JP3770789B2 - 光磁気記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気ディスク(MO)やミニディスク(MD)に代表される光磁気記録媒体に対して情報信号の記録及び再生を行う光磁気記録再生装置に関し、特に前記情報信号の記録方式としてレーザストローブ磁界変調方式を採用した光磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光磁気ディスク(MO)やミニディスク(MD)に代表される光磁気記録媒体の普及がめざましく、コンピュータ等のデータ保存用やオーディオ用といった幅広い用途に利用されている。このような光磁気記録媒体に対する情報信号の記録及び再生は、光磁気記録再生装置に設けられた光ピックアップ及び磁気ヘッドを介して行われる。
【0003】
図5は従来の光磁気記録再生装置の一例を示す概略構成図である。レーザダイオード1(以下、LD1と呼ぶ)から照射された直線偏光のレーザ光束は、偏光ビームスプリッタ2(以下、PBS2(Polarized Beam Splitter)と呼ぶ)を透過した後にコリメータレンズ3によって平行光束とされる。この平行光束は対物レンズ4によって光磁気ディスク5(以下、ディスク5と呼ぶ)の磁性記録膜上に集光されており、該磁性記録膜上には微小なビームスポットが形成される。なお、対物レンズ4はアクチュエータ機構(図示せず)によってフォーカシング制御及びトラッキング制御されており、前記ビームスポットをディスク5上の所望位置に形成することができる。
【0004】
ディスク5に対して記録動作を行う際には、コントロール回路11から磁気ヘッドドライバ回路7に対して記録信号Swが送出される。記録信号Swはディスク5に記録すべきディジタル情報信号であり、磁気ヘッドドライバ回路7は該記録信号Swに応じて磁気ヘッド6に流れるコイル電流Icの向きを切り換える。
【0005】
磁気ヘッド6は前記ビームスポットが形成されている領域に対してコイル電流Icに応じた外部磁界を印加する磁界発生手段である。上記した通り、コイル電流Icの向きは記録信号Swに応じて切り換えられるため、前記磁性記録膜の磁化方向は記録信号Swに応じてディスク5の厚み方向に対し上向き/下向きに変化されることになる。一般に、このような光磁気記録方式をレーザストローブ磁界変調方式と呼ぶ。
【0006】
周知の通り、こうした光磁気記録方式では磁性体の保磁力が温度の上昇に伴って低下するといった物理現象が利用されている。すなわち、室温であれば少々外部磁界が印加されても磁化反転を生じない磁性体であっても、キュリー温度(磁性体の保磁力が失われる磁性変態温度)以上では容易に磁化反転を生じることに着目し、前記ビームスポットを磁性記録膜の加熱用(記録領域の制限用)として、また前記外部磁界を磁化反転用として用いている。
【0007】
なお、ディスク5に対する記録動作中にはディスク5が線速度一定で回転されているため、前記ビームスポットは前記磁性記録膜をらせん状に走査しながら順次加熱していくことになる。従って、前記ビームスポットによって一旦キュリー温度以上に加熱された領域も、やがては前記ビームスポットから外れてキュリー温度以下まで冷却される。このとき、磁気ヘッド6から印加されている外部磁界が前記磁性記録膜によって保磁され、ディスク5に対する記録動作が行われる。
【0008】
一方、前記光磁気記録方式で記録された記録信号の再生原理としては、直線偏光のレーザ光が磁性体の表面で反射するときに、その偏光方向が前記磁性体の磁化方向に依存して所定量だけ回転する現象、いわゆるカー効果を利用している。
【0009】
上記した通り、ディスク5からの反射光束は前記磁性記録膜の磁化方向に応じてその偏光方向を所定角度だけ回転されており、PBS2では検光子8に向けて反射される。検光子8はウォラストンプリズムから成る光学素子であり、前記反射光束は互いに直交する偏光方向を持つ2つの光束に分離される。
【0010】
これら2つの光束は集光レンズ9によって集光され、光磁気信号検出器10を構成する2つの光検出器(図示せず)にそれぞれ入射される。このとき、各光検出器における受光強度は前記磁性記録膜の磁化方向に応じて相補的に増減するため、それらの強度差から再生信号Srを得ることができる。なお、光磁気信号検出器10によって得られた再生信号Srはコントロール回路11に送出され、エラー訂正やデコード処理等が施される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、従来の光磁気記録再生装置においては、ディスク5に対する記録動作中、常に一定のLD駆動電流IdがLD1に対して供給されている。言い換えれば、ディスク5に対する記録動作中は常にLD1が点灯されており、前記磁性記録膜上に形成される前記ビームスポットの温度は常に前記磁性記録膜のキュリー温度を上回っている。
【0012】
上記の場合、前記ビームスポットが形成される領域は常に保磁力を失った状態となっている。そのため、ディスク5に対する記録動作中に前記磁性記録膜から戻ってくる反射光を光磁気信号検出器10によって受光したとしても、前述したカー効果による受光強度差は生じていないので、再生信号Srを得ることはできない。このように、従来の光磁気記録再生装置ではディスク5に対する記録動作中に再生動作を行うことができないため、直前に記録した記録信号Swをその都度確認することは不可能である。
【0013】
ここで、ディスク5に対する記録動作中にLD1から照射されるレーザ光のパワーは、大き過ぎると隣接トラックへの影響等による記録品質の劣化を招き、逆に小さ過ぎると再生信号Srの強度低下による再生品質の劣化を招く恐れがある。そのため、ディスク5に対する記録動作を行う際には、再生信号Srの強度が所定範囲内となるように、LD1から照射されるレーザ光のパワーを最適化する必要がある。
【0014】
しかしながら、前述した通り、従来の光磁気記録再生装置ではディスク5に対する記録動作中に再生動作を行うことができないため、前記レーザ光のパワーを記録動作中に逐一最適化することは不可能である。そこで、従来の光磁気記録再生装置では、本来の記録動作を始める前に、まず予め設定された複数段階のレーザパワーでそれぞれ位置を変えながら試験記録信号の記録動作を行い、該記録動作終了後に改めて前記試験記録信号をそれぞれ再生することでレーザパワーの最適値を求める、といった複雑で長時間を要する作業を行っている。
【0015】
また、前記レーザ光の最適化動作は、前記試験記録信号が実際の記録信号Swに悪影響を及ぼさないように、本来の記録エリアとは異なる測定エリアにて行う必要がある。しかしながら、前記磁性記録膜の温度はレーザパワーだけでなく周囲温度等によっても変化するので、本来の記録エリアと測定エリアとの間では前記レーザ光の最適値に誤差を生じている恐れがある。そのため、ディスク5の記録密度(トラックピッチ)を設定する際には、前記誤差をカバーし得る程度の温度マージンを取らざるを得ず、記録密度の低下(トラックピッチの増大)を余儀なくされている。
【0016】
なお、周囲の温度変化や装置の経時変化等に対応するには、上記したレーザ光の最適化動作を頻繁に行わねばならず、上記のように長時間を要するレーザ光の最適化動作はディスク5に対する記録動作の高速化を妨げる原因となっている。
【0017】
また、従来の光磁気記録再生装置では、直前に記録した記録信号Swをその都度確認することができないので、記録信号Swが正確に記録されたか否かは記録動作終了後に改めて再生動作を行うことによって確認せざるを得ない。また、このとき記録動作にエラーが検出されれば、磁気ヘッド6を再びエラー発生位置まで駆動して再記録動作を行わねばならない。このように、従来の光磁気記録再生装置における書き込みエラーの検出動作は、ディスク5に対する記録動作の高速化を妨げる原因となるばかりだけでなく、消費電力の増大をも招いている。
【0018】
本発明は上記の問題点に鑑み、直前に記録した記録信号をその都度再生することが可能な光磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る光磁気記録再生装置においては、光磁気記録媒体にレーザ光を照射して該光磁気記録媒体の磁性記録膜上にビームスポットを形成するレーザ照射手段と、前記光磁気記録媒体に対する記録信号に応じた磁界を発生する磁界発生手段と、前記光磁気記録媒体からの反射光を検出して再生信号を得る再生信号検出手段と、前記レーザ光の強度を制御するレーザ光制御手段と、を有する光磁気記録再生装置において、前記光磁気記録媒体に対する記録動作中に前記記録信号よりも高い周波数で前記レーザ光を点滅させ、前記レーザ光を点灯してから前記ビームスポットの温度が前記磁性記録膜のキュリー温度に達するまでの間に前記光磁気記録媒体から戻ってくる反射光を検出する構成としている。
【0020】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置では、前記反射光の検出動作によって得られた再生信号に基づいて、前記レーザ光の強度を制御する構成にするとよい。
【0021】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記反射光の検出動作によって得られた再生信号が直前に記録された前記記録信号と一致しない場合には、前記記録動作の異常を示す記録エラーを検出する構成にするとよい。
【0022】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記記録エラーを検出した場合には、現在の記録動作を中断して記録動作に異常を生じた前記記録信号の再記録動作を行う構成にするとよい。或いは、該記録エラーが訂正可能範囲内であるか否かを判断し、訂正可能範囲外であれば現在の記録動作を中断して記録動作に異常を生じた前記記録信号の再記録動作を行う構成にしてもよい。
【0023】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記反射光の検出時間は、前記レーザ光を点灯してから前記ビームスポットの温度が前記磁性記録膜のキュリー温度に達するまでに要する時間よりも短い構成にするとよい。
【0024】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記再生信号検出手段は選択可能な複数の受光感度を有する構成にするとよい。
【0025】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記光磁気記録媒体に対する記録動作を行う前に、その記録動作を行おうとする記録領域に対して既に書き込まれている記録信号を予め消去する構成にするとよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る光磁気記録再生装置の一実施形態を示す概略構成図である。本図に示すように、本発明に係る光磁気記録再生装置は従来の光磁気記録再生装置(図5参照)とほぼ同様の構成から成っている。そこで、従来と同様の構成及び動作を有する部分については図5と同一の符号を付すことで説明を省略し、以下では本発明の特徴部分について重点を置いた説明を行うことにする。
【0027】
本実施形態の光磁気記録再生装置は、LD駆動電流Idを一定周期のパルス出力とするLDドライバ回路12を有しており、ディスク5に対する記録動作中、LD1から照射されるレーザ光を記録信号Swよりも高い周波数で点滅させ、ディスク5から戻ってくる反射光を光磁気信号検出器10で検出することにより、直前に記録された記録信号Swの再生動作を実現している。
【0028】
ここでは、まず上記した記録動作中の再生動作について詳細な説明を行うこととし、本図中に示すLDドライバ制御信号Sc及び受光感度選択信号Sgの機能を含めた光磁気記録再生装置の全体動作については後ほど詳細な説明を行うことにする。
【0029】
図2はディスク5に対する記録動作の一例を示すタイミングチャート及び模式図である。図中(a)は時刻t0〜t9におけるコイル電流Ic(すなわち記録信号Sw)、LD駆動電流Id、及びビームスポット温度Tbを示したタイミングチャートであり、図中(b)は時刻t0〜t9におけるビームスポットの走査位置P0〜P9、及び磁性記録膜の磁化パターン(斜線/白抜き)を示した模式図である。
【0030】
図中(a)に示すように、ディスク5に対する記録動作中のLD駆動電流Idは、記録信号Swに同期したパルス出力とされており、その周期は記録信号Swの各記録パルス幅(例えば20ns)とされている。ここで、LD1はLD駆動電流IdがHレベルであるときに点灯し、Lレベルであるときに消灯するため、ビームスポット温度TbはLD駆動電流IdがHレベルであるときに上昇し、Lレベルであるときに低下する。なお、説明を簡単とするために、本図ではビームスポット温度Tbの極大値(すなわちLD駆動電流IdがLレベルに立ち下がる直前のビームスポット温度Tb)を磁性記録膜のキュリー温度としている。
【0031】
図中(b)において、実線で示した領域P0は時刻t0におけるビームスポットの走査位置を示している。ここで、時刻t0ではそれまで点灯されていたLD1が消灯されるが、その直前にビームスポット温度Tbがキュリー温度に達するため、磁気ヘッド6から印加されている外部磁界(斜線)は領域P0の位置に保磁され、ディスク5に対する記録動作が行われる。
【0032】
時刻t0〜t1にかけてはLD1が消灯された状態でディスク5が回転され、破線で示した領域P1までビームスポットの走査位置がずらされる。ここで、時刻t1では再びLD1が点灯されるが、LD1が点灯された後も時刻t2まではビームスポット温度Tbがキュリー温度に到達しない。従って、領域P0と領域P1との重複部分の磁化は失われないので、時刻t1〜t2においてはディスク5から戻ってくる反射光を検出することで直前に記録された記録信号Swを再生信号Srとして読み取ることができる。
【0033】
その後、時刻t2ではそれまで点灯されていたLD1が消灯されるが、その直前にビームスポット温度Tbがキュリー温度に達するため、磁気ヘッド6から印加されている外部磁界(白抜き)は領域P2の位置に保磁され、ディスク5に対する記録動作が行われる。
【0034】
以後同様に、時刻t4、t6、t8ではそれまで点灯されていたLD1が消灯されてディスク5に対する記録動作が行われるが、時刻t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8においてはディスク5から戻ってくる反射光を検出することで直前に記録された記録信号Swを再生信号Srとして読み取ることができる。
【0035】
上記したディスク5に対する記録動作中の再生動作について、図3を参照しながらより具体的な説明を行う。図3はディスク5に対する記録動作中の再生動作例を示すタイミングチャートであり、上から順にコイル電流Ic(記録信号Sw)、LD駆動電流Id、ビームスポット温度Tb、ビームスポット磁化Zb、及び再生信号Srを示している。
【0036】
本図に示すように、LD1が点灯されてビームスポット温度Tbがキュリー温度を上回ると、ディスク5の磁性記録膜はその保磁力を失うためにビームスポット磁化Zbは消失する。その後、LD1が消灯されてビームスポット温度Tbがキュリー温度を下回ると、そのとき磁気ヘッド6から印加されている外部磁界(白丸)が前記磁性記録膜に保磁され、ディスク5に対する記録動作が行われる。
【0037】
一方、光磁気信号検出器10では、LD1が点灯されてからビームスポット温度Tbがキュリー温度に達するまでの間だけ、直前に記録された記録信号Sw(黒丸)を再生信号Srとして検出できる。ただし、上記した再生信号Srの検出可能時間は極めて短く、LD1が消灯している間やビームスポット温度Tbがキュリー温度を上回っている間は再生信号Srを検出することができない。そのため、ディスク5に対する記録動作中、常に連続して再生信号Srのサンプリングを行うと、再生信号SrのS/Nが極端に低下してしまい、本来必要とする信号パルス、すなわち直前に記録された記録信号Swを検出できなくなる。
【0038】
そこで、本実施形態の光磁気記録装置では、LD駆動電流Idの立ち上がりに同期して、ビームスポット温度Tbがキュリー温度に達するまでに要する時間よりも短い時間(例えば、数ns)だけ再生信号Srのサンプリングを行う構成としている。このような構成とすることにより、直前に記録された記録信号Swを高精度に検出することが可能となる。
【0039】
なお、上記した光磁気記録再生装置において、LD駆動電流Idのデューティ比が大き過ぎる場合、ビームスポット温度Tbが下がり切らずに上記の再生動作が不可能となる。逆に、LD駆動電流Idのデューティ比が小さ過ぎる場合、ビームスポット温度Tbを急速上昇させるためにLD1のレーザパワーを上げねばならず、LD1の破壊が懸念される。そのため、LD駆動電流Idのデューティ比は上記の点を考慮して適宜設定する必要があり、両者のバランスを取るためにはデューティ比30%程度が妥当であると考えられる。
【0040】
続いて、本実施形態の光磁気記録再生装置の全体動作について詳細な説明を行う。図4は本実施形態の光磁気記録再生装置の一動作例を示すフロー図である。まず、ステップ#10では、今から行おうとする動作がディスク5に対する記録動作であるか、或いはディスク5からの再生動作であるかの判断が行われる。
【0041】
ステップ#10において、今から行おうとする動作がディスク5に対する記録動作であると判断された場合にはステップ#15に進む。ステップ#15では、コントロール回路11によってLD駆動電流Idの出力制御、及び光磁気信号検出器10の受光感度制御が行われる。
【0042】
LDドライバ回路12はコントロール回路11から入力されるLDドライバ制御信号Scに基づいて、LD駆動電流Idを記録信号Swに同期したパルス出力とする。また、LD1から照射されるレーザ光のパワーは、ディスク5の磁性記録膜をそのキュリー温度以上まで加熱するのに十分な高強度(ディスク5の材質によっても異なるが、通常再生時におけるレーザパワーの5〜10倍程度)に切り換えられる。
【0043】
一方、光磁気信号検出器10はコントロール回路11から入力される受光感度選択信号Sgに基づいて、自身の受光感度を低下させる。なお、光磁気信号検出器10に入射される前記反射光の強度はLD1から照射されるレーザ光のパワーに比例するため、光磁気信号検出器10の受光感度は前記レーザ光のパワーに反比例させて通常再生時における受光感度の1/5〜1/10程度とすればよい。
【0044】
このような受光感度制御を行うことにより、後述するステップ#30で検出される再生信号Srは通常再生時と同等の強度を有することになるため、その強度が光磁気信号検出器10の検出可能範囲を超えてしまうことはなく、正常な再生動作を行うことができる。
【0045】
続いて、ステップ#20では、これから記録動作を行おうとするディスク5の記録領域に対して既に書き込まれている記録信号(以下、既記録信号と呼ぶ)の消去が行われる。このように、前記既記録信号を予め消去してからディスク5に対する記録動作を開始することにより、前記既記録信号に起因したノイズがステップ#30で検出される再生信号Srに重畳する恐れはなくなるため、より高精度な再生動作を行うことが可能となる。
【0047】
続いて、ステップ#25及びステップ#30では、ディスク5に対する記録動作、及び直前に記録された記録信号Swの再生動作が行われる。なお、これらの記録・再生動作については、既に前出の図2、図3を参照しながら詳細な説明を行っているので、ここでは説明を省略することにする。
【0048】
続くステップ#35では、前のステップ#30で検出された再生信号Srの強度が所定範囲内であるか否かの判断が行われる。ここで、再生信号Srの強度が所定範囲内ではないと判断された場合にはステップ#45に進む。
【0049】
ステップ#45において、再生信号Srの強度が所定下限値よりも小さい場合にはLD1から照射されるレーザ光のパワーを現在よりも上げるように、逆に再生信号Srの強度が所定上限値よりも大きい場合には前記レーザ光のパワーを現在よりも下げるように、LDドライバ回路12はコントロール回路11から入力されるLDドライバ制御信号Scに基づいてLD駆動電流Idを調節する。これにより、再生信号Srの強度が所定範囲内となるように前記レーザ光の強度を最適化することができる。
【0050】
このように、ステップ#30で検出される再生信号Srに基づいて前記レーザ光の最適化動作を行うことにより、前記レーザ光のパワーを記録動作中に逐一最適化することが可能となる。従って、従来の光磁気記録再生装置のように、本来の記録動作を始める前に、予め設定された複数段階のレーザパワーでそれぞれ位置を変えながら試験記録信号の記録動作を行い、該記録動作終了後に改めて前記試験記録信号をそれぞれ再生することでレーザパワーの最適値を求める、といった複雑で長時間を要する作業を行う必要がなくなる。
【0051】
また、前記レーザ光の最適化動作は記録信号Swが書き込まれる本来の記録エリアにて行われるため、従来のように前記レーザ光の最適値に誤差を生じる恐れが少ない。従って、ディスク5の記録密度(トラックピッチ)を設定する際に前記誤差を考慮して設けていた温度マージンを低減することができるため、ディスク5の記録密度向上(トラックピッチの縮小)を実現することが可能となる。
【0052】
また、前述した通り、ディスク5に対する記録動作中には前記レーザ光が逐一最適化されるため、必然的に周囲の温度変化や装置の経時変化等に対応することができる。従って、従来の光磁気記録再生装置のように、前記レーザ光の強度を改めて再調整する必要がなく、ディスク5に対する記録動作の高速化に貢献することができる。
【0053】
続いて、ステップ#45における前記レーザ光の最適化動作が終了した場合、或いは前のステップ#35で再生信号Srの強度が所定範囲内であると判断された場合にはステップ#40に進む。ステップ#40では、ステップ#30で検出された再生信号Srが、直前に記録された記録信号Swと一致しているか否かの判断が行われる。
【0054】
ステップ#40において、再生信号Srが直前に記録された記録信号Swと一致していると判断された場合にはステップ#25に戻り、通常の記録動作が継続される。一方、再生信号Srが直前に記録された記録信号Swと一致していないと判断された場合にはステップ#50に進む。ステップ#50では、前記記録動作の異常を示す記録エラーが検出される。
【0055】
このように、再生信号Srが直前に記録された記録信号Swと一致しない場合には、直ちに前記記録動作の異常を示す記録エラーを検出することにより、前記記録動作の異常に対して早急な善後処置をとることが可能となる。
【0056】
ステップ#50において前記記録エラーが検出されると、続くステップ#55では該記録エラーが通常再生時におけるエラー訂正可能範囲内であるか否かの判断が行われる。ステップ#55において、前記記録エラーが通常再生時におけるエラー訂正可能範囲内であると判断された場合にはステップ#25に戻り、通常の記録動作が継続される。
【0057】
一方、前記記録エラーが通常再生時におけるエラー訂正可能範囲内ではないと判断された場合にはステップ#60に進む。ステップ#60では、現在の記録動作が中断され、前記記録動作に異常を生じた記録信号Swの再記録動作が行われる。なお、その後はステップ#25に戻って通常の記録動作が継続される。
【0058】
上記したように、本実施形態の光磁気記録再生装置では、再生信号Srと直前に記録した記録信号Swとを比較することで、記録信号Swが正確に記録されたか否かを逐一判断することができる。結果として、前記記録動作が終了した時点で通常再生時における再生可能品質が満たされることになるため、ディスク5に対する記録動作の高速化、高精度化に貢献することができる。
【0059】
また、ステップ#60において再記録動作を行う必要が生じた場合であっても、磁気ヘッド6は前記記録エラーの発生位置に存在するため、従来のように改めて磁気ヘッド6を駆動し直す必要がない。従って、ディスク5に対する記録動作の高速化だけでなく、装置の消費電力低減についても貢献することができる。
【0060】
なお、ディスク5に対する記録動作の信頼性向上を優先するのであれば、ステップ#50からステップ#60に直接ジャンプすることで、前記記録エラーを検出した場合には直ちに再記録動作を行う動作フローとしてもよい。
【0061】
一方、前のステップ#10において、今から行おうとする動作がディスク5からの再生動作であると判断された場合にはステップ#65に進む。ステップ#65では、コントロール回路11によってLD駆動電流Idの出力制御、及び光磁気信号検出器10の受光感度制御が行われる。
【0062】
LDドライバ回路12はコントロール回路11から入力されるLDドライバ制御信号Scに基づいて、LD駆動電流Idを一定出力とする。また、LD1から照射されるレーザ光のパワーは、ディスク5の磁性記録膜がそのキュリー温度に到達しないように十分低い強度(ディスク5の材質によっても異なるが、前記記録時におけるレーザパワーの1/5〜1/10程度)に切り換えられる。
【0063】
一方、光磁気信号検出器10はコントロール回路11から入力される受光感度選択信号Sgに基づいて、自身の受光感度を上昇させる。なお、光磁気信号検出器10に入射される前記反射光の強度はLD1から照射されるレーザ光のパワーに比例するため、光磁気信号検出器10の受光感度は前記レーザ光のパワーに反比例させて前記記録時における受光感度の5〜10倍程度とすればよい。
【0064】
このような受光感度制御を行うことにより、次のステップ#70で検出される再生信号SrのS/Nを良好に維持することができ、正常な再生動作を行うことができる。
【0065】
【発明の効果】
上記したように、本発明に係る光磁気記録再生装置は、光磁気記録媒体にレーザ光を照射して該光磁気記録媒体の磁性記録膜上にビームスポットを形成するレーザ照射手段と、前記光磁気記録媒体に対する記録信号に応じた磁界を発生する磁界発生手段と、前記光磁気記録媒体からの反射光を検出して再生信号を得る再生信号検出手段と、前記レーザ光の強度を制御するレーザ光制御手段と、を有する光磁気記録再生装置において、前記光磁気記録媒体に対する記録動作中に前記記録信号よりも高い周波数で前記レーザ光を点滅させ、前記レーザ光を点灯してから前記ビームスポットの温度が前記磁性記録膜のキュリー温度に達するまでの間に前記光磁気記録媒体から戻ってくる反射光を検出する構成である。
【0066】
このような構成とすることにより、前記光磁気記録媒体に対する記録動作中であっても再生動作を行うことができ、直前に記録された前記記録信号をその都度確認することが可能となる。
【0067】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置では、前記反射光の検出動作によって得られた再生信号に基づいて、前記レーザ光の強度を制御する構成にするとよい。このように前記再生信号に基づいて前記レーザ光の最適化動作を行う構成とすることにより、前記レーザ光のパワーを記録動作中に逐一最適化することが可能となる。
【0068】
従って、従来の光磁気記録再生装置のように、本来の記録動作を始める前に、予め設定された複数段階のレーザパワーでそれぞれ位置を変えながら試験記録信号の記録動作を行い、該記録動作終了後に改めて前記試験記録信号をそれぞれ再生することでレーザパワーの最適値を求める、といった複雑で長時間を要する作業を行う必要がなくなる。
【0069】
また、前記レーザ光の最適化動作は前記記録信号が書き込まれる本来の記録エリアにて行われるため、従来のように前記レーザ光の最適値に誤差を生じる恐れが少ない。従って、前記光磁気記録媒体の記録密度(トラックピッチ)を設定する際に前記誤差を考慮して設けていた温度マージンを低減することができるため、前記光磁気記録媒体の記録密度向上(トラックピッチの縮小)を実現することが可能となる。
【0070】
また、前述した通り、前記光磁気記録媒体に対する記録動作中には前記レーザ光が逐一最適化されるため、必然的に周囲の温度変化や装置の経時変化等に対応することができる。従って、従来の光磁気記録再生装置のように、前記レーザ光の強度を改めて再調整する必要がなく、前記光磁気記録媒体に対する記録動作の高速化に貢献することができる。
【0071】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記反射光の検出動作によって得られた再生信号が直前に記録された前記記録信号と一致しない場合には、前記記録動作の異常を示す記録エラーを検出する構成にするとよい。このような構成とすることにより、前記記録動作の異常に対して早急な善後処置をとることが可能となる。
【0072】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記記録エラーを検出した場合には、現在の記録動作を中断して記録動作に異常を生じた前記記録信号の再記録動作を行う構成にするとよい。あるいは、該記録エラーが訂正可能範囲内であるか否かを判断し、訂正可能範囲外であれば現在の記録動作を中断して記録動作に異常を生じた前記記録信号の再記録動作を行う構成にしてもよい。
【0073】
このような構成とすることにより、結果として、前記記録動作が終了した時点で通常再生時における再生可能品質が満たされていることになるため、前記光磁気記録媒体に対する記録動作の高速化、高精度化に貢献することができる。また、前記再記録動作を行う必要が生じた場合であっても、前記磁界発生手段は前記記録エラーの発生位置に存在するため、従来のように改めて前記磁界発生手段を駆動し直す必要がない。従って、前記光磁気記録媒体に対する記録動作の高速化だけでなく、装置の消費電力低減についても貢献することができる。
【0074】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記反射光の検出時間は、前記レーザ光を点灯してから前記ビームスポットの温度が前記磁性記録膜のキュリー温度に達するまでに要する時間よりも短い構成にするとよい。このような構成とすることにより、再生信号のS/Nを低下させることなく、本来必要とする信号パルス、すなわち直前に記録された記録信号を高精度に検出することが可能となる。
【0075】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記再生信号検出手段は選択可能な複数の受光感度を有する構成にするとよい。このような構成とすることにより、通常の再生動作時であっても、記録動作中の再生動作時であっても、前記再生信号検出手段において検出される再生信号の強度は常に前記再生信号検出手段の検出可能範囲内に収められることになるため、正常な再生動作を行うことができる。
【0076】
また、上記構成から成る光磁気記録再生装置において、前記光磁気記録媒体に対する記録動作を行う前に、その記録動作を行おうとする記録領域に対して既に書き込まれている記録信号を予め消去する構成にするとよい。このような構成とすることにより、前記記録領域に対して既に書き込まれている前記記録信号に起因したノイズが前記再生信号に重畳する恐れはなくなるため、より高精度な再生動作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光磁気記録再生装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】ディスク5に対する記録動作の一例を示すタイミングチャート及び模式図である。
【図3】ディスク5に対する記録動作中の再生動作例を示すタイミングチャートである。
【図4】本実施形態の光磁気記録再生装置の一動作例を示すフロー図である。
【図5】従来の光磁気記録再生装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 レーザダイオード(LD)
2 偏光ビームスプリッタ(PBS)
3 コリメータレンズ
4 対物レンズ
5 光磁気ディスク
6 磁気ヘッド
7 磁気ヘッドドライバ回路
8 検光子
9 集光レンズ
10 光磁気信号検出器
11 コントロール回路
12 LDドライバ回路
Sw 記録信号
Sr 再生信号
Sc LDドライバ制御信号
Sg 受光感度選択信号
Ic コイル電流
Id LD駆動電流
Tb ビームスポット温度
Zb ビームスポット磁化
Claims (7)
- 光磁気記録媒体にレーザ光を照射して該光磁気記録媒体の磁性記録膜上にビームスポットを形成するレーザ照射手段と、前記光磁気記録媒体に対する記録信号に応じた磁界を発生する磁界発生手段と、前記光磁気記録媒体からの反射光を前記磁性記録膜の磁化方向に応じた偏向方向を持つ2つの光束として分離検出し、それらの強度差に応じた強度及び論理の再生信号を検出する再生信号検出手段と、前記レーザ光の強度を制御するレーザ光制御手段と、を有する光磁気記録再生装置において、
前記レーザ照射手段は、前記光磁気記録媒体の通常再生動作時には、再生用レーザ光を常時点灯させる一方、前記光磁気記録媒体に対する記録動作時には、前記記録信号に同期し、かつ、前記記録信号の各記録パルス幅を1周期として、記録用レーザ光を点灯/消灯させるものであり、
前記レーザ光制御手段は、前記光磁気記録媒体の通常再生動作時には、前記再生用レーザ光の強度として、その常時点灯によっても前記磁性記録膜の温度がそのキュリー温度に到達しないレベルに設定する一方、前記光磁気記録媒体に対する記録動作時には、前記記録用レーザ光の強度として、その点灯期間中に前記磁性記録膜の温度がそのキュリー温度に到達するレベルに設定するものであり、
前記再生信号検出手段は、前記光磁気記録媒体の通常再生動作時に前記再生信号の検出を行うほか、前記光磁気記録媒体の記録動作時においても、前記記録用レーザ光が点灯されてから前記磁性記録膜の温度がそのキュリー温度に到達するまでの間に、前記光磁気記録媒体から戻ってくる反射光を検出することで、直前の記録信号に対する再生信号の逐次検出を行うものであり、かつ、
前記レーザ照射手段及び前記磁界発生手段は、前記光磁気記録媒体に対する記録動作を行う前に、その記録動作を行おうとする記録領域に対して既に書き込まれている記録信号を予め消去するものであることを特徴とする光磁気記録再生装置。 - 前記レーザ光制御手段は、前記光磁気記録媒体の記録動作時に逐次検出される再生信号の強度に基づいて、前記記録用レーザ光の強度を制御することを特徴とする請求項1に記載の光磁気記録再生装置。
- 前記光磁気記録媒体の記録動作時に逐次検出される再生信号の論理が直前の記録信号の論理と一致しない場合、前記記録動作の異常を示す記録エラーを検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光磁気記録再生装置。
- 前記記録エラーを検出した場合、現在の記録動作を中断して記録動作に異常を生じた前記記録信号の再記録動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の光磁気記録再生装置。
- 前記記録エラーを検出した場合、該記録エラーが訂正可能範囲内であるか否かを判断し、訂正可能範囲外であれば現在の記録動作を中断して記録動作に異常を生じた前記記録信号の再記録動作を行うことを特徴とする請求項3に記載の光磁気記録再生装置。
- 前記光磁気記録媒体の記録動作時に行われる前記再生信号の検出時間は、前記記録用レーザ光を点灯してから前記磁性記録膜の温度がそのキュリー温度に達するまでに要する時間よりも短いことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光磁気記録再生装置。
- 前記再生信号検出手段は、前記光磁気記録媒体の記録動作時には、通常再生動作時に比べて、その受光感度を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光磁気記録再生装置。
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