JP3745542B2 - アレー状結像素子及びその作成方法 - Google Patents

アレー状結像素子及びその作成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えばプリンタ等のレンズ系を構成するアレー状結像素子及びその作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ等のレンズ系を構成するアレー状結像素子は小型で解像度の良好なものが要望させる。例えば特公平5−53245号公報に示された導光レンズアレイは、図8に示すように、一定角度で交差した物体面81と像面82と、物体面81と像面82に対して鋭角をなして物体面81と像面82の端辺を接続するダッハ面83を有する透明柱状体80を有する。この透明柱状体80の物体面81と像面82にはそれぞれ複数の物体側レンズ84と像側レンズ85が設けられている。この複数の物体側レンズ84と像側レンズ85は、その中心を結ぶ線が柱状体80の軸方向に平行で、レンズ中心間ピッチはレンズ直径より小さくなるように並列に配置してある。ダッハ面83は各物体側レンズ84の中心に対応する位置に柱状体80の中心軸に垂直な稜線を外側に有し、物体側レンズ84よりの入射光が一方の面に入り反射して他方の面に入り像面側レンズ85の方向に反射するように屋根形状に形成されている。そして物体側レンズ84間と屋根形状をしたダッハ面83間には切欠き溝86を形成している。
【0003】
この導光レンズアレイの物体側レンズ84より入射した光は屋根形状のダッハ面83の2面でそれぞれ反射して像側レンズ85を通り出射する。この像側レンズ85から出射する光はダッハ面83の2面でそれぞれ反射するから、物体側レンズ84に入射した像と同じ像、すなわち正立等倍像が出射する。この物体側レンズ84に入射した光を反射して像側レンズ85から出射するときに、物体側レンズ84間と屋根形状をしたダッハ面83間に設けた切欠き溝86により隣接するレンズ間の遮光をして、フレアや迷光が起こることを防いで解像度を高めるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように物体側レンズ84間とダッハ面83間に設けた切欠き溝86により隣接するレンズ間の遮光をしていると、物体側レンズ83間とダッハ面83間を支える部分が柱状体の一部のみであり、構造的に長手方向の強度が弱くなり変形が生じ易いという短所がある。また、柱状体が変形すると解像度も低下してしまう。
【0005】
この発明はかかる短所を改善し、強度が強く解像度の低下を防止することができるアレー状結像素子とその作成方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るアレー状結像素子は、複数の光学素子(2)と2個の支持部材(3),(4)を有し、各光学素子(2)は透明な光学材料からなり、ほぼ半円柱状に形成され、天頂の平面(5)を挟んだ曲面からなる2つの屈折面(6),(7)と側面(8),(9)及び側面(8),(9)の端辺を接続する2つの反射面(10),(11)を有し、2つの反射面(10),(11)は互いに直交又は直角に近い角度で交差し、2個の支持部材(3),(4)は、一定微小間隔をおいてアレー状に配列した複数の光学素子(2)の反射面(10),(11)の両端辺を連結する平面(12),(13)を固定するとともに、上記各光学素子(2)の天頂の平面(5)を支持部材(17)で固定して一体化したことを特徴とする。
【0008】
また、上記一定微小間隔をおいてアレー状に配列した複数の光学素子(2)の間を遮光部材(14)で封止したり、光学素子の両側面(8),(9)に遮光層(15)を設けると良い。さらに、光学素子(2)の両側面(8),(9)に遮光層(15)を設けるとともに各光学素子(2)の両側面(8),(9)の遮光層(15)の間を封止部材(16)で封止すると良い。
【0009】
上記アレー状結像素子の作成方法は、各光学素子(2)を連続した形状の光学素子母材として支持部材と一体的に成形し、成形した光学素子母材を一定微小間隔毎に除去して各光学素子(2)を形成することを特徴とする。また、成形した光学素子母材の一定微小間隔毎に除去した部分に遮光材を充填することが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明のアレー状結像素子は、複数の光学素子(2)と2個の支持部材を有する。各光学素子(2)は透明な光学材料によりほぼ半円柱状に形成され、天頂の平面(5)を挟んだ曲面からなる2つの屈折面(6),(7)と側面(8),(9)及び側面の端辺を接続する2つの反射面(10),(11)を有し、2つの反射面(10),(11)は互いに直交あるいは直角に近い角度で交差している。2個の支持部材(3),(4)は一定微小間隔をおいてアレー状に配列した複数の光学素子(2)の反射面(10),(11)の両端辺を連結する平面(12),(13)を固定して一体化して、アレー状結像素子の長手方向の強度を高め、アレー状結像素子の変形を防止する。
【0011】
【実施例】
図1はこの発明の一実施例の構成を示す斜視図である。図に示すように、アレー状結像素子1は複数の光学素子2と支持部材3,4を有する。光学素子2は透明な光学材料からなり、図2の斜視図に示すように、ほぼ半円柱状に形成され天頂の平面5を挟んだ曲面からなる2つの屈折面6,7と側面8,9及び側面8,9の端辺を接続する2つの反射面10,11を有する。屈折面6,7は球面又は非球面で凸レンズ面を形成して光線を収束する。側面8,9は光学材料と空気層の境界面を構成し、光学的には透過あるいは散乱面としてだけ機能する。2つの反射面10,11は、図3の側面図に示すように、互いに直交又は直角に近い角度で交差した平面又は曲面、望ましくは平面からなる。この光学素子2は、物体Aから一方の屈折面6に入射した光を反射面10,11で2回反射して他方の屈折面7から出射させて像Bを結像し、いわゆる正立結像素子を構成している。この屈折面6,7は光軸に対して対称であることが望ましいが必ずしも対称でなくてもよい。また、屈折面6,7の光軸は反射面10,11の交線上にくるようにすることが望ましい。さらに、屈折面6,7が反射面10,11に対して同じ距離にあり,かつ同じ曲率あるいは形状を持つ場合、光学素子2は等倍正立結像素子を構成することができる。
【0012】
上記のように構成した光学素子2の多数個を、図1に示すように、一定微小間隔をおいてアレー状に配列し、反射面10,11の両端辺を連結する平面12,13を長方形の柱状又は半円柱状の支持部材3,4で固定して一体化してアレー状結像素子1を形成する。この光学素子2と支持部材3,4を一体化する方法としては、光学素子2と支持部材3,4を一体にして成形したり、光学素子2と支持部材3,4を別個に形成してから接着したり融着する等いずれの方法を採っても良い。光学素子2と支持部材3,4を一体にして成形する場合は、各光学素子2を連続した形状の光学素子母材として支持部材3,4と一体的に成形し、成形した光学素子母材の樹脂等の一部を一定微小間隔毎に除去して各光学素子2を形成することにより、均一な光学特性を有する多数の光学素子2を形成することができる。また、光学素子2と支持部材3,4を別個に形成する方法としては、合成樹脂やガラス材により成形したり、切削と研磨により形成する。
【0013】
上記のように形成したアレー状結像素子1で、物体Aからの光を光学素子2の物体側の屈折面6に入射し、反射面10,11で2回反射して像側の屈折面7から出射させて像Bを結像するときに、各光学素子2が一定微小間隔だけ隔てて配置されているから、各光学素子2に入射した光が隣接する光学素子2に入ることを防いでフレア光量を減少させ解像度を高めることができる。また、各光学素子2の両端部をそれぞれ支持部材3,4で支持しているから、アレー状結像素子1の長手方向の強度を高めることができ、アレー状結像素子1の変形を防止することができる。さらに、各光学素子2の反射面10,11の両端辺を連結する平面12,13を支持部材3,4で支持しているから、光学素子2の光学特性に影響を与えずに支持することができる。
【0014】
上記実施例は各光学素子2を一定微小間隔だけ隔てて配置した場合について説明したが、図4に示すように各光学素子2の間に遮光部材14を設けても良い。この遮光部材14は光学素子2とは異なる不透明な材質からなり、合成樹脂の充填や薄板状の固体材料を挿入して形成する。このように各光学素子2の間に遮光部材14を設けることにより、隣接する光学素子2の間の遮光を完全に行うことができ、フレア光量をより確実に減少することができるとともにアレー状結像素子1の長手方向の強度をより高めることができる。
【0015】
また、図5に示すように、各光学素子2の両側面8,9に遮光層15を形成しても良い。遮光層15は光学素子2の両側面8,9に金属膜等を蒸着したり、スクリーン印刷や塗布等により形成する。このように各光学素子2の両側面8,9に遮光層15を形成することにより、隣接する光学素子2の間の遮光を完全に行うことができる。さらに、各遮光層15の間を、図6に示すように、透明又は不透明の封止部材16で封止しても良い。この封止部材16を設けることにより、アレー状結像素子1の長手方向の強度をより高めることができる。
【0016】
上記実施例は各光学素子2の反射面10,11の両端辺を連結する平面12,13を支持部材3,4で支持している場合について説明したが、図7に示すように、各光学素子2の光学特性に影響を与えない天頂の平面5も支持部材17で支持し、各光学素子2を3個所で支持するようにしても良い。このように各光学素子2を3個所で支持することにより、アレー状結像素子1の強度をより高めることができ、アレー状結像素子1の変形を確実に防止することができる。
【0017】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、一定微小間隔だけ隔てて配置された複数の光学素子の両端部をそれぞれ支持部材で支持しているから、アレー状結像素子の長手方向の強度を高めて変形を防止することができる。また、各光学素子の反射面の両端辺を連結する平面を支持部材で支持しているから、光学素子の光学特性に影響を与えずに支持することができる。
【0018】
また、各光学素子の反射面の両端辺を連結する平面を支持部材で支持するとともに各光学素子の光学特性に影響を与えない天頂の平面も支持部材で支持して各光学素子を3個所で支持することにより、アレー状結像素子の強度をより高めることができ、アレー状結像素子の変形を確実に防止することができる。
【0019】
さらに、一定微小間隔だけ隔てて配置した各光学素子の間に遮光部材を設けることにより、隣接する光学素子の間の遮光を完全に行うことができ、フレア光量をより確実に減少することができるとともにアレー状結像素子の長手方向の強度をより高めることができる。
【0020】
また、各光学素子の両側面に遮光層を形成することにより、隣接する光学素子の間の遮光を完全に行うことができる。さ
【0021】
さらに、各光学素子の両側面に形成した遮光層の間を封止部材で封止することにより、アレー状結像素子の長手方向の強度をより高めることができる。
【0022】
また、各光学素子を連続した形状の光学素子母材として支持部材と一体的に成形し、成形した光学素子母材の樹脂等の一部を一定微小間隔毎に除去して各光学素子を形成することにより、均一な光学特性を有する多数の光学素子を簡単に形成することができるとともに、アレー状光学素子の強度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の構成を示す斜視図である。
【図2】上記実施例の光学素子の構成を示す斜視図である。
【図3】光学素子の側面図である。
【図4】第2の実施例の構成を示す側面図である。
【図5】第3の実施例の構成を示す側面図である。
【図6】第4の実施例の構成を示す側面図である。
【図7】第5の実施例の構成を示す斜視図である。
【図8】従来例の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 アレー状結像素子
2 光学素子
3,4,17 支持部材
5 平面
6,7 屈折面
8,9 側面
10,11 反射面
14 遮光部材
15 遮光層
16 封止部材

Claims (6)

  1. 複数の光学素子(2)と2個の支持部材(3),(4)を有し、
    各光学素子(2)は透明な光学材料からなり、ほぼ半円柱状に形成され、天頂の平面(5)を挟んだ曲面からなる2つの屈折面(6),(7)と側面(8),(9)及び側面(8),(9)の端辺を接続する2つの反射面(10),(11)を有し、2つの反射面(10),(11)は互いに直交又は直角に近い角度で交差し、
    2個の支持部材(3),(4)は、一定微小間隔をおいてアレー状に配列した複数の光学素子(2)の反射面(10),(11)の両端辺を連結する平面(12),(13)を固定するとともに、上記各光学素子(2)の天頂の平面(5)を支持部材(17)で固定して一体化したことを特徴とするアレー状結像素子。
  2. 上記一定微小間隔をおいてアレー状に配列した複数の光学素子(2)の間を遮光部材(14)で封止した請求項1記載のアレー状結像素子。
  3. 上記光学素子(2)の両側面(8),(9)に遮光層(15)を設けた請求項1記載のアレー状結像素子。
  4. 上記各光学素子(2)の両側面(8),(9)の遮光層(15)の間を封止部材(16)で封止した請求項3記載のアレー状結像素子。
  5. 透明な光学材料からなり、ほぼ半円柱状に形成され、天頂の平面(5)を挟んだ曲面からなる2つの屈折面(6),(7)と側面(8),(9)及び側面(8),(9)の端辺を接続する2つの反射面(10),(11)を有し、2つの反射面(10),(11)は互いに直交又は直角に近い角度で交差した光学素子(2)を一定微小間隔をおいてアレー状に配列し、各光学素子(2)の反射面(10),(11)の両端辺を連結する平面(12),(13)を支持部材(3),(4)で固定するとともに各光学素子(2)の天頂の平面(5)を支持部材(17)で固定したアレー状結像素子(1)を作成する方法であって、
    各光学素子(2)を連続した形状の光学素子母材として支持部材と一体的に成形し、成形した光学素子母材を一定微小間隔毎に除去して各光学素子(2)を形成することを特徴とするアレー状光学素子の作成方法。
  6. 上記成形した光学素子母材の一定微小間隔毎に除去した部分に遮光材を充填する請求項5記載のアレー状光学素子の作成方法。
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