JP3772560B2 - 光ファイバ照明システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、導光効率を向上させる構造を有する光ファイバ照明システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例を図10により説明する。一般に光ファイバは中実のコアの周囲にコアより屈折率の小さいクラッドを設けた樹脂製の光ファイバなどがあり、導光方向を変える場合は光ファイバを曲げて光を導光する。一般に樹脂ファイバはコア50に軟質アクリル系樹脂、クラッド51にフッ素系樹脂を用い、コア50の端部に光Lを入射すると、光ファイバ内で全反射して導光することができる。反射屈折の関係は、同図(c)に示すようにsin θ2/sin θ1 =n1/n2 、θ1 がθ2 =90°となるときの値以上、すなわちθ1 >sin -1(n2/n1) となるが、その光は全てコア界面で全反射して導光する。このときアクリルの屈折率n1=1.49、フッ素樹脂の屈折率n2=1.34とすると、クラッド51がフッ素樹脂の場合、θ1>64°となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、樹脂ファイバを曲げて光を導光する場合、単純曲げでは、コーナ部Pの曲率が小さいと、クラッドに対する入射角が小さくなり、コーナ部Pでの光の漏れが多くなり、またコーナ部Pを通った光の一部がその先で漏れ、そのため導光効率が低下する。
【0004】
すなわち、図10に示すように光ファイバ内で全反射して導光できる光の角度範囲は、θ1>64°に限られ、それ以下の入射角の光Lはクラッド51を透過して光漏れL′となる。コーナ部Pより入射光側の光ファイバの光軸に対して、コーナ部Pでの反射面(コーナの外側部分)は角度がつくために、導光光Lの一部がθ1≦64°となり、光漏れを生じる。また以上のことから光漏れ量はコーナ部Lの曲率が小さい程多くなる。
【0005】
したがって、この発明の目的は、光ファイバを曲げた際の導光効率を向上することができる光ファイバ照明システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光ファイバ照明システムは、中実のコアの周囲に前記コアより屈折率の小さいクラッドを設けた光ファイバの一端部から導入した光源からの光を、前記光ファイバ内の全反射により他端部へ導き、光を出射する光ファイバ照明システムにおいて、
導光方向を変える前記光ファイバのコーナ部は、前記光ファイバのクラッドを除去して前記コアを露出することにより形成され、
前記コーナ部は前記コアを保護し、かつ前記コーナ部の形状を保持する保護・形状保持手段で覆われ、
前記保護・形状保持手段は、前記コーナ部を覆うように設けられたカバーと、前記カバーの両端を前記光ファイバに固定する固定手段と、前記カバー内に設けられて前記コーナ部の内周側を先端で支持する突起手段とを有することを特徴とするものである。
【0007】
請求項1記載の光ファイバ照明システムによれば、コーナ部の外周面がクラッドより低屈折率の媒体で覆われているため、コーナ部での導光ロスを低減でき、システムの導光効率を向上することができる。またコーナ部の曲率半径を小さくできることからコーナ部がコンパクトになり、狭い空間でも効率的に設置できる。
この場合、コーナ部の導光体が、光ファイバのクラッドを除去してコアを露出することにより形成されているため、最も導光ロスを低減でき、かつ狭い空間でも効率的に設置できる。
また、コーナ部の前記導光体を保護し、かつコーナ部の形状を保持する保護・形状保持手段で覆ったため、コーナ部の形状を容易に維持でき、かつ導光体に塵や埃が付着しにくくなる。また、コーナ部にコアが剥き出しであっても、保護・形状保持手段を設けることにより導光体の周囲が設置位置周辺の部材との接触、塵や埃の付着を防止でき、安定して空気が覆われることになるため、安定した導光効率が得られる。
【0008】
請求項2記載の光ファイバ照明システムは、請求項1において、突起手段とコーナ部の内側との間に低屈折率部材を設けたものである。
【0009】
請求項2記載の光ファイバ照明システムによれば、請求項1と同様な効果のほか、突起手段とコーナ部の接触界面からの光漏れを防止できる。
【0010】
請求項3記載の光ファイバ照明システムは、中実のコアの周囲に前記コアより屈折率の小さいクラッドを設けた光ファイバの一端部から導入した光源からの光を、前記光ファイバ内の全反射により他端部へ導き、光を出射する光ファイバ照明システムにおいて、
導光方向を変える前記光ファイバのコーナ部は、少なくとも光学的に前記光ファイバの略直線状部の端部で前記コアと接続された導光体を、この導光体および前記光ファイバのクラッドより低屈折率の媒体でほぼ覆ったものであり、
前記コーナ部の前記導光体は、前記光ファイバとは別体に形成され、
前記コーナ部は前記導光体を保護し、かつ形状を保持する保護・形状保持手段で覆い、
前記保護・形状保持手段は、前記コーナ部を覆うように設けられたカバーと、前記カバーの両端を前記光ファイバに固定する固定手段と、前記カバー内に設けられて前記コーナ部の内周側および外周側に先端が接触して保持する突起手段とを有することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の光ファイバ照明システムによれば、導光体の外周面が導光体およびクラッドより低屈折率の媒体で覆われているため、コーナ部での導光ロスを低減でき、システムの導光効率を向上することができる。またコーナ部の曲率半径を小さくできることからコーナ部がコンパクトになり、狭い空間でも効率的に設置できる。
またコーナ部の導光体は、光ファイバとは別体に形成されているため、コーナ部のクラッドを除去したりコーナ部の形状を形成する工数が省け、施工性向上することができる。また光ファイバのコーナ部での応力集中による劣化を防止でき、耐久性を向上できる。
保護・形状保持手段により、コーナ部の形状を容易に維持でき、かつ導光体に塵や埃が付着しにくくなる。また、コーナ部にコアが剥き出しであっても、保護・形状保持手段を設けることにより導光体の周囲が設置位置周辺の部材との接触、塵や埃の付着を防止でき、安定して空気が覆われることになるため、安定した導光効率が得られる。
【0012】
請求項4記載の光ファイバ照明システムは、請求項1、請求項2または請求項3において、前記コーナ部の前記導光体が略孤状をなしているものである。
【0013】
請求項4記載の光ファイバ照明システムによれば、請求項1、請求項2または請求項3と同様な効果のほか、さらにコーナ部での導光ロスを低減でき、システムの効率を向上できるとともにコーナ部がコンパクトになる。
【0014】
請求項5記載の光ファイバ照明システムは、請求項4において、前記コーナ部の前記導光体が、その外周側の半径がRの略円弧状に形成され、前記光ファイバの直径φであるとき、R/φ≧2.5としたものである。
【0015】
請求項5記載の光ファイバ照明システムによれば、請求項4と同様な効果のほか、最も導光効率が良くかつコンパクトな構造となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明の請求項1に対応する第1の実施の形態を図1により説明する。すなわち、この光ファイバ照明システムは、中実のコア1の周囲にコア1より屈折率の小さいクラッド2を設けた光ファイバ3の一端部4から導入した光源からの光を、光ファイバ3内の全反射により他端部5へ導き、光を出射するものである。この場合において、導光方向を変える光ファイバ3のコーナ部9は、少なくとも光学的に光ファイバ3の略直線状部6の端部6aでコア1と接続された導光体7を、この導光体7および光ファイバ3のクラッド2より低屈折率の媒体8でほぼ覆っている。
【0021】
実施の形態では、光ファイバ3の直線部6のコア1に軟質アクリル系樹脂を用い、その周囲のクラッド2にフッ素樹脂を用いている。またコーナ部9の導光体7は略直線状部6と同じ材料のコアを連続させて曲げたものであり、媒体8は内面にシリカエアロゲル10を塗布したフッ素樹脂のクラッド材11としている。シリカエアロゲル10は直径数nmのシリカ粒子が数十nmの均一な直径をもつ数珠状につながってできた極細空隙の多孔体で、きわめて低屈折率(n=1.01〜1.1)の物質であり、空気の屈折率n≒1.00にきわめて近い値である。
【0022】
コーナ部9の導光体7の周面を略直線状部6のクラッド2よりも低屈折率材料で覆うことにより、コーナ部9で正反射する前記角度θ1の範囲が大きくなり、漏れ光の量を低減できる。低屈折材料の媒体8を内面にシリカエアロゲルを塗布したクラッド材11とした場合、コアとなる導光体7の周囲の屈折率が空気(≒1.00)に非常に近い値となるのでほぼθ1>48°の広い範囲の光が全反射することとなる。
【0023】
さらにコーナ部9で反射された反射光は、曲がった先の光ファイバ3内で反射されることとなるが、その際の入射光はコーナ部9の後の光ファイバ3の光軸に対して、より小さい角度となるので、その大部分の光は漏れることなく全反射する。
【0024】
第1の実施の形態によれば、コーナ部9での導光ロスを低減しシステムの効率が向上する。またコーナ部9の曲率半径を小さくできることからコーナ部9がコンパクトになり、狭い空間でも効率的に設置できる。
【0025】
この発明の請求項2に対応する第2の実施の形態を図2に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第1の実施の形態のコーナ部9の構成を、コア1に連続した導光体7であるコアの周囲のクラッド等を除去し、導光体7を露出したものである。
【0026】
図2(b)に示すように、θ1がθ2=90°となるときの値以上の光は全て導光体7の表面で全反射して導光する。その角度は前記したように、
θ1>sin -1(n2/n1)
である。この場合、導光体7の周囲は空気であるから、第1の実施の形態でも示した通りコーナ部9での全反射領域がθ1>48°と最も広い範囲となる。したがって、最も導光ロスを低減できる構造である。
【0027】
第2の実施の形態によれば、コーナ部9での導光ロスをより一層低減でき、システムの効率が向上する。またコーナ部9をコンパクトにでき、狭い空間でも効率的に設置できる。その他の構成および効果は第1の実施の形態と同様である。
【0028】
この発明の請求項3に対応する第3の実施の形態を図3に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第1の実施の形態または第2の実施の形態のコーナ部9の構成を、略直線状部6と一体ではなく、別体のコーナ部材9aにより構成して略直線状部6に接続したものである。第3の実施の形態ではコーナ部9をあらかじめ曲がり形状に形成した、光ファイバ3と同じ断面形状のガラスにより形成している。光ファイバ3とコーナ部材9aとの接続は、端面を突き合わせてテフロン(登録商標)の熱収縮チューブ12で両者を締付けて固定している。
【0029】
一般にガラスはファイバコア材である軟質アクリルよりも屈折率が大きいため導光光がガラスに入射する際、コーナ部材9aの入射端側のファイバの光軸側に屈折することから、コーナ部9での反射がさらに有利となる。さらにコーナ部9を別体とすることにより、コーナ部9のクラッド除去および形状形成の工数が省け、施工性が向上する。また光ファイバ3のコーナ部9での応力集中による劣化を防止できるので、耐久性が向上する。
【0030】
なお、コーナ部9はアクリル系の樹脂でもよい。また略直線状部6とコーナ部9との接続部は端面同志をアクリル系の接着剤で接着してもよい。
【0031】
この発明の請求項4に対応する第4の実施の形態を図4に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第2の実施の形態において、コーナ部9が略孤状の形状としたものである。
【0032】
光ファイバ3をある方向に曲げる場合、コーナ部9より光源側の光ファイバ3の光軸方向に対してコーナ部9の反射面はある傾きをもつため、導光光の1部は反射の臨界角を超えて光漏れが生じるようになる。そして光漏れは、コーナ部9の傾きの微分変化量が急な部分がある程大きい。従って、コーナ部9の形状は、傾きの微分変化量がほぼ一定である曲率半径Rの略円弧状とした場合が最も導光ロスを低減できる。さらに、第1の実施の形態から第3の実施の形態の構造では、従来の構造に比べてコーナ部9の臨界角が大きいため、さらに導光ロスを低減できる。また、小さい曲率形状が可能となる。
【0033】
第4の実施の形態は、第1の実施の形態のみならず第2の実施の形態および第3の実施の形態に対しても適用でき、さらにコーナ部9での導光ロスを低減し、システムの導光効率を向上することができる。コーナ部9がコンパクトになり、狭い空間でも効率的に設置できる。
【0034】
この発明の請求項5に対応する第5の実施の形態を図5に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第4の実施の形態において、コア1のコア断面の外径φがφ=12の光ファイバ3、コーナ部9の外径RがR=30としたものである。
【0035】
コーナ部9に入射した光が最も漏れやすいのは、第1反射面であり、その領域での反射面の傾きが大きいほど漏れ量は大きくなる。さらに、第1反射領域での傾きは、ファイバコア直径である外径φに対するコーナ部9の外径半径Rの比R/φが小さいほど大きくなるため、漏れ光の量はR/φが臨界角を超えるある値以下は急激に多くなる。
【0036】
図5(b)は図1の構造でかつ楕円反射鏡付の光源から発した集光光をファイバ入射端から入射させたモデルについて、光学シミュレーションを用いてコーナ部での導光効率を計算した結果である。なお、導光効率は、(コーナ部9の後の光ファイバの25cm先の断面を通過する光束/コーナ部9への入射光束)×100%であり、Q1は光ファイバの略直線状部6と同じ通常の構造の特性を示し、Q2はコーナ部9の特性を示している。この結果より、特性Q1では外径Rが15mmから75mmでは導光効率が70%を超えず、外径Rを200mmにすれば70%以上の導光効率が得られる。一方、本構造による特性Q2ではR/φ≧2.5(=30/12)以上にすれば、導光効率が70%を超える最高の導光効率が得られることが分かる。従って、コーナ部9をR/φ=2.5であるR=30とするのが最もコンパクトとなる。
【0037】
第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態においてさらに、最も導光効率が良くかつコンパクトな構造となる。
【0038】
この発明の請求項6に対応する第6の実施の形態を図6に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第5の実施の形態において、コーナ部9の導光体7を保護し、かつその形状を保持する保護・形状保持手段で覆ったものである。実施の形態の保護・形状保持手段はコーナ部9を覆うよう取付けられたカバー14が用いられ、カバー14の外郭の内面はコーナ部9の導光体7と非接触で空気層が介在されている。コーナ部9の内側が、カバー14内に設けられた先端が小さい曲率をもつ突起手段15に接触し支持されている。突起手段15の先端が略孤を描いており、したがってそれに支持されるコーナ部9も略孤を形成する。またカバー14内のファイバ挿入口付近のファイバ部に固定手段である硬質ゴム16が設けられており、これでコーナ部9の両端付近の光ファイバ3を締付けて挟み込むことにより、コーナ部9の形状を維持し、かつカバー14とコーナ部9の位置関係がずれないようにしている。
【0039】
上記構成のカバー14を設けることにより、コーナ部9の形状を容易に維持でき、かつ塵や埃が導光体7に付着しにくくなる。また、コーナ部9はコアの導光体7が剥き出しとなるが、このカバー14を設けることによりコア周囲が設置位置周辺の部材との接触や、塵および埃の付着を防止でき、安定して空気が覆われることになるため、安定した導光効率が得られる。
【0040】
但し、コーナ部9の内側で突起手段15と若干の接触があるが、この程度の小さい曲率半径ではコーナ部9での反射の大部分はコーナ部9の外側で起こるため、接触による光漏れは殆どない。
【0041】
第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態から第5の実施の形態において、形状を形成しやすいため、施工性が向上する。コーナ部9の周囲が容易に空気層で保持されるため、安定して導光効率が得られ、信頼性が向上する。また保護・形状保持手段14によりコーナ部9に塵や埃が付着しにくい。
【0042】
この発明の請求項6に対応する第7の実施の形態を図7に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第6の実施の形態において、コーナ部9がコア剥き出しの状態であり、コーナ部材9の内側を支持しコーナ部9の形状を形成する突起手段15とコーナ部9の内側の間に、光ファイバ3のクラッド2よりも低屈折率部材17を設けている。
【0043】
第7の実施の形態によれば、第6の実施の形態と同様な効果のほか、低屈折率部材17により突起手段15とコーナ部9の接触界面からの光漏れが防止でき、導光ロスがさらに低減できる。その他の構成および効果は第6の実施の形態と同様である。
【0044】
この発明の請求項6に対応する第8の実施の形態を図8に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第6の実施の形態において、コーナ部9が第3の実施の形態のように別体に構成され、かつコーナ部材9aそれ自身で形状を維持できるガラスであり、カバー14の内部でコーナ部材9aの内周側および外周側の双方に点接触あるいは線接触して、コーナ部材9aを保持する突起手段15a、15bを設けてある。
【0045】
この実施の形態によれば、第6の実施の形態において、カバー14の内部に設けた突起手段15a、15bで接触面積を最小限にしてコーナ部材9aが固定される。また突起手段15a、15bを増やすことにより、自身で形状を維持できない軟質材料でも適用できる。
【0046】
その他の構成および効果は第6の実施の形態と同様である。
【0047】
この発明の請求項6に対応する第9の実施の形態を図9に示す。すなわち、この光ファイバ照明システムは、第6の実施の形態において、低屈折率の媒体8が保護・形状保持手段を兼ねるものである。第9の実施の形態では、硬質のカバー14の内面形状がコーナ部9の導光体7の形状と一致し、コーナ部9の導光体7は自身で形状を維持できない軟質アクリルにより形成され、その周囲の媒体8をクラッド材であるフッ素樹脂よりも低屈折材料であるシリカエアロゲル18を内側に塗布したフッ素樹脂により構成している。
【0048】
第6の実施の形態において、カバー14の内部にコーナ部9を挿入することにより、硬質のカバー14により容易にコーナ部9の形状を形成維持することができる。カバー14とコーナ部9との間にはシリカエアロゲル18が介在するためカバー14とコーナ部9は接触しない。
【0049】
第9の実施の形態によれば、コーナ部9の形状を容易に維持することができる。またカバー14により、導光体7に指紋の付着、あるいは他の建築部材との接触、ゴミの付着による導光ロスを妨げるため、さらに導光効率が向上し、システムの効率の信頼性が向上する。またコーナ部9を手で触れたり建築部材との接触に注意する必要がないため施工性が向上する。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の光ファイバ照明システムによれば、コーナ部の外周面がクラッドより低屈折率の媒体で覆われているため、コーナ部での導光ロスを低減でき、システムの導光効率を向上することができる。またコーナ部の曲率半径を小さくできることからコーナ部がコンパクトになり、狭い空間でも効率的に設置できる。
この場合、コーナ部の導光体が、光ファイバのクラッドを除去してコアを露出することにより形成されているため、最も導光ロスを低減でき、かつ狭い空間でも効率的に設置できる。
また、コーナ部の前記導光体を保護し、かつコーナ部の形状を保持する保護・形状保持手段で覆ったため、コーナ部の形状を容易に維持でき、かつ導光体に塵や埃が付着しにくくなる。また、コーナ部にコアが剥き出しであっても、保護・形状保持手段を設けることにより導光体の周囲が設置位置周辺の部材との接触、塵や埃の付着を防止でき、安定して空気が覆われることになるため、安定した導光効率が得られる。
【0051】
請求項2記載の光ファイバ照明システムによれば、請求項1と同様な効果のほか、突起手段とコーナ部の接触界面からの光漏れを防止できる。
【0052】
請求項3記載の光ファイバ照明システムによれば、導光体の外周面が導光体およびクラッドより低屈折率の媒体で覆われているため、コーナ部での導光ロスを低減でき、システムの導光効率を向上することができる。またコーナ部の曲率半径を小さくできることからコーナ部がコンパクトになり、狭い空間でも効率的に設置できる。
またコーナ部の導光体は、光ファイバとは別体に形成されているため、コーナ部のクラッドを除去したりコーナ部の形状を形成する工数が省け、施工性向上することができる。また光ファイバのコーナ部での応力集中による劣化を防止でき、耐久性を向上できる。
保護・形状保持手段により、コーナ部の形状を容易に維持でき、かつ導光体に塵や埃が付着しにくくなる。また、コーナ部にコアが剥き出しであっても、保護・形状保持手段を設けることにより導光体の周囲が設置位置周辺の部材との接触、塵や埃の付着を防止でき、安定して空気が覆われることになるため、安定した導光効率が得られる。
【0053】
請求項4記載の光ファイバ照明システムによれば、請求項1、請求項2または請求項3と同様な効果のほか、さらにコーナ部での導光ロスを低減でき、システムの効率を向上できるとともにコーナ部がコンパクトになる。
【0054】
請求項5記載の光ファイバ照明システムによれば、請求項4と同様な効果のほか、最も導光効率が良くかつコンパクトな構造となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の光ファイバのコーナ部を断面にした概略平面図である。
【図2】(a)は第2の実施の形態の光ファイバのコーナ部を断面にした概略平面図、(b)は境界面の光の屈折を説明する説明図である。
【図3】第3の実施の形態の光ファイバのコーナ部を断面にした概略平面図である。
【図4】第4の実施の形態の光ファイバの概略平面図である。
【図5】(a)は第5の実施の形態の光ファイバの概略平面図、(b)はコーナ部外側半径Rに対する導光効率を示すグラフである。
【図6】第6の実施の形態の光ファイバのコーナ部を断面にした概略平面図である。
【図7】第7の実施の形態の光ファイバのコーナ部を断面にした概略平面図である。
【図8】第8の実施の形態の光ファイバのコーナ部を断面にした概略平面図である。
【図9】第9の実施の形態の光ファイバのコーナ部を断面にした概略平面図である。
【図10】(a)は従来例の光ファイバの概略平面図、(b)はその端面図、(c)は境界面の光の屈折を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 コア
2 クラッド
3 光ファイバ
6 略直線部
7 導光体
8 媒体
9 コーナ部
14 保護・形状保持手段であるカバー

Claims (5)

  1. 中実のコアの周囲に前記コアより屈折率の小さいクラッドを設けた光ファイバの一端部から導入した光源からの光を、前記光ファイバ内の全反射により他端部へ導き、光を出射する光ファイバ照明システムにおいて、
    導光方向を変える前記光ファイバのコーナ部は、前記光ファイバのクラッドを除去して前記コアを露出することにより形成され、
    前記コーナ部は前記コアを保護し、かつ前記コーナ部の形状を保持する保護・形状保持手段で覆われ、
    前記保護・形状保持手段は、前記コーナ部を覆うように設けられたカバーと、前記カバーの両端を前記光ファイバに固定する固定手段と、前記カバー内に設けられて前記コーナ部の内周側を先端で支持する突起手段とを有することを特徴とする光ファイバ照明システム。
  2. 突起手段とコーナ部の内側との間に低屈折率部材を設けた請求項1記載の光ファイバ照明システム。
  3. 中実のコアの周囲に前記コアより屈折率の小さいクラッドを設けた光ファイバの一端部から導入した光源からの光を、前記光ファイバ内の全反射により他端部へ導き、光を出射する光ファイバ照明システムにおいて、
    導光方向を変える前記光ファイバのコーナ部は、少なくとも光学的に前記光ファイバの略直線状部の端部で前記コアと接続された導光体を、この導光体および前記光ファイバのクラッドより低屈折率の媒体でほぼ覆ったものであり、
    前記コーナ部の前記導光体は、前記光ファイバとは別体に形成され、
    前記コーナ部は前記導光体を保護し、かつ形状を保持する保護・形状保持手段で覆い、
    前記保護・形状保持手段は、前記コーナ部を覆うように設けられたカバーと、前記カバーの両端を前記光ファイバに固定する固定手段と、前記カバー内に設けられて前記コーナ部の内周側および外周側に先端が接触して保持する突起手段とを有することを特徴とする光ファイバ照明システム。
  4. 前記コーナ部の前記導光体が略孤状をなしている請求項1、請求項2または請求項3記載の光ファイバ照明システム。
  5. 前記コーナ部の前記導光体が、その外周側の半径がRの略円弧状に形成され、前記光ファイバの直径φであるとき、R/φ≧2.5である請求項4記載の光ファイバ照明システム。
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