JP3769883B2 - 結晶性ポリオレフィン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、剛性に優れた成形品が得られる結晶性ポリオレフィン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、結晶性ポリオレフィンは比較的安価でかつ優れた機械的性質を有するので、射出成形品、中空成形品、フィルム、シート、繊維など各種の成形品の製造に用いられている。しかしながら、その具体的用途によっては機械的性質が充分とはいえない場合があり、用途の拡大に制限を受けるという問題がある。とりわけ剛性に関しては、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルなどに比べて劣ることから、結晶性ポリオレフィンの使用用途に制限を受けるといった欠点がある。
【0003】
このため、従来から、結晶性ポリオレフィンの剛性を向上させる目的で各種の造核剤が用いられている。しかしながら、造核剤を配合した結晶性ポリオレフィン組成物に、顔料で着色する際の顔料分散剤等として高級脂肪酸のマグネシウム塩を配合すると、造核剤に拠る結晶性ポリオレフィンの結晶化を促進させる作用すなわち造核作用が、充分に発揮されない場合がある。
【0004】
とりわけ造核剤として、芳香族有機酸塩のうち芳香族カルボン酸塩を用いてステアリン酸カルシウムの如き長鎖脂肪酸系石けんを中和剤、滑剤、顔料分散剤等として併用した場合、芳香族カルボン酸塩の造核作用が著しく減殺され、剛性が実用上不十分になるといった問題点が指摘されている(特開昭62−263244号公報、特開昭63−125551号公報、及び特開平1−292047号公報)。
【0005】
その問題点を解決するための手段として、前記特開昭62−263244号公報及び特開昭63−125551号公報には、(A)結晶性プロピレン重合体、(B)p−t−ブチル安息香酸のアルミニウム塩、(C)高級脂肪族カルボン酸の周期率表第一族金属塩およびハイドロタルサイト類より選ばれた少なくとも一種の金属の塩よりなるプロピレン重合体組成物が、また前記特開平1−292047号公報には長鎖脂肪酸系石けんの使用量は芳香族有機酸塩の5倍を越えることは無く、好ましくは1/10以下、特に好ましくは使用しないことが好ましいと提案されている。
【0006】
しかしながら、前記特開昭62−263244号公報及び特開昭63−125551号公報に提案されたプロピレン重合体組成物は、高級脂肪酸のマグネシウム塩などの金属石ケンの代替として高級脂肪族カルボン酸の周期律表第I族金属塩若しくはハイドロタルサイト類を用いて中和すなわち腐食防止効果を付与したものであり、高級脂肪酸のマグネシウム塩共存下における造核作用の低下といった技術的課題を解決しようとしたものではない。
【0007】
また、前記特開平1−292047号公報に提案されたポリプロピレン組成物は、高級脂肪酸のマグネシウム塩などの長鎖脂肪酸系石けんの使用量を減少させることを教示したものであり、高級脂肪酸のマグネシウム塩共存下における造核作用の低下といった技術的課題を解決する手段を提供するものではない。
【0008】
一方、本発明者は、剛性および耐熱剛性に優れた成形品を得ることを目的として、結晶性ポリオレフィンに(1)芳香族カルボン酸ナトリウムおよび乳酸金属(Na、Mg、Ca)塩(特開平3−188139号公報)、(2)芳香族カルボン酸もしくは芳香族カルボン酸金属(K、Al)塩および乳酸ナトリウム(特開平3−188140号公報)をそれぞれ配合した結晶性ポリオレフィン組成物を先に提案し、該公報において金属石けん類などの分散剤もしくは中和剤を併用し得ることを述べた。
【0009】
しかし、前記特開平3−188139号公報及び特開平3−188140号公報には造核剤として芳香族カルボン酸リチウムを用い、これに金属石けんとして高級脂肪酸のマグネシウム塩、及びさらに乳酸を配合することによって、高級脂肪酸のマグネシウム塩共存下における造核作用の低下を解決しうること、及びかかる結晶性ポリオレフィン組成物から得られる成形品の剛性が向上することを示唆する記載はない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、芳香族カルボン酸金属塩系の造核剤と、顔料分散剤等として用いられる高級脂肪酸のマグネシウム塩とを併用してなる組成物において、該高級脂肪酸のマグネシウム塩共存下における造核作用の低下を防止し、剛性の向上した成形品を与える成形材料として有用な造核剤配合結晶性ポリオレフィン組成物を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、結晶性ポリオレフィン組成物に関する上述した問題点、すなわち造核剤を配合した結晶性ポリオレフィン組成物において造核剤の性能低下を引き起こす高級脂肪酸のマグネシウム塩を併用しても造核剤の性能低下が発現せず、剛性の改善された成形品を与えうるような結晶性ポリオレフィン組成物を得るべく鋭意研究した。
【0012】
その結果、本発明者は、結晶性ポリオレフィンに特定の造核剤及び高級脂肪酸のマグネシウム塩を配合した組成物に、さらに乳酸を特定量配合してなる結晶性ポリオレフィン組成物が、高級脂肪酸のマグネシウム塩共存下における造核作用の低下を解決し、剛性の改善された成形品を与える組成物であることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の結晶性ポリオレフィン組成物は、結晶性ポリオレフィン100重量部に対して、芳香族カルボン酸リチウム(以下、「化合物L」という場合がある。)及び高級脂肪酸マグネシウム(以下、「化合物M」という場合がある。)をそれぞれ0.05〜1重量部配合してなる結晶性ポリオレフィン組成物において、乳酸を0.05〜1重量部併用することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
(1)結晶性ポリオレフィン
本発明で用いる結晶性ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン‐1、ペンテン−1、4‐メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンを主たる構成単位として含む重合体であり、以下の(1)〜(7)を例示することができるが、これらに限られない。
【0015】
(1)上記α−オレフィンの結晶性単独重合体。例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体等である。
(2)上記α−オレフィンのうちの2種以上からなる結晶性もしくは低結晶性ランダム共重合体、又は上記α−オレフィンのうちの2種以上からなる結晶性ブロック共重合体。例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンー1三元共重合体、エチレン−ブテン−1−ランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−ブテン−1−ランダム共重合体等である。
【0016】
(3)上記α−オレフィンと酢酸ビニル若しくはアクリル酸エステルとの共重合体、又は該共重合体のケン化物。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、等が挙げられる。
【0017】
(4)上記α−オレフィンと不飽和シラン化合物との共重合体。例えばエチレン−ビニルシラン共重合体が挙げられる。
(5)上記α−オレフィンと不飽和カルボン酸若しくはその無水物との共重合体、又は該共重合体と金属イオン化合物との反応生成物。例えばエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0018】
(6)上記α‐オレフィンの結晶性単独重合体、結晶性若しくは低結晶性ランダム共重合体又は結晶性ブロック共重合体を、不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン。例えばエチレン単独重合体の無水マレイン酸変性物、プロピレン単独重合体の無水マレイン酸変性物等が挙げられる。
【0019】
(7)上記α−オレフィンの結晶性単独重合体、結晶性若しくは低結晶性ランダム共重合体又は結晶性ブロック共重合体を、不飽和シラン化合物で変性したシラン変性ポリオレフィン。
【0020】
これら結晶性ポリオレフィンは、好ましくはメルトフローレート(230℃における荷重21.18Nを加えた場合の10分間の溶融樹脂の吐出量;以下MFRと略記する。)が0.1〜100g/10分、又はメルトインデックス(190℃における荷重21.l8Nを加えた場合の10分間の溶融樹脂の吐出量;以下、MIと略記する。)が0.1〜50g/10分である。
【0021】
これら結晶性ポリオレフィンは単独で使用することもでき、またこれら結晶性ポリオレフィンの2種以上を混合して用いることもできる。
【0022】
また上記結晶性ポリオレフィンに各種合成ゴム(たとえば非晶性エチレン−プロピレンランダム共重合体、非晶性エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンースチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−プロピレン‐ブチレン−スチレンブロック共重合体など)、
【0023】
又は、他の熱可塑性合成樹脂(たとえば非晶性エチレン−環状アルケン共重合体(たとえば、非晶性エチレン−テトラシクロドデセン共重合体)、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、
【0024】
石油樹脂(たとえばC5系石油樹脂、水添C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、水添C9系石油樹脂、C5−C9共重合石油樹脂、水添C5−C9共重合石油樹脂、酸変性C9系石油樹脂など)、DCPD樹脂(たとえばシクロペンタジエン系石油樹脂、水添シクロペンタジエン系石油樹脂、シクロペンタジエン−C5共重合石油樹脂、水添シクロペンタジエン−C5共重合石油樹脂、シクロペンタジエン−C9共重合石油樹脂、水添シクロペンタジエン−C9共重合石油樹脂、シクロペンタジエン−C5−C9共重合石油樹脂、水添シクロペンタジエン−C5−C9共重合石油樹脂などの軟化点80〜200℃のDCPD樹脂)など、を混合して用いることもできる。
【0025】
これらのうち結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン成分を70重量%以上含有する結晶性プロピレン共重合体(例えば結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、結晶性エチレン−プロピレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、結晶性エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体、結晶性ブロピレン−ヘキセン−ブテン−1三元共重合体等)及びこれらの2種以上の混合物が特に好ましく用いられる。
【0026】
(2)芳香族カルボン酸リチウム(化合物L)
本発明で用いられる化合物Lとしては、芳香族環に置換基を有していてもよい安息香酸のリチウム塩、芳香族環に置換基を有していてもよいナフトエ酸のリチウム塩等が挙げられる。具体的には、安息香酸リチウム、o−トルイル酸リチウム、m−トルイル酸リチウム、p−トルイル酸リチウム、p‐t−ブチル安息香酸リチウム、p‐t−アミル安息香酸リチウム、p−tーオクチル安息香酸リチウム、o−メトキシ安息香酸リチウム、m−メトキシ安息香酸リチウム、アニス酸リチウム、ナフトエ酸リチウム、フタル酸リチウム、イソフタル酸リチウム、テレフタル酸リチウム、トリメリト酸リチウム、ピロメリト酸リチウム、メリト酸リチウム、サリチル酸リチウム、アセチルサリチル酸リチウム、及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸リチウム、などが例示できる。特に置換基を有していてもよい安息香酸リチウム化合物が好ましく、具体的には安息香酸リチウム及びp−t−ブチル安息香酸リチウムが好ましい。
【0027】
該化合物Lについては、単独使用はもちろんのこと、2種以上の化合物Lを併用することもできる。該化合物Lの配合割合は、剛性の面から結晶性ポリオレフィン100重量部に対して0.05〜1重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0028】
(3)高級脂肪酸マグネシウム(化合物M)
本発明で用いられる化合物Mとしては、主鎖に置換基を有していてもよい炭素数12〜28の高級飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のマグネシウム塩が好ましく、具体的にはn−ヘキサン酸マグネシウム、ソルビン酸マグネシウム、n−オクタン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、ノナン酸マグネシウム、デカン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリストレイン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミトレイン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、リノール酸マグネシウム、リノレン酸マグネシウム、アラキン酸マグネシウム、ベヘン酸マグネシウム、エルカ酸マグネシウム、リグノセリン酸マグネシウム、セロチン酸マグネシウム、モンタン酸マグネシウム、メリシン酸マグネシウム、ドデカノイル乳酸マグネシウム、テトラデカノイル乳酸マグネシウム、ヘキサデカノイル乳酸マグネシウム、オクタデカノイル乳酸マグネシウム、2−ヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム、12−ヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム、18−ヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム、リシノール酸マグネシウム及びセレブロン酸マグネシウムなどを例示できる。
【0029】
特に炭素数12〜18の高級飽和脂肪酸のマグネシウム塩が好ましく、具体的にはステアリン酸マグネシウムが好ましい。該化合物Mについては、単独使用はもちろんのこと、2種以上の化合物Mを併用することもできる。該化合物Mの配合割合は、分散性及び剛性の面から結晶性ポリオレフィン100重量部に対して0.05〜1重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0030】
(4)乳酸
本発明で用いられる乳酸の配合割合は、剛性の面から結晶性ポリオレフィン100重量部に対して0.05〜1重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0031】
(5)その他の成分
本発明の組成物にあっては、通常結晶性ポリオレフィンを主体とする成形材料に添加される各種の添加剤、たとえばフェノール系、チオエーテル系、リン系、ヒドロキシルアミン系などの酸化防止剤(具体的にはフェノール系酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル‐4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、リン系酸化防止剤としてビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなど)、
【0032】
光安定剤、透明化剤、化合物L以外の造核剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、無滴剤、難燃剤、難燃助剤、無機系や有機系の抗菌剤、顔料、過酸化物の如きラジカル発生剤、化合物M以外のハロゲン捕捉剤、化合物M以外の金属石鹸類などの分散剤若しくは中和剤、
無機充填剤(具体的にはタルク、マイカ、クレー、ウォラストナイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、パーライト、ケイソウ土、アスベスト、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレート、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ガラス繊維、チタン酸カリウム、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト及び金属繊維など)、
【0033】
カップリング剤(具体的にはシラン系、チタネート系、ボロン系、アルミネート系、ジルコアルミネート系など)の如き表面処理剤で表面処理された前記無機充填剤、又は有機充填剤(たとえば木粉、パルプ、故紙、合成繊維、天然繊維など)を本発明の目的を損なわない範囲で併用することができる。
【0034】
(6)組成物の調製
本発明の組成物は結晶性ポリオレフィンに前記化合物L、化合物M、及び乳酸、並びに通常結晶性ポリオレフィンに添加される前記各種添加剤のそれぞれ所定量を、通常の混合装置たとえばヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー、バンバリミキサーなどを用いて混合し、通常の単軸押出機、2軸押出機、ブラベンダー又はロールなどで、溶融混練温度150℃〜300℃、好ましくは180℃〜270℃で溶融混練ペレタイズすることにより得ることができる。得られた組成物は射出成形法、押出成形法、ブロー成形法などの各種成形法により目的とする成形品の製造に供される。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0036】
なお、以下の実施例及び比較例で用いた評価方法は次の通りである。
剛性:曲げ試験により評価した。すなわち得られたペレットを用いて長さ100mm、幅10mm、厚み4mmの試験片を射出成形法により作成し、該試験片を用いて、JIS−K7203に準拠して曲げ弾性率を測定することにより、剛性を評価した。ここで、高剛性の材料とは曲げ弾性率の値が大きいものをいう。
【0037】
【実施例1〜7、比較例1〜14、参考例1〜3】
結晶性ポリオレフィンとしてMFRが6.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性プロピレン単独重合体100重量部に、化合物Lとして安息香酸リチウム、p−t−ブチル安息香酸リチウム又はp−t−オクチル安息香酸リチウム、化合物Mとしてステアリン酸マグネシウム、モンタン酸マグネシウム、ステアロイル乳酸マグネシウム又は12−ヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム、乳酸及び他の添加剤のそれぞれ所定量を、表1に記載した配合割合でヘンシェルミキサー(商品名)に入れ、3分間撹拌混合したのち、口径40mmの単軸押出機で200℃にて溶融混練処理し、ペレット化した(実施例1〜7)。
【0038】
また、比較例1〜14及び参考例1〜3として、MFRが6.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性プロピレン単独重合体100重量部に、表1に記載の添加剤のそれぞれ所定量を配合し、実施例1〜7に準拠して溶融混練処理してペレットを得た。
【0039】
剛性の評価に用いる試験片は、得られたペレットを樹脂温度250℃、金型温度50℃の条件で射出成形を行うことにより作製した。得られた試験片を用いて上記試験方法により剛性の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例8〜14、比較例15〜28、参考例4〜6】
結晶性ポリオレフィンとしてMFR7.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体(エチレン含有量8.5重量%)100重量部に、化合物Lとして安息香酸リチウム、アニス酸リチウム又はサリチル酸リチウム、化合物Mとしてステアリン酸マグネシウム、モンタン酸マグネシウム、ステアロイル乳酸マグネシウム又は12−ヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム、乳酸及び他の添加剤のそれぞれ所定量を、表2に記載した配合割合でヘンシェルミキサー(商品名)に入れ、3分間撹幹混合したのち、口径40mmの単軸押出機で200℃にて溶融混練処理してペレット化した(実施例8〜14)。
【0042】
また、比較例15〜28及び参考例4〜6として、MFRが7.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性エチレンープロピレンブロック共重合体(エチレン含有量8.5重量%)100重量部に、表2に記載の添加剤のそれぞれ所定量を配合し、実施例8〜14に準拠して溶融混練処理してペレットを得た。
【0043】
剛性の評価に用いる試験片は、得られたペレットを樹脂温度250℃、金型温度50℃の条件で射出成形を行うことにより作製した。得られた試験片を用いて前記の試験方法により剛性の評価を行った。これらの結果を表2に示した。
【0044】
【表2】
【0045】
【実施例15〜21、比較例29〜42、参考例7〜9】
結晶性ポリオレフィンとして、MFR6.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性プロピレン単独重合体15重量%、MFR7.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体(エチレン含有量4.0重量%、ブテン−1含有量4.5重量%)80重量%、及び、MI5.0g/10分の安定化されていない粉末状チーグラー・ナッタ系高密度エチレン−プロピレン共重合体(密度0.950g/cm3、メチル分岐3.0個/1000炭素)5重量%とからなる合計100重量部に、化合物Lとして3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸リチウム、テレフタル酸リチウム又はピロメリト酸リチウム、化合物Mとしてステアリン酸マグネシウム、モンタン酸マグネシウム、ステアロイル乳酸マグネシウム又は12−ヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム、乳酸及び他の添加剤のそれぞれ所定量を、表3に記載した配合割合でヘンシェルミキサー(商品名)に入れ、3分間撹拌混合したのち、口径40mmの単軸押出機で200℃にて溶融混練処理してペレット化した(実施例15〜21)。
【0046】
また、比較例29〜42及び参考例7〜9として、MFRが6.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性プロピレン単独重合体15重量%、MFRが7.0g/10分の安定化されていない粉末状結晶性エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体(エチレン含有量4.0重量%、ブテン−1含有量4.5重量%)80重量%、及びMIが5.0g/10分の安定化されていない粉末状チーグラー・ナッタ系高密度エチレン−プロピレン共重合体(密度0.950g/cm3、メチル分岐3.0個/1000炭素)5重量%とからなる合計100重量部に、表3に記載の添加剤のそれぞれ所定量を配合し、実施例15〜21に準拠して溶融混練処理してペレットを得た。
【0047】
剛性の評価に用いる試験片は、得られたペレットを樹脂温度250℃、金型温度50℃の条件で射出成形を行うことにより作製した。得られた試験片を用いて前記の試験方法により剛性の評価を行った。これらの結果を表3に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
なお、上記表1〜表3に示される化合物及び添加剤は下記の通りである。
化合物L[1]:安息香酸リチウム
化合物L[2]:p−t−ブチル安息香酸リチウム
化合物L[3]:p−t−オクチル安息香酸リチウム
化合物L[4]:アニス酸リチウム
化合物L[5]:サリチル酸リチウム
化合物L[6]:3、5ージ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸リチウム
化合物L[7]:テレフタル酸リチウム
化合物L[8]:ピロメリト酸リチウム
化合物M[1]:ステアリン酸マグネシウム
化合物M[2]:モンタン酸マグネシウム
化合物M[3]:ステアロイル乳酸マグネシウム
化合物M[4]:12−ヒドロキシオクタデカン酸マグネシウム
【0050】
フェノール系AO(フェノール系酸化防止剤):テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル‐4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
リン系AO1(リン系酸化防止剤1):ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト
リン系AO2(リン系酸化防止剤2):ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト
リン系AO3(リン系酸化防止剤3):トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
【0051】
表1に記載の実施例及び比較例は、結晶性ポリオレフィンとして結晶性プロピレン単独重合体を用いた場合である。表1からわかるように、参考例1(化合物Lを配合しないもの)、参考例2〜3(化合物Lを配合したもの)と比較例1(化合物L及び化合物Mを配合したもの)から、化合物Lに化合物Mを併用すると化合物Lの造核作用が消失していることがわかる。実施例1〜7は本発明の化合物L、化合物M及び乳酸を配合したものである。
【0052】
実施例1〜7と比較例1とを比較すると、実施例1〜7は参考例2〜3と同程度又はそれ以上に剛性が優れており、化合物Mが共存していても化合物Lの造核作用が充分に発揮されていることがわかる。
【0053】
また、実施例1〜7において乳酸の代わりに乳酸以外の各種ヒドロキシ酸化合物を配合した比較例2〜14と実施例1〜7とを比較すると、比較例2〜14の剛性の改善効果は、比較例1とくらべても明らかなように、ほとんどないかわずかにある程度である。
【0054】
従って、本発明の化合物L、化合物M及び乳酸の3成分の配合を同時に満たさない各比較例は、本発明の効果を奏さないことがわかる。すなわち、本発明で得られる高い剛性は、結晶性ポリオレフィンに化合物L及び化合物Mを配合した系に乳酸を併用したときにはじめてみられる特有の効果であるといえる。
【0055】
表2〜表3は、結晶性ポリオレフィンとしてそれぞれ(1)結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、(2)結晶性プロピレン単独重合体、結晶性エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体及び高密度エチレン−プロピレン共重合体の混合物、を用いたものであり、これらについても上述の表1と同様の効果が確認された。
【0056】
【発明の効果】
本発明の組成物は、高級脂肪酸のマグネシウム塩が共存しても、配合した造核剤の造核作用が阻害されず、成形品としたときの該成形品の剛性が著しく優れている。
Claims (1)
- 結晶性ポリオレフィン100重量部に対して、芳香族カルボン酸リチウム及び炭素数12〜28の高級飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のマグネシウム塩をそれぞれ0.05〜1重量部配合してなる結晶性ポリオレフィン組成物において、乳酸を0.05〜1重量部併用することを特徴とする結晶性ポリオレフィン組成物。
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