JP3771941B2 - 低損失フェライトの製造方法及び低損失フェライト - Google Patents

低損失フェライトの製造方法及び低損失フェライト Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、スイッチング電源のトランスやテレビジョン受像機のフライバックトランス等に用いられる低損失フェライトの製造法及びその製造法によって得られる低損失フェライトに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スイッチング電源やテレビジョン受像機等においては、スイッチング周波数として10〜100kHz程度、最大磁束密度として200mT以下程度が想定されており、これに対応する低損失フェライトとしてMn−Zn系フェライトが多用されている。
【0003】
Mn−Zn系フェライトは、酸化鉄(Fe)、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化マンガン(MnO)を主たる出発原料とし、これら出発原料を混合、仮焼成、粉砕・造粒、プレス成形、本焼成することにより製造されるものであり、高周波用磁心として優れた特性を発揮する。
【0004】
ところで、低損失フェライトの製造に際しては、安価な市場価格に対応すべく、一度に大量に処理できる連続焼成炉で本焼成を行うのが一般的である。連続焼成炉は、オープン型の炉であり、仮焼成後の造粒・成形工程で添加されたバインダー、一般的にはポリビニルアルコールの分解を促進するためにある程度の酸素分圧が必要であることから、通常は本焼成工程の昇温部の酸素分圧を10%以上としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように本焼成工程の昇温部の酸素分圧を10%以上として作製された低損失フェライトは、密度が小さく、スイッチング周波数が100kHz以上あるいは最大磁束密度が200mT以上にもなるトランスにそのまま使用すると、低損失化が不十分で、発熱や効率の点で問題が生ずることが判明した。
【0006】
近年、スイッチング電源やテレビジョン受像機の内部回路等を小型化、軽量化するため、あるいは高品位化(HDTV化)のために、スイッチング周波数100kHz以上の高周波域で使用したり、最大磁束密度200mT以上で使用する傾向にあり、前記問題はこれら小型化、軽量化、高品位化を図る上で大きな障害となる。
【0007】
フェライトの高密度化技術としては、熱間静水圧プレス、いわゆるHIP処理が知られているが、トランス材料は安価であることが要求されており、かかる技術を工業的に用いることは非常に困難である。
【0008】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑みて提案されたものであって、安価に製造することができ、しかも優れた低損失特性を有する低損失フェライトを得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、高周波化、高磁束密度化に対応し得る低損失フェライトを製造することを可能とする製造方法を提供し、この製造法により得られた低損失フェライトを用いることにより、スイッチング電源やテレビジョン受像機の内部回路等の小型化、軽量化を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の目的を達成すべく長期に亘り鋭意研究を重ねた。その結果、本焼成工程での酸素分圧のコントロールが重要で、特にバインダー分解後の酸素分圧が得られる低損失フェライトの密度や特性に大きく影響を与えるとの知見を得るに至った。
【0011】
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化マンガンを主体とする出発原料を仮焼成した後、バインダーを添加して成形し本焼成するに際し、前記バインダーの分解温度までの昇温時は酸素分圧を10%以上とし、前記バインダー分解温度から最高到達温度に至るまでの昇温時は、酸素分圧を0.1〜1%としたものである。
【0012】
この製造法によって得られる低損失フェライトは、本焼成した状態での密度が4.9×10kg/m以上とされたものである。
【0013】
本発明に係る製造方法は、Fe、ZnO、MnOを主たる出発原料とし、各出発原料を秤量、混合し、仮焼成を行った後、粉砕する。しかる後、適当な大きさに造粒し、プレス等の手法によって任意の形状に成形した後、本焼成を行う。
【0014】
本焼成工程においては、成形のために添加されたバインダーを分解し脱バインダー化を図るためにバインダー分解温度まで昇温した後、昇温操作を経て本焼成温度(最高到達温度。1250℃〜1350℃が好ましい。)へと至る。そして、バインダー分解温度に至るまではある程度の酸素分圧が必要で、従来、その後の昇温操作時、さらには本焼成温度に至るまで、前記酸素分圧を変更することはない。
【0015】
バインダー分解後の昇温時の酸素分圧を大きくすると、フェライト内部に空孔が多く残り密度が低下することから、本発明ではバインダー分解温度から最高到達温度(本焼成温度)に至る昇温時のみの酸素分圧を0.1〜1%に抑える。これにより、例えばHIP処理等を施さなくとも、密度が高く損失の少ないMn−Znフェライトを得ることができる。
【0016】
本発明においては、バインダー分解温度以上となったときに酸素分圧を制御して0.1〜1%とするが、ここでバインダー分解温度は、バインダーの種類によって異なる。そこで、バインダー分解温度は、熱重量分析法(TGA法)によって測定される値とする。すなわち、バインダー単体で見たときには、バインダーに熱を加え、そのときの重量変化を見て、重量が零になったときの温度がバインダー分解温度である。
【0017】
実際にはフェライト粉末の中にバインダーを混ぜて用いることから、バインダーを添加したフェライト粉末に熱を加え、そのときの重量変化を見る必要がある。この場合は、重量変化が見られなくなった、すなわち、重量が減らなくなった温度がバインダー分解温度ということになる。
【0018】
但し、熱重量分析法では、加熱速度、酸素分圧、試料の充填状態、バインダーの分子量等により値に影響が生ずるので注意を要する。そこで、例えばバインダーがポリビニルアルコールの場合、単体で見たときには500℃よりも低い温度で分解が終了しており、実際の試料でも600℃よりも低い温度で分解が終了していると考えられるので、ここでは600℃をポリビニルアルコールのバインダー分解温度とする。
【0019】
また、製造に際しては、主成分であるFe、ZnO、MnOの組成範囲は軟磁気特性を有する組成に限定され、例えばFe50〜60モル%、ZnO5〜15モル%、残部MnOとされる。特に、ZnOに関して言えば、大振幅励磁されるため高飽和磁束密度が望まれることから、5〜15モル%とすることが好ましい。
【0020】
出発原料は、Feの場合、塩化鉄系、硫酸鉄系等、如何なるものであってもよいが、価格や諸特性等の観点からは塩化鉄を経て合成される塩化鉄系の酸化鉄(α−Fe)が好ましい。但し、塩化鉄系の酸化鉄は、塩素イオンを多量に含有しており、この塩素イオンが得られるフェライトの密度を低下する原因となるので、塩素イオン含有量を1000ppm以下として出発原料に使用するのが好ましい。
【0021】
前記主成分の他、必要に応じて副成分を添加することも任意である。添加する副成分の種類も任意であり、例えば、CaO、SiO、ZrO、SnO、TiO、Ta、Al、Ga、In等が挙げられる。
【0022】
【作用】
密度の低いフェライトにおいては、フェライト内部の空孔が多く、この空孔が飽和磁束密度Bsを低下させ、これら空孔により磁壁がピンニングされるため、透磁率μの低下や保磁力Hcの増大を招く。さらには、ある磁束密度で励磁したときに、磁性体の磁束密度は密度が低いほど高くなるため、損失特性が劣化するものと考えられる。
【0023】
本発明方法により得られる低損失フェライトは、焼成炉により本焼成した状態での密度を4.9×10kg/m以上と高いものとすることにより、諸特性が向上されるとともに損失が低減される。
【0024】
本発明方法においては、昇温部での酸素分圧を低いレベル(1%以下)にコントロールすることで、得られるフェライトの密度を高められる。このように昇温部での酸素分圧を下げることにより密度が高くなる理由については、その詳細は不明である。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を適用した実施例について、具体的な実験結果をもとに詳細に説明する。
【0026】
先ず、Fe(53.0モル%)、ZnO(10.0モル%)、MnO(37.0モル%)を主成分とし、副成分としてSiO(0.02モル%)、CaO(0.15モル%)、ZrO(0.05モル%)、TiO(0.1モル%)を添加し、これら出発原料を前記比率になるように秤量した後、ボールミルを用いて12時間混合した。
【0027】
次に、これを空気中、1000℃で3時間、仮焼成した。これは、主に混合原料粒子間の固体反応過程である。しかる後、ボールミルにて12時間粉砕し、ポリビニルアルコールを添加して造粒した。
【0028】
次いで、これを120MPaの圧力下で外径30mm、内径20mm、厚さ5mmにプレス成形した後、表1に示すように昇温部の酸素分圧を変えて昇温し、さらに酸素分圧3%の雰囲気下、1280℃で4時間焼成(本焼成)して密度の異なる低損失Mn−Znフェライトを得た。
【0029】
【表1】
Figure 0003771941
【0030】
得られた各Mn−Znフェライトについて、密度dを測定し、さらに90℃、最大磁束密度200mT、周波数100kHzでの損失Pc及び室温での交流初透磁率μiac 、飽和磁束密度Bsを測定した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
Figure 0003771941
【0032】
なお、密度及び磁気特性の測定方法は次の通りである。
密度d :JIS C2561 フェライト磁心の材質性能試験方法7.8見掛密度の項において規定される方法のうち、7.8.1液中でひょう量する方法に準じて測定した。
【0033】
損失Pc :電子材料工業会標準規格 パワー用フェライト磁心の試験方法(EMAS−5003) 「2.1コアロスの測定」において規定される波形記憶装置法に準じて測定した。
【0034】
飽和磁束密度Bs :電子材料工業会標準規格 パワー用フェライト磁心の試験方法(EMAS−5003)「2.4直流B−H特性の測定」において規定される自記磁束計法」(JIS C2561参照)により測定した。印加磁界は800A/m(=10Oe)である。
【0035】
交流初透磁率μiac :JIS C2561 フェライト磁心の材質性能試験方法7.2.1交流初透磁率の項において規定される巻線式測定法に準じて測定した。測定はベクトルインピーダンスメータを用いて行い、測定周波数は100kHz、交流磁界の強さは0.2A/mである。
【0036】
前記表2より、密度を高くして行くにつれ損失Pcが改善されて行くのがわかる。特に密度が4.95×10kg/mの試料1(実施例に相当)では、密度が4.75×10kg/mの試料5(比較例に相当)に比べ、約15%損失が小さくなっている。また、表1と表2より、昇温部の酸素分圧を下げるのに伴って密度が上がり、得られるフェライトの密度が4.9×10kg/m以上になるのは、昇温時の酸素分圧が1%以下のときであることがわかる。
【0037】
なお、その他の特性についても、密度を挙げることで改善されている。
【0038】
【発明の効果】
上述したように、本発明方法によれば、いわゆるHIP処理等を施さなくとも密度の高い低損失フェライトを得ることができ、高性能の低損失フェライトを安価に提供することが可能である。
【0039】
本発明方法によって得られる低損失フェライトは、本焼成した状態での密度を高いものとしているので、スイッチング電源のトランスやテレビジョン受像機のフライバックトランス用材料として求められる諸特性を満足せしめるとともに、更なる低損失化を図ることが可能である。この低損失フェライトを、高周波対応、高磁束密度対応トランス用材料として使用することにより、スイッチング電源やテレビジョン受像機の内部回路の小型化、軽量化を図ることが可能である。また、その優れた低損失特性により、いわゆるHDTVのフライバックトランス用材料として使用することも可能である。

Claims (2)

  1. 酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化マンガンを主体とする出発原料を仮焼成した後、バインダーを添加して成形し本焼成するに際し、前記バインダーの分解温度までの昇温時は酸素分圧を10%以上とし、前記バインダー分解温度から最高到達温度に至るまでの昇温時は、酸素分圧を0.1〜1%とすることを特徴とする低損失フェライトの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により製造され、本焼成した状態での密度が4.95×10kg/m以上であることを特徴とする低損失フェライト。
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