JP3770332B2 - 水性塗料用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる水性塗料用樹脂組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、特定のビニル化脂肪酸と、ポリオール化合物とを縮合せしめ、塩基性化合物により中和せしめることによって得られるという特定の水性アルキド樹脂を、必須の被膜形成成分として含有することから成る、有機溶剤含量が少なく、しかも、とりわけ、貯蔵安定性などにも優れるし、はたまた、とりわけ、塗膜の耐水性、耐湿性、耐食性、加工性ならびに金属基材への密着性などにも優れるという、極めて実用性の高い水性塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境、省資源あるいは安全衛生の観点から、溶剤型塗料から、水性塗料への転換が求められつつある。とりわけ、アルキド樹脂は、その低価格性、良好なる塗膜表面の光沢性、独特の肉持ち感、そして、耐水性が良好なることなどの理由で、工業用途から汎用用途に至るまで、今なお、多く使用されている。
【0003】
斯かるアルキド樹脂の水性化も、古くから研究されてはいるけれども、アルキド樹脂の水性化において、最も大きな課題の一つは、貯蔵安定性を向上化せしめるということである。
【0004】
工業用途の目的のための塗料にあっては、塗料化してから、塗装するまでの期間は、比較的、短いというのが一般的ではあるが、使用期間の長い一般家庭用の塗料にあっては、とりわけ、高被膜外観ならびに刷毛での塗り易さなどの観点からも、長油系のアルキド樹脂が多く用いられており、これには、二年から三年の貯蔵安定性が要求される。
【0005】
また、夏場などのように、高温環境下で以て貯蔵するという場合があることを考えると、さらに、ハイレベルの安定性が、是非とも必要である。アルキド樹脂というものは、それ自体が、加水分解され易いエステル結合を多く含んでおり、したがって、加水分解により、塗膜の諸性能、就中、塗膜の耐水性ならびに耐食性などの諸性能が著しく低下したり、あるいは塗料の粘度が低下したりして、折角の最適なる塗料配合を設定化せしめてみても、往々にして、塗装時の流動特性が損なわれて仕舞ったりするものである。
【0006】
アルキド樹脂の水性化において、乳化剤あるいは界面活性剤を用いて樹脂を分散化せしめるという試みも為されたが、とりわけ、乾燥性が著しく悪いこと、乾燥塗膜中に多量に残存する、乳化剤や界面活性剤などに起因する耐水性の悪さなどの理由から、未だに、実用化されるには到っていないというのが、実状である。
【0007】
また、アルキド樹脂中に、多くの、親水性であるカルボキシル基を、ハーフ・エステル化させることによって残存せしめ、親水性有機溶剤と共に、水に希釈化せしめるという方法が、よく、行われて来たが、アルキド樹脂それ自体の加水分解が著しく、したがって、経時的なる塗膜諸性能の低下が著しいということである。
【0008】
一方、水に希釈化せしめないで、専ら、親水性有機溶剤で以て希釈化せしめることによって製品化する場合があるが、こうした場合には、どうしても、多量の溶剤で以て希釈化せしめるというようにしないと、樹脂粘度が高いゆえに、作業者による樹脂の取り扱いが容易ではなくなるようになって、斯かる有機溶剤量を低減化させづらいというのが、実状である。
【0009】
ところで、加水分解しにくい構造を持ったアルキド樹脂として、たとえば、ビニル系単量体が重合した部分が、加水分解され易いアルキド樹脂部を包囲する形のものを得るという技術が、特開昭50−115297号公報や、特開昭58−38748号公報などにより開示されてはいる。
【0010】
しかしながら、こうした技術に従って得られる、いわゆる複合エマルションというものは、加水分解され易いアルキド部が、加水分解されにくいビニル部により包囲されているという処から、概して、分散安定性こそ良好ではあるものの、そのビニル部の量が少ないという場合には、どうしても、分散安定性の良好なるものが得難い処となる。
【0011】
油あるいは脂肪酸を多量に含むという長油系アルキドは、必然的に、ビニル量が少なくなって仕舞うので、上掲したような、公報開示技術に従うというような諸方法は、少なくとも、長油系には不向きである、と言い得よう。
【0012】
もう一つ、加水分解されにくい構造を持ったアルキド樹脂を得る方法として、たとえば、無水マレイン酸を、不飽和脂肪酸に、ディールス・アルダー付加反応せしめ、次いで、此の付加反応物と、多価アルコールとをエステル化反応せしめるということによって、水性アルキド樹脂を得るという方法が、英国特許第1,032,364号明細書に開示されている。
【0013】
斯かる開示技術に従う場合には、親水性のカルボキシル基が、エステル結合によらずに、不飽和脂肪酸に結合されているというために、此の親水性基なるものは、加水分解によっては脱離し得ないという代物である。
【0014】
しかしながら、こうした方法によって得られるものは、どうしても、顔料との親和性の不足による、とりわけ、塗膜の光沢性が低いという問題点の存在が明らかとなっている。
【0015】
また、こうした方法を応用した形のものとして、特公平6−104770号公報には、不飽和脂肪酸と、アリルアルコールおよび芳香族ビニル系単量体の共重合体とを縮合せしめたものに、さらに、マレイン化という手段を施すことによって得られる水性アルキド樹脂が、非水性アルキド樹脂を包囲しているという形のアルキド・エマルジョン組成物が開示されている。
【0016】
ところが、斯かる開示技術の方法によれば、長油系のアルキドでも、安定的に分散するけれども、高温環境下での分散粒子の会合、あるいは高温環境下でのエマルジョンの減粘(粘度低下)は避けられ得なく、塗装時の流動特性の変化に繋がって仕舞うという問題があった。
【0017】
一般に、安定なる分散粒子を得る方法の一つとしては、樹脂それ自体の親水性基を増加せしめるという方法もあるにはあるが、勿論のことながら、斯かる親水性基の増大化が、とりわけ、塗膜の耐水性ならびに耐食性などを低下させ、加えて、乾燥塗膜の諸物性を低下させるということは、よく知られている処である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型技術に従う限りは、どうしても、低溶剤量などの、いわゆる環境対策条件下において、樹脂安定性ならびに塗料安定性の双方が良好であって、しかも、優れた耐水性ならびに耐食性などの塗膜諸物性を有するという、極めて実用性の高い水性塗料用樹脂組成物を得ることは、頗る、困難であって、まさしく、こうした、樹脂安定性ならびに塗料安定性の双方が良好であって、しかも、優れた耐水性ならびに耐食性などの塗膜諸物性を有するという、極めて実用性の高い水性塗料用樹脂組成物の開発が、切に、望まれている。
【0019】
しかるに、本発明者らは、上述したような従来型技術における種々の欠点の存在に鑑み、しかも、溶剤型塗料から、水性塗料への転換が求められつつあるという時代の要求に鑑みて、先ずは、有機溶剤含有量が少ないという、次いで、水性樹脂単独の状態でも、はたまた、塗料液の状態でも、貯蔵安定性に優れているという、極めて実用性の高い水性塗料用樹脂組成物を求めて、鋭意、研究を開始した。
【0020】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、一にかかって、有機溶剤含有量が少なくて、しかも、樹脂安定性ならびに塗料安定性の双方に優れるという、つまり、総合的なる貯蔵安定性にも優れているし、併せて、とりわけ、耐水性ならびに耐食性などのような、種々の塗膜諸物性を有するという、極めて実用性の高い水性塗料用樹脂組成物を提供するにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、こうした現状の認識と、従来型技術における種々の未解決の問題点の抜本的なる解決と、当業界における切なる要望との上に立って、鋭意、検討を重ねた結果、不飽和脂肪酸と、特定の諸ビニル系単量体とを重合せしめて得られるものであり、
【0022】
しかも、これらの諸々のビニル系単量体のうちの、スチレンなる原料成分が、該スチレンなる成分と、その他のビニル系単量体なる成分、つまり、カルボキシル基含有ビニル系単量体と、スチレンとを除く、その他のビニル系単量体との合計量に対して、少なくとも20重量%含まれているという特定のビニル化脂肪酸と、ポリオール化合物とを縮合せしめたのち、塩基性化合物により中和せしめることによって得られる水性アルキド樹脂は、それ自体が、
【0023】
常温での安定性が良好なることは、勿論のこと、50℃という高温環境下でも、優れた安定性を有するということに加えて、それぞれ、当該水性アルキド樹脂を必須の被膜形成成分とする水性塗料用樹脂組成物が、あるいはさらに、硬化剤あるいは金属ドライヤーを配合せしめた形の水性塗料用樹脂組成物が、その乾燥後ないしは焼き付け後の塗膜は優れた耐水性、耐湿性ならびに耐食性などを示し、その上、良好なる、加工性ならびに金属基材への密着性などをも発現するということを見出すに及んで、本発明を完成させるに到った。
【0024】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明は、基本的には、第一に、不飽和脂肪酸(a−1)と、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)と、スチレン(a−3)と、その他のビニル系単量体(a−4)とを重合せしめることにより得られるものであって、しかも、上記したスチレン(a−3)が、該(a−3)成分と、上記(a−4)成分との合計量に対して、少なくとも20重量%含まれているビニル化脂肪酸と、多価アルコールと多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸とを縮合せしめるか、又は動物油、植物油および/またはその脂肪酸と、多価アルコールと、多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸とを縮合せしめることによって得られるポリオール化合物とを縮合せしめ、塩基性化合物により中和せしめることによって得られる水性アルキド樹脂(A)とアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物およびブロック型ポリイソシアネート化合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の硬化剤(B)とを、必須の被膜形成成分として含有することから成る、水性塗料用樹脂組成物を請求しようとするものであるし、
【0026】
そして、第に、叙上のような特定のビニル化脂肪酸と、ポリオール化合物とを縮合せしめ、塩基性化合物により中和せしめることによって得られる水性アルキド樹脂(A)と、金属ドライヤー(C)とを、必須の構成成分として含有することから成る、水性塗料用樹脂組成物をも請求しようとするものである。
【0027】
さらに、本発明は、具体的には、それぞれ、上記した縮合生成物が、上記したカルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)に由来するカルボキシル基のモル数として、該カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)なる成分と、上記したスチレン(a−3)なる成分と、上記した、その他のビニル系単量体(a−4)なる成分との合計量に対して、10〜60モル%なる範囲内のものであるという、特定の形の水性塗料用樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0028】
上記したビニル化脂肪酸が、上記したカルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)として、メタクリル酸を用いたものであるという、特定の形の水性塗料用樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0029】
上記したビニル化脂肪酸が、該ビニル化脂肪酸を基準として、上記した不飽和脂肪酸(a−1)を、20〜70重量%なる範囲内で以て含むものであるという、特定の形の水性塗料用樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0032】
上記した水性アルキド樹脂(A)が、該水性アルキド樹脂(A)のトリグリセライド換算油長として、20〜70%なる範囲内のものであるという、特定の形の水性塗料用樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0034】
《構成》
【0035】
以下に、本発明を、詳細に説明することにする。
【0036】
ここにおいて、まず、本発明の水性塗料用樹脂組成物の必須構成成分たる水性アルキド樹脂(A)とは、前述した通り、原料成分たる、それぞれ、不飽和脂肪酸(a−1)と、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)と、スチレン(a−3)と、その他のビニル系単量体(a−4)とを重合せしめることにより得られるものであって、しかも、上記したスチレン(a−3)が、該(a−3)成分と、上記(a−4)成分との合計量に対して、少なくとも20重量%含まれているという、特定のビニル化脂肪酸と、ポリオール化合物とを縮合せしめ、次いで、塩基性化合物により中和せしめることによって得られるものを指称する。
【0037】
そして、当該水性アルキド樹脂(A)を調製する際に必要となる、此のビニル化脂肪酸という成分は、たとえば、不飽和脂肪酸(a−1)と、特定のビニル系単量体混合物との重合によって得られるものを指称している。
【0038】
ここにおいて、上記した不飽和脂肪酸(a−1)としては、動物油または植物油から合成されるという、公知慣用の種々の脂肪酸が用いられるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、亜麻仁油、大豆油、サフラワー油、支那桐油、あさみ油、えの油またはトール油の如き、各種の脂肪酸などをはじめ、
【0039】
さらには、脱水ひまし油脂肪酸またはハイ・ジエン脂肪酸などのような、ヨウ素価が約130以上なる、種々の不飽和脂肪酸などが使用され得るし、さらにはまた、米糠油、ひまし油、なたね油または綿実油などのような種々の脂肪酸などをも、上掲したような種々の不飽和脂肪酸と組み合わせた形で以て、併用することが、勿論、可能である。
【0040】
次いで、上述したような不飽和脂肪酸(a−1)と共重合される原料成分の一つである、前記カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル酸、メタクリル酸もしくはクロトン酸の如き、各種のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸類;
【0041】
またはマレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸類などをはじめ、さらには、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の如き、各種の酸無水物類;あるいは此等の酸無水物類のモノエステル化物などである。
【0042】
これらのカルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)の使用量としては、該単量体(a−2)に由来するカルボキシル基のモル数が、それぞれ、当該ビニル系単量体(a−2)なる成分と、スチレン(a−3)なる成分と、その他のビニル系単量体(a−4)なる成分との合計モル量に対して、10〜60モル%なる範囲内が、好ましくは、15〜55モル%なる範囲内が適切である。
【0043】
10モル%よりも少ないという場合には、どうしても、とりわけ、分散安定性などの欠除した形のものしか得られないというようになって仕舞うし、一方、60モル%より超えて余りにも多くなるという場合には、どうしても、アルキド樹脂と、ビニル部との相溶性が悪くなり易く、ひいては、乾燥塗膜が白化して仕舞うというようになり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0044】
本発明においては、当該カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)のうちでも、とりわけ、塗膜の初期乾燥性、硬度、耐水性ならびに耐食性などの面からするならば、上掲したメタクリル酸の使用が、特に望ましいということである。
【0045】
また、当該スチレンは、該スチレンと、その他のビニル系単量体の合計量に対して、少なくとも20重量%以上という範囲内で、好ましくは、30〜70重量%なる範囲内で以て使用される。
【0046】
20重量%よりも少ないという場合には、どうしても、40℃とか、あるいは50℃というような、いわゆる高温環境下においては、分散性の安定なるものは得られ難く、ひいては、水分散体それ自体の顕著なる粘度減少が起こり、特に、50℃という温度下においては、1ヵ月程度で以て、不均一状態となって仕舞うということである。一方、70重量%を超えて余りに多くなるというような場合には、どうしても、水分散体それ自体の水希釈性が悪くなるという場合もあるので、いずれの場合も好ましくない。
【0047】
次いで更に、前記した、その他のビニル系単量体(a−4)とは、前述した、それぞれ、(a−1)成分、(a−2)成分および(a−3)成分以外の重合性を有する化合物を指称するものであり、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0048】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルもしくは(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのような、(メタ)アクリル酸の、公知慣用の種々のアルキルエステル類などである。
【0049】
さらには、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルもしくは(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのような、(メタ)アクリル酸の、公知慣用の種々のヒドロキシアルキルエステル類の使用も、後続する縮合反応工程で以て、ゲル化などの、いわゆる不祥事を起こさないような量さえであれば、勿論、可能である。
【0050】
さらにはまた、メトキシポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレートなどの使用も、安定なる水分散体を得るという上で以て望ましく、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレートの使用もまた、塗膜諸物性を考慮した上で以て、勿論、可能である。
【0051】
これらの、それぞれ、不飽和脂肪酸(a−1)と、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)と、スチレン(a−3)と、その他のビニル系単量体(a−4)との重合反応そのものは、公知慣用の種々の方法に従って行うことが出来る。
【0052】
そうした方法のうちの、特に代表的なる一例を挙げることにすれば、トルエンもしくはキシレンの如き、各種の芳香族系溶剤;メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトンの如き、各種のケトン系溶剤;または酢酸エチルもしくは酢酸ブチルの如き、各種のエステル系溶剤などのような種々の有機溶剤の存在下において、不活性ガス雰囲気中に、約70〜約150℃なる温度範囲で、重合開始剤を使用しての重合反応というものである。
【0053】
後続する縮合反応工程において、何らの影響をも及ぼさないというような使用量でさえ、あるいは適切なる処置でさえ行うならば、イソプロパノール(i−プロパノール)もしくはn−ブタノールの如き、各種のアルコール系溶剤;またはエチルセロソルブもしくはブチルセロソルブの如き、各種のグルコールエーテル系溶剤の使用もまた、勿論、可能なことである。
【0054】
さらにまた、何らの有機溶剤をも使用しないという、いわゆる塊状重合法で以て行ってもよいし、アルキド樹脂などのような、いわゆる不飽和結合含有ポリマー類の存在下において、此の重合反応を行ってもよいことは、勿論である。
【0055】
前掲して来たような、それぞれ、(a−2)成分、(a−3)成分および(a−4)成分なる種々のビニル系単量体と、不飽和脂肪酸(a−1)との共重合工程において、これら、(a−2)成分、(a−3)成分および(a−4)成分よりなる混合単量体の総使用量が多く、発熱が顕著なる場合には、間欠添加あるいは連続添加(ないしは連続滴下)で以て添加してもよいし、一方、混合単量体の総使用量が少ない場合には、該混合単量体は、一括で以て添加してもよく、また、必要があれば、連鎖移動剤を添加してもよい。
【0056】
ここにおいて、上記した重合開始剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートもしくはベンゾイルパーオキシドの如き、各種の有機過酸化物などであって、こうした化合物が好適ではあるが、勿論ながら、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
もしくは2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの如き、各種のアゾ化合物の使用も可能であるし、また、それらの併用も可能である。
【0057】
上記した連鎖移動剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、tert−ドデシルメルカプタン、ノルマルドデシルメルカプタン(n−ドデシルメルカプタン)もしくはノルマルオクチルメルカプタン(n−オクチルメルカプタン)の如き、各種のアルキルメルカプタン類;またはα−メチルスチレンダイマーなどであって、こうした化合物が好適である。
【0058】
ビニル化脂肪酸中の不飽和脂肪酸(a−1)の量としては、20〜70重量%なる範囲内が適切であるし、好ましくは、30〜60重量%なる範囲内が適切である。20重量%未満であるという場合には、どうしても、何ら、不飽和脂肪酸(a−1)とは共重合していないような、いわゆるビニル部が増えるというようになる処から、とりわけ、分散安定性などの欠除したものが得られるようになって仕舞い易いし、一方、70重量%を超えて余りに多くなるという場合には、とりわけ、乾燥性、耐水性ならびに耐食性などの塗膜諸物性が著しく低下して仕舞うようになり易いので、いずれの場合も好ましくない。
【0059】
かくして得られるビニル化脂肪酸と、片や、ポリオール化合物とを、さらに、エステル化反応を通して結合させるというわけであるが、こうしたポリオール化合物としては、水酸基価が50〜300なる範囲内のものが、好ましくは、100〜250なる範囲内のものが選ばれる。
【0060】
水酸基価が50未満であるという場合には、エステル化反応それ自体が円滑に進みにくくなり易いし、ひいては、ポリオール化合物とビニル化脂肪酸との結合部位が少なくなって仕舞うようになり易く、したがって、分散不可能なものが得られるというようになって仕舞うし、一方、300を超えて余りに高くなるような場合には、どうしても、水中で以て、分散粒子中の核(コア)になる部分の分子量そのものの大きさが充分ではないということになり易く、ひいては、こうした分子量の不十分さに起因する、乳化作用を持つ部分の、コアからの脱離により、塩基性化合物によって、中和し水性化せしめるという際に、いわゆる非分散状態となって仕舞うので、いずれの場合も好ましくない。
【0061】
ここにおいて、上記したポリオール化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルキド樹脂、ビニル変性アルキド樹脂、イソシアネート変性アルキド樹脂またはシリコーン変性アルキド樹脂などである。
【0062】
ここで言うアルキド樹脂とは、言い換えると、ビニル、イソシアネートまたはシリコーンなどで以て変性される以前のアルキド樹脂とは、多価アルコールと、多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸(ただし、脂肪酸を含まない。)とを縮合反応せしめることによって得られるようなもの、つまり、通常、オイルフリーアルキド樹脂と呼ばれる形のものであるとか、
【0063】
あるいは動物油、植物油および/またはその脂肪酸と、多価アルコールと、多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸(ただし、脂肪酸は含まない。)とを縮合反応せしめることによって得られるもの、つまり、通常、油ないしは脂肪酸変性アルキド樹脂と呼ばれる形のものなどを指称する。
【0064】
そして、上記した多価カルボン酸として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、一分子中に2〜4個なるカルボキシル基を有するものなどであり、そうしたもののうちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロプタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、「ハイミック酸」[日立化成工業(株)製品;此の「ハイミック酸」は同上社の登録商標である。]、トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸またはピロメリット酸などであり、あるいは此等の無水物などである。
【0065】
他方、上記したモノカルボン酸として特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、安息香酸またはp−tert−ブチル安息香酸などである。
【0066】
また、上記した多価アルコールとして特に代表的なもののみを例示するにとどめるならば、一分子中に2〜6個の水酸基を有するようなものなどであり、そうしたもののうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめるならば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールなどであるし、さらには、トリスイソシアヌレートなどである。
【0067】
斯かるアルキド樹脂は、公知慣用の種々の合成法に従って得られるものであって、その一例のみを挙げるにとどめれば、脂肪酸と、多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸と、多価アルコールとを、一緒に加えて、エステル化反応せしめるという、通常、脂肪酸法と呼ばれる合成法や、油と、多価アルコールとをエステル交換反応せしめてから、多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸と、残りの多価アルコールとを、エステル化反応せしめるという、通常、モノグリセリド法と呼ばれる方法などがある。
【0068】
なお、斯かるエステル化反応を行うに当たっては、キシレンなどのような、水と共沸する不活性溶剤を添加してもよいということである。
【0069】
また、上記したオイルフリーアルキド樹脂として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、主として、大日本インキ化学工業(株)製の「ベッコライトM−6205−50」などであるし、さらに、上記した油ないしは脂肪酸変性アルキド樹脂として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、主として、同上社製の「ベッコゾール EZ−3020−60」などである。
【0070】
上記したビニル変性アルキド樹脂も、公知慣用の種々の合成法に従って得られるというようなものであればよい。その一例のみを挙げるにとどめれば、アルキド樹脂の存在下に、重合開始剤を用いて、スチレンおよび/またはビニル系単量体、就中、アクリルモノマーをビニル重合せしめるというような方法が挙げられるが、このような方法などが、その一例に該当するというものである。
【0071】
上記したイソシアネート変性アルキド樹脂もまた、公知慣用の種々の合成法に従って得られるというようなものであればよく、通常は、アルキド樹脂の生成後において、トリレンジイソシアネートやメチレンビスフェニルイソシアネートなどのようなジイソシアネート化合物を、場合によっては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)−トリメチロールプロパン(TMP)のアダクト体(つまり、TMP変性のHDI)などのような、ポリイソシアネート化合物を重付加反応せしめるというような方法などが挙げられるが、こうした方法などが、その一例に該当するというものである。
【0072】
上記したシリコーン変性アルキド樹脂についてもまた、公知慣用の種々の合成法に従って得られるというようなものであればよく、そのような形の変性樹脂の代表的な一例のみを挙げるにとどめれば、大日本インキ化学工業(株)製の「ベッコゾール M−9201もしくはM−9202」などである。
【0073】
かくて、ビニル化脂肪酸と、ポリオール化合物との縮合反応、いわゆるエステル化反応というものは、これらの、ビニル化脂肪酸と、ポリオール化合物とを混合して加熱せしめるということにより行われる。なお、この際において、モノカルボン酸および/または多価カルボン酸を、新たに添加して反応せしめるようにしても、何ら、差し支えはない。
【0074】
その際のエステル化温度としては、約170〜約210℃なる範囲内が適切であるが、とりわけ、反応速度の観点からは、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)の種類によって、適切なるエステル化温度を、適宜、選定するというのが望ましい。
【0075】
たとえば、此のカルボキシル基含有ビニル系単量体がアクリル酸の場合には、上掲したような温度範囲内でも、比較的、低めの温度で以て反応せしめるというのがよく、メタクリル酸の場合には、上掲したような温度範囲内でさえあれば、いずれの温度においても、反応は円滑に進むということである。
【0076】
そして、斯かる反応は、樹脂の安定性ならびに塗膜諸物性などを考慮すれば、好ましくは、固形分の樹脂酸価が、此のカルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)のカルボキシル基に由来する酸価を基準にして、±5なる範囲内に、さらに好ましくは、±2なる範囲内に達した処で以て、止めるというようにすべきである。
【0077】
なお、上掲したようなポリオール化合物を合成せしめたのち、これに、不飽和脂肪酸(a−1)を添加し混合せしめ、必要ならば、少量の不活性有機溶剤を添加して、前記した、それぞれ、(a−2)成分、(a−3)成分および(a−4)成分なる各ビニル系単量体を付加重合せしめ、引き続いて更に、昇温をして、エステル化反応を行わしめるという、いわゆる一段合成法で以ても、本発明において用いられる水性アルキド樹脂(A)の調製は可能であって、ビニル化脂肪酸それ自体の合成を、上掲したようなポリオール化合物の存在下において行うということは、何ら、差し支えがない。
【0078】
このようにして得られる縮合反応生成物(縮合生成物)たる樹脂を水性化せしめるという際には、斯かる樹脂と共存させるべき親水性の有機溶剤としては、次のような種々のものが挙げられる。それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコールと、それぞれ、メタノール、エタノール、プロパノールもしくはブタノールとのモノエーテル化物などのような、
【0079】
プロピレングリコールと、それぞれ、メタノール、エタノール、プロパノールもしくはブタノールとのモノエーテル化物などのような、またはジエチレングリコールと、それぞれ、メタノール、エタノール、プロパノールもしくはブタノールとのモノエーテル化物などのような、あるいはジプロピレングリコールと、それぞれ、メタノール、エタノール、プロパノールもしくはブタノールとのモノエーテル化物などのような、
【0080】
あるいはまた、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル(一般名を3−メトキシブタノールともいう。)または3−メチル−3−メトキシブタノール〔別名を「ソルフィット」ともいい、此の「ソルフィット」は、(株)クラレの登録商標である。〕などのような、種々のエーテルアルコール類;さらには、酢酸メチルセロソルブの如き、20℃で以て、水に無限に可溶なるエーテルエステル類などである。
【0081】
これらの有機溶剤の使用量としては、水中での安定的なる分散という観点からは、水性アルキド樹脂(A)中に、約10重量%を超えないというような割合であればよく、このような限定された量で以て含まれていることが望ましい。約10重量%を超えるという場合には、当該樹脂の、分散媒相への溶解性が増大するということで、分散形態あるいは水溶形態を維持しづらくなるというような場合もあるので、特に注意を要する。
【0082】
斯かる縮合反応生成物(縮合生成物)たる樹脂は、該樹脂を水性化せしめるという際に、そのカルボキシル基の一部または全部が、塩基性化合物によって中和される処となる。
【0083】
その際に用いるべき上記塩基性物質として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アンモニアなどをはじめ、さらには、有機アミンあるいはアルカリ金属の水酸化物などを使用することが出来るが、上記した有機アミンとして特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミンまたはジプロピルアミンの如き、各種のアルキルアミンなどをはじめ、
【0084】
さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの如き、各種のアミノアルコール類などである。
【0085】
また、上記した、アルカリ金属の水酸化物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどである。とりわけ、得られる水性アルキド樹脂(A)の分散安定性などの観点からは、これらのうちでも特に好ましいものとしては、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンおよび20℃で水に完溶(完全溶解)する親水性の有機アミンなどであるが、樹脂の水性化能を調節するというために、上掲したような種々の化合物を、適宜、組み合わせて用いることも出来る。
【0086】
ここにおいて、こうした一連の、縮合反応生成物(縮合生成物)たる樹脂の水性化の際の、いわゆる中和当量についても言及をしておくことにすれば、斯かる中和当量としては、約0.4〜約1.2当量なる範囲内が、好ましくは、0.6〜1.0当量なる範囲内が適切である。
【0087】
次いで、前記した硬化剤(B)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物あるいはブロック型ポリイソシアネート化合物などであるが、本発明にあっては、こうした、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物およびブロック型ポリイソシアネート化合物よりなる群から選択される、少なくとも1種の化合物を、前述した水性アルキド樹脂(A)に添加配合せしめるということによって、それぞれ、常温乾燥型、強制乾燥あるいは焼き付け型などの塗料として使用することが出来る。
【0088】
また、本発明にあっては、金属ドライヤー(C)を、いわゆる酸化硬化触媒として添加配合せしめるということによっても、常温乾燥型や、強制乾燥型などの塗料として使用することが出来るが、上掲したような、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物および/またはブロック型ポリイソシアネート化合物という硬化剤(B)と併用することも、勿論ながら、可能である。
【0089】
ここで言うアミノ樹脂とは、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンまたはスピログアナミンなどに、ホルムアルデヒドなどに代表される、いわゆるホルマリン供給物質を反応せしめたのち、あるいは反応後において縮合せしめたのちに、メタノール、エタノール、n−ブタノールまたはイソブタノール(i−ブタノール)などのような、種々の低級1級アルコールを反応せしめるということによって得られるような種々の化合物を指称するものであり、
【0090】
そうした形のものとして特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、大日本インキ化学工業(株)製の「ベッカミン P−138もしくはG−1850」;または同上社製の「スーパーベッカミン L−117−60、G−821−60、L−105−60もしくはL−148−55」などである。
【0091】
本願発明において、当該アミノ樹脂としては、通常、水性系で以て使用されるという処から、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエチル共エーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエチル共エーテル化ベンゾグアナミン樹脂またはメチルエーテル化・メラミンベンゾグアナミン共縮合樹脂などのような形のアミノ樹脂の使用が望ましく、
【0092】
そのような形のアミノ樹脂として特に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、大日本インキ化学工業(株)製の「ウォーターゾール S−695もしくはS−683−IM」;または(有)三井サイアナミッド製の「サイメル 300、301、303、325、370もしくは1123」などであるが、本発明においては、決して、これらの例示例のみに限定されるというようなものではない。
【0093】
当該アミノ樹脂の使用量としては、水性アルキド樹脂(A)の固形分の100重量部に対して、固形分で以て、約3〜約100重量部なる範囲内が、すなわち、約3〜約100重量部(固形分)なる範囲内が適切であり、好ましくは、5〜50重量部(固形分)なる範囲内が適切である。
【0094】
また、前記したポリイソシアネート化合物とは、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有するような化合物を指称するものであって、それらのうちでも特に代表的なるもののみを例示するにとどめることにすれば、トリレンジイソシアネートもしくはジフェニルメタンジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシアネート化合物;
【0095】
ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサンジイソシアネートの如き、各種の脂肪族ジイソシアネート化合物;またはイソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアネート)もしくは1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサンの如き、各種の脂環式ジイソシアネート化合物;
【0096】
あるいは上掲した、これらの種々のジイソシアネート化合物と、エチレングリコールなどをはじめ、さらには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリカプロラクトンポリオールなどで以て代表されるような、種々のポリエーテルポリオールなどであるし、
【0097】
あるいはまた、トリメチロールエタンもしくはトリメチロールプロパンの如き、各種の多価アルコールなどであるし、イソシアネート基と反応し得る官能基を有する低分子ポリエステル樹脂(油あるいは脂肪酸変性タイプをも含む。)や、アクリル系共重合体や、水などとの付加物;
【0098】
あるいはさらに、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート当モル付加物や、イソシアネートエチルメタクリレートなどのような、イソシアネート基と重合性不飽和基とを併有する、種々の重合性不飽和単量体を必須成分とした共重合体などであり、
【0099】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、大日本インキ化学工業(株)製の「バーノック D−750、D−800、DN−950もしくはDN901S」などであるが、本発明においては、通常、水性系で以て添加使用されるという処から、水溶性、水分散型あるいは水乳化型ポリイソシアネート化合物の使用が望ましく、
【0100】
そのようなものとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ドイツ国バイエル社製の、それぞれ、「Bayhydur LS−2980、LS−2980もしくはLS−2032」などで以て代表されるような、水性ポリイソシアネート化合物などであるが、本発明においては、決して、これらの例示例のみに限定されるというようなものではない。
【0101】
さらに、前記したブロック型ポリイソシアネート化合物とは、上掲したような種々のポリイソシアネート化合物を、公知慣用の種々のブロック化剤で以て、常法により、ブロック(化)せしめた形のものを指称するものであるが、まず、斯かるブロック化剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、フェノール、クレゾール、イソノニルフェノール、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシム、ベンゾトリアゾール、ジエチルマロネートまたはエチルアセトアセテートなどであって、
【0102】
こうした種々のブロック剤を、上掲したような種々のポリイソシアネート化合物中の活性なるイソシアネート基に反応させて、ブロック(化)ないしはマスク(化)せしめた形のものであり、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、大日本インキ化学工業(株)製の、それぞれ、「バーノック D−500、D−550もしくはB3−867」などである。
【0103】
当該ブロック型ポリイソシアネート化合物もまた、水性系で以て添加使用されるという処から、水溶性、水分散型あるいは水乳化型ブロックイソシアネートの使用が望ましく、そのようなものとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、明成化学工業(株)製の「FS−8000」などのような、種々の水溶性ブロックイソシアネートなどであるし、
【0104】
第一工業製薬(株)製の、それぞれ、「エラストロン BN−69、BN−44、BN−08もしくはBN−11」のような、種々の水分散型あるいは水乳化型ブロックイソシアネートなどであるが、本発明においては、決して、これらの例示例のみに限定されるというようなものではない。
【0105】
これらのポリイソシアネート化合物およびブロック型ポリイソシアネート化合物は、水性アルキド樹脂(A)の固形分の水酸基量に対して、ヒドロキシル基(OH)/イソシアネート基(NCO)なるモル比で以て、1/0.2〜1/5なる範囲内で使用されるというのが適切であり、好ましくは、1/0.5〜1/2の範囲内が適切であるし、さらに好ましくは、1/0.8〜1/1.2の範囲内が適切である。
【0106】
このようにして得られた水性アルキド樹脂(A)には、無機顔料あるいは有機顔料、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤または皮張り防止剤などのような、公知慣用の種々の添加剤が、適宜、配合され得る。
【0107】
塗装された被塗物は、アミノ樹脂あるいはブロック型ポリイソシアネート化合物に関しては、通常、高温での焼付硬化条件下で以て乾燥されるし、その際の温度として特に限定はないが、約120〜約200℃なる範囲内が適切である。
【0108】
しかし、いずれも、アミノ樹脂における強酸触媒などを用いるとか、ブロック型ポリイソシアネート化合物における錫触媒などを用いるということにより、より一層の低温条件で以て硬化させることも可能である。また、ポリイソシアネート化合物を使用するという場合においては、通常、強制乾燥によって硬化されるか、あるいは常温乾燥条件下で以て硬化されるが、高温で以て加熱硬化せしめるということもまた、可能である。
【0109】
次いで、前記した金属ドライヤー(C)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ナフテン酸またはオクチル酸の如き、各種の脂肪族カルボン酸の、それぞれ、コバルト、鉛、亜鉛、マンガン、銅、鉄、カルシウム、バリウムもしくはジルコニウムの如き、各種の金属塩化合物などであり、そうした化合物の一例のみを挙げるにとどめれば、大日本インキ化学工業(株)製のPb−ナフテネート(有効金属含有率=20重量%)、Co−ナフテネート(有効金属含有率=5重量%)またはPb−オクトエートないしはオクテート(有効金属含有率=24重量%)などである。
【0110】
当該金属ドライヤー(C)としては、水性系で添加使用されるという処から、水性系の金属ドライヤーの使用が望ましく、そのようなものとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、大日本インキ化学工業(株)製の「ディックネート 3111もしくは1000W」などであるが、本発明においては、決して、これらの例示例のみに限定されるというようなものではない。
【0111】
勿論、カルボン酸金属塩化合物を、数種類、混合した形のもの(通常、「ミックス・ドライヤー」と呼ばれる。)の使用もまた、可能である。そのようなものとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ドイツ国ヘキスト社製の「Additol VWX−4940」または東栄化工(株)製の「ハイキュアー MIX」などがであるが、本発明においては、決して、これらの例示例のみに限定されるというようなものではない。
【0112】
当該金属ドライヤー(C)の添加量としては、概ね、水性アルキド樹脂(A)の固形分の100グラム(g)に対して、金属分の合計モル量が、0.005モル以下、好ましくは、0.003モル以下となるような割合が適切であるが、このような割合となるようにして添加配合すべきである。
【0113】
本発明に係る水性塗料用樹脂組成物の主たる用途としては、自動車、鉄道車両、機械、家具、缶あるいは建築材料などのような種々の金属素材ないしは金属製品;自動車部品あるいは家電製品などのような種々のプラスチック素材ないしは製品;家具あるいは建築材料などのような木工素材ないしは製品;そして、建築材料あるいはガラスなどのような種々の無機質素材あるいは製品などであるが、本発明は、決して、これらの例示例の用途のみに限定されるというようなものではない。
【0114】
本発明に係る水性塗料用樹脂組成物を塗装すべき、主たる基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、鉄板、ステンレス・スチール板、クロム・メッキ板、トタン板もしくはブリキ板またはアルミニウム板、アルミサッシもしくはアルミフォイルの如き、鉄ないしは非鉄金属系の各種の金属素材あるいは金属製品類などをはじめとして、さらには、瓦またはガラスなどである。
【0115】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、さらに一層、具体的に説明するということにするが、本発明は、決して、それらの例示例のみに限定されるというようなものではない。以下において、部および%は、特に断りの無い限りは、すべて、重量基準であるとする。
【0116】
参考例1(ビニル化脂肪酸の調製例)
攪拌機、温度計、不活性ガス導入管、滴下漏斗および還流管を備えたガラス製反応容器に、脱水ヒマシ油脂肪酸の100部と、キシレンの124部とを、初期に仕込んで、窒素ガスを導入しながら、130℃にまで昇温した。
【0117】
予め調製しておいた、イソブチルメタクリレートの89部と、スチレンの59部と、メタクリル酸の33部と、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの9部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下したのち、モノマー転化率が95%を超えるまで、130℃を保って反応を続行せしめることによって、固形分酸価が143なる、外観の透明な樹脂(目的ビニル化脂肪酸)の溶液を得た。
【0118】
参考例2(アルキド樹脂の調製例)
攪拌機、温度計、不活性ガス道入管およびガラス製多段精留塔を備えたガラス製反応容器に、大豆油脂肪酸の100部を仕込んで、窒素ガスを導入しながら昇温して、ここへ、トリメチロールプロパンの129部と、ネオペンチルグリコールの47部と、イソフタル酸の170部と、アジピン酸の23部とを、順次、仕込んだ。
【0119】
170℃に達したところで、ジブチル錫オキシドの0.06部を添加し、さらに、180℃にまで昇温して、此の温度で、2時間のあいだ反応を継続させた。次いで、4時間をかけて、240℃にまで昇温をし、固形分酸価が6になるまで反応を続行せしめた。かくして得られた樹脂は、その水酸基価が147というものであった。
【0120】
参考例3〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
攪拌機、温度計、不活性ガス導入管ならびに揮発溶剤を捕集するためのガラス製キャッチャー・タンクを備えたガラス製反応容器に、参考例1で得られたビニル化脂肪酸溶液の100部と、参考例2で得られたアルキド樹脂の103部とを仕込んで、200℃にまで昇温し、溶融混合化せしめた。
【0121】
昇温中の、此の溶融混合液は不透明でこそあったけれども、温度が約200℃に達した時点で以て、該溶融混合液は透明になった。固形分酸価が32になるまで、同温度で以てエステル化反応を行い、次いで、揮発分を減圧除去せしめたのちに、ブチルセロソルブの26部を添加した。
【0122】
かくして得られた樹脂の不揮発分は86%であったし、25℃におけるガードナー気泡粘度計による溶液粘度(この粘度は、ブチルセロソルブの50%樹脂溶液として測定をしているが、以下においてもまた、溶剤の種類と、その溶液の濃度を変更することはあるが、それ以外は、概ね、此の要領で行っている。)はTであった。
【0123】
さらに、これに、9部のトリエチルアミンを添加して、60℃の温度で、よく混合せしめたのち、60℃に保持しながら、イオン交換水の244部を、間欠的に添加して行った処、不揮発分38%で、かつ、pHが8.9なる、半透明状の目的水性樹脂(トリグリセライド換算油長=30%)が得られた。
【0124】
なお、此の水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤量は5〜6%なる範囲内であり、しかも、「レーザー粒径解析システム PAR−III」[大塚電子(株)製品)により測定した結果、平均分散粒子径は、重量平均で以て、22ナノメーター(nm)であった。
【0125】
参考例4(ビニル化脂肪酸の調製例)
参考例1と同様の反応容器に、脱水ヒマシ油脂肪酸の100部と、キシレンの124部との初期仕込みをし、窒素ガスを導入しながら、130℃にまで昇温した。
【0126】
予め調製しておいた、イソブチルメタクリレートの72部と、スチレンの48部と、メタクリル酸の60部と、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの9部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下したのち、モノマー転化率が95%を超えるまで、130℃を保持して、反応を続行せしめることによって、固形分酸価が203なる、外観の透明な樹脂(目的ビニル化脂肪酸)の溶液を得た。
【0127】
参考例5(アルキド樹脂の調製例)
参考例2と同様の反応容器に、大豆油脂肪酸の100部を仕込んで、窒素ガスを導入しながら昇温して、トリメチロールプロパンの128部と、ネオペンチルグリコールの31部と、イソフタル酸の125部と、アジピン酸の43部とを、順次、仕込んだ。
【0128】
170℃に達したところで、ジブチル錫オキシドの0.06部を添加し、さらに、180℃にまで昇温して、此の温度で、1.5時間のあいだ反応を継続せしめた。引き続いて、3時間をかけて、240℃にまで昇温をし、固形分酸価が6になるまで反応を続行せしめた。かくして得られた樹脂は、その水酸基価が153というものであった。
【0129】
参考例6〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例3と同様の反応容器に、参考例4で得られたビニル化脂肪酸溶液の73部と、参考例5で得られたアルキド樹脂の126部とを仕込んで、190℃にまで昇温して、溶融混合化せしめた。昇温中の、此の溶融混合液は不透明でこそあったけれども、温度が190℃に達した時点で以て、此の溶融混合液は透明となった。
【0130】
固形分酸価が38になるまで、同温度で、エステル化反応を行い、次いで、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの26部を添加せしめた処、ここに得られた目的水性アルキド樹脂は、その不揮発分が85%であり、かつ、ガードナー気泡粘度計による溶液粘度がOというものであった。
【0131】
さらに、これに、12部のトリエチルアミンを添加して、60℃の温度で、よく混合せしめたのち、60℃に保持しながら、イオン交換水の248部を、間欠的に添加して行った処、不揮発分38%で、かつ、pHが8.6なる、少しく透明がかった、乳濁状の目的水性樹脂(トリグリセライド換算油長=30%)が得られた。
【0132】
なお、この水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤量は5〜6%の範囲内にあり、しかも、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、37nmであった。
【0133】
参考例7(ビニル化脂肪酸の調製例)
参考例1と同様の反応容器に、トール油脂肪酸の30部および亜麻仁油脂肪酸の201部と、キシレンの180部との初期仕込みをし、窒素ガスを導入しながら、130℃にまで昇温をした。
【0134】
予め調製しておいた、n−ブチルメタクリレートの72部と、スチレンの48部と、メタクリル酸の60部と、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの9部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下した。
【0135】
滴下終了後も、モノマー転化率が95%を超えるまで、此の130℃を保持して、反応を続行せしめた処、固形分酸価が142なる、外観の透明な樹脂(目的ビニル化脂肪酸)の溶液を得た。
【0136】
参考例8(アルキド樹脂の調製例)
精留塔を取り外して、直接、大気開放系に変更をするようにした以外は、参考例2と同様の反応容器に、トール油脂肪酸の200部を仕込んで、窒素ガスを導入しながら昇温してから、ここへ、ペンタエリスリトールの94部と、トリメチロールプロパンの23部と、イソフタル酸の84部とを、順次、仕込んだ。
【0137】
170℃に達したところで、0.05部のジブチル錫オキシドを添加して、さらに、200℃にまで昇温をし、此の温度を、1.5時間のあいだ保持した。次いで、2時間をかけて、240℃にまで昇温をし、固形分酸価が6になるまで反応を続行せしめた。かくして得られた樹脂は、その水酸基価が234というものであった。
【0138】
参考例9〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例3と同様の反応容器に、参考例7で得られたビニル化脂肪酸溶液の150部と、参考例8で得られたアルキド樹脂の64部とを仕込んで、200℃にまで昇温して、溶融混合化せしめた処、この溶融混合液は、昇温中に、透明となった。
【0139】
固形分酸価が56になるまで、此の温度を保持して、エステル化反応を行わしめ、次いで、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの25部を添加した。かくして得られた水性アルキド樹脂は、その不揮発分が86%というものであったし、しかも、ガードナー気泡粘度計による溶液粘度(この粘度は、キシレンの70%樹脂溶液として測定をしている;以下においてもまた、溶剤の種類と、その溶液の濃度を変更することはあるけれども、それ以外は、概ね、此の要領で行っている。)がZ7 というものであった。
【0140】
さらに、予め調製しておいた、11部の25%アンモニア水溶液と、240部のイオン交換水の混合物とを、60℃の温度下で、間欠添加して行った処、不揮発分38%で、かつ、pHが8.3なる、透明状の目的水性樹脂(トリグリセライド換算油長=58%)が得られた。
【0141】
かくして得られた水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤は5〜6%の範囲内にあり、しかも、参考例3と同様の方法で以て測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、20nm以下であった。
【0142】
参考例10〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例3と同様の反応容器に、参考例8で得られたアルキド樹脂の100部およびn−ブタノールの54部を、初期に仕込んで、窒素ガスを導入しつつ、120℃にまで昇温した。
【0143】
予め調製しておいた、スチレンの15部と、シクロヘキシルメタクリレートの10部と、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの1.3部とからなる混合単量体を、2時間かけて連続滴下した。
【0144】
滴下終了後も、モノマー転化率が95%を超えるまで、この120℃を保持して、反応を続行せしめてから、引き続いて、この反応容器を、参考例3と同様の仕様に設定し直し、参考例7で得られたビニル化脂肪酸溶液の208部を添加して、200℃にまで昇温した。
【0145】
固形分酸価が49になるまで、此の温度に保持して、エステル化反応を行わしめ、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの40部を添加した。このようにして得られた目的樹脂は、その不揮発分が86%というものであり、かつ、ガードナー気泡粘度計による溶液粘度〔先述した通りの、70%樹脂溶液、つまり、樹脂(固形)分が70%であり、しかも、キシレンの含有率が30%なる形の溶液〕がZ7 〜Z8 というものであった。
【0146】
さらに、予め調製しておいた、16部の25%アンモニア水溶液と、384部のイオン交換水との混合物を、60℃の温度下で、間欠添加して行った処、不揮発分が38%で、かつ、pHが8.2なる、透明状の目的水性樹脂(トリグリセライド換算油長=52%)が得られた。
【0147】
かくして得られた水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤は5〜6%の範囲内にあり、また、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、20nm以下であった。
【0148】
参考例11〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例8と同様の反応容器に、トール油脂肪酸の150部と、亜麻仁油脂肪酸の27部とを仕込んで、窒素ガスを導入しながら昇温をし、ペンタエリスリトールの81部と、イソフタル酸の64部とを、順次、仕込んだ。
【0149】
170℃に達したところで、ジブチル錫オキシドの0.06部を添加した。さらに、200℃にまで昇温をし、此の温度を、1.5時間のあいだ保持し、次いで、2時間をかけて、240℃にまで昇温をし、反応を続行せしめた。
【0150】
固形分酸価が6になった処で冷却をし、170℃以下の温度で、亜麻仁油脂肪酸の144部を添加して、充分に混合せしめたのち、140℃にまで冷却した。この時点における樹脂の固形分酸価は72であり、かつ、水酸基価は190であった。
【0151】
引き続いて、この反応容器を、参考例1と同様の仕様に設定し直し、キシレンの40部を添加し、140℃の温度下において、予め調製しておいた、イソブチルメタクリレートの72部と、スチレンの48部と、メタクリル酸の51部と、ジ−tert−ブチルパーオキシドの8部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下した。
【0152】
滴下終了後も更に、3時間のあいだ140℃を保持して、反応を続行せしめたのち、この反応容器を、参考例3と同様の仕様に設定し直し、180℃に昇温した。酸価が57になるまで、此の温度を保持して、エステル化反応を行わしめた処、ガードナー気泡粘度計による溶液粘度(樹脂固形分70%、キシレン30%)がZ7 なる樹脂が得られた。
【0153】
引き続いて、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの93部と、トリエチルアミンの13部とで希釈化せしめた。さらに、予め調製しておいた、34部の25%アンモニア水溶液と、877部のイオン交換水との混合物を、60℃の温度下で、間欠添加して行った処、pHが8.4なる、透明状の目的水性樹脂(トリグリセライド換算油長=59)が得られた。
【0154】
かくして得られた水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤は5〜6%の範囲内にあり、また、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、20nm以下であった。
【0155】
参考例12(ビニル化脂肪酸の調製例)
参考例1と同様の反応容器に、亜麻仁油脂肪酸の150部を仕込み、窒素ガスを導入しながら昇温をした。130℃に達した時点で、ビニルトルエンの54部と、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの8部とからなる混合物を、1時間かけて連続滴下した。
【0156】
滴下終了後も、モノマー転化率が90%を超えるまで、この130℃を保持して、反応を続行せしめた。引き続いて、反応液を冷却し、80℃以下になった処で、メチルエチルケトンの145部を添加した。この80℃に保ったままで、予め調製しておいた、イソブチルメタクリレートの56部と、ビニルトルエンの14部と、メタクリル酸の47部と、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの6部と、α−メチルスチレンダイマーの4部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下した。
【0157】
さらに、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの1部を添加し、モノマー転化率が95%を超えるまで、80℃を保持して、反応を続行せしめた。かくして得られた樹脂は、固形分酸価が178なる、外観の透明なものであった。
【0158】
参考例13(アルキド樹脂の調製例)
参考例8と同様の反応容器に、トール油脂肪酸の200部および亜麻仁油脂肪酸の38部を仕込み、窒素ガスを導入しながら昇温をし、ペンタエリスリトールの109部と、イソフタル酸の85部とを、順次、仕込んだ。
【0159】
170℃に達したところで、0.05部のジブチル錫オキシドを添加し、さらに、200℃にまで昇温をし、此の温度を、1.5時間のあいだ保持した。
【0160】
次いで、2時間をかけて、240℃にまで昇温をし、固形分酸価が6になるまで反応を続行せしめた。このようにして得られた目的樹脂は、その水酸基価が185というものであった。
【0161】
参考例14〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例3と同様の反応容器に、参考例12で得られたビニル化脂肪酸溶液の150部と、参考例13で得られたアルキド樹脂の74部とを仕込んで、200℃にまで昇温をし、溶融混合化せしめた。此の溶融混合液は、昇温中に、透明になった。
【0162】
固形分酸価が52になるまで、此の温度を保持して、エステル化反応を行わしめ、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの27部を添加した。かくして得られた樹脂は、その不揮発分が86%であり、かつ、ガードナー気泡粘度計による溶液粘度(樹脂固形分70%、キシレン30%)がZ8 〜Z9 というものであった。
【0163】
さらに、予め調製しておいた、11部の25%アンモニア水溶液と、251部のイオン交換水との混合物を、60℃の温度下で、間欠添加して行った処、不揮発分が38%で、かつ、pHが7.8なる、透明状の目的水性樹脂(トリグリセライド換算油長=55%)が得られた。
【0164】
かくして得られた水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤量は5〜6%の範囲内にあり、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、20nm以下であった。
【0165】
参考例15(ビニル化脂肪酸の調製例)
参考例1と同様の反応容器に、大豆油脂肪酸の150部と、キシレンの127部とを、初期に仕込んで、窒素ガスを導入しながら130℃にまで昇温をした。予め調製しておいた、イソブチルメタクリレートの70部と、スチレンの47部と、アクリル酸の23部と、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの7部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下した。
【0166】
滴下終了後も、モノマー転化率が95%を超えるまで、130℃を保持して、反応を続行せしめた処、固形分酸価が161なる、外観の透明な樹脂(目的ビニル化脂肪酸)の溶液を得た。
【0167】
参考例16〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例3と同様の反応容器に、参考例15で得られたビニル化脂肪酸溶液の150部と、参考例13で得られたアルキド樹脂の82部とを仕込んで、180℃にまで昇温をし、溶融混合化せしめた処、此の溶融混合液は、昇温中に、透明となった。
【0168】
固形分酸価が35になるまで、此の温度を保持して、エステル化反応を行わしめ、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの28部を添加した。このようにして得られた水性樹脂は、その不揮発分が86%であり、かつ、ガードナー気泡粘度計による粘度(樹脂固形分70%、キシレン30%)がZ4 というものであった。
【0169】
さらに、予め調製しておいた、7部の25%アンモニア水溶液と、268部のイオン交換水との混合物を、60℃なる温度下で、間欠添加して行った処、不揮発分38%で、かつ、pHが8.7なる、透明状の目的水性樹脂(トリグリセライド換算油長=57%)が得られた。
【0170】
かくして得られた水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤は5〜6%の範囲内にあったし、しかも、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、20nm以下というものであった。
【0171】
参考例17(ビニル化脂肪酸の調製例)
参考例1において、イソブチルメタクリレートの89部と、スチレンの59部とからなるビニル系単量体の使用から、専ら、イソブチルメタクリレートの148部のみの使用に変えるようにしただけで、その他の条件を、一切、変えないということにして合成を行った。
【0172】
このようにして得られた樹脂(ビニル化脂肪酸)は、その固形分酸価が142であるという、外観の透明なるものであった。
【0173】
参考例18〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例3と同様の反応容器に、参考例17で得られたビニル化脂肪酸溶液の100部と、参考例2で得られたアルキド樹脂の103部とを仕込んで、200℃にまで昇温をした。
【0174】
固形分酸価が31になるまで、同温度で以てエステル化反応を行い、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの26部を添加した。かくして得られた、対照用の水性樹脂は、その不揮発分が86%であり、かつ、ガードナー気泡粘度計による溶液粘度(樹脂固形分50%、ブチルセロソルブ50%)がT〜Uというものであった。
【0175】
さらに、これに、9部のトリエチルアミンを添加して、60℃の温度で、よく混合せしめたのち、60℃に保持しながら、イオン交換水の244部を、間欠的に添加して行った処、不揮発分が38%で、かつ、pHが8.7なる、半透明状の、対照用の水性樹脂(トリグリセライド換算油長=30%)が得られた。
【0176】
なお、かくして得られた水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤量は5〜6%の範囲内にあり、しかも、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、25nmであった。
【0177】
参考例19〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例8と同様の反応容器に、トール油脂肪酸の150部と、亜麻仁油脂肪酸の171部とを仕込んで、窒素ガスを導入しながら昇温をして、ペンタエリスリトールの78部と、イソフタル酸の67部とを、順次、仕込んだ。
【0178】
170℃に達したところで、ジブチル錫オキシドの0.06部を添加し、さらに、200℃にまで昇温をし、此の温度を、1.5時間のあいだ保持した。次いで、2時間をかけて、240℃にまで昇温をし、固形分酸価が6に達するまで反応を続行せしめた処、水酸基価が50で、かつ、ガードナー気泡粘度計による粘度がZ4 なる樹脂が得られた。
【0179】
しかるのち、此の樹脂のうちの600部を、参考例1と同様の反応容器に取り出し、これに、116部のブチルセロソルブを添加して、此のブチルセロソルブで希釈化せしめ、引き続いて、130℃に昇温をしたのち、同温度で、予め調製しておいた、イソブチルメタクリレートの114部と、アクリル酸の56部と、tert−ブチルパーオキシベンゾエートの9部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下した。
【0180】
滴下終了後も、モノマー転化率が95%を超えるまで、130℃を保持して、反応を続行せしめた処、不揮発分が87%で、固形分酸価が58、かつ、ガードナー気泡粘度計による粘度がZ7 なる樹脂(つまり、ビニル変性樹脂)が得られた。
【0181】
此処に得られたビニル変性樹脂のうちの200部を、別の容器に取り出して、これに、12部の25%アンモニア水溶液と、246部のイオン交換水との混合物とを、60℃の温度下で、間欠添加して行った処、不揮発分が38%で、かつ、pHが8.1なる、若干ながら、外観上、ヘイズのある、対照用の水性樹脂(トリグリセライド換算油長=61%)が得られた。
【0182】
かくして得られた水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤量は5〜6%の範囲内にあり、しかも、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、45nmであった。
【0183】
参考例20(ビニル化脂肪酸の調製例)
参考例1と同様の反応容器に、亜麻仁油脂肪酸の125部と、キシレンの134部とを、初期に仕込んで、窒素ガスを導入しながら、130℃にまで昇温し、予め調製しておいた、n−ブチルメタクリレートの119部およびメタクリル酸の60部と、tert−ブチルペロキシベンゾエートの9部とからなる混合単量体を、3時間かけて連続滴下した。
【0184】
滴下終了後も、モノマー転化率が95%を超えるまで、130℃を保持して、反応を続行せしめた処、固形分酸価が204なる、外観の透明な樹脂(対照用のビニル化脂肪酸)の溶液を得た。
【0185】
参考例21(アルキド樹脂の調製例)
参考例8と同様の反応容器に、トール油脂肪酸の199部および亜麻仁油脂肪酸の90部を仕込み、窒素ガスを導入しながら昇温して、ペンタエリスリトールの108部と、イソフタル酸の84部とを、順次、仕込んだ。
【0186】
170℃に達したところで、0.06部のジブチル錫オキシドを添加して、さらに、200℃にまで昇温をして、此の温度を、1.5時間のあいだ保持した。次いで、2時間をかけて、240℃にまで昇温し、固形分酸価が6になるまで反応を続行せしめた。かくして得られた、対照用のアルキド樹脂は、その水酸基価が147というものであった。
【0187】
参考例22〔水性アルキド樹脂(A)の調製例〕
参考例3と同様の反応容器に、参考例20で得られた、対照用のビニル化脂肪酸溶液の115部と、参考例21で得られた、対照用のアルキド樹脂の93部とを仕込んで、200℃にまで昇温をした。
【0188】
固形分酸価が57となるまで、此の温度を保持して、エステル化反応を行わしめ、揮発分を減圧除去せしめたのち、ブチルセロソルブの26部を添加した。このようにして得られた樹脂は、その不揮発分が86%であり、かつ、ガードナー気泡粘度計による粘度(樹脂固形分70%、キシレン30%)がZ6 〜Z7 というものであった。
【0189】
さらに、予め調製しておいた、12部の25%アンモニア水溶液と、243部のイオン交換水とからなる混合物を、60℃の温度下において、間欠添加して行った処、不揮発分が38%であり、しかも、pHが7.8であるという、若干ながら、外観上、ヘイズのある、対照用の水性樹脂(トリグリセライド換算=57%)が得られた。
【0190】
かくして得られた、対照用の水性アルキド樹脂(A)中に含まれている有機溶剤量は5〜6%の範囲内にあり、しかも、参考例3と同様の方法で測定した平均分散粒子径は、重量平均で以て、43nmであった。
【0191】
実施例1
参考例3で得られた水性アルキド樹脂(A)の100部(不揮発分=38%)に、「タイペーク R−930」[石原産業(株)製の、酸化チタンの商品名]の100部と、イオン交換水の10部とを加え、サンドミルにより、30分間のあいだ顔料分散化を行った。
【0192】
次いで、これに、参考例3の水性アルキド樹脂(A)の110部と、「ウォーターゾール S−695」[大日本インキ化学工業(株)製の、メチル化メラミン樹脂の商品名;不揮発分=66%]の31部とを加え、よく、攪拌をし混合化せしめて、顔料重量濃度(PWC)が50%なる、目的とする水性塗料用樹脂組成物を得た。
【0193】
しかるのち、此の水性塗料用樹脂組成物を、燐酸亜鉛処理鋼板上に、アプリケーターにより、乾燥平均膜厚が25〜30ミクロン(μm)となるように塗装せしめ、10分間のあいだ、常温で乾燥せしめたのち、140℃で、20分間のあいだ乾燥硬化せしめた。
【0194】
かくして得られた水性塗料用樹脂組成物および硬化塗膜については、次に示すような要領(内容ならびに条件)で以て、評価判定を行った。それらのうちの硬化塗膜の評価判定結果の方は、第1表に示しているし、一方、水性アルキド樹脂(A)それ自体の、ならびに水性塗料用樹脂組成物それ自体の安定性試験の結果の方は、第2表に示している。
【0195】
Figure 0003770332
【0196】
Figure 0003770332
【0197】
Figure 0003770332
【0198】
Figure 0003770332
【0199】
Figure 0003770332
【0200】
Figure 0003770332
【0201】
Figure 0003770332
【0202】
Figure 0003770332
【0203】
Figure 0003770332
【0204】
Figure 0003770332
【0205】
Figure 0003770332
【0206】
Figure 0003770332
【0207】
Figure 0003770332
【0208】
Figure 0003770332
【0209】
Figure 0003770332
【0210】
貯蔵安定性
【0211】
(1) 水性アルキド樹脂(A)それ自体の安定性
【0212】
各種の水性アルキド樹脂(A)それ自体(溶剤と、中和のための塩基性化合物との両物質以外には、一切の添加剤などを含まない。)を、ガラス瓶に入れて密閉化せしめたものを、それぞれ、そのうちの一つの方は50℃に、もう一つの方は40℃に、設定した温風循環型乾燥器中に貯蔵し、一週間後、二週間後および四週間後に、各水性アルキド樹脂を取り出して、それぞれの水性樹脂の外観を、目視により判定するという一方で、それぞれの水性樹脂の粘度を、東京計器(株)製のB型粘度計で以て、No.4ローターを使用し、かつ、30rpmなる条件で測定した。
【0213】
(2) 水性塗料用樹脂組成物それ自体の安定性
【0214】
各種の水性塗料用樹脂組成物を、ガラス瓶に入れて密閉化せしめたものを、それぞれ、そのうちの一つの方は、25℃で以て貯蔵するという一方で、もう一つの方は、40℃に設定した温風循環型乾燥器中に貯蔵して、二週間後と、四週間後との二度に亘って取り出し、よく、かき混ぜたのち、各塗料液の分散状態を、目視により判定するという一方で、それぞれの水性塗料用樹脂組成物の粘度を、ストーマー粘度計で以て測定した。
【0215】
実施例2
使用する水性アルキド樹脂(A)として、参考例6で得られた水性アルキド樹脂(A)を用いるように変更した以外は、実施例1と同様にして、目的とする、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0216】
実施例3
参考例6で得られた水性アルキド樹脂(A)の100部に、「タイペーク R−930」[石原産業(株)製の、酸化チタンの商品名]の100部と、イオン交換水の10部とを加え、サンドミルにより、30分間のあいだ顔料分散化を行った。
【0217】
次いで、これに、参考例6の水性アルキド樹脂(A)の110部と、「エラストロン BN−69」[第一工業製薬(株)製の、水分散型ブロックイソシアネートの商品名;不揮発分=40%]の50部とを加え、よく、攪拌をし混合化せしめて、PWCが50%なる、目的とする水性塗料用樹脂組成物を得た。
【0218】
しかるのち、此の水性塗料用樹脂組成物を、燐酸亜鉛処理鋼板上に、アプリケーターにより、乾燥平均膜厚が25〜30μmとなるように塗装せしめ、10分間のあいだ、常温で乾燥せしめたのち、180℃で、15分間のあいだ乾燥硬化せしめた。
【0219】
かくして得られた、水性塗料用樹脂組成物および硬化塗膜については、実施例1と同様の要領で以て評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示すことにする。
【0220】
実施例4
参考例9で得られた水性樹脂の100部(不揮発分=38%)に、「タイペーク R−930」の75部と、「ホモカル D」[白石工業(株)製の、炭酸カルシウムの商品名]の25部と、「BYK−080」(ドイツ国BYK社製の消泡剤)の1部とを加え、サンドミルにより、30分間のあいだ顔料分散化を行った。
【0221】
次いで、これに、参考例9の水性アルキド樹脂(A)の163部と、「ディックネート 3111」[大日本インキ化学工業(株)製の、水性ドライヤーの商品名]の2部を加え、よく、攪拌をし混合化せしめた。さらに、かくして得られる塗料液の粘度が、ストーマー粘度計による測定で以て、75〜80KUなる範囲内になるように、イオン交換水を添加せしめることによって粘度調整を行い、PWCが50%なる、目的とする水性塗料用樹脂組成物を得た。
【0222】
しかるのち、此の水性塗料用樹脂組成物を、トルエンで以て脱脂を施した未処理の鋼板上に、アプリケーターにより、乾燥平均膜厚が25〜30μmとなるように塗装せしめ、温度が20〜25℃なる範囲内で、かつ、湿度が65〜75%RHという条件のもとで、1週間のあいだ乾燥せしめた。
【0223】
このようにして得られた、目的とする、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とについては、実施例1と同様の要領で以て、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0224】
なお、斯かる評価判定の要領としては、それぞれ、耐水性および耐食性なる両性能以外は、実施例1と同様のものとし、耐水性と耐食性との両性能に限って、次に示すような要領に依ることとした。
【0225】
Figure 0003770332
【0226】
Figure 0003770332
【0227】
Figure 0003770332
【0228】
Figure 0003770332
【0229】
Figure 0003770332
【0230】
実施例5
使用する水性アルキド樹脂(A)として、参考例10で得られた水性アルキド樹脂(A)を用いるように変更した以外は、実施例4と同様にして、目的とする、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0231】
実施例6
使用する水性アルキド樹脂(A)として、参考例11で得られた水性アルキド樹脂(A)を用いるように変更した以外は、実施例4と同様にして、目的とする、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0232】
実施例7
使用する水性アルキド樹脂(A)として、参考例14で得られた水性アルキド樹脂(A)を用いるように変更した以外は、実施例4と同様にして、目的とする、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0233】
実施例8
使用する水性アルキド樹脂(A)として、参考例16で得られた水性アルキド樹脂(A)を用いるように変更した以外は、実施例4と同様にして、目的とする、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0234】
実施例9
参考例6で得られた水性アルキド樹脂(A)の100部に、「タイペーク R−930」の100部と、イオン交換水の14部とを加え、サンドミルにより、30分間のあいだ顔料分散化を行った。さらに、これに、参考例6の水性アルキド樹脂(A)の110部とを加え、よく、攪拌をし混合化せしめた。
【0235】
次いで、これに、「Bayhydur LS−2032」[ドイツ国バイエル製の、水希釈型ポリイソシアネート化合物の商品名;遊離イソシアネート基含有率(NCO%)=17.2%]の32部を配合せしめ、充分に混合化を行って、目的とする水性塗料用樹脂組成物を得た。
【0236】
しかるのち、直ちに、該水性塗料用樹脂組成物を、燐酸亜鉛処理鋼板上に、アプリケーターにより、乾燥平均膜厚が25〜30μmとなるように塗装せしめ、60℃で、20分間のあいだ乾燥せしめたのち、温度が20〜25℃なる範囲内で、しかも、湿度が65〜75%RHという条件のもとで、1週間のあいだ乾燥せしめた。
【0237】
かくして得られた、目的の硬化塗膜については、実施例1と同様の要領(内容および条件)で以て評価判定を行った。それらの結果は、第1表に示す。
【0238】
比較例1
使用する水性アルキド樹脂として、参考例18で得られた水性アルキド樹脂を用いるように変更した以外は、実施例1と同様にして、対照用の、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0239】
比較例2
使用する水性アルキド樹脂として、参考例19で得られた水性アルキド樹脂を用いるように変更した以外は、実施例4と同様にして、対照用の、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0240】
比較例3
使用する水性アルキド樹脂として、参考例22で得られた水性アルキド樹脂を用いるように変更した以外は、実施例4と同様にして、対照用の、それぞれ、水性塗料用樹脂組成物と、その硬化塗膜とを得、次いで、評価判定を行った。それらの結果は、第1表および第2表に示す。
【0241】
【表1】
Figure 0003770332
【0242】
【表2】
Figure 0003770332
【0243】
【表3】
Figure 0003770332
【0244】
【表4】
Figure 0003770332
【0245】
《第2表の脚注》
(註1)…酸価の単位は、前述したように、「mg−KOH/g」である。
【0246】
(註2)…表中の数字は、「(取り出した時点での粘度測定値)/(初期の粘度測定値)×100」で表わしたものである。そのうちの上段の数値の方は、40℃で貯蔵したものであるし、他方、下段の数値の方は、50℃で貯蔵したものである。
【0247】
【表5】
Figure 0003770332
【0248】
《第2表の脚注》
(註3)…表中の数字は、「(取り出した時点での粘度測定値)/(初期の粘度測定値)×100」で表わしたものである。このうちの上段の数値の方は、25℃で貯蔵したものであるし、他方、下段の数値の方は、40℃で貯蔵したものである。
【0249】
【表6】
Figure 0003770332
【0250】
【表7】
Figure 0003770332
【0251】
【表8】
Figure 0003770332
【0252】
《第2表の脚注》
なお、第2表中の「*」および「**」なる印は、それぞれ、次に示すような分散状態を意味している。
【0253】
*…………外観上、不均一であるけれども、沈降物は生じていない。
【0254】
**………外観は不均一で、しかも、沈降物が生じている。
【0255】
【表9】
Figure 0003770332
【0256】
《第2表の脚注》
なお、第2表中の「***」なる印は、次に示すような分散状態を意味している。
【0257】
***……ガラス瓶の下部に沈降物が堆積し、固化して仕舞っている。
【0258】
【発明の効果】
以上に詳述して来た処からも明らかなように、本発明に係る水性塗料用樹脂組成物は、単に、安定性などに優れているというだけではなく、その基剤である水性アルキド樹脂それ自体も、優れた安定性などを有しているというものである。
【0259】
また、本発明に係る水性塗料用樹脂組成物を用いて得られる乾燥硬化塗膜は、とりわけ、良好なる耐水性、耐湿性ならびに耐食性などと、さらには、一層良好なる、加工性と、金属への密着性などとを、まさしく、発現しているというものであり、したがって、本発明は、極めて実用性の高い水性アルキド樹脂塗料を提供することが出来るというものである。

Claims (6)

  1. 不飽和脂肪酸(a−1)と、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)と、スチレン(a−3)と、その他のビニル系単量体(a−4)とを重合せしめることにより得られるものであって、しかも、上記したスチレン(a−3)が、該(a−3)成分と、上記(a−4)成分との合計量に対して、少なくとも20重量%含まれているビニル化脂肪酸と、多価アルコールと多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸とを縮合せしめるか、又は動物油、植物油および/またはその脂肪酸と、多価アルコールと、多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸とを縮合せしめることによって得られるポリオール化合物とを縮合せしめ、塩基性化合物により中和せしめることによって得られる水性アルキド樹脂(A)とアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物およびブロック型ポリイソシアネート化合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の硬化剤(B)とを、必須の被膜形成成分として含有することを特徴とする、水性塗料用樹脂組成物。
  2. 不飽和脂肪酸(a−1)と、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)と、スチレン(a−3)と、その他のビニル系単量体(a−4)とを重合せしめることにより得られるものであって、しかも、上記したスチレン(a−3)が、該(a−3)成分と、上記(a−4)成分との合計量に対して、少なくとも20重量%含まれているビニル化脂肪酸と、多価アルコールと多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸とを縮合せしめるか、又は動物油、植物油および/またはその脂肪酸と、多価アルコールと、多価カルボン酸および/またはモノカルボン酸とを縮合せしめることによって得られるポリオール化合物とを縮合せしめ、塩基性化合物により中和せしめることによって得られる水性アルキド樹脂(A)と金属ドライヤー(C)とを、必須の成分として含有することを特徴とする、水性塗料用樹脂組成物。
  3. 前記した縮合生成物が、前記したカルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)に由来するカルボキシル基のモル数として、該カルボキシル基含有ビニル系単量体(a−2)成分と、前記したスチレン(a−3)成分と、前記した、その他のビニル系単量体(a−4)成分との合計モル量に対して、10〜60モル%という範囲内にあるものである、請求項1または2記載の組成物。
  4. 前記したビニル化脂肪酸が、前記したカルボキシル基含有ビニル系単量体として、メタクリル酸を用いたものである、請求項1または2記載の組成物。
  5. 前記したビニル化脂肪酸が、該ビニル化脂肪酸を基準として、前記した不飽和脂肪酸(a−1)を、20〜70重量%なる範囲内で以て含むものである、請求項1または2記載の組成物。
  6. 前記した水性アルキド樹脂(A)が、該水性アルキド樹脂(A)のトリグリセライド換算油長として、20〜70%なる範囲内のものである、請求項1または2記載の組成物。
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