JP3771059B2 - カード供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カード供給装置に関する。更に詳述すると、本発明は複数のカードスタッカを有するカード供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のカード供給装置は、多数のカードを積み重ねるようにしてストックしておくカードスタッカにカードを送り出す機構を設けていた。また、複数のカードスタッカを備えたカード供給装置として、カードを送り出すローラの上にカードスタッカを順番に移動させ、1つのカードスタッカ内のカードが全て送り出されて空になると次のカードスタッカをカード送り出しローラの上に移動させ、同種類のカードを多量に取り扱うことが出来るようにしたものが知られている(特開平3−294985号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カードスタッカにカード送り出し機構を設けたカード供給装置では、複数種類のカードを取り扱うために複数のカードスタッカを設置すると、同時には使用することがないカード送り出し機構を重複して設置することになり、構造が複雑になると共に装置が大型化し、また、製造コストの増加の原因にもなっていた。また、一列に並んだ複数のカードスタッカを順番に移動させて同種類のカードを多量に取り扱うことが出来るようにしたカード供給装置では、各カードスタッカに同種のカードをストックしておく必要があり、複数のカードスタッカを有しているのに異なる種類のカードを一緒に取り扱うことができなかった。
【0004】
本発明は、複数の種類のカードを一緒に取り扱うことができ、しかも小型で製造コストの安いカード供給装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載のカード供給装置は、多数のカードを積み重ねてストックするとともに端部にカード供給部が形成されたカードスタッカを複数所定の位置に配列したカードスタッカ部と、複数のカードスタッカのカード供給部の間を移動可能に設けられたカード取り出し移動機構とを備え、複数のカードスタッカは、カード供給部が同一平面上に同一方向にカードが取り出されるように並んで配列されており、カード取り出し移動機構は、複数のカードスタッカ間を移動するカード保持部と、カードスタッカに形成されたカード供給部からカードを取り出すカード取出部と、カード保持部とカード取出部とをカードスタッカより離間した位置でカードスタッカの配列方向に移動させるX軸移動機構と、カード取出部をそれぞれのカードスタッカのカード供給部よりカードを取り出すように移動するY軸移動機構とを備え、カード保持部は、カードを仮保持する仮保持位置とカードを強圧保持する強圧位置とを移動可能なカード保持部材を有し、Y軸移動機構によるY軸方向への移動時にカード保持部材が仮保持位置になり、X軸移動機構によるX軸方向への移動時にカード保持部材が強圧位置となるように設定されたものである。
【0006】
したがって、カード取り出し移動機構のカード保持部は、カードスタッカ部の任意のカードスタッカの前の位置まで移動する。この位置ではカード取出部がカード供給部に対向しており、カード取出部はカードスタッカからカードを取り出すことができる。即ち、複数のカードスタッカの中から任意のカードスタッカを選択してカードを取り出すことが出来る。各カードスタッカ内に異なった種類のカードをストックした場合には、任意のカードを選択して取り出すことができ、異なった種類のカードを一緒に取り扱うことが可能になる。また、各カードスタッカ内に同じ種類のカードをストックした場合には、カードの補充をしなくても同じ種類のカードを多量に取り扱うことができる。各カードスタッカ内のカードは全て共通のカード取り出し移動機構によって取り扱われる。
【0008】
また、X軸移動機構を作動させてカード保持部とカード取出部をカードスタッカ部の任意のカードスタッカに対向する位置まで移動させた後、Y軸移動機構を作動させてカード取出部を移動させると、カードスタッカのカード供給部からカードを取り出すことが出来る。そして、さらにY軸移動機構を作動させてカード取出部をカードスタッカから離間させた後、再度X軸移動機構を作動させてカードを搬送する。搬送終了後、X軸移動機構は次にカードを取り出すカードスタッカに対向する位置までカード保持部とカード取出部を移動させて上述の動作を繰り返す。この場合、各カード供給部は同一平面上に並んでいるので、X軸移動機構はカード保持部とカード取出部を水平に移動させれば良い。更に、カード保持部材が仮保持位置に移動すると、カードを小さな力で保持するのでカード取出部からのカードの受け渡しが可能になる。また、カード保持部材が強圧位置に移動すると、カードをしっかりと保持するのでカードの搬送が可能になる。
【0009】
また、請求項2記載のカード供給装置は、Y軸移動機構は、X軸移動機構によりX軸方向に移動可能に取り付けられたものである。したがって、各カードスタッカに対して共通のY軸移動機構を使用することができ、各カードスタッカ毎にY軸移動機構を設ける必要が無くなる。
【0011】
さらに、X軸移動機構によるX軸方向への移動線上にカードの搬送を行う搬送部とカードへの記録を行う記録部が設けられたカードリーダ部が配置されたものである。したがって、X軸移動機構がカード保持部とカード取出部をカードリーダ部に向けて移動させると、カードスタッカより取り出したカードをカードリーダ部に搬送することが出来る。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1〜図4に、本発明を適用したカード供給装置の実施形態の一例を示す。なお、このカード供給装置は、例えばカード発行装置に組み込まれている。カード発行装置は、例えばカードスタッカ部1、カード取り出し移動機構2、カードリーダ部3、カード廃券受け部4、インデント/エンボス機構5、トッパー機構6、制御部7を備えて構成されており、これらのうちカード供給装置は例えばカードスタッカ部1、カード取り出し移動機構2、カードリーダ部3より構成されている。
【0014】
カードスタッカ部1は、多数のカードを積み重ねてストックするとともに端部にカード供給部8が形成されたカードスタッカ9を複数所定の位置に配列して構成されている。本実施形態では、例えば4個のカードスタッカ9を備えており、各カードスタッカ9はカード供給部8が同一平面上に同一方向にカードが取り出されるように並んで配列されている。各カードスタッカ9には異なる種類のカードをストックしても良く、また全てのカードスタッカ9に同種類のカードをストックしても良い。各カードスタッカ9のカード供給部8は、カードスタッカ9の下部に形成されている。即ち、各カードスタッカ9は上からカードを補充するタイプのものである。各カード供給部8は、図5に示すように各カードスタッカ9の内側(インデント/エンボス機構5側)の側壁9aに設けられた凸部10とカード受けブロック13の内側凸部11とで構成されており、凸部10と内側凸部11との間にはカード1枚分の厚さよりも大きく且つカード2枚分の厚さよりも小さい隙間が形成されている。したがって、カード14は2枚以上同時にカード供給部8を通り抜けることがなく、各カードスタッカ9内のカード14は1枚ずつ取り出される。
【0015】
各カードスタッカ9の側壁9a〜9dの上部は、漏斗状に広がっている。ここで、カード発行装置の外側(インデント/エンボス機構5と反対側)に位置する側壁9bとカード発行装置の長手方向両側の側壁9cについては単に上部を外側に折り曲げることで漏斗状に広げることができるが、隣のカードスタッカ9に並んで配置されている側壁9d同士については折り曲げた部分の干渉を防止する必要がある。このため、図6及び図7に示すように隣のカードスタッカ9に並んで配置されている側壁9dの上部は、隣り合う側壁9dと互い違いになるように切り欠かれており、当該切り欠き部15に隣の側壁9dの上部を折り曲げるようにしている。この様に上部を互い違いに折り曲げることで隣り合う2枚の側壁9dを近づけて配置することができ、各カードスタッカ9をコンパクトに配置することができる。また、各カードスタッカ9の側壁9a〜9dの上部を漏斗状に広げることで、各カードスタッカ9へのカード14の補充が容易になる。
【0016】
各カードスタッカ9の下部、即ちカード14が積み重ねられた側とは反対側には、カード受け部16が設けられている。このカード受け部16は、カード送り出し方向の前後位置の3カ所でカード14を受けるように構成されたもので、本実施形態では図8に示すように、各カードスタッカ9の外側の側壁9bの下端に固定されたカード受けブロック13の内側凸部11及び外側凸部12と、外側の側壁9bの下端に取り付けられた凸部17より構成されている。カード受けブロック13は、例えばアルミ製ブロックの上面を削って各凸部11,12,17を形成したものである。このように各カードスタッカ9の内側の1カ所(凸部11)と外側の2カ所(凸部12,17)、即ちカード送り出し方向の前後位置の3カ所であってカード14の前端及び後端の2カ所でカード14を受けることでカード14が湾曲していても内側凸部11がカード14の内側縁を確実に支持することになり、送り出されるカード14をカード供給部8の隙間に確実に通過させることができる。なお、図8の符号18はカード14のIC接点を検出するセンサで、カード14の裏面側からカード14の表面に設けられているIC接点を検出することでカード14の向きが適切か否かを検出する。また、符号19はカード14の有無を検出するセンサである。これら各センサ18,19は、各カードスタッカ9の側壁9a〜9dの下端に取り付けられている。
【0017】
カード取り出し移動機構2は、複数のカードスタッカ9のカード供給部8の間を移動可能に設けられており、各カードスタッカ9のカード供給部8からカード14を取り出す(送り出す)ものである。このカード取り出し移動機構2は、カード保持部20、カード取出部21、X軸移動機構22、Y軸移動機構23を備えて構成されている。
【0018】
X軸移動機構(カード移動機構)22は、カード保持部20とカード取出部21とをカードスタッカ9より離間した位置でカードスタッカ9の配列方向に移動させるもので、図9に示すように、X軸駆動モータ24の回転がX軸駆動ベルト25に伝えられ、このX軸駆動ベルト25に連結されたカード保持部20のキャリッジ26を2本のX方向ガイド軸27,28に沿って移動させる。
【0019】
カード保持部20は各カードスタッカ9間を移動するもので、図10に示すように、X軸移動機構22の2本のX方向ガイド軸27,28に沿って移動するキャリッジ26と、カード14を仮保持する仮保持位置(図11の実線P1位置)とカード14を強圧保持する強圧位置(図11の2点鎖線P2位置)との間を移動可能なカード保持部材29を有している。このカード保持部材29は、X軸移動機構22によるX軸方向への移動時に強圧位置P2になるように設定されている。即ち、強圧位置P2はカード保持部材29及びカード取出部21がカードスタッカ9から離れる位置であり、この強圧位置P2までカード保持部材29が移動した場合にX軸移動機構22を作動し、カードを搬送する。
【0020】
キャリッジ26には、Y軸移動機構23の2本のY方向ガイド軸30が取り付けられている。これら2本のY方向ガイド軸30に案内されてカード保持部材29は仮保持位置P1と強圧位置P2との間を移動する。また、キャリッジ26の上面には、図11に示すように、カード保持部材29を駆動するカム溝31が形成されている。即ち、カード保持部材29が2本のY方向ガイド軸30に沿って移動すると、カム溝31内を移動するローラ32が取り付けられたL字型レバー33が回転して操作レバー34を移動させ、カード押圧レバー35の下端を操作する。カード押圧レバー35の先端は、図12に示すように、コイルスプリング36を介して中間レバー37を押圧し、この中間レバー37はカード保持レバー38を押圧する。つまり、カード保持部材29が仮保持位置P1から強圧位置P2に移動すると、L字型レバー33はその先端部が操作レバー34とほぼ一直線上に位置するように回転するので、操作レバー34はカード押圧レバー35の下端を押し出す。これにより、カード押圧レバー35の先端はコイルスプリング36を介して中間レバー37を押し下げ、カード保持レバー38の先端に取り付けられた上側カード保持ブロック39を下側カード保持ブロック40に押し付ける。この状態では、図11に二点鎖線で示すようにL字型レバー33の先端部と操作レバー34とがほぼ一直線上に位置しているのでいわゆるトグルクランプ状態となり、各カード保持ブロック39,40間を広げる方向に外力が作用した場合であっても各カード保持ブロック39,40間は広がり難く、各カード保持ブロック39,40でカード14をしっかりと挟持することができる。一方、カード保持部材29が強圧位置P2から仮保持位置P1に移動すると、L字型レバー33は操作レバー34を引き込むので、操作レバー34がカード押圧レバー35の下端を押し出す力が解除される。したがって、上側カード保持ブロック39を下側カード保持ブロック40に押し付ける力も解除される。この状態では、各カード保持ブロック39,40によりカード14をしっかり挟持することはできないが、各カード保持ブロック39,40の両側に設けられている板ばね41によって比較的軽い力でカード14を挟持する。即ち、カード14を仮保持することができる。
【0021】
なお、図13に示すように、各カード保持ブロック39,40の表面には、挟持するカード14を保護し且つカード14の滑りを防止するためにゴム板42が貼り付けられている(図13には下側カード保持ブロック40のみ図示)。また、各カード保持ブロック39,40の表面の両端近傍は膨らんでおり、カード14を2点で保持する構造になっている。
【0022】
カード取出部21は、各カードスタッカ9に形成されたカード供給部8からカード14を取り出すカード送り出し機構である。なお、このカード送り出し機構は、カードスタッカ部1とともにカード送り出し装置を構成している。
【0023】
このカード取出部(カード送り出し機構)21は、駆動源であるY軸移動機構23のY軸駆動モータ43により往復移動される移動体44と、カード14の端面と係合するカード係合爪部45とを有している。移動体44は、カード保持部材29のカードスタッカ9側に配置され、カード保持部材29と同様にY軸移動機構23の2本のY方向ガイド軸30に案内されて移動する。ここで、図14に示すように、カード保持部材29はカードスタッカ9の下方を潜り抜けることは出来ないが、移動体44はカードスタッカ9の下方を潜り抜けることができ、カードスタッカ9の後方にまで移動することができる。カード係合爪部45は移動体44に対して上下方向に回動可能に支持されており、図15に示すように、カード14と係合する方向、即ち先端が上方に回動する方向にばね85によって付勢されている。したがって、カードスタッカ9の下方に潜り込む場合にはカード14の下面に押されてカード係合爪部45は下がり、一方、カード14を取り出す場合には持ち上がって爪45aをカード14の縁に引っかかることができる。また、カード14の湾曲に対して追従することもできる。なお、カード係合爪部45は移動体44の所定間隔をあけた2カ所に設けられており、2つのカード係合爪部45はカードスタッカ9の配列方向に、換言するとX方向ガイド軸27,28と平行になるように配置されている。なお、2つのカード係合部45の移動軌跡を図8に1点鎖線L2で示す。
【0024】
移動体44には、カード14を取り出す場合にカードスタッカ9内に残るカード14と当接するカード支持部46が設けられている。このカード支持部46は、カード係合爪部45が一番下のカード14を送り出している場合に下から二番目のカード14がカード係合爪部45に当たってこれを押し下げるのを防止する。このため、カード係合爪部45の爪45aが一番下のカード14から外れることがない。
【0025】
Y軸移動機構23はカード取出部21をそれぞれのカードスタッカ9のカード供給部8よりカード14を取り出すように移動するもので、Y軸移動機構23の2本のY方向ガイド軸30はX軸移動機構22によりX軸方向に移動可能なキャリッジ26に取り付けられている。Y軸移動機構23のY軸駆動モータ43の回転は、図3に示すようにベルト77を介してY駆動軸47のトッパー機構6側の端部に取り付けられたプーリ78に伝えられる。そして、プーリ78の回転はY駆動軸47に伝えられ、Y駆動軸47の回転は図10に示すようにY駆動タイミングプーリ48を介して当該Y駆動タイミングプーリ48とY従動プーリ49との間に掛け回されたY駆動ベルト50に伝えられる。Y駆動ベルト50にはカード取出部21の移動体44が連結されている。したがって、Y駆動ベルト50が回転すると、移動体44はY方向ガイド軸30に沿って移動する。このとき、カード保持部材29は図示しないスプリングによって常時カードスタッカ9側に向けて、即ち移動体44に向けて引っ張られている。このため、移動体44が図10に示す位置からカードスタッカ9に向けて移動すると、この移動体44と一体的に移動する。即ち、強圧位置P2から仮保持位置P1に向けて移動する。しかしながらカード保持部材29はカードスタッカ9を潜り抜けることはできないので、移動体44がカードスタッカ9を潜り抜けている場合には、図14に示すように、カードスタッカ9の側壁9aに押し付けられている。
【0026】
一方、Y駆動ベルトが上述の場合とは逆回転すると、移動体44は図14に示す位置からカード14を取り出しながらカード保持部材29に向けて移動する。取り出されたカード14はカード保持部材29の各カード保持ブロック39,40間に入り込み、板ばね41によって軽い力で挟まれ仮保持される。取り出されたカード14は移動体44がカード保持部材29に当たるまで板ばね41に対して摺動しながら各カード保持ブロック39,40間に入り込む。そして、移動体44がカードスタッカ9の下方を潜り抜けてカード保持部材29に当たると、移動体44はカード保持部材29を押し進めながら移動する。これにより、カード保持部材29は仮保持位置P1から強圧位置P2に移動し、各カード保持ブロック39,40でカード14をしっかりと挟持する。
【0027】
なお、Y駆動軸47の回転は、図4に示すように当該Y駆動軸47のカードリーダ部3側の端部の近傍に取り付けられたプーリ74を介してプーリ75に伝えられており、このプーリ75の回転角をセンサ76により検出することで、キャリッジ26に対するカード保持部材29及びカード取出部21の位置を検出することができる。また、Y駆動軸47はD形断面となっており、Y駆動タイミングプーリ48のD形状孔と嵌合し、回転力を伝達する構造となっている。このため、キャリッジ26がX方向へ移動しながら回転力を伝達できる。尚、D形軸をスプライン軸やピンと溝、ダブルD断面の軸としても同様の作用を得ることができる。
【0028】
カードリーダ部3は、カード取り出し移動機構2とカード受け渡し可能に構成され、受け渡されたカード14に所定の記録を行ってカード発行口51よりカード14を発行するもので、搬送部と記録部を備えて構成されている。搬送部はX軸移動機構22によるX軸方向への移動線上にカード14の搬送を行うもので、例えば三対のローラ52を有している。また、記録部はカード14への記録を行うもので、カード14の磁気ストライプに記録を行う磁気ヘッドや、カード14のIC接点に接触して記録を行うIC接点ブロックを有している。ここで、カードリーダ部3は、カード保持部材29の仮保持位置P1に対応する位置に設けられている。したがって、カードスタッカ9より送り出されたカード14がX軸移動機構22によってインデント/エンボス機構5やトッパー機構6の間を移動させられている場合には、カード保持部材29は強圧位置P2に移動しておりカード14は各カード保持ブロック39,40によってしっかりと挟持されているが、カード14をカードリーダ部3に払い出す場合には、カード保持部材29は仮保持位置P1に移動しておりカード14は各カード保持ブロック39,40の両側の板ばね41によって軽く仮保持されている。このため、カード14の先端がカードリーダ部3のローラ52間に挿入されると、カード14はカードリーダ部3内に引き込まれる。
【0029】
カード廃券受け部4は、図16及び図17に示すように、カードリーダ部3から不要なカード14を受け取る受取位置P3(図16の2点鎖線位置、図17に示す位置)とカード取り出し移動機構2のキャリッジ26が移動する軌跡から退避した退避位置P4(図16の実線で示す位置)との間を移動可能とされ、受部移動機構53によって受取位置P3と退避位置P4との間で移動させられる。
【0030】
具体的に説明すると、カード廃券受け部4は、カード発行装置のフレーム54に固定されたブラケット55と、このブラケット55に支軸56を介して回転自在に支持されているアーム57と、このアーム57の先端に固定された廃券箱58を備えて構成されている。アーム57は支軸56に固定されており、ブラケット55に対して支軸56及びアーム57が回動することで、廃券箱58は受取位置P3と退避位置P4との間を移動する。受取位置P3ではストッパゴム59がX方向ガイド軸27に度当たりし、位置決めされる。また、退避位置P4ではストッパゴム60がカード発行装置のフレーム54に度当たりし、位置決めされる。
【0031】
なお、退避位置P4はカード発行装置の廃券取出口61の近傍に配置されている。この退避位置P4では、図16に二点鎖線で示すように廃券箱58を倒しながら蓋58aを開けることで廃券箱58の中の廃券(カード14)を取り出すことができる。また、退避位置P4では、図示しないセンサにより廃券箱58内のカード14の有無を検出することができる。一方、受取位置P3の近傍には蓋ストッパ62を設けており、蓋58aの開きを防止している。
【0032】
受部移動機構53は、カード取り出し移動機構2によって駆動されるものであり、支軸56の一端に取り付けられたプーリ63と、ブラケット55に取り付けられたワイヤプーリ64と、選択駆動手段65が駆動したときにカード取り出し移動機構2のX軸移動機構22の駆動力をプーリ63に伝えるワイヤ66を備えて構成されている。
【0033】
選択駆動手段65は、例えば図18及び図19に示すようにソレノイドであり、このソレノイド65がオン操作されると、トリガーリンク67が引かれてピンレバー68の先端がX軸移動機構22のキャリッジ26に取り付けられているピン69の移動軌跡に侵入する(図19中二点鎖線位置)。この状態では、ピンレバー68の回転はスプリング70を変形させるだけでワイヤレバー71には伝わらない。したがって、ワイヤ66が引かれることはない。換言すると、ソレノイド65によってワイヤ66を引っ張る必要はないので、ソレノイド65を小型化できる。
【0034】
そして、ピンレバー68の先端がピン69の移動軌跡に侵入している状態で、X軸移動機構22が駆動されてキャリッジ26が移動すると、図20に示すように、ピンレバー68の先端にピン69が係合し、以降、キャリッジ26の移動に伴いピンレバー68が回動する。これにより、スプリング70がワイヤレバー71を回転させるので、ワイヤ66が引かれてアーム57が起立し廃券箱58を受取位置P3に移動させる。さらにキャリッジ26が移動し、ピン69がスプリング70を押すと、スプリング70の直線部が弾性変形して余分のストロークを吸収し、ワイヤ66に過度の張力を発生させないようになっている。即ち、選択駆動手段(ソレノイド)65を駆動したときに受部移動機構53がX軸移動機構22と係合し、カード廃券受け部4を退避位置P4から受取位置P3まで移動させる。このように、カード廃券受け部4はX軸移動機構22のX軸駆動モータ24によって駆動されるので、カード廃券受け部4を駆動するための専用のモータを別に備える必要が無くなる。
【0035】
なお、ピンレバー68とワイヤレバー71との間にスプリング70を設けているので、例えばいたずら等によりワイヤ66が引っ張られた場合であってもスプリング70が変形してワイヤ66の弛みを防止することができる。これにより、ワイヤ66がワイヤプーリ64から外れるのを防止することができる。
【0036】
インデント/エンボス機構5及びトッパー機構6は、カード取り出し移動機構2のX軸移動機構22を間に挟んで、各カードスタッカ9とは逆側の位置に設けられている。インデント/エンボス機構5はカード14に所定の文字や記号等を刻むエンボス装置であり、本実施形態では既に知られているエンボス装置を使用しているので、その詳しい説明を省略する。また、トッパー機構6はインデント/エンボス機構5により刻まれた文字や記号等に色をつけるトッパー装置であり、本実施形態では既に知られているエンボス装置を使用しているので、その詳しい説明を省略する。ただし、このトッパー機構6は、X軸移動機構22に対して接近及び離間可能に設けられている。即ち、X軸移動機構22の2本のX方向ガイド軸27,28に対して直交し且つ水平なガイドレール72,72がカード発行装置のフレーム54に取り付けられており、トッパー機構6は当該ガイドレール72,72に沿って移動可能になっている。これにより、トッパー機構6をX軸移動機構22に近づけて配置してもトッパー機構6のトッピングホイルを交換する等のメンテナンスを行う場合にはトッパー機構6をX軸移動機構22から離せば作業スペースを造り出すことができるので、カード発行装置をコンパクト化することができる。
【0037】
なお、図1中符号73はカード14の端を検出するセンサである。このセンサ73はカード保持部材29によって挟持されているカード14がX方向ガイド軸27,28に対して斜めになっているか否かを検出するためのものである。即ち、センサ73がカード14の一端を検出してから他端を検出するまでにカード保持部材29のY方向の移動量とキャリッジ26のX方向の移動量を測ることで、カード14が斜めになっているか否か、及び斜めになっている場合にはその傾き量を検出することができる。また、図2中1点鎖線L1はカード14の移動軌跡を示している。
【0038】
このカード発行装置では、カード取り出し移動機構2のX軸駆動モータ24及びY軸駆動モータ43、カード廃券受け部4のソレノイド65、インデント/エンボス機構5、トッパー機構6を制御部7によって制御し、複数のカードスタッカ9よりカード取り出し移動機構2によって1枚のカード14を取り出し、カードリーダ部3により所定の記録を行ってカード発行口51よりカード14を発行する。また、カードリーダ部3から不要なカード14を受け取るときにはカード取り出し移動機構2によってカード廃券受け部4を退避位置P4から受取位置P3まで移動させる。
【0039】
具体的に説明すると、先ず、制御部7はX軸駆動モータ24を操作してキャリッジ26を所定のカードスタッカ9の前に移動させた後、Y軸駆動モータ43を操作してカード保持部材29とカード取出部21を移動させ、カード取出部21のカード係合爪部45でカードスタッカ9内の一番下のカード14を引っかけて取り出す。このとき、カード保持部材29を強圧位置P2まで移動させると、取り出されたカード14はカード保持部材29によってしっかりと挟持される。
【0040】
次に、制御部7はX軸駆動モータ24を操作してセンサ73の前にカード14のカードリーダ部3に近い側の端部をY方向にカード14を移動してセンサ73を切る位置を計る。この値をαとする。再度カード14をα逆方向に送り元の位置に戻す。次にカード14をカードリーダ部3側にX軸方向へβ送る。カード14のカードリーダ部3から遠い側の端部をセンサ73を切る位置を計測するためY方向へ送る。この値をγとする。もしカード14の端部がX軸と平行ならばα=γとなり、斜めになっていればα≠γであり、この差とβの量によってカード14の挟持姿勢を制御部7は算出し、認識することが出来る。
【0041】
次に、制御部7はX軸駆動モータ24を操作してキャリッジ26をインデント/エンボス機構5の前に移動させ、インデント/エンボス機構5を操作してカード14の所定位置に文字等を刻む。複数の文字等を刻む場合には、X軸駆動モータ24を操作して1文字分ずつ移動させながら文字等を刻む。この場合、センサ73で検出されたカード14の挟持姿勢が斜めになっているときには、制御部7はカード14の挟持姿勢に応じてY軸駆動モータ43を操作し、文字等の列が真っ直ぐになるようにする。そして文字等の刻印が終了すると、制御部7はX軸駆動モータ24を操作してキャリッジ26をトッパー機構6の前に移動させ、インデント/エンボス機構5で刻んだ文字等に着色する。
【0042】
この後、制御部7はX軸駆動モータ24を操作してキャリッジ26をカードリーダ部3に向けて移動させる。このとき、制御部7は、カードリーダ部3に到達する直前でY軸駆動モータ43を操作してカード保持部材29を仮保持位置P1に移動させておく。これにより、カード14は仮保持の状態となり、カードリーダ部3に引き渡される。カードリーダ部3では、制御部7の制御にしたがって所定の記録を行った後、カード発行口51からカード14を発行する。
【0043】
一方、発行すべきカード14に何らかの異常がある場合には、制御部7はカード廃券受け部4のソレノイド65を作動させた後、X軸駆動モータ24を作動させてキャリッジ26をカードリーダ部3から離れる方向に移動させる。これにより、キャリッジ26のピン69とピンレバー68が係合し、ワイヤ66が引っ張られて廃券箱58が受取位置P3に移動する。なお、キャリッジ26のピン69とピンレバー68が係合した後は、制御部7はソレノイド65の作動を解除し電力消費を抑える。
【0044】
廃券箱58が受取位置P3に移動すると、制御部7はカードリーダ部3を操作してカードリーダ部3内のカード14を廃券箱58内に払い出す(図17)。次に制御部7はX軸駆動モータ24を操作してキャリッジ26をカードリーダ部3に向けて移動させる。これにより廃券箱58は退避位置P4に移動し、キャリッジ26のピン69とピンレバー68との係合が解除される。したがって、以降、廃券箱58はキャリッジ26の移動を妨げることはなく、また、この状態ではピンレバー68もキャリッジ26のピン69の移動軌跡から退いているので、廃券箱58が受取位置P3に移動することもない。
【0045】
この様にして1枚のカード14の処理が終了する。制御部7は上述の制御を繰り返して次々にカード14を発行する。
【0046】
このカード供給装置では、カードスタッカ9を4個備えているので、各カードスタッカ9に異なる種類のカード14をセットすることで4種類のカード14を取り扱うことができる一方、各カードスタッカ9に同種類のカード14をセットすることで1種類のカード14を多量に取り扱うことができる。
【0047】
また、カードスタッカ9からカード14を1枚ずつ取り出すカード係合爪部45をX軸移動機構22によって各カードスタッカ9の間で移動可能としたので、各カードスタッカ9に対して1個ずつカード係合爪部45をそれぞれ設ける必要がなく、カード供給装置ひいてはカード発行装置を小型化、構造単純化することができ、低コストで製造することができる。
【0048】
また、カード保持部材29とカード取出部21を同軸上を移動するようにしたのでこれらを一緒に移動させることができ、カード係合爪部45のX方向、Y方向移動を2つのモータ24,45によって駆動することが可能になり、しかも廃券箱58の移動もモータ24を使用して行っているので、装置の小型化、構造の単純化を図ることができ、低コストで製造することができる。
【0049】
また、カード保持部材29の各カード保持ブロック39,40によるカード14の保持位置をインデント/エンボス機構5等の作動を妨げない位置にしているので、装置の小型化、構造の単純化を行うことができる。
【0050】
また、カード保持部材29の移動に対して仮保持位置P1と強圧位置P2を設けてカード14の挟持力(保持力)を強弱二段階とすると共に、2個のカード係合爪部45でカード14を引っかけて取り出すようにしたので、カード取り出し時のカード平行度の維持とインデント/エンボス機構5等による処理時のカード14の保持ずれを防止することができ、処理の確実性を向上させることができる。
【0051】
また、2個のカード係合爪部45でカード14を取り出すようにしているので、各カード係合爪部45の位置調整を行ってこれら各カード係合爪部45の平行度を調整することができ、カード14を理想的な平行姿勢で取り出すことが可能になる。このため、装置の部品誤差や組立誤差等によってカード14が平行とはならず斜めになるのを防止し、高品質の文字等刻印を行うことができる。また、2個のカード係合爪部45の移動軌跡L2をカード受けブロック13の両脇に位置させたので、カード14に作用する外力によってカード14の回転方向へのずれを効果的に防止することができ、高品質のカード処理を可能にしている。
【0052】
また、強圧位置P2ではL字型レバー33の先端部と操作レバー34とがほぼ一直線上に位置しているので、いわゆるトグルクランプを行うことができる。このため、大きな力を作用させなくてもカード14をしっかり保持することができると共に、カード保持部材29の移動に対する負荷の増加を防止してY軸駆動モータ43を大きくしなくても確実に動作させることができる。
【0053】
また、カード保持部材29のカード押圧レバー35はコイルスプリング36を介して中間レバー37を押し下げるようにしているので、カード14の厚さにばらつきがあってもカード14の保持力を一定にすることができ、カード14のずれを防止して高品質のカード処理を行うことができる。
【0054】
また、カード取出部21をカードスタッカ9の下方に潜り込ませるように移動させると共に、カードスタッカ部1とインデント/エンボス機構5及びトッパー機構6とをカード取り出し移動機構2を間に挟んで互いに対向させるように配置し、さらにカードリーダ部3をX軸移動機構22によるカード移動軌跡L1の延長上に配置しているので、カードスタッカ部1、インデント/エンボス機構5、トッパー機構6、カードリーダ部3、カード取り出し移動機構2を合理的に配置することができる。このため、カードスタッカ9を複数設置した場合であってもデッドスペースの発生を抑えて装置全体を小型化することができると共に、カード14の移動経路が短くなり処理時間を短縮化することができる。
【0055】
また、カード廃券受け部4の廃券箱58を退避位置P4と受取位置P3との間で移動可能としているので、通常のカード処理時には廃券箱58をカード14の移動軌跡L1から外してキャリッジ26の移動を妨げないようにすることができ、廃券箱58を合理的に配置することができる。また、キャリッジ26の動きを利用して廃券箱58を移動させるようにしているので、廃券箱58を移動させるための専用のモータを必要とせず、キャリッジ26とピンレバー68を係合させるための小さなソレノイド65が必要になるだけなので、装置を小型化でき製造コストを低減することができる。
【0056】
また、カード取出部21のカード係合爪部45は移動体44に対して回動可能とされ且つばね85によって付勢されているので、カード14に反りや曲がりが生じている場合であってもカード係合爪部45がカード14から離れることはない。
【0057】
また、カード取出部21がカード14を送り出す場合にはカード係合爪部45にはこれを押し戻すような反力が作用するが、カード係合爪部45の移動体44への取付ポイント、カード係合爪部45のカード引っかけポイント、反力の方向等の関係から、上記反力はカード係合爪部45とカード14との係合をより強くする方向に作用する。即ち、何らかの原因によってカード14の動きが重く、取り出すために強い力が必要な場合であっても、カード係合爪部45がカード14に食い込む方向に力が働くため、カード係合爪部45とカード14との係合が外れ難くなる。
【0058】
また、カードスタッカ9内の一番下のカード14はカード受け部16によって3点支持される構造であるので、たとえカード14が湾曲している場合であってもこれをカード供給部8から確実に取り出すことができる。
【0059】
また、カード取出部21の移動体44にカード支持部46を設けているので、カードスタッカ9内の一番下のカード14を取り出す途中で下から2枚目のカード14によってカード係合爪部45が押し下げられて一番下のカード14から外れるのを防止することができる。このため、カード14を確実に取り出すことができ、信頼性が向上する。
【0060】
また、各カードスタッカ9の側壁9a〜9dを漏斗状にしているのでカード14の補充が容易になり、しかも隣のカードスタッカ9に並んで配置されている側壁9dについては隣の側壁9dの切り欠き部15に折り曲げるようにしているので、各カードスタッカ9の間隔をつめて配置することができ、装置を小型化することができる。
【0061】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、カードスタッカ9を4個設けているが、2個又は3個、あるいは5個以上カードスタッカ9を設けても良い。
【0062】
また、上述の説明ではカード保持部材29を図示しないスプリングによりカード取出部21に向けて常時引っ張ることでこれらカード保持部材29とカード取出部21を一体化するようにしていたが、例えば図21及び図22に示すように2本のリンク79、80を使用してカード保持部材29とカード取出部21を一体化するようにしても良い。即ち、カード受けブロック13の底面に上側ピン81を、カード取出部21の上面に下側ピン82をそれぞれ設けると共に、2本のリンク79,80の異なる位置に凹部79a,80aを形成し、各リンク79,80を図示しないスプリングによりY方向ガイド軸30と平行になるように付勢している。カード取出部21をインデント/エンボス機構5側からカードスタッカ9側に向けて移動させる場合には、図22(a)に示すように、第1のリンク79の凹部79aと下側ピン82とが係合しておりカード取出部21とカード保持部材29が連結され、カード取出部21に引かれてカード保持部材29が一体的に移動する。そして、カードスタッカ9の下方まで移動すると、上側ピン81が第1のリンク79の斜面79bに当たり第1のリンク79を回動させて凹部79aと下側ピン82との係合を解くと共に、上側ピン81が第2のリンク80の凹部80aに係合する。したがって、カード保持部材29はカード取出部21から外れてカード取出部21のみがカードスタッカ9の下方に潜り込む一方、カード保持部材29はカード受けブロック13に連結される。そして、今度はカード取出部21がカード14を取り出しながらインデント/エンボス機構5側に向けて移動すると、図22(b)に示すように、下側ピン82が第2のリンク80の斜面80bに当たり第2のリンク80を回動せて凹部80aと上側ピン81との係合を解くと共に、上側ピン81によって回動されていた第1のリンク79がスプリングにより戻されるので、下側ピン82が第1のリンク79の凹部79aに係合する。したがって、カード保持部材29はカード受けブロック13から外れてカード取出部21に連結され、カード取出部21に押されて仮保持位置P1から強圧位置P2に向けて一体的に移動する。
【0063】
また、上述の説明では、カード廃券受け部4のワイヤレバー71とプーリ63とをワイヤ66で連結して廃券箱58を移動させるようにしていたが、ワイヤ66に代えてリンク等で連結して廃券箱58を移動させるようにしても良い。
【0064】
また、上述の説明では、蓋58aを有する廃券箱58を使用していたがこれに限るものではなく、蓋58aの無い廃券箱58を使用しても良い。さらには、廃券箱58に代えて受けのみとし、受けたカード14は斜面を滑り降りて受箱に入るようにしても良い。また、廃券箱58の中のカード14の有無を検出するセンサとしてはフォトインターラプタでもマイクロスイッチでも良い。
【0065】
また、上述の説明では、カード廃券受け部4では選択駆動手段65を使用して選択的にキャリッジ26の動きを廃券箱58に伝えるようにしていたが、選択駆動手段65を省略し、通常のカード14処理動作では移動しない位置までキャリッジ26を移動させることでキャリッジ26の動きを廃券箱58に伝えるようにしても良い。この様にすることで、キャリッジ26の移動軌跡を若干延長する必要はあるが、選択駆動手段65の省略が可能になるのでアクチュエータの数を減らすことができる。
【0066】
また、上述の説明では、各カードスタッカ9の下方にカード受けブロック13を設け、このカード受けブロック13の2カ所の凸部11,12と、カードスタッカ9の側壁9bに取り付けられた凸部17とでカード14を3点支持するカード受け部16を構成していたが、例えば図23、図24、図25、図26に示すように、3カ所に凸部11,12,17を有するカード受け体83をカードスタッカ9の下部に取り付けることでカード14を3点支持するカード受け部16を構成しても良い。
【0067】
また、上述の説明では、各カードスタッカ9として上からカード14を補充して各側壁9a〜9dの下に設けられたカード供給部8からカード14を取り出すタイプのものを採用していたが、下からカード14を補充して各側壁9a〜9dの上に設けられたカード供給部8からカード14を取り出すタイプのカードスタッカ9を採用しても良い。この場合、カード受け部16を、例えば図27及び図28に示すように、カード受け体83に取り付けたプレート84によって形成した凸部11とカード受け体83に形成した凸部12,17より構成し、下向きに配置している。また、カード14を引っかけて取り出すカード係合爪部45は、図29に示すように、自重で回動可能に移動体44に取り付けられている。即ち、図15に示すようなばね85を有していない。この様にばね85を有していなくてもカード係合部爪部45は自重で回動するので、カード14の湾曲に対応することができる。なお、この場合、カードスタッカ9内のカードは図示しないエレベータ機構によってカード受け部16に当たるように持ち上げられている。
【0068】
さらに、上述の説明では、カード14に文字等を刻む装置としてインデント/エンボス機構5を備えていたが、このインデント/エンボス機構5に代えて、熱したペンにより文字等を刻むインデント機構を設置しても良い。この場合には、インデント機構により文字等を着色できるのでトッパー機構6を省略することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のカード供給装置では、多数のカードを積み重ねてストックするとともに端部にカード供給部が形成されたカードスタッカを複数所定の位置に配列したカードスタッカ部と、複数のカードスタッカのカード供給部の間を移動可能に設けられたカード取り出し移動機構とを備え、カード取り出し移動機構を、複数のカードスタッカ間を移動するカード保持部とカードスタッカに形成されたカード供給部からカードを取り出すカード取出部とから構成したので、複数のカードスタッカから任意のカードスタッカを選択してカードを取り出すことが出来る。このため、異なった種類のカードを一緒に取り扱うことや、同一種類のカードを補充なしで多量に取り扱うことが可能になる。また、複数のカードスタッカに対して共通のカード取り出し移動機構を使用するので、カードスタッカ毎にカード取り出し移動機構を設ける必要がなく、装置を小型化することができ、また安いコストで製造することができる。
【0070】
また、複数のカードスタッカは、カード供給部が同一平面上に同一方向にカードが取り出されるように並んで配列されており、カード取り出し移動機構は、カード保持部とカード取出部とをカードスタッカより離間した位置でカードスタッカの配列方向に移動させるX軸移動機構と、カード取出部をそれぞれのカードスタッカのカード供給部よりカードを取り出すように移動するY軸移動機構とを備えているので、X軸移動機構を水平に移動させるだけでカード保持部とカード取出部を任意のカードスタッカに対向する位置に移動させることができる。即ち、X・Yの2方向への移動だけで任意のカードスタッカからカードを取り出すことができ、アクチュエータの数を減らすことができる。更に、カード保持部は、カードを仮保持する仮保持位置とカードを強圧保持する強圧位置とを移動可能なカード保持部材を有し、X軸移動機構によるX軸方向への移動時にカード保持部材が上記強圧位置となるように設定しているので、カード保持部材を移動させるだけで専用のアクチュエータが無くてもカードの保持状態を仮保持と強圧保持とで切り換えることができる。
【0071】
また、請求項2記載のカード供給装置では、Y軸移動機構を、X軸移動機構によりX軸方向に移動可能に取り付けたので、各カードスタッカに対して共通のY軸移動機構を使用することができ、各カードスタッカ毎にY軸移動機構を設ける必要が無くなる。このため、カード供給装置をより小型化することができ、また、より安いコストでの製造が可能になる。
【0073】
さらに、請求項3記載のカード供給装置では、X軸移動機構によるX軸方向への移動線上にカードの搬送を行う搬送部とカードへの記録を行う記録部が設けられたカードリーダ部が配置されているので、任意のカードスタッカより取り出したカードをカードリーダ部に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカード供給装置を組み込んだカード発行装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明のカード供給装置を組み込んだカード発行装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】本発明のカード供給装置を組み込んだカード発行装置の概略構成を示す左側面図である。
【図4】本発明のカード供給装置を組み込んだカード発行装置の概略構成を示す右側面図である。
【図5】本発明のカード供給装置のカードスタッカに形成されたカード供給部の正面図である。
【図6】本発明のカード供給装置のカードスタッカの側壁のうち隣のカードスタッカに並んで配置されている側壁の断面図である。
【図7】本発明のカード供給装置のカードスタッカの側壁のうち隣のカードスタッカに並んで配置されている側壁の正面図である。
【図8】本発明のカード供給装置のカード受け部を示す平面図である。
【図9】本発明のカード供給装置のX軸移動機構を示す概念図である。
【図10】本発明のカード供給装置のカード保持部とカード取出部を示す正面図である。
【図11】本発明のカード供給装置のカード保持部のキャリッジに形成されたカム溝を示す平面図である。
【図12】本発明のカード供給装置のカード保持部を構成するカード保持部材を示す側面図である。
【図13】本発明のカード供給装置のカード保持部を構成する下側カード保持ブックを示す斜視図である。
【図14】本発明のカード供給装置のカード保持部材とカード取出部を示す正面図である。
【図15】本発明のカード供給装置のカード取出部を拡大して示す正面図である。
【図16】本発明のカード供給装置が組み込まれたカード発行装置のカード廃券受け部を示す側面図である。
【図17】本発明のカード供給装置が組み込まれたカード発行装置のカード廃券受け部を示し、廃券箱が受取位置に移動した状態を示す正面図である。
【図18】本発明のカード供給装置が組み込まれたカード発行装置の選択駆動手段を示す平面図である。
【図19】本発明のカード供給装置が組み込まれたカード発行装置の選択駆動手段を示す側面図である。
【図20】本発明のカード供給装置が組み込まれたカード発行装置の選択駆動手段の作動を示す図である。
【図21】本発明のカード供給装置のカード保持部の他の実施形態を示す斜視図である。
【図22】図21のカード保持部の各リンクとピンとの関係を示し、(a)はカード保持部材がカード取出部に連結している状態の平面図、(b)はカード保持部材がカード受けブロックに連結している状態の平面図である。
【図23】本発明のカード供給装置のカード受け部の第1の変形例を示す斜視図である。
【図24】本発明のカード供給装置のカード受け部の第2の変形例を示す斜視図である。
【図25】本発明のカード供給装置のカード受け部の第3の変形例を示す斜視図である。
【図26】本発明のカード供給装置のカード受け部の第4の変形例を示す斜視図である。
【図27】本発明のカード供給装置のカードスタッカの他の実施形態を示す断面図である。
【図28】図27のカードスタッカのカード受け部を下側からみた図である。
【図29】図27のカードスタッカで使用するカード取出部を拡大して示す正面図である。
【符号の説明】
1 カードスタッカ部
2 カード取り出し移動機構
3 カードリーダ部
4 カード廃券受け部
6 トッパー機構
8 カード供給部
9 カードスタッカ
16 カード受け部
20 カード保持部
21 カード取出部(カード送り出し機構)
22 X軸移動機構(カード移動機構)
23 Y軸移動機構
29 カード保持部材
51 カード発行口
52 搬送部としてのローラ
65 選択駆動手段(ソレノイド)
P1 仮保持位置
P2 強圧位置
P3 受取位置
P4 退避位置
Claims (3)
- 多数のカードを積み重ねてストックするとともに端部にカード供給部が形成されたカードスタッカを複数所定の位置に配列したカードスタッカ部と、上記複数のカードスタッカのカード供給部の間を移動可能に設けられたカード取り出し移動機構とを備え、
上記複数のカードスタッカは、上記カード供給部が同一平面上に同一方向にカードが取り出されるように並んで配列されており、
上記カード取り出し移動機構は、上記複数のカードスタッカ間を移動するカード保持部と、上記カードスタッカに形成されたカード供給部からカードを取り出すカード取出部と、上記カード保持部とカード取出部とを上記カードスタッカより離間した位置でカードスタッカの配列方向に移動させるX軸移動機構と、上記カード取出部をそれぞれのカードスタッカのカード供給部よりカードを取り出すように移動するY軸移動機構とを備え、
上記カード保持部は、カードを仮保持する仮保持位置と上記カードを強圧保持する強圧位置とを移動可能なカード保持部材を有し、上記Y軸移動機構によるY軸方向への移動時に上記カード保持部材が上記仮保持位置になり、上記X軸移動機構によるX軸方向への移動時に上記カード保持部材が上記強圧位置となるように設定されたことを特徴とするカード供給装置。 - 上記Y軸移動機構は、上記X軸移動機構によりX軸方向に移動可能に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のカード供給装置。
- 上記X軸移動機構によるX軸方向への移動線上に上記カードの搬送を行う搬送部と上記カードへの記録を行う記録部が設けられたカードリーダ部が配置されたことを特徴とする請求項1または2記載のカード供給装置。
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