的な上限値を設定していてそれ以上の励磁分電流を流す制御はできなかった。このため、モータの起動応答特性が遅い問題点があった。
【0005】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、交流モータの起動応答性能を早めることができる交流モータ制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法において、交流モータの起動時に、当該交流モータに励磁分電流として許容される上限値まで優先的に供給し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分をトルク分電流として供給するように電力変換装置を制御することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の交流モータ制御方法において、前記励磁分電流の上限値を、前記交流モータが目標速度に到達するまでの時間を最短にする電流に設定することを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法において、前記トルク指令値と前記回転速度とに基づいて得られる二次磁束指令値とトルク分電流指令値を入力し、前記モータ電流値から得られる二次磁束推定値とトルク分電流実値を入力し、前記二次磁束指令値と二次磁束推定値との偏差に対してPI制御演算を行って励磁分電流指令値を与えるステップと、前記励磁分電流指令値と前記トルク電流指令値に対して、当該交流モータに励磁分電流として許容される上限値を補正励磁分電流指令値として出力し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分を補正トルク分電流指令値として出力するステップと、前記補正励磁分電流指令値と補正トルク分電流指令値に対して電流PI制御演算を行い、2相電圧指令値を得るステップと、前記2相電圧指令値を3相電圧指令値に変換して前記電力変換装置を制御するステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
請求項1の発明の交流モータ制御方法によれば、交流モータの起動時に、励磁分電流として許容される上限値まで優先的に供給し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分をトルク分電流として供給するように電力変換装置を制御するので、トルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流すことができ、交流モータの励磁時間を早めることができる。
【0010】
請求項2の発明の交流モータ制御方法によれば、交流モータの起動時に、励磁分電流として許容される上限値まで優先的に供給し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分をトルク分電流として供給するように電力変換装置を制御するのにおいて、励磁分電流を交流モータが目標速度に到達するまでの時間を最短にする電流に設定するので、交流モータの起動応答特性を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明の交流モータ制御方法によれば、請求項1の発明と同様に、トルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流すことができ、交流モータの励磁時間を早めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の一実施の形態の交流モータ制御方法を使用した交流モータ制御装置の制御ブロック図である。この交流モータ制御装置は、3相誘導モータ1に対してすべり周波数制御方式のベクトル制御を行うものであり、速度PI制御部2、速度演算部3、トルク指令変換部4、磁束制御部5、二次磁束演算部6、すべり周波数演算部7、電流PI制御部8、2相/3相変換部9、3相/2相変換部10、角度演算部11、PWM制御部12、インバータ13、電流検出器14そして回転数検出器15から構成されている。
【0013】
速度PI制御部2は、外部から与えられる電源角周波数指令値ωm*と速度演算部3から与えられる実電源角周波数ωmに基づき、数1式の制御演算を行い、トルク指令値T*を出力する。
【0014】
【数1】
ただし、Km:速度PI制御部2のゲイン、Tm:速度PI制御部2の積分時間である。
【0015】
速度演算部3は回転数検出器15が検出するモータ回転数Neから実電源角周波数ωmとモータ電気角周波数ωreを求めて、速度PI制御部2、トルク指令演算部4そして角度演算部11に出力する。
【0016】
トルク指令変換部4はトルク指令値T*と実電源角周波数ωmとを入力し、予め登録されている実電源角周波数ωmに対するトルク指令値T*のマップデータを参照して、二次磁束指令値φγr*と磁束優先制御前のトルク分電流指令値Iδs*'を求めて出力する。このマップデータは、例えば、図2(a),(b)に示すようなものであり、両図とも、横軸が電源角周波数ωmであり、グラフ曲線それぞれが異なるトルク指令値T*それぞれに対応している。同図(a)のφγrマップでは、左下側の曲線ほどトルク指令値T*が大きくなり、同図(b)のIδsマップでは、右上側の曲線ほどトルク指令値T*が大きい。
【0017】
磁束制御部5は本発明の特徴要素をなし、図3に示す内部構成であり、磁束PI制御部21と励磁電流優先電流制御部22を備えている。この磁束制御部5は二次磁束指令値φγr*、磁束優先制御前のトルク分電流指令値Iδs*'、二次磁束推定値φγr及び実励磁分電流値Iγsを入力し、後述する演算処理によって励磁分電流指令値Iγs*と磁束優先制御後の最終トルク分電流指令値Iδs*を算出して出力する。
【0018】
二次磁束演算部6は、3相/2相変換部10から実励磁分電流値Iγsを入力し、数2式の演算により二次磁束推定値φγrを求めて磁束制御部5とすべり周波数演算部7に出力する。
【0019】
すべり周波数演算部7は、二次磁束推定値φγrと実励磁分電流電流値Iγsを入力し、数3式の演算によりすべり周波数ωseを算出して角度演算部11に出力する。
【0020】
【数2】
【数3】
ただし、M:交流モータの相互インダクタンス、Rr:回転子コイル抵抗、Lr:回転子自己インダクタンスである。
【0021】
電流PI制御部8は磁束制御部5から励磁分電流指令値Iγs*と最終トルク分電流指令値Iδs*を入力し、また3相/2相変換部10から実励磁分電流値Iγsと実トルク分電流値Iδsを入力し、数4式により電圧指令値Vγs*,Vδs*に変換して2相/3相変換部9に出力する。
【0022】
【数4】
ただし、KI:電流PI制御部8のゲイン、TI:電流PI制御部8の積分時間である。
【0023】
2相/3相変換器9は2相電圧指令値Vγs*,Vδs*を入力し、次の数5式の演算によって2相/3相変換し、3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を出力する。
【0024】
【数5】
また3相/2相変換器10は電流検出器14が検出した3相モータ電流値Iu,Iv,Iwを入力し、次の数6式によって3相/2相変換し、2相実電流値、すなわち、実励磁分電流値Iγsと実トルク分電流値Iδsを出力する。
【0025】
【数6】
角度演算部11は速度演算部3からモータ角周波数ωre、すべり周波数演算部7からすべり周波数ωseを入力し、次の数7式の演算によって電気角θを求めて2相/3相変換部9と3相/2相変換部10に出力する。
【0026】
【数7】
PWM制御器12は与えられる3相電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*によりPWM信号を生成し、インバータ13のスイッチング制御を行い、交流モータ1に対してトルク指令値に応じた3相モータ電流を給電させる。
【0027】
次に、本実施の形態の特徴要素である磁束制御部5について図3の制御ブロック図及び図4のフローチャートを用いて説明する。前述したように、磁束制御部5は図3の制御ブロックで表わされ、磁束PI制御部21と励磁電流優先電流制御部22から構成されている。
【0028】
磁束PI制御部21は、入力される二次磁束指令値φγr*と二次磁束推定値φγrとの偏差に対して次の数8式のPI演算を実行し、優先制御前の励磁分電流指令値Iγs*'を求めて出力する(ステップS05,S10)。
【0029】
【数8】
励磁電流優先電流制御部22は優先制御前の励磁分電流指令値Iγs*'とトルク分電流指令値Iδs*'、そして実励磁電流Iγsを入力し(ステップS15)、目標回転数に最短時間で到達させることができる励磁分電流制限値Iγs_maxで制限をかけて最終励磁電流指令値Iγs*とする(ステップS20,S23,S25)。なお、この励磁分電流制限値Iγs_maxは、適用するインバータ13及び交流モータ1に対して予めシミュレーションにより、あるいは実験によって求めて設定しておく値である。
【0030】
一方、トルク分電流指令値Iδs*'については、インバータ13の最大許容電流値Is_maxと上記の最終励磁分電流指令値Iγs*とより、次の数9式の値を求め、その値を上限値として制限をかけ、最終トルク分電流指令値Iδ*とする(ステップS30,S33,S35)。
【0031】
【数9】
そしてこれらの最終励磁分電流指令値Iγs*、最終トルク分電流指令値Iδs*を2相電流指令値として電流PI制御部8に出力する(ステップS40)。
【0032】
図5(a)〜(d)は本実施の形態によるモータ起動特性をグラフにしたものである。同図(a),(b)に示すように二次磁束が立ち上がり期間であり、回転数も低い起動初期の0〜0.02secの期間、同図(c),(d)に示すように励磁分電流が大きくなり、トルク分電流は小さめに抑えられている。これにより、本実施の形態によれば、モータ起動時にトルク分電流は抑えて、励磁分電流を電力変換装置の許容最大電流の範囲内で可能な限り多く流すことができ、交流モータの励磁時間を早めることができる。しかも、このモータ起動時の励磁分電流として交流モータが目標速度に到達するまでの時間を最短にする電流値を上限値として設定するので、交流モータの起動応答特性を最高度に高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態の交流モータ制御装置の制御ブロック図。
【図2】上記の実施の形態においてトルク指令変換部が参照するマップ。
【図3】上記の実施の形態における磁束制御部の制御ブロック図。
【図4】上記の実施の形態における磁束制御部の制御処理のフローチャート。
【図5】上記の実施の形態による制御応答特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1 交流モータ
2速度PI制御部
3 速度演算部
4 トルク指令変換部
5 磁束制御部
6 二次磁束演算部
7 すべり周波数演算部
8 電流PI制御部
9 2相/3相変換部
10 3相/2相変換部
11 角度演算部
12 PWM制御部
13 インバータ
14 電流検出器
15 回転数検出器
Claims (3)
- 交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法において、
交流モータの起動時に、当該交流モータに励磁分電流として許容される上限値まで優先的に供給し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分をトルク分電流として供給するように電力変換装置を制御することを特徴とする交流モータ制御方法。 - 前記励磁分電流の上限値は、前記交流モータが目標速度に到達するまでの時間を最短にする電流に設定することを特徴とする請求項1に記載の交流モータ制御方法。
- 交流モータの回転速度とモータ電流値とをフィードバックし、トルク指令値に一致するトルクを出力するように電力変換装置の出力するモータ電流を制御するすべり周波数制御方式の交流モータ制御方法において、
前記トルク指令値と前記回転速度とに基づいて得られる二次磁束指令値とトルク分電流指令値を入力し、前記モータ電流値から得られる二次磁束推定値とトルク分電流実値を入力し、前記二次磁束指令値と二次磁束推定値との偏差に対してPI制御演算を行って励磁分電流指令値を与えるステップと、
前記励磁分電流指令値と前記トルク電流指令値に対して、当該交流モータに励磁分電流として許容される上限値を補正励磁分電流指令値として出力し、電力変換装置の最大許容電流値の範囲内において許容される残存電流分を補正トルク分電流指令値として出力するステップと、
前記補正励磁分電流指令値と補正トルク分電流指令値に対して電流PI制御演算を行い、2相電圧指令値を得るステップと、
前記2相電圧指令値を3相電圧指令値に変換して前記電力変換装置を制御するステップとを備えたことを特徴とする交流モータ制御方法。
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