JP2005348510A - 負荷駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチング動作を行なうスイッチング素子の寿命を長くできる負荷駆動装置を提供する。
【解決手段】 制御装置30は、温度センサー18〜20からそれぞれコンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotを受ける。そして、制御装置30は、コンバータ温度Tcnvおよびインバータ温度Tinvに基づいてそれぞれ昇圧コンバータ12およびインバータ14の素子耐圧Vcnv,Vinvを演算し、モータ温度Tmotに基づいて交流モータM1の逆起電圧Eを演算する。制御装置30は、素子耐圧Vcnv,Vinvのうち低い方を素子耐圧Vとし、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であるとき、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇するように昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1を制御する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、負荷を駆動する負荷駆動装置に関し、特に、素子の寿命を長くできる負荷駆動装置に関するものである。
最近、環境に配慮した自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が大きな注目を集めている。そして、ハイブリッド自動車は、一部、実用化されている。
このハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。つまり、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。
このような電気自動車に搭載される駆動システムとして、モータと、そのモータを駆動するインバータとからなる駆動システムが特許文献1に開示されている。そして、インバータは、スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を含む。この駆動システムにおいては、予め設定された電気自動車の始動開始時刻に基づいて、IGBTの保温開始時刻を演算し、その演算した保温開始時刻になるとIGBTの保温を開始する。
すなわち、この駆動システムは、電気自動車の始動前にIGBTを昇温し、IGBTの性能が車両の始動前後において変化しないようにしている。
特開平8−186905号公報 特開平9−275696号公報 特開平7−79573号公報 国際公開第02/065628号パンフレット 特開平5−115106号公報
しかし、特許文献1に開示された駆動システムにおいては、IGBTの周囲の温度を用いてIGBTの保温開示時刻を演算しないため、IGBTの素子耐圧がモータの逆起電圧よりも低い温度で駆動システムの始動を開始することがあり、その場合、素子耐圧よりも高い逆起電圧がIGBTに印加され、IGBTの寿命が短くなるという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、スイッチング動作を行なうスイッチング素子の寿命を長くできる負荷駆動装置を提供することである。
この発明によれば、負荷駆動装置は、逆起電圧が温度の低下に伴って高くなるモータを駆動する負荷駆動装置であって、電源と、駆動回路と、温度センサーと、検出手段と、制御手段とを備える。
駆動回路は、素子耐圧が温度の低下に伴って低下するスイッチング素子を含み、電源から電力を受けてモータを駆動する。温度センサーは、負荷駆動装置の雰囲気温度を検出する。検出手段は、素子耐圧の温度依存性と逆起電圧の温度依存性とに基づいて、素子耐圧が逆起電圧以下になり始める低温限界を検出する。制御手段は、雰囲気温度が低温限界以下であるとき、素子耐圧が逆起電圧よりも高くなるようにモータおよび/または駆動回路を制御する。
好ましくは、制御手段は、雰囲気温度が低温限界以下であるとき、駆動回路に通電制御を行なう。
好ましくは、駆動回路は、インバータと、電圧変換器とからなる。インバータは、第1のスイッチング素子を含み、モータを駆動する。電圧変換器は、第2のスイッチング素子を含み、電源とインバータとの間で電圧を変換する。そして、制御手段は、雰囲気温度が低温限界以下であるとき、電圧変換器および/またはインバータに通電制御を行なう。
好ましくは、制御手段は、昇圧動作と降圧動作とを交互に行なうように電圧変換器を制御する。
好ましくは、制御手段は、第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を通常動作時よりも高くして昇圧動作を行なうように電圧変換器を制御する。
好ましくは、制御手段は、第1のスイッチング素子のスイッチング損失が通常動作時よりも大きくなるようにインバータを制御する。
好ましくは、モータが電源の電源電圧によって発生可能な駆動トルクを所定のトルクとしたとき、制御手段は、モータが発生する駆動トルクを所定のトルク以下に抑制して駆動回路に通電制御を行なう。
好ましくは、制御手段は、モータが駆動トルクを発生しないように駆動回路に通電制御を行なう。
好ましくは、制御手段は、通電制御を行なった後に雰囲気温度が低温限界よりも高くなると、通常動作を行なうように駆動回路を制御する。
好ましくは、制御手段は、昇圧動作における目標電圧を通常動作時よりも高く設定して電圧変換器を制御する。
この発明による負荷駆動装置においては、スイッチング素子の素子耐圧の温度依存性と、モータの逆起電圧の温度依存性とに基づいて、温度の低下に伴って素子耐圧が逆起電圧以下になり始める低温限界が検出される。そして、負荷駆動装置の雰囲気温度が低温限界以下であるとき駆動回路および/またはモータが加熱され、素子耐圧が高くなり、逆起電圧が低くなる。その結果、素子耐圧が逆起電圧よりも高くなる。
したがって、この発明によれば、モータが発生する逆起電圧を素子耐圧よりも低くしてスイッチング素子を使用するので、スイッチング素子の寿命を長くできる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による負荷駆動装置の概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による負荷駆動装置100は、直流電源Bと、電圧センサー10,13と、コンデンサC1と、昇圧コンバータ12と、インバータ14と、温度センサー18〜20と、電流センサー21と、制御装置30とを備える。
交流モータM1は、ネオジウム系の金属、すなわち、希土類金属からなる永久磁石を備えるモータである。そして、交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。また、この交流モータM1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を有し、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなモータとしてハイブリッド自動車に搭載されるようにしてもよい。
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、NPNトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。リアクトルL1の一方端は直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端はNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との中間点、すなわち、NPNトランジスタQ1のエミッタとNPNトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。NPNトランジスタQ1,Q2は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。そして、NPNトランジスタQ1のコレクタは電源ラインに接続され、NPNトランジスタQ2のエミッタはアースラインに接続される。また、各NPNトランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ配置されている。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。U相アーム15、V相アーム16およびW相アーム17は、電源ラインとアースラインとの間に並列に設けられる。
U相アーム15は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4から成り、V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6から成り、W相アーム17は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8から成る。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池から成る。電圧センサー10は、直流電源Bから出力される電圧Vb(電源電圧)を検出し、その検出した電圧Vbを制御装置30へ出力する。
昇圧コンバータ12は、直流電源Bから供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC1へ供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWCを受けると、信号PWCによってNPNトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC1に供給する。また、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWCを受けると、コンデンサC1を介してインバータ14から供給された直流電圧を降圧して直流電源Bを充電する。
コンデンサC1は、昇圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサー13は、コンデンサC1の両端の電圧、すなわち、昇圧コンバータ12の出力電圧Vm(インバータ14への入力電圧に相当する。以下同じ。)を検出し、その検出した出力電圧Vmを制御装置30へ出力する。
インバータ14は、コンデンサC1から直流電圧が供給されると制御装置30からの信号PWMに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ14は、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMに基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC1を介して昇圧コンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
温度センサー18は、昇圧コンバータ12のコンバータ温度Tcnvを検出し、その検出したコンバータ温度Tcnvを制御装置30へ出力する。温度センサー19は、インバータ14のインバータ温度Tinvを検出し、その検出したインバータ温度Tinvを制御装置30へ出力する。温度センサー20は、交流モータM1のモータ温度Tmotを検出し、その検出したモータ温度Tmotを制御装置30へ出力する。
電流センサー21は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流MCRTを制御装置30へ出力する。
制御装置30は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)からトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNを受け、イグニッションキーから信号IGを受け、電圧センサー10,13からそれぞれ電圧Vb,Vmを受け、温度センサー18〜20からそれぞれコンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotを受け、電流センサー21からモータ電流MCRTを受ける。
信号IGは、イグニッションキーがオンされるとH(論理ハイ)レベルからなり、イグニッションキーがオフされるとL(論理ロー)レベルからなる。
制御装置30は、イグニッションキーからHレベルの信号IGを受けたとき(すなわち、負荷駆動装置100の始動前)、または負荷駆動装置100の動作中、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinv、モータ温度Tmotおよびモータ回転数MRNに基づいて、後述する方法によって、温度の低下に伴ってNPNトランジスタQ1〜Q8の素子耐圧Vが交流モータM1の逆起電圧E以下になり始める低温限界Tlimを検出する。そして、制御装置30は、負荷駆動装置100の雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるか否かを判定し、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、コンバータ温度Tcnvが上昇するように昇圧コンバータ12を制御するための信号PWC_W(信号PWCの一種、以下同じ)と、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇するようにインバータ14を制御するための信号PWM_W(信号PWMの一種、以下同じ)とを後述する方法によって生成し、その生成した信号PWC_Wおよび信号PWM_Wをそれぞれ昇圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
また、制御装置30は、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高いとき、トルク指令値TR、モータ回転数MRN、電圧Vb,Vmおよびモータ電流MCRTに基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12を駆動するための信号PWC_N(信号PWCの一種、以下同じ)とインバータ14を駆動するための信号PWM_N(信号PWMの一種、以下同じ)とを生成し、その生成した信号PWC_Nおよび信号PWM_Nをそれぞれ昇圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
信号PWCは、昇圧コンバータ12が直流電源Bとインバータ14との間で電圧変換を行なう場合に昇圧コンバータ12を駆動するための信号である。そして、制御装置30は、昇圧コンバータ12が直流電源Bからの直流電圧Vbを出力電圧Vmに変換する場合に、出力電圧Vmをフィードバック制御し、出力電圧Vmが電圧指令Vdc_comになるように昇圧コンバータ12を駆動するための信号PWCを生成する。信号PWCの生成方法については後述する。
また、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動モードにおいて、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMを生成してインバータ14へ出力する。この場合、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8は、信号PWMによってスイッチング制御され、インバータ14は、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動モードにおいて、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
図2は、図1に示す制御装置30の機能ブロック図である。図2を参照して、制御装置30は、判定手段301と、インバータ制御手段302と、コンバータ制御手段303とを含む。判定手段301は、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinv、モータ温度Tmot、トルク指令値TR、モータ回転数MRNおよび信号IGを受ける。そして、判定手段301は、Hレベルの信号IGを受けると、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinv、モータ温度Tmotおよびモータ回転数MRNに基づいて、後述する方法によって、低温限界Tlimを検出する。その後、判定手段301は、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるか否かを判定し、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、信号TUPS1,TUPS2を生成し、その生成した信号TUPS1,TUPS2をそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。
また、判定手段301は、トルク指令値TRに基づいて、交流モータM1が駆動されたか否かを判定する。そして、判定手段301は、交流モータM1が駆動されたと判定したとき、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるか否かを定期的に判定し、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、信号TUPD1,TUPD2を生成し、その生成した信号TUPD1,TUPD2をそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。
さらに、判定手段301は、信号TUPD1または信号TUPD2を出力した後に、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高いと判定したとき、信号NMR1,NMR2を生成し、その生成した信号NMR1,NMR2をそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。
信号TUPS1は、負荷駆動装置100の始動前にインバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇するようにインバータ14を駆動することを指示するための信号であり、信号TUPS2は、負荷駆動装置100の始動前にコンバータ温度Tcnvが上昇するように昇圧コンバータ12を駆動することを指示するための信号である。
また、信号TUPD1は、負荷駆動装置100の動作中にインバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇するようにインバータ14を駆動することを指示するための信号であり、信号TUPD2は、負荷駆動装置100の動作中にコンバータ温度Tcnvが上昇するように昇圧コンバータ12を駆動することを指示するための信号である。
さらに、信号NRM1は、通常動作を行なうようにインバータ14を駆動することを指示するための信号であり、信号NRM2は、通常動作を行なうように昇圧コンバータ12を駆動することを指示するための信号である。
インバータ制御手段302は、判定手段301から信号TUPS1または信号TUPD1を受けると、後述する方法によって、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇するようにインバータ14を制御するための信号PWM_Wを生成してインバータ14へ出力する。また、インバータ制御手段302は、判定手段301から信号NRM1を受けると、モータ電流MCRT、トルク指令値TRおよび昇圧コンバータ12の出力電圧Vmに基づいて、後述する方法によってインバータ14を駆動するための信号PWM_Nを生成し、その生成した信号PWM_Nをインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
コンバータ制御手段303は、判定手段301から信号TUPS2または信号TUPD2を受けると、後述する方法によって、コンバータ温度Tcnvが上昇するように昇圧コンバータ12を制御するための信号PWC_Wを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。また、コンバータ制御手段303は、判定手段301から信号NRM2を受けると、モータ回転数MRN、トルク指令値TRおよび電圧Vb,Vmに基づいて、交流モータM1の駆動時、後述する方法により、出力電圧Vmが電圧指令Vdc_comに一致するように昇圧コンバータ12をフィードバック制御するための信号PWC_Nを生成し、その生成した信号PWC_Nを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
この信号PWCは、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを出力電圧Vmが電圧指令Vdc_comになるように昇圧するための信号、またはインバータ14から供給された直流電圧を降圧するための信号である。したがって、昇圧コンバータ12は、信号PWCに応じて昇圧動作または降圧動作を行なう。このように、昇圧コンバータ12は、双方向コンバータの機能を有するものである。
図3は、図2に示すインバータ制御手段302の機能ブロック図である。図3を参照して、インバータ制御手段302は、モータ制御用相電圧演算部40と、インバータ用PWM信号変換部42とを含む。
モータ制御用相電圧演算部40は、判定手段301から信号TUPS1を受けると、外部ECUから受けたトルク指令値TRに代えてトルク指令値TR_WまたはTR_Lを設定し、その設定したトルク指令値TR_WまたはTR_L、電圧センサー13からの電圧Vmおよび電流センサー21からのモータ電流MCRTに基づいて交流モータM1の各相に印加する電圧を計算してインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。
なお、トルク指令値TR_Wは、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車がクリープ走行するときのクリープトルク以下のトルク指令値であり、トルク指令値TR_Lは、交流モータM1のトルクを制限するときのトルク指令値である。
また、モータ制御用相電圧演算部40は、判定手段301から信号TUPD1または信号NRM1を受けると、外部ECUからのトルク指令値TR、電圧センサー13からの電圧Vmおよび電流センサー21からのモータ電流MCRTに基づいて交流モータM1の各相に印加する電圧を計算してインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。
インバータ用PWM信号変換部42は、判定手段301から信号TUPS1または信号TUPD1を受けると、通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhを設定し、その設定したスイッチング周波数fhと、モータ制御用相電圧演算部40から受けた交流モータM1の各相に印加する電圧とに基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Wを生成して各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
また、インバータ用PWM信号変換部42は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、交流モータM1のモータ効率を低下させる電流位相θiを設定し、その設定した電流位相θiと、モータ制御用相電圧演算部40から受けた交流モータM1の各相に印加する電圧とに基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Wを生成して各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
さらに、インバータ用PWM信号変換部42は、判定手段301から信号NRM1を受けると、モータ制御用相電圧演算部40から受けた交流モータM1の各相に印加する電圧に基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Nを生成し、その生成した信号PWM_Nを各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRまたはTR_WまたはTR_Lに応じたモータトルクが出力される。
図4は、図2に示すインバータ制御手段302の他の機能ブロック図である。この発明においては、図2に示すインバータ制御手段302は、図4に示すインバータ制御手段302Aであってもよい。図4を参照して、インバータ制御手段302Aは、駆動電流指令演算部50と、加熱電流指令演算部52と、加算器54と、インバータ制御部56とを含む。
駆動電流指令演算部50は、判定手段301から信号TUPS1を受けると、外部ECUからのトルク指令値TRに拘わらず、零に設定した駆動電流指令iτu,iτv,iτwを生成して加算器54へ出力する。
また、駆動電流指令演算部50は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、トルク指令値TRに基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fh(または交流モータM1のモータ効率を低下させる電流位相θi)を有する駆動電流指令iτu,iτv,iτwを生成して加算器54へ出力する。
さらに、駆動電流指令演算部50は、判定手段301から信号NRM1を受けると、トルク指令値TRに基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0を有する駆動電流指令iτu,iτv,iτwを生成して加算器54へ出力する。
加熱電流指令演算部52は、判定手段301から信号TUPS1を受けると、高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwを次式により生成し、その生成した高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwを加算器54へ出力する。
Figure 2005348510
なお、高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwは、交流モータM1が駆動トルクを発生しないようにインバータ14および交流モータM1に通電するための電流指令である。
また、加熱電流指令演算部52は、判定手段301から信号TUPD1または信号NRM1を受けると、零からなる高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwを生成して加算器54へ出力する。
加算器54は、駆動電流指令演算部50からの駆動電流指令iτu,iτv,iτwと加熱電流指令演算部52からの高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwとを次式に代入して電流指令iu*,iv*,iw*を演算し、その演算した電流指令iu*,iv*,iw*をインバータ制御部56へ出力する。
Figure 2005348510
インバータ制御部56は、加算器54からの電流指令iu*,iv*,iw*からなる信号PWM(PWM_WまたはPWM_N)を生成してインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
図5は、図2に示すインバータ制御手段302のさらに他の機能ブロック図である。この発明においては、図2に示すインバータ制御手段302は、図5に示すインバータ制御手段302Bであってもよい。図5を参照して、インバータ制御手段302Bは、3相/2相変換部60と、電流指令生成部62と、減算器63,64と、PI制御部66と、2相/3相変換部68と、PWM生成部70とを含む。
3相/2相変換部60は、電流センサー21からモータ電流MCRT(Iu,Iv,Iwからなる)を受け、交流モータM1に設置された回転位置センサー(図示せず)からセンサー値θを受ける。そして、3相/2相変換部60は、モータ電流Iu,Iv,Iwを回転位置センサーからのセンサー値θを用いて三相二相変換する。すなわち、3相/2相変換部60は、モータ電流Iu,Iv,Iwおよびセンサー値θを次式に代入して電流値Id,Iqを演算する。
Figure 2005348510
つまり、3相/2相変換部60は、交流モータM1の3相コイルの各相に流れる3相のモータ電流Iu,Iv,Iwをセンサー値θを用いてd軸およびq軸に流れる電流値Id,Iqに変換する。そして、3相/2相変換部60は、演算した電流値Idを減算器63へ出力し、演算した電流値Iqを減算器64へ出力する。
電流指令生成部62は、外部ECUからトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNを受け、電圧センサー13から電圧Vmを受ける。そして、電流指令生成部62は、トルク指令値TR、モータ回転数MRNおよび電圧Vmに基づいて、トルク指令値TRによって指定されたトルクを出力するための電流指令Id*,Iq*を生成し、その生成した電流指令Id*を減算器63へ出力し、生成した電流指令Iq*を減算器64へ出力する。
減算器63は、電流指令Id*と電流値Idとの偏差ΔIdを演算し、その演算した偏差ΔIdをPI制御部66へ出力する。また、減算器64は、電流指令Iq*と電流値Iqとの偏差ΔIqを演算し、その演算した偏差ΔIqをPI制御部66へ出力する。
PI制御部66は、判定手段301から信号TUPS1を受けると、減算器63,64からそれぞれ受けた偏差ΔId,ΔIqのうち、減算器64から受けた偏差ΔIqを零に設定し、偏差ΔId,ΔIq(=0)に対してPIゲインを用いてモータ電流調整用の電圧操作量Vd,Vq(=0)を演算し、その演算した電圧操作量Vd,Vq(=0)を2相/3相変換部68へ出力する。
また、PI制御部66は、判定手段301から信号TUPD1または信号NRM1を受けると、減算器63,64からそれぞれ受けた偏差ΔId,ΔIqに対してPIゲインを用いてモータ電流調整用の電圧操作量Vd,Vqを演算し、その演算した電圧操作量Vd,Vqを2相/3相変換部68へ出力する。
2相/3相変換部68は、PI制御部66からの電圧操作量Vd,Vqを回転位置センサーからのセンサー値θを用いて二相三相変換する。すなわち、2相/3相変換部68は、PI制御部66からの電圧操作量Vd,Vqおよび回転位置センサーからのセンサー値θを次式に代入して交流モータM1の3相コイルに印加する電圧操作量Vu,Vv,Vwを演算する。
Figure 2005348510
つまり、2相/3相変換部68は、d軸およびq軸に印加する電圧操作量Vd,Vqをセンサー値θを用いて交流モータM1の3相コイルに印加する電圧操作量Vu,Vv,Vwに変換する。
そして、2相/3相変換部68は、電圧操作量Vu,Vv,VwをPWM生成部70へ出力する。
PWM生成部70は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、電圧操作量Vu,Vv,Vwに基づいて、交流モータM1のモータ効率を低下させる電流位相θiを有する電流をインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ流すための信号PWM_Wを生成してインバータ14へ出力する。
また、PWM生成部70は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、電圧操作量Vu,Vv,Vwに基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhを有する電流をインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ流すための信号PWM_Wを生成してインバータ14へ出力する。
さらに、PWM生成部70は、判定手段301から信号TUPS1または信号NRM1を受けると、電圧操作量Vu,Vv,Vwに基づいて、信号PWM(信号PWM_WまたはPWM_N)を生成し、その生成した信号PWM(信号PWM_WまたはPWM_N)をインバータ14へ出力する。
図6は、図2に示すコンバータ制御手段303の機能ブロック図である。図6を参照して、コンバータ制御手段303は、インバータ入力電圧指令演算部80と、フィードバック電圧指令演算部82と、デューティー比変換部84とを含む。
インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301から信号TUPS2を受けると、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに拘わらず、直流電源Bから出力される直流電圧Vbよりも高い電圧指令Vdc_com_sを生成し、その生成した電圧指令Vdc_com_sをフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。
また、インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301から信号TUPS2を受けると、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに拘わらず、目標電圧が周的的に上下する電圧指令Vdc_com_udを生成し、その生成した電圧指令Vdc_com_udをフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。
さらに、インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301から信号TUPD2を受けると、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいてインバータ入力電圧の最適値(目標値)、すなわち、電圧指令Vdc_comを演算し、その演算した電圧指令Vdc_comよりも高い電圧指令Vdc_com_hを生成し、その生成した電圧指令Vdc_com_hをフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。
さらに、インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301から信号NRM2を受けると、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令Vdc_comを演算し、その演算した電圧指令Vdc_comをフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。
フィードバック電圧指令演算部82は、電圧センサー13から昇圧コンバータ12の出力電圧Vmを受け、インバータ入力電圧指令演算部80から電圧指令Vdc_com,Vdc_com_s,Vdc_com_ud,Vdc_com_hを受ける。そして、フィードバック電圧指令演算部82は、電圧Vmを電圧指令Vdc_com,Vdc_com_s,Vdc_com_ud,Vdc_com_hに設定するためのフィードバック電圧指令Vdc_com_fb,Vdc_com_fb_s,Vdc_com_fb_ud,Vdc_com_fb_hを演算し、その演算したフィードバック電圧指令Vdc_com_fb,Vdc_com_fb_s,Vdc_com_fb_ud,Vdc_com_fb_hをデューティー比変換部84へ出力する。
デューティー比変換部84は、電圧センサー10からの電圧Vbと、フィードバック電圧指令演算部82からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fb,Vdc_com_fb_s,Vdc_com_fb_ud,Vdc_com_fb_hとに基づいて、電圧センサー13からの出力電圧Vmをフィードバック電圧指令演算部82からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fb,Vdc_com_fb_s,Vdc_com_fb_ud,Vdc_com_fb_hに設定するためのデューティー比を演算する。
そして、デューティー比変換部84は、フィードバック電圧指令演算部82からフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_udまたはVdc_com_fb_hを受け、かつ、判定手段301から信号TUPS2または信号TUPD2を受けると、演算したデューティー比に基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0を設定して昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Wを生成する。
また、デューティー比変換部84は、フィードバック電圧指令演算部82からフィードバック電圧指令Vdc_com_fbまたはVdc_com_fb_sを受け、かつ、判定手段301から信号TUPS2または信号TUPD2を受けると、演算したデューティー比に基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhを設定して昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Wを生成する。
そして、デューティー比変換部84は、生成した信号PWC_Wを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
さらに、デューティー比変換部84は、判定手段301から信号NRM1を受けると、演算したデューティー比に基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0を設定して昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Nを生成する。そして、デューティー比変換部84は、生成した信号PWC_Nを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
なお、昇圧コンバータ12の下側のNPNトランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルL1における電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上側のNPNトランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインの電圧が下がる。そこで、NPNトランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインの電圧を直流電源Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御可能である。
図7は、磁束とモータ温度との関係を示す図である。また、図8は、NPNトランジスタQ1〜Q8の素子耐圧Vと素子温度(コンバータ温度Tcnvまたはインバータ温度Tinv)との関係を示す図である。さらに、図9は、素子耐圧またはモータ逆起電圧と温度との関係を示す図である。
図7を参照して、希土類金属からなる磁石が発生する磁束Φは、温度(モータ温度Tmot)が低下するに伴って増加する。すなわち、磁束Φのモータ温度Tmot依存性は、直線k1によって表される。交流モータM1のロータの角速度をωとすれば、交流モータM1の逆起電圧Eは、E=ω×Φによって表わされる。
そうすると、磁束Φは、上述したようにモータ温度Tmotの低下に伴って増加するので、交流モータM1の逆起電圧Eは、モータ温度Tmotの低下に伴って高くなる。
図8を参照して、NPNトランジスタQ1〜Q8の素子耐圧V(昇圧コンバータ12の素子耐圧Vcnvまたはインバータ14の素子耐圧Vinv)は、素子温度(コンバータ温度Tcnvまたはインバータ温度Tinv)の低下に伴って低下する。すなわち、素子耐圧Vの素子温度依存性は、直線k2によって表される。
図9を参照して、交流モータM1の逆起電圧Eのモータ温度Tmot依存性は、直線k3によって表され、逆起電圧Eのモータ温度Tmot依存性(直線k3)は、素子耐圧Vの素子温度依存性(直線k2)と点Aで交差する。
素子耐圧Vの温度依存性が逆起電圧Eの温度依存性と交差しないようにNPNトランジスタを作製することも可能であるが、そのようなNPNトランジスタは、常温において過剰な素子耐圧を有し、高コストになる。
したがって、この発明においては、低コストな負荷駆動装置100を提供する観点から、素子耐圧Vの温度依存性が逆起電圧Eの温度依存性と交差するNPNトランジスタQ1〜Q8を用いている。
図9において、横軸の温度は、負荷駆動装置100の雰囲気温度Tatmを表わす。負荷駆動装置100が始動される前においては、昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1は、全て停止しているので、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotは、等しい。したがって、負荷駆動装置100が始動される前の雰囲気温度Tatmは、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotのいずれかである。
一方、負荷駆動装置100の動作中においては、昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1は、駆動されているので、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotは、相互に異なる。そこで、負荷駆動装置100の動作中の雰囲気温度Tatmは、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotのうち、最も低い温度とする。
点Aは、逆起電圧Eが素子耐圧Vに一致する点であり、逆起電圧Eが素子耐圧Vに一致する温度を低温限界Tlimとする。したがって、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であれば、逆起電圧Eは素子耐圧V以上になり、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高ければ、逆起電圧Eは素子耐圧Vよりも低くなる。したがって、低温限界Tlimは、逆起電圧Eが素子耐圧V以上であるか否かを判定する閾値である。
逆起電圧Eが素子耐圧V以上であるときに、NPNトランジスタQ1〜Q8をスイッチング制御し、昇圧コンバータ12およびインバータ14を駆動すれば、素子耐圧V以上の高電圧がNPNトランジスタQ1〜Q8に印加され、NPNトランジスタQ1〜Q8の寿命が短くなる。
そこで、この発明においては、逆起電圧Eが素子耐圧V以上になる低温領域においては、逆起電圧Eが素子耐圧Vよりも低くなるように、すなわち、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるようにコンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotを上昇させる。
そして、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなる温度領域、すなわち、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高い温度領域において昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1を駆動させる。
図10は、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなる温度領域で負荷駆動装置100を動作させるためのフローチャートである。図10を参照して、一連の動作が開始されると、イグニッションキーがオンされ(ステップS1)、負荷駆動装置100の雰囲気温度Tatmが測定される(ステップS2)。
その後、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるか否かが判定される。すなわち、低温判定がなされる(ステップS3)。そして、ステップS3において、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim(閾値)以下であると判定されたとき、加熱処理がなされる(ステップS4)。その後、ステップS3において、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高いと判定されるまで、ステップS2〜S4が繰り返し実行される。
ステップS3において、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高いと判定されると、負荷駆動装置100の通常動作が行なわれる(ステップS5)。この通常動作は、負荷駆動装置100の始動時における通常動作と、負荷駆動装置100の動作中における通常動作とからなる。そして、ステップS5の後、一連の動作が終了する。
上述したように、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、加熱処理が行なわれるが(図10のステップS4参照)、この加熱処理は、次に示す各種の方法によって実行される。
表1は、負荷駆動装置100の始動前における加熱処理の方法を示す。
Figure 2005348510
負荷駆動装置100の始動前に雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、昇圧コンバータ12は、動作OPB−1,OPB−2のいずれかを行ない、インバータ14は、動作OPB−3〜OPB−5のいずれかを行なう。なお、インバータ14が動作OPB−3〜OPB−5のいずれかを行なえば、交流モータM1には、インバータ14に流れる電流と同じ電流が流れるので、交流モータM1も動作OPB−3〜OPB−5のいずれかを行なうことになる。
動作OPB−1は、昇圧コンバータ12がNPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高くして昇圧動作を行なう動作である。また、動作OPB−2は、昇圧コンバータ12が昇圧動作と降圧動作とを交互に行なう動作である。
さらに、動作OPB−3は、インバータ14がNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高くして交流モータM1がクリープトルク以下のトルクを出力するように電流を流す動作である。さらに、動作OPB−4は、インバータ14が非同期高周波電流(上述した高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwによって流される電流)を流す動作である。さらに、動作OPB−5は、インバータ14がd軸のみに電流を流す動作である。
負荷駆動装置100の始動前、昇圧コンバータ12は、通常、昇圧動作を行なわないため、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、スイッチング周波数を通常動作よりも高くして昇圧動作を行なうことによりNPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失が増加する。その結果、コンバータ温度Tcnvを上昇させることができる。したがって、動作OPB−1は、コンバータ温度Tcnvを上昇させるために有効な動作である。
また、昇圧コンバータ12が負荷駆動装置100の始動前に昇圧動作と降圧動作とを交互に行なうことにより、電流は、昇圧コンバータ12中を直流電源BからコンデンサC1への方向およびコンデンサC1から直流電源Bへの方向へ交互に流れる。そして、昇圧電圧と降圧電圧との電圧差を大きく設定することによりNPNトランジスタQ1,Q2を流れる電流は、より増加し、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失は、増加する。その結果、コンバータ温度Tcnvを上昇させることができる。したがって、動作OPB−2は、コンバータ温度Tcnvを上昇させるために有効な動作である。
さらに、インバータ14が負荷駆動装置100の始動前にスイッチング周波数を通常動作時よりも高くして交流モータM1がクリープトルク以下のトルクを出力するように電流を流すことにより、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車を実質的に停止させた状態で電流がインバータ14に実際に流れ、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失が増加する。その結果、インバータ温度Tinvを上昇させることができる。したがって、動作OPB−3は、インバータ温度Tinvを上昇させるために有効な動作である。
なお、この発明においては、クリープトルクとは、直流電源Bから出力される電源電圧(電圧Vb)によって交流モータM1が出力可能な駆動トルクを言う。そして、交流モータM1がクリープトルクを出力する場合、負荷駆動装置100を搭載したハイブリッド自動車または電気自動車は、走行可能であるが、インバータ14および交流モータM1を昇温させる場合には、ハイブリッド自動車または電気自動車は、機械的な制動によって停止している。
さらに、インバータ14が負荷駆動装置100の始動前に非同期高周波電流を流すことにより、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車を停止させた状態で電流がインバータ14に実際に流れ、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失が増加する。
非同期高周波電流がインバータ14および交流モータM1に流れるので、交流モータM1は、トルクを発生しない。したがって、ハイブリッド自動車または電気自動車が停止した状態でインバータ14に通電できる。
その結果、インバータ温度Tinvを上昇させることができる。したがって、動作OPB−4は、インバータ温度Tinvを上昇させるために有効な動作である。
さらに、インバータ14が負荷駆動装置100の始動前にd軸のみに電流を流すことにより、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車を停止させた状態で電流がインバータ14に実際に流れ、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失が増加する。
d軸に流れる電流は、交流モータM1におけるトルクを発生させないので、ハイブリッド自動車または電気自動車が停止した状態でインバータ14に通電できる。その結果、インバータ温度Tinvを上昇させることができる。したがって、動作OPB−5は、インバータ温度Tinvを上昇させるために有効な動作である。
インバータ14が動作OPB3〜OPB0−5のいずれかを行なった場合、交流モータM1にも同時に電流が流れるので、動作OPB3〜OPB5は、モータ温度Tmotを上昇させるために有効な動作でもある。
なお、動作OPB−3は、モータ温度Tmotよりもインバータ温度Tinvを優先的に上昇させるために有効な動作である。NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhに設定した場合、インバータ14に流す電流を少なくしてもインバータ温度Tinvを上昇させることができる。電流が少ないとき、モータ温度Tmotの上昇幅は小さいが、一定時間内におけるNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング回数を増加することによりNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失を増加でき、インバータ温度Tinvの上昇幅を大きくできるからである。
このように、表1に示す各動作OPB−1〜OPB−5は、NPNトランジスタQ1〜Q8のスイッチング損失を増加することにより、コンバータ温度Tcnvまたはインバータ温度Tinvを上昇させるとともに、インバータ14に通電することによりモータ電流Tmotを上昇させる動作である。
そして、動作OPB−1,OPB−2のいずれかと、動作OPB−3〜OPB−5のいずれかとを任意に組み合わせてコンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotを上昇させるようにしてもよい。
そして、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇すれば、素子耐圧Vは上昇し、交流モータM1の逆起電圧Eは低下する(図9参照)。その結果、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高くなり、すなわち、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなり、NPNトランジスタQ1〜Q8に印加される逆起電圧Eを素子耐圧Vよりも低くして負荷駆動装置100を始動できる。
表2は、負荷駆動装置100の動作中における加熱処理の方法を示す。
Figure 2005348510
負荷駆動装置100の動作中に雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下になると、昇圧コンバータ12は、動作OPD−1,OPD−2のいずれかを行ない、インバータ14は、動作OPD−3,OPD−4のいずれかを行ない、交流モータM1は、動作OPD−5を行なう。
動作OPD−1は、昇圧コンバータ12が昇圧比を通常動作時よりも高くして昇圧動作行なう動作である。また、動作OPD−2は、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高くして昇圧動作または降圧動作を行なう動作である。
さらに、動作OPD−3は、インバータ14が交流モータM1のモータ効率が低下する電流位相θiで電流を流す動作である。さらに、動作OPB−4は、インバータ14がNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高くして電流を流す動作である。さらに、動作OPB−5は、交流モータM1がモータ回転数MRNを制限して駆動される動作である。
負荷駆動装置100の動作中に雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下になると、昇圧コンバータ12が昇圧比を通常動作時よりも高くして昇圧動作を行なうことによりNPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失が増加する。すなわち、昇圧比を通常動作時よりも高くすることによりNPNトランジスタQ1,Q2に流れる電流が増加し、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失が増加する。その結果、コンバータ温度Tcnvを上昇させることができる。したがって、動作OPD−1は、負荷駆動装置100の動作中にコンバータ温度Tcnvを上昇させるために有効な動作である。
また、昇圧コンバータ12が負荷駆動装置100の動作中にNPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数よりも高くして昇圧動作または降圧動作を行なうことにより、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失は、増加する。この場合、交流モータM1が電動機として機能する場合、昇圧コンバータ12は昇圧動作を行ない、交流モータM1が発電機として機能する場合、昇圧コンバータ12は降圧動作を行なう。その結果、コンバータ温度Tcnvを上昇させることができる。したがって、動作OPD−2は、負荷駆動装置100の動作中にコンバータ温度Tcnvを上昇させるために有効な動作である。
さらに、インバータ14が負荷駆動装置100の動作中に交流モータM1のモータ効率を低下させる電流位相θiで電流を流すことにより、より多くの電流がながれるのでNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失が増加する。その結果、インバータ温度Tinvを上昇させることができる。したがって、動作OPD−3は、負荷駆動装置100の動作中にインバータ温度Tinvを上昇させるために有効な動作である。
さらに、インバータ14がNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数を通常動作時よりも高くして電流を流すことにより、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失が増加する。その結果、インバータ温度Tinvを上昇させることができる。したがって、動作OPD−4は、負荷駆動装置100の動作中にインバータ温度Tinvを上昇させるために有効な動作である。
モータ回転数MRNが制限された状態で交流モータM1が駆動されることにより、交流モータM1の逆起電圧Eは低下する。逆起電圧Eは、上述したようにω×Φによって決定され、磁束Φが一定である場合、角速度ωに比例する。したがって、モータ回転数MRNを制限することにより、角速度ωも制限され、逆起電圧Eは低下する。
モータ回転数MRNの制限により逆起電圧Eが低下したとき、図9に示す直線k3は、下側へ平行移動し、低温限界Tlimは、より低温側へシフトする。モータ回転数MRNの制限により逆起電圧Eが低下することは、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇したことに相当する。
このように、表2に示す各動作OPD−1〜OPD−4は、NPNトランジスタQ1〜Q8のスイッチング損失を増加することにより、コンバータ温度Tcnvまたはインバータ温度Tinvを上昇させるとともに、インバータ14に通電することによりモータ温度Tmotを上昇させる動作である。また、動作OPD−5は、直接的には、交流モータM1の逆起電圧Eを低下させる動作であり、間接的には、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotを上昇させる動作である。
この発明においては、動作OPD−1,OPD−2のいずれかと、動作OPD−3〜OPD−5のいずれかとを任意に組み合わせてコンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotを上昇させるようにしてもよい。
そして、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇すれば、素子耐圧Vは上昇し、交流モータM1の逆起電圧Eは低下する(図9参照)。その結果、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlimよりも高くなり、すなわち、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなり、NPNトランジスタQ1〜Q8に印加される逆起電圧Eを素子耐圧Vよりも低くして負荷駆動装置100を通常動作により駆動できる。
図11は、コンデンサC1の両端の電圧Vmおよびコンバータ電流Icのタイミングチャートである。図11を参照して、表1に示す動作OPB−2について具体的に説明する。昇圧コンバータ12が昇圧動作と降圧動作とを交互に行なうと、コンデンサC1の両端の電圧Vmは、周期的に上下する。すなわち、電圧Vmは、タイミングt1〜タイミングt2の間およびタイミングt5〜タイミングt6の間に上昇し、タイミングt3〜タイミングt4の間およびタイミングt7〜タイミングt8の間に低下する。そして、電圧Vmは、タイミングt2〜タイミングt3の間およびタイミングt6〜タイミングt7の間、昇圧された電圧Vupを保持し、タイミングt4〜タイミングt5の間、降圧された電圧Vdwnを保持する。
そして、昇圧コンバータ12に流れるコンバータ電流Icは、電圧Vmが変化する期間に対応して直流電源BとコンデンサC1との間で流れる。より具体的には、コンバータ電流Icは、タイミングt1〜タイミングt2の間およびタイミングt5〜タイミングt6の間、直流電源BからコンデンサC1の方向へ流れ、タイミングt3〜タイミングt4の間およびタイミングt7〜タイミングt8の間、コンデンサC1から直流電源Bの方向へ流れる。そして、コンバータ電流Icは、タイミングt2〜タイミングt3の間、タイミングt4〜タイミングt5の間およびタイミングt6〜タイミングt7の間、流れない。
したがって、昇圧コンバータ12が昇圧動作と降圧動作とを交互に行なうことにより、方向を交互に代えて電流を昇圧コンバータ12に流すことができる。そして、昇圧電圧Vupを通常動作時よりも高く設定し、降圧電圧Vdwnを電圧Vb+α(α:電圧センサー10の検出誤差程度)に設定することにより、電圧Vmが変化する期間において、より多くのコンバータ電流Icを昇圧コンバータ12に流すことができる。その結果、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失が増加する。
図12は、コンデンサC1の両端の電圧Vmとモータ回転数MRNとの関係を示す図である。図12を参照して、表2に示す動作OPD−1について具体的に説明する。図12を参照して、負荷駆動装置100の通常動作時、コンデンサC1の両端の電圧Vmは、曲線k4に従って変化する。すなわち、電圧Vmは、モータ回転数MRNが回転数MRN1までの範囲においては、ほぼ電源電圧Vbに保持され(すなわち、昇圧コンバータ12は昇圧動作を行なわない)、モータ回転数MRNが回転数MRN1に到達すると、一定の割合で上昇し、回転数MRN2以上で一定に保持される。
これに対し、動作OPD−1が実行される場合、電圧Vmは、曲線k5に従って変化する。すなわち、電圧Vmは、モータ回転数MRNが回転数MRN1までの範囲において、通常動作時の電圧(≒電源電圧Vb)よりも高い電圧に保持され、モータ回転数MRNが回転数MRN1に到達すると、一定の割合で上昇し、回転数MRN3(<MRN2)以上で一定に保持される。そして、電圧Vmは、モータ回転数MRNが回転数MRN3に到達するまでの範囲において、通常動作の電圧値よりも高い電圧値に設定される。すなわち、昇圧コンバータ12は、昇圧比を通常動作時よりも高くして昇圧動作を行なう。その結果、通常動作時よりも多くの電流がNPNトランジスタQ1,Q2に流れ、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失が増加する。
図13は、モータのトルクとモータに流れる電流の電流位相との関係を示す図である。図13を参照して、表2に示す動作OPD−3について具体的に説明する。モータのトルクと電流位相との関係は、曲線k6によって表わされる。そして、モータのトルクは、ある電流位相θoptに対して最大になるように変化する。したがって、通常、モータのトルクが最大になる電流位相θoptで交流モータM1に電流が流される。
しかし、動作OPD−3においては、交流モータM1を最適動作点からずれた点で駆動する。すなわち、最大のモータトルクを出力する電流位相θoptよりも高位相側に存在する電流位相θiで交流モータM1を駆動する。つまり、交流モータM1のモータ効率が低下する電流位相θiで交流モータM1を駆動する。
その結果、交流モータM1に流れるモータ電流MCRTが通常動作時よりも増加し、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失が増加する。
なお、交流モータM1のモータ効率を低下させる電流位相は、最大のモータトルクを出力する電流位相θoptよりも高位相側に限らず、低位相側に存在していてもよい。つまり、交流モータM1のモータ効率を低下させる電流位相は、最大のモータトルクを出力する電流位相θopt以外の電流位相であればよい。最大のモータトルクを出力する電流位相θopt以外の電流位相で電流を流せば、モータ電流MCRTは、通常動作時よりも多くなるからである。
次に、負荷駆動装置100の始動前と動作中において、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であると判定されたとき、昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1を昇温する動作について具体的に説明する。
雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるか否かを判定する場合、低温限界Tlimを検出する必要がある。逆起電圧Eは、上述したようにE=ω×Φによって決定されるので、角速度ωが決定されないと、逆起電圧Eの温度依存性が一義的に決定されない。したがって、交流モータM1の角速度ωが決定され、逆起電圧Eの温度依存性が一義的に決定されたときに低温限界Tlimを検出する必要がある。そこで、この発明においては、次の方法により低温限界Tlimを検出する。
制御装置30の判定手段301は、図9に示す素子耐圧Vの温度依存性(直線k2)と逆起電圧Eの温度依存性(直線k3)とを保持しており、イグニッションキーからHレベルの信号を受けたとき、または交流モータM1が駆動された後、外部ECUから受けたモータ回転数MRNに基づいて角速度ωを求め、その求めた角速度ωに応じて直線k3を上下して逆起電圧Eの温度依存性を最終的に決定する。なお、負荷駆動装置100の始動前における角速度ωは、始動時に要求される角速度である。
そして、判定手段301は、最終的に決定された逆起電圧Eの温度依存性と、素子耐圧Vの温度依存性とに基づいて、低温限界Tlimを検出する。このように、この発明においては、逆起電圧Eの温度依存性と素子耐圧Vの温度依存性とに基づいて、逆起電圧Eが素子耐圧V以上であるか否かを決定する閾値である低温限界Tlimを検出することを特徴とする。
負荷駆動装置100の始動前に昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1を昇温する場合、インバータ制御手段302は、表1に示す動作OPB−3〜OPB−5のいずれかを行なうようにインバータ14を制御し、コンバータ制御手段303は、表1に示す動作OPB−1,OPB−2のいずれかを行なうように昇圧コンバータ12を制御する。
また、負荷駆動装置100の動作中に昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1を昇温する場合、インバータ制御手段302は、表2に示す動作OPD−3〜OPD−5のいずれかを行なうようにインバータ14を制御し、表2に示す動作OPD−1,OPD−2のいずれかを行なうように昇圧コンバータ12を制御する。
[始動前の動作]
図14は、負荷駆動装置100の始動前の動作を説明するためのフローチャートである。なお、以下においては、制御装置30の判定手段301が上述した方法によって低温限界Tlimを検出していることを前提として説明する。また、判定手段301は、図7に示す直線k1を磁束Φとモータ温度Tmotとの関係を示すマップとして保持しており、図8に示す直線k2を素子耐圧VinvまたはVcnvと素子温度(インバータ温度Tinvまたはコンバータ温度Tcnv)との関係を示すマップとして保持していることを前提として説明する。
図14を参照して、一連の動作が開始されると、イグニションキーがオンされ(ステップS11)、制御装置30の判定手段301は、イグニションキーからHレベルの信号IGを受ける。そして、温度センサー20は、モータ温度Tmotを検出し(ステップS12)、その検出したモータ温度Tmotを制御装置30へ出力する。
判定手段301は、モータ温度Tmotを温度センサー20から受け、その受けたモータ温度Tmotに対応する磁束Φ(Tmot)をマップ(直線k1)を参照して抽出し、その抽出した磁束Φ(Tmot)に角速度ω(始動時に要求される角速度)を乗算して逆起電圧Eを演算する(ステップS13)。
その後、温度センサー19は、インバータ温度Tinvを検出し(ステップS14)、その検出したインバータ温度Tinvを制御装置30へ出力する。判定手段301は、インバータ温度Tinvを温度センサー19から受け、その受けたインバータ温度Tinvに対応する素子耐圧Vinvをマップ(直線k2)を参照して抽出する(ステップS15)。
引き続いて、温度センサー18は、コンバータ温度Tcnvを検出し(ステップS16)、その検出したコンバータ温度Tcnvを制御装置30へ出力する。判定手段301は、コンバータ温度Tcnvを温度センサー18から受け、その受けたコンバータ温度Tcnvに対応する素子耐圧Vcnvをマップ(直線k2)を参照して抽出する(ステップS17)。
そして、判定手段301は、素子耐圧Vinv,Vcnvのうち、低い方を最終的な素子耐圧Vとして抽出し(ステップS18)、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高いか否かを判定する(ステップS19)。
そして、判定手段301は、ステップS19において、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くないと判定したとき、信号TUPS1,TUPS2を生成し、その生成した信号TUPS1,TUPS2をそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。
コンバータ制御手段303は、表1に示す動作OPB−1,OPB−2のいずれかを行なうように昇圧コンバータ12を制御する。
(動作OPB−1)
コンバータ制御手段303が、動作OPB−1を行なうように昇圧コンバータ12を制御する場合、インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301からの信号TUPS2に応じて、昇圧コンバータ12の目標電圧を直流電圧Vbよりも高く設定するための電圧指令Vdc_com_sを生成してフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。そして、フィードバック電圧指令演算部82は、インバータ入力電圧指令演算部80からの電圧指令Vdc_com_sと、電圧センサー13からの電圧Vmとに基づいて、上述した方法によってフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_sを演算してデューティー比変換部84へ出力する。
デューティー比変換部84は、フィードバック電圧指令演算部82からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_sと、電圧センサー10からの電圧Vbとに基づいて、電圧センサー13からの出力電圧Vmを、フィードバック電圧指令演算部82からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_sに設定するためのデューティー比を演算する。そして、デューティー比変換部84は、判定手段301から信号TUPS2を受けると、その演算したデューティー比に基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhを設定して昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Wを生成する。そして、デューティー比変換部84は、生成した信号PWC_Wを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
これにより、昇圧コンバータ12は、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhに設定して昇圧動作を行なう。
(動作OPB−2)
また、コンバータ制御手段303が動作OPB−2を行なうように昇圧コンバータ12を制御する場合、インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301からの信号TUPS2に応じて、昇圧コンバータ12の目標電圧を周期的に上下させる電圧指令Vdc_com_udを生成してフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。
そして、フィードバック電圧指令演算部82は、インバータ入力電圧指令演算部80からの電圧指令Vdc_com_udと、電圧センサー13からの電圧Vmとに基づいて、上述した方法によってフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_udを演算してデューティー比変換部84へ出力する。
デューティー比変換部84は、フィードバック電圧指令演算部82からフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_udを受けると、フィードバック電圧指令Vdc_com_fb_udと、電圧センサー10からの電圧Vbとに基づいて、電圧センサー13からの出力電圧Vmを、フィードバック電圧指令演算部82からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_udに設定するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比に基づいて、昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Wを生成する。そして、デューティー比変換部84は、生成した信号PWC_Wを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
これにより、昇圧コンバータ12は、昇圧動作と降圧動作とを交互に行なう。
そして、昇圧コンバータ12が表1に示す動作OPB−1,OPB−2のいずれかを行なうことにより、昇圧コンバータ12が加熱され、コンバータ温度Tcnvが上昇する(ステップS20)。
一方、インバータ制御手段302は、表1に示す動作OPB−3〜OPB−5のいずれかを行なうようにインバータ14を制御する。
(動作OPB−3)
インバータ制御手段302が動作OPB−3を行なうようにインバータ14を制御する場合、モータ制御用相電圧演算部40は、判定手段301からの信号TUPS1に応じて、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車がクリープ走行するときのクリープトルク以下のトルク指令値TR_Wを設定し、その設定したトルク指令値TR_W、電圧センサー13からの電圧Vmおよび電流センサー21からのモータ電流MCRTに基づいて交流モータM1の各相に印加する電圧を計算してインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。
そして、インバータ用PWM信号変換部42は、判定手段301からの信号TUPS1に応じて、通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhを設定し、その設定したスイッチング周波数fhと、モータ制御用相電圧演算部40から受けた交流モータM1の各相に印加する電圧とに基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Wを生成して各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、インバータ14は、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhに設定して交流モータM1のトルクがクリープトルク以下になる電流を流す。
(動作OPB−4)
また、インバータ制御手段302が動作OPB−4を行なうようにインバータ14を制御する場合、インバータ制御手段302は、図4に示すインバータ制御手段302Aからなり、駆動電流指令演算部50は、判定手段301からの信号TUPS1に応じて、零からなる駆動電流指令iτu,iτv,iτwを生成して加算器54へ出力する。そして、加熱電流指令演算部52は、判定手段301からの信号TUPS1に応じて、式(1)により高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwを生成して加算器54へ出力する。
加算器54は、駆動電流指令演算部50からの駆動電流指令iτu,iτv,iτwと、加熱電流指令演算部52からの高周波加熱電流指令ihu,ihv,ihwとを式(2)に代入して電流指令iu*,iv*,iw*を演算し、その演算した電流指令iu*,iv*,iw*をインバータ制御部56へ出力する。インバータ制御部56は、加算器54から受けた電流指令iu*,iv*,iw*からなるPWM_Wを生成してインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、インバータ14は、非同期高周波電流を流す。
(動作OPB−5)
さらに、インバータ制御手段302が動作OPB−5を行なうようにインバータ14を制御する場合、インバータ制御手段302は、図5に示すインバータ制御手段302Bからなり、3相/2相変換部60は、電流センサー21からのモータ電流MCRT(Iu,Iv,Iw)を回転位置センサーからのセンサー値θを用いて三相二相変換する。すなわち、3相/2相変換部60は、モータ電流Iu,Iv,Iwおよびセンサー値θを式(3)に代入して電流値Id,Iqを演算する。そして、3相/2相変換部60は、演算した電流値Idを減算器63へ出力し、演算した電流値Iqを減算器64へ出力する。
電流指令生成部62は、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNと、電圧センサー13からの電圧Vmとに基づいて、トルク指令値TRによって指定されたトルクを出力するための電流指令Id*,Iq*を生成し、その生成した電流指令Id*を減算器63へ出力し、生成した電流指令Iq*を減算器64へ出力する。
減算器63は、電流指令Id*と電流値Idとの偏差ΔIdを演算し、その演算した偏差ΔIdをPI制御部66へ出力する。また、減算器64は、電流指令Iq*と電流値Iqとの偏差ΔIqを演算し、その演算した偏差ΔIqをPI制御部66へ出力する。
PI制御部66は、判定手段301からの信号TUPS1に応じて、減算器63,64からそれぞれ受けた偏差ΔId,ΔIqのうち、減算器64から受けた偏差ΔIqを零に設定し、偏差ΔId,ΔIq(=0)に対してPIゲインを用いてモータ電流調整用の電圧操作量Vd,Vq(=0)を演算し、その演算した電圧操作量Vd,Vq(=0)を2相/3相変換部68へ出力する。
2相/3相変換部68は、PI制御部66からの電圧操作量Vd,Vq(=0)を回転位置センサーからのセンサー値θを用いて二相三相変換する。すなわち、2相/3相変換部68は、PI制御部66からの電圧操作量Vd,Vq(=0)および回転位置センサーからのセンサー値θを式(4)に代入して交流モータM1の3相コイルに印加する電圧操作量Vu,Vv,Vwを演算する。そして、2相/3相変換部68は、電圧操作量Vu,Vv,VwをPWM生成部70へ出力する。
PWM生成部70は、判定手段301から信号TUPS1を受けると、2相/3相変換部68からの電圧操作量Vu,Vv,Vwに基づいて、信号PWM_Wを生成し、その生成した信号PWM_Wをインバータ14へ出力する。
これにより、インバータ14は、d軸のみに電流を流す。
そして、インバータ14が表1に示す動作OPB−3〜OPB−5のいずれかを行なうことにより、インバータ14が加熱され、インバータ温度Tinvが上昇するとともに(ステップS21)、交流モータM1も加熱され、モータ温度Tmotも上昇する(ステップS22)。
その後、ステップS19において、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高いと判定されるまで、ステップS12〜ステップS22が繰り返し実行される。
そして、ステップS19において、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高いと判定されると、判定手段301は、信号NRM1,NRM2を生成してそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。これにより、負荷駆動装置100の始動が許可される(ステップS23)。
そして、コンバータ制御手段303は、判定手段301からの信号NRM2に応じて、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令Vdc_comを演算し、電圧Vmを電圧指令Vdc_comに設定するようにNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Nを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、昇圧コンバータ12は、電圧Vmが電圧指令Vdc_comに一致するように直流電源Bからの直流電圧Vbを電圧Vmへ昇圧してコンデンサC1へ供給する。
コンデンサC1は、昇圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化してインバータ14へ供給する。
インバータ制御手段302は、判定手段301からの信号NRM1に応じて、トルク指令値TR、モータ回転数MRNおよび電圧Vmに基づいて、交流モータM1の各相に印加する電圧を演算し、その演算した電圧に基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Nを生成し、その生成した信号PWM_Nを各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたモータトルクが出力される。そして、一連の動作は終了する。
図14に示すフローチャートの各ステップのうち、ステップS12,S14,S16は、図10に示すフローチャートのステップS2に相当する。
また、図14に示すステップS13,S15,S17,S18,S19は、図10に示すステップS3に相当する。図14のステップS19において、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くない、すなわち、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であると判定されることは、図10のステップS3において、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であると判定されることに相当する。図9において、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であるとき、雰囲気温度Tatmは、低温限界Tlim以下になるからである。
さらに、図14に示すステップS20〜ステップS22は、図10に示すステップS4に相当する。
さらに、図14に示すステップS23は、図10に示すステップS5に相当する。
したがって、図14に示すフローチャートは、図10に示すフローチャートと実質的に同じである。
上述したように、負荷駆動装置100の始動前に素子耐圧Vが交流モータM1の逆起電圧Eよりも高いか否かを判定し、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であるとき、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるように昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1を昇温し、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなった後、負荷駆動装置100の始動が許可されるので、昇圧コンバータ12およびインバータ14のNPNトランジスタQ1〜Q8を素子耐圧Vよりも高い電圧が印加されない状態で使用でき、NPNトランジスタQ1〜Q8の寿命を長くできる。
[駆動中の動作]
図15は、負荷駆動装置100の駆動中の動作を説明するためのフローチャートである。図15を参照して、ステップS31〜ステップS38は、図14に示すステップS12〜ステップS19とそれぞれ同じである。したがって、ステップS31〜ステップS38の詳細な説明を省略する。
ステップS38において、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも大きくない、すなわち、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であると判定されたとき、制御装置30の判定手段301は、信号TUPD1,TUPD2を生成してそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。
コンバータ制御手段303は、判定手段301からの信号TUPD2に応じて、表2に示す動作OPD−1,OPD−2のいずれかを行なうように昇圧コンバータ12を制御し、インバータ制御手段302は、判定手段301からの信号TUPD1に応じて、表2に示す動作OPD−3〜OPD−5のいずれかを行なうようにインバータ14を制御する。
これにより、昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1における損失増加動作が行なわれる(ステップS39)。
損失増加動作の詳細について説明する。
(動作OPD−1)
コンバータ制御手段303が、動作OPD−1を行なうように昇圧コンバータ12を制御する場合、インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301からの信号TUPD2に応じて、昇圧コンバータ12の出力電圧Vmの目標電圧を通常動作時よりも高くするための電圧指令Vdc_com_hを生成してフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。この場合、インバータ入力電圧指令演算部80は、図12の曲線k5に従って各モータ回転数MRNに対する電圧指令Vdc_com_hを生成する。
フィードバック電圧指令演算部82は、インバータ入力電圧指令演算部80からの電圧指令Vdc_com_hと、電圧センサー13からの電圧Vmとに基づいて、上述した方法によってフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_hを演算してデューティー比変換部84へ出力する。
デューティー比変換部84は、フィードバック電圧指令演算部82からフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_hを受け、かつ、判定手段301から信号TUPD2を受けると、フィードバック電圧指令Vdc_com_fb_hと電圧センサー10からの電圧Vbとに基づいて、電圧センサー13からの出力電圧Vmをフィードバック電圧指令演算部82からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fb_hに設定するためのデューティー比を演算する。
そして、デューティー比変換部84は、演算したデューティー比に基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0を設定して昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Wを生成し、その生成した信号PWC_WをNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
これにより、昇圧コンバータ12は、出力電圧Vmが通常動作時よりも高い目標電圧(電圧指令Vdc_com_h)に一致するように直流電源Bからの直流電圧を出力電圧Vmに変換し、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失が通常動作時よりも増加する。その結果、コンバータ温度Tcnvが上昇する。
(動作OPD−2)
コンバータ制御手段303が、動作OPD−2を行なうように昇圧コンバータ12を制御する場合、インバータ入力電圧指令演算部80は、判定手段301から信号TUPD2を受けると、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令Vdc_comを演算してフィードバック電圧指令演算部82へ出力する。
フィードバック電圧指令演算部82は、インバータ入力電圧指令演算部80からの電圧指令Vdc_comと、電圧センサー13からの電圧Vmとに基づいて、上述した方法によってフィードバック電圧指令Vdc_com_fbを演算してデューティー比変換部84へ出力する。
デューティー比変換部84は、フィードバック電圧指令演算部82からフィードバック電圧指令Vdc_com_fbを受け、かつ、判定手段301から信号TUPD2を受けると、フィードバック電圧指令Vdc_com_fbと電圧センサー10からの電圧Vbとに基づいて、電圧センサー13からの出力電圧Vmをフィードバック電圧指令演算部82からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbに設定するためのデューティー比を演算する。
そして、デューティー比変換部84は、演算したデューティー比に基づいて、通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhを設定して昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Wを生成し、その生成した信号PWC_WをNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
これにより、昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Qは、通常動作時よりも高いスイッチング周波数fhでオン/オフされ、NPNトランジスタQ1,Q2のスイッチング損失が通常動作時よりも増加する。その結果、コンバータ温度Tcnvが上昇する。
(動作OPD−3)
インバータ制御手段302が、動作OPD−3を行なうようにインバータ14を制御する場合、モータ制御用相電圧演算部40は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、外部ECUからのトルク指令値TR、電圧センサー13からの電圧Vmおよび電流センサー21からのモータ電流MCRTに基づいて交流モータM1の各相に印加する電圧を計算してインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。
そして、インバータ用PWM信号変換部42は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、交流モータM1のモータ効率を低下させる電流位相θiを設定し、その設定した電流位相θiと、モータ制御用相電圧演算部40から受けた交流モータM1の各相に印加する電圧とに基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Wを生成して各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、交流モータM1は、モータ効率が通常動作時よりも低下するように駆動され、通常動作時よりも多くの電流がインバータ14および交流モータM1に流れる。そして、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング損失が増加する。その結果、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇する。
(動作OPD−4)
インバータ制御手段302が、動作OPD−4を行なうようにインバータ14を制御する場合、モータ制御用相電圧演算部40は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、外部ECUからのトルク指令値TR、電圧センサー13からの電圧Vmおよび電流センサー21からのモータ電流MCRTに基づいて交流モータM1の各相に印加する電圧を計算してインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。
そして、インバータ用PWM信号変換部42は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、NPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数を通常動作時のスイッチング周波数f0よりも高いスイッチング周波数fhに設定し、その設定したスイッチング周波数fhと、モータ制御用相電圧演算部40から受けた交流モータM1の各相に印加する電圧とに基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Wを生成して各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、NPNトランジスタQ3〜Q8は、通常動作時よりも高いスイッチング周波数fhでオン/オフされ、スイッチング損失が増加する。その結果、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが上昇する。この場合、インバータ14に流す電流を通常動作時よりも少なくしてNPNトランジスタQ3〜Q8のスイッチング周波数を高くした場合は、インバータ温度Tinvを優先的に上昇させることができる。
このように、昇圧コンバータ12が動作OPD−1,OPD−2のいずれかを行ない、インバータ14が動作OPD−3,OPD−4のいずれかを行なうように制御することにより、昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1における損失が増加する(ステップS39)。
一方、ステップS38において、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高いと判定されると、判定手段301は、信号NRM1,NRM2を生成してそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。これにより、負荷駆動装置100は通常動作を行なう(ステップS40)。
すなわち、コンバータ制御手段303は、判定手段301からの信号NRM2に応じて、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令Vdc_comを演算し、電圧Vmを電圧指令Vdc_comに設定するようにNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Nを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、昇圧コンバータ12は、電圧Vmが電圧指令Vdc_comに一致するように直流電源Bからの直流電圧Vbを電圧Vmへ昇圧してコンデンサC1へ供給する。
コンデンサC1は、昇圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化してインバータ14へ供給する。
インバータ制御手段302は、判定手段301からの信号NRM1に応じて、トルク指令値TR、モータ回転数MRNおよび電圧Vmに基づいて、交流モータM1の各相に印加する電圧を演算し、その演算した電圧に基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Nを生成し、その生成した信号PWM_Nを各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたモータトルクが出力される。そして、ステップS39またはステップS40の後、一連の動作は、一旦、終了する。
図15に示すフローチャートは、負荷駆動装置100の動作中、一定時間毎に実行される。
そして、図15に示すフローチャートの各ステップのうち、ステップS31,S33,S35は、図10に示すフローチャートのステップS2に相当する。
また、図15に示すステップS32,S34,S36,S37,S38は、図10に示すステップS3に相当する。ステップS38において、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くない、すなわち、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であると判定されることは、ステップS3において、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であると判定されることに相当する。図9において、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であるとき、雰囲気温度Tatmは、低温限界Tlim以下になるからである。
さらに、図15に示すステップS39は、図10に示すステップS4に相当する。
さらに、図15に示すステップS40は、図10に示すステップS5に相当する。
したがって、図15に示すフローチャートは、図10に示すフローチャートと実質的に同じである。
図16は、負荷駆動装置100の駆動中の動作を説明するための他のフローチャートである。なお、図16に示すフローチャートは、交流モータM1のモータ回転数MRNを制限することにより、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるように制御するフローチャートである。
図16を参照して、ステップS51〜ステップS55は、図14に示すステップS14〜ステップS18とそれぞれ同じであるので、ステップS51〜ステップS55についての説明を省略する。
ステップS55の後、温度センサー20は、モータ温度Tmotを測定し(ステップS56)、その検出したモータ温度Tmotを制御装置30へ出力する。制御装置30の判定手段301は、温度センサー20から受けたモータ温度Tmotに対応する磁束Φ(Tmot)をマップ(図7に示す直線k1)を参照して抽出する。
そして、判定手段301は、ステップS55で算出した素子耐圧Vを磁束Φ(Tmot)により除算して角速度の最大値ωmax(=V/Φ(Tmot))を演算する(ステップS57)。引き続いて、回転位置センサー(図示せず)は、センサー値θを検出して制御装置30へ出力し、判定手段301は、センサー値θに基づいて角速度ωを演算する。これにより、角速度ωが測定される(ステップS58)。
その後、判定手段301は、角速度ωが最大値ωmaxよりも小さいか否かを判定する(ステップS59)。
角速度ωが最大値ωmaxよりも小さくない、すなわち、角速度ωが最大値ωmax以上であると判定手段301が判定することは、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であると判定されることに相当し、角速度ωが最大値ωmaxよりも小さいと判定手段301が判定することは、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高いと判定されることに相当する。角速度ωが最大値ωmax以上であるとき、その角速度ω(≧ωmax)を用いて演算された逆起電圧E(=ω×Φ(Tmot))は、素子耐圧V(=ωmax×Φ(Tmot))以上になり、角速度ωが最大値ωmaxよりも小さいとき、その角速度ω(<ωmax)を用いて演算された逆起電圧E(=ω×Φ(Tmot))は、素子耐圧V(=ωmax×Φ(Tmot))よりも小さくなるからである。
角速度ωが最大値ωmaxよりも小さくないと判定されると、インバータ制御手段302は、交流モータM1のトルク制限を行なうようにインバータ14を制御する。
(動作OPD−5)
判定手段301は、角速度ωが最大値ωmaxよりも小さくないと判定したとき、信号TUPD1,NRM2を生成してそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。
コンバータ制御手段303は、判定手段301からの信号NRM2に応じて、通常動作を行なうように昇圧コンバータ12を制御する。
一方、インバータ制御手段302のモータ制御用相電圧演算部40は、判定手段301からの信号TUPD1に応じて、外部ECUからのトルク指令値TRよりも小さいトルク指令値TR_Lを設定し、その設定したトルク指令値TR_L、電圧センサー13からの電圧Vmおよび電流センサー21からのモータ電流MCRTに基づいて交流モータM1の各相に印加する電圧を計算してインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。
インバータ用PWM信号変換部42は、判定手段301から信号TUPD1を受けると、モータ制御用相電圧演算部40から受けた交流モータM1の各相に印加する電圧に基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Wを生成し、その生成した信号PWM_Wを各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、インバータ14は、交流モータM1の角速度を制限して交流モータM1を駆動する(ステップS60)。その結果、交流モータM1の逆起電圧Eは、各モータ温度Tmotに対して低下する。すなわち、図9において、直線k3が下方向へ平行移動する。
一方、ステップS59において、角速度ωが最大値ωmaxよりも小さいと判定されたとき、判定手段301は、信号NRM1,NRM2を生成してそれぞれインバータ制御手段302およびコンバータ制御手段303へ出力する。これにより、負荷駆動装置100は通常動作を行なう(ステップS61)。
すなわち、コンバータ制御手段303は、判定手段301からの信号NRM2に応じて、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令Vdc_comを演算し、電圧Vmを電圧指令Vdc_comに設定するようにNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWC_Nを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、昇圧コンバータ12は、電圧Vmが電圧指令Vdc_comに一致するように直流電源Bからの直流電圧Vbを電圧Vmへ昇圧してコンデンサC1へ供給する。
コンデンサC1は、昇圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化してインバータ14へ供給する。
インバータ制御手段302は、判定手段301からの信号NRM1に応じて、トルク指令値TR、モータ回転数MRNおよび電圧Vmに基づいて、交流モータM1の各相に印加する電圧を演算し、その演算した電圧に基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWM_Nを生成し、その生成した信号PWM_Nを各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたモータトルクが出力される。そして、ステップS60またはステップS61の後、一連の動作は、一旦、終了する。
図16に示すフローチャートは、負荷駆動装置100の動作中、一定時間毎に実行される。
そして、図16に示すフローチャートの各ステップのうち、ステップS51,S53,S56は、図10に示すフローチャートのステップS2に相当する。
また、図16に示すステップS52,S54,S55,S57,S58,S59は、図10に示すステップS3に相当する。ステップS59において、角速度ωが最大値ωmaxよりも小さくない、すなわち、角速度ωが最大値ωmax以上であると判定されることは、ステップS3において、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であると判定されることに相当する。角速度ωが最大値ωmax以上であるとき、逆起電圧Eは素子耐圧V以上であると判定され、図9において、逆起電圧Eが素子耐圧V以上であるとき、雰囲気温度Tatmは、低温限界Tlim以下になるからである。
さらに、図16に示すステップS60は、図10に示すステップS4に相当する。
さらに、図16に示すステップS61は、図10に示すステップS5に相当する。
したがって、図16に示すフローチャートは、図10に示すフローチャートと実質的に同じである。
上述したように、負荷駆動装置100の動作中に素子耐圧Vが交流モータM1の逆起電圧Eよりも高いか否かを判定し、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であるとき、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるように昇圧コンバータ12、インバータ14および交流モータM1を昇温し、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなった後、負荷駆動装置100は通常動作を行なうので、昇圧コンバータ12およびインバータ14のNPNトランジスタQ1〜Q8を素子耐圧Vよりも高い電圧が印加されない状態で使用でき、NPNトランジスタQ1〜Q8の寿命を長くできる。
また、負荷駆動装置100の動作中に素子耐圧Vが交流モータM1の逆起電圧Eよりも高いか否かを判定し、素子耐圧Vが逆起電圧E以下であるとき、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるように交流モータM1の角速度(トルク)を制限し、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなった後、負荷駆動装置100は通常動作を行なうので、昇圧コンバータ12およびインバータ14のNPNトランジスタQ1〜Q8を素子耐圧Vよりも高い電圧が印加されない状態で使用でき、NPNトランジスタQ1〜Q8の寿命を長くできる。
なお、上記においては、負荷駆動装置100の雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、昇圧コンバータ12およびインバータ14の両方を昇温すると説明したが、この発明においては、これに限らず、昇圧コンバータ12およびインバータ14のいずれか一方だけを昇温するようにしてもよい。昇圧コンバータ12を構成するNPNトランジスタQ1,Q2の素子耐圧Vcnvと、インバータ14を構成するNPNトランジスタQ3〜Q8の素子耐圧Vinvとが異なる場合もあるからである。
したがって、Vcnv>E、かつ、Vcnv>Vinvであるときは、インバータ14のみを昇温すればよく、Vinv>E、かつ、Vinv>Vcnvであるときは、昇圧コンバータ12のみを昇温すればよい。
また、上記においては、負荷駆動装置100は、昇圧コンバータ12を含むとして説明したが、この発明においては、負荷駆動装置100は、昇圧コンバータ12を含んでいなくてもよい。その場合、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であると判定されると、制御装置30は、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるようにインバータ14および/または交流モータM1を制御する。
さらに、この発明においては、昇圧コンバータ12およびインバータ14は、交流モータM1を駆動する「駆動回路」を構成し、この発明は、負荷駆動装置100の雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるとき、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるように駆動回路(昇圧コンバータ12およびインバータ14)および/または交流モータM1を制御するものであればよい。
そして、雰囲気温度Tatmが低温限界Tlim以下であるときに、素子耐圧Vが逆起電圧Eよりも高くなるように駆動回路を制御する場合、温度が上昇するように昇圧コンバータ12および/またはインバータ14を制御すればよい。
さらに、この発明においては、NPNトランジスタに代えてIGBTおよびMOSトランジスタを用いてもよく、一般的には、スイッチング素子を用いることができる。
さらに、温度センサー18〜20は、負荷駆動装置100の雰囲気温度Tatmを検出する「温度センサー」を構成する。負荷駆動装置100の始動前においては、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotは等しいので、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotが雰囲気温度Tatmになり、負荷駆動装置100の動作中においては、コンバータ温度Tcnv、インバータ温度Tinvおよびモータ温度Tmotのいずれかが雰囲気温度Tatmになるからである。
素子耐圧Vの温度依存性(図9に示す直線k2)と逆起電圧Eの温度依存性(図9に示す直線k3)とに基づいて低温限界Tlimを検出する判定手段301は、雰囲気温度の低下に伴って素子耐圧Vが逆起電圧E以下になり始める低温限界を検出する「検出手段」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、スイッチング動作を行なうスイッチング素子の寿命を長くできる負荷駆動装置に適用される。
この発明の実施の形態による負荷駆動装置の概略図である。 図1に示す制御装置の機能ブロック図である。 図2に示すインバータ制御手段の機能ブロック図である。 図2に示すインバータ制御手段の他の機能ブロック図である。 図2に示すインバータ制御手段のさらに他の機能ブロック図である。 図2に示すコンバータ制御手段の機能ブロック図である。 磁束とモータ温度との関係を示す図である。 NPNトランジスタの素子耐圧Vと素子温度(コンバータ温度またはインバータ温度)との関係を示す図である。 素子耐圧またはモータ逆起電圧と温度との関係を示す図である。 素子耐圧が逆起電圧よりも高くなる温度領域で負荷駆動装置を動作させるためのフローチャートである。 コンデンサの両端の電圧およびコンバータ電流のタイミングチャートである。 コンデンサの両端の電圧とモータ回転数との関係を示す図である。 モータのトルクとモータに流れる電流の電流位相との関係を示す図である。 負荷駆動装置の始動前の動作を説明するためのフローチャートである。 負荷駆動装置の駆動中の動作を説明するためのフローチャートである。 負荷駆動装置の駆動中の動作を説明するための他のフローチャートである。
符号の説明
10,13 電圧センサー、12 昇圧コンバータ、14 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、18〜20 温度センサー、21 電流センサー、30 制御装置、40 モータ制御用相電圧演算部、42 インバータ用PWM信号変換部、50 駆動電流指令演算部、52 加熱電流指令演算部、54 加算器、56 インバータ制御部、60 3相/2相変換部、62 電流指令生成部、63,64 減算器、66 PI制御部、68 2相/3相変換部、70 PWM生成部、80 インバータ入力電圧指令演算部、82 フィードバック電圧指令演算部、84 デューティー比変換部、100 負荷駆動装置、301 判定手段、302,302A,302B インバータ制御手段、303 コンバータ制御手段、B 直流電源、C1 コンデンサ、Q1〜Q8 NPNトランジスタ、D1〜D8 ダイオード、L1 リアクトル、M1 交流モータ。

Claims (10)

  1. 逆起電圧が温度の低下に伴って高くなるモータを駆動する負荷駆動装置であって、
    電源と、
    素子耐圧が温度の低下に伴って低下するスイッチング素子を含み、前記電源から電力を受けて前記モータを駆動する駆動回路と、
    前記負荷駆動装置の雰囲気温度を検出する温度センサーと、
    前記素子耐圧の温度依存性と前記逆起電圧の温度依存性とに基づいて、前記素子耐圧が前記逆起電圧以下になり始める低温限界を検出する検出手段と、
    前記雰囲気温度が前記低温限界以下であるとき、前記素子耐圧が前記逆起電圧よりも高くなるように前記モータおよび/または前記駆動回路を制御する制御手段とを備える負荷駆動装置。
  2. 前記制御手段は、前記雰囲気温度が前記低温限界以下であるとき、前記駆動回路に通電制御を行なう、請求項1に記載の負荷駆動装置。
  3. 前記駆動回路は、
    第1のスイッチング素子を含み、前記モータを駆動するインバータと、
    第2のスイッチング素子を含み、前記電源と前記インバータとの間で電圧を変換する電圧変換器とからなり、
    前記制御手段は、前記雰囲気温度が前記低温限界以下であるとき、前記電圧変換器および/または前記インバータに通電制御を行なう、請求項2に記載の負荷駆動装置。
  4. 前記制御手段は、昇圧動作と降圧動作とを交互に行なうように前記電圧変換器を制御する、請求項3に記載の負荷駆動装置。
  5. 前記制御手段は、前記第2のスイッチング素子のスイッチング周波数を通常動作時よりも高くして昇圧動作を行なうように前記電圧変換器を制御する、請求項3に記載の負荷駆動装置。
  6. 前記制御手段は、前記第1のスイッチング素子のスイッチング損失が通常動作時よりも大きくなるように前記インバータを制御する、請求項3に記載の負荷駆動装置。
  7. 前記モータが前記電源の電源電圧によって発生可能な駆動トルクを所定のトルクとしたとき、
    前記制御手段は、前記モータが発生する駆動トルクを前記所定のトルク以下に抑制して前記駆動回路に通電制御を行なう、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の負荷駆動装置。
  8. 前記制御手段は、前記モータが前記駆動トルクを発生しないように前記駆動回路に通電制御を行なう、請求項7に記載の負荷駆動装置。
  9. 前記制御手段は、前記通電制御を行なった後に前記雰囲気温度が前記低温限界よりも高くなると、通常動作を行なうように前記駆動回路を制御する、請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の負荷駆動装置。
  10. 前記制御手段は、昇圧動作における目標電圧を通常動作時よりも高く設定して前記電圧変換器を制御する、請求項3に記載の負荷駆動装置。
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