JP3769614B2 - マグネシウム・ニッケル合金薄膜を用いた水素センサ及び水素濃度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネシウム・ニッケル薄膜を用いた水素センサに関するものであり、更に詳しくは、本発明は、水素ガスに反応してその電気抵抗や光学的性質が変化することにより水素を検知する水素センサ材料に関するものである。本発明は、室温で作動し、しかも、安価に製造できる新しい水素センサ材料を提供するものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境や資源問題に関する関心の高まりから、クリーンエネルギーとしての水素エネルギーには大きな期待が寄せられている。近年、燃料電池車を初めとして、水素を用いた技術は大きく発展してきており、水素を扱う技術は、今後、ますます発達すると思われる。この水素は、酸素が存在する雰囲気中で爆発の危険性を持つために、その取り扱いには非常に注意が必要である。空気中の水素濃度の検出には、水素センサが用いられるが、今後、水素センサの需要は、飛躍的に増大することが予想される。
【0003】
現在、水素センサとしては、酸化スズを用いた半導体センサが広く用いられている。このセンサは、感度及び信頼性が高く優れた特質を備えているが、動作温度が400℃程度であり、加熱を要することと、価格が高いという欠点がある。そのため、より価格が安く、また、加熱なしで、常温で作動する水素センサが強く求められている。
【0004】
1996年に、オランダのグループにより、イットリウムやランタンなどの希土類の金属薄膜を、水素に晒すことにより、薄膜が鏡の状態から透明な状態に変化することが発見され、彼らにより、調光ミラーと命名された(J.N.Huiberts,R.Griessen,J.H.Rector,R.J.Wijngaarden,J.P.Dekker,D.G.de Groot,N.J.Koeman,Nature 380(1996)231)。これらの希土類金属薄膜は、水素ガスによりその透過率や電気抵抗が変化することから、これらを水素センサとして応用することも検討されている。
【0005】
その後、2001年に、アメリカのグループにより、マグネシウム・ニッケル合金のMg2 Niが新たな調光ミラー材料として発見された(T.J.Richardson,J.L.Slack,R.D.Armitage,R.Kostecki,B.Farangis,and M.D.Rubin,Appl.Phys.Lett.78(2001)3047)。本発明者も、窓ガラスへの応用を目指した、マグネシウム・ニッケル合金薄膜の研究を行い、MgNix(0.1<x<0.3)薄膜が調光ガラスとして優れた特性を持っていることを見出した(特願2002−70824)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記従来技術をふまえ、マグネシウム・ニッケル合金薄膜の研究を行う中で、この材料が、常温で作動し、しかも、安価に製造できる水素センサ材料として用いることができることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、コスト的に安価なマグネシウム・ニッケル薄膜及びごく微量のパラジウム膜等の触媒層を使用した新しいタイプの水素センサ材料を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、マグネシウム・ニッケル合金薄膜を用いた水素センサを用いて、水素濃度を測定する方法及び水素の検知を行う方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)マグネシウム・ニッケル合金薄膜を用いた水素センサ材料であって、
(a)マグネシウム・ニッケル合金薄膜の組成がMgNix(0.1<x<0.6)である、
(b)上記薄膜に接して触媒層が形成されている、
(c)室温(20℃付近)で水素と反応して電気抵抗及び光学的性質が変化する、
(d)上記電気抵抗又は光学的性質の変化に基づいて水素を検知する、
ことを特徴とする水素センサ材料。
(2)上記薄膜の表面に触媒層としてパラジウムもしくは白金をコートした前記(1)に記載の材料。
(3)上記触媒層の上に保護層が形成されている前記(1)に記載の材料。
(4)上記保護層が、水素透過性であり、かつ水非透過性の材料からなる前記(3)に記載の材料。
(5)水素を透過する性質を持つ基材に、触媒層を形成し、その上にマグネシウム・ニッケル薄膜を形成した前記(1)に記載の材料。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の材料で構成された水素センサ。
(7)前記(1)から(5)のいずれかに記載の材料で構成された水素センサの電気抵抗変化を検知することにより水素濃度を測定する計測方法。
(8)前記(1)から(5)のいずれかに記載の材料で構成された水素センサの光学的変化を検知することにより水素を検知する方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、厚さ100nm以下の薄いマグネシウム・ニッケル薄膜からなる水素センサに係るものである。このマグネシウム・ニッケル薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相蒸着法(CVD)、めっき法等により作製することができる。しかし、これらの方法に制限されない。本発明では、上記マグネシウム・ニッケル合金薄膜の表面に触媒層が形成される。上記触媒層としては、好適には、パラジウムもしくは白金が用いられる。しかし、これらに限定されるものではなく、これらと同効のものであれば同様に使用することができる。この触媒層は、好適には、上記マグネシウム・ニッケル薄膜の表面に0.5−100nmのパラジウムもしくは白金をコートして形成される。しかし、触媒層の形成方法及びその形態は、特に制限されない。
【0010】
上記触媒層は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相蒸着法(CVD)、めっき法等により作製することができる。しかし、これらの方法に制限されない。このように、これらのマグネシウム・ニッケル薄膜及び触媒層の成膜は、好適には、例えば、上記マグネトロンスパッタ装置等を利用して行われる。上記水素センサ材料を任意の基板上に形成することにより水素センサが得られる。基板としては、例えば、ガラス、プラスティック、金属、セラミックスのような堅いものから、ビニールシート、ラップ、フィルム、紙のような柔らかい物まで、様々な種類のものを用いることが可能である。
【0011】
本発明では、上記マグネシウム・ニッケル合金薄膜層の表面に、保護層が形成される。この保護層の材料としては、水素に対して透過性で、水に対して非透過性の特性を有する材料が用いられる。この保護層は、例えば、上記薄膜層の表面にこの材料からなるシートを張り付ける方法、上記材料をコーテイングする方法等により形成される。この保護層の形成方法は、特に制限されるものではなく、適宜の方法を用いることができる。
上記保護層の材料例としては、例えば、ポリエチレンシート、酸化タンタル薄膜、酸化ジルコニウム薄膜等が例示される。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと同効のものであれば同様に使用することができる。この保護層により、上記薄膜層の耐久性を大幅に向上させることができる。
【0012】
水素を透過する性質を持つ基板に、上記マグネシウム・ニッケル合金薄膜を形成する場合には、蒸着する材料の順番を変え、まず、触媒層を付け、その後、マグネシウム・ニッケル合金薄膜層を蒸着することもできる。この場合は、基板が保護層になるため、構造が簡単になるという利点がある。
【0013】
このようにして作製したマグネシウシウム・ニッケル合金薄膜を用いて水素の検知を行う方法は、電気抵抗の変化を見る方法と、光学的な変化を見る方法の2種類に大別される。まず、電気抵抗を見る方法では、後記する実施例で示されるように、Mg2 Niという組成のマグネシウシウム・ニッケル合金薄膜を用いた場合、電気抵抗の変化量は水素濃度が高くなるにつれて大きくなるため、その変化量を見ることで、水素濃度の定量を行うことができる。Mg2 Niよりもマグネシウムの比率を大きくすると、水素に対する感度は上がるが定量性は悪くなる。Mg2 Niよりもニッケルの比率を大きくすると、水素に対する感度が急激に下がり、水素センサとしては用いられなくなる。また、この電気抵抗の測定にあたっては、1mm程度の小さいものでも十分に測定することが可能であり、センサ部分の面積をごく小さくすることもできる。
【0014】
また、本発明の材料では、水素との反応でその光学的性質が変化し、透過率が上がり、反射率が下がる。特に、この性質はニッケルに対するマグネシウムの比率が大きくなると顕著になり、後記する実施例に示されるように、例えば、Mg6 Ni薄膜を用いた場合、水素を含んだ雰囲気に晒すことで、透過率が大きく上昇する。この性質は、例えば、水素配管のもれチェック等の場合に非常に有効である。
【0015】
本発明の水素センサでは、測定できる水素濃度の範囲は、マグネシウム・ニッケル層の厚さをコントロールすることで、また、水素に対する応答速度は、触媒層の厚さをコントロールすることにより調節することができる。
【0016】
このように、本発明は、マグネシウム・ニッケル合金薄膜材料を用いた水素センサと、これを用いた水素検知方法に係るものである。本発明で材料として使用するマグネシウムとニッケルは資源量が多く、価格も安い。また、触媒層に使用するパラジウムや白金は価格は高いが、蒸着する厚さが数nm程度と非常に薄いため、ごくわずかの量の使用で上記触媒層を作製することができる。
【0017】
従って、本発明による水素センサは、非常に低価格で作製することができる利点を有している。また、本発明による水素センサは、基板を選ばず、様々な種類のものに蒸着することができる利点を有しているため、応用的にも、従来の水素の濃度測定だけでなく、上記光学的性質の変化を利用して、その色変化による水素検知等の新しい使用法を可能にする利点を有している。
【0018】
【作用】
本発明は、マグネシウム・ニッケル薄膜を用いた水素センサに係るものであり、この水素センサは、水素ガスに反応してその電気抵抗及び光学的性質が変化する性質を利用して、これらの変化に基づいて、水素を検知することを特徴としている。本発明の水素センサは、マグネシウム・ニッケル薄膜、触媒層、及び任意の構成としての保護層からなる簡単な構造を有しており、しかも、常温で高精度に動作することから、水素センサの小型化、軽量化及び低コスト化を実現することが期待できる。前述のように、今後、水素はますます広く用いられるようになり、水素センサの需要も急速に高まることが予想される中で、本発明は、常温で作動し、しかも、安価に製造できる水素センサを提供するものとして有用である。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて具休的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
マグネシウム薄膜の成膜を、図1に示した3連のマグネトロンスパッタ装置で行った。3つのスパッタ銃に、ターゲットとしてそれぞれ、金属マグネシウム、金属ニッケル、それに金属パラジウムをセットした。基板としては、厚さ1mmのガラス板を用い、これを洗浄後、真空装置の中にセットして真空排気を行った。成膜にあたっては、まず、マグネシウム・ニッケルをスパッタしてマグネシウム・ニッケル合金薄膜を作製した。スパッタ中のアルゴンガス圧は、1.2Paであり、直流スパッタ法によりマグネシウムに30W、ニッケルには9Wから30Wのパワーを加えてスパッタを行った。ニッケルのターゲットに加えるパワーを調節することで、合金薄膜におけるマグネシウムとニッケルの組成比をコントロールした。その後、同じ真空条件下で、6Wのパワーを加えてパラジウム薄膜の蒸着を行った。
【0020】
実施例2
得られた膜を、図2のような評価装置にとりつけ、その水素の検知特性を調べた。マグネシウム・ニッケル合金薄膜が内側に向くように小さなチャンバーに試料を取り付け、両端の抵抗を図るためのリード線を取り付けた。気体混合室で水素を乾燥空気で希釈して様々な濃度の雰囲気を作製し、いったん中を真空に引いたチャンバー内に導入して、その電気抵抗の変化をデジタル抵抗計で測定した。また同時に、そのときの光学透過率の変化を波長670nmの半導体レーザーとシリコンフォトダイオードを組み合わせた測定システムで測定した。
マグネシウム・ニッケル合金薄膜は、蒸着直後の膜は金属光沢を持ちよく光を反射する。この膜を水素へ暴露することにより水素化が起こり、電気抵抗が増大する共に光学透過率が増大する。この時の抵抗変化もしくは透過率変化を測定することで水素の濃度に関する情報を得ることができる。
【0021】
図3は、Mg2 Niの組成になるように成膜した約40nmの厚さのマグネシウム・ニッケル合金薄膜に約4nmの厚さのパラジウム薄膜を蒸着した試料について、これを様々な濃度の水素ガスに晒した場合の電気抵抗及び波長670nmにおける光学透過率の変化を示したものである。この膜を水素に晒すと、水素化が起こり膜の抵抗が上昇する。やがて抵抗の上昇はおさまり飽和するが、この飽和する抵抗値は、水素濃度が大きいほど大きくなっていることがわかる。水素を含まない空気に晒すと電気抵抗値はほぼ初期値に戻る。
【0022】
従って、このパラジウムをコートしたMg2 Ni薄膜では、飽和した電気抵抗値を読むことで水素濃度に関する情報を得ることができ、この材料で定量的な水素濃度測定を行うことが可能であることを示している。また、この図から、この材料では0.1%程度の水素濃度まで検出できることを示している。また、測定できる水素濃度の上限は数% 程度である。
【0023】
この材料では、Mg2 Ni層の膜厚を薄くすることで測定感度を上げることが可能で、例えば、膜厚を20nm程度にすると0.01%の水素でも検出できるようになる。また、逆に膜厚を厚くすることで測定できる濃度の上限を上げることが可能で、膜厚を100nm程度にすると100%の濃度でも測定できる。このように、Mg2 Ni層の膜厚で測定できる濃度領域の調節できるのもこの材料の特徴である。光学透過率についても、電気抵抗と同じ挙動を示すが、図で見るように、その変化幅は小さく、上記のような水素の定量を行うには、測定の間便性及び精度の観点から電気抵抗の変化を見るほうが適している。
【0024】
実施例3
マグネシウム・ニッケル合金薄膜におけるマグネシムとニッケルの組成比を変えると、水素に対する反応性が変化する。図4は、Mg6 Niの組成になるように成膜した約40nmの厚さのマグネシウム・ニッケル合金薄膜に約4nmの厚さのパラジウム薄膜を蒸着した試料について、これを様々な濃度の水素ガスに晒した場合の電気抵抗及び波長670nmにおける光学透過率の変化を示したものである。
【0025】
マグネシウムの比率が上がると、水素に対する感度が上がり、同じ水素濃度に対する電気抵抗の変化幅がMg2 Niよりも増加する。ただし、空気に晒した場合、Mg2 Niでは、電気抵抗値はほぼ元のレベルまで回復するのに対して、Mg6 Niでは途中までしかもどらなくなる。従って、水素濃度の定量を行う場合はMg2 Niを用いたものの方が適している。光学透過率の変化については、マグネシウムの比率が大きくなると変化幅が急激に大きくなる。図4に示したように、2%の水素に晒した場合、Mg2 Niでは約1.5%の変化幅だったものが、Mg6 Niでは30%もの変化を示す。従って、Mg6 Niは光学的な性質の変化による水素の検知を行う用途に適している。
【0026】
実施例1のように、本発明の材料をスパッタ法で作製する場合、成膜時間は2分程度と非常に短く、また、基板を加熱する必要がないため、様々な材料の上に成膜することができる。図5に示したのは、家庭用のポリエチレンラップ上にスパッタ法で形成したマグネシウム・ニッケル合金薄膜の写真である。通常の材料上に形成する場合は、まず、マグネシウム・ニッケル合金薄膜を形成してから、その上に触媒層を形成するが、このポリエチレンラップ等の水素と透過する材料の上に形成する場合は、まず、触媒層を蒸着してから、その上にマグネシウム・ニッケル合金薄膜を形成することもできる。このようにすると、基板としての材料自身を保護層とすることができる。
【0027】
このように、可塑性のある材料に本発明の材料を作製し、水素の接続パイプの接合部等に貼り付けておくと、もし、水素のもれがあった場合、その部分の透過率が変化して色が変わるため、そのもれを検知することができる。実施例2で述べたように、Mg2 Ni薄膜を用いた場合は、水素の暴露による光学透過率の変化が小さいので、このような目的に用いるためには、マグネシウムの量を増やしたMgNix(0.1<x<0.3)が適している。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、常温で動作し、安価に製造できる水素センサ材料と、これを用いた水素の検知方法に係るものであり、本発明により、以下のような作用効果が奏される。
(1)本発明の水素センサ材料は、常温で動作し、加熱を必要としない。
(2)本発明の水素センサ材料は、価格的に安いマグネシウム・ニッケルとごく微量のパラジウム等を用いるため、安価に製造できる。
(3)本発明の水素センサ材料は、水素のもれを光学的な変化で検知することができる。
(4)本発明の水素センサ材料は、水素に対する感度及び応答性をマグネシウム・ニッケル合金薄膜の厚さ及び触媒層の厚さで制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スパッタ装置の概略図を示す。
【図2】図2は、水素センサ特性評価装置の概略図を示す。
【図3】図3は、パラジウムをコートしたMg2 Ni薄膜を様々な濃度の水素雰囲気に晒した場合の電気的抵抗(上側)と波長670nmにおける光学透過率(下側)の変化を示す。
【図4】図4は、パラジウムをコートしたMg6 Ni薄膜を様々な濃度の水素雰囲気に晒した場合の電気的抵抗(上側)と波長670nmにおける光学透過率(下側)の変化を示す。
【図5】図5は、ポリエチレンラップ上に形成したマグネシウム・ニッケル薄膜を示す。
Claims (8)
- マグネシウム・ニッケル合金薄膜を用いた水素センサ材料であって、
(1)マグネシウム・ニッケル合金薄膜の組成がMgNix(0.1<x<0.6)である、
(2)上記薄膜に接して触媒層が形成されている、
(3)室温(20℃付近)で水素と反応して電気抵抗及び光学的性質が変化する、
(4)上記電気抵抗又は光学的性質の変化に基づいて水素を検知する、
ことを特徴とする水素センサ材料。 - 上記薄膜の表面に触媒層としてパラジウムもしくは白金をコートした請求項1に記載の材料。
- 上記触媒層の上に保護層が形成されている請求項1に記載の材料。
- 上記保護層が、水素透過性であり、かつ水非透過性の材料からなる請求項3に記載の材料。
- 水素を透過する性質を持つ基材に、触媒層を形成し、その上にマグネシウム・ニッケル薄膜を形成した請求項1に記載の材料。
- 請求項1から5のいずれかに記載の材料で構成された水素センサ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の材料で構成された水素センサの電気抵抗変化を検知することにより水素濃度を測定する計測方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の材料で構成された水素センサの光学的変化を検知することにより水素を検知する方法。
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